学校が終わり放課後になるとらんこは全速力で家に帰り、学校の鞄を放り投げそのまま玄関の外に止めてある自転車に乗ると虹ヶ丘家に向かって再び全力疾走する。
全ては友達のプライバシーを侵害するツバサを処する為だ。
「首を洗って待ってなさいツバサ何某‼︎あんたの狼藉はこの風波らんこが絶対に止めさせる‼︎」
そう叫びながららんこは今までに無い程の怒りを燃やしながら自転車のペダルを漕いで行く。
普通なら彼女はこんな物騒な発言をしないが此処暫くの精神的ストレスに加え、親友の家に一年も隠れ住んでいた少年の存在でついにらんこは正気じゃなくなってしまった。
このままでは虹ヶ丘家にいるであろうツバサは間違いなくらんこの手により八つ裂きにされかねないだろう。果たして彼はどうなるのか……。
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そして、近くの公園では子ども達がドローンを使って遊んでいた。子供達は最新のドローンに興奮して早く変わりたいだったり、順番だよと言い争いをしていると、突然恐喝してきたカバトンに子供達はドローンとコントローラーを捨て、慌てて逃げていった。そして、子供達が落としたドローンを拾うとカバトンは笑みを浮かべる。
「ヌヒヒヒッ、これさえあれば今度こそ…!」
憎っくきプリキュアを倒してプリンセスエルを手に入れられる、そう思ったカバトンであった。
「ほぉ〜う、中々面白い玩具を手に入れたね」
「げっ⁉︎キ、キメラング…」
いつの間にか背後に立っていたキメラングに思わず表情を歪める。
「人の顔を見てその反応は失礼じゃ無いのかな?……まぁ、良いさ。ところでそのドローンは私のと愛機達と比べると性能は下だから改造して性能を上げたり武器でも取り付けてあげようか?」
そう言って背後にはドローン達がアピールするかの様にレーザーや紙吹雪などを飛ばしていた。
「冗談じゃないのねん!お前と関わると碌な事にならないとあの時漸くわかったのねん!」
カバトンはキメラングと関わるのはもう懲り懲りだった。前回の戦いは彼女に戦いを譲った所為で痛い目にあったからそんな経験はもうやりたくなかった。
その為、カバトンは今回はキメラングの手を借りず1人でプリキュアと戦おうとしていたのだ。
「もうお前なんかの手なんて借りないのねん!お前は大人しくラボに引き篭もって研究でもなんでもやっているのねん!」
そう言ってシッシッと手を振って追い払う様な仕草を見せる。
「失礼な事を言うねぇ…人が折角親切にしているのに……そんな事をしていると碌な生き方をしないよ」
「お前にだけは言われたく無いのねん‼︎」
キメラングの台詞を聞いてカバトンは額に青筋を立てて怒鳴り声を上げる。いい加減このキ◯ガイヘルメットを張っ倒してやろうかと考えていると、
「ツバサ何某ィッ!!!」
「「ん?」」
公園の外から物凄い形相で自転車を漕ぐらんこがやってくる。
「あああー!?お前はフード娘って、顔がいつに増して怖いのねん!?」
「おやおや、まさかこんな所で会えるなんてね」
突然やってきたらんこにカバトンは驚きの表情を見せ、キメラングもカバトン程では無いが驚きの表情を浮かべる。一方でらんこは目の前にカバトン達がいる事に気づくと自転車に急ブレーキを掛けて止める。
「げっ、カバ……豚男にマッドサイエンティスト」
「おい!何で今言い直したのねん⁉︎最後にトンをつければ正解だっただろ!」
あと少しでちゃんと名前を言いそうだったが、途中でいつもの豚男呼びに戻った事にカバトンはツッコミを入れる。
「いや…あんたの事嫌いだから名前呼ぶのは癪に触る」
「癪に触るって、それはこちらの台詞ねん!毎度毎度豚男って呼びやがって…!」
ソラ達はもう名前を正しく言えているのに一向に名前を呼ばないらんこにカバトンはもう我慢の限界だった。
「まぁ、君が豚面なのは事実だから強ち豚男は間違いでも無いけどね」
「お前はどっちの味方なのねん⁉︎」
まさかの味方のキメラングからも同意された事にカバトンは思わず彼女にツッコミを入れる。
