ひろプリに野良猫系キャラを入れてみた   作:獅子河馬ブウ

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第25話 思い出の味

たい焼きの中に入れる餡の材料を用意した一同はそれぞれ材料を調理している。ましろはかぼちゃとサツマイモは蒸して潰し、ツバサの場合はチョコなど湯煎し更に生クリーム入れをかき混ぜる。らんこも2人とはまた違った材料を刻んでいた。

そんな中らんこはある事に気がつく。

 

「あれ…ソラは?」

 

「え?あっ…そういえばいつの間にかいなくなっている」

 

先程からソラの姿がリビングに見当たらない事に気付いた。もしかしてトイレへ行ったのかと思っているとツバサが話しかける。

 

「ソラさんならさっきキッチンの方に行きました。何でも絶対たい焼きに合う美味しい物があるからって」

 

「「たい焼きに合う美味しい物?」」

 

どうやら自分達が調理に夢中になっている間、ソラは1人でキッチンの方に向い何かの食材?を取りに行っている様だ。だが、ツバサ曰くたい焼きに合う美味しい物と自信満々に言うからにはそれなりの物を用意するに違いないが、らんこは兎も角この家に住むましろは見当がつかない様子だ。

 

「ソラちゃん…一体何を持ってくるんだろう?」

 

「まさかだと思うけど、ゲテモノでも持ってくるんじゃないわよね」

 

「いや、家にゲテモノなんて置いていないから!」

 

ソラが何を持ってくるのか考える2人だったが、そんな時キッチン方から食欲を唆るスパイシーな香りがしてきた。それと同時に小鍋を抱えたソラがキッチンから戻ってきた。

 

「ソラ…一体何を持ってきたの?」

 

「これですか?昨日の残ってたカレーライスを温め終えたので持ってきました」

 

そう言ってソラは温めたばかりのカレーが入った小鍋をお玉でかき混ぜていた。

 

「え、これってお菓子だよね?たい焼きにカレーってどうかな……」

 

カレーは確かに美味しい。だけど、今回はお菓子のたい焼きを作るのが目的だ。ピリッとする辛さが特徴的なカレーを甘いたい焼きの餡にするのはどうかと悩むましろであったが、

 

「良いんじゃない?パーティーだから一つや二つ甘い物じゃ無くても」

 

「そうですね、僕も甘い物は好きですけど、そればかりだとちょっと飽きてしまいますからね。こういう変わり種みたいな物は悪くないと思いますよ」

 

本来の目的とは異なるがパーティーには甘い物だけで無くそれ以外の味のある物もあった方が良いとツバサとらんこの2人は意見を出す。

 

「ううん…それなら良いかな」

 

「やったー!」

 

ましろも2人の意見を聞いて納得し、カレー入りたい焼きを認めて貰った事にソラは喜びの声を上げると、ソラはらんこが先程から刻んでいる食材に目が行く。

 

「らんこさんは何を切っているんですか?」

 

「りんごよ。切ったりんごをコンポートにするのよ」

 

そう言ってらんこは一口サイズに切り終えたりんごをボウルの中に入れて、キッチンへ向かおうとする。

 

「らんこちゃん……アップルパイを作る気だよね」

 

「……何を証拠に言っているのよましろ」

 

ましろの発言にらんこは足を止める。りんごを刻んでいるだけでたい焼き作りを疎かにアップルパイを作っているとは些か話が跳躍しているのではと思うが、

 

「……じゃあ、その冷凍パイシートはなに?」

 

そう言ってましろの指が刺した先にはらんボウルだけじゃ無くていつの間にか冷凍パイシートも持っていた。

 

「……たい焼きばかりじゃ、飽きるでしょ?」

 

「素直に食べたいだけでしょ」

 

やや苦しめな言い訳をするらんこにましろは呆れた表情を浮かべる。

 

「ま、まぁ、パイもお祝い事に相応しいお菓子ですから作っても良いと思いm「パーティーの主役からの許可が出たんだからアップルパイを作らないとー」……」

 

棒読み感が強い台詞を吐くとキッチンへ駆け込んでいく。その姿を見てツバサは呆然となる。

 

「はぁ、らんこちゃん……自分の欲に忠実だね」

 

本来の目的をそっちのけで自身の趣味に走る彼女を見てましろはため息を吐く。

 

「珍しいですねらんこさんがあんな行動を取るなんて……ひょっとして好物なんですか?」

 

