ランボーグの攻撃に命中しなかったものの余波で吹き飛ばされたスカイとプリズムは現在路地で意識を失って倒れている。
そんな彼女達の下へと1人の人物がやってくる。
「スカイ、プリズム!しっかりして!」
「「うぅ……」」
意識を覚醒する2人、最初は目がぼやけて目の前にいるのは誰なのかすぐわからなかったが、だんだんとはっきり目が見えてきてその人物が誰なのかわかった。
「「…あ、あげはさん(ちゃん)」」
「良かった。2人とも目が覚めて…」
其処にはあげはが2人を心配する様に見つめており、2人が起きたのを確認すると安心して胸に手を当てて息を吐く。
「なんであげはちゃんが此処に?」
「実は…」
プリズムの問いに対してあげはは此処にいる理由について語り始める。
スカイとプリズムが街へ向かった後、ツバサとヨヨがエルを連れて家の中へ避難しようとした所、エルがスリングに乗り込み単身で2人を追いかけて行ったとヨヨからの連絡があり、偶々街に来ていたあげはがエルを保護しようと向かった所を気絶しているスカイ達を見つけて今に至ると言う訳だ。
「エルちゃんが近くにいるの⁉︎」
「だとしたら不味いです!カバトン達がエルちゃんを見つける前にこちらが見つけないと!」
2人はエルが自分達を追ってきたと知ると早く彼女を探しに行こうとするが、あげはが一つ疑問に思った事を口を開く。
「ねぇ、ツイスターはどこ?近くを探したんだけど見つからなくて…」
「「っ!」」
近くを探したが彼女だけ見つからない事にあげはは2人とは別の場所で気絶しているのかと思っている。
一方で2人は思い出す。ランボーグの攻撃から自分達を庇って光に呑み込まれたツイスターの姿を。
「う…う、うわあああああんっ!!!」
「ど、どうしたのましろん⁉︎」
突然泣き出すプリズムにあげはは驚きのあまり、本来の名前で呼んでしまう。
「あげはちゃん!らんこちゃんが…らんこちゃんがっ!!!」
「え、らんこちゃんに何かあったの⁉︎」
泣き出すプリズムの体を抱き締めて宥めながらも彼女の口かららんこの名前が出た時、彼女の身に何かあったのだと理解する。
「ツイスターは……らんこさんは私達を庇ってランボーグの攻撃に…!」
「えっ⁉︎」
スカイの発言を聞いてあげはは驚愕の表情を浮かべる。そして、スカイはそのまま喋り続ける。
「私は…助けられませんでした。逆にらんこさんに助けられてしまいました…!」
スカイも目に涙を浮かべる。あの時ちゃんと助けられていればと己を責め続ける彼女と友達を目の前で失ったショックで泣き続けるプリズムの2人を見てあげはも悲しみの気持ちが溢れてくるも、ぐっと堪える。
「2人とも…大丈夫よ……らんこちゃんはきっと生きているよ」
「「え?」」
あげはの発言にスカイとプリズムは思わず泣くのをやめて彼女に顔を向ける。
「根拠はあるんですか?」
「無いよ……でも、あの子ならきっと生きているよ。なぜなら私は信じているから」
そう言うとあげははスカイとプリズムを抱き締める。
「らんこちゃんは強い、ランボーグになんかやられ無い。あの子の強さは何時も側で戦いを見ている2人がよく知っているでしょ?……それとも2人はらんこちゃんが弱いと思っているの?」
「「そんな事ありません(ないよ)!……あっ」」
2人はあげはの発言を否定する。そして、否定した2人は自分達が咄嗟に出した本音に気づく。
「そう思っているなら大丈夫だね。らんこちゃんは…いや、ツイスターは生きている。あの子が生きているって事を友達の私達が信じないと駄目だよ」
「そうですね……確かにその通りです!」
「うん、私も信じるよツイスターの事を!」
2人は口ではツイスターは生きていると言っているが2人の手が震えている事からまだ不安に思っている。
「よし、それならエルちゃんと一緒にツイスターも探しに行くよ!」
「「はい(うん)!」」
あげはの提案にスカイとプリズムは強く返事をすると、3人は共に街の何処かにいるエルとツイスターを探しに行くのだった。
───────────
一方でスカイとプリズムが気絶していた場所より更に離れた路地裏にはツイスターが倒れていた。