「私かい?私は自分で言うのもなんだけど、実験の為なら汚いても使わざる得ないから喜んで"マッドサイエンティスト"呼びは受け入れているよ。なにせ、事実なんだから」
「お前……本当に頭どうかしているだろう」
キメラングの態度を見てもうカバトンは呆れて何も言えなかった。
「まぁ良い…それよりも飛んで火にいる夏の虫とはこの事なのねん!今日こそお前とソラ達を倒してやるのねん!」
「ソラに続いてあんたもことわざを覚えたの?…なんか変な感じね」
ことわざを使いこなす事に違和感を感じるらんこ、そんな彼女の思いを他所にカバトンはランボーグを作り出そうと拳を高らかに構える。
「さて、んじゃ早速いくぜっ!カモン、アンd「悪いけど…この後用事があるからあんた達と付き合ってられないわ」
「は?」
「ん?」
そう言ってカバトン達の脇を通って公園から出ようとするらんこに2人は固まる。
「…っておい!悪党がこれから悪事を働くって言うのにそれをスルーとはどう言う事なのねん!?」
「自分で悪党って……私はこれからあんたの様な小悪党じゃ無くて大悪党のツバサ何某を退治しに行かなきゃ何無いのよ」
「こ、小悪党⁉︎」
自身が悪者であると自覚していたカバトンだったが、自分を差し置いて見知らぬ他人と比較された上に自分はその人物よりも下扱いされた事に思わずショックを受ける。
「ねぇ、ツイスター…君やばい薬でもキメたんじゃ無いよね…?」
一方でキメラングも普段カバトンに対して物騒な発言をするらんこが今日に限って自分達に敵意を向けず見ず知らずの人物に物凄く向けている事に困惑を覚える。
「そういう訳であんた達の相手はまた明日にしてあげるわ…じゃあ」
申し訳程度の会釈をするとらんこは2人を放っておいてその場を去ろうとする。
「あ、おいっ!本当に行くんじゃないのねん!」
カバトンは呼び止めようとするが、もうらんこは完全にシカトしてそのまま公園から出ようとしている。
「クソォッ!こうなったらキメラング!フード娘を止めるのねん!」
「ええ、カバトン君さっき私の手なんて借りないって言って無かったっけ?」
先程のカバトンの言葉を思い出すが、「まぁ、いいや」と根には持たず彼女は白衣のポケットに手を入れるとそこからメリケン状の装置を取り出すとそれを自身の右手に付ける。
「マグネコントローラー…オン!」
そう言うと装置は起動し、其処から光線が放たれらんこの乗る自転車に当たる。
「……ん、何か妙ね……なんだか視線がたか……えっ!?」
一方でらんこは自身の身に起きた異変に気がつく、先程から自転車を漕いでいるのに前へ進まない。と言うよりも視線が高くなり、浮遊感も感じ下を見下ろすと、
「う、浮いてる⁉︎」
なんと自身の体が自転車ごと浮いており気がつくと地上から3mの高さまで上昇する。
「あっ、わあああっ!?」
突然の浮遊感にらんこは慣れず、自転車から地面に向かって落ち、背中を地面に打ってしまう。
「い、たたっ…あんた……いきなりなにするのよ⁉︎」
「いやぁ〜、手荒な真似をして悪かったね。ごめんごめん……だけど君は以前よりモルモットとして目を付けていたからね。1人でいるこのチャンス見逃さないよ」
そう言うとキメラングはらんこに近づこうとするが、カバトンがそれを止める。
「おい待て、このフード娘とは俺様が一番因縁があるのねん。此処は俺に譲るのねん」
「ええ〜?……しょうがないなぁ、じゃあ倒したら彼女は貰っていくよ」
最初は嫌そうなキメラングは渋々とカバトンに譲った。一方のカバトンは先程手に入れたドローンへとアンダーグエナジーを注ぐ。
「では、改めまして…カモン、アンダーグエナジー!」
『ランボーグ!』
これによって上空に巨大なUFO型ランボーグが生み出される。
「え、UFO⁉︎」
一方でらんこも今回のランボーグの見た目に思わず困惑する。まさかこんなアニメにも出てきそうなデザインをしたUFOが目の前で空を飛んでいるなんて夢にも思わない事だ。
『UFO⁉︎すっごーーい!キラやば〜ッ!』
誰だコイツ?
