時は数十分前に遡りらんこ達は街の中を歩いているがらんこだけはひかる達と比べて近寄り難いオーラを放っていた。
「ったく、どいつもこいつも私の絵のことを何だと思っているのよ」
「にゃ……にゃん……」
らんこのストレスが伝わってきたのか彼女の腕の中にいるライはげっそりしている。本当なら直ぐにでもらんこの腕の中から脱出したい筈なのに此処へ来る前にらんこに自分の事を好きにしてもいいと言う約束を律儀に守る辺りまさに男の中の男である。
そしてらんこ達の後ろにはひかるとベリィベリーが歩いていた。
「まさからんこさんの絵があれほどまで壊滅的だったとは…」
「我々は何も言わなくて良かったな」
2人は揃ってため息を吐く。実は少し前までソラ達の様に聞き込み調査をしていたらんこ達だがその際にらんこの描いたワシオーンの絵を街の人に見せた際に誰もそれが鷲所が鳥ですら思えず犬や猿だと全く別の動物の名前がでたり挙句の果てには小さい子供から下手くそ呼ばわりされてらんこは不機嫌になり今に至る訳だ。
(なんか俺が怒らせた時よりも怒っているな…)
一見すればソラシド市の時よりも比べると其処までではない様に見えるが近くにくれば肌がピリつき、近くにいる動物達も全員揃ってらんこを唸って吠えたりして警戒しているからそれ以上に怒っている事が分かる。
そしてひかるはこれ以上らんこを放置すればいずれは火山が噴火するかの如く怒りを爆発させるかもしれない。そして飼い猫のライがらんこのストレスをこれ以上間近で感じると精神的に病むと判断して今こそアサヒから託された例のブツが入っている封筒を取り出した。
「らんこさん!実は渡したいものg「ちょっと待て」ベリィベリーさん?」
封筒をらんこに渡そうとするがそこにベリィベリーが割って入ってくる。
「一応聞くが何をするつもりだ?」
「なにって、らんこさんの機嫌を治してもらおうとこの封筒を渡そうと思って」
そう言うとこちらに来る時に持ってきた封筒をベリィベリーに見せる。ひかるの表情からしてそれだけこの中に入っている物に自信がある様だ。
「成る程…だが甘いな。その封筒の中身が何なのかは私にはさっぱりだ。だがな、らんこは今怒っている。それも物凄くな。そんな状態でらんこはそれを渡してみろ。一体どうなるか想像してみろ」
「どうなるって…機嫌を直してくれるんじゃ?」
封筒の中身を見れば怒りに満ち溢れたらんこの表情も笑顔を取り戻してくれるとひかるは確信をしている。
「それはあくまでもお前の理想だ。実際それを貰って機嫌を直してくれるのは100%ではない。もしもだ。仮にらんこにそれを渡す時に"これ貰って機嫌を直してくれ"って言ったらどうなるか想像してみろ」
「どうなるかだって?」
封筒とらんこの後ろ姿を見比べながらひかるは脳内シミュレーションを行う。
──────────
『何か物をくれたらこの私が何でも許す程単純な女に見えるの?そうなの、そうなの。つまりあんたはそんな奴なのね…ヒカロット、血祭りに上げてやるわ」
其処には一瞬にして伝説の超野菜人と化したらんこが怒りの表情を露わにしながらギュピギュピと独特な足音を立てながらこちらへと近づいてくる。
──────────
(不味い、このままじゃ俺岩盤ルートまっしぐらじゃん)
エーミールからの◯ロリーと化したらんこを想像してしまったひかるは慌てて封筒を引っ込める。だが、あくまでもそれはひかる自身の妄想である事は本人はわかっていない。
(ま、まぁ、落ち着け。あくまでも今のは俺の想像だ。それにらんこさんは筋肉ダルマなんかにならないしそもそもこんな街のど真ん中に岩盤なん存在しない…)
落ち着かせる様に己を言い聞かせることで流石に先程のは考え過ぎであると反省する。
そんな時ベリィベリー何かを見つけたのか「あっ」と声を漏らす。それに引かれてひかるはベリィベリーの先にあるもの視線を向けると驚愕の顔を浮かべる。
「らんこ見ろ。立派な岩盤あるぞ」
「岩盤ですって?」
「にゃん?」
「え、がんば……うげええええええっ!?」
何とそこには自分達から10m程離れた先に岩盤らしきものが存在していた。
(何でだよ!?何でこんなところに岩盤があるんだよ!?おかしいだろ!)
