ソラシド市の街での大決戦から数時間後。外は夕方になっておりまもなく夕陽が地平線に沈もうとしていた。そんな時間帯で街から離れた所にある虹ヶ丘家は普段よりも楽しい声が聞こえてくる。
其処には数時間前まで街で戦っていた少年少女達がジュースが注がれたグラスを片手に持っていた。そんな中、あげははグラスの他にもう片方の手にはマイクを手にしていた。
「えー、それでは改めまして!らんこちゃんとシャララ隊長の救出を祝ってかんぱーい!」
『かんぱーい!』
あげはの音頭と共にその場にいる一同はグラスを突き上げて乾杯をする。隣にいる者とグラス同士を鳴らして中にジュースを飲む。
「プハーッ!戦いの後の疲れた身体にこれは効きますなぁーっ!」
「らんちゃんおじさん臭いメン」
ジュースを一気に飲んだ事で高揚感を得たらんの姿にメンメンはまるで一仕事を終えて一杯やるサラリーマンを連想する。
「ここねは此処で待つパム。パムパムがここねの分の料理を取ってくるパム」
「ありがとうパムパム。なら私はパムパムの分の料理を取ってあげるわ」
お互いにパートナーの分の料理を確保しようとするここねとパムパムは2人の仲の良さ、尊さ感じられる。
一方でゆいはこのパーティーのために用意された大量の料理やいちごのデザートをひと足先に食べ始めていた。
「デリシャスマイル〜!」
「デリシャスマイルコメ〜!」
相変わらず美味しくご飯を食べるゆいにその相棒コメコメもゆいに負けずとてもいい笑顔で料理を頬張る。そんな2人の元に紙ナプキンを持って拓海がやってくる。
「ゆい、それにコメコメも口の周りが汚れているぞ」
そう言って拓海は2人の口の周りを拭く。
「ふぁ、ふぁひふぁほぉふぁくみ」
「ふぁひふぁほぉふぉめ」
「おい、口の中の物をちゃんと飲み込んでから喋れよ」
拓海から注意を受けたゆいとコメコメは口の中に詰め込んだ料理を一気に喉へ通した。
「ありがとう拓海」
「ありがとうコメ」
「…はぁ、ちゃんと噛めよ」
まるで何処ぞの戦闘民族の親子に注意をする本当の名を忘れてしまった緑色の宇宙人みたいに拓海は呆れた顔を浮かべる。
「このいちごってとっても美味しいわ。流石あまねね」
「何せうちの店で出しているいちごだからな。当然最高品質だ」
最高品質ないちごの美味しさに舌を鳴らすローズマリーにそのいちごを用意したあまねは褒められた事で鼻を高くする。
「ましろさんましろさん!このいちごのゼリー甘くて美味しいです!」
「本当だ!でも、こっちのいちごのタルトも美味しいよ」
『ピピピーッ♪』
それぞれの料理にゆいとソラを筆頭に美味しく頬張っていく。そしてそんな幸せな空間にレシピッピ達も誘われてソラ達は笑みを浮かべてより一層に辺りが明るくなる。
「ほらほら少年はもっと食べないと大きくなれないよ」
「も、盛りすぎですよ」
そして次々とツバサの皿に料理を山の様に盛るあげはにツバサは困った表情を浮かべる。
みんながそれぞれこのパーティーを楽しんでいた。大きな戦い、事件を解決した後に宴やパーティーをするのは定番中の定番、某海賊漫画だって敵が来ているにも関わらず宴をするくらいに大事なイベントなのだ。故に人類はパーティーをするのが大好きと言っても過言ではないだろう(大袈裟)。
だが全員はスイーツや料理を食べている中で時々チラッと、ある方向に視線を向ける。
「モキュモキュ」ゴゴゴゴゴゴッ
(((((((声…かけづら)))))))
其処には他の皆が楽しんでいるオーラを出しているのとは対照的にスイーツを頬張りながら不機嫌なオーラを放つらんこがいた。
普段ならこう言う時にはソラとましろやゆい達など友達思いの彼女達が心配して声を掛けるのだが、らんこの放つ不機嫌オーラはまるで全方位に刃物を剥き出しにしているかの様に近寄り難くあのソラやでさえも近づくのに躊躇っていた。
「…いつまでも放置出来ないよね」
「ましろさん…」
そんな中ましろはらんこの放つ不機嫌なオーラに若干尻込みしながらも友達であるらんこを放ってはおけず勇気を出してゆっくりと近づいて声をかける。
「その…らんこちゃん……いい加減機嫌を治したら?」
「モキュモキュ、ゴクン… 機嫌を治せと言ってそう簡単に治せるとでも?」
「ヒィッ!?ダ、ダヨネー…」
まるで睨まれただけで殺されそうな鋭い眼差しを向けられたましろは思わず悲鳴を上げそうになるが其処はグッと堪える。
何故、らんこが此処まで機嫌が悪いのかは今回のパーティーの開催費は全てらんこ持ちと言うのが理由ではない…いや、それもあるかもしれないがメインはやはりひかるの事だろう。本当なら彼も此処にいてらんこ達と共にパーティーを楽しんでいる筈だ。だが、彼はとあるやらかしをして参加出来なかったのだ。
(うう…ひかる君、なんでグランさんに誘惑されちゃったのさ…!)
