ひろプリに野良猫系キャラを入れてみた   作:獅子河馬ブウ

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第136話 駆けつけたスカイと更にやってくる助っ人

グランの絶体絶命のピンチに駆け付けたのはスカイランドに帰っていた筈のスカイだった。彼女はグランの首を撥ね飛ばそうする霧の剣を掴むと思いっきり力を込めて破壊する。其処からスカイはパラサイアに向かってアッパーを放つ。

 

「はあっ!」

 

「ちいっ!」

 

しかし、当たる直前にパラサイアは咄嗟に後退し避けてスカイから距離を取る。対してスカイはパラサイアを警戒しつつも倒れているグランを起こす。

 

「大丈夫ですかグランさん!?」

 

「ああ…まさか、君が私を助けるとはね」

 

先日の件もあって内心スカイからの好感度が低いと思っていたグランはスカイが自分を助けてくれた事に内心驚いていた。そんな2人の元にフィナーレ達が駆け寄りスカイに声を掛ける。

 

「スカイ!何故君が此処にいるんだ!?」

 

「そうよ。ヨヨさんから聞いた話だとスカイランドに帰っているって」

 

此処は来る前にヨヨからスカイことソラの事情を聞いていて彼女は精神が病み療養目的でスカイランドへいると聞かされていた。しかし、そのスカイが目の前でパラサイアと戦っている事にフィナーレ達は驚かずにいられなかった。

 

「ええ、確かに私は先程までスカイランドにいました。ですが私の元にヨヨさんが訪ねてきたんです」

 

「「「ヨヨ(さん)が?」」」

 

スカイの元にヨヨが訪ねてきた。それは一体どう言うことなのだろうかと3人の頭の中にはその様な疑問が浮かぶ。

そんな中スカイは自分が此処に来た経緯をフィナーレ達に語り始める。

 

────────

 

それはフィナーレ達が戦闘を始めた頃、此処はスカイランドのソラの村の近くにある森の中。其処には大きく鈍い音が響き渡っていた。

 

「ふっ!はっ!」

 

音の発生源の中心にはソラがいた。彼女は目の前の大木に向かって正拳突きを放っており、その度に強力な衝撃音が発生。それはまるで巨人が大きな足音を立てて歩いているのではと錯覚させる程の地響きが起こる。その近くの木の枝に止まっていた鳥達もソラの放つ正拳突きの衝撃音に驚き慌ててその場から去っていく。

それからソラは正拳突きを100回大木に打ち込むと一旦中断して額に出た汗を拭き取り呼吸を落ち着かせる。

 

「ふぅー、ふぅー……っ!誰ですか!?」

 

背後から気配を感じたソラは咄嗟に振り返り拳を構える。するとその気配の持ち主はゆっくりとソラの前に姿を見せ、ソラはその人物を見て表情を一変させる。

 

「此処に居たのね」

 

「しょら…」

 

「ヨヨさん…エルちゃん…」

 

其処にはソラシド市にいる筈のヨヨとエルがいた。恐らくミラーパッドのトンネルを使ってスカイランドへ来たのだろう。そんな2人の姿を見たソラは気不味い表情を浮かべる。

誰にも相談せずに書き置きだけを残して虹ヶ丘家から去った事に負い目を感じ、やってきたヨヨにどう話をすれば良いか分からなかった。

対してヨヨはソラの気持ちを察したのか彼女に目を合わせず目の前の大木に近づき触れる。

 

「随分使い古されているわね」

 

「え…ええ、此処は私の特訓場で小さい時から使っているんです」

 

昨夜黙って家を出た事について聞かない事にしてくれたヨヨの配慮に感謝しつつソラは彼女からの問いに答えつつヒーローを目指す様になった幼い頃の修行の日々が脳裏を過ぎる。

 

「小さい頃、まだ身体があまり鍛えられてない時にもこうやって拳を打ち込んだ時は手が傷だらけになりました。ですが、今はこうやってクレーターが出来るほど強くなりました」

 

「そう、日々の努力の賜物ね」

 

「しょら、しゅごい!」

 

「え、へへへっ……その、黙って帰ってしまってごめんなさい」

 

