ひろプリに野良猫系キャラを入れてみた   作:獅子河馬ブウ

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どうも獅子河馬ブウです。
今回は本編の第2話書こうとしましたが、書いているうちに文字数が多くなり過ぎた為、虹ヶ丘家での所までにしました。
それではどうぞ。


第2話 ようこそ虹ヶ丘家へ

ソラが変身したキュアスカイによりランボーグは倒され、操っていたカバトンも撤退した為、戦いは終わりましろは興奮気味でソラと色々話をしていた。

その後ろでらんこは楽しそうな話をする2人を見て複雑な思いをしていた。

 

(あのランボーグとか言う化け物はソラが倒してくれた……それに比べて私は自分達だけでも助かろうとした……)

 

自身とソラを比べると自分は赤ちゃんを犠牲にしようとしたり、啖呵を切った割には碌な活躍出来ず人質になりかけ、対してソラはランボーグを倒すだけでなくましろとらんこ自身も助けた。まさにヒーローと言える存在だ。そんな彼女の近くにいる事が居心地が悪く感じ、此処から去りたくなっていた。

 

「あ、そうだ。らんこちゃんお婆ちゃんのお使いの事なんだけど…」

 

ランボーグの騒ぎによって祖母に頼まれたお買い物は出来なそうと思いらんこに相談しようとするが、

 

「悪いけど…先に帰らせて貰うわ」

 

「え?」

 

だが、その前にらんこがこの場で解散して帰ろうとする事に思わずましろは声を出す。それを聞いていたソラも話に入り込む。

 

「帰るって…あなたは今怪我をしているんですよ!」

 

「そうだよ!1人で帰る時に何かあったら大変だよ!」

 

2人は彼女がランボーグに捕まった際に怪我を負った事を思い出して、1人で帰ろうとする彼女を呼び止めようとする。

 

「いい……1人で帰れるし途中で医者に診て貰う……それじゃあ」

 

2人に構わずらんこはその場を去ろうとする。

 

「待ってください!」

 

だが、その前にソラが彼女の手を掴んで止める。

 

「なら、一緒に行きましょう。お医者さんは何処にいますか?」

 

「……離して……1人で行ける……」

 

「そうはいきません。らんこさんはランボーグからましろさんとこの子を助けて貰った恩人ですから少しでも力になりたいんです」

 

ソラから助けてもらったと聞いて思わず胸が痛み、脳裏には自身が助かる為に赤ちゃんをカバトンに差し出そうとした時のことを思い出す。

 

「私は恩人呼ばわりされる義理はない……寧ろ最低な人間よ」

 

「え?」

 

「らんこちゃん……」

 

突然自身を卑屈に言うらんこにソラは呆然となり思わず手を離してしまう。ましろは心配そうな表情をして彼女を見つめる。

 

「私は最初その子を渡そうとした……あんたが託したその子を……自分の身の安全の為にあいつに渡そうとしたの」

 

「なっ⁉︎」

 

「ら、らんこちゃん⁉︎」

 

突然の彼女のカミングアウトにソラは驚きの表情を浮かべ、隣にいたましろは何故今その事を言ったのか分からなかった。対してらんこは影のある表情を浮かべながら話を続ける。

 

「罵倒しても良い、殴っても良い……私はそれだけの事をしようとした」

 

「………」

 

彼女の話をソラは黙って聞いており其処に慌ててましろがソラに駆け寄る。

 

「そ、ソラちゃん聞いて!確かにらんこちゃんはこの子を渡そうとしたけd「いいのましろ……ヒーロー目指すあんたにとって私は悪党だから、あんたは私を裁く権利はあるから」らんこちゃん……」

 

ましろが弁明しようとするがらんこ本人が止める。するとソラはゆっくりとらんこへ歩み寄り、それを見ていたましろは止めようとしたが、どう言えば良いのか分からず2人の様子を不安そうに見ている。

そして、ソラは彼女にある程度近づくと口を開いた。

 

 

「……確かにあなたのやろうとした事は褒められた物ではありません……ですがそれは自分だけ助かろうとしてやったのではありませんよね」

 

「………」

 

「自分だけ助かろうとしたのではなくましろさんも助けようとしたのでしょう…」

 

「っ…」

 

ましろを助けようとした、その指摘を聞いてらんこは少し反応を見せる。それを見てソラは笑みを浮かべる。

 