ましろは内心ひかるを恨んだ。そもそも発端は数時間前、パラサイアとの戦いを終えて一同は虹ヶ丘家に帰ろうとするもその際にグランがひかるに戦いに協力してくれた礼を身体で支払おうと発言したことだ。一同は一瞬嘘だろうと思ったが、その後グランから見せられた証拠映像を見てらんこは今までに無いくらいの怒りを露わにした。まるで浮気が発覚した旦那に詰め寄る妻の如く。
それかららんこの機嫌は虹ヶ丘家に帰っても損ねたままでひかるも自分の世界に逃げる様に帰って以降全くこちらの世界へ来る様子はなかったのだ。それ故にらんこの溜まりに溜まった怒りは発散できず彼女の中に今にも爆発しそうでとても危険な状態だ。
(全く、何が誤解よ。思いっきりグランの…マッドサイエンティストなんかの胸に釣られて…!)
思い出しただけでも腹立たしかった。自分の事を大好きだと言ってくれた彼がよりにもよってグランと肉体関係に成りかけていたなんて知ったらんこはその時のショックは大きかった。正直嘘だと思いたかったが以前デートした際に
(何よ、胸が大きい事がそんなに良いの?あんなのただの脂肪の塊でしょ!)
何より許せない事は彼女の胸よりも先日まで敵であったグランの胸に誘惑された事だ。予め言っておくがらんこの胸は貧乳では無い。寧ろCよりのBカップである為、平均の女子中学生、身近な人間で比較するとソラよりもややデカいのだ。*1だが、グランの場合はそれを余裕で上回るGカップだ。相手が悪かったとしか言えない。
「私だってね!それなりの胸があるんだチクショーッ!!!!」
「ねぇ、誰からんこちゃんのグラスにお酒入れた?なんか酔っているんだけど」
思わずましろは振り返りソラ達に聞いてしまう。まるで仕事終わりにバーや居酒屋にやってきたOLが酒に酔って愚痴を吐いている姿にしか見えなかったのだ。
「落ち着いてくださいらんこさん。幾ら今回が無礼講だからって限度がありますよ」
「そうですよ。取り敢えずこちらのアイスをどうぞ。冷たくて美味しいですよ」
「私の怒りがアイス程度で治ると思っているの!?」
そう怒鳴り声を上げるらんこであったがソラとツバサが差し出したアイスを受け取り無我夢中で食べ始める。
「そう言っても身体は正直だね」
「なんか卑猥に聞こえるのでやめて下さい」
またあげはが変な発言をしていることにツバサはうんざりした顔を浮かべる。一方でらんこは先程まで不機嫌そうな顔はアイスを一口ずつ
『『『シルクのような口溶け──あ〜んっ、私はこれ。シルキーアイス』』』
誰だこいつら?