2人から褒められたけどソラは照れくさそうに顔を赤くする。しかし、ソラはやはり勝手に帰った事に申し訳無さを感じ2人に謝罪する。

 

「ううん。気にしてないわ。ましろさんも今はそっとしてあげる方が良いって言ってたの」

 

「ましろさんが…」

 

ヨヨからましろが自分の身を案じて気遣ってくれた事を聞き、嬉しさと申し訳なさを同時に感じた。

そして気がつくとソラは無意識に口を開ける。

 

「…昨日実家に帰って少し考えました。私はらんこさんに酷い事をしてそれでらんこさんは怒って私と絶交してしまった…でも、私はらんこさんと仲直りがしたい。もう一度友達になりたいんです」

 

「そう…」

 

「える…」

 

"仲直りをしたい"、その発言を聞いてヨヨは少し安心した。らんことの間に起きた亀裂は決して小さいものではなく。修復するのに時間がかかると思っていたが、ソラが後悔の念に囚われすぎていない事。尚且つ関係を改善したいという気持ちがあると聞いて彼女の精神はある程度落ち着いた様だ。

 

「それで昨日パパ…お父さんにらんこさんと仲直りをする為に相談したんですが、その時お父さんがある提案をしたんです」

 

「ある提案?それは一体?」

 

何やらソラは言いづらそうな顔を浮かべ、ヨヨは何を言われたのだろうと気になって問うとソラは渋々と答える。

 

「その…らんこさんと…殴り合えって言ったんです

 

「え?」

 

「にゃぐる?……えるっ!?」

 

ソラから聞かされた父シドの提案にヨヨはキョトンとなりエルは時間を置いて目が見開く程驚きの表情を浮かべる。

てっきりソラの父親だから平和的解決策を出すかと思っていた。なのでまさかの暴力による解決法を出すとは思わない。だけどその父から出された暴力的提案にはソラも複雑な心境を抱き昨日の夜から悩みに悩んでいた。尚、これが原因で今朝から頭がモヤモヤして取り敢えず頭をスッキリさせようと大木に拳を打ち込んでいたのは秘密だ。

 

「お、可笑しいですよね。今仲が悪いっていうのに殴り合ったら余計に拗れてそれこそもう一生らんこさんと仲直りが出来ないっていうのに」

 

正直父の事は尊敬して信頼しているから正直に間違っているとは言いづらい。だが平和主義者なソラからしたら殴り合いなんて自分の理に反するからやるつもりはない。その事をヨヨに伝えると何やら「ふふふ」と笑みを浮かべる。

 

「そうかしら?殴り合いっていうのは案外良い線を言っていると思うわ」

 

「えっ、ヨヨさん!?」

 

「ばーば!?」

 

まさかのヨヨが暴力を肯定した事にソラとエルは衝撃を受ける。今の時代は令和そんな暴力で物事を解決するなんてコンプライアンスに引っかかる時代だ。それを肯定するのは色々と不味いのではとソラは不安に思っているとヨヨは語り出す。

 

「実は私も昔はよく研究や発明とかでグランさんと意見が対立して喧嘩になっていたわ」

 

「ヨヨさんもそんな事が!?」

 

意外だった。ヨヨはハイパースゴスギレジェンド名博学者という肩書を持ち、常に落ち着いていて最適解な答えを出したりとから争い事には縁がないと思っていた。だからこそ若い頃に誰かと喧嘩するという一面があった事に驚きだ。

 

「ええ、例えばこのミラーパットなんて最初グランさんと作り出した時には名前を巡って言い争ったわ。因みにグランさんは"ミラージュパット"って名前にしようとしたけど色々あって私の考えたミラーパットになったわ」

 

「そ、そうなんですか…」

 

さらっとミラーパットの誕生秘話の一端を聞く事になったがソラはコメントしづらく顔引き攣らせていた。対してヨヨは話を続ける。

 

「何も喧嘩をする事が全て悪い事じゃないわ。喧嘩というのは自分と相手の主張が異なった時に起こる際にする荒っぽいコミュニケーションの一つよ。殴り合いもお互い本気になる事でそれぞれの心の思いを曝け出してお互いをより知る事ができるの」