「まぁね。一年くらい前に私が作ったアップルパイを食べてね。気に入ったみたいであっという間に1ホール食べちゃったんだよね」

 

「へぇ〜、そんな事があったんですね。というよりもらんこさんって結構食べるんですね。でも、その割には前に抱えた時軽かった気がしますけど……」

 

ソラにとって、彼女が大食いとまでは行かないが中々の食欲を持っている事に驚いたがその割には身体が軽い事に不思議に思う。

 

「その事なんだけどらんこちゃんって代謝機能が良いからそんなに太らないみたいなんだよ……本当に羨ましい

 

「ん、ましろさん何か言いましたか?」

 

「え、あっ、ううん!何でも無いよ!」

 

一瞬らんこを羨ましがるましろだったが、ソラに指摘された事に慌てて誤魔化す。

 

「ねぇ、ましろ。シナモンパウダーはどこにあるかしら?」

 

そんな時キッチンでりんごのコンポートを作っているらんこがましろを呼んでいる。どうやらコンポートに使うシナモンパウダーが中々見つからない様だ。

 

「すぐそばの棚にない?」

 

「探したけど見当たらなかったわよ」

 

「そう?シナモンパウダー場所は変えていないと思うけどな……」

 

そう言ってましろは困っているらんこの様子を見にキッチンの方へ向かう。

 

「じゃあ、私たちはたい焼き作りの続きをしましょうか」

 

「そうですね」

 

リビングに残されたソラとツバサは今用意した食材を使ってたい焼きを作るのであった。

 

───────────

 

らんこがたい焼き作りの途中にアップルパイを作るが、その後もたい焼き作りを行い、中身の餡が異なったたい焼きが沢山焼き上がるとテーブルの上に並べられる。

尚、並べられたたい焼き達を見てソラは口元からヨダレが出そうになるもらんこに小突かれる。

 

「さぁ、ツバサ君。ヤーキターイと同じ味があるか試食してみて」

 

「はい、それじゃあいただきます」

 

端の方にあるたい焼きから手を取るとそこから一口ずつ餡が異なるたい焼きを全て味見するツバサであったが、どれもヤーキターイに近い味のたい焼きはなかった。

 

「すみません。やっぱり……でも、全部……美味しいです!」

 

ヤーキターイに近い物は無かったがツバサの感想を聞いて3人のモチベーションは上がる。

 

「そうですか。ですが諦めませんよ。絶対ヤーキターイの味を再現してみます!」

 

「うん、こうなったらとことんやるよ!」

 

「まぁ、途中で投げ出すのも後味悪いから最後まで付き合うわよ」

 

「皆さん……ありがとうございます!」

 

3人の諦めない姿勢にツバサは感激しお礼を言う。

 

「ところでこの試食して残ったたい焼きはどうするのよ?」

 

テーブルには先程ツバサが試食したたい焼きが沢山置いてあり、先程からソラがチラチラと視線を向けていた。それに気付いた3人は思わず苦笑いを浮かべる。

 

「はは、捨てるのは勿体無いからみんなで食べようか」

 

「その言葉を待っていました!わたしずっと我慢してたんですよ!」

 

「ソラさん…さっきからチラチラとたい焼きを見つめていましたもんね」

 

「まぁ、目の前に美味しそうな物があって食べられないのは酷よね」

 

取り敢えず次の餡を作る前に自分達で作ったたい焼きを食べて一旦休憩する事になり、ナイフを用意するとそれぞれのたい焼きを切り分け4人が全て味わえる様にするとそれぞれが好きなたい焼きを手に取って食べ始める。

らんこも好みのりんごのコンポート入りたい焼きを食べると美味しい笑顔を浮かべる。アップルパイ好きな彼女にとって満足する味の様だ。

ソラ達もそれぞれ好きなたい焼きを食べて笑顔を浮かべる。その光景を見てらんこはある事に気がつく。

 

(……そう言えば私がましろの家でみんなと一緒に食事を作って食べるなんてあまり無いかも……)

 

学校ではソラとましろと共に弁当を食べているが、こうやって友達の家に上がって共に食事を作り食べる経験が己にはない。同時に先程まで共にたい焼き作りした事を思い出すと胸が温かくなる感じがした。

 

(何かしらこの胸の温かさは?)