街のど真ん中にニ◯ニ◯動画で度々アップされているとあるmadを何十回も見たことあるひかるにはそれが岩盤である事がブ◯リストとしての鍛えられた本能が直ぐに理解できた。
そんなひかるはチラッとらんこの方に視線を向けると何やら興味深そうに眺めていた。
(ま、まさからんこさん…俺をあの岩盤に叩きつけるつもりじゃ)
明らかに岩盤?に興味を示しているらんこを見てひかるは再び脳内シミュレーションを行った。
─────────
そこには伝説の超プリキュアに覚醒して白目を剥いているキュアツイスターが目の前にいるキュアトールに指を指す。
『トジータ、先ずお前から血祭りに上げてやる…!』
そう宣言するとその場から一気にトールへと突っ込んで行く。
『ふおぉっ!?』
対してトールはまるで新幹線の如く突っ込んできたツイスターの動きに対応出来ず強烈なラリアットを受けてしまいそのまま背後にある岩盤に叩きつけられて数mによる大きなクレーターが出来る。
『もう、終わりか…?』
『ぐうっ……くっ……うっ……がっ……あ……あぁっ……』
岩盤に叩きつけられて尚岩盤に押し付けられたトールは最後意識を失い地面に向かって滑り落ちていく。
『終わったな。所詮クズはクズなのだ…』
消え行くトールの意識の中で最後聞こえたのはダークツイスターの罵倒であった。
───────
「ああああああああああっ!?死にたくなああああああいいいいいっ!!!」
「うわっ!?何よ急にびっくりしたわね!?」
突然発狂するひかるにらんこは驚きの表情を浮かべる。対してひかるはらんこに向かってその場に土下座をする。
「らんこ様!わたくしめが悪うございました!安易に物を使って貴女様に許してもらおうとしたわたくしをどうかお許しください!」
そんなにベ◯ータと同じ末路を辿るのが嫌なのか土下座して敬語を使って必死に頭を地面につけて謝罪をするひかるにらんこは先程まであった怒りは吹き飛び顔を引き攣らせる。
「ちょ、ちょっとあんたが何を言っているのかさっぱりわからないわよ。それにアレは岩盤じゃなくてこの街の観光スポットの鏡石よ」
「え、岩盤じゃないの?」
「あら、お望みなら岩盤に叩きつけてあげるけど」
「け、結構です!」
ラリアットをするかの様に腕をブンブンと鳴らすらんこにひかるは慌てて遠慮の姿勢を見せる。それを見てらんこは思わず笑みを溢す。どうやらひかるの勘違いによりらんこの先程まであった怒りは完全になくなった様子だ。そしてらんこの腕の中にいたライは彼女の腕から抜け出すとひかるの姿を見てやれやれと言わんばかりの表情を浮かべる。
一方で先程から2人の会話に混ざらないベリィベリーは岩盤…じゃなくて鏡石を見て何か見つける。
「おい、あの鏡石とやらに誰かいるぞ」
其処には鏡石に手を当てて何かお祈りをしている少女の姿が目に入る。
「ちょうど良い、彼女にも聞いてみるか」
「任せたわよベリィベリー」
率先して聞き込みをしようとするベリィベリーは鏡石の前にいる少女に声をかける。
「すまない。ちょっと尋ねたい事があるんだが」
「あっ、その声はユキ。どうしたの、そんな改ま…ちゃ……え?」
ベリィベリーに声を掛けられた少女は振り返るがベリィベリーの顔を見ると固まってしまう。
「ユキとは誰だ?」
「…あっ!ご、ごめんなさい!わ、私の知り合いと声が似ていて!その…つい…!」
「い、いや、気にするな。私も突然声をかけてすまん」
恥ずかしそうに言い訳をする少女の姿にベリィベリーは一瞬目を丸くするも直ぐさま謝罪する。
そんなやり取りを遠くから見ていたらんこはベリィベリーと話をする少女の口から出た言葉に反応を示す。
「ユキ…ね」
ユキという言葉を聞いてらんこはひかるの世界にいるユキの事を思い出す。
その名の通り白く美しい髪を生やしその性格も相まって美少女と言えるだろうユキ・ハレワタール。らんこが彼女と会ったのはたったの2回でしかないがその僅かな出会いで自分に寄り添いかつてのましろの様に心を癒してくれたのはいい思い出だ。
(思えば最近あっちに行ってないけどユキ達どうしているのかしら?)