 

「お互いを…より…」

 

思わずヨヨの言葉を反芻する。今まで喧嘩といった争い事はソラにとって良くないものという認識があったがヨヨからの話を聞いて考えを改める。殴り合い、つまり喧嘩をする事でより一層他者を知る事を出来るのだという解釈があるのだと理解する。

 

「ええ、だから貴女のお父さんもそう考えて提案したんだと思うわ」

 

「ヨヨさん……」

 

ヨヨの言葉と父の提案を聞いてソラは少し目を閉じる。そして10秒経つと開眼しその目には先程までなかった覚悟が現れていた。

 

「決めました…私はらんこさんと仲直りする為に喧嘩をします!」

 

「しょら!」

 

「良い決意よ」

 

ソラはらんこと戦う決意を抱き拳を強く握りしめる。そんなソラを見てエルもいつもの自信に満ち溢れたソラに戻った事に嬉しくなる。

 

「でも、流石にプリキュアが友達と進んで喧嘩しに行くなんて私くらいですよね」

 

「そうかしら?案外他のプリキュアもやっているかもしないわ」

 

「ははっ、まさか」

 

友達と仲良くする為とはいえ喧嘩をしにいくなんて自分だけだろうとソラはそう思っているが、実際とある街で活動するデリシャスパーティ♡プリキュアとは違った4人組のプリキュアの内、桃の名を持ったプリキュアがかつて敵として立ち塞がった友達と分かり合うために雨の中に殴り合うといった熱い物語があったということを彼女は知らない。

 

「じゃあ、ソラさん今からソラシド市に戻りますか?ご両親には既に話を済ませているわ」

 

「ありがとうございます。ですがその前にやっておきたい事があります」

 

するとソラは大木にに向き合う呼吸をして心を落ち着かせると両腕を鳥の翼の様に羽ばたく動き…かつて大岩を砕いたスカイランド神拳の構えを取る。

 

「はあっ!!!」

 

そして構えを終えたソラは大木に向かって拳を叩き込むと大きな軋む音と共に大木が倒れる。

 

「…この大木を私がこれまで悩んでいた気持ちとして見立てました。その悩みを砕いた今私は覚悟を決めました。ヨヨさん、私をらんこさんの元へ連れて行って下さい!らんこさんと仲直りをしてシャララ隊長を救います!」

 

己の決心が着き、らんこに向き合う事を決めたソラ。彼女が己の信念を燃やすと灰色に染まったスカイトーンに再び色が付き、胸からミラージュペンが現れたのだ。

 

────────

 

そしてそれからキュアスカイになったソラはヨヨが用意したミラーパットのトンネルでソラシド市へ直行。グランをパラサイアから助けて今に至ると言うわけだ。

 

「ツイスター、私は貴女を傷つけた事…いや、その事実に目を背けてしまいました。そのせいで私は後悔しました。ですが私はもう逃げません!私は貴女と戦います!」

 

そう言ってスカイは己の決意をパラサイアへ伝える。だけど、パラサイアは馬鹿を見るような目でスカイを見ながら愉快な笑い声を上げる。

 

「はははははっ!!!素晴らしい決意だな。だが水を刺すところで悪いが私はツイスターではなくパラサイアだ。お前が会いたかったツイスターの意識は私の奥深くに眠っているからな」

 

「え、何ですって!?」

 

パラサイアから告げれた事実にスカイは驚愕の表情を浮かべる。スカイはここへ来る途中にヨヨからソラシド市での戦いの状況を聞かされていた。しかし、肝心のツイスターに関してはパラサイアに乗っ取られているという事をヨヨは把握出来ず。スカイも同様にその事は知らなかったのだ。もし、後数分ヨヨがスカイの元へ来るのが遅ければパラサイアの事が知れたのだろうに。

 

「まぁ良い。そんなに戦いたいなら戦ってやろう。この肉体は元はツイスターの物だからな。かつての仲間としてお前を叩き潰してやろう!」

 

パラサイアは一気に距離を詰めると両手に加えてヘルメットから生える4本のアームを巧みに扱いスカイへと襲い掛かる。スカイも何とか対応するも合計6本の腕による連打で中々反撃が出来ず、防戦一方になっていた。

