らんことましろがクラスメイト達と馴染んでいる時。虹ヶ丘家に帰ったソラは三角巾を頭に巻き、エプロンを身につけ掃除道具を持ってリビングに立っていた。
「ましろさん達が学校に行っている間、私は私のやるべき事をやります!」
そうして、ソラは家の掃除を始める。途中慣れない所もあったが、何とかこなす。更に掃除の間には勉強にエルのお世話と鍛錬を行い、気がつくと家中は綺麗になって今日の分の勉強と鍛錬も終えてしまった。
時計を確認しても今は11時半、らんことましろの学校が終わるのはまだだ。
「……あっ、そうです」
すると彼女はヨヨの元へ行き、スカイランドへのトンネルを開く作業を手伝うも力に自信のあるソラでさえも根気がいる。それを1人でやっていたヨヨに申し訳なく思った彼女はこの前あたってしまった事を謝った。対してヨヨは気にしている様子は無くソラを許すと彼女にお使いを頼み、ソラはヨヨの頼みを引き受け街へ出かける。
それから街へ来たソラは買い物リストを見て目的の品物がある店を探していると近くにいた女性達の会話が耳に入る。
「遂にパウダーフレグランス買っちゃったね!」
「パフパフしよーよ!」
その会話に釣られてソラは女性達のいた店に視線を向けると其処には以前3人でお出掛けした際に訪れたコスメショップ…Pretty Holicが存在していた。
寄ってみると店に展示されている商品を見てソラは目を輝かせる。
「これなんてましろさんが喜びそう!…あっ、こっちの方はらんこさんに似合いそうです!」
目の前の商品はましろとらんこにピッタリと思ったソラであったが、今2人は学校にいてこの場にいない事を思い出す。スカイランドにいた頃は1人で修行を行なって平気と自身に言い聞かせていたが、友達が出来た今2人が側にいない事がとても寂しいと感じる。
「ソ〜ラちゃんっ!」
「はいっ⁉︎」
そんな時、誰かが背後から抱き着き、ソラは一瞬驚くも振り払ってその人物に対してファイティングポーズを取るがその人物の顔を見て構えを解く。
「あ、あげはさん⁉︎」
「コンちゃ!」
其処にいたのはあげはであった。彼女は右手で狐の形を作ってソラに挨拶をする。
「あげはさんどうして此処に⁉︎」
「私?私は学校の帰りだからちょっと寄って行こうと思って。そう言うソラちゃんはどうしたの?何か浮かない顔をしていたよ」
あげはにソラに質問するが、ソラは答えづらそうな様子だ。そんなソラを見てあげはは何かを思いつく。
「オッケー!取り敢えず気分アゲてこ!」
そう言うとあげははソラを連れてPretty Holicの2階にあるカフェスペースへ連れて行くと其処でソラにパフェをご馳走する。
「ご馳走様でした〜♪」
甘い物を食べた事によりソラは笑顔になり、それを見てあげはも釣られて笑顔になる。
「ふふ、思い出すなぁ、この前もこうやってらんこちゃんにパフェを奢ったなぁ〜」
「え、らんこさんにもご馳走したんですか?」
あげはの話の内容に興味を持ったソラは彼女にその話について詳しく聞く。
「うん、あの時のらんこちゃんは少し荒れていたからこうやってパフェをご馳走したら気分アゲアゲになったんだよね」
「荒れていた……成る程、あの時ですか……」
あげはのらんこが荒れていたと聞いて思い出すのはましろがプリキュアになっていて3日後に起きた日を想像するが、
(あれ、確かその時って……パフェなんて食べていましたっけ?)