「……う、う…ん」
ランボーグの攻撃に直撃した彼女は意識を取り戻していき、瞼をゆっくりと開けは周辺を見渡す
「此処は……確か私は……そうだ!」
彼女は此処で倒れる前の記憶を思い出す。足が何故か建物の屋根に癒着して剥がせなくなった所をランボーグの攻撃に襲われ、彼女を助けようとしたスカイとプリズムを巻き込まれない様に風を起こして吹き飛ばした瞬間に身体に激痛が走るも直ぐに意識は無くなった。
そして、今に至るわけだと思ったツイスターは現在の体の状況を確認しようと手足を確認する。
「どうやら手足は無事なようね……我ながらの悪運…痛っ⁉︎」
四肢が何処も欠損せず揃っている事を確認して立ち上がろうとするが突然鋭い痛みが腹部に襲い、思わず手を当てると其処には真っ赤な液体…血液がべっとりと付着していた。
「ッ!……さい、あく…っ!」
触れた箇所を確認すると大きめの金属片が脇腹に痛々しく突き刺さっており、其処から血が流れていた。
どうやらランボーグの攻撃が彼女を屋根ごと直撃した事によって起きた衝撃で金属製の屋根の破片が彼女の体に突き刺さった様だ。
そして、その傷を認識した事により段々と痛みが強くなり思わず意識が飛びそうになるも何とか堪える。
「はぁ…はぁ…急いで…治療……しないと…」
顔色は悪くなっていき汗も多量に流れる。物凄い怠と寒気も感じる。直ちに治療、最低でも応急処置をしないと最悪死に至る。かと言ってこんな路地裏で応急処置に必要な最低限の道具、または代用できる物なんて存在しない。
それなら病院に行って怪我の治療をするのが現実的だ。だが、この姿で治療を受けに行く訳にもいかない。だからと言って変身を解除して救急車を呼ぼうとしたら呼ぶ前に痛みに耐え切れず気絶してしまう。
(こうなったら近くに誰でもいい……誰かに来てもらって助けて貰うしか……)
そう考えたツイスターは腹部を片手で押さえながら痛みに耐え、もう片方の手に風の塊を作り出し、それを上空目掛けて投げ付ると緑色の旋風を引き起こして狼煙代わりにする。だがそれはたった5秒しか維持できず、旋風は散り散りになって消える。
消えるのを確認したツイスターは足に力が抜けて地面に座り込む。
(これで後は誰かが来てくれるのを待つ…だけね……)
期待したいのはスカイ達だ。直撃を免れた自分と違って打撲くらいで済んでいるだろう。それなら多少は動ける筈だ。
そう思って、彼女達が来るのを腹部からくる痛みに耐えながらも待とうとするが、
《さっきの風はやはり君だったか、ツイスタ〜♪》
「なっ⁉︎」
声が聞こえた方向に目を向けると其処にはキメラングのドローンが飛んでおり、ドローンからはキメラングの声が聞こえる。
「よりにもよって……あんた…!」
《おいおい〜、せっかく見つけて来たのにその反応って無いだろう?》
ツイスターの冷たい対応に少々落ち込む声色を出す。一方でツイスターはよりにもよって一番来てほしくない奴がやって来た事に表情を歪ませる。
今は手負いの状態だ。こんな体でまともに戦える筈無いが、だからと言ってキメラングの事だ。マッドサイエンティストな彼女の事だから捕まったら最後肉体と精神共に辛い実験をされるかもしれない。そう考えたツイスターは痛みに耐えつつも壁に寄りかかりながら何とか立ち上がる。
《いやぁ〜、良かった良かった。もし君が死んででもしたら実験プランが幾つかオジャンになる所だったよ…それよりも、その傷は酷いねぇ〜、今すぐラボに連れて行って治療をしようか》
「冗談じゃなっ⁉︎」
冗談じゃ無いと怒鳴ろうとした瞬間、腹部から激痛が走り、更に眩暈と吐き気が起き、足がふらつき地面に片膝をつく。
「う…力が…でない……!」
《見た感じ動けないかな?…それなら好都合!》
体が自由に動かせないツイスターを見てキメラングは好機と見てドローンからワイヤー付きの首輪を放ち、彼女の首に装着される。
「ぐうっ⁉︎こんな趣味の悪い…首輪…!」
何とか外そうと力任せでやるが大量に血を流している所為で腕に思う様に力が入らず外す事が出来ない。