 

自身の胸に手を当てて考えているとソラ達がらんこに話しかける。

 

「らんこさん!私の作ったカレー入りたい焼きは美味しいですから食べてみて下さい!」

 

「あ、私の作ったサツマイモ餡もあるよ」

 

「僕のチョコクリーム入りたい焼きもどうぞ」

 

「ちょ、そんなに一気に勧めないで。ちゃんと自分のペースで食べるから」

 

ソラ達3人からそれぞれたい焼きを勧められた事に一瞬驚くもそれぞれからたい焼きを貰うと一つずつ頂く。

 

(っ、私の作ったたい焼きよりも美味しく感じる⁉︎)

 

自分の作ったたい焼きよりも3人のたい焼きが美味しい事に目を見開く。自分の料理の腕はましろは兎も角ソラ達と大して変わらないのに何故こんなに美味しく感じるのか疑問が浮かぶ。材料も全てこの家にあった物を使っている為、そこまでの差は無い筈だ。

 

「らんこさん。らんこさんの作ったたい焼きを貰っても良いですか?」

 

「あっ、私も食べたい」

 

「僕もさっき貰いましたが、もう一度食べて良いですか?」

 

「へ?…ええ、良いわよ」

 

らんこはそう言ってりんごのコンポート入りたい焼きを3人に渡すと、3人は美味しそうに食べる。それを見てらんこは気がついた。

 

(そっか、楽しいからこんなに美味しいのね……)

 

友達と一緒に作って食べる食事は1人で作って食べるよりも美味しい。それに気付いたらんこは笑みを浮かべる。最初はあまり気乗りしなかったたい焼き作りであったが、作っていくと次第に楽しい気持ちが溢れかえり友達が作ったたい焼きを食べる事で己の心が幸せで満ちていく。

 

『ピピピーッ』

 

「ん?」

 

らんこが幸せの感傷に浸かっているそんな時、何処かで聞いた事のある鳴き声が聞こえそちらに視線を向けるとそこにいたのは……

 

 

 

 

 

 

 

たい焼きによく似た可愛らしい妖精が飛んでいた。だが、その姿には既視感があった。それはかつてスカイジュエルを探しに裏山に行った際に見た雲パンの妖精と姿がよく似ていた。しかも今回は1匹じゃ無く複数その姿が確認される。

 

(気の所為か以前よりもハッキリと見えるんだけど)

 

裏山で見かけた時と比べて今回は半透明じゃ無くてちゃんとその姿が視認出来るのだ。

 

「おおっ⁉︎まさか雲パンの妖精さんだけじゃ無くたい焼きの妖精さんも居たんですね。しかもこんなにいるなんて…!」

 

『ピピッピ♪』

 

そして、前回同様ソラはたい焼きの妖精の存在を確認出来戯れている。らんこも妖精を撫でようと手を伸ばそうとするが、

 

「え、何この子達⁉︎」

 

「この世界にはたい焼きの妖精が存在するんですか⁉︎」

 

「えっ?」

 

ましろとツバサの驚いた声にらんこは反応する。2人の視線が完全に妖精達を捉えていたのだ。

 

「ましろもツバサも見えるの?」

 

「ひょっとして……らんこちゃんも見えているの?」

 

「これが何か知っているんですか?」

 

2人も自分達だけで無くらんこも見えている事に驚いていた。

 

「安心して、私も詳しい事は分からないけど偶に見える料理の美味さによって引き起こされる集団幻覚だから害は無いわ」

 

「いや、集団幻覚なのに害が無いってどう言う事ですか!?」

 

らんこのトンデモ発言にツバサは思わずツッコミを入れる。

 

「らんこちゃんあんまり驚かないね…」

 

ましろはあまり大きな反応を見せないらんこに不思議に思っていた。話を聞く限り今回の様な事は初体験では無い事がわかるが、それにしても反応が薄すぎる。少し前まではこういう出来事に対してましろと同様に驚いた表情を見せたので尚更だ。

 

「いや、最近異世界人に喋る豚に並行世界、その他鳥の姿に成れる人間なんかを見て妖精なんかで驚くのは今更かなと思って」

 

「いや、そう言われるとそうだけど……」

 

確かにらんこの言う通りソラとの邂逅をきっかけに今までで体験しなかった非現実的な出来事の数々では料理を模した妖精の姿は少々インパクトに欠けていた。

 