実際その光景を目にしてはいないが、らんこが川の堤防で落ち込んでいた所をあげはが励ましたと聞いたが、パフェを奢ったなんて聞いていない。と言うよりもその後、すぐカバトンの襲撃にあった為、パフェを食べにいく時間なんて無いはずだ。
「……私の記憶違いじゃなければあの時は碌に食べる余裕は無かったと思いますが……」
正直あの日の出来事はあまり思い出したく無いが、振り返る限りではらんこがあげはにパフェを食べさせて貰った事はないとあげはに確認した。
「うん?…あぁ、違うよ。らんこちゃんにパフェを奢ったのは3日前だから」
「3日前ですか?」
3日前という事はらんこがプリキュアになって2日後の事だ。その日は彼女が用事があるから会いに行けないと言っていた。その理由はあげはとの先約があったのかと思うと彼女にその日の事を教えて貰おうとする。
「オッケー!あれはね、私が気分転換の為に此処に立ち寄った時の事だよ」
そう言ってあげははその時の出来事を思い出す。
──────────
専門学校の入学の準備のを終えたあげはは街へ気分転換しようとPretty Holicへ訪れ、最新の化粧品が無いか店内を見渡していると、
「あれ、あそこにいるのって……」
視線の先には店の隅っこにて化粧品に手を伸ばすが引っ込めて、再び伸ばして引っ込める繰り返しをしているらんこの姿があった。ただ、今の彼女はフードを被っておらず自身の髪を晒している状態だ。そんな彼女を見たあげははつい悪戯をしたくなったのか、気配を悟られない様にゆっくりと背後に迫ると、
「な〜にしているの?」
「ひゃ、ひゃひっ!?」
背後から話しかけられたらんこは変な声を上げてミラージュペンを取り出した姿にあげははヤベッと思い彼女を宥める。
「お、落ち着いてらんこちゃん私だよ!」
「あ、あげは姉さん⁉︎」
宥められた事により冷静さを取り戻したらんこは持っていたミラージュペンをポケットの中に仕舞い込む。
「な、なんでこんな所に……?」
「いや、それはこっちの台詞だよ?らんこちゃんが1人で此処にいるのってあまり見ない光景だからつ珍しいと思ってさ」
「そ、それは……」
何か言い辛い表情を浮かべる彼女にあげはは彼女の後ろにある最近流行っている化粧品を見て察する。
「はは〜ん、そう言う事ね……らんこちゃんはズバリ新学期にイメチェンデビューしたいんでしょ」
「うっ⁉︎……うん」
図星だった様であげはに指摘されたらんこは少々恥ずかしながら頷いて肯定する。
その後、此処で詳しい内容について話すのもアレな為二階のカフェスペースに連れて行ってあげはの奢りでパフェを食べ始める。
「ハグ……デリシャスマイル〜」
「うん、でりしゃす…なんて?」
「はっ⁉︎……な、何でも無いです」
パフェを美味しそうに食べながら呟いた言葉にあげはは彼女にそれはなのか問うが、らんこは恥ずかしそうに誤魔化す。その直後、らんこはまた空耳として脳内にある声が聞こえてきた。
『メルシー!』
誰だコイツ?
それはパリで活動していた凄腕パティシエの物だったが、らんこにとっては知らない声なのでスルーした。
「まぁ、いいや。それよりもらんこちゃんがイメチェンしたいなって思ったのはプリキュアになった日の事がきっかけかな?」
「はい……そうです」
あげはの推測にらんこは素直に認める。彼女はプリキュアになった事と並行世界で出来た友達の影響か“自分も変わりたい”。そう思ったらんこは取り敢えず最近流行ってる化粧品を使って明るい女子になろうと此処に来たらしい。
尚、あげはにはプリキュアになった事や並行世界での出来事についてはらんこ自身から教えていた。
話を戻すとらんこは化粧品をいざ買おうとするが、直前に躊躇ってしまい中々買う勇気が出せず。更にはましろやあげはの様に化粧やオシャレに対しての知識は持っていなかったので買ったところでちゃんと正しく使えるかわからなかったのだ。
「成る程…それであそこに立っていたんだ」
「……はい」
やっと自分の変われる良い機会だと言うのに己の勇気の無さにとことん嫌になるらんこは落ち込み、そんな彼女を見てあげははある提案をする。
「よし、それなら此処はお姉ちゃんに任せて!らんこちゃんの新学期デビューをサポートするよ」
「え、でも…あげは姉さんに迷惑をかけるのは…」
「良いよ、可愛い妹の為だもん」
実際に血は繋がりは無いがらんこの事を本当の妹の様に思うあげはは今の自分を変えようとする彼女の力になってやりたいと考える。それから早速一階に戻ってらんこに合いそうなリップとパウダーフレグランスを購入してドレッサーでメイクをする。
「さぁ、出来たよ。どう、気分アガった?」
「こ、これが私……なの?」
鏡に映る今の自身の姿を見て信じられなかった。先程まで暗かった自分が化粧をしただけで此処まで明るく変わるとは思ってもみなかった。
「あげは姉さんすごい!やっぱりオシャレが上手なんですね!」
「ううん、私はただリップと軽くパウダーを掛けただけでそんな細かい事はしてないよ」
「え?」
「らんこちゃんは元々綺麗な顔をしているから私は簡単なメイクで勇気を与えただけだよ」
メイクは勇気を与える。そんな事考えもしなかったらんこは目から鱗が落ちる思いだった。らんこ自身はメイクをただのオシャレとしか認識していなかったが、あげはの言う通り鏡に映る自身を見つめると次第に勇気と自信が湧き上がってくる。
『メイクは勇気と自信をくれる魔法でトロピカるぞぉ〜!って気分があがるから!』
トロピカるってなんぞや?