「私が言うのもなんですが、貴方たちが戦いに巻き込まれた原因は私にあります。ヒーローを目指す私にとって関係ないあなた達を巻き込んで怪我をさせるなんて私こそヒーロー失格です。それに……」

 

ソラはゆっくりと視線を下へ移し、らんこも彼女に釣られて視線を下すと、

 

「えるるー!」

 

赤ちゃんはらんこに手を伸ばして笑みを浮かべている。その表情からははらんこに対して怯えている事は一切無く逆に彼女に懐いている様だ。

 

「この子はあなたを恨んでいませんよ。あなたは悪党ではありません……ましろさんとこの子を守った立派なヒーローですよ」

 

「……そう」

 

視線を合わせずらないのからんこはフードを深く被りソラに視線を合わせないようにする。

 

「……ソラ」

 

「なんでしょう?」

 

「その……ごめん。それと…………ありが…とう」

 

「……はい!」

 

 

照れ隠しなのかそれとも今の表情を見せたくないのか、フードを被った状態で謝罪と同時にお礼の言葉を言う。それに対してソラは元気よく返事をするのだった。

すると、突然ソラは何かを思いつく。

 

「そうだ!らんこさんもこの子を抱いて下さい」

 

「えっ、私は…その……」

 

「良いですから!」

 

ソラに赤ちゃんを抱いてみろと言われたがらんこは躊躇するもソラがやや強引ではあるものの赤ちゃんを彼女の腕の中へうつした。

 

「っと……赤ちゃんって少し重いのね。それに……」

 

「え〜る〜」

 

自身の腕の中に伝わる重さに驚きつつも赤ちゃんから発せられる熱に心地良さを覚え、遠くに感じていた赤ちゃんの笑顔が間近で見て先程まで自身にあった負の感情なんて消えていく。

 

「……ふふ、この子って、こんなに可愛いのね……」

 

「え〜う〜」

 

更に先程まで距離を空けて笑顔を見て彼女も自然と笑みが溢れ、彼女は赤ちゃんの頭を優しく撫でると赤ちゃんも心地よく感じ、更に笑みが溢れる。その光景を見てソラも笑みを見せるのだった。

 

「……あのさ、盛り上がっている所悪いんだけどいいかな」

 

2人の会話に入るのが申し訳そうにましろは恐る恐る話しかける。

 

「どうしましたかましろさん?」

 

「ううん、実は2人が話し合っている間……人が集まって来ちゃったよ!」

 

「「……え?」」

 

ましろの言葉に2人は思わず固まるが、周りに人の気配を感じ周囲を見るとすでに数十人と人が集まっているのが確認できた。ただ、一部の人達がらんことソラの話を聞いていたのか「ドラマの撮影か?」「良い青春だな」と感動している人もちらちらいた。

 

「ど、どうしよう……?」

 

ましろは先程までの戦いも有ってランボーグもあって面倒な事になりそうな予感をし、早くこの場を何とか収めようと考えたが、

 

「皆さーん!安心してください!もう安全です!」

 

「そ、ソラちゃん⁉︎」

 

善意による物なのはわかるがこれでは余計に注目を浴びてしまう。ましろは「あわわ⁉︎」と声を漏らしながらパニックになる。一方でらんこも悩んでいた。

 

(面倒な事になったわ…)

 

下手に注目を浴びたくない(尚、既に目立っている)彼女はソラが注目されている内に2人や他の野次馬達に存在がバレない様に息を潜めながらゆっくりとその場を去ろうとするが、

 

「えるぅ?」

 

「うわっ⁉︎…あ、あんた⁉︎」

 

ソラから渡された赤ちゃんの存在を忘れており、赤ちゃんはその場から逃げようとした彼女の気持ちを察したのか心なしか悲しそうな表情を浮かべ、それを見たらんこも下手に動く事が出来ず立ち往生する。

すると先程の赤ちゃんとらんこの戸惑いの声が聞こえたソラとましろは振り向いて逃げようとする彼女の姿を見つける。

 

「あ、らんこちゃん!怪我をしているんだからどっかに行かないで!」

 

「そうでした!らんこさんは私が運びますからましろさんはこの子をお願いします!」

 

「えっ、運ぶ?」

 

その場から去ろうとしたらんこをソラとましろが止め、気がつくと赤ちゃんはましろが抱えて、らんこはソラが抱えていた。

 

 

 

 

 

 

……ただし、お姫様抱っこで。

 

