ひろプリに野良猫系キャラを入れてみた   作:獅子河馬ブウ

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第29話 山登りを終えて…そして

険しい道をツバサは山頂に目指して走っていた。

先程まで好き勝手に行動して自分を振り回すあげはに対してウンザリして、1人コースを歩いていたツバサだったが、途中で合流したソラとましろにらんこからあげはについて話をして何かに気付き、3人と分かれて彼は走り出したのだ。

 

(あげはさんが態々コースから外れてロープウェイを使った……それはちゃんと意味のある事!)

 

らんこが言っていた言葉を思い出しながら山頂への道を走り続けるツバサだったが休まず走り続けていた為、体力がもう然程無く走るペースも段々と落ちてきて遂には足が止まりそうになる。

 

「頑張れ少年!」

 

「える!」

 

「あ、あげはさん、プリンセス!?」

 

山頂で自分に向かって応援の言葉を送る2人の存在に気づいたツバサは驚くも彼女達の応援を受け取ると残りの体力を振り絞ってなんとか階段を登り切り、山頂へ到着した。

 

「おめでとう、いい走りだったよ!」

 

「えるぅ〜!」

 

あげはとエルは休まず登り切ったツバサに拍手を送る。

 

「はぁ、はぁ……ど、どうして僕が山頂を目指してくるってわかったんですか?」

 

「ロープウェイから走ってるのが見えたよ!足速いんだね!」

 

「えぇっ!?わかってたなら先に言ってくださいよ!」

 

「ごめんごめん!…それよりもアレを見なよ」

 

あげははそう言いながらある場所に指をさす、ツバサも彼女が指した場所に視線を向けると其処には先程まで自分達が歩いていたらコースの周りにあった様々な色の花畑が山頂から見下ろす事により虹色の羽の形になっていた。

 

「あれが……謎解きの答え……」

 

「そう、上から見ないとわからない様になっていたみたい……本当に綺麗」

 

「え〜る〜♪」

 

花畑で出来た巨大な虹色の羽にツバサとあげはとエルは心が奪われる。最初自分達が歩いてきたところで見ていた花畑も綺麗であったがこうやって山頂から見下ろす事によって一つの美しい作品になる事に自分達が此処まで登ってきた事が報われる感じがして気持ちよく思った。

 

(凄いな……最初は何を考えているか分からなかったけど、あげはさんの行動はちゃんと意味のある事なんだな)

 

ツバサはあげはの強引な行動にしっかりとした意味があると分かり、少し彼女の事について理解出来た気がする。

 

『ランボーグ!』

 

「「「っ!?」」」

 

だが、其処へロープウェイの姿をしたランボーグがツバサ達の前に現れ、一瞬であげはとエルをその巨大な手で捕まえてしまう。

 

「うわっ!?」

 

「えるっ!?」

 

「プリンセス!あげはさん!」

 

《あー、マイクテス、マイクテス。プリンセスは頂いたのねん!ついでにいつぞやの脇役その2も頂いたのねん!まぁ別にいらねぇけど》

 

何処からとも無く聞こえてくるカバトンの声、ツバサは周囲を見渡すとロープウェイのスピーカーから声が聞こえてくる事に気付いた。

 

「カバトン、2人を返せ!」

 

《返すわけ無いだろぶぁーか!》

 

ツバサはスピーカーに向かって2人を解放する様に言うが、勿論カバトンはツバサの要求を聞くわけが無くツバサを煽る。

 

「なら、力づくで2人を解放するまでだ!」

 

そう言うとツバサはミラージュペンを構えると、ペンが光り彼を包み込む。

 

「スカイミラージュ!トーンコネクト!ひろがるチェンジ、ウィング!」

 

そして、ツバサは一気にキュアウィングへ変身する。

 

「天高くひろがる勇気!キュアウィング!」

 

変身が完了したウィングは空を飛び、ランボーグに向かって急降下して攻撃をしようとする。

 

『ラン!』

 

「きゃあっ!」

 

「えるっ!」

 

「なっ!?」

 

ランボーグは自身の拳の中にいるあげはとエルを盾にする様に突き出すと、ウィングは慌てて寸前の所で攻撃を止める。

 

「汚いぞ!2人を盾にするなんて!」

 

《はっ!戦いに汚いもクソも無いのねん!それよりもランボーグ、プリンセスをコッチに連れて来い!》

 