「ありがとうあげは姉さん…私勇気が出てきたよ!」
以前聞いた事のある声が聞こえたが、確かにその通りだった。メイクをした事によりらんこからは今まで無かった有り余る勇気と自信に溢れて今なら何だって出来そうだった。但し、トロピカるって言葉の意味はわからないが、
「うんうん、それは良かった。でも、メイクをした後に言うのも何だけど、らんこちゃんとましろんの通う学校ってメイクってオッケーだっけ?」
「えっ?」
あげはの水を差す発言にらんこの思考が固まる。
「私の記憶じゃ……あの学校って基本的にお化粧とかは校則違反の筈だけど……」
「……あっ」
今思い返すと確かにらんこの通う学校は基本的に化粧などは校則で禁止になっているのだ。
「い、いっそ……校則を破ってメイクするのは」
「それは流石にダメだよ。其処はちゃんと守らないといけないよ」
前まで学校で常にフードを被っていたらんこは今更校則の一つを破っても良いと思ったが、あげはから止められてしまい落ち込んでしまう。折角メイクで生まれ変わった自分で新学期デビューを果たそうとしたがデビュー前に躓いてしまった。
「でもメイクが駄目でも……簡単なアクセサリーを付けるのは良い筈だよ」
あげはの発言にそれは盲点だったと言わんばかりに目を丸くするらんこ、思い返してみると其処まで派手ではない髪留めやリストバンドなら校則違反にならない。
「そ、それならイケそう!幸いにも此処にはアクセサリーもあるし」
「うん、勿論私も付き合うよ。さっきはぬか喜びさせちゃったから、それのお詫びも兼ねてね」
こうして2人は再び店内を周ると、其処に売っていた赤と白の髪留めと黄色のリストバンドを購入する。
その後、アクセサリーだけだと物足りないと思ったあげははらんこに学校でも大丈夫なオシャレな着こなし方を伝授するのであった。
───────────
「と言った感じだね」
「そうだったんですか……」
あげはの話を聞いたソラは色々驚きつつもらんこの心機一転した姿となった経緯を聞いて納得する。
「それでさ…ソラちゃんもらんこちゃんみたいに悩みが有るなら話してみてよ。力になれるかもしれないし」
「…そうですね……実は……」
あまり胸の内にある己の悩みを喋りたく無いソラだがらんこの悩みを聞いたあげはに信頼を寄せ、己も話を聞いて貰おうと思い自身の悩みを話すのであった。
「成る程ね…ましろんとらんこちゃんが居なくて寂しいか……」
「はい……」
2人が春休みを終えて新学期が始まった事で半日は学校に行く事になった為、これから一緒にいる時間が減ってしまった事にソラは寂しくなったのだと聞く。
「分かるよ。ましろんの優しさって、お日様のポカポカ陽気のようでさ。対してらんこちゃんは初対面の人には野良猫みたいに人一倍警戒心が強いけど友達になると心を開いたりする可愛さかがあったりと2人が居ないと途端に寂しくなるんだよね」
「はい、スカイランドで友達が居なかった私にとって人生で初めての友達なんで2人がいないと胸に寂しい気持ちが一杯になるんです……」
「……そっか、ソラちゃんにとって2人はかけがいの無い友達って訳だね」
ソラにとってましろとらんこの2人がどれだけ大事な存在なのか彼女の話す姿勢と眼差しを見てあげはは理解する。
「ならさ、それを2人に言えば?」
「む、無理ですよ……恥ずかしくて言えません」
普段のソラなら堂々と言えるのだが、2人の存在がどれ程自分の中で大きいのか改めて認識した事によりいざ言おうとなると恥ずかしいという気持ちが風船のように膨れ上がっていく。
「……ソラちゃん。こっち来てくれる?」
「え?」
ソラはあげはに連れられて一階へ降りるとメイクルームにやってきて、其処に有る化粧品を幾つかチョイスするとソラをドレッサーの前に座らせる。
「あげはさん。わたし、メイクは・・・」
「メイクはさ、ただ美しくなるだけじゃない。ちょっとの勇気が足りない時、力を貸してくれるんだ」
そう言ってあげはソラの唇にリップを塗り、頬にパフを当てていく。すると、先程まで暗かったソラの目は次第に明るくなっていく。