「ちょっ⁉︎こ、こんな人が沢山いるところでお、お姫様抱っこはやめなさい!」

 

気が付いたら自身がお姫様抱っこされている事にらんこは慌てる。

 

「大丈夫です。あまり揺れない様に努力します!」

 

「いや、そうじゃなくて恥ずかしいからって意味よ!」

 

らんこは羞恥を感じソラに止める様に訴えるが、対してソラは彼女の話を聞かずしっかりと抱きしめ彼女が逃げ…落ちない様にした。

 

「と、取り敢えずこのまま病院に行くのは目立っちゃうから私の家に行くよ!ソラちゃんはついて来て!」

 

「はい、わかりました!」

 

「歩くから!歩くから降ろしてって、あああああっ!?」

 

らんこは慌てて降ろすように言うが、ソラは聞いておらず。ましろと共に走り出してしまうのだった。

 

 

 

尚、その光景を見ていた野次馬の中にはキマシタワーと叫ぶ人がいたとか居ないとか。

 

 

 

────────────────

 

 

「着いたよ。此処が私の家だよ」

 

「ここがましろさんのお家ですか……」

 

ましろの案内の元、ソラがたどり着いた場所は広々としたお庭にそれに負けない大きな家…洋館の存在感に圧倒されていた。

 

「も、もしかして、ましろさんってこの世界のプリンセス…ましろ姫ですか⁉︎」

 

「え、そんなんじゃないよ」

 

ソラ自身も元いたスカイランドで中々見られない大きな洋館に住むましろを高貴な存在と思い込むが、それをましろ本人は少し照れつつあるも、やんわり否定する。

 

(それにしてもどうしよう…慌てて家に連れてきたけどお婆ちゃんになんて説明しよう……)

 

怪我をしているらんこと共にソラを自身の家まで連れてきた事に留守番をしている祖母にどうやって説明するか考えるも中々いい考えが思いつかなかった。

 

「ねぇ、らんこちゃんはお婆ちゃんになんて説明すれば良いかわかる?」

 

自分だけじゃ上手く説明出来ないと思ったましろはらんこに協力して貰おうとして、彼女の方へ振り返ると……

 

 

 

「恥ずかしい…もう、明日から外に出られないよぉ〜」

 

「ら、らんこさん……大丈夫ですか?」

 

ソラの腕の中では顔を赤くしたらんこが両手で顔を隠しながら恥ずかしがっていた。その様子を心配そうにソラは見つめていた。

 

「らんこちゃん可愛い…じゃなくて、大丈夫だよ!見た感じスマホで撮っている人は居なかったからそんなに情報を広がらないと思うよ!」

 

「大衆に私の恥ずかしい姿が見られた………もう人生の終わり……社会的に死んだわ……」

 

一瞬普段と違うギャップにましろは思わず本音が漏れるも、直ぐに彼女を立ち直らせる為にフォローするが、らんこはましろの話を聞いておらず更に彼女は身悶える。

 

 

「し、死ぬって⁉︎らんこさん死んじゃうんですか⁉︎死なないで下さい!」

 

「いっ⁉︎ちょ、揺らすな!揺れると怪我した所に響くから降ろしなさい!」

 

死ぬと言う穏やかじゃない発言を聞いた真面目ちゃんのソラはしっかりしろと言わんばかりに腕の中にいるらんこを激しく揺らすと痛みによって彼女は正気に戻り、揺らすのをやめろと必死に訴える。

 

「あ、あはは……元気になって良かったね」

 

先程まで悶々としていた彼女が強引ではあるものの正気に戻った事にましろは若干安心する。

そんな時、玄関の扉が開くと其処から眼鏡を掛けた高齢の女性が現れる。

 

「ましろさんお帰りなさい」

 

「お、おばあちゃん!」

 

「いっ⁉︎」

 

玄関で出迎えて来てくれた自身の祖母にましろは驚き、何故からんこはそれ以上のリアクションを見せる。但し表情からして苦手意識をみせる。

一方でソラは初めて会う人物に恐る恐るらんこに話しかける。

 

「あの、この方は……?」

 

「……ましろの祖母のヨヨさんよ」

 

「ねぇ、おばあちゃん。絶対に信じてもらえないと思うけど聞いて!この子達が空の上からぴゅ〜って!モンスターがバーンって!それから、それから……キラキラってなってフワーッて……」

 

「ましろ落ち着きなさい語彙力がとんでも無く低くなっているから」

 