 

「どうした!?後からやってきた癖にやる気はないのか!?」

 

「くっ!」

 

次々と襲い掛かるアームにスカイは避け続けていく。本来なら洗脳されたツイスターを元に戻す為、拳を交えるつもりであったがツイスターが肉体を乗っ取られてしまった今パラサイアと戦った所で己の目的を果たす事が出来るか分からなかった。

 

(一体どうすれば…)

 

せっかく戦うと決めた覚悟も再び揺らぎ始めてしまうスカイであったがそこに聞き覚えのある声が響き渡る。

 

「スカイ戦えッ!!!」

 

「グランさん!?」

 

再び悩み出しそうになった時にグランが声をかけてきた。彼女はパラサイアによって出来た腹の傷を抑えフィナーレとローズマリーに身体を支えながら話を続ける。

 

「先日の一件に悩みながらも君はこの戦場に来たのは洗脳されたツイスターを正気に戻す為に来たのだろう。なら戦うんだ!」

 

「で、でも!今のツイスターは洗脳ではなくパラサイアと言う者に乗っ取られているんですよね!?戦ってツイスターは元に戻るんですか!?」

 

思わず弱音を吐くスカイ。戦いの中で肉体を乗っ取られたツイスターの人格が蘇るなんて都合のいい事は起こり得るのかと尋ねる。

 

「確かに君が不安を抱くのは当然だ!だが、ツイスターを戻せるかは君のツイスターへの想い次第だ!」

 

「ツイスターへの想い?」

 

「そうだ!君達プリキュアの想いの力はデータでは計り知れない無限大だ!特に君達には鎖の様に固く結ばれた絆が存在する。今肉体をパラサイアに乗っ取られている状態であろうとも君のツイスターの想いの籠ったその拳をぶつければ眠っているツイスターを起こせるかもしれないよ!」

 

「私の…拳が?」

 

グランの話を聞いてスカイは己の拳をじっと見つめて脳裏にこれまでのツイスター、らんことの思い出が過っていく。全てが嬉しかったり楽しかったりではなく、悲しさや寂しさといった思い出も存在するも全部引っくるめてかけがえの無い思い出である事をスカイは再認識する。

 

「戦いの中で考え事とは…私を舐めすぎだ」

 

「スカイ!危ない!」

 

「前から攻撃が来るわ!避けて!」

 

次の瞬間、スカイに向かってパラサイアはスカイの腹を貫こうと2本のアームを突き出す。それを見たフィナーレとローズマリーはスカイに逃げる様に言うがスカイはその場から逃げず2本のアームを両手で受け止めてみせた。

 

「なにっ?」

 

「私は馬鹿です。覚悟を決めたのに自分の想像していた状況と少し違ってたぐらいで覚悟が揺らぐなんて…ですが、私は今度こそ迷いません!!!大回転!プリキュア投げッ!!!」

 

アームをぶん回しそれに繋がっていたパラサイアを吹き飛ばすがパラサイアはビルの壁に着地しスカイを睨んだ。

 

「漸く戦う気になったか…それでこそ潰し甲斐がある!」

 

そう言うと周りから霧のナイフを作り出すとスカイに向かって放ち、スカイは飛んで来るナイフを全て受け止める。

 

「はあっ‼︎」

 

そしてそのナイフをパラサイアに向かって全て投げ返す。パラサイアは飛んでくるナイフに対して避けたり防御をする事なく全て身体で受け、そのままナイフは擦り抜けて背後のビル壁に突き刺さる。そしてスカイはその場から大きく跳躍するとパラサイアに向かって突撃し拳を打ち込むがそれもパラサイアの身体を擦り抜けて壁に突き刺さる。

 

「中々のパワーだ。だが、パワーだけでは私には勝てん!」

 

ガラ空きとなったスカイの背中に向かってパラサイアは拳を振るうがスカイはもう片方の手で受け止める。

 

「悪いですが私には力だけでは無く技もありますので!」

 

「ぐっ!」

 