「それにしても前見たのがましろが作ってくれた雲パンの時だったけど、今回は私たちの料理の腕がこの妖精達の幻覚を見せているのね。自分達のこのたい焼きに対する想い……いや、情熱って奴が凄いとは……まるでミスター◯っ子や食戟の◯ーマを連想するわね」

 

「そ、そうだね……ん、雲パン…?ねぇ、今なんて言ったの?」

 

「取り敢えず見た感じ特に悪戯とかする事は無さそうだから気にせずたい焼き作りに専念するわよ。先ずはまだ作っていない餡の材料をリストに書くわよ」

 

「いや、気になるよ!あと、私の作った雲パンがどうしたの〜!?」

 

さらっと自分が以前作った雲パンが話に出た事にましろは気になりらんこに問い詰めるが、彼女はましろの質問には答えずメモ用紙とペンを取り出して材料の名前を書くのであった。

 

「あら、皆んなにも見えるのね」

 

「えるぅ♪」

 

そして、その様子を後ろから見ていたヨヨもたい焼きの妖精を手に乗せて笑みを浮かべて、エルもその妖精に向かって手を伸ばしていた。

 

──────────

 

それから休憩を終えた四人は街に出かけて餡の材料になるものを探して買う事になる。

その帰り道、堤防の上を四人で歩いていた時の事だ。

 

「蜂蜜とカスタード、オレンジに果物!後は……」

 

「鮭です!思いつく物は全部買いましょう!」

 

「……カレーの時もそうだったけど、ソラってそっち方面のたい焼きを作りたいの?」

 

「あはは……」

 

明らかに自分達の求める餡の材料の方向性が違うソラにらんこは困惑の表情を浮かべ、そのやり取りを見てましろは苦笑いをするとふとスマホで時間を見る。

 

「それにしても…もう時間もないし、それで上手く作れれば良いけど…いや、作れる。ううん、きっと作れるよ!」

 

時間があまり残されていない事に失敗したらどうしようかと一瞬悩むが、失敗する考えを捨て成功すると強く考え、己を奮い立たせる。

 

「ましろさん…ありがとうございます。僕の為にソラさんとらんこさんと一緒に頑張ってくれて」

 

「ううん、お礼なんて良いよ。私はただツバサ君にヤーキターイを食べて貰いたいだけだから」

 

ツバサの感謝の言葉にましろは少し照れた表情を見せるも謙遜な態度を取る。その話を聞いてソラが口を開く。

 

「思い出します。私もここに来たての頃、ましろさんにスカイランドをイメージした雲パンを作って貰いました。それが凄く嬉しくて…ましろさんも食べた人を笑顔にする不思議な力があるんです!」

 

「えっ?そ、そんな事ないよ…」

 

ましろは自分にはそんな力は無いとやんわり否定するが、らんこがましろの言葉を否定する。

 

「……いや、あるわよ」

 

「らんこちゃん?」

 

らんこがましろの言葉を否定する。

 

「ましろは覚えているかしら?私に初めて手作りのアップルパイをご馳走してくれた事を…」

 

そう言いながら脳裏にその時の出来事が鮮明に思い浮かぶ。

 

──────────

 

一年程前、らんこはフードを被ってグレている態度が目立っており、学校からも不良扱いされていた。そんな彼女だがましろと友達になって数日が経ったある日、ましろから家に遊びに来ないかと誘われるも最初は彼女の誘いを断ろうとする。しかし、その時見せたましろの顔を見てらんこも断り辛く、渋々誘いに乗ったのだ。

そして、虹ヶ丘家へ遊びに来たらんこをリビングに案内すると、ましろは彼女に自身の作った料理を出す。

 

『らんこちゃん良かったら食べて』

 

『ん……アップルパイ?』

 

目の前には皿に乗って切り分けられたアップルパイが出された。らんこは出されたアップルパイを眺める。彼女にとってアップルパイは好物だ。だけど、自身はその事をましろには伝えていないのにも関わらずアップルパイを出した事に不思議に思った。

 

『あれ、もしかしてアップルパイは嫌い?』

 

ましろはらんこがアップルパイが嫌いな食べ物なのかと思い不安の表情を見せ、その顔を見て気まずく思ったらんこはアップルパイを手に取る。

 

『勘違いしないで……別に嫌いって訳じゃ無いわ』

 

そう言ってらんこはアップルパイを口に運ぶと思わず目が見開く。

 

(何これ……お店とかで食べてきたアップルパイより美味しい!)