再び語彙力が致命的に低くなっているとらんこは指摘する。それだと何を言いたいのかわからない為、らんこは仕方なく代わりに説明しようとするが、

 

「大変だったわね」

 

「「え?」」

 

「お上がりなさい、らんこさんの怪我の治療もしないと」

 

「え、自分で言うのもなんだけど今ので今わかったの⁉︎」

 

「本当にね……取り敢えず私もお邪魔するわ」

 

「そ、それでは…お言葉に甘えます」

 

虹ヶ丘家に上がり込んだ3人リビングに寛ぎ、ヨヨが調合した薬を痣に塗布してらんこの治療を終えた後、用意したお茶菓子を食べながらこれまでの事についてヨヨに詳しく打ち明けた。その際にましろとらんこの2人も把握できていない事について聞くことができた。

 

「此処とは別の世界があるなんて…まだ信じられないよ」

 

「私もです……自分が別の世界にいるなんて信じられません…」

 

未だにソラがスカイランドと言う別の世界からカバトンに攫われた赤ちゃんを救出する為、こちらの世界に訪れた事にソラとましろの2人は未だにその現実を受け止められていなかった。

 

「そうかしら、私は間近で体験して実感したわ。あのランボーグとか言っていた化け物……あんな物がこの世界に存在する筈ない。それなら異世界からやってきたで納得できるわ……」

 

「らんこちゃん……」

 

2人は対してランボーグに襲われたらんこは今もあの恐怖を覚えている様で時折肩が震え、表情も少し怯えている様子だ。無理もない。いきなり殺されそうになったり身体を締め付けられ、挙げ句の果てにはビルの屋上から放り出される。そんな経験を纏めてやられたら普通はトラウマになっている筈だ。

だが、そうならなかったのはソラが目の前でキュアスカイへと変身し、強かったランボーグを倒して助けてくれた事だった。そうなった事によりらんこの中ではランボーグと言う恐怖よりもキュアスカイという恐怖を打ち勝つ希望の存在に安心感を得たのだ。

 

「それにぷいきゅあ……いえ、プリキュアだったかしら?」

 

思い出すのはソラが自身の目の前にミラージュペンと呼ばれるアイテムが現れた時に赤ちゃんが叫んだ()()()()()という言葉はどう言う意味なのかわからない。

 

「名前からしてソラが変身した()()()スカイと大いに関係がある筈よね」

 

赤ちゃんが言ったプリキュアと変身した際にソラが名乗ったキュアスカイは関係性があるのは明白していた。

 

「ソラ…あんたは元いた世界にプリキュアって言葉は聞いた事ある?」

 

「すいません……私も聞いた事がありません……」

 

「そうなの?てっきり手際よく変身したから何か知っていたんじゃなかったんだ」

 

思い出すのはソラが変身する際手に入れたミラージュペンの使い方をまるで慣れているかの様に変身した事になにかしら元いたスカイランドでプリキュアについて知っているのかと思ったが違うようだ。

 

「私も……あの時はこのペンを手にした時に頭の中にはこれがミラージュペンという名前と使い方が思い浮かび、その後身体が勝手に動いて気がついたらあの姿へと変身していたのです」

 

「……え、何それ怖いんだけど」

 

話を聞く限り自分の意思で変身したのではなく彼女の手にあるそのミラージュペンがソラの意識を支配してキュアスカイへと姿を変えた事になる。

つまり、ミラージュペンは『特級呪物』だった。

 

「ねぇ、おばあちゃんお部屋の百科事典でプリキュアの事何か載っていない?」

 

ミラージュペンに『特級呪物』疑惑が上がった事にましろはソラがその内何かしら身体に異変を起こすのではと不安を覚え、何か一つでも良いプリキュアについて知ろうと祖母の力を借りようとする。

 

「私のことより、この子をお家に帰してあげる方法を見つけるのが先です!……約束したんです、パパとママの所に帰してあげるって」

 

「ソラちゃん……」

 

ソラは自分の事よりも赤ちゃんの事を優先した。この中で未だにその赤ちゃんがカバトンに誘拐された理由に関してはわかっていない。だが、ソラの目の前で赤ちゃんは泣いていた。それだけでも彼女はその子を助けて必ず両親のいる所に連れて行こうと決めたのだ。

 

「ヒーローは泣いている子供を絶対に見捨てません!」

 

「うぅっ、ええ…えぇええるぅっ!」

 