スカイがパラサイアの拳を強く握るとそこから腹部に向かって蹴りを入れ、パラサイアは一瞬苦痛の表情を浮かべるも直に掴まれてないもう片方の拳をスカイに振るう。対してスカイは壁に突き刺さった拳を引き抜き受け止め、壁を蹴るとお互い宙を舞いながら拳や蹴りをぶつけ合っていく。

 

「成る程、確かに中々の物だ。だがお前には足りない物があるぞ」

 

「何ですかそれは!?」

 

「腕の数だ!」

 

パラサイアがハイメットに備わった4本のアームを操るとスカイに6本の腕でスカイを殴り飛ばし、彼女は地面に叩きつけられる。そこから追撃しようとパラサイアはスカイに向かって突撃するがスカイは咄嗟に起き上がって避ける。

 

「はああああああっ!!!」

 

「ふんっ!!!」

 

そしてお互いに回し蹴りを放ち衝突し辺りに衝撃音が響き渡る。その様子をグラン達3人は息を飲んで眺めていた。

 

「スカイの動きが以前と見た時と比べて速くなっている」

 

「ええ、でもたった数日見ないだけで強くなるなんて何かしたのかしら」

 

一対一で苦戦していたパラサイア相手にスカイが互角の戦いを見せている事にフィナーレとローズマリーはスカイは一体どの様な手段で強くなったのか気になっていた。

そんな疑問にグランが答える。

 

「あれは想いの力って奴だよ」

 

「「想いの力?」」

 

「ああ、科学者としては非科学的な事だが想いの力と言うのは私がこれまで彼女達と対峙してきた時にあと一歩で私が勝てそうな時に彼女達は自分達の力、友を信じる想いでとんでもない力を発揮して私に勝ってきたんだ。君達もそう言う経験があるんじゃないかい?」

 

「想いか…」

 

グランの指摘にフィナーレはかつての自分、ジェントルーの事を思い出す。当時彼女はブンドル団に洗脳され怪盗ジェントルーとして凡ゆる料理からレシピッピを奪い、その度にプレシャス率いるデリシャスパーティ♡プリキュアと戦いその中で自分の大好きなレシピッピの想いによって洗脳が解け今までの罪を償う為にキュアフィナーレとして覚醒しプレシャス達と共に戦ってきた事が脳裏を過ぎる。

 

「そうだな…思い出したよ。想いの力を」

 

久しぶりに思い出す己の原点にフィナーレは懐かしさを覚える。一方でローズマリーはスカイとパラサイアの戦いを眺めとある疑問を口に出す。

 

「にしても妙ね。スカイの実力を疑うつもりはないけど、フィナーレが一対一で戦っても苦戦していたパラサイアにスカイがほぼ対等に戦えているのは…考えすぎかしら?」

 

「なに?」

 

ローズマリーの言葉にグランは戦いの方に目を向ける。だが自分達の時は身体を霧に変えて攻撃を無効化していた。にも関わらずスカイとの戦いは霧化はそこまで使わず武器を作る程度だ。

 

(確かに彼の言う通りだ。サシでの勝負なら霧化してスカイの攻撃を全て無効化すればいいものを何故しないんだ?)

 

ひょっとしてパラサイアは武人気質があるなんて一瞬思いかけたが断じてそれは無いと判断する。もしそうであるならば人の肉体に寄生して50年間自身を操るなんてしないだろう。そもそも武人気質なんてあったら先程グラン相手に二度も不意打ちなんてしていない。それならば何故其処まで霧の力を使わないのかと考えているとパラサイアがスカイから強力な一撃を喰らい吹き飛ぶ。

 

「もう一発!」

 

そこに追撃をしようとスカイがパラサイアに間合いを詰めていくがパラサイアは何やら悪戯をする悪ガキの様な表情を浮かべる。

 

「っ!スカイ止まれ罠だ!」

 

「え、があっ!?」

 

何かを察したグランは慌ててスカイに忠告を出すがスカイは気付くもそのままパラサイアに向かって拳を叩き込もうとした時、突然スカイは真横から何者かに殴り飛ばされる。スカイは受け身を取りすぐに起き上がると自分を殴った人物を見るとそこにいたのはツイスターだ。

 

「え、ツイスターが…いや、パラサイアがもう1人!?」

 