そして、最後にパウダーを掛けるとソラのメイクは完了する。
「どうかな、今の感想は?気分アガった?」
「こ、これが私ですか?……綺麗、それにいい香りもします」
メイクによって綺麗になった自身の姿に見惚れるソラ。同時に先程まであった羞恥心はなくなり代わりに勇気と自信が湧き上がってくるようだった。
「今なら何だって出来そうな気がします!」
「よーし。じゃあ、ソラちゃんのさっきの気持ち。ちゃんとましろんとらんこちゃんに伝えて!」
「はい!行ってきます!」
そう言ってソラは店の外へ出ようとするが、足を止めてあげはの方へ振り返る。
「あげはさん、ありがとうございました!では!」
彼女にお辞儀をしてお礼を言うと今度こそ店の外へ出て行った。
「青春だね……でも、ちょっと羨ましいな」
ソラとましろにらんこの3人が仲良くする姿を想像したあげはは笑みを浮かべるも、自分ももうちょっと彼女達と長く接したいと思いながら呟くのであった。
そして、店を出たソラは2人が通う学校に向かって走る。その道中大荷物を持ったお婆さんを背負って歩道橋を走ったり、喧嘩しそうになった不良達を止めたり、道路現場員に変装したカバトン(⁉︎)の妨害にあったりと時間を食ってしまったが、何とか目的地の学校が見えてきた。すると、タイミング良くましろとらんこの2人が校門から出てくるのが見えた。
「ましろさん!らんこさん!」
「ソラ⁉︎」
「ソラちゃんどうして此処に⁉︎」
ソラに声を掛けられた2人は走ってくるソラの姿に驚きの表情を見せる。
「あの、私…2人にどうしても伝えたい事があるんです!」
「私達に……」
「伝えたい事……?」
いつに無く真剣な表情を見せるソラに2人は思わず息を呑む。
「実は……わたs「だーっ!ストップ!ストップ!」
だがその時、ソラがやってきた道からカバトンが走ってきてソラが言おうとした台詞を遮り邪魔をするのだった。
「あなたは!」
「出たわね……!」
「カバトン!」
目の前に現れたカバトンにソラとましろは警戒する一方でらんこはうんざりした表情をみせる。
「聞けぃ!前回の俺!実はおでんは低カロリーでパワー不足!あえなく失敗に終わったが、今回はめちゃ高カロリーをテイクアウト!」
そう言ってカバトンは3人に見せつけるように巨大なパフェを取り出す。
「尺の無駄です!というか、あなたが出る幕は一秒だってありません!」
「邪魔しないで!」
「今はあんたの豚面を拝みたく無いからさっさと消えなさい!」
しかし、大事な話を邪魔された三人にとってカバトンは物凄く邪魔な存在と認識され文句を言いまくる。
「ムッカー!どいつもこいつも好き勝手言いやがって…!と言うかお前誰なのねん⁉︎」
「…はい?」
「「え?」」
そう言ってカバトンはらんこに指を指して問う。一方でらんこはまるで初対面な言い方をするカバトンに思わず聞き返し、隣にいたソラとましろは呆気に取られる。
「そう言えば何時もいるフード娘はどうしたのねん?…まさか風邪を引いたから今日は代理を呼んだのかねん?」
「は?」
そう言って辺りを見渡してらんこの姿を探す仕草を見せるカバトン。その様子からして目の前にいるのがらんこ本人であると認識していない様子。
「何言っているんですか?こちらにいるのはらんこさんですよ」
「そうだよ!よく見てよ!」
目の前にいるのがらんこと認識していないカバトンにソラとましろよく確認する様に言うとカバトン目を細めてらんこの頭から足先を観察する。
「うーん……いや、どう見ても別人だろう」
「はあっ⁉︎」
だが、カバトンは目の前にいるのがらんこ本人と思っておらず別人と判断した。その事にらんこは思わず声を上げる。更にカバトンは語り出す。
「フード娘はもっとこう陰湿で面倒くさがり屋でフードから覗かせる目は死んでいて卑怯な手を容赦なく使うど畜生女なのねん……フード娘の代理ならせめてフードくらいかぶるのねん」
本人が居ないと思い込んでいるカバトンはもう好き放題に言う。どうせ居ないなら此処で今まで腹に溜めていた鬱憤も晴らすのを兼ねて言っているカバトンだった。
