ひろプリに野良猫系キャラを入れてみた   作:獅子河馬ブウ

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第129話 招かれるグラン

工事現場での戦いから1日が過ぎる。その日は平日である事から勿論登校日でましろは学校にやってきて授業を受けている。だが、今のましろは上の空で授業に集中できずにいた。

 

「虹ヶ丘さん、此処を読んでみて下さい」

 

「…え、あっ!はいっ!」

 

先生から指名を受けたましろは慌てて席から立ち上がり教科書の指定されたページを読む。だけどやはり授業に集中出来ずにいた。普段なら友達のソラとらんこがましろに話しかけたりするが、その2人は今日はいない。先日らんこは自分達と縁を切りターボマンとバッタモンダーと共に去ってしまった。ソラもらんこから絶交宣言をされて以降、未だに気持ちが沈んだまま部屋に引き篭もっていたのだ。

 

(らんこちゃんのお父さんとお母さん…らんこちゃんの事を心配しているんだろうな…)

 

先日らんこが自分達の元を去ってから彼女の両親にどう説明をすべきか一同は悩んだ。何せプリキュアとその戦いについてはましろでさえ両親に秘密にしており、その事を明かすなんて出来るはずがなかったのだ。もしプリキュアについてバレでもしたら間違いなく怒るだろう。そして場合によってはらんこを危険から遠ざける為にこの街から引っ越すなんて起きる可能性だってある。

取り敢えず近い内やるテストに向けて自分達の家に泊まり込んでいると言って何とか誤魔化すことが出来たが、らんこ本人がいないために恐らく数日も誤魔化しきれない。

 

(何とかしてらんこちゃんを連れ戻さないと…)

 

両親にバレる前に洗脳されたらんこを元に戻す。その為には何でもするつもりであった。だが、もう一つ懸念すべきことがある。それはらんこが洗脳された代わりに正気に戻ったキメラングことグランについてだ。

 

────────

 

時は遡り工事現場の戦いから数時間後、ソラは泣き止み漸く落ち着くとましろ達と共に虹ヶ丘家に帰宅する。

 

「…帰ってきたな」

 

「にゃんこ…」

 

「皆さんお帰りなさい」

 

リビングには先に帰ったベリィベリーと彼女から工事現場の話を聞いて表情を曇らせたエル、それにヨヨがおり。

 

「どうも〜、お先にくつろいでいるよ〜」

 

更にはベリィベリーに治療をしてもらった様で顔に湿布を貼ったキメラング…グランの姿がありティーカップを片手に持ち寛いでいた。

 

「っ!」

 

「ソラちゃん」

 

「ご…ごめんなさい」

 

思わず拳を構えてしまうソラだがましろから声をかけられて我に帰りグランへと謝罪するが、やはりわかっていても簡単にはこの状況を呑み込めないようだ。 

 

「まぁ、怒るのも無理はないさ。何せ今まで色々あり過ぎたからね。今すぐでもこの私を殴りたいのだけど此処は冷静に話し合おうじゃないか。ささ、君達もハーブティーを飲んで気持ちを落ち着かせると良い」

 

「お前は何様のつもりで言っているんだ?」

 

思わずベリィベリーはツッコミを入れてしまう。しかし、グランの言う事に一理はある。正直ソラ達はあまり気が進まないもののソファに座ってヨヨが淹れたハーブティーを飲んで気持ちを落ち着かせる。

一方でグランもハーブティーの香りと味を堪能していた。

 

「う〜ん、良い味と香りだ。君が淹れるハーブティーは相変わらず…いや、少し深みが増したかな?」

 

「ふふっ、そう言ってもらえると嬉しいわ」

 

お茶を一口飲み味の感想を言うとヨヨは嬉しそうに笑みを浮かべる。2人は見た目からしてかなり歳の差があるにも関わらず、そのやり取りは孫と接する祖母…ではなく旧友の様に接している。その姿に一同は複雑な心境を抱く。

 

「お、お婆ちゃん…その、今でも信じられないんだけど、この前の畑で言っていたキメ…じゃなくてグラン…さんとは本当に友達なの?」

 

