ひろプリに野良猫系キャラを入れてみた   作:獅子河馬ブウ

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第131話 帰省したソラ

時はましろが虹ヶ丘家に帰ってくる時まで遡る。

ここはスカイランドにあるのどかな村、城下町と比べると建物や住んでいる住民は少ないが代わりに自然が豊かに溢れるソラの故郷である。

其処にミラーパッドのゲートを使ったソラが帰ってきて自宅の前に立っていた。そして彼女は玄関扉にある呼び鈴を鳴らす。

 

「はーい、どちら様…って、ソラ!?」

 

「…ただいま」

 

中から出てきたのはソラに似た顔立ちをしている女性だ。彼女の名はレミ、ソラの母親である。彼女はてっきり客でもやってきたのかと思ったが別世界で活躍している筈のソラが突然帰ってきた事に驚いていた。

 

「一体どうしたの!?確か、王様達の呪いを解く為に向こうの世界に行っていたって聞いていたけど…」

 

「…うん、あのね…」

 

何やら言いづらそうな顔をするソラにレミは彼女の状態を改めて見る。彼女はソラがてっきり気分転換の為に里帰りをしてきたかと思ったが、大量の荷物が入っているであろう大きなリュックを背負っている事。更には普段から明るくヒーローを目指すと意気込んでいたたソラからは考えられない重い雰囲気に何かあったのではと察する。

 

「あっ、ソラお姉ちゃんだ!」

 

「レッド…」

 

更に其処にマントをつけたソラに似た顔立ちの幼い少年、ソラの弟であるレッドがやってきた。

 

「帰ってきたって事は悪者をやっつけてヒーローに成れたんだねっ!そうでしょっ!」

 

「え、えっと…それは…」

 

弟の期待された眼差しを向けられたソラは困惑する。実際にはレッドの言う様に自分はアンダーグ帝国(悪者)との戦いが終わっておらず、寧ろ自分は戦いを放棄して逃げ帰って来たのだ。そんな事をレッドに話して良いか思い悩んでいると家の中から声が聞こえてくる。

 

「レッド、ソラ。チシューが冷めるから家に入りなさい」

 

すると家の中には鍋を持ち頭にバンダナを巻いた男性、父親のシドがいた。彼は早速ソラ達を家に招き入れる。ソラとしてはレッドの対応に困っていた事と実際空腹であった事でタイミングが良かった為、内心シドに感謝しながらレッドと共に家に入るのであった。

 

────────

 

それから久しぶりに食べる家族の料理にソラの腹は満たされ、メンタルも少しではあるものの回復し家に帰ってきた理由を明かした。

 

「そう…そんな事が…」

 

「……」

 

話を聞いたレミとシドは言葉を失う。王と王妃にかけられた呪いの解決の為にソラは仲間達と共にソラシド市で向かい順調に解決へ進んでいたが、先日行方不明であったシャララが見つかるもランボーグにされてしまった事。敵に騙されてソラがツイスター(仲間)を傷つけてしまった事。そしてその仲間から絶交宣言をされ、更にはその子がアンダーグ帝国の一員となって自分達の元を去ってしまった事。その話はどれも重すぎる内容であり、胃もたれしそうだったレミはどう声を掛ければ良いか分からずにいた。

 

「ねぇ、なんでお姉ちゃんのペンは無くなちゃったの?」

 

そんな中レッドは先程あった話をあまり理解出来ないのか、それともそれ以上にソラの変身アイテムであるミラージュペンが無くなった事が気になったのか。ソラにその事について聞く。

 

「それは…ミラージュペンは私の(ここ)から産まれたの。きっと、私の気持ちが形になったものだと思う。でも、私の心が揺らいで…友達を守りたい…ヒーローになりたいって気持ちが消えちゃったの」

 