「さぁて、フード娘今日がお前の命日なのねん!今回のランボーグは今までにない程TUEEEから覚悟するといいのねん!」
「まっ、そう言う事だからツイスター…精々頑張りたまえ」
何処かトロピカルと言っていた声と何か似たものを感じるが、そんな事を考えている間にカバトンとキメラングの2人はUFOから照射される光線を浴びるとそのままUFOに吸い込まれて、コックピットに乗り込む。
「っ!……ああもう、最悪!」
悪態をつきながらもらんこはカバトン達が乗り込むUFOランボーグを前にミラージュペンを構えるのだった。
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一方でましろはと言うと現在ソラ達のいる虹ヶ丘家に向かって走っていた。最初はクスリを決めたくらいのおかしなテンションのらんこを止めようとしたが彼女が有無を言わずに自宅へ帰ってしまったので止める事が出来ず、取り敢えずソラ達の事も気になるため虹ヶ丘家に帰ったのだ。
「エルちゃん、赤ちゃん用のケーキですよ〜」
「おっと、危ない危ない。ソースが溢れる所でした」
「えるる〜♪」
「仲良くなってる⁉︎」
其処にはソラとツバサが仲良くエルのお世話をしている光景だ。今朝まで番犬の様にツバサを物凄く警戒をしていたソラだったが半日も家を留守にしていた間、何があったのかよくわからないがすっかり警戒を解いて仲良くなっている光景を見て思わず衝撃を受ける。
もしかしたららんこの言う通り巧みな話術を使ったのではと不安になるましろであった
「どうしましたかましろさん?先程からぼーっとしてますが…」
「あ、ううん、何でもないよ」
ソラに話しかけられて正気に戻ると慌てて返事をする。対してソラは「そう言えば」と何かを思い出す。
「今日はらんこさんとご一緒では無いんですか?…折角ツバサ君の事を紹介しようと思ったんですけど」
友達になったツバサをらんこにも紹介しようと思っていたソラだったが、彼女が来ていない事に少し残念がる様子を見せる。
「あーソラちゃん……らんこちゃんの事なんだけどね」
「へ、らんこさんがどうしましたか?」
正直言いづらい、言いづらいが此処で言わないと間違いなく大惨事が起こる。それを防ぐ為、ましろは思っている事を口に出す。
「……今からツバサ君を倒しにくるかも…いや、確実に倒そうとするよ!」
「「……え、ええええっ!?」」
ましろの発言にツバサは驚くとへオレンジ色の羽毛に覆われた一羽の鳥へと姿を変える。これがツバサのもう一つの姿でもある。
「な、なんでですか⁉︎なんでらんこさんがツバサ君を⁉︎」
「昨日の事をらんこちゃんに伝えたらツバサ君の事を完全に不審者だと思い込んじゃったんだよ。止めようとしたんだけどらんこちゃん話を聞かなくて…」
ましろも最大限の努力をしたがらんこは彼女の静止を聞かず帰ってしまった事から家に荷物を置いたらここへ直行してくる事は容易く予想出来る。
「と、取り敢えずツバサ君はらんこさんが来たら隠れて下さい。私が直接説明しますから」
「わ、わかりました」
ツバサは身の安全の為、取り敢えずソラの言う通り近くにあるクッションの下に隠れる事にした。
「える〜♪」
「わあっ⁉︎え、エルちゃんやめて〜!」
「エルちゃん駄目ですよ!めっ!」
クッションの下に隠れるツバサを見て何を思ったのかは知らないがエルがその上にのし掛かり、思わずツバサは悲鳴を上げる。それを見てソラは慌ててエルを抱えてツバサを助ける。