「へぇ〜……フードってもしかしてこんな感じの?」
「そうそう、おお…お前、フードを被ればあのフード娘にそっく…り…」
カバトンは気がつくと目の前には腰に巻いていた灰色のパーカーを着込み、フードを被っているらんこの姿を見てカバトンの思考は固まる。
「豚男……あんたが私の事をどう思っているかよぉ〜く、わかったわ……ソラ、ましろ」
「「は、はい!」」
今まで聞いたことのない声の低さでソラとましろの名を呼ぶらんこに2人は思わず緊張しながら返事をする。
「やるわよ!目の前のこの馬鹿豚をとっちめるわ!」
そう言いながららんこは額に青スジを立てながらカバトンに向かってミラージュペンを構える。遅れて2人も慌てて構えると丁度その時にカバトンも正気に戻る。
「ひ、ひぃぃぃぃい!?こ、こうなったらやってやるのねん!」
そう言ってカバトンは慌ててジャンボパフェを食べ始め、食べ終えるとパフェの容器と着ていた服を脱ぎ捨て何時もの格好になる。
「カモン!アンダーグエナジー!」
『ランボーグ!』
アンダーグエナジーを先程まで被っていた工事用ヘルメットに注ぐと、ランボーグへと変わる。
「行くわよ!」
「「はい(うん)!」」
らんこの掛け声と共に3人はミラージュペンを構えて変身する。
「「「スカイミラージュ!トーンコネクト!ひろがるチェンジ!」」」
「無限にひろがる青い空!キュアスカイ!」
「ふわりひろがる優しい光!キュアプリズム!」
「大空に広がる一陣の風!キュアツイスター!」
「「「レディ……ゴー!ひろがるスカイ!プリキュア!」」」
三人が変身を終えるとカバトンは一瞬、動揺しつつもランボーグへと指示を出す。
「行けっランボーグ!プリキュアが3人でも高カロリーを摂取したから勝てる筈なのねん!」
『ランボォォォグ!』
指示を受けたランボーグは高速回転をしながら3人に突っ込むが、跳んで避ける。
「はあああっ‼︎」
避けたプリズムは間合を開けると光弾を放つが、あまり目立ったダメージは受けなかった。
「うおおおっ!」
「はあああっ!」
続いてスカイとツイスターがパンチとキックを放つが通用しない。
「ぐっ、硬すぎます!」
「元がヘルメットだから、その分防御力が高いのね」
想像以上の硬さに力に自身のあるスカイの攻撃すらなす術は無かった。ツイスターも自身の蹴りが通用しない事にショックを受けつつもランボーグの観察を始め弱点を探る。
「いいぞ!そのままプリキュアをやってしまえ!」
『ランボォォォグ!」
再び高速回転をすると3人に襲い掛かるが、再び跳んで上に避けるが、
『ランボッボッ!』
「はあっ!」
ランボーグは回転を止めると宙を飛ぶ3人に向かってエネルギー弾を放つが、それをツイスターはマフラーを振って防ぐと、そのままランボーグに向かってマフラーで攻撃をするもやはりダメージは入らなかった。
「近距離と遠距離攻撃が使える上に防御力が今まで以上ね……」
「これは厄介だね……」
ツイスターとプリズムは目の前のランボーグが想像以上に強い事から弱音を吐きそうになるも、
「大丈夫です!プリキュアが3人揃った今なら例えどんな相手であろうとも勝てます!」
「「スカイ……」」
スカイの自信満々な発言を聞いてプリズムとツイスターも次第に自信が溢れてくる。
「そうだよね。私達ならきっと勝てるよ!」
「そうね……それでさっさとコイツを倒してソラが何を言いたかったのか聞かないと!」
プリズムとツイスターはそう言ってランボーグに向かって攻撃の構えを取る。
「なぁ〜に言ってやがるのねん?さっきからランボーグに全然ダメージを与えられていない癖して良い感じの雰囲気を出すな!ランボーグ、ダメ押しだ!」
一方でカバトンは3人が全然諦めずに逆に勝つ自信がある顔を見て腹が立ち、ランボーグに指示を出すとランボーグは黒い煙幕を放つと3人はその煙幕に呑まれてしまう。
「ギャーハッハッハッ!!!これでお前たちの目はこの煙幕で周りが見えなくなったのねん!フード娘、お前が何時もの様にやる目潰しを真似させて貰ったのねん!」
