ソラが転校してから数日の時が過ぎた。その間は学校に再びカバトンとキメラングが襲撃してくる事は無く平和であった。だが、らんこにとってはこの数日間、違った意味で平和ではなかった。
「はぁ……」
現在らんこは学校に登校してきたばかりで自分の席に座ると、ため息を吐く。表情も若干暗く疲れを感じさせる。なぜ、こんな状態になっているのかはそれはソラが転校してきてから翌日の日に遡る。
ソラが転校初日にらんこはツンデレという言葉を言い放った事がきっかけでクラスはある意味盛り上がり、更には流行病の如くそれは他のクラスへと伝わっていく。結果、らんこがツンデレ系女子というイメージが定着して、それが原因でらんこにストレスが溜まってしまったのだ。
取り敢えず事の発端であるソラのこめかみに拳骨をぐりぐりと押し付けたのは決して悪いことではないのは確かだ。
一応この事をあげはに相談してみたものの……
『そうだねぇ……私は恥じらうらんこちゃんの方が好きかな』
『いや、あげは姉さんも弄らないでよぉ!』
と言った感じにあげはも面白がっている様子でちゃんと相談に乗ってくれなかった。しかし、噂なんて暫くすればほとぼりが覚めるだろうと思い暫く我慢しようとした矢先だ。更に問題が発生した。
「はぁ……まさか私がこれを貰う時が来るなんて……」
そう言って机の引き出しから数枚の封が剥がされた手紙を取り出す。最初これらが下駄箱に入っていた時何なのかわからなかったが、ましろからの指摘でそれはラブレターと判明し、らんこは酷く動揺した。
『わ、私…ラブレターなんて貰った事ないのに……ど、どうしよう…⁉︎』
『
『ましろさん、本音が漏れています!』
自分みたいな元不良がラブレターなんて貰うとは思ってもみなく、動揺のあまり涙目&赤面になるらんこ。そんな彼女を見て思わず本音が出るましろにそれにツッコむソラ。
その後、ましろは正気に戻るとらんこを宥め、取り敢えず告白してきた男子生徒には申し訳ないがらんこは恥ずかしがりながらも断りを入れる。
『ご、ごめんなさい…わ、私恋愛なんて…き、急には無理です……』
『う、うおおおっ⁉︎』
断る時の口調が普段と全く違う上に赤面しながら恥ずかしがるその姿に男子はショックを受ける。だが、そのショックは告白を断られた悔しさのショックでは無く、普段の彼女とのギャップの違いに対するショックだ。
男子生徒はらんこの事をツンデレと思っていたが、目の前で恥ずかしがるらんこの姿に物凄く胸が打たれる思いだった。まるで、アイドルを自分の推しにするかの様に。
そして、その光景を目撃した複数の生徒達がその時の状況を詳しく広めた事により恥ずかしがり屋派の数はツンデレ派と五分五分になった。
なお、その事をらんこが知るとソラに再び拳骨ぐりぐりの刑(八つ当たり)をしたのだった。
(正直言ってあまり恋愛とかって分からないのよね……)
告白してきた男子達には申し訳なく思っている。ただ、恋愛経験ゼロの自身にいきなり告白からのお付き合いは難易度が高過ぎる。
更に言うとプリキュア活動もあり、恋愛をすると生活に支障が出るかもしれない。と言うかプリキュアって恋愛はOKなのかどうかも分からない。
それにらんこ達は互いにプリキュアとスカイランドの事は口外しない事にしているのだ。勿論両親にも黙っている。だが、自分達がプリキュアである事を相手側が予め把握していればギリ大丈夫かもしれないが、そんな条件を満たしている男子なんて身近にいない。
(それなら恋愛なんて私には無縁ね……)
恋愛は自分達にとって関係ない話だと割り切ろうとすると、
「おはようらんらん」
「ん、おはよう」
背後から話しかけられ慌てて手紙を引き出しの中に仕舞ったらんこは振り返って挨拶をすると、仲田と吉井と軽井沢の3人が立っていた。
「あれ、ソラちゃんとましろんは?」
「いつもならこの時間にはもう来ているんだけど、今日はやけに遅いのよ」
教室の掛け時計に視線を移しながら答える。普段なら仲田達よりも早く登校しているソラとましろが来ているが今教室を見渡しても彼女達の姿は見当たらない。
「まぁ、お人好しのソラの事だからどうせ重たい荷物を運んでいるお年寄りを見つけて助けて、ましろはその手伝いでもしているでしょうね」
「あ〜、確かにヒーローガールならやっていそう」
らんこの推測に軽井沢も同意すると仲田と吉井も頷く。
「ところで風波さんってプリキュア「プリキュア⁉︎」って、知ってる…って、何でそんなに驚くの?」
一瞬、自分がプリキュアだとバレたのかと動揺するが、そうじゃ無いと分かると落ち着く。
「な、何でもないわ……それでプリキュアがどうしたの?」
「いやさ、この前俺たちがプリキュアに助けられたって知っているだろう」
「そういえば、そんな事あったわね」
本当はよく知っている。と言うよりも自分達が3人を助けた張本人であると思わずツッコミたくなったがぐっと堪える。
「この前、ソラちゃんが転校してきた日に現れたのもそうだけど、その子たちは今年の春くらいから現れたんだよね」
「3人の女の子が悪と戦う。まさにアニメでありそうな感じで人気があるんだよねー」
仲田と吉井もプリキュアについてある程度知っている様だが、それを聞いてらんこは自分達の活動が周知されている事に焦りを感じる。もしも、自分達がプリキュアだってバレると面倒くさい事になるに違いない。そう思った彼女はボロを出さない様に3人の話に合わせる。
「そうね。改めて思うと3人の女の子で青、緑、白?…ピンク?……まぁ、どっちなのか分かりづらいけど、色合い的に◯ワパフ◯ールズを連想するわ」
「ず、随分懐かしい作品を知ってるね」
らんこの口から◯ワパフ◯ールズの名が出るとは思ってもみなく意外さを感じた3人。
余談だがらんこは◯ワパフ◯ールズZの方が好みだったりする。
「ところであんた達はプリキュアについて何処まで知っているの?」
取り敢えず正体はまだバレているとは思えないが、3人が何処までプリキュアを把握しているのか確認を取ろうとする。
「お、よく聞いてくれました!勿論ある程度の事は把握済みだ。まずキュアスカイ。この子は一番最初にこの街に現れたプリキュアで青が特徴的のヒーローの様な衣装を纏った子で主に近距離戦を得意として必殺のパンチで怪物を倒すカッコいい子だよ。2番目はキュアプリズム。可愛い白い衣装を纏った子でスカイとは違って主に手から光の玉を放つ攻撃を得意としている。そして最後はキュアツイスター、この子は緑のセーラー服の様な衣装の上にマフラーを付けている。カッコ良さと可愛さを両立させた感じになっている。後から出てきたけどその活躍はスカイとプリズムにも負けない。マフラーを使ったり風を纏って戦ったりするバトルスタイルは2人とはまた違った個性があって良いんだよね」
「ふーん……」
らんこは軽井沢の発言に興味なさげな反応を見せる。だが、実際は知らないとはいえ本人を前に堂々語っている事に恥ずかしさを感じて薄らと顔が赤くなっている。
「まぁ、今の所これくらいかな。自分で言うのも何だけど中々の知識量だと思う。もし、プリキュア検定なんてものがあったら俺1級を取れる自身がある」
「は?」
自身のプリキュアの知識を披露した軽井沢であったが、プリキュアの事をよく理解している。それはつまりプリキュアであるソラやましろの事をよく知っているという発言にも捉えたらんこは思わず自身の中にある対抗心が燃える。
2人の友達かつプリキュアという秘密を共有している自分を差し置いてたかがプリキュアの少しの知識を披露しただけで彼女達の全てを知っている風な口の軽井沢にイラッときた。
「プリキュア検定で1級……たったそらぐらいの知識でプリキュアの事を知り尽くしているなんて片腹痛いわ!」
「「「……え?」」」
3人はらんこの発言にきょとんとなる。普段のらんこならこんな海◯雄山みたいな台詞は吐かないだろう。だけど今の彼女はここ最近の学校の出来事で精神的疲労が溜まりテンションがおかしい事になっていた。
「いい?キュアスカイの必殺技は"スカイパンチ"と言って、青空をバックに強く踏み込みを入れて対象の相手に対してストレートパンチを放つ技よ。確かにスカイは近距離を得意とするけどスカイパンチを応用してスカイショットガンっていう遠距離の技も持っている。プリズムはプリズムショットって言う普通の光弾とは違い大きな光弾を放つ技で一見スカイパンチと比べると地味に思えるかもしれないけど、その光弾の威力はスカイパンチと同等の威力を誇るわ。因みにだけどプリズムショットを放つ前にヒーローガールって言うけど、これはスカイの台詞をリスペクトしたのよ。あと、他にも光弾を激しく光らせて相手の目を潰したりするサポート技もある!」
「お、おう……風波さんよく知っているね」
「早口になってたね」
「……あ」
気が付いた時には思わず口に手を当てる。つい、ソラとましろについて自身の知る限りの事を話してしまった事に今更ながら後悔する。
ひょっとしたら自分達がプリキュアってバレるかもしれない。そんな嫌な想像をしている時だった。仲田がらんこに話しかける。
「もしかしてらんらんって物凄いプリキュアオタクなの?」
「……へ?……あっ、そ、そうそう!そうなのよ!私もプリキュアの事が好きだからつい色々言っちゃったわ」
仲田の言葉に思いっきりらんこは乗り掛かる。やや強引ではあるもののこれなら上手く誤魔化せるかもしれない。そう思ったらんこは自身がプリキュアオタクだと言い張ると仲田と吉井は「やっぱり〜」と信じ込む。
「風波さんありがとう!俺が知らないプリキュアの情報を教えてくれて!」
「べ、別にこれくらい普通よ。ただ、あんたの情報が少なさに呆れて仕方なく教えただけだから……」
一方で軽井沢は自分が把握してない情報を詳しく教えてくれたらんこにお礼の言葉を言うが、らんこはいつもの謙虚な台詞に思えるが実際は心の中で思った事をそのまま口に出す。
「あ、出た。らんらんのツンデレ!」
「だからツンデレじゃないわよ!」
仲田にはいつものツンデレ対応かと思い''ツンデレ"と呼ぶとらんこは声を上げ、それを隣で見ていた吉井と軽井沢は笑う。
「ところでさ風波さんはツイスターについて何処まで知っている?」
「へ?…何処までって言われても……」
軽井沢の質問に思わず言葉が詰まる。そりゃそうである。ツイスターはらんこ自身であるからツイスターの知識について語る事は自分の事を説明すると言う事にもなる。下手に語ったら墓穴を掘るかもしれない、そう思ったらツイスターの事は極力知らない振りをした方が良いのではと思っていると、
「らんこちゃんおはよう」
そんな時、教室の扉からましろが入ってくる。らんこは彼女がやってきた事をチャンスだと思った。ましろと会話を広げれば軽井沢は話をするのを諦めるかもしれない。そう考えてましろに話しかけるが、
「ましろ、今日はやけに遅かったけど……あれ、ソラはどうしたの?」
ましろが教室に入ってきた事を確認するがソラがいない事に気づくらんこ。まさか、本当に困っている人がいたから助けたりして後から来るのかと思っていると、
「えっと……今日ソラちゃんは体調を崩して休むことになったよ」
「は?」
「ええっ!?」
「嘘ぉっ!?」
「あの最強の健康優良児が!?」
ましろの言葉にクラスの皆んなが大きな反応を示す。それはそう、ソラは転校初日のスポーツテストで全ての種目を一位で取る成績を誇る。
そんな彼女が体調を崩すなど到底信じられない話だ。
「ちょっとましろ、ソラが体調を崩したって嘘でしょ⁉︎」
らんこもソラの頑丈さをよく知っている為、体調を崩したなど信じられなかった。対してましろは「うん」と体調を崩したなど嘘であると認める。
「実は昨日ツバサ君の事でね」
「翼?」
ましろの口から知らない人物の名前が出た事にらんこは首を傾げる。
「あ、そういえばらんこちゃんはツバサ君の事知らないよね…」
「知らないわよ。というか本当に誰よ?……まさか、あげは姉さんに続いて第二の幼馴染なの?」
「ううん、違うよツバサ君はね……」
全く事情が飲み込めないらんこは取り敢えずましろの話を聞く。
昨日ソラの部屋にツバサという少年が入り、エルに近寄ろうとしたところ捕まえるが、騒ぎを聞いて駆けつけたヨヨが自分の知り合いと明かすとソラは一先ず彼を解放した。何でもツバサは一年くらい前から虹ヶ丘家にお世話になっていたと言う。だが、ソラとましろは今まで彼が同じ家に住んでいたなんて知らなかった。そして、ソラは自分達に存在を黙っていたツバサを怪しく思い、彼が自分達がいない間に何かしないかと不安になり今日は付きっきりでエルの様子を見る為学校を休んだそうだ。
「まぁ、ツバサ君はお婆ちゃんの知り合いみたいだし、カバトン達の仲間じゃ無いから私は大丈夫だと思うんだけどね」
どうやらましろはツバサの事をあまり警戒していない様だ。何かを隠しているのは確かであるもののヨヨの知り合いだから悪人では無いと思いらんこに話す。
「何を呑気な事を言っているのよましろ⁉︎そいつを警察に突き出さなきゃ駄目でしょ‼︎」
「え、ええっ⁉︎き、急にどうしたの?」
だが、話を聞いていたらんこはましろとは対称的な反応を見せる。
「どうしたもこうしたもないわよ!話を聞く限り其奴は一年前から…つまり、私たちが中学に入学してきた時には既に家に住んでいたんでしょ⁉︎しかも、あんた達に存在に気づかれない様に隠れているんだからエルに近づいたのもきっとやましい理由よ!」
「か、考え過ぎだよ……ツバサ君は見た感じエルちゃんを気に掛けている優しい子だったよ」
ツバサの事を全く知らないらんこはそのツバサはヤベェ不審者認定している事にましろは彼女に誤解を解こうと説明をする。
「甘い…甘いわよ!アップルパイに練乳と蜂蜜漬けしたくらいに甘いわッ‼︎」
「うえっ、何その例え……」
物凄い甘すぎる例えを聞いて思わずましろは胸焼けと吐き気を感じた。
「いいましろ、男なんて所詮ケダモノよ!狼なのよ!其処にいる軽井沢だってベットの下に薄い本を大量に隠しているに違いない!」
「ええっ⁉︎」
「「………」」
何故か巻き込まれる軽井沢、そしてそんな彼を冷たい眼差しで見つめる仲田と吉井の2人。
「そもそも、あんたが知らないだけでプライバシーが丸裸になっているかもしれないのよ⁉︎」
そう言うと彼女の脳裏には夜中に気持ちよく寝るましろの部屋に入り込み好き放題するツバサ(全身黒タイツ)の映像が流れた。
「…ハッ⁉︎…こうしている内にソラだってヤバい状況に……!」
「いや、流石にそれは無いと思うけど」
ツバサが仮に本当に悪党だとしてもソラなら簡単に無力化できる。ましろはそう説明するが、
「どうやってヨヨさんを騙したか知らないけど、きっと巧みな話術を使ったに違いないわ!そして、その話術を使ってソラを上手く丸め込んでいるかもしれないわよ……いや、もしかしたらもっと酷い事態に……」
そして、再びらんこの妄想が始まる。
カーテンが閉められ灯が一切ない部屋の中、其処にはベットで押し倒されたソラ。そしてソラを押し倒したのはツバサ(全身黒タイツ)であった。
『約束です。私がどうなっても構いません…だからエルちゃんとましろさん、らんこさんには手を出さないで……』
『ぐへへへっ、安心しろ俺は約束は守るからな…その代わりお前もな』
『はい……ごめんなさい…ましろさん…らんこさん……清くなくなった私をどうか許して……』
こうしてソラは自分の友達に手を出さない事を約束してツバサに自身の身体をいいようにされるのであった。
「いやあああああっ!?ソラアアアアアアッ!!!」
そんな想像したら思わず発狂してしまった。周りの生徒達も突然発狂するらんこを見て何事⁉︎と心配している様子だ。
「ねぇ、らんこちゃんって恋愛経験ゼロって言っていたよね?何でそんな妄想を恥ずかしがる事も無く想像出来るの?」
一方でましろはらんこが妄想でそんな想像をするとは思ってもみなく、呆れた表情を浮かべていた。
対してらんこはある程度発狂して頭が冷静になると、ましろの方に視線を向ける。
「決めたわ……私も学校終わったらそのツバサって奴に会ってやるわ」
「ら、らんこちゃん……あまり物騒な事はしないでね」
今のらんこは何かしでかしそうでましろは不安になる。
「安心して…其奴が良い奴なら何も言わないわ……でも、もし悪い奴だったら……」
「わ、悪い奴だったら……?」
教室に緊張感が走る。周りにいた生徒も何が何だか分からないが物凄いシリアスなオーラを出しているらんこを見て思わず唾を飲み込む。
「………ちょん切る」
「何を⁉︎」
「"ナニ"をよ…」
『ヒェッ⁉︎』
ぽつりと吐いたらんこの台詞にクラス中の男子は顔を青ざめて股間を隠した。
(ああ、どうか神様お願いします。ここぞという時に度胸がない私にツバサ何某を殺れる度胸を少し分けてください)
自分の大切な友達に手を出そうとするツバサ(らんこの想像)を仕留められる様にらんこは神頼みをする。だが、そんな物騒な願いに神は応じる事は無いだろう。
そんな中、宇宙のとある場所では青髪の青年がくしゃみをしたとか。
「ら、らんこちゃんそれは流石に駄目だよ!」
一方でましろはらんこが何を言っているのかあまり理解していないが物騒な事をするのを察して彼女を止めようとする。
「ましろは安心して、私がましろとソラとエルの
「いや、安心出来ないんだけど、ていうか今なんて言ったの⁉︎」
さらっととんでもない事を発言したらんこに思わず声を上げる。対してらんこは己の拳を強く握って決心する。
(取り敢えずツバサ何某……あんたはこの私が裁いてやるわ)
全ては大事な友達の身も心を守る為、らんこはまだ見ぬツバサと言う人物を倒そうとおもったのであった。
ここで予め言っておくが、らんこは決して男性恐怖症などでは無い。ソラとましろが友達として大好きだ。その為、見ず知らずの男が知らない間に住んでいたなんて怖い話を知るとその家に頻繁に遊びに来ていたらんこ自身も恐怖が湧く、だが自分が動かないと友達であるソラとましろが危機に見舞われる。
そんな事はさせないとらんこは思い、まだ見ぬ敵(仮)のツバサに対して敵意を向けるのだった。
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一方その頃、虹ヶ丘家では捕まり立ちしたエルが倒れそうになった所をソラとツバサが同時に助け、その事もあってかソラはツバサに対して警戒心が薄くなり、ツバサも自分の隠し事をソラに明かした。
「カ〜ッコイイッ!!!」
「え?」
今朝までツバサの事を警戒していたソラだったがツバサが空を飛ぶのを夢見て航空力学を学んでいると知ると目を輝かせる。
「一度やると心に決めた事は絶対に諦めない!それがヒーロー!」
「笑わないの?」
自分達プニバード族は空を飛べないそれが当たり前。そんな自分が無謀な夢に努力している事を馬鹿にしないのかと聞くと、ソラは否定する。
「笑いません!だって私はヒーローになりたい、ツバサ君は空を飛びたい。道は違うけど私たちは同じじゃないですか!」
ツバサの夢を聞いたソラは自分と同じ大きな夢に向かって努力をしていると共感したのだ。そんな彼をカバトン達の仲間だったり、素性を明かさない怪しい人間と一方的に決めつけてしまった事にソラは彼に頭を下げて謝罪する。ツバサはそれを許すとソラと友達になって一件落着したのた。
「そうだ、らんこさんにもツバサ君の事を教えないと」
「らんこさんって、緑の髪をした女の子でソラさんとましろさんの友達ですよね?」
ツバサは人間の姿と鳥の姿を使い分けるプニバード族、今まで彼は鳥の姿になって虹ヶ丘家で過ごしていた為、その時にらんこの事も知っているのだ。
「はい、らんこさんも優しいのできっと友達になれますよ!」
「そうですか…うん、ソラさんの友達ならきっと大丈夫ですね」
らんこは冷たい事を吐く事があるが、それでも彼女が虹ヶ丘家にいる時エルを気にかけている姿も見た事がある為、ツバサにとって悪い印象はなかった。
「はぁ、早くましろさんと一緒に来てくれないかなぁ〜」
なお、2人はこの時知らなかった。同時刻の学校ではツバサの事をよく知らないらんこが一方的にツバサの事をソラ以上に警戒して、物凄い妄想をして最悪の事態になるかもしれないと。
一方でらんこは授業を受けながらいつでも不測の事態に備える様に彼女は何通りか作戦を考えていた。
(先ずはツバサ何某をソラ達から離して私と2人になった所を殺るか……いや、相手はヨヨさんを丸め込んだ男。私の作戦が上手くいくとは思えない。それなら下手な小細工をせず堂々と真正面から突撃した方が良いかしら……)
もはや善人なんて微塵も思って無く、ツバサが悪人であると完全に思い込んでしまったらんこ。
果たして誤解は解けるのだろうか。そしてツバサの命運は如何に……。