普段からヨヨの事を祖母と信頼しているましろにとっては今まで悪行を繰り返していたキメラングとしてのイメージが強く簡単には信じられなかった。

 

「ええ、皆んなからすれば信じられないかもしれないけど私と彼女は昔からの友達よ」

 

「おやおや、この私をまだ友達と言ってくれるなんて嬉しいね。嬉しさのあまりに涙が出そうだよ」

 

ヨヨから友達と言われた事にグランは嬉しそうにする。尚、涙は出てない。今までのイメージからその姿は演技という可能性があったがその表情から演技ではなく本心であると感じ取れた。

 

「でもさ。100歩譲ってヨヨさんがそのグラン…ちゃんの友達として認めるけど、年齢差が激し過ぎない?」

 

「僕もそこは気になっていました」

 

「ヨヨ殿がその者を昔からの友達と言うが見た目の年齢的に釣り合っていない気が…」

 

世の中には歳の離れた友達の概念は存在する。だが、ヨヨとグランの関係はまるで幼い頃から交友のある親友みたいに馴染んでいる様に見えて違和感を抱く。

 

「いいだろう…まず私の事について改めて説明しないとね」

 

そう言ってティーカップをテーブルに置き軽く咳払いすると自己紹介を始める。

 

「ゴホン…改めまして私の名はグラン、知っての通り今日までドクターキメラングとして君達の前に立ち塞がった敵だよ。更に言うとその前はこちらのヨヨと共にスカイランドでとある研究所で働いていたそれなりに名の通った科学者さ」

 

「やはり僕達と同じスカイランド人でしたか…でも、僕はスカイランドで貴女の事を知りませんよ」

 

「私もだ。任務でスカイランド中を飛び回っているがお前の名は聞いたことない」

 

ツバサとベリィベリーはグランがスカイランドの人間と理解するが何故無名であるか疑問であった。これまでの戦いでグラン(キメラング)はとんでもない発明品を何度も出してきた。それくらいの実力があるならば新聞とか街の噂になってもおかしくはない。

 

「君達の疑問は最もだキュアウィング…いや、此処はツバサ君と呼ばせてもらうよ。後、ベリィベリー君もだ。確かに君達の言う通り私の名は今スカイランド中には響いてない。でも、誤解がない様に言っておくけど別に自意識過剰して誇張表現したという訳じゃないからね」

 

「えっ、じゃあどう言うこと?」

 

いまいちグランの名が広まってない理由についてあげはが問うとグランは得意気な表情を浮かべる。

 

「私がその研究所で働いていたのはそうだね…大体50年前かな」

 

「なんだ50年前か。そんな昔なら今と比べて目立たなくなるよね……ご、ご、50年前!?」

 

『ええええっ!?』

 

「えるっ!?」

 

思わずましろは驚き声を荒げる。勿論ましろだけでなくその場いた全員(ヨヨを除く)は思わず驚きの声を上げてしまう。ヨヨの話からして薄々見た目よりある程度歳を取っているのではと感じていたのだが、まさかのヨヨとほぼ同年代という事に衝撃を隠せなかった。

 

「えっ、じゃなに?グランさんってお婆ちゃんとほぼ同い年って事!?」

 

「でも、その割にはお年寄りには見えないよ…と言う事は相当な若作りをしていると見たよ。一体どんなファウンデーションを使っているの?」

 

「いや、ツッコむ所は其処じゃないだろ!」

 

「あげはさん今は真面目な話をしているのでボケないでください」

 

10代な見た目とは裏腹に相当な歳を取っていたグランに一同は何故10代くらいの若さを維持しているのかが気になっていた。

 

「ああ、ファウンデーションじゃないよ。私が50年も歳を取らずに済んだのは私の開発したハイスペックヘルメット、ハイメットのお陰だね」

 

「ハイメット?それって貴女が被っていたあのヘルメットの事ですか?」

 