カバトンはいつの間にか持っていた丈の長い竹馬に乗って高笑いをする。そして、このまま視界が見えない3人にトドメを刺そうとランボーグに指示を出そうとする時だ。
「はあああああっ!!!!」
煙幕の中にいたツイスターは拳に風を纏い地面に叩き付けると周りを覆っていた煙幕は全て吹き飛ぶ。
「……あれ?」
「「はあああああっ!!!」」
『ランボォグ⁉︎』
一瞬で消された煙幕にカバトンは思わず放心する。その間にスカイとプリズムがランボーグに迫るとアッパーを決めて吹っ飛ばす。
「大凡の戦闘パターン把握出来た所だからそろそろ反撃よ」
「はい!」
「うん!」
其処からは3人の独壇場だった。先程ヘルメットに覆われていない箇所に攻撃をした事で弱点を見つけた3人はその場所に向かって猛烈なラッシュに連続の光弾、マフラーによる攻撃でランボーグにどんどんダメージを蓄積させていく。
「ま、不味いのねん!このままじゃまたやられるのねん⁉︎」
カバトンも流石にこの状況は不利と思い始める。
と言うよりもさっさと浄化技で倒せば良いのにそれをしないのはソラの大事な話を邪魔された事とツイスター(らんこ)がカバトンにボロクソ言われた鬱憤を晴らす為、ランボーグをサンドバッグ代わりにしていた。お陰で3人とも良い表情を浮かべている。
『ラ…ンボ……』
「さて、そろそろスッキリ…じゃ無かった。トドメを刺すわよ!」
「「はい(うん)!」」
そして気がついたら時にはランボーグはボロボロで最早動けそうに無く、ツイスターはスカイとプリズムに指示を出すと2人はスカイミラージュを構えてアップドラフトシャイニングをやろうとする時だ。
3人の足下にレーザービームが放たれる。
「「「うわっ⁉︎」」」
いきなりの不意打ちに3人は驚く。
「今のは何ですか?」
「まさかランボーグの攻撃⁉︎」
「違うわ!今のレーザーは…!」
突然の攻撃にスカイとプリズムはランボーグの攻撃かと思ったが、唯一ツイスターだけはその攻撃を知っており、レーザービームが放たれた方向に視線を向けると其処にはキメラングの側を付いていたドローンが飛んでいた。
《どうも〜!ご無沙汰しているよ〜。ドクターキメラング、リモートで参戦だよ!》
「「キメラング⁉︎」」
「出たわねマッドサイエンティスト!」
ドローンから聞こえる声の正体がキメラングと分かると3人は警戒する。
「キメラング今更何の用なのねん⁉︎」
《何って、私の研究対象はプリキュアでね。それで今回も戦いを観察しようと思ってやってきたんだよ……でも、この前とある所で手に入れたサンプルがちょっと興味深くてさ。今手を離せない状態だからこうしてドローンだけでも飛ばして見にきたんだけど、どうやら私がやって来なければやられそうになってたみたいだねぇ》
カバトンの作り出したランボーグやられそうになっていたのを見て、若干煽り口調でカバトンに話しかける。
「五月蝿いのねん!と言うかお前!この前おでんが低カロリーだったって、知っていただろ!どうして教えてくれなかったのねん⁉︎お陰で無様な姿を晒す羽目になったのねん!」
《まぁ、そうカッカしない…それよりも私からのプレゼントを受け取りたまえ》
「プレゼント?」
「プレゼント……まさか⁉︎」
「「ツイスター?」」
プレゼントとは何だろうか?それは美味しい料理かと思ったカバトン。一方でツイスターはキメラングの言うプレゼントが何かを察するが、スカイとプリズムは慌てる彼女を見てあまりピンときていない様子だ。
《さあ、ランボーグ!君に元気をプレゼントフォーユー!》
ドローンは動けないランボーグに向かってカプセル状の何かを放つ。するとカプセルはランボーグの体に取り込まれ、姿がヘルメットを被った巨人へと変わる。
『ランボォォォォォ!!』
「な、なんですか!?あの姿は!?」
「しかもこの圧…さっきまでのランボーグと全然違う!」
「やっぱりあれって…そうよね」
驚く程変化を果たしたランボーグにスカイとプリズムは驚き、一方でツイスターは先程ドローンからランボーグに放たれたカプセルの正体を知っている。それは並行世界での戦いの時にひかると言う少年を素体としたランボーグからひかるを救出後にキメラングがランボーグに使ったドーピングカプセルだ。