《悪いけど麻酔薬は無いから気絶してもらうよ。取り敢えず、電撃を流すねっと!》
「う、あああああっ!!!」
ドローンから発せされる強力な電撃にツイスターは地面に倒れてしまう。
(だめ、意識……が………)
先程から来る電撃と腹部の激痛に加え、その他の症状により彼女は段々と意識が無くなりこのまま気絶してしまいそうな時だった。
何処からともなく飛んできたサッカーボールがドローンとぶつかると、その衝撃で首輪が外れて先程まで彼女を襲っていた電撃が止み、ドローンは地面に落ちる。
《なんだっ⁉︎》
「これは…サッカー……ボール……?」
目の前を転がるサッカーボールにドローンのカメラ越しから見るキメラングとツイスターは何なのかと不思議に思っていると、
「おい、それ以上らんこさんを傷つけるな!」
「え、ソラ?」
一瞬ソラが助けに来てくれたと思ったが、先程は男の子の声だ。ただ、この声は聞き覚えのある声だ。
ツイスターは声が聞こえた方向を見てみると顔は段々と驚きの表情へと変わる。
「うそ……ひかる……」
其処に立っていたのは此処とは異なる並行世界のソラシド市に住んでいる少年、雷田ひかるだ。
《おや、君は以前並行世界で私が実験に付き合ってくれたモルモット君じゃ無いか》
「っ!…やっぱりお前はあの時の!」
ひかるもドローンから聞こえる声がキメラングと分かると強く睨む。彼はかつてキメラングの実験で目をつけられて2度もランボーグにされた事を思い出すと少し恐怖を感じるが、その時救ってくれたツイスターが目の前で傷だらけで苦しんでいる姿を見て恐怖は消えて怒りが溢れる。
「よくもらんこさんを……許さねえ!」
《おぉ〜、怖いねぇ……それにしても君はどうやってこちらの世界に来たのかは知らないが邪魔をしないで貰おうかな》
そう言って地面に落ちたドローンを再び浮かび上がせると、ひかるを襲おうと彼に迫る。
「させるか!」
ひかるは再びサッカーボールを強く蹴るとドローンに向かって飛ぶが、ドローンから放たれたレーザー光線によりボールは消し飛ぶ。
「なっ⁉︎」
《君はもう実験する気は無いが、どうやってこちらの世界にきたのか気になるからちょっと頭の中を調べさせて貰おうか》
「くっ…!」
これ以上攻撃する手立ては無いのかひかるは悔しそうな顔を浮かべ後退りする。対してキメラングはレーザーを放つ砲口にエネルギーを溜めて放とするが、背後から飛んできたマフラーにボディが巻きつかれる。
《うおっ⁉︎つ、ツイスター!?》
「ら、らんこさん⁉︎」
2人は傷口を押さえながら肩で息をしてマフラーを握るツイスターに驚きの声を上げる。
「私を…無視してんじゃ……無いわよ!」
ツイスターはドローンを捕らえるとキメラングが行動をする前に思いっきりマフラーを振ってビルの壁へ何度も叩きつけ、最後は地面に叩きつけると、ドローンは爆散して残骸が辺りに飛ぶ。
「はぁ…はぁ…ざ、ざまぁ……ぁ」
「ら、らんこさん!」
力を使い果たしたツイスターはそのまま地面に倒れそうだったが、ひかるが素早く駆け寄り彼女の体を受け止め、優しく地面に座らせる。
「らんこさん大丈夫⁉︎」
「悪いわね……久しぶりに再会……だっていうのに……情けない姿を見せる……なんて……」
「情けなくなんか無い!!また俺を助けてくれたじゃ無いか!」
今は怪我でまともに動ける訳ないのにそれでも無理をして助けてくれた彼女にひかるは感謝を伝える。
「ところで…どうやってこっちに…?」
一方でツイスターは何故並行世界のひかるがこちらに来られたのか不思議に思った。
「えっと、あっちでらんこさんの事を考えていたら前に貰ったコレが目の前でトンネルを開けて其処を通ってきたらこっちに来れたんだ」
「え…
「え…あっ!」
さらっと自分で恥ずかしい事を言っていた事に気付く、しかも自分が恋焦がれる相手である為、余計に恥ずかしさが増し気がつくと己の耳や顔まで赤くなる。
此処で彼女がドン引きでもしたらショックで悲しくなる。その前に誤解を解くべく言い訳をしようとした。
「はぁ……私を思っただけで……来れるって……どんだけ私の事が……好きなのよ?」