何やら1999年に活躍した女優とそれを真似したタイムスリップした名探偵少女と更にそれを真似したあげはとキャラ被りしているギャル系女怪盗の声が聞こえてくる。
(なんかステレオみたいに同時に聞こえてきたわ…)
初めて同時に聞こえてきた事に自身も末期かとらんこは落ち込んでいるとそこにアイスのレシピッピが現れてらんこの頭の上に乗っかる。
『ピピ〜』
「美味しい…冷たくて甘くて美味しい…ぅぅ!」
自分を心配してくれるのかレシピッピの優しさとアイスの味にらんこは涙を流してしまう。
『ひとつだけ貴女の事を知っているわ。いつもアイスを幸せそうに食べてくれる。それだけは知っています』
誰だこいつ?
何やらプリキュアとしての記憶を失っていたが最近エクレール杯に勝ち見事にプリキュアとして復活したパティシエ兼名探偵の声が聞こえた気がする。
「レシピッピ、こんな私を励ましてくれるのね。ありが……ねぇ、今レシピッピ喋らなかった?」
普段こう言う時は頭の中に聞こえてくるのだが、先程の励ましの声は何やらレシピッピの鳴き声とよく似ていた事かららんこはレシピッピが喋ったのではとソラ達に聞く。
「え?何のことですか?」
「ピピピッて言っているだけだよ」
対してソラ達は気の所為だと言って自分達にはそのような声は聞こえないと話す。らんこも2人の話を聞いていつもの幻聴だと納得仕掛ける。
『私の煌めきに従った』
誰だこ──。
「いや思いっきり日本語じゃん!しかも何かかっこいい事を言っているんだけど!?」
「ねぇ、らんこちゃんは何言っているの?」
「恐らくショックのあまり幻聴が聞こえるのでしょう」
オブラートに包んで発言しているがツバサはらんこの頭が壊れたと同等の発言をして、それがイラッときたらんこはツバサにある悪戯な質問を投げる事にした。
「ところでツバサ、あんた胸はデカい方小さい方どっちが良いの?」
「なっ!?いきなりなんの質問をするんですか!?」
先程の仕返しだと言わんばかりの質問を投げるらんこにツバサは動揺を見せる。
「いや、ひかると同じ男として参考までに意見を聞きたいのよ」
「他にも男性がいるでしょ!拓海さん達とか!」
「おい!俺たちの方に被害を広げるな!」
せっかく自分達は楽しく料理を味わっているのにそこに面倒事を持ち込もうとするツバサに拓海は思わず非難する。
「そうは言ってもマリちゃんはなんかそこら辺デリケートっぽいから聞き辛いし、メンメンは性別は男の子っぽいけどあまりそー言うの興味がなさそうだし、拓海さんに至ってはなんかヘタレっぽいから消去法からあんたしか残ってないのよ」
「誰がヘタレだ!?」
「お前」
らんこの後ろから拓海とあまねが何やら騒いでいるがらんこは聞こえない振りをしてツバサに再度問う。
「それであんたはどっちよ?」
「あのですね、僕はそんな質問に答えるつもりはさらさらありません」
くだらない質問を投げてくるらんこにツバサは応えるつもりはなく口を閉ざそうとするが、そこへあげはがツバサの肩を叩く。
「良いじゃん良いじゃん。今は無礼講なんだから答えなよ少年。何だったら私だけにこっそり教えてよ」
「あ、あげはさんセクハラですよ!」
好奇心でツバサはどちらが好きなのか気になったあげははツバサに問い詰め、ツバサは顔を赤くしてあげはから逃げ出した。そんなやり取りを目の当たりにしたらんこは恐る恐るましろに声をかける。
「ねぇ、ひょっとしてだけどあげは姉さんのタイプってツバサだったりする?」
「え、どうしてそう思ったの?」
「いや、だって…心なしかあげは姉さんってツバサと距離…近く無い?」
「でも、ツバサ君とあげはさんって年齢差が結構ありますよ」
ソラの言う通り年齢差はそれなりにありツバサは12歳、あげは18歳でまもなく19歳に迎えようとする。そうなると約6歳も差がありやや犯罪ちっくになってしまう。
「いや、そこは大丈夫でしょ。私の知り合いには高校生だけど中学1年になったばかりの従姉妹を彼女にしたり89歳のお婆ちゃんを彼女にする人だっているんだから」
「ああそうか。なら大丈…今なんて?」
「80…え、89?」