思い出すのはキメラングだった時に常に被っていた白いヘルメットの存在だ。今はそのヘルメットはツイスターが被って彼女が洗脳されている状態である。

 

「そのハイメットって名前からしてただのヘルメットじゃないんですよね」

 

「ああ、ハイメットは被った人間の能力を常にハイスペックにするというコンセプトで作った私の発明品だ」

 

「能力を常にハイスペック?」

 

「そうさ、ハイメットを被る事で人の脳に掛けられたリミッターを解除して常に身体能力をハイスペックに維持する事が出来る代物さ。それ故に私はこの若さとスタイルを維持していたんだよ」

 

思い返してみれば彼女はキメラングだった頃にアーマーを使わずに自分達と互角に渡り合っていた。今に思えばそれはハイメットの恩恵があったものだろう。

 

「何それスゴッ!というか今若さとスタイルを維持しているって言うけど、もしかしてそのお胸の大きさもハイメットが!?」

 

「イグザクトリー。ハイメットのお陰で10代の若さにしてバストのサイズは平均以上だよ。更にいえばハイメットの力により肩凝りは起きないのさ!」

 

「羨ましい‼︎ねぇねぇ、それって幾らで買える?」

 

肉体の若さが維持出来る他に女性としてバストアップ出来ると魅力的な機能にあげはは興味が湧き思わず財布をとりだして購入意欲を見せる。

 

「ちょっとちょっと!あげはさん話が脱線s「ふざけないで下さい‼︎」そ、ソラさん?」

 

あげはに注意をしようとしたツバサであったが、それを遮る様に大声をあげたソラに驚き彼女の方に視線を向ける。

 

「確かにそのハイメットは凄いですけど、優しかったらんこさんの心を変えてしまう恐ろしい装置で盛り上がるのはやめて下さい!」

 

「ソラちゃん…」

 

ソラの怒鳴り声により先程までの雰囲気は一変して静寂が広がる。確かにソラにとってはハイメットには現状らんこを洗脳したという悪い印象しかなく目の前で盛り上がったら色々と思うところがあるだろう。

 

「…確かに君の言う通りだ。些かおふざけが過ぎた様だ…悪いね」

 

「ソラちゃん…ごめんね」

 

「いえ…こちらこそいきなり大声をあげてすいません」

 

グランは不謹慎に思ったのか素直にソラに謝罪するあげはもちょっとシリアスな空気を変えようとしたつもりがソラにとって不快であった事に同様に謝罪する。対してソラも謝られた事に我に返り自分らしくない事をしたと申し訳ない気持ちを抱いた。

 

「…機能についてわかったが、何故お前はそのハイメットとやらを作ろうと思ったんだ」

 

「ああ、その事について答えよう。だけどちょっと話が長くなるからご容赦してくれたまえ」

 

良からぬ雰囲気が漂う事に気づいたベリィベリーは少しでも雰囲気を良くしようとグランにハイメットを作り出した経緯について尋ねると彼女は答える。

 

「君達は生まれながら他人との優劣の差という枷が付けられているというのは自覚があるだろう」

 

「まぁ、確かに…」

 

"他人との優劣な差"と聞いてましろは体育の授業やスポーツテストの時にソラとらんこと比べて自分の運動神経があまり良くない事を思い出し納得する。

 

「そう言う事があって己が優れている事を証明したいが為に人は争いを起こす。だから私はその優劣の差を無くそうと当時ハイメットを制作していたんだよ」

 

「なんか…結構まともな理由ですね」

 

優劣の差がある為に争いを起こす。それを防ぐ為に作ったとなればグランは平和の為を思ってハイメットを作った事となる。そうなれば彼女は善意でハイメットを作りそこには悪意が一切無いと思い一同は納得する…1人を除いて。

 

「待ってください!それなら何故ツイスターは洗脳されたんですか!貴女が平和を思っているのであれば洗脳する機能は付けない筈でしょう!?」

 

動機についてわかったもののソラは1人異議ありと言わんばかりに再び大声を上げる。確かにソラの言う通りグランが平和の為と思っていれば洗脳機能は付けない筈。だが、現実は逆で実際ツイスターが洗脳されている。それをどう説明するべきだとソラは問い詰める。