「あ、あれ?」
対してらんこは恥ずかしがる反応などでは無く、逆に呆れた表情を浮かべる。その様子からして引いている事はなく軽く流しているようだ。対してひかるも思ってた反応と違う事に調子が狂ってしまう。
因みにだがツイスターの気分がいつもと同じならこう返してくれるだろう。
『は、はあっ!?な、なに恥ずかしい事を言っているのよ!?バ、馬ッ鹿じゃ無い!?わ、わたしのことを考えてたら来れたって……ふ、ふ、ふざけた事言わないで!』
と言って顔を赤面にして恥ずかしい気持ちを露わにし、ツンデレらしい反応を見せてくれる。だが、今の彼女は全身の打撲と疲労に加え、大量の出血により体の不調もありあまり冷静ではない為、ひかるの惚気に近い話を聞いてもいつもの様な判断は出来ずリアクションが薄い。
取り敢えずひかるは彼女が引いていない事に安心するも自分の思いを軽く流された事に少し落ち込む。
そんな彼の気持ちを他所にツイスターは周辺を見渡す。
(見た感じ此処へ来たのは……ひかるだけみたいね)
近くにはひかる以外の人の気配は感じない。と言うよりも先程助けに入った際に一般人である彼を止める人物がいない事に薄らとは予感していた。
個人的にはひかるだけじゃ無く並行世界のソラとましろ。若しくはアサヒとユキの2人にも来て欲しかったが、来ていないと分かると厄介な問題が起きる。それはキメラングだ。
ドローンを破壊した事で彼女が此処にやってくるか、再び自分達を捕まえに複数のドローンが飛んでくるかもしれない。そうなるとひかるを守り切れる自信はない。それなら此処は出来るだけ遠くに離れるしか無い。
「取り敢えずひかる、アイツがまたドローンを寄越す前に逃げ…うっ!」
「ら、らんこさん⁉︎って、腹に金属片が刺さってるじゃ無いか⁉︎」
キ逃げるように伝えようとするが腹部の傷が痛み彼女の顔を歪ませ、ひかるも彼女の苦痛な表情を見て腹に刺さる破片の存在に気がつく。
「早く取り除かないと!」
そう言ってひかるは彼女の腹部に突き刺さる金属片に触ろうとするが「ま、待って」とツイスターが止める。
「ま、待って、下手に…抜けば…はぁ、血が出ちゃうから無闇に……はぁ、触らないで」
「あ、ご、ごめん!」
テンパってしまい危うく破片を抜いてしまいそうだったひかるはツイスターに謝罪する。
「だったら救急車を…!」
この状況での応急処置の知識が無いひかるは救急車を呼ぼうとポケットからスマホを取り出すが、元の世界にいるましろとアサヒとの約束"プリキュアの正体は秘密"を思い出す。仮に此処で救急車を呼ぶか病院に運べばツイスターの正体が公になる。そうなると彼女の今の生活は変わってしまうだろう。
(くそっ!…何やってんだよ俺は!?らんこさんの足を引っ張って…いったいどうすりゃ良いんだよ!?)
これ以上ツイスターの苦しむ姿を見たく無い。だけど、病院に連れて行くと彼女の今後の生活に支障が出ると自身の中で深く悩ませる。
そんな時だ、ひかるの持つスカイトーンが点滅する。
「何だ、こんな時に光って⁉︎」
ひかるは突然起こるスカイトーンの現象に困惑の表情を浮かべる。同時にいつの間にかツイスターの手の中にスカイミラージュが出現すると、スロットに嵌められていたスカイトーンはひとりでに外れる。
「も、もしかして……コイツを嵌めれば良いのか……?」
ひかるは恐る恐る自分の持つスカイトーンをツイスターのスカイミラージュのスロットに嵌め込むと其処から風が巻き起こり、彼女の体を包んでいく。そして風が止むと彼女の全身の傷は無くなり腹部に刺さっていた破片も消え傷も治る。
「傷が……治った?」
ツイスターは先程まであった全身の痛みが消え、楽になった事によりひかるに手を借りながらも立ち上がる事が出来た。
「ら、らんこさん…体はもう大丈夫…なのか?」
「ええ、ありが…っ」
お礼を言うとツイスターはひかるに歩み寄ろうとするが、少しふらつくがひかるが駆け寄って彼女を支える。
「大丈夫⁉︎」
「ええ、大丈夫よ。だけど、傷は治っても疲労は無くならないみたいね……」