ランボーグはカバトンの命令を受けるとロープウェイのロープに捕まりその場から去っていく。そしてウィングはその後を追う。だが、人質がいる今は下手に攻撃する事が出来ず、ウィングはもどかしい思いだった。

 

「離せぇ!……って、ほんとに離されても困るんだけどね……」

 

一方でランボーグに捕まっているあげはは何とかランボーグの手の中から抜け出そうとするが抜け出せずお手上げ状態であった。仮に抜け出しても下は硬い地面があり、落ちたらエル共々大怪我を負ってしまうだろう。

 

(さて、どうしようかな……)

 

あげははこの状況をどうやって打開するか考える。先程から自分達の後を追うウィングもあげは達が捕まっている所為で下手にランボーグを攻撃出来ずにいた。対してランボーグも両手が塞がって攻撃が出来ずにいた。

すると、あげはは何か思いついた表情を浮かべるとランボーグに話しかける。

 

「ねぇ、私とジャンケンしよ。ジャンケン!」

 

『ラン?』

 

「あげはさんこんな時に何言っているんですか!?」

 

捕まって危機的状況にも関わらずランボーグに向かってジャンケンを提案する彼女の行動にウィングは理解出来ず声を上げてしまう。

 

《良いだろう!どうせそいつは手も出せないみたいだから暇つぶしに相手をしてやるのねん!》

 

「ちなみに私は……グーを出すよ!」

 

「えっ!?何を言って……っ!」

 

あげはの宣言を聞いてウィングは彼女が何をするのか気付いた様だ。

 

《宣言しちゃうとは……もしかしてちょっとおバカさんなのねん!ランボーグ、こっちはパーを出すのねん!》

 

「それじゃあ行くよ。ジャン、ケン、グー!」

 

あげはがグーを出すのに対してランボーグは指示通り拳をパーにすると、その拳の中に捕まっていたあげはとエルが解放されると彼女達は落下していき、ウィングは落下する彼女達の体を受け止める。

 

「い、幾ら何でも無茶し過ぎですよ!」

 

「ごめんごめん…でも、ツバサ君なら作戦に気づいてくれると思っていたから」

 

「え…」

 

どうやらあげはは最初からウィングを信頼していた為、無茶な行動を取ったようだ。それを聞いてウィングは少し頬を赤くする。

 

「あれ、もしかして照れてる?」

 

「て、照れていません!と、兎に角安全な所に隠れていて下さい!」

 

ウィングは誤魔化す様に言うとあげは達を抱えてその場を離れようとする。

 

《逃すなランボーグ!プリンセスを取り戻せ!》

 

『ランボーグ!』

 

ウィングがあげは達に気を取られている内にランボーグは先程まで掴まっていたロープを足場にするとサーカスの如く飛び跳ねウィングを背後から襲い掛かろうとする。

 

「ツバサ君!」

 

「えるっ!」

 

「しまっ!?」

 

あげはの声を聞いてランボーグの存在に気付くが時既に遅し、そのままランボーグの攻撃を受けそうになった時だ。

 

『ラアアン!?』

 

《な、なにぃっ!?》

 

「えっ?」

 

ランボーグが横から無く飛んできた巨大な光弾をモロに食らい、地面に落とされる。それを見ていたウィング達は呆然となる。

 

「「ウィング!!!」」

 

「お待たせしました!」

 

「あ、皆さん!」

 

3人は声の聞こえた方向に視線を移すと其処にはロープウェイに乗り込んだスカイ達の姿があった。

 

「此処は私達に任せて下さいウィングはあげはさん達を安全な場所へ!」

 

「分かりました!」

 

ウィングはスカイ達がランボーグの相手をしている間にあげは達を連れて戦いの場から離れる。

 

《誰も待っていないのねん!ランボーグそいつらを攻撃しろ!》

 

『ランボォォォグ!』

 

プリズムの攻撃を喰らったランボーグは立ち上がるとロープウェイに乗り込む3人の方へ飛びあがる。

 

「私たちも行くわよ!」

 

「「はい(うん)!」」

 

3人もロープウェイから出て迫り来るランボーグに攻撃を仕掛けるが、ランボーグはその巨体に見合わない素早い動きで3人の攻撃を避け、それぞれロープの上に着地する。

 

「あのランボーグは動きが素早いね」

 

「それならこっちはコンビネーションで補っていくわよ」

 

「ええ、行きますよ2人とも!」

 

《はん、何がコンビネーションだ!ランボーグ、そいつらに攻撃をさせないくらい飛び跳ねろ!》

 

『ラン、ボ〜グ♪』

 

ランボーグは再びカバトンの指示を受けると今度は2本のロープの上を跳び回っていく。

 

「うわっ!?」

 

「あ、あぶっ!」

 

「お、落ちる!」

 

3人はランボーグがロープを飛び回る事に起きる激しい揺れにより地面に落ちそうになるが何とか耐える。だが、このままでは近づいて攻撃する事が出来ない。

 

「こうなったら私が!」

 

遠距離を得意とするプリズムが攻撃しようとランボーグに狙いを定める。

 

「ヒーローガール…プリズムショット!」

 

飛び跳ねるランボーグのタイミングを見計らい跳んだ所でプリズムショットを放つ。だが、ランボーグは迫り来るプリズムショットを宙返りして避けられてしまう。

 

《ギャーハッハッハッ!外れてやんのー!》

 

「くっ!」

 

プリズムショットが命中しなかった事にカバトンは大笑いをしてプリズムを馬鹿にする。

 

「ツイスター!」

 

「わかっているわよ!」

 

そんな中、ツイスターはスカイから何かを伝えられロープの上を飛び上がると、首のマフラーを外して飛んでいくプリズムショットに向かってマフラーを伸ばすと巻き付けると、

 

「はあああああっ!!!」

 

『ランッ!?』

 

モーニングスターの様にランボーグに向かって叩きつけ、その巨体が吹き飛ぶ。

 

「スカイ!」

 

「任せて下さい!」

 

ツイスターはマフラーで巻き付けたプリズムショットを今度はスカイに向かって投げ付ける。対してスカイはロープの上を飛び上がると自身に迫る光弾に対してバク宙をしつつボールを蹴り込む。

 

「スカイ、シュート!」

 

『ボオッ!?』

 

そのままオーバヘッドキックが決まりサッカーボールの様に飛ぶ光弾がランボーグを再び襲った。

そして光弾は消滅せず宙を飛び、それを見たプリズムはその光弾に向かって飛び上がる。

 

「プリズムショットアターック!!!」

 

『ラン、ボオオオッ!?』

 

最後にプリズムが自身のプリズムショットを叩き落とし更に勢いが増しランボーグへ大ダメージを与え、ランボーグは地面に叩きつけられる。

 

《ら、ランボーグしっかりしろ!》

 

『ラ、ラン…』

 

カバトンは倒れるランボーグを叱咤するが、ランボーグは3人による攻撃のダメージで中々立ち上がる事が出来ない。

 

「どうやら動けないみたいだね」

 

「それならさっさと倒しm「お待たせしました」あ、ウィング!」

 

3人が地面に降り立つと同時にあげは達を安全な所へ運んだウィングが戻ってくる。

 

「ウィング、あげはちゃんとエルちゃんは?」

 

「安心して下さい。2人は山頂へ連れて行きましたから此処の戦いには巻き込まれません」

 

プリズムから2人について聞かれるとウィングはちゃんと避難させたことを説明する。

 

「さぁ、ウィングも戻ったからそろそろ決めるわよ」

 

「ええ、皆さん行きますよ!」

 

「「はい(うん)!」」

 

4人はランボーグを浄化しようと構えを取る。

 

《く、くそぉ!おい、キメラング見ているんだろ!見ているなら早く助けるのねん!》

 

「「「「なっ!?」」」」

 

カバトンがキメラングの名を呼んだ事に4人は動揺を見せる。実験とデータ収集の為なら一般人を容赦無く巻き込む彼女が此処へ来たら最悪形勢が不利になってしまう。4人は互いを守る様に円陣を組み何処からでもキメラングがやってきても良いように構える。

 

《…あ、あれ、キメラング?…お、おーい!キメラング来ているんだろ?早く出てくるのねん!》

 

しかし、暫くしてもキメラングと彼女の操るドローンがやって来ない事にカバトンは段々と不安を覚え、スピーカーの音量を上げキメラングを呼ぶがやってくる気配が全く感じない。

その様子を見て4人は不思議に思う。

 

「……もしかして、此処に来てないのかな?」

 

「多分、火傷がまだ治って居ないんじゃないの?」

 

一向にキメラングが姿を現さない事から前回と同様に今回もこの場には来て居ないと察した4人は目の前にいるランボーグに視線を向ける。

 

「どうやらキメラングは来ない様ですね