「2人とも気をつけてあのランボーグは下手すると一気にやられるかもしれない!」
ツイスターの脳裏にはドーピングにより強化されたランボーグは強く。自分を含めた5人でも手こずったのだ。そんな相手にこちらは3人勝てる見込みやや薄い。
「よしっ!よく分からんがランボーグ今度こそプリキュア達を倒すのねん!」
『ラァァァン……ボオオオオオグッ!!!』
指示を受けたランボーグはエネルギーを頭部のヘルメットに集中させると、それを一気に3人めがけて放つ。
「2人とも下がって!ヒーローガール…プリズムショットォォォッ!!!」
迫り来るエネルギー砲にプリズムはプリズムショットで対抗するが、一瞬で掻き消される。
「「「ッ!」」」
エネルギー砲は3人を飲み込むとそのまま大きな爆発を引き起こし、周りは爆煙が舞う。
「や、やったのねーん!遂にこの俺がプリキュアに勝てたのねん!まぁ、それもその筈。今回は前回の反省を踏まえて高カロリーのジャンボパフェを掻っ払ってきたから負ける訳ないのねん」
《いやいや、どちらかと言えば私の手助けで勝てた物だと思うんだけどねぇ…って、聞いてないね君…》
プリキュアに勝った事を全部自分の手柄にしようとするカバトンにキメラングはドローン越しでも分かる様に呆れた声を出す。
「兎に角だ!これで俺がTUEEE事が証明出来たのねん!さて、後はゆっくりとプリンセスを探すとするのねん」
最早自分の邪魔をするものは誰も居ない。そう思ったカバトンはその場を去り、エルを探しに行こうとするが、
「やられた相手を碌に確認しないなんて……とんだ間抜けね、豚男」
「な、なにぃーっ!?」
《おや?》
振り返るとカバトンは思わず目玉が飛び出しそうになる。それもその筈、先程のエネルギー砲をまともに喰らった3人が目立った傷もなく健在しているのだ。
「な、なんで無傷なのねん⁉︎さっきの攻撃はお前らの必殺技を超えるTUEEE技なのに傷一つ無いなんておかしすぎるだろ!」
《確かにそうだね……君たちは一体どんなトリックを使ったんだい?》
慌てふためくカバトンとは対照的にキメラングは冷静に攻撃をどうやって防いだのか3人に問うとツイスターがタネを明かす。
「それはこれを使ったのよ」
「な、何なのねんそれは?」
《それって確か……》
そう言ってツイスターは自身の手にしているバトン状の何かをカバトン達に見せつける。初めて見るそれにカバトンは分からない様子だがキメラングはそれを知っている。
それは並行世界でキュアサンライズとキュアスノー、更にエルの力から生み出されたツイスター専用のアイテム、テンペストバトンだった。
「それが前に言っていた並行世界で手に入れた力ですか?」
「ええ、そうよ。あっちにいる友達との絆の結晶ってやつね……柄にもない発言ね」
「ううん、そんな事ないよ……それは紛れも無いらんこちゃんの友達の絆の証だからね」
3人は会話を終えると改めて視線をランボーグに向ける。
「此処からは私達の独壇場よ!」
そう言うとテンペストバトンをハート型に変形させると中央のスロットにスカイトーンを装填する。
「大いなる風よ!私達に力を!」
そう言うと手元からテンペストバトンが離れ、再びバトン形態に変形すると回転して強烈な風を発生させる。
「プリキュア!ストームフィールド!」
テンペストバトンから放たれる風がスカイとプリズムの体を覆うと、それは緑のオーラへと変化してスカイとプリズムの体に変化を与える。
「軽い!まるで背中に翼が付いたようです!」
「これなら……いける!」
2人はツイスターの技により身体能力、主に機動力が強化されると一気にランボーグへ距離を詰める。
「ダダダダダッ!!!」
『ラァラァンボ!?』
スカイの目にも止まらない一撃が重いラッシュを胴体に浴びるランボーグは思わず声を上げる。だが、負けじとスカイに襲い掛かろうと肥大化した腕を振ってスカイを叩き落とそうとした。
「させないよ!」
『ランッ⁉︎』