全身の怪我は無くなり多少気分は良くなったがその際失った分の血は戻らなかった様でまだ軽く眩暈がする。
だけど、歩く事は出来る…取り敢えずはひかるを連れて一旦安全そうな虹ヶ丘家へ行こうと考え彼にそのことを伝えようとするが、大通りから大きな物音が聞こえてくる。
「何かしら、さっきから騒がしいけど」
「あっちの方で他のプリキュアが戦っているんじゃないか?」
2人は警戒しながらも路地裏から出て大通りの様子を見に行こうとすると、
「ウワァァァァッ!!!」
「邪魔すんな脇役!」
「「ッ⁉︎」」
2人の目の前をオレンジ色の丸っこい鳥が走っていき、それをランボーグに乗り込むカバトンが追いかける光景だ。
その光景を見た2人は暫く思考が停止してしまう。
「はっ⁉︎…な、なんだったんだ今のは?……と言うか喋ってなかったか?」
あんな鳥は自分の世界でも見た事ない。しかもインコよりも感情的に叫び声を上げていた事にこちらの世界のUMAかと思い、ツイスターに聞いてみようと話しかける。
「もふもふして……触り心地良さそう……」
「え、らんこさん?」
ツイスターのズレた発言に聞き、ひかるは目が丸くなる。
「……はっ⁉︎…さっきの抱き締めたい…じゃなかった。可愛い鳥を助けないと!」
「お、おう、わかったよ」
先程からツイスターの言動に違和感を覚えるも、年相応の女子の台詞を言う彼女の普段あまり見かけないギャップにこれはこれで良いなと思いながら彼女と共に先程の鳥とランボーグを追いかけようと大通りに出た。
「えるぅ〜⁉︎」
「う、うわぁぁぁっ⁉︎」
すると丁度その時、先程の鳥とスリングに乗ったエルがランボーグの放つ光線に引き寄せられそのまま中へと吸い込まれるのを目撃。
「え、エルッ⁉︎何で⁉︎」
「今の子って、アサヒの家にいる赤ちゃん⁉︎」
2人は何故ここにエルがいるのか全く知らない為、突然の出来事に動揺してしまう。
「ギャーハッハッハッ!!!プリンセスゲットッ!!!」
一方でランボーグに乗っているカバトンは本来の目的であるエルの確保が成功した事に喜び、誰にも邪魔されない様にランボーグを操縦して更に上空に向かって飛んでいく。
「待ちなさい!エルを返しなさい!」
「あ、らんこさん!」
ツイスターはエルを取り戻そうとランボーグを追いかけて跳び上がるも、疲労が溜まっている所為でいつもと比べて半分の高さまで跳べず地面に着地するが、足がふらついて地面に膝をついてしまう。
「無理しないでくれ!怪我は治ったけど、疲労は残っているんだ!」
「でも、何とかしてエルを助けないと……」
心配するひかるにツイスターはエルを救出しに行こうと何としてでもランボーグの元へ行く方法を考えようとする。
「だけど、今のらんこさんは万全じゃないんだ。あそこまで行くにはそれを補う強力なジャンプ台やトランポリンがないと無理だろ」
「そうは言っても……ん?」
ツイスターは首に巻いてあるマフラーに視線をずらすと、マフラーを首から外して感触を確かめる。
「……なんとかなるかもしれないわ」
「え?」
ツイスターの発言にひかるはキョトンとするもその間に彼女はマフラーを近くのビルの屋上に向かって投げると其処にある手摺に巻き付き、簡単に解けない事を確認すると反対側も同様に投げ付けて手摺に巻きつける。
「……コレなら行けそうね」
「え、これって…パチンコか⁉︎」
気がつくとひかるの目の前にはツイスターのマフラーを使った巨大なパチンコが出来上がっていた。
「ビルの強度が心配だけど……一回だけなら何となりそうね」
そう言ってツイスターは早速マフラーに身体を預け、マフラーを伸ばしていこうとその場から下がろうとすると、
「待ってくれ!」
「ひかる?」
その時、ひかるがツイスターを呼び止める。
「……らんこさんはさっきまで大怪我してたんだ。怪我は治ったけど物凄く疲れているだろ?なら、此処は他のプリキュア達に任せるってのはどうなんだ?」
「そういう訳にはいかない……目の前でエルが攫われたのに放っておける訳には行かない。それにスカイとプリズムがまだ戦っている。それなら私1人だけ休んでいる訳にはいかない。だから行かないと」