最後に会った時には一緒に住むアサヒと付き合っていると聞いたがその後は特に会う機会もなく今頃なにをしているのか気になるところだ。
「あっ、そういえばらんこさん。ユキさんの名前を聞いてある事を思い出したんだ」
「ある事って?」
そんな時ひかるは何かを思い出したと聞いてそれは一体何なのか聞く。
「実はユキさん達はあのヒューストムを倒したみたいなんだ」
「ヒューストム……あのトラッシュトムを!?」
トラッシュトム…もといヒューストムとはらんこがひかる達の世界に迷い込んだ際に対峙した敵でキメラングと共謀して自分を倒して捕まった時には危うく強姦されそうになり再び戦った際に手足を折ったとんでもない存在だった。
それがユキ達の手によって倒されたと聞いて胸が少し軽くなった気がする。
「ああ、らんこさんを裸にした挙句手足を折ったりと酷い目に遭わせたヒューストムはもう居ない。だかららんこさんも安心してくれ」
「ひかる……でも、それってあんたの功績じゃなくてユキ達の功績でしょ。なに自分がやったみたいな感じで語っているのよ」
「うう…らんこさんがマジで辛辣過ぎる……!」
またもや素っ気ない態度を見せるらんこにひかるは涙を流しながらその場で落ち込むとライは無言で彼の肩に手を置く。
一方でベリィベリーは何とか少女を落ち着かせる。
「ご、ごめんなさい。急に声を荒げて…」
「い、いや、気にしないでくれ(何だ?何故かこの少女を見ているとらんことは別に守りたいという気持ちが強くなるんだ?)」
ベリィベリーは目の前の少女に対して今まで感じた事のない感情に戸惑いつつも彼女にも聞き込みをしようとしたその時だ。
「まゆ、何をやっているの?」
「あっ、ユキ!」
そんな時、ベリィベリーに似た声が聞こえてきてまゆと呼ばれた少女はその声の主の姿を見て先程まで緊張していた姿から一変し知り合いが来たのか緊張がほぐれて顔が明るくなる。
そのやり取りを見ていたらんこはユキと呼ばれた人物に視線を向ける。
「(ふーん、あの子がユキね。一体どんな顔をしているのかし…)はあっ!?ちょっとひかる!彼奴!彼奴を見て!」
「どうしたんだらんこさん急に声を上げて?俺今結構落ち込んで…って、あの人は!?」
突然声を荒げるらんこに驚きつつもひかるもユキと呼ばれた人物を見て驚愕の顔を浮かべる。それはかつてらんこ達がデートをした際に突然現れた金髪碧眼の謎の女性であった。
「え…な、えっ?わ、私だと…!?いや、私はこの私ベリィベリーだけだ。まさか、生き別れの姉妹か?」
「貴女はなにを言っているの?」
一方でベリィベリーは目を何度も擦ってユキと呼ばれた女性を見つめて驚きのあまりよくわからない事を口走っている。それもその筈だ。らんこ達とのデートに乱入した金髪碧眼女性は今現れたこの女性ではなくベリィベリーなのだから。
当時ベリィベリーはその姿になる時は特に誰かをモデルにしたとかではなくただ謎のミステリアス美女に化けようと変装したのだが、その時の自身こ変装と瓜二つの女性が目の前に現れて混乱せざるえなかったのだ。それに対してユキはベリィベリーのリアクションと発言に困惑の表情を浮かべる。
「ユキ、よくわからないけどこの人と知り合い?」
「そんな訳「ちょっとアンタ!」…ん?」
まゆの話を否定しようとしたユキだが其処へらんこが割り込む様にその場にやってくるとユキを睨みつける。
「何でアンタが此処にいるのよ…!」
「あなた…いきなり何なの?」
一、二ヶ月前にらんこは目の前の女性(ガワだけの別人)にひかるとのデートを邪魔されたにも関わらずひかるに酷い事をした事については今でも覚えていてまるで親の仇だと言わんばかりに恨みを抱いている。対してユキは初対面にも関わらず敵意剥き出しのらんこに困惑の態度を見せる。それが癪に触ったのからんこは声を荒げる。
「なにすっとぼけてんのよ!?この前はアンタ!よくもやってくれたわね!」
「この前って…本当に身に覚えがないのだけど」
一方的に敵意を向け続けるらんこにユキは己の記憶を思い返してみてもやはりらんことは出会った記憶がなく自身の潔白を証明しようとするが聞く耳を持ってもらえない。