大きな声で宣言した為、彼女の腕の中で寝ていた赤ちゃんが驚いて泣いてしまった。

 

「うわぁ⁉︎ごめんね!ごめんね!」

 

「ほら、べろべろ~、ばぁ!」

 

泣き止まない赤ちゃんをどうにかして泣き止ませようとする2人に対して、らんこは少し黙ってみているとヨヨか貰ったお手拭きで手を拭きながら立ち上がる。

 

「ちょっと貸して……」

 

「え?」

 

「らんこちゃん?」

 

2人は様子を見ていた。すると、らんこは膝を曲げ目線を赤ちゃんと同じ位置に合わせて右手の小指を突き出すと、

 

「ほら、どうぞ」

 

「えんっ、う、うん…えむぅ……」

 

自身の小指を赤ちゃんの口元に近づけると指を掴み口に咥えてちゅぱちゅぱと音を立てながらしゃぶり始める。少しずつであるものの最初と比べて泣き声は小さくなっていく。その光景をみて2人は「おお〜」と感心の声を上げる。

 

「す、凄いです!泣き止みました!」

 

「らんこちゃん凄い!そっか、小指をおしゃぶりに見立てたんだね」

 

「……不味いわね」

 

「「え?」」

 

自分達じゃ泣くのを止められなかった赤ちゃんを泣き止む事が出来た事に2人はらんこに尊敬の念を抱くが、らんこの放った一言に2人は声を漏らす。

 

「……どうやらお腹を空いていると思う……さっきから物凄く吸われて擽ったいから」

 

「ええ⁉︎じゃあ早くミルクを飲ませないと!」

 

「わ、わかった。私ミルク買ってくる!で、でも、粉ミルクって何処で買えるんだっけ⁉︎それに味と種類はっ⁉︎」

 

早くミルクを用意しないと再び泣き出してしまうが、粉ミルクは何処に売っているかわからず焦ってしまうましろ。

 

「……キッチンの棚。一番下に粉ミルクとマグがあるわ」

 

「「「えっ!?」」」

 

ヨヨの唐突な発言に3人は思わずヨヨの方へ振り返る。

 

「ミルクは人肌に…ね」

 

その後、3人はヨヨの言われた通りキッチンの方へ向かうと粉ミルクとマグを見つけ急いでミルクを作り出して赤ちゃんに飲ませる。尚、作っている間らんこは何故賞味期限が切れていない粉ミルクがあるのか聞こうとしたが、ヨヨは「うふふ」と笑みを浮かべて誤魔化すのみで詳しい事は言わなかった。対してらんこもヨヨの顔を見てそれ以上聞くと何か嫌な予感を感じた為、聞かなかった。

そして、ミルクを飲み終えた赤ちゃんをソラは抱きかかえて背中を軽く撫でると赤ちゃんはゲップをしてスッキリした表情を浮かべる。

 

「すごーい!ソラちゃん、赤ちゃんあやすの上手なんだね~!」

 

「はい!家に年の離れた弟がいますので、このくらい慣れた物です」

 

「…いや、中々赤ちゃんとか触れる経験って無いから大したものよ」

 

謙遜するソラに2人は素直に感心の声を上げる。

 

「それを言うなら、らんこさんも凄いですよ。私たちがわからなかったのにすぐこの子がお腹を空いている事を見抜くなんて……」

 

「別に…ただの勘だから……あっ」

 

ソラに褒められた事かららんこも謙遜していたが突然何かを思い出した様子で声を上げる。

 

「そういえばおむつはどうしようかしら」

 

「え、おむつ?」

 

「あっ、そうです。ご飯を食べたらおむつも取り替えないと!」

 

どんな生き物も食事をすればその後は排泄をする生理現象がある。無論この赤ちゃんもそうである。その為オムツの存在は必要不可欠だ。

 

「じゃあ、私近くの店で買ってくる」

 

「待って……オムツはちゃんとこの子に合う奴じゃないといけないから無闇に買いに行かない方がいいわ」

 

「では、どうやってこの子に合ったオムツを探しましょうか?」

 

お漏らしをする前にオムツを買いに行こうとするましろをらんこが止める。確かに彼女の言う通りおむつもサイズや種類がたくさんある為、無闇に買いにいけない。3人はこの赤ちゃんに合ったオムツはどうやって探せば良いか悩み出す。

そんな中ましろはダメ元でヨヨに聞く。

 

「お婆ちゃん一応聞くけど……おむつはないよね」

 