 

口の中に広がる美味しさにらんこは咀嚼して飲み込むと一気に一切れを平らげ、気付けばすぐ側にある大皿に乗ったアップルパイに手を伸ばして、口に運ぶ。

 

『あ……』

 

気がつくと大皿にあったアップルパイは全て彼女の胃袋に収まっていた。

 

『ふふっ、らんこちゃん物凄い勢いで食べていたね』

 

『っ!』

 

ましろの言葉にらんこは恥ずかしくなったのかフードを深く被り直して自身の顔を見せない様にした。

 

『ねぇ、材料はまだ残っているから良かったら今度は一緒に作らない?』

 

『……』コクリ

 

ましろの提案に対してらんこは無言であったが、頷いて彼女の提案に乗って共にキッチンへ並びアップルパイを作るのであった。

アップルパイ自体は初めて作るらんこは手間取っていたが、ましろの協力もあって上手く美味しいアップルパイを作る事が出来たのであった。

そして、今度はましろと共にアップルパイを食べ、その時のらんこの顔は美味しさのあまり久しぶりの笑顔を浮かべるのだった。

 

────────────

 

「あの時、貰ったアップルパイが人生の中で一番美味しかったわ。まぁ、その後一緒に作ったアップルパイの方が更に美味しかったけど」

 

「らんこちゃん……ありがとね。そう言ってくれると嬉しいよ」

 

らんこの話を聞いてましろはあの時食べた味がそんなに印象に残っていたとは思っておらず、改めて言われると照れた表情を見せる。

尚、先程の回想の中で最初らんこが1人でアップルパイを1ホール食べたシーンがあるが、ソラとツバサには其処らへんは誤魔化して伝える。

 

(……1人でアップルパイを食べたなんて言える訳が無いわ)

 

らんこも女の子として人前に多く食べるなんて恥ずかしいと思い1ホール食べた事をソラとツバサには黙っていようと思った。

 

「成る程、らんこさんにとってはそのアップルパイが思い出の味なんですね」

 

「はい、なんでも美味しさのあまり1ホールをぺろりと食べたとか」

 

「えっ、なんでソラが知っているのよ⁉︎……って、まさかましろ!」

 

しかし、ソラが既にアップルパイを1ホール食べている事を知っている様子にらんこはましろに顔を向ける。

 

「あ、うん……らんこちゃんがりんごを調理している時にね」

 

「んなっ!?」

 

それを聞いてらんこの顔は恥ずかしさのあまり赤くなり、慌てて両手で顔を隠した。

 

「どうしましたからんこさん?顔が赤いですけど……まさか風邪ですか!?」

 

「うるさい!はっ倒すわよ!」

 

「えええっ!なんでですか!?」

 

顔が赤くなっている原因が風邪でも引いたのかと指摘するソラにらんこは思わず怒鳴り声をあげ、それを聞いたソラが驚きの表情を浮かべる。

そのやり取りを見てツバサは「あっ」と声をあげる。

 

「ツバサくん、どうかした?」

 

「…僕、気づきました。僕はヤーキターイを食べたかったんじゃなくて、本当は「カ~バや~きいも~、おイモ、おイモだよ~!」

 

その時、ツバサの台詞を遮る様に声が聞こえ、一同は声が聞こえた方に振り向く。

其処には焼き芋の屋台を引いているカバトンの姿があった。

 

「ほらほら!甘くてホッカホカ、おいしいのね~ん!グフフフッ」

 

拡声機で焼き芋を宣伝している様子から誘い出して油断した所をやっつける魂胆なのだろう。それに対して4人は興味津々で焼き芋の屋台に近づく──────

 

「…ツバサくん、教えて」

 

「本当に食べたかったのって…」

 

「いったい何なの?」

 

「それは…」

 

───訳が無く何事もなかったかのように会話を続ける。

 

「ちょいちょいちょーい!聞いてんのかっ!?おいしい焼き芋なのねん!」

 

明らかに無視する4人にカバトンは再度拡声機を使って呼びかけた。しかし、4人にはカバトンの相手をするつもりは無い。

 

「今大事なところなので後にしてください!」

 

「なっ!?」

 

敵を目の前にして後回しをするソラの台詞を聞いてカバトンは衝撃を受ける。

 

「では改めてツバサ君、本当に食べたかった物とは?」

 

「えっと…「おいしい焼き芋なのねーん!!!」

 

