アニマルタウンのとある一角にある山。其処には緑が溢れておりそこに住む動物達は緑溢れる自然と共に平穏に生きている。
だが、そんな平穏はまるで流れ星の様に落ちて来たダークツイスターの衝撃音と共に崩れ落ちる。
「い、いつつ…一体何が起きたのよ…!」
山のとある場所に墜落したダークツイスターは落下した際に地面に叩きつけられた全身の痛みに耐えながらもゆっくりとその場から立ち上がり周囲を見渡す。其処には己が落下した衝撃で木が数本根元から折れ、更には地面も割れている。そんな彼女を警戒又は怯える様に見つめる動物達の姿があった。
「たしか…私は空からワシオーンを探そうとしてたら…視界の端から飛んできた光の玉にぶつかって…それで落下したのよね?」
折角気分転換も兼ねて空を飛ぶつもりがまさかのバードストライクではなくシャインストライクを喰らってしまう羽目になるとは思わなかった。
取り敢えず動物達の視線に耐えられずその場から歩き出す。
「痛みは……あるけど動けない程じゃないのね」
軽く身体を動かして確認したが空から落ちたにも関わらずダメージが少ない事に彼女は不思議に思った。普段ならプリキュアの状態であっても今の様に落下して受け身を取らなければ重いダメージは入る筈だ。だけどダークツイスターは体が通常のツイスターよりも頑丈である様で其処まで気にする程の痛みは感じなかった。
だが、それはそれとして少し気がかりな事があった。
「あの時、私にぶつかった光の玉…前に何処かで見たことある様な…」
脳裏に思い出すのは自分が落下する原因となった光の玉だ。あの光の玉は一瞬とはいえ既視感があるも思い出そうとすると何故か寒気の様な感覚に見舞われる。何故寒気を感じるのかダークツイスターは疑問を抱きつつも下手に思い出せば何かトラウマに近い何かをフラッシュバックしそうだからこの考えは忘れようとしたその時だ。
「おわっ!?な、なんなの…!?」
何か地面に石でも飛び出していたのかダークツイスターはそれに躓いてしまうがなんとか踏み止まった彼女はその場を振り返ると其処には黒い石のような何かが地面から飛び出していた。
「これって…石なの?」
地面から飛び出ている何かは石?を暫く眺めるダークツイスターだが、その石から発する何かに惹かれたのか無我夢中で地面に埋まっている石を掘り返す。
地面から掘り返すそれは石では無かった。それは楕円形で全体的に黒く黄色い模様が入っている卵の様なものだった。
「これって…卵?」
地面から掘り返したものは石でなくダチョウの卵の様なデカい卵だが、それは自分の知る卵とは見た目が違って全体的に黒く黄色い模様が入っていた。
普通なら先ず現実的ではない柄と色をしている卵をポ◯モンやデ◯モンを連想させる。
「この子の親は…いないみたいね」
一応周囲を見渡すがこの卵の持ち主であろう親の動物らしき存在は確認出来なかった。気になって掘り返したがこの卵を一体どうすれば良いかダークツイスターは頭を悩ます。土に卵を産む動物といえば亀を想像させるが明らかに亀の卵ではない様に思えた。
「流石に放置は…出来ないわよね」
少々罪悪感を抱きながらもダークツイスターは目の前の卵を拾い上げる。本来ならこう言う事は禁忌で掘り返したのなら埋め直した方がいいのだが、先程の彼女の様に掘り返す動物が出るかもしれないと考え、もっと安全な場所に埋めた方が良いと考えて卵を持って行こうとする。
だが、その時突然地面が揺れる。
「な、なにっ!?なんなの!?」
突然地面が揺れる感覚を受け、地震でも起きたのかと思ったがそれはすぐ違うと断定する。何故ならその揺れる感覚と共に近くから大きな足音が響き渡り次第にその足音が大きくなっていく事から何かが近づいているのだろう。
ダークツイスターは足音が聞こえる森の奥を警戒して目を集中させると其処に見覚えのあるシルエットが姿を見せる。
「オオオオオオンッ!!!」
「わ、ワシオーン!?」
現れたのは大きな両翼を羽ばたかせつつ何やらこちらを警戒する様に見つめるワシオーンの姿だ。ダークツイスターはまさか自分が墜落した山の中にいるとは思ってもなく、正に怪我の功名というものをその身で体験した所だ。
「まさかこんなところに居るなんてやっぱり私の悪運も捨てたもんじゃ「オオオーンッ!!!」へ?きゃっ!?」
相変わらず己の悪運っぷりに自嘲するダークツイスターだが、そんな彼女にワシオーンはヘッドバンキングをするかの如く突然頭をダークツイスターに向かって激しく振ってくる。危うく鋭い嘴が彼女の頭を貫こうとしだがダークツイスターは咄嗟に避ける。もし避けなかったらスプラッターな光景が出来上がるところだった。
「いきなり何をするのよ!?それに卵が危ないじゃない!」
突然攻撃して来たワシオーンに思わず怒鳴り声をあげるダークツイスター。今の彼女は卵を持っている為もしもワシオーンの攻撃が当たりでもしたら卵が割れる事になっただろう。だが、そんな事お構いなしと言わんばりにワシオーンは鋭い嘴による乱れ突きに加えて猛禽類である特徴的な足を使ってダークツイスターに襲い掛かる。
「お、落ち着きなさい!私よ!ツイスターよ!」
「オオーンッ!!!」
自分は敵ではないと説得の声をかけるもワシオーンは聞く耳を持たず攻撃を続ける。そしてその際にワシオーンの蹴りが避けられて地面を深く抉り、その際に地面にあった石が弾かれて卵に向かって飛んでくる。
「危ない!いだっ!?」
ダークツイスターは卵を守る為庇ったがの額に命中してしまい彼女は思わず額を押さえて悶絶する。その隙にワシオーンはダークツイスターを足を使って地面に取り押さえる。同時に彼女の中で何かがキレる。
「この…いい加減にしなさいっ‼︎」
「オオッ!?」
鬱陶しく思ったダークツイスターは我慢出来ず全身から強力な風と漆黒のオーラを放ちワシオーンの拘束から抜け出すと残像を残す勢いでワシオーンの周囲を飛び回り翻弄する。
ワシオーンはダークツイスターが増殖したのかと錯覚するくらいの残像に次々と目を動かしてやがて目を回してふらついてしまう。
「卵が…割れるでしょうが!!!」
「オブアッ!?」
ワシオーンがふらついたところでダークツイスターは強力な蹴りをワシオーンの顔に向かって叩き込む。それによりワシオーンは気を失って地面に倒れるのであった。
「ふぅー…ふぅー……あっ!いけない!つい手を出しちゃった!」
一撃をお見舞いした事で冷静になったダークツイスターは卵を守るとはいえ我慢出来ずに攻撃した事に顔を青ざめる。慌ててワシオーンの状態を確認すると顔が腫れているものの息をしている事から彼女は安堵の息を吐く。取り敢えずワシオーンを介抱しようとすると上から何かが聞こえてくる。
「らんこおおおおおおっ!!!大丈夫か!?」
「にゃーっ!」
「らんこさん無事か!?」
「あっ、トールにベリィベリーとライ!」
空から降りてきたのはライとベリィベリーを抱えたトール達だ。彼等はダークツイスターの無事な姿が確認した事に安心しかけるがその後ろに倒れ伏しているワシオーンの姿を見て顔が固まる。
「わ、ワシオーン!?えっ?らんこまさか仕留めたのか!?」
「ち、違うわよ‼︎いきなり人聞き悪い事を言うんじゃないわよ!」
倒れているワシオーンを見てベリィベリーは最悪な想像をしてしまう。一方であらぬ誤解をされたダークツイスターは慌てて否定する。
「落ち着いてくれらんこさん…ベリィベリーさん。らんこさんが幾ら機嫌が悪くたって人や動物にあたる事はしないって知っているだろう」
「うっ…すまない」
「別に気にしなくていいわ。私としてはこの子が無事で良かったから」
「なんだその卵?デ◯タマか?」
先程の発言を謝罪するベリィベリーにダークツイスターは気にしてない様子だ。それはそれとして一体何があったのかと説明しようとした時、新たに4人分の足音が聞こえてくる。
「らんこさーん!」
「あっ、ソラ。それにましろ達も」
新たにやってきたのはソラ達だ。彼女達もダークツイスターが山に落ちる所を目撃して急いで駆けつけてくれた様だ。ソラ達は元気に動いているダークツイスターの姿を見て安堵しかけるが彼女の側に倒れるワシオーンの姿を見て先程のトール達と同様に固まってしまう。
「ら、らんこさん…まさか…!」
「せ、説明させて!確かにワシオーンに攻撃したけど、それは最初にあっちが先に仕掛けたのよ!だから私はこの卵を守ろうと正当防衛を行使したまでよ」
「…ま、まぁ、それは仕方ないですよね」
一瞬ベリィベリーと同じくあらぬ誤解をしたが其処は当事者であるダークツイスターが説明する事でソラ達は納得する。
だがそこへツバサはある疑問が生まれたのか口を開く。
「ちょっと待って下さい。なんでらんこさんがワシオーンに襲われたんですか?シャララ隊長が言うには人を襲わない筈なのに」
「言われてみたらそうだよね…」
思い出すのはスカイランドで初めてシャララと出会った時にその場に居合わせたワシオーンはソラ達を襲わず何故からんこを襲った事だ。シャララ曰くワシオーンは人を襲わない様に躾をしているにも関わらず、らんこを襲い今回もいきなり襲いかかってきた事に疑問が生まれる。
「結局あの時襲った理由ってわからないままだけど…らんこちゃん心当たりは?」
「あるわけないでしょ。仮にあったとしても襲われない様に努力はするわよ」
ましろに襲われる心当たりを聞かれるが当然ダークツイスターは心当たりは無かった。結局何故ダークツイスターが襲われたのか分からずじまいだ。
「あのぉ…私も一つ気になってたのですが、らんこさんの持つその…真っ黒な卵は一体?」
「ああ、実は俺もさっき気になって聞こうとしてたんだ」
そんな中新たに疑問が浮かんだソラは先程から彼女の持つ謎の卵について指摘するとトールだけでなくあげはも興味津々に卵を見つめる。
「私も気になってたんだよね。なんか随分…おどろおどろしい?禍々しい見た目をしているけどそれってなんの卵なの?ひょっとしてポ◯モンの卵?」
「いや、どちらかといえばデ◯モンの卵、略してデ◯タマじゃないのか?」
謎の卵を見てかたやポ◯モン派のあげはとデ◯モン派のトールはそれぞれ自分達の好みの作品に登場する卵であると言い合い始める。
「さぁ、私もわからないわ。なんかこの山に墜落した時にタケノコみたいに地面から飛び出していたから危ないと思って拾ったの」
「いや、拾ったってそんな道端に落ちていた綺麗な石を持ち帰るみたいなノリで言わないでよ」
「と言うか正体を知らずに拾ったのか…」
特に卵の正体を知らず軽い気持ちで拾ったダークツイスターにましろとベリィベリーは困惑の表情を浮かべる。そんな2人を見てツバサは軽く溜息を吐きながらも手を叩いて全員の注目を集める。
「その卵の正体については後で調べましょう。先ずは本来の目的であるワシオーンです。あげはさん、取り敢えずミックスパレットで回復させてください」
「別に構わないけど…大丈夫かな?」
もし回復させてしまったらダークツイスターに襲い掛かった時の様に今度は自分達に襲い掛かってくるのではと心配する。
「其処に関しては僕が説得するのでご安心を」
「そっか、ツバサ君は鳥だから同じ鳥のワシオーンの話なら聞いてくれそうだね」
今まで動物との交渉、通訳をしてきた実績を持つツバサなら何とかなるだろうと一同は強い信頼があった。
「それなら早速お願いしま──」
「「あああああああーっ!?」」
『ん?』
その時、聞き覚えのない声が自分達の背後から聞こえてくる。ダークツイスター達は今度は誰が来たんだと思いつつ振り返ると其処には1人の少女と1匹のパピヨン犬の姿があった。
だが、その場に現れた彼女達にいち早く驚きのリアクションを見せたのはソラとましろだ。
「いろはさんとこむぎさん!?」
「ええええっ!?どうして此処にいるの!?」
「なに、知り合いなの?」
ダークツイスター達にとっては初めて会う筈の少女とその犬…いろはとこむぎだが、ソラとましろは少し前に彼女達と出会って知り合ったのだ。そんないろは達が何故此処にいるのかソラ達が疑問に思っているといろはもソラ達の存在に気付いたのか思わず声を上げる。
「ええええっ!?ソラちゃんにましろちゃんもなんで此処にいるの!?」
「それはこっちの台詞ですよ。なんでいろはさん達は此処にいるんですか!?」
自分達はワシオーンを探しと墜落したダークツイスターを探しにこの山へ来たのに対していろは達はなんでこの山へ来たのかとソラは思わず指摘するといろはは「えっ」と思わず声を上げ、動揺を見せる。
「え、えっと…わ、私は……そう!こむぎと散歩しに来たんだ!」
「えっ、散歩?こんな山奥までですか?」
幾ら地元に住んでいるとはいえこんな山まで態々散歩をしにいく物なのかとソラは疑問を抱く。一方のいろはは流石に苦しい言い訳なのか冷や汗をダラダラと流し始める。
「そ、それよりソラちゃん達こそどうしてこの山に!?と言うかその鷲君は何で気を失っているの?」
「実はこちらにいるらんこさんがこの山へ墜落したのを見て急いでこの山へ来たんです。そしてこちらのワシオーンについてはらんこさん曰く襲いかかってきたので正当防衛をしてしまったとのことです」
「ちょっと!何普通に説明しちゃっているのよ!」
「あっ!しまった!つい喋ってしまいました!」
いろはに聞かれてしまいつい反射的に喋ってしまったソラはダークツイスターの指摘で慌てて口を塞ぐが既に手遅れだ。
チラッと視線をソラからダークツイスターにずらしたいろは。
「ワシオーンって名前なの?と言うかその子が倒したって、その子の格好ってまさかプリキュア!?それにそっちの黄色い子もそうなの!?」
『えっ!?』
いろはの発言に一同は驚きの声を上げる。何故彼女はダークツイスターとトールの事を見てプリキュアと呼んだのか、それ以前にプリキュアを知っていることが気になっていた。だが、それよりも驚くことが起きる。
「いろはいろは!あの子ガルガルの卵を持っているわん」
「こ、こむぎ喋っちゃ駄目だよ!」
「あっ、しまったわん!?」
なんと更に驚くことに犬のこむぎが喋ったのだ。一同は一斉に驚きの声を上げようとするがそれよりも先にツバサが声を上げる。
「い、い、犬が喋ったーっ!?」
「ねぇツバサ。それって持ちネタのつもり?」
何処か見覚えある反応をするツバサを見てダークツイスターはデジャヴを感じながらもツッコミを入れる。
一方でソラ達は少し遅れてリアクションを見せる。
「ど、どう言う事!?こむぎちゃんが、えっ!?しゃべ、喋っている!?」
「ま、まさかこむぎさんはコメコメさん達と同じって事ですか!?」
「いやいや、そんな訳……ないよね?」
知っての通りこちらの世界は基本的に人間の様に喋る動物は存在しない。だが、ゆい達の相棒的存在でエナジー妖精の様な例外が存在する為、ひょっとしたら目の前のこむぎはその例外にあたる超常的存在なのではと何人か思い込む。
そんな中いろははこむぎが喋った事を誤魔化すかの様にダークツイスターに話しかける。
「そ、それよりもそこの黒い君!今すぐそのガルガルの卵を離して!」
「は?急に何を言って──」
─ピキッ
「……ぴき?…え、今割れる音が?」
自分の手から何か割れる様な音が聞こえたダークツイスターは視線を自分の手……と言うよりその手の中にある卵へ向けると其処には表面にヒビが入っており、更に大きくヒビが入っていくのが確認される。
「え、まさか生まれるの!?」
「えええっ!?や、やばい!早くそのガルガルの卵を離して!」
「何を言っているんだ?こんなタイミングで離せって」
何やら慌てて卵から手を離す様に指示を出すいろはに一同は首を傾げる。それどころから先程よりヒビが入ってまもなく姿を露わになりそうだとわかるとソラ達は卵の中にいる動物の誕生を見ようと卵の周りを取り囲むように立つ。
「う、産まれちゃいます‼︎どうしましょう…何か必要なものはありませんか!?」
「お、落ち着いて!こう言う時は熱湯とタオルがって、そんな物今ないよぉ!」
「安心しろましろ!偶然にも此処にシャララ隊長が誤って用意した白湯の入った水筒とタオルがあるぞ!」
「なんでそう都合よく用意できるんですか!?取り敢えず2人とも落ち着いてください!」
「ボタ◯ンか?それともポヨ◯ンが生まれるかな?」
「いやいやここは◯ャタピーかケ◯ッソでしょ」
「あかちゃんあかちゃん♪」
「いや、あんた達は一体全体何を言っているのよ…」
テンパるソラとましろにベリィベリー。そんな彼女達を宥めるツバサに卵の中身がデ◯モンかポ◯モンだと思い込むトールとあげはに加えてこれから産まれてくるであろう生命の誕生にエルは目を輝かせながら楽しみにしている事に若干呆れ顔を浮かべるダークツイスター。そして卵はまもなく生まれると言わんばかりに先程よりも殻に大きなヒビが入る。
「それにしてもいったい…なにが生まれ…って、あれ?なんか様子が?」
殻を突き破って中から生命が飛び出すと思い込んでいたダークツイスターだが何やら卵の殻が割れた箇所から黒い煙の様な物が漏れ出している事に目を疑った。
そしてその煙は何やら大きなまるで動物の形へとなっていく。
『ガルガルゥゥゥゥゥゥゥウ!!!』
『ええええええええっ!?』
「な、何よこれ!?」
そこに現れたのは普段自分達が戦っているランボーグとほぼ同じくらいの大きさをした黒い仮面を着けた漆黒の鷲なのであった。