さらっととんでもない事を発言したらんこにましろは思わず聞き返してソラは89歳の高齢者を彼女にしている若者がいる事に理解が追いついていなかった。
「あれ?言ってなかったかしら私がひかるの彼女になって翌日に1人旅したら偶然そこでそんな人とであったのよ」
「倫理観がバグっているよ!?え、従姉妹で中学上がったばかりの子を高校生の彼女に!?」
「いや、それよりもなんですかその89歳の彼女って!?冗談ですよね!?」
2人はらんこの発言は冗談だと思い否定するがらんこは手を振り本当だと訴える。
「いやいやこれがマジな話なのよ。まぁ、それよりも実際ツバサとあげは姉さんってそっちで何かしら進展ないの?」
「そうは言ってもそのような事は──」
無いと言い切ろうとしたソラだがそこへツバサとあげはの話し声が聞こえてくる。
「だ・か・ら!僕はそんなのに興味ありません!」
「ええ〜?本当にぃ〜?この前私が風呂上がって着替えていたら脱衣所に入ってきたじゃん」
「あ、あれは事故ですよ!」
『え?』
その時、あげはとツバサの発言を聞いた一同は唖然となり声を漏らす。
「そ、それを言ったらあげはさんだって僕がお風呂に入っている時に入ってきたじゃないですか!」
「あの時はごめんって、てっきりましろんが入っているのかと思ってたから」
『え?(2回目)』
更に2度目の発言に再び声を漏らして意識がフリーズする。そんな中いち早くらんこが我に帰るとそばにいたましろに声をかける。
「ねぇ、私此処に住んでいないからわからないけどツバサとあげは姉さんってなんか…距離というかフラグ立っていたの?」
「わ、私も知らないよ。一緒にお風呂に入ったなんて初耳だよ…」
「私も初耳ですよ。2人がそんな事してたなんて…」
一緒に住んでいるましろは勿論ソラもツバサ達がそんなラッキースケベイベントを体験したなんて存じていなかったようで驚いていた。
「今の聞いた?ツバサ君とあげはさんが良い関係になりつつあるみたいよ」
「ヒューヒュー!ツバサ君やるじゃん!」
「う〜ん、初めはそこまで距離は近くなかった2人だけど同じ屋根の下に済んで偶然お互いの裸を見たラッキースケベによるフラグ立て、ベタだけど嫌いじゃないわ!寧ろ好きっ!」
一方で話を聞いていたここねとらんにローズマリーは2人の関係が深まった事に興味津々の様子だ。
しかし、3人が恋バナで盛り上がる中ゆいとその相棒のコメコメは違った。
「え、そうなの?」
「そうコメ?」
「何でゆいとコメコメは鈍いパム?」
「2人とも花より団子だからメン」
2人ともピンと来ないのか首を傾げ、その姿にパムパムとメンメンは呆れた表情を浮かべる。
一方であまねはニヤニヤと笑みを浮かべながら拓海に詰め寄っていた。
「聞いたか品田、あの2人…どうやらどこかの誰かと違って以前と距離が縮んでいるようだぞ。どこかの誰かとな!」
「おい!俺を見ながら何処かの誰かって強調するな!」
相変わらずディスってくるあまねに拓海は額に青筋を怒鳴り声を上げる。
そんなやり取りがあり、場は何とか盛り上がってらんこも少しではあるけど機嫌を良くして改めて楽しいパーティーが再開するが其処でソラが何かに気づく。
「ところで皆さんベリィベリーさんとシャララ隊長を見ていませんか?」
「あっ、そういえば見かけませんね」
「お婆ちゃんとグランさんも見かけていないね」
ソラ達が言うようにベリィベリーを筆頭に何名かこの場にいなかったのだ。
因みにエルはパーティー前から部屋で昼寝をしている。らんこが戻ってからエルは嬉しそうにはしゃぎ、らんこに構ってもらった結果、疲れてしまい寝てしまっていたのだ。
「ベリィベリー達の事は気になるけどそろそろエルも連れてきましょうか」
「そうだね。起こさないとエルちゃん機嫌が悪くなりそうだし」
取り敢えず部屋にいるエルを連れてこようとあげははリビングを出ようとするとそこへある人物がリビングに入ってくる。
「おや、パーティーはもう始まっていたのかな?」
「あっ、グランさん」
「出たわねマッドサイエンティスト!」
「今までどこに行ってたんですか?」