 

「そ、ソラちゃん落ち着い──」

 

そんなソラにましろは彼女を落ち着かせようと声をかけようとするが、その場に何かが砕け散る音が響き渡る。一同は突然の音に驚き、エルも涙目を浮かべつつ音の発生源に視線を向けるとそこにはグランがテーブルに置かれていたティーカップを右手で叩き割り血を流す。

 

「それは私が聞きたい!私の目的は争いを無くすことだ!なのにあんな人を操る機能なんて本末転倒だ!死んでも付けないぞ!だというのに私は洗脳されて解けたら50年も長い年月が経っていたんだ!その間私は…私は…!」

 

興奮するグランにソラは口が止まる。今まで彼女の行いからすれば洗脳されていたとはいえ許せない事が多くある。だけど、今のグランは自分の周りが50年という決して短く無い年月が経ちその間様々な悪事を行い更には当時若かったヨヨも年老いてしまった事がショックなのだろう。そんなグランに先程まで問い詰めていたソラはどう声を掛ければ分からなかった。

 

「グランさん落ち着いて。それに手の怪我を治療しないと」

 

「フゥーフゥー……す、すまない。また君に世話になるよ」

 

そんな時、ヨヨがグランに優しく話しかけるとグランは荒くした息を安定させ冷静なり怪我した右手をヨヨに治療してもらう。そんな光景にソラは罪悪感を抱きグランに再び謝罪をしようとするが。

 

「うぅっ、ええ…えぇええええ〜んっ!!!!」

 

「エルちゃん!?」

 

その時今までの重い空気に加えて先程のグランがティーカップを叩き割った音に我慢出来なくなったエルがついに泣き出してしまったのだ。

 

「ほ、ほらぁ〜!エルちゃん泣かないで〜。いないいない、ばぁ!」

 

「プリンセス!僕の身体に好きなだけ触って良いですよ〜!」

 

「ええええ〜んっ!!!!」

 

ましろとツバサがエルをどうにかして泣き止ませようとするがエルは泣き止まない。そんな時あげはが慣れた手つきでエルを抱き上げる。

 

「よしよし、エルちゃんごめんね〜。さっきまで重い空気に当てられて泣いちゃったんだよね〜」

 

普段ならあげはのやり方でエルは泣き止むのだが、今日は泣き止まず更にはエルの口からある言葉が発せられる。

 

「えぅっ、にゃんこ〜‼︎」

 

『!』

 

泣き叫ぶ中でらんこの名前を呼んだ事に一同は固まる。思い返してみれば自分達が家に帰ってきた時にエルはらんこの名前を呟いていた事から彼女がいなくて今まで寂しかったのだろう。

一同はこの場にいないらんこの存在を改めて実感すると再び場が重くなってしまうもヨヨが口を開く。

 

「皆、今日はお開きにしてまた明日に話をしましょう」

 

「そうした方が良いですね。すまないがあげは、プリンセスを頼む。私は夕食の準備をする」

 

「あ、僕も手伝います」

 

これ以上の話し合いは継続困難と全員は判断して今日は中断してあげははエルをあやし、ベリィベリーとツバサはあげはの代わりにキッチンへ夕食の準備をする。

 

「それではグランさん。今日から暫くこの家にいて下さい。空き部屋があるのでそこを使って今日は休んでくださいね」

 

「ああ、何から何まで悪いね」

 

ヨヨはグランを連れてリビングから出て行く。そして残されたましろは浮かない顔をするソラを心配そうに見つめる。

 

「らんこさん…!」

 

「ソラちゃん…」

 

未だにらんこの事を引き摺るソラは辛そうに背中を震わせ、その背中にましろは手を乗せて優しく摩るのであった。

 

─────────

 

そんな事が昨日あった。その後ソラは今朝も気持ちが沈んだままとても学校に行ける状態ではない為休む事になり、ましろ1人で登校する事になったのだ。

それから時間が過ぎて夕方になると放課後となりましろはソラの事を心配し少しでも元気になってもらおうと家に帰る途中でパン屋に寄りメロンパンを人数分購入する。

 