しかし、スカイを守るようにプリズムがその腕を受け止める。
「私だって、はあああああっ!!!」
『ラアアアアンッ!?』
受け止めた腕を掴むとそのままカバトンに向かって投げ飛ばす。
「おわあああっ!?」
飛んでくるランボーグにカバトンは慌てて竹馬を捨てて避け、そのまま地面に顔をダイブする。
一方で投げ飛ばされたランボーグは起きあがろうとするが、其処へツイスターがマフラーをたなびかせながらランボーグの真上と飛ぶ。
「ヒーローガール…ツイスターストライク!」
『ボオオオオグッ⁉︎』
ツイスターの必殺のドリルキックがランボーグの頭部を守るヘルメットに命中すると次第に回転は増していきヘルメットはヒビが入るとそのまま割れ、頭部へと決まる。ダメージが頭部に入った事によりランボーグはふらつきまともに動けなくなる。
「更にツイスタートルネード!」
テンペストバトンを呼び寄せると、それを通してツイスタートルネードを放ちランボーグを竜巻の中へと閉じ込める。
「2人とも決めちゃって!」
「はい!」
「うん!」
スカイとプリズムはスカイミラージュを構えると、スロットにスカイトーンを装填させる。
「スカイブルー!」
「プリズムホワイト!」
2人はスカイミラージュを高く掲げると、竜巻に閉じ込められたランボーグの真上に円盤が現れ、竜巻ごとランボーグは吸い込まれていく。
「「プリキュア!アップ・ドラフト・シャイニング!」」
そのまま円盤の中から気流が噴き出していき、円盤の中にいるランボーグは浄化される。
『スミキッター』
ランボーグが浄化された事により学校の周りの道は直っていった。
「ぐっ、クソぉっ!あんな技があるなんて聞いていないのねんキメラング!カバトントン!」
ランボーグが倒されたのをアップドラフトシャイニングやテンペストバトンの事を黙っていたキメラングの所為にするとカバトンは撤退する。
《いやはや大した物だよプリキュア達、今回の戦いもしかと見せてもらったよ。それじゃあバイバーイ♪》
そう言うとドローンはその場を去っていった。
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戦いを終えた3人は変身を解くとそのまま帰路に着く。ただしらんこだけは帰り道は2人とは逆であるがそのまま虹ヶ丘家に遊びに行こうと考え2人と共に同じ道を歩んでいた。
そして、しばらく黙って歩いていた3人だが漸く口を開こうとする。
「「「……あ、あの(さ)」」」
声を掛ける3人だったが、見事に被ってしまい気まずい空気が流れる。
「お、お二人からどうぞ」
「い、いや、ソラちゃんとらんこちゃんからで良いよ」
「いや、2人同時って可笑しいからもうソラが最初でいいわよ。さっき聞きそびれた事があって気になるし……」
互いに譲り合うがらんこの案を採用し、先程ソラが言えなかった事を言う事になった。
「では、言います……ましろさん…らんこさん……私は2人ともっと一緒にいたいです!」
あげはにやって貰ったメイクで勇気を貰いつつソラは己の胸の内にあった事を2人に伝えた。
「ふふ…私もね、今日同じ事を考えていたよ」
「奇遇ね……私も同じ事を考えていたわよ」
「え?」
すると2人も同じ意見であり、返事を聞いたソラは目を丸くする。
「私、ソラちゃんが居ないと時間が過ぎるのがゆっくりだなぁって…」
「私も……クラスメイトと仲良くなれたけどソラが居ないと何だか落ち着かなくて……まぁ、ちょっと寂しいと思ったけど」
2人もソラが側にいないと寂しかった様で今日の学校生活はあまり集中できなかったようだ。
そんな様子にソラは笑みを浮かべる。
「……どうやら私たち考える事は同じの様ですね」
「「そうね(だね)」」
3人は互いに言いたかった事を言えると笑顔になる。互いに自分達は大事な存在であると認識するとそのまま虹ヶ丘家へ向かうとそこにヨヨがソラの学校に通うための手続きを済ませており、後日から彼女も2人のいる学校へ通う事ができる。
3人はヨヨにお礼を言うとこれからも一緒にいられると喜び合うのであった。