リビングにやって来たのはグランだった。らんこを除いて一同やっと来たかと言わんばかりの表情を浮かべる。
「いやごめんごめん。ちょっとヨヨ達と少し用事があった物だから少し遅れちゃってね」
「お婆ちゃんが?でも、お婆ちゃん達はいない様だけど…?」
先程までヨヨ達と共にいたと発言する割には彼女達の姿がない事にましろは不思議に思った。
「ああ、ヨヨ達も後で来るから私は先にやって来たと言うわけだよ。いやぁ、待たせてごめんね。私が来なかったから場は盛り上がらなかっただろ?」
「ふんっ、別にあんた来てもこれっっっっっっっっぽっちも嬉しくないわよ!」
「ちょっとらんこちゃん!」
「言い過ぎですよ」
不機嫌そうな態度をするらんこにましろとソラは彼女を咎めようとする。まぁ、気持ちはわからなくもない。何せ目の前のグランはひかるを誘惑した女である。その為、ツンデレは一切なく本当にグランがやって来た事に嫌悪感を露わにしていた。
「おやおや?随分ご機嫌斜めだねらんこ君。今日は君が主役のパーティー、つまりらんこぅパーティーなんだから気分を上げていこうじゃないか」
「あんたが言うな…って、ちょっと待ちなさい!今私の名前の後になんかとんでもない一文字を付け足したでしょ!」
物凄い小声でらんこの名前の後に言った言葉に健全なパーティーからr-18指定のパーティーに年齢制限を掛けようとするグランにらんこは聞き捨てなはないと言わんばかりに声を上げる。
「わーお、変身しなくても聴力は超人級か。流石はらんこ君だね」
「誤魔化すんじゃないわよ!あとそれとひかるを誘惑した件はまだ許してないんだからね!」
未だにグランを許してないらんこは彼女に敵意を向ける。勿論誘惑されたひかるも悪いがそもそもの原因は誘惑したグランにある。彼女がひかるを誘惑しなければ自分はこの場にひかるもいてより楽しいパーティーが出来た筈なのにと内心嘆く。そんならんこにグランは更に燃料を投下する。
「まぁ、そこに関しては謝罪するよ。でも男の子って結局はデカいのが好きなんだよ。例えばカブトムシの角の大きさとかね。それと同じで私のお胸は君の小さなお胸と違ってビッグだから自然と誘惑されちゃうから仕方ないといえるよねぇ〜♪」
──ブチンッ
その瞬間、らんこの中にある何かがキレると物凄い笑顔を浮かべながらミラージュペンを取り出した。
「オーケーオーケー、そんなに喧嘩がしたいのなら今から乱闘パーティーをしてあげようじゃない‼︎表でなさいっ!!!」
こうなったら何が何でもしばいてやろうといざ変身しようとするがソラとゆいが慌てて取り押さえる。
「ちょっと落ち着いてらんこちゃん!」
「そうですよ!幾ら腹が立つからってプリキュアの力で喧嘩はダメですよ!」
「離しなさい!そいつだけは一発、いや10発しばいてやんないと気が済まないのよ!」
取り押さえるソラ達の拘束を解こうと必死に抵抗するらんこにグランは笑い出す。
「アーハハハハッ!パワー系の2人に取り押さえられても尚この私に挑もうとするとは…いやはや私も罪な女だね〜♪」
「お前は少し黙ってろ!」
「これ以上らんこを煽るのはやめろ!」
「貴女下手したららんこに腕の骨を一本へし折られるわよ!」
ソラ達に取り押さえられていることをいい事に煽り散らかすグランに拓海とあまねにローズマリーが静止の言葉をかける。
「まぁ、私としては戦っても構わないけど、そうやると人質が傷つくかもよ
『人質?』
グランが人質がいると発言した事に一同は首を傾げる。彼女の周りには何処にも人質らしき人物はいない。ましてこの場にいる誰かがいつの間にか捕まっているなんて事もなくハッタリではないかと考える。
「その顔は人質なんていないと思っているな。でも本当に人質はいるよ。それも此処にね!」
そう言うとグランは自身の白衣を脱ぐとそこに見覚えのある人物が姿を見せる。その人物を見たらんこ達は驚愕の顔を浮かべる。
『エル(ちゃん)(プリンセス)!?』
なんと白衣の下には抱っこ紐で捕まっていたエルの姿があったのだ。
(ぐっ!私が目を離した隙にエルちゃんが…!)