「おむつもあるわよ」

 

「そっか、あるのか〜……えっ?」

 

「「えっ⁉︎」」

 

再びヨヨの発言に再び3人は驚いた。するとヨヨはリビングから出ていき少ししてから新品のオムツの入った袋を持ってきてた。しかも、テープ式とパンツ式の二種類だ。

試しに3人は用意したオムツを使って新しく取り換えると、取り替えたおむつはキツくなく、緩くなく、丁度いいサイズで赤ちゃんもスッキリした表情を見せた。

 

「よ、ヨヨさん……流石に準備が宜しいと言うレベルじゃないんだけど、本当に何で置いてあるの?」

 

らんこは恐る恐るオムツをあるのか聞いてみた。隣にいた2人も首を縦に振って「うんうん」と知りたい様子だ。粉ミルクならまだしもこの赤ちゃんのサイズに合ったおむつが流石に不自然だ。

 

「出会いに偶然はない……人と人が巡り会うこと。それはいつだって必然、運命……物語の始まり…」

 

「……ちょっと何言っているかわからないんですけど」

 

だが、何やら難しい事を言っているヨヨであったが、らんこは言っている意味を理解出来ず、某サンドイッチ芸人のボケを吐いてしまう。(なお、本人は意識して言ったつもりは無い)

 

「あなたの世界に戻る方法が見つかるまで、二階の空いている部屋を好きにお使いなさい」

 

「え?ちょっとおばあちゃん!?」

 

ヨヨからあっさり滞在許可を貰った事にソラと赤ちゃんの暫くの衣食住は安定しそうだ。

だが、3人は結局粉ミルクとオムツが何故あるのか聞けずじまいだった。

 

─────────────

 

 

それから夕方となり青く広がっていた空はすっかり橙色に染まり、太陽も西へ沈みつつあった。

3人はヨヨから許可を貰った空き部屋へ訪れ揺籠の中に気持ちよく眠る赤ちゃんを中心にその寝顔を見ていた。

 

「まさか揺籠もあるなんてね」

 

「はい、本当に気持ち良さそうに寝ていますね」

 

「粉ミルクやおむつに続き揺籠なんてね……やっぱりヨヨさん怪しい宗教に入ってるんじゃない?」

 

「だ、だから違うって!……たぶん」

 

これまで赤ちゃんを迎えるために必要な物が全て揃っている事にヨヨの存在を疑っているらんこにそれを否定しようとするが次第に否定しづらくなっている事にましろは悩んでいた。準備が良いと言うかあまりにも良過ぎる事にまるで未来でも見たのではないかと自身の祖母を普通の人間として思えなくなってきていた。

そんな中ソラは後ろめたい顔をしていた。

 

「あの、この部屋…本当に使わせてもらって良いんでしょうか?」

 

周囲を見渡すと部屋は広く、ベットと机にタンスに身嗜みを整える鏡、更には部屋の窓からは外の絶景を見渡す事が出来る。他にも沢山のインテリアなどが配置されている。そんな部屋になにも見返りに無し住んで良いのかと彼女は少々納得できない様子だ。

 

「良いんじゃないかな?」

 

「家主のヨヨさんから許可が出たんだから此処はご好意に甘えなさい」

 

2人も特に彼女達が家で厄介になる事に拒否する事なく彼女に住む事を勧める。

 

「ごめんなさい。私…出来るだけ早く出ていきます」

 

「え?」

 

「なに言ってんの……あんた別世界の人間なんだから身分証明する物やこの世界のお金とか持っていないんだから宿とかホテルなんて借りられないわよ」

 

この部屋にただで住む事に納得できずソラは出て行こうとするが、らんこはそんな彼女を止めようとする。

 

「大丈夫です。私はスカイランドでも修行で野宿した事がありますから」

 

元いた世界でも野宿経験があるソラは胸を張って答えてるが2人はその様子に苦笑いを浮かべる。

 

「そ、ソラちゃん。それはまずいかなぁ〜」

 

「そうよ。夜中を1人で歩いていたら警察に一発補導されるから辞めなさい」

 

今の時代に夜中に少女が公園などで野宿していたら警察にお世話になる事が2人に目に見え、ソラに野宿をする事を止める様に説得する。

 

「ぐぅ…わ、わかりました。ですが、家の手伝いをやります。なんでしたら薪割りをします!力に自信がありますので」

 