そんな中恐る恐るまゆはユキに声をかける。
「ユキ、この子と知り合いなの?」
「知らないわよ。今日初めて会うわ」
「初めて会うですって?よくもそんな白白しい台詞を言えるわね…!」
らんこにとってはふざけて言っている様に聞こえるがユキは真面目に答えているつもりだ。そもそもこのユキはデートの時に乱入してきたベリィベリーの変装した姿と瓜二つなだけで別人だから本当にらんことは今邂逅したばかりなので当然らんことは今まで会ったことなんてないのだ。
そしてこの蟠りの元凶とも言えるベリィベリーは恐る恐るらんこに話しかける。
「ら、らんこ…ちょっと…いや、かなり落ち着いてくれ。き、きっと別人…じゃ…ないのかなぁ?」
「ベリィベリーあんたは黙って…って、どうしたのよその顔色は!?」
今は邪魔であるから引っ込んでいろと言おうとしたらんこだがベリィベリーの顔色が青紫色になっている事に驚きの表情を浮かべる。正にブルーなベリィベリー、略してブルーベリーである(は?)。
「わ、私の顔色はふぅ…き、気にしないでくれ…グフッ」
「いや、その顔色を気にするなって言われて気にしない奴なんて居ないわよ」
突然顔色が真っ青と化したブルーベリー…じゃなくてベリィベリーにらんこはまさか毒蛇にでも噛まれたのかと心配する。
一方でベリィベリーは自分の私怨による変装をらんこ達に黙っていた事で偶々出会ってしまった自分の変装した姿にそっくりなユキに全く因縁に巻き込んでしまった罪悪感で精神的に死にかけていた。
「ねぇ、その子病院に連れて行った方がいいんじゃないかしら?」
「五月蝿い!アンタに心配される筋合いは無いわよ!」
「っ、さっきから何なのよ!人が折角心配しているっていうのに!」
「らんこさん!幾ら何でも言い過ぎだ!」
暴言を放つらんこにひかるはらんこを宥めようとするが彼の声はらんこに届いていなかった。
そしてらんこは更に暴言はエスカレートする。
「そもそもアンタは何でここにいるのよ!私は言った筈よ!二度とその
「っ!酷い!ユキにそんな事を言うなんて…!」
すると先程までまで黙っていたまゆがらんこのユキへの暴言が耐えられなくなったのからんこに口を挟む。そんなまゆに対してらんこはギロっと睨むとまゆは思わず「ひっ」と悲鳴を漏らして後退りする。
「て言うか、アンタ誰よ。この女とどんな関係なのよ」
「まゆに話しかけないで!」
物凄く不機嫌ならんこは意識してないが目が普段より鋭くなり無意識にまゆを睨んだ事でユキはまゆを守ろうと彼女の前に立つ。
「何よ。アンタその子と何の関係なのよ」
「まゆは私にとって全て…あなたが誰かは知らないけどまゆに害を成すつもりなら…容赦はしないわ」
決して脅しとかではない。ユキの発言は本気である事が声色から察せられる。そんな緊張感あるやり取りにひかるは思わず黙り込み唾を飲み込む。そしてベリィベリーは過呼吸を引き起こしている。
「……へぇー、そういう事」
一方でらんこは何かを察した様子だ。
「あんたさっきからその態度、この前と違ってやけに優しく接しているようだけど。さてはこの子の前では猫被っていい子ぶっているのね。本性はとんでもない性格をしているのに」
「いきなり何を言うの!?」
流石に今のは聞き捨てならないと言わんばかりにユキは声を荒げる。
「あら、図星を言われて焦ったのかしら?まぁ、アンタがその子の事を大事にしているのは見て分かったわ。でも、アンタは今幸せな事をしているみたいだけど今までやってきた過去は消えないのよ。どう足掻いたってね」
「っ!…過去は……消えない…」
「ユキ?」
するとらんこの言葉にユキは何か思い当たる節があるのか動揺を見せる。その姿を見たらんこは更に口を開く。
「ええ、そうよ。アンタが何の目的でやったのかはイマイチわからないけどあんたのやらかしで傷ついた
「わ、わたしは……」
ユキは反論しようとするがその先の言葉が口から出ず息を荒くしていく。それを見たらんこはユキが罪悪感を抱いている事を見て「ふんっ」と鼻を鳴らす。
「漸く反省する気になったのね。全く、最初から忘れたなんて嘘を吐かずに謝っていれ──」
─バシィンッ!