捕まっているエルを見てソラ達は彼女を寝室に置き去りにしてしまったことを強く後悔する。だが今は反省よりも何とかエルを奪還しようと動き出そうとする。
「待ってソラちゃん!なんかエルちゃんの様子がおかしいよ」
「え?」
だがそこへゆいが静止の声を掛けてソラにエルの方を見るように促す。様子がおかしいと言っても今エルは悪の科学者であるグランに捕まってしまった事で怯え泣き出しそうになる───
「ぱいぱい〜♪」モミモミ
──かと思いきやエルはグランの豊満な胸に抱きついてその感触を満面な笑みを浮かべて楽しんでいたのだ。
「「「エルちゃん!?」」」
「プリンセス!?」
「ちょっとエル!?なにやっているのよ!?」
一同はエルが全く怯えてなく寧ろ楽しんでいるその姿に衝撃が走る。そんな中あげはが「あっ!」と何かに気づいた様に声を上げる。
「そっか!エルちゃんは赤ちゃんだからグランちゃんのデカパイに本能的に安心感を覚えて甘えているんだよ!」
「えっ!?嘘でしょ‼︎」
実際赤ん坊はおっぱいを求めたり母の胸に抱かれて安心して甘えたりする習性がある。それ故にエルはグランの胸に抱かれる事で魅了されているのだ。
「立派なGカップなのです」モミモミ(⩌ 、⩌ )
「ねぇ、エルちゃん今流暢に喋らなかった?」
「しかも心なしか顔つきも変わってませんか!?」
決して赤子の手では収まりきれないグランの胸をひたすら揉むエルだが赤ん坊故に普段舌足らずなのに何故か滑舌よく喋りしかも胸を揉むあまり幻覚なのか顔が変化している様に一同は見えた。これはグランの男だけでなく赤ん坊も魅了するデカパイの魔力(?)の所為なのだろうか。
「あの声であの顔…なんか物凄い見た事ある…!」
一方でらんこは聞き慣れたエルの声に加えて胸の弾力に執着する台詞に何やら以前梳杉町に行った際に出会った恋太郎の彼女の内の1人である紅葉の姿が過ぎる。
『ども〜、初めて見る方だったので是非とも試食ではなく試揉みさせて下さい』
そう言って巨大なバーガーに押し潰され動けないらんこの全身(胸を集中的に)揉んできた時の事が頭の中で再生されてらんこは顔を歪ませる。
「どうだいらんこ君。私の胸はプリンセスや君の彼氏も魅了出来るんだ。君にはこんな事出来ないだろう。何せ私と君の胸じゃ天と地ほどの差があるからね」
「ぬわんですってえええええええっ!!!ひかるに飽き足らずエルまで…もう我慢出来ないわッ!その駄肉を引きちぎってやるッ‼︎」
「らんこちゃん!?」
「エルちゃんがいる所でそんな物騒な事はやめて下さい!」
彼氏であるひかるを寝取られかけ、更には癒しであるエルも取られた事で完全にキレたらんこはソラとゆいの拘束を振り解くと静止の声を無視してグランに突撃して彼女の胸に手を伸ばす。全ては自分の彼氏を筆頭にエルを誘惑する諸悪の根源を断つ為にと思いながららんこはグランの胸を引きちぎろうと鷲掴みする。
「ッ!!!?」
「らんこさん!?」
「一体どうしたの!?」
だが、らんこはグランの胸を掴んだ瞬間全身に稲妻が走った様な衝撃を受ける。
「……」モミモミ
「んん…あんっ////」
「エロッ!」
「なんか無言で胸を揉み始めたよ!?」
先程まで胸を引きちぎると豪語していたらんこだが無言でグランの胸を揉み始めて、逆に胸を揉まれるグランは色っぽい喘ぎ声を漏らす。
それを見た一同は絵面がやばく感じて慌ててらんこをグランから引き剥がそうと動き出す。