「駄目だ!危険過ぎる!多分だけど、あの中にキメラングって奴もいるんだろ?其処に行くとなると今度こそやられるかもしれないんだぞ⁉︎」
ひかるは彼女を行かせまいと止めようとする。ツイスターもそんな彼の態度に困惑の表情を浮かべる。
「それに俺は…らんこさんの事が……」
"好きだ"と言いたかったが、直前に口を閉じぐっと堪える。そんなひかるに対してツイスターは右手の小指を突き出す。対してひかるは彼女の行動に声を漏らし、キョトンとなる。
「なら…約束する。あそこからエルを救出したら必ずひかる…あんたの元へ戻ってくるって」
「らんこさん……」
彼女の真剣な眼差しにひかるは一瞬、茫然となるも彼女の目に暫く見られるとひかるは折れ、彼も右手の小指を突き出すと彼女の小指と絡める。
「はぁ……わかったよ。だけど、絶対戻って来てくれよ!戻って来ないと俺は怒るからな!」
「わかったわよ……後顔が近いんだけど」
「え、あっ、ああ!ご、ごめん!」
彼女の指摘に気づいたひかるは興奮のあまりキスする勢いまで近かった事に顔を赤くして数歩下がりながら謝罪する。
「それとツイスターよ」
「え?」
「今の私の事はツイスターって呼んで♪」
そう言って、彼女はひかるに対してウインクをする。そんな彼女の姿に暫く固まる。
「あれ、ひかる?」
「……えっ?…ああ、わかったよツイスター!」
そして、彼女もひかるが反応しないことに恐る恐る話しかけると、彼女の声を聞いて正気に戻りツイスターの名前を呼ぶ。
それからツイスターはマフラーに再び背中を預けてそのまま限界まで下がって行くと、あることを思い出す。
「あ、それと私が無事である事をスカイとプリズムにも伝えてくれる?」
「ああ、任せてくれ。必ずこの世界の2人に伝えるよ」
ひかるが自分の頼みを聞いてくれると笑みを浮かべるツイスター。
「じゃあ、行って来るわ」
「ああ、いってらっしゃい…ツイスター」
互いにそう言うとツイスターは足を地面から離し、そこから彼女の身体を預けたマフラーは勢いよく縮んでいきそのまま彼女の身体を空に向かって弾丸の様に飛ばしてあっという間にビルの高さを超えて行く。
だが、それでもランボーグまでの距離が少し足りなかったが段々と、彼女には策があった。
「今よ!ヒーローガール…ツイスターストライクッ!!!」
身体を回転させ、身体を上昇させそのままランボーグに向かってツイスターストライクを行う。
だが、それでも足りず段々と勢いが落ちて行くが、彼女は其処でテンペストバトンを召喚する。
「更にツイスタートルネード!!!」
其処からツイスタートルネードを身体に纏わせると先程まで無くなりそうになった勢いが蘇り、ランボーグへとの距離がどんどん詰めて行く。このままなら目的通りランボーグへ接触する事が出来る。
だが、問題はその後だ。
(取り敢えず飛んだけど……この後どうしよう……)
飛ぶ事ばかり考えていたツイスターはランボーグに潜入する方法について考えていなかった。
今やっているツイスターストライクとツイスタートルネードはあくまでも距離を詰めるためにやっている為、ランボーグへ接触する頃には壁に穴が開くほどの威力は無いだろう。取り敢えずランボーグの何処かにしがみついて侵入経路を探そうと考えていると、突然、ランボーグの真下に穴が開く。
「え、どう言う事⁉︎…でも、この好機は逃さない!」
何故開いたのかはわからないが彼女にとってこれは千載一遇のチャンス、逃すわけない。彼女はそのままそこから侵入しようと突っ込んで行くが、
「うわあああああああっ!!!」
「へっ?…ブッ⁉︎」
突如と聞こえてきた声と共に顔面がオレンジ色の柔らかい何か覆われて視界が見えなくなり、そのまま中へ侵入するも壁に体を激突してしまう。
そして、ツイスターは痛みに悶絶して転げ回る。
「だ、大丈夫ですか⁉︎」
「あたたたっ……ええ、頭痛はするけどこれくらいへい……き……?」
自身を心配する様な声の方へ視線を移すと其処には片目を髪で隠した少年がいた。
そして、その少年こそが今らんこの中で最も憎むべきツバサ張本人であった。