「薪割りって……家はガスだから薪は使っていないよ」

 

「家事の手伝いをするのは良いことだけど、今日この世界に来たばかりだから暫くはこの世界の常識や文字を学んだ方を優先するべきよ」

 

「そ、そんなぁ〜……」

 

なにも見返りを求めず赤ちゃんと自身の衣食住を手配してくれる事に負い目を感じソラは自分に出来る事がないかと目を閉じて考える。そして、数十秒程してから考えが思いついたのか目を開ける。

 

「……ましろさんにらんこさん」

 

「はい?」

 

「ん?」

 

急にソラは改まると突然2人に向かって跪く。

 

「今日のご恩は決して忘れません。今より私ソラ・ハレワタールはお二人を守る騎士となり、全身全霊忠義を尽くし…あなた方を御守りする事を誓います!」

 

「あはは、時代劇かな…?」

 

「騎士って……ん?」

 

まるで西洋の物語の様に誓いを立てるソラの様子にましろとらんこは苦笑いを浮かべるも、らんこは先程のソラの発言に何か気づく。

 

「……ちょっと待って、今さらっと私を守る対象にカウントしなかった?」

 

「え、そうですが?」

 

それが何かと言わんばかりにきょとんとなるソラ。それを見てらんこは軽く溜め息を吐きながら頭を軽く掻きながら口を開く。

 

「あのさ、私とましろを同時に守るのは難しいと思うわよ」

 

「え、それはどう言う事ですか?」

 

同時に守るのは難しいそれを聞いてソラは疑問を抱く。慢心はしているつもりは無いが己はヒーローになる為鍛えており、更にはランボーグを倒すプリキュアになれるそんな自分が2人を守り抜く事が難しいとは思えなかった。

 

「ソラちゃん……らんこちゃんは私の家に住んでいる訳じゃないよ」

 

「ええええっ⁉︎そうなんですか⁉︎てっきり一緒に住んでいるかと思っていました……」

 

ましろの発言に思わず声を上げるソラ、らんこがこの家に住んでいないとなると2人を同時に守る事が出来ない事に衝撃を受ける。

 

「しかも私の家は此処から少し離れているから歩いて3、40分掛かるわよ」

 

更に其処にらんこが自身の家が地味に離れているという補足を入れる。

 

「くぅ…何と言う事でしょう!まさかお二人が別々の家に住んでいるなんて……!」

 

「いや…それが普通だから」

 

ソラの中でましろの家にらんこが住んでいるとは思っていなかった様で床に膝をついてショックを受ける。

 

「かくなる上はこの力を使ってらんこさんとましろさんの家を行き来してお守りを…!」

 

「いや、その力をこんな事に使うんじゃないわよ」

 

ポケットからミラージュペンを取り出して今にも変身しようとするソラをらんこが止める。折角手に入れた力をこんな事に使うなんて(尚、某マリンは*1……)初めて手にしたあの感動が台無しになってしまう。

 

「というか騎士とか要らないよ」

 

「まぁ、守ってくれるのは嬉しいけどそう言う堅苦しいのは苦手なのよ」

 

「じゃ、じゃあどうすれば」

 

家に住む見返りに護衛も要らないと言われ、ソラは益々困惑する。その様子にましろは彼女が

 

「……友達になるならどうかな?」

 

「……え?……とも……だち……」

 

友達にならないかと誘われ、ソラは思わず思考が停止する。

 

「友達なら友達同士助け合って行くからいいでしょ?私たち今日ソラちゃんに助けられたから今度はソラちゃんを友達として助けるよ」

 

「わ、私が……友達になって良いんですか?」

 

恐る恐るソラはましろに自分が友達になって良いかと聞くと、ましろは「もちろん」と返事をされる。

 

「らんこちゃんもいいでしょ?」

 

「……まぁっ、友達くらいなら別にいいけど……ソラ?」

 

らんこは気がつくとソラは感極まった表情を浮かべ、2人の手を取る。

 

「はい!ましろさんにらんこさん!これからよろしくお願いします!」

 

「うん!よろしくねソラちゃん!あと、痛い、痛いから!」

 

「わ、わかったから手を離しなさい力が強すぎるわよ!」

 

「わ、わあっ!ご、ごめんなさい!」

 

ソラは2人と友達になったのがあまりにも嬉しかったのそれぞれの片手を自身の両手で強く握手するが、力を入れ過ぎて2人は悲鳴を上げる。

その後、ソラは2人の手を強く握りすぎた事を謝ると、らんこは持っていたスマホの時計を確認する。

 