思い返せばソラは最初の頃、自分がプリキュアになってかららんことましろがまだ変身出来ず2人のピンチを救う為カバトンと戦い。その後は自分と同じプリキュアになったらんこ達と共に戦い背中を守るといった物に変わったものの、根底にある己のヒーローになりたいという気持ちは変わらずに先日まで変身して戦っていた。

 

「友達が…らんこさんはシャララ隊長を助けようとしたけど、私は失敗してシャララ隊長が死ぬんじゃないかって怖くて…気付いたららんこさんを攻撃して大怪我をさせちゃった…!」

 

折角初めて出来た友達(らんこ)を自分の手で傷つけ、その後らんこから言われた絶交宣言が今でもソラの脳裏を過ぎり彼女の肩は震える。それを見たレミがソラに寄り抱き締める。

 

「もう良いのよソラ」

 

娘がここまで深く傷ついている姿を見てレミも胸を痛める。今は戦わなくても良い暫く休む様に言うが其処にレッドが納得いかず声を荒げる。

 

「良くないよ!ソラお姉ちゃん約束したじゃん!絶対ヒーローになるぞって!なのになんで簡単に諦めちゃうんだよ!」

 

弟のレッドにとってはソラは憧れの存在だ。レッドにとっての姉は幼い頃からヒーローを目指して日々遊ぶ時間も惜しまずに鍛錬を続けるような人だった。そしてこの前漸く今までの鍛錬が実を結び、プリキュアとなると目指していた青の護衛隊への入隊も叶ってめざましい活躍を見せた。レッドはそんなソラに憧れていたのだ。しかし、今のソラは自分が憧れていた姿とは程遠い姿だった。そんなソラにレッドは失望しているとシドが視線を向ける。

 

「…人が本気で決めたことに口を出すな。それは間違ったことだ」

 

父親から向けられた視線にレッドは思わずビクつき「うぅ…」と悔しそうな声を漏らす。

 

「ぼ、僕は間違ってないもん!お姉ちゃんの馬鹿っ!弱虫の嘘つき〜っ!」

 

「レッド…」

 

レッドはソラに吐き捨てる様に悪態を吐きながらリビングから出て行ってしまう。それを見たレミはレッドを呼び止めようとするがソラの方を見ると彼女はレッドの言葉が効いたのか今にも泣きそうだ。

 

「…ソラ、うまいぞ、母さんのチシュー」

 

「パパ…」

 

するとシドがソラに食事を促すとソラは恐る恐るシドの顔と目の前にある皿に入ったチシューを見比べる。

 

「腕によりをかけて作ったのよ。おかわりも沢山あるからどんどん食べなさい」

 

「…うん」

 

今は両親の優しさが何よりの支えであったソラは目の前にあるチシューをゆっくりと食べるのであった。

 

───────

 

それからソラはチシューを食べて腹を満たすとシドに散歩に行かないかと誘われる。彼女は先程喧嘩別れしたレッドと一緒に家にいるのは気まずい為、誘いに応じてシド共に家を出る。*1

 

「此処を覚えているか?」

 

「うん、懐かしいね…」

 

暫く歩いていると2人は村の外れにある湖へとやってくる。其処はソラシド市と違って夜の星空が湖の水面に映り光り輝きなんとも美しい光景となっていた。

 

「思い出すなぁ。あの日、学校で弱い者いじめする子達と大喧嘩して全然敵わなくて…」

 

そう言ってソラの脳裏には幼い頃にこの湖に連れてきて貰った事を思い出す。その時ソラは此処で偶然見た流れ星に願い事を言ったが3回言い切る前に流れ星は消えてしまい、更に当時はまだ力は弱く勇気が無かった事でヒーローになれるか不安を抱いていた。だが、そんなソラを元気付けさせるかの様に流星群が夜空に広がった事でソラは心に強い気持ちが現れ、流星群が消えるまで必死に"ヒーローになれますように"と願ったのだ。

 

「あの星はパパが降らせてくれたの?」

 

「違うぞ…あれはお前が降らせたんだ」

 