こうなりゃ意地でもこちらに意識を集中させようとカバトンは4人の話を遮る。

 

「チッ…あの豚男しつこいわね…!」

 

「ちょっと!ツバサ君の話を邪魔しないでよ!」

 

「ツバサくん!こうなったらカバトンなんかに負けないくらいの大きな声で言ってください」

 

「は、はい…え、拡声機を相手に!?」

 

カバトンが再度邪魔するのは目に見えている。それならそれを上回る声で答えようとソラは言うが流石に拡声機を持つカバトン相手にツバサの声量は勝つ確率は低い。だけど、自身の思いがカバトンに負けるのは嫌なツバサはこうなったら全ての体力をき使い切ってでも伝えようと深呼吸をして口を開く。

 

「ぼ、僕は本当はヤーキターイを「おい!さっきからこっちが宣伝しているのに無視とはどういう事なのねん!?せめて何かリアクション取れ!リアクションを!」うぅ……」

 

「あんの豚男…!」

 

自分の言いたい事がカバトンの大声によって邪魔され一向に言いたい事を言えないツバサは悔しそうな表情を浮かべる。それを見てらんこももう我慢出来なくなり行動を移した。

 

「こっちは自腹で屋台と芋を用意s「ふんっ!」ブゲッ!?」

 

再度拡声機を使ってこちらに注目させようとしたカバトンだったが、その途中で自身の顔面に何処からともなく投げられた石がめり込むと、地面に倒れ込む。

その石を投げたのはらんこである。あまりにも五月蝿い事に良い加減我慢できなくなった彼女は足元に転がってた手頃な石をカバトン目掛けて投げたのだ。

 

「まったく、うるさいったらありゃしないのよ……でもこれで静かになったわ。さぁ、ツバサ思う存分話しなさい」

 

「え、あ…はい」

 

幾らカバトンがうるさかったとはいえ静かにする為、喋っている最中に石を投げるのはどうなのだろうかとツバサは思った。

 

「あのさ、らんこちゃん…静かにさせるのに石投げって……」

 

「もっと穏便なやり方はありませんか?」

 

ソラとましろも今回のらんこの対応についてやや引き気味の様子。

 

「だって、こうもしないと豚男が静かにならないでしょ?」

 

「それはそうですけど……」

 

「でも……ねぇ……」

 

らんこの言う通りカバトンは素直に言う事は聞く訳が無く、確かにこうしたほうが良いのではと考えもする。そして、思い返せばらんこはカバトンに何度も物を投げたりする事があった。だけど、それは自分達の身を守る為の行動である。今回の様にうるさいから黙らせるという理由で石を投げた事を正当化して良いのか。ソラとましろは頭を悩ます。

 

「ゴラアアアアッ!!!フード娘よくもやってくれたな!?」

 

そんな時、地面に倒れたカバトンが起き上がり怒りの表情を見せる。ただし、石が顔面に投げ込まれた所為で鼻血を流している。

 

「うるさいわね!あんたが静かにならないから投げる事になったんだからあんたの自業自得でしょ!」

 

「お前本当にいい性格しているな!?」

 

らんこは自身に非は一切ないという態度を見てカバトンは思わず声を荒げる。

 

「ええい!もう作戦なんてどうでも良い!こうなりゃいつも通りやってやるのねん!」

 

カバトンはこれ以上4人の話を妨害すると再度石を投げられると判断し、拡声機と着ていた衣装を捨て、いつもの服装に戻る。

 

「カモン、アンダーグエナジー!」

 

『ランボーグ!』

 

アンダーグエナジーを放出すると焼き芋の屋台に注がれ、ランボーグへと変化する。

 

「「邪魔しないで(ください)!」」

 

「結局このパターンね……仕方ないわ。さっさと倒すわよ!」

 

「はい!」

 

そう言って4人はミラージュペンを構えて変身する。

 

「「「「スカイミラージュ!トーンコネクト!ひろがるチェンジ!」」」」

 

「無限にひろがる青い空!キュアスカイ!」

 

「ふわりひろがる優しい光!キュアプリズム!」

 

「大空に広がる一陣の風!キュアツイスター!」

 

「天高くひろがる勇気!キュアウィング!」

 

「「「「レディ……ゴー!ひろがるスカイ!プリキュア!」」」」

 

変身が完了した4人はランボーグとの戦いを始めるのであった。

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