「ただいま…」

 

家に帰宅すると真っ先にソラの部屋に向かう。自分が学校に行っている間グランも留守番をしている為、また昨日の様に揉めてないかと不安になりつつも部屋の前にやってくる。

 

「ソラちゃん…入るよ」

 

扉をノックをするが部屋の中から声は聞こえず不思議に思いながらも扉を開くとそこにはソラの姿は居なかった。

 

「ソラちゃん?」

 

部屋の中を見渡しても何処にもソラの姿は見当たらなかった。トイレにでも行っているのだろうかと思いつつ部屋を出ようとした時に机の上にヒーロー手帳が開いた状態で置かれている事に気がつく。

 

「これってソラちゃんの…えっ!?」

 

気になり手帳を覗いたましろは表情が固まり、思わず持っていたメロンパンの入った袋を落としてしまう。

 

「た、大変だよ!?」

 

慌てて部屋から出て行きリビングへと向かった。そして机に残された手帳にはメッセージが残されていた。

 

わたし、ヒーローにはなれませんでした。さようなら。

 

────────

 

「ああ〜、気持ち良いわねぇ〜」

 

「どうだ。俺のマッサージも中々イケるだろ」

 

その頃、ツイスターはキメラング(グラン)のラボにてターボマンによりマッサージを受けていた。尚、ターボマンは巨体と言う事から指を使った指圧マッサージである。

そして、その側でバッタモンダーが呆れた様子で見ていた。

 

「おいおい、すっかりそいつの下僕に成り下がっているんじゃねえか」

 

先日、ターボマンはグランを置き去りにする代わりにツイスターをラボに連れて来て以降ツイスターの凡ゆる我儘を何でも聞き、今日もこうやってツイスターにマッサージをする様に命令されたターボマンはこれと言って嫌な顔や悪態なんか吐かず聞いていたのだ。

 

「お前、本当にどうしちまったんだ?昨日までキメラングの言う事を聞いていたのにそのキメラングを捨て、キュアツイスターをこのラボに招いて命令を聞くなんてよ」

 

「だから言っているだろ。今の俺はキュアツイスターの命令を聞きたい気分なんだって」

 

「だからその気分ってなんだよ!?」

 

あっさりと自分を作った生みの親であるグランを切り捨て、ツイスターの下僕と化したターボマンにバッタモンダーはひょっとして頭がイカれたのかと思う始末だ。

 

「ていうかお前キメラングを置き去りにしたけどな!絶対恨んでいるぞ!未だに戻って来てない事からプリキュア達に捕まっているかもしれねえけどよ。もし戻ってきて置き去りにした仕返しはお前だけに受けてもらうぞ!俺は一切関係無えからな!」

 

正直ターボマンに流される形でついバッタモンダーもグランを置き去りにした事は後悔していた。彼女の性格上帰ってきたら仕返しと称して何をするか想像できず顔が更に青ざめる。

 

「良いか!もし、キメラングが帰ってきたら俺はお前に無理矢理置き去りにされたと言ってやるぞ!じゃ無いとあのハゲ上司みたいにとんでもない仕返しをされるかもしれないんだぞ!」

 

「それは一体どんな内容だ」

 

「そりゃ勿論、弱者に容赦ない事を沢山……ん?」

 

先程まで興奮のあまりバッタモンダーはターボマンと話していると思っていたのだが先程聞こえてきた声はターボマンの声質とは全く異なりバッタモンダーにとっては何処か聞き覚えがあり、背後から聞こえてきたのだ。

 

「ま、まさか…!」

 

先程から背後に伝わるプレッシャーに思わず唾を飲み込むも恐る恐る背後を振り返ると其処には右目にモノクルを掛け、頭には髪が一本も生えておらず代わりに一対の頭角を生やした黒いフード付きの外套とローブを纏った男が立っていた。

 