「取り敢えず私はらんこちゃんは今何処にいるか連絡してみるね」
ましろはスマホを取り出して連絡しようとした時だった。外から衝撃音が聞こえてくる。3人と自室にいたヨヨは慌てて家の外に出ると其処には巨大なUFOが街で暴れている光景を目にした。
「ええええっ!?なんですかあれは!?」
「ゆ、UFO!UFOだよねあれは⁉︎」
街の上空を飛ぶUFOにソラとましろは動揺する一方で再度人間の姿になっていたツバサも焦りの表情を見せる。
「出鱈目だ!航空力学的にあり得ません!」
「今、そんな事言っている場合かな…?」
何処かズレたツッコミをするツバサにましろは思わず苦笑いを浮かべる。そんな中ソラは何かを見つける。
「あ、見てくださいあそこ!」
「「え?」」
ソラが街の方に指をさし、ましろとツバサもその方向を見てみるとUFOの攻撃から建物を飛び回って避けている見覚えのある緑色の人影が目に入る。
「あれって…」
「「ツイスター⁉︎」」
街でUFOランボーグと戦っているツイスターの存在に気づいた3人。
「らんこちゃんきっとこっちに来る所を襲われたんだ」
「こうしてはいられません!ツバサ君、エルちゃんを頼みます!」
「は、はい!」
ツバサにエルを任せるとソラとましろはツイスターを助けに行く為、ミラージュペンを構える。
「「スカイミラージュ!トーンコネクト!ひろがるチェンジ!」」
「無限にひろがる青い空!キュアスカイ!」
「ふわりひろがる優しい光!キュアプリズム!」
「「レディ……ゴー!ひろがるスカイ!プリキュア!」」
変身を完了した2人はその場から大きく跳躍して街へと向かった。
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その頃、街ではカバトンがランボーグを操ってツイスターに向かって雷撃を放っているが、彼女はそれを避けたりマフラーを使って防いだりしていた。
「安全圏から攻撃ばかりしてあんたの性格がよく出ている攻撃ね!」
「はんっ、なんとでも言うのねん!そう言う台詞は俺に攻撃を当ててから言うのねん!」
カバトンはツイスターの煽りに対してムキにならずそのまま上空からの攻撃を続ける。
(不味いわね…このまま攻撃が続けば街は被害が広がる一方。かと言ってあのランボーグのいる所までは私の攻撃の射程範囲外……一体どうしたらいいの⁉︎)
上空にいるランボーグに向かって攻撃が出来る術がない事に頭を悩ませるツイスター。最初はツイスタートルネードを使ってみたが、此処から放ってランボーグまで遠くて、風の威力は弱まり、命中率も低く、あまり効果が無いため、早々に攻撃は諦めて現在は逃げるか防御の2択しかなかった。
「「ツイスター!」」
「っ、スカイ!プリズム!」
其処へ虹ヶ丘家からスカイとプリズムが駆けつけると、ツイスターが慌ててスカイの前に立つ。
「スカイあんた大丈夫⁉︎身体は何処も汚されていない⁉︎」
「いや、なんの話ですか⁉︎」
未だにツイスターの持っている情報は昨日の夜と今朝までである為、ソラ達の更新された情報に追いついておらず。突然自身の身体を心配するツイスターにスカイは困惑する。
「ツイスター聞いて!それは誤解なんだよ!ツバサ君…わあっ!?」
未だに誤解するツイスターをプリズムは説明しようとするが、それを遮るかの様にランボーグの攻撃が彼女達の足元へ飛んでくる。
「邪魔しないで!」
プリズムは攻撃してきたランボーグに向かって光弾を放つがランボーグも雷撃を放ち、光弾を相殺する。