"謝っていればいい"。そう言おうとしたらんこだがその瞬間、先は言えなかった。
「……」
「ま、まゆ?」
言えなかったのはユキの後ろにいた筈のまゆがらんこの頬を叩いたのだ。らんこは突然のビンタによる鋭い痛みに呆然とする中でまゆは涙を浮かべながららんこを責める。
「やめて!ユキに酷いことを言わないで!」
「…なによ、なんでそんな奴に!」
まゆに責められながらもらんこは痛む頬を抑えながらまゆを睨み返す。だが、まゆはその睨みに臆さずらんこに怒鳴る。
「あなたが過去にユキと何があったのかは知らない!でも、私は今までユキに何度も救われてきた…どんな時でも私のそばに居て私を守っていてくれた…そんな大事なユキを…私の家族を傷つけるなら私はあなたを許さない‼︎」
「っ!」
涙ながら訴えるまゆの姿にらんこは後退りする。先程まで初対面のベリィベリーや自分達に激しい人見知りを見せていた彼女なのかと疑いたくなるその強い眼差しを向けられて動揺する。そして、まゆの後ろで涙を浮かべそうになるユキの姿にらんこは冷静さを取り戻す。
(私は何をやっているの…私はただ、彼奴にひかるに謝って貰うつもりなのに……泣かせるなんて……)
漸く己の行動を自覚したらんこは次の瞬間強い嫌悪感が襲い掛かる。このやり取りは昔、小学生の頃に何度も体験した虐めだ。当時は虐められる側だったらんこだが今度は逆に自分が虐める立場になることになるとは…。
「…もう良いわよ!」
「あっ、らんこさん!」
「えっ、あっ、ちょっ…ちょっと待ってくれぇー!!!」
そしてらんこはその場の空気と己のやった行動に目を背ける様にその場から逃げる様に離れる。
そしてその彼女を追い掛ける様にひかると少し悩んだ後、ひかるに続く様にベリィベリーもその場から離れていく。
そしてその場に残されたユキは恐る恐るまゆに話しかける。
「まゆ…あなた」
「ご、ごめんユキ…でも、私ユキの事を悪く言われるのが耐えられなくてそのつい……」
我ながら初めて会うらんこに怒鳴った事にまゆは恥ずかしそうにする。そんなまゆにユキが何か言おうとした瞬間。
「にゃー」
「え?」
「この声は…」
どこからともなく聞こえてきた猫の鳴き声に2人は周囲を見渡すと自分達の足元にいる見覚えのある猫の存在に気がつく。
「あなたは確か…」
「さっきの奴らと一緒にいた…」
「にゃあ……にゃおん」
2人の目の前にいたのは先程までらんこ達と共にいたライだった。何故ライは3人の後を追わずに残っているのか疑問に思っているとライはお辞儀をする様に2人に向かって頭を下げるとその場から去っていく。
「さっきの子…頭を下げていたけど、何を伝えたかったの?」
「…"うちの奴等の所為で気を悪くして悪い。だが、彼奴らも悪い奴じゃないんだ"って言ってたわ」
ライの言葉を何故か理解するユキにまゆは特に疑問を思わず走り去るライの後ろ姿と先程までユキに対して怒っていたらんこの姿を思い返す。
(あの子…私の友達のユキと同じ名前って言ってたけど、そのユキってどんな子なのかな?)
自分にとって大事なユキを傷つける言動を放ったらんこをすぐ許す事は出来ないが彼女の口から出たもう1人のユキの子についてまゆは気になるのであった。
そしてそんな2人の様子を監視するかの様にすぐ側に一台の自動車が止まっていたが、らんこ達の走り去った方向に動き出すのであった。