「す、スキアヘッド様ぁーっ!?何故ここにーっ!?」

 

その男…スキアヘッドの存在に驚き思わず大声を上げて飛び上がり床に崩れ落ちるバッタモンダー。そんなバッタモンダーをスキアヘッドは無表情で見下ろす。

 

「どうしたバッタモンダー。その仕返しとやらの内容は言わんのか?」

 

「なっ、な、何のことですか〜?僕ってそんな事言っていましたかぁ〜?そ、それよりもスキアヘッド様は何故こちらに…?」

 

「あん、誰だそのおっさんは?」

 

すると先程までツイスターにマッサージをしていたターボマンがスキアヘッドに気付くとバッタモンダーが声を荒げる。

 

「ば、馬鹿野郎!口を慎め!このお方は俺達の上司であるスキアヘッド様でアンダーグ帝国のNo.2の実力者だ!」

 

「はーん、No.2ねぇ…」

 

バッタモンダーにスキアヘッドの事を説明されてもターボマンはピンと来ないのか心底興味なさげの表情と態度を見せ、バッタモンダーはとんでもない量の冷や汗を流す。

そんな中スキアヘッドはターボマンに話しかける。

 

「お前か、キメラングが作ったロボットとは」

 

「おっ、俺の事を知っているのか?おうとも、俺がドクターに作られた最強ロボットのターボマン様だ!」

 

ターボマンは自信満々で答えるもスキアヘッドは無表情のまま暫くターボマンを眺める。

 

「最強という割にはあまり戦績は良くないとキメラングから聞いている」

 

「んなっ!?」

 

痛い所を突かれたターボマンは表情が歪む。更にスキアヘッドは話を続ける。

 

「それに比べてその前に作られたハイマックスの方が戦績が良いと聞くが」

 

「は、はあっ!?んな訳ないだろ!あんな奴稼働してたった1日でプリキュアに破壊されたって聞くぞ!そんな奴が俺より上な訳ないだろうが!」

 

「ばっ、馬鹿野郎!なんて事を言うんだ!?」

 

スキアヘッドに暴言を吐くターボマンにバッタモンダーは更に顔を青ざめる。このままではターボマンの巻き添えで自分も大目玉を喰らいそうになる。そう思っていると其処に更に介入してくる人物がいた。

 

「ちょっと先から騒がしいわよ。なにやっているのよ?」

 

「お、お前もこんな時に来るんじゃねえ!」

 

先程までターボマンにマッサージを受けてリラックスしていたツイスターだったが、話し声(主にバッタモンダーの声)が聞こえた為気になりやってきたのだ。一方でバッタモンダーはよりにもよってスキアヘッド(上司)が抜き打ちで見回りに来ている時に敵であるツイスターを自分達のアジトに連れ込んでいる事なんて知れたらどんな目に遭わされるか恐怖で不安になり慌てて弁解する。

 

「スキアヘッド様違うんです!こいつは先日まで俺達と敵対してましたが今はアンダーグ帝国に入りたいと希望している為連れてきたんです!」

 

「……」

 

「ス、スキアヘッド様?」

 

しかし、先程からスキアヘッドは何も言わずにただツイスターを見つめていた。そんな様子にバッタモンダーは疑問符を浮かべつつツイスターとスキアヘッドを交互に見つめる。

 

「…少しこの者と話をしたい。お前達は席を外せ」

 

「はあ?なんでそんな事聞かなき「わっかりました!ほら、行くぞ!」って、おい!引っ張るな!」

 

無理矢理ターボマンを連れてバッタモンダーはラボから出て行き、スキアヘッドはツイスターを見つめる。

 

「何よ。私に何が聞きたいのよ?」

 

「…お前には用は無い。用があるのはお前だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パラサイア

 

すると、スキアヘッドからその名を呼ばれたツイスターは目を閉じ、再び目を開けると紫色に瞳が輝く。

 

久しぶりだな。我が同胞

 

まるで旧友と再会するかの様にツイスター…ではなく彼女の中にいるパラサイアは笑みを浮かべるのであった。

 

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