「はっ、後からやってきた癖にその上、敵を前に話をするなんて攻撃して下さいって言っている様なものなのねん!お前たちがそんなに会話をしたいのなら、俺様はその邪魔をするだけなのねん!」
『ランボォーグッ!』
すると、ランボーグのボディの一部が展開されると其処から大量のミサイルが3人を狙い、飛んでくる。
「スカイ、プリズム。捌き切れる?」
「可能だと思いますが、多分結構体力を消耗するかもしれません」
「私も…あの量はちょっと厳しいかな……」
ツイスターは2人と相談すると、2人ともあまりミサイルを全て相手にするのは得策では無い様子だ。
「なら、今は無駄な体力消費を抑えて高いビルへ行くわよ!あのランボーグに攻撃するには私たち攻撃が届く間合いが必要だから!」
「賛成です!」
「うん、なら行こう!」
スカイとプリズムはツイスターの案を採用すると、飛んでくるミサイル群から逃げ出す。
ミサイルは3人の後を追いかけてくるがプリズムがミサイルを光弾で相殺し、ツイスターがマフラーを振って軌道をずらす。そして、2人の対応が間に合わずミサイルが命中しそうになった時はスカイが拳や蹴りで粉砕し、互いにカバーをしあっていた。
「だああああっ!!!ちょこまか逃げやがって、全然当たらないのねん!」
先程から繰り返し攻撃をするカバトンであったが、彼女達の動きが素早い事と連携により中々攻撃が当たらず、苛立っていた。それを隣で見ていたキメラングは再び白衣から先程使った装置を取り出す。
「なら、私が手を貸すよ。マグネコントローラー…オン!」
キメラングが装置を起動させると、地上では変化が起きる。
一方、地上ではツイスターがスカイとプリズムと共に建物の屋根を飛び回って逃げて、今度は金属製の屋根に飛び乗った時だ。
「ふえっ⁉︎」
「「え?」」
急に変な声を上げて屋根に立ち止まるツイスターにスカイとプリズムは不思議に思う。
「急にどうしたんですかツイスター?」
「そうだよ、早く逃げないとランボーグの攻撃が来るよ!」
早くこの場から逃げようと声をかけるが、ツイスターの様子がおかしい。
「それがっ!…さっきからっ!……足が屋根にくっ付いてっ!………剥がせないのよっ!」
必死に足を屋根から剥がそうと力を入れるが全然びくともせず、足は屋根にくっ付いたままだった。そして彼女が必死になっている間、上空で待機しているランボーグが今度は大砲を展開すると3人に向けてエネルギーを溜め始める。
「や、ヤバいよ!こっちを完全に狙っているよ!」
「っ、2人は早く逃げて!このままじゃ攻撃が当たるわよ!」
ツイスターは動けない自分を放ってスカイとプリズムに逃げる様に言うが、
「そんな事出来ません!ヒーローは仲間を見捨てません!ツイスター手を出して下さい!プリズムは反対側の手を!」
「うん!」
勿論、スカイとプリズムはツイスターを放っておく訳にはいかず、なんとか屋根から足を引き剥がそうとそれぞれ彼女の手を掴むと力一杯に引っ張り出す。
「いだだだだっ!?も、もっと優しく!」
「我慢して下さい!」
「ツイスターごめんね!ごめんね!」
2人の力に両腕が引きちぎれそうな程の痛みがきて、思わず声を荒げるツイスター。スカイとプリズムは申し訳無さそうな表情を浮かべながらも彼女の足を屋根から引き剥がそうと奮闘を続ける。
だが、その奮闘も虚しくエネルギーを溜めた砲台から巨大なエネルギー砲が放たれる。
「っ!2人ともごめん!」
「「えっ?」」
突然のツイスターの謝罪に思わず2人は声を上げる。対してツイスターは両手に風を溜めると、それを2人目掛けて放った。