あの日の夜空に降り注いだ流星群についてはシドは事前に降る事は知っておらず、偶然目の当たりにしたのだ。だがシドはソラが呼び寄せたのではと思っている。彼女は偶然プリンセス・エルの誘拐を目撃し別世界まで追いかけ、其処で伝説の戦士と言われたプリキュアへと覚醒。その後はこちらの世界に帰還し見事にプリンセス・エルを連れ戻したヒーローとして讃えられた事からソラは何かを持っているとシドは思っていたのだ。

 

「ソラ、お前は今ヒーローとして自分が相応しくないと気にしているのだろうが、それ以上にあっちの世界で出来た友達と絶交した事を気にしているんだろう」

 

「…うん」

 

シドの言葉にソラは少し黙り込むも頷いて肯定する。自分の憧れであるシャララを救えなかったのも大事だが、ソラにとっては初めての友達であるらんこの事が気になっていたのだ。

 

「私は…シャララ隊長を助けようとしたらんこさんに大怪我させちゃった。それが原因でらんこさんは私と絶交しちゃって…謝っても許して貰えなかった。きっともう…私の事を許してくれない」

 

今もソラの脳裏にはらんこ(ツイスター)の口から出た"絶交"という言葉がまるで呪いかの様に繰り返し再生される。ソラは己は取り返しの付かない事をした事に深く後悔をしている。

 

「今でもその子とは仲直りがしたいのか?」

 

「勿論!らんこさんと仲直りが出来るなら私は何でもするよ!」

 

ソラはらんことの絶交を取り消せるならどんな対価を払っても良いと思っている。そんな娘の姿にシドは少し顎に手を当てて考える素振りを見せると何か思いついたのかソラに思い付いた解決策を提案する。

 

「それなら……しろ」

 

「……えっ!?」

 

シドの口から出た解決策にソラは驚愕の表情を見せる。果たしてシドがソラに提案した解決策とは何なのだろうか。

 

──────────

 

そして場所はソラシド市へと戻る。月は沈み朝日が昇った時間帯では街に住む人々がそれぞれ仕事や休日を満喫する為に活動していた。そんな平和とも言える光景をビルのてっぺんからバッタモンダーにターボマンとシャララボーグとその肩に乗っかっているワシオーンに加えてツイスターが見下ろしていた。

 

「いやぁ、実にいい天気だ。こんな日は街で暴れたいって感じになるよねぇ」

 

「全くだぜ。街にいる奴らは呑気に平和という快楽を味わっているがそれを壊すって想像すると俺のエンジンが唸ってきやがる」

 

「……」

 

先日の戦いでソラの絶望した顔を見たバッタモンダーは気分が良くなっており、ターボマン達と共にプリキュア達に王手をかけるべく街を襲ってプリキュア達を誘い出そうと企んでいたのだ。

 

「そして、僕たちはプリキュア達に完全勝利しあのお方にプリンセスを献上する。そうすればずっと地位が下だった僕は一気に上位までランクアップさ!」

 

「ああ、あのオッサンの話が本当ならめでたい話だよなぁ」

 

浮いているバッタモンダーの姿を見てターボマンは先日のラボでの出来事を思い出す。

突然やってきた自分達の上司であるスキアヘッドがツイスターとサシで会話し、何を話していたのかは謎であったが特にトラブルに発展する事なくスキアヘッドはラボから去ろうとした際に自分達にある事を告げたのだ。

 

『今回の件であのお方は喜んでいる。邪魔者であるプリキュアを排除しプリンセスをあのお方に献上すれば褒美としてアンダーグ帝国でNo.3の地位を与えるとの事だ』

 

『ほ、本当ですか!?』

 

任務を果たせば大出世出来ると聞かされたバッタモンダーはやる気が今までに無いくらいに湧き出し。この任務は絶対に果たしてやると意気込みを見せるのであった。

 

『No.3ぃ?なんかパッとしない数字だなぁ。それなら俺はNo.1が良いな』

 

『ちょっ、おまっ!?』

 

尚、バッタモンダーの隣にいたターボマンはNo.3よりもNo.1の地位を欲するという舐め腐った発言をした。その際には先程までやる気満々であったバッタモンダーの顔は青ざめてしまう。対してスキアヘッドは特に何かする事なく、数秒ターボマンを眺めるとラボを去りバッタモンダーは緊張の糸が切れたのか床に倒れて気を失ったのであった。

 

(全く、こいつが側にいると本当に心臓が幾つあっても足らねえぜ)

 

正直ターボマンの側にいたらまたスキアヘッドとかに舐めた態度をしそうだから離れたいと思ったが、なんやかんやで付き合いが長く共に戦ってくれたりしたりとそれなりの情が湧いてることで見捨てられず。ストレスにより胃が痛むのを堪えるのであった。

 

「取り敢えず、プリキュア達を誘き出す為に街を破壊するか」

 

ストレス発散も兼ねて適当に建物を破壊しようとバッタモンダーはバッタを召喚して暴れさせようとする。

 

「ちょっと待ちなさい」

 

だが、暴れようとした矢先に先ほどまで一言も喋っていなかったツイスターがバッタモンダーを止める。

 

「んだよ。まさか今更怖気ついたのか?」

 

「違うわよ。その1番槍は私が頂くわ」

 

「は…お前が?」

 

てっきりプリキュアである事からやはり悪事に手を染められず止めるかと思ってたツイスターが逆に自分から街の破壊活動をしようとする姿にバッタモンダーは目を丸くする。

 

「一応確認するが…昨日まで正義の味方してたよな?」

 

「ええ、そうよ。昨日まであんた達と戦ってきて街の平和を守ってきた。平和を満喫している人々は感謝する人間もいれば逆に感謝を忘れて平和な日々をのうのうと生きている人間もいる。私達が助けてくれるなんて当たり前と思っている節があるからこそ、誰のお陰で平和でいられたか改めて再認識させるのよ」

 

そういうとツイスターは手を上に伸ばすと其処から巨大な竜巻を発生させる。それを見たバッタモンダーは本気で街を破壊する気であると確信する。

 

「そうかい。なら一番手を譲るよ」

 

そう言うとバッタモンダーは一歩後退しツイスターに攻撃を譲る。対してツイスターは笑みを浮かべると街を見下ろす。

 

「さぁあんた達、この攻撃で誰のお陰で平和を過ごせてきたのか思い出しなさいっ‼︎」

 

そう言って手を振り下ろし竜巻きを街に向かって放とうとした瞬間。少し離れた所で大きな爆発音が響き渡り、街の住人は突然の爆発音に慌てふためき出す。

そんな光景にツイスター達は呆然となるも数秒経過した事で我に返ったツイスターは怒りの表情を浮かべる。

 

「誰よ!私の1番槍を勝手に取って行ったのは!?まさか馬鹿モンダーあんた!?」

 

「いやいやんなわけ無いだろう‼︎何で一番手を譲ったばかりなのに俺が騙す様に掻っ攫ってあんたの怒りを買わなきゃなんねんだよ!?」

 

あらぬ疑いを掛けられたバッタモンダーは慌てて自分では無いと否定する。それなら誰がやったんだとツイスター達は爆発音が起きた現場に向かい出す。

すると、其処にいたのは…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アーハハハハハッ!!!良いぞ、どんどん街を壊していくんだ我がドローン君達よ‼︎」

 

「「「き、キメラング(ドクター)(マッドサイエンティスト)!?」」」

 

昨日からプリキュアサイドと協力関係になっていた筈のグランがとても清々しい顔で複数のドローンを使って街の破壊活動をしていたのであった。

*1
尚この時ツバサとあげはが家にやってきたがソラは出掛けてしまった為、2人はソラに会えず仕方なくソラシド市に帰って行った。

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