「じゃぁ、そろそろ私は帰るから」

 

そう言ってらんこは部屋の外へ向かおうとするが、

 

「待って下さい。治療をしてもらったからって、まだ少し痛むんですからもう少し休んでいきましょうよ。」

 

「そうだよ……あ、それなら今日泊まって行かない?まだ空き部屋はあるからお婆ちゃんも許してくれると思うよ」

 

「いや、私は慣れた所じゃ無いと眠れない癖があるなら家で寝かせて……今日は色々あり過ぎてもう参っちゃっているから」

 

若干やつれた表情を見て2人は思わず止めるのを躊躇った。確かに今日は大変な1日だった。ランボーグという化け物には襲われてはビルの屋上から落とされ、更には大衆から己の恥ずかしい姿を見られた事で肉体的にも精神的にもギリギリであった。

そう言う事の為、2人はらんこを止めずせめて玄関までお見送りしていこうと彼女と共に部屋を出ようとした時だ。

 

「え……えるぅ?」

 

「あ、起きちゃった…」

 

タイミングが良く寝ていた赤ちゃんが起き出し、部屋から出ようとする3人の姿を見つめる。

 

「らんこさんが家に帰るからさよならの挨拶しようね」

 

起きた赤ちゃんもらんこのお見送りに連れて行こうと揺籠の前で寄る。一方で赤ちゃんはらんこが帰ると理解すると表情が崩れていき、涙を浮かべる。

 

「えっ、えっ、えうっ…!」

 

「うわあっ⁉︎な、何でー⁉︎」

 

「えええっ⁉︎ま、またぁ!…ほ、ほらぁ〜見てみて!いないない…ばぁ!」

 

突然泣きそうになる赤ちゃんをソラが何とか宥めようとしたり、ましろも再び変顔をして笑わせようとするが、一向に表情は変わらず涙腺が崩壊しようとした時、らんこは赤ちゃんへ近づくと、揺籠から抱き上げると優しく揺らす。

 

「大丈夫よ……また来るから」

 

「える…!」

 

泣きそうな顔をしていた赤ちゃんだったが、らんこの穏やかな表情を見ると涙は引っ込む。

 

「今日はもうお互いに疲れたからもう寝ようね」

 

「え…えるぅ……」

 

「おやすみ……」

 

頭を撫でていくと気持ちよくなったのか再び眠気が出てきて赤ちゃんは再び目を閉じて夢の中へと旅立っていった。ソラとましろは赤ちゃんが泣かずに済んだ事に胸を撫で下ろした。

 

「らんこちゃん……寝かすのが上手だね」

 

「本当にそうですね。もしかしてらんこさんも歳の離れた弟や妹がいるんですか?」

 

自分達じゃ泣くのを止められなかった赤ちゃんを泣き止ませる上に寝かした事にソラ同様に経験があるのかと思ったが、らんこは首を振って否定する。

 

「生憎私は一人っ子よ……それに私は優しく撫でただけで別に特別な事はしてないと思うんだけど」

 

「そうですか……では、結局何なんでしょうか?」

 

「うーん、思いつかないね……」

 

結局何故らんこがあやすと泣き止んだのかわからず、今日考えるのはもうやめてまた後日考える事にした3人は玄関へ向かい外へ出る。

 

「それじゃあ、らんこちゃんまたねー!」

 

「らんこさん早く怪我を治してくださいね。さようならー!」

 

玄関でましろとソラに返事はしなかったが背を向けながら手を振って、ましろの家を去っていく。

そして、らんこの姿が見えなくなって2人は家の中へ戻ろうとした時だ。

 

「あっ!」

 

「どうしましたましろさん?」

 

「らんこちゃんの音楽プレーヤーを返すの忘れちゃった」

 

慌ててポケットから取り出したのはらんこの音楽プレーヤーだった。彼女がランボーグに捕まった時に落とした音楽プレーヤーをましろが回収したが返しそびれてしまった様だ。

 

そして、ましろの家からある程度離れたらんこは帰り道に音楽を聞いて帰ろうとしてパーカーのポケットから音楽プレーヤーを取り出そうとするが、其処で彼女は無い事に気づくのだった。

*1
ハートキャッチプリキュア!第39話にてキュアマリン(来海えりか)は部屋を掃除する為に変身して浄化技を使おうとした事がある。

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