「らんこさんしっかりしてください!」
「正気に戻って!」
無我夢中でグランの胸を揉むらんこをソラとツバサが無理矢理引き剥がす。
「…ハッ!?わ、私はなにを?」
「グランさん!らんこさんに何をしたんですか!?」
明らかに正気ではなかったらんこにグランが何かしたのではとソラは睨むがグランは特に臆する事なく余裕な表情を浮かべる。
「それを知りたければ君も逃げずに私の胸の感触を体験すると良い。それとも怖気ついたのかいヒーローガールさん♪」
「くっ、いいでしょう!ヒーローはどんな挑戦でも受けます!おりゃあああああっ!!!」
「……」モミモミ
「あん…んんっ!つ、強い…強過ぎるよぉ〜////」
「エロっ!(2回目)」
「ソラちゃん!?」
「あ、貴女まで何やっているんですか!?」
先程のらんこ同様に夢中になってグランの胸を揉むソラをましろとツバサが引き剥がすとソラも我に返り顔が青ざめる。
「わ、私はヒーローなのに…私ヒーローなのに下心に走るなんて…最低ですッ‼︎」
「私は何…今まで死んでいたの…?」
「おっきいぱいぱい♪」モミモミ
「何なのこのカオスは!?」
下心に負けて自己嫌悪に陥っているソラにその隣ではグランの胸を揉んだ手をじっくりと眺めて何やらこの世の真理に辿り着きそうならんこ。一方でエルは未だにグランの胸を揉み続けている。そんな光景に一同を代表してローズマリーがツッコミを入れるのであった。
尚、もう一同は殆ど察しているがグランはエルに危害を加えるつもりはない為、グランにもグラスを渡してパーティーを再開するのであった。
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一方でそんな楽しいどんちゃん騒ぎが廊下まで響いておりそこから恐る恐る覗く者達がいた。
「どうやら皆んなは楽しくパーティーをしているみたいですよ」
「ああ、そうみたいだな」
そこに居たのはベリィベリーとシャララの2人であった。何故2人はパーティーを参加せずに廊下からパーティー会場と化しているリビングを覗き見しているのだろうか。そんな時、彼女達の元にミラーパッドを抱えたヨヨがやってくる。
「お二人とも辛い事をさせてすいません」
「とんでもない。寧ろ辛い思いをしているのはヨヨ殿の方では?」
「そうです。それに…やはり辞めた方がいいのでは?」
何やら3人は浮かない顔をしている。まるでこれから何か良からぬ事をしようとしている様に見える。
「これはグランさんの頼みです。私は友達として彼女が望みを叶えてあげたいの…どうかお願いします」
「いやしかし「わかりましたヨヨ殿」…シャララ隊長」
ヨヨの頼みを応じるシャララにベリィベリーは不安そうな顔を浮かべる。
「ベリィベリー…お前の考える事は理解している。だが、これは奴の頼みだ。私もあまり気が進まないが奴が筋を通すつもりなら私は青の護衛隊、隊長として責務を果たすつもりだ」
「隊長…わかりました」
そう言うと渋々シャララの話にベリィベリーは応じる。一方でヨヨはリビングでらんこを煽りながら料理を味わうグランを寂しそうに見つめる。
(グランさん…私は友達として貴女の頼みは出来る限り聞きたいわ。でも、こればかりは辛いわ)
そんな悲しみの心を背負ったヨヨはミラーパッドを使って何処かと通信をするのであった。