慌てて後ろを振り返ると其処にはパラサイアがおり、再び前の方に視線を向けると其処も間違いなくパラサイアがもう1人いた。

 

「驚いたか?そいつは私の作った霧の分身だ。武器を作るのは簡単だが分身を作るのに少々時間が掛かった。だが、その実力はオリジナルである私に匹敵するぞ」

 

「くっ、だとしても私はツイスターを戻す為に退きません!」

 

そう説明すると再び戦いは始まるも今度はパラサイアが分身と共にスカイに襲い掛かる為、先程の互角の戦いと打って変わりスカイが一方的にやられていく。

 

「不味いわ!ただでさえ1人でも厄介なのに2人になるなんて二対一だとスカイは不利よ!」

 

「スカイの為に戦いに手出しはしなかったがそうも言ってられない。今助けに行くぞスカイ!」

 

スカイを助けようとフィナーレが2人の元へ向かおうとするがパラサイアは先程グランから奪った拳銃を取り出す。

 

「お前はランボーグの相手をしていろ」

 

そう言うと拳銃から弾丸を発射してそれが自販機に命中するとかつてスカイが戦った自動販売機のランボーグへと変化する。

 

『ランボーグッ!!!』

 

「なっ、ランボーグか!」

 

ランボーグは迫り来るフィナーレに向かってペットボトルミサイルを発射すると弾き飛ばすが続いて第二射、第三射と発射していく。だがそれも先程と同様に弾き飛ばすがランボーグは弾き飛ばされたペットボトルを手に取りそのままフィナーレに向かって叩き付けるが何とか後退して避けるもこれではスカイを助けに行けない。

 

「フィナーレはランボーグの相手をしてスカイの元に行けないか…仕方ない。ここは私が行くしかないな!」

 

「ちょ、ちょっと待ちなさいって!貴女はさっきお腹を貫かれた傷が深くてこれ以上戦ったら死ぬわよ!」

 

怪我を気にせず戦おうとするグランにローズマリーは腕を掴んで止める。

 

「離したまえ!今スカイを助けに行かないと彼女は奴にやられてしまう!」

 

「だったら尚更よ!今の貴女は怪我しているし治そうにも治療できる拳銃をパラサイアに奪われているのよ。その状態で戦ったらスカイの足手纏いになるわ」

 

「ぐっ!」

 

足手纏いと言われてグランは悔しそうな顔を浮かべる。確かにローズマリーの言う通り今戦えばスカイの戦いの邪魔になるのは目に見える。それなら肉壁として行けば良いと考えるが、パラサイアはまた分身を増やすかもしれないから無駄に終わるかもしれないと踏み留まる。

 

「(だとしたらどうすれば良い。このローズマリーが代わりに戦うか?いや、確かに彼の戦闘能力は中々だけどそれでもプリキュア程ではない。だからって他のプリキュア達はターボマン達の相手をしている。余っている戦力なんてこの場に……ん?この場に……)ああああっ!?」

 

「ちょ、急に大声をあげてどうしたのよ!?」

 

突然大声を上げるグランに驚くローズマリー、ひょっとして傷口が悪化したのかと不安になっていると今度は笑みを浮かべる。

 

「ククククッ…忘れてたよ。パラサイアとの戦いに夢中になってあの装置の存在を忘れていた!」

 

「あの装置って?」

 

何か思い出した様子のグランはツインミラージュからツイントーンを外して纏っていたアーマーを脱ぐと白衣の中から何かの装置を取り出してそれにツイントーンを装填する。そんな様子をローズマリーは後ろから覗き込み気になって話しかける。

 

「一体何をする気?」

 

「なに、この戦いにゲストをお招きするのさ」

 

そう言うと装置に電源を入れると目の前に赤と白のゲートが出現する。

 

「なにこれ?これってもしかして空間を行き来するゲート?」

 

「そうだよ。まぁ元々使ってた並行世界を行き来する装置は壊されたからこれはあっち側からくるゲストを招き入れる専用の奴さ」

 

「ねぇ、さっきから言っているゲストって誰のこと?」

 

「それはね…おっ、噂をすればなんとやら。丁度来てくれたよ」

 