「「うわあああっ!?」」
突然のツイスターの行動に2人は対応できずそのまま屋根から放り出され、最後に見たのは安心した表情を浮かべるツイスターとその後ろから迫るランボーグの強力な光線だった。
その光線がツイスターをビルごと呑み込んだ時に起こった爆発により2人はそこから更に吹き飛ばされ、そのままビルの壁に頭を打ちつけ気を失うのであった。
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一方で上空を飛ぶランボーグの中ではカバトンが大はしゃぎをしていた。
「やったのねん!!!先ずは1匹撃破!しかも、あの憎っくきフード娘を最初に倒せるなんてついているのねん!」
「偉くご機嫌だねカバトン君」
散々ツイスターことらんこに苦渋を味わされたカバトンはツイスターを倒した事に心の底から喜んでいた。その背後には優雅に紅茶とスコーンを食べているキメラングがいた。
「勿論なのねん!奴はプリキュアになる前から酷い目に遭わされてきた……そう思うと漸く俺様の今までの努力と苦労が報われた事に涙が……うおおおおおん!!!」
「う、うわぁ……」
今までの辛い日々を思い出したカバトンであったが、遂に自身の悲願が達成された嬉しさのあまり号泣する。そんなカバトンを見てキメラングはドン引きする。
「……まぁ、君が御機嫌なのは良いけどまだ残りの2人は健在しているよ」
「はっ⁉︎…そ、そうなのねん。こう言う時油断しているとやられちゃうのねん」
ツイスターを倒して余韻に浸かっていたが、スカイ達の存在を思い出すと吹き飛ばされたスカイ達を探し始める。
「さて、私はツイスターを探すか…もし死んでもしたら遺体が腐敗を始める前に冷凍ガスで凍らせるか」
そう言うと周りに数機のドローンを呼び出す。
「という訳でツイスターの捜索を頼んだよ」
キメラングの命令を受けたドローンはUFOランボーグから飛び出してツイスターを探し始めるのであった。
その頃、街のとある場所では黄色い髪のスポーツヘアにらんこやソラより少し背の高い少年が立っていた。
そして、少年はランボーグの被害によって壊滅状態の街の光景に困惑の表情を浮かべていた。
「どうなっているんだ?……此処ってソラシド市でいいんだよな?」
少年は至る所がボロボロであるものの見覚えのある建物や道を見て自身の記憶の中にあるソラシド市と重ねつつ、上空を飛ぶUFOランボーグを見て状況を察した。
「あの穴を通って来てみたけど、此処がらんこさんのいる世界ならきっと今らんこさん達が戦っている筈だ」
そう言うと少年…雷田ひかるはから鞄かららんこの持つスカイトーンとデザインが酷似したスカイトーンを取り出す。
「頼むよ……さっきの様にらんこさんが今いる所を教えてくれ!」
ひかるはスカイトーンに強く念じる。すると、彼の気持ちに応える様にスカイトーンは一つの方向に向かって光を刺した。
「そっちにらんこさんがいるのか?」
ひかるはスカイトーンに向かって問うが、勿論返事はしない。しかし、今頼りになるのはこのスカイトーンだけだ。取り敢えずこのスカイトーンの光を頼りにらんこを探しに行こうとした時だ。ひかるは改めて街を見渡した。
街の被害があまりにも大きく、上空に待機するランボーグは目立った傷が一つも付いていない事から戦っていたプリキュア達は手間取っている筈と心配になる。
「らんこさん……無事でいてくれよ」
元の世界で自分を助けてくれたらんこの身を案じてひかるは1人街の中を駆け出していくのだった。