すると緑色のゲートから誰かがやってきてそれを見たローズマリーは顔色を変える。

 

「き、君は!?」

 

「クククッ、ゲストのお出ましって奴だね」

 

現れた人物にローズマリーは驚き、グランは待ってましたと言わんばかりに喜びの表情を浮かべるのであった。

 

────────

 

一方でスカイはパラサイアとパラサイアの分身相手に一方的にやられていた。

 

「あああああああっ!!!」

 

2人による同時の攻撃に対応できずスカイは吹き飛ばされてしまいビルの壁に叩きつけられる。更にはスカイを逃がさない様にパラサイアはナイフを作るとスカイに向かって投げて彼女の衣装に刺さり、そのまま壁に固定されてしまう。

 

「ぐっ、動けない!」

 

「無様な姿だなキュアスカイ。キュアツイスターを助ける為に来たものの結局助け出せずやられるとはな」

 

パラサイアの言葉にスカイは悔しい表情を浮かべる。パラサイアからツイスターを取り戻す為にスカイはパラサイアと戦うも一向にツイスターの人格が起きる様子はなく更には一方的にやられると言った姿を晒していることにスカイは歯を食いしばる。

 

「不甲斐ない…ツイスターを…らんこさんを助ける為に戦ったけどらんこさんを助けられない。シャララ隊長も…!」

 

ここへ来る前に覚悟を決めたのパラサイアに勝てずツイスターとシャララを助けられない己の無力さにスカイは涙を浮かべる。

 

「良い姿だな。ここでお前を仕留めとけば仮にツイスターの人格が起きても自分の身体でスカイを仕留めたと言う事実を知り精神が崩壊し完全に人格が消失するかもしれないからな。そうなればこの身体は晴れて私の物となると言うことだな」

 

そう言うとパラサイアはテンペストバトンを取り出して弓の様に構える。

 

「この技はあの日ツイスターがお前を仕留めようとして失敗して不完全燃焼に終わった技だ。……だが、今日こそこれを成功させてやろう」

 

そう言うとずテンペストバトンを強く弓の様に引き絞ると矢を中心に風と霧が集中していく。

 

「さよならだ。ヒーローガール!ホワイトアローッ!!!」

 

限界まで引き絞られたテンペストバトンから矢が放たれて動けないスカイに向かって地面を螺旋状に抉りながら飛んでいく。

対してスカイは抜け出そうにももがくが間に合わない。矢はそのままスカイの胸に向かって飛んでいきスカイはもう間に合わないと判断して目を閉じる。

 

「ひろがる!トールハンマーッ!!!」

 

「なにっ!?」

 

「えっ!?」

 

その時、その場から聞き覚えのある声と共に落雷がスカイを貫こうとしていた矢に命中して矢は消滅する。そしてスカイの前にある人物が現れる。

 

「あ、貴女は…!」

 

「お前は…!」

 

その人物を見てスカイは驚き、パラサイアは強く睨む。そして両者から見つめられた人物は口を開ける。

 

「待たせたな。キュアトール只今現着…でいいのか?」

 

その人物とは先日並行世界へと飛ばされた雷田ひかることキュアトールであったのだ。

 

─おまけ─

 

もしもグランの傷が思った以上に酷く貧血となり介抱しているローズマリーが別の誰かに見えたら。

 

「ねぇ大丈夫!?貴女お腹に穴空いちゃっているけど生きているわよね!?」

 

「ああ、問題はないよ◯パイディー。こんな物かすりきゴフッ!」

 

「いや、だから私はローズマリーなんですけど!と言うか誰よス◯イディーって!?全然掠りどころか擦り傷より深いんだけど!?」

 

「そんな卑屈になる事はない他の世界のス◯イディーと比べて戦績が圧倒的に低く恋人を亡くしたからって己を偽る事はないよ。君はアメイジングだ」

 

「いや何の話!?あとその励まし方はやめて!なんか分からないけど私の胸が物凄く痛いんだけど!」

 

血の流し過ぎに加えドーピングの後遺症でグランは錯乱してローズマリーを何処ぞの親愛なる隣人の蜘蛛ヒーローと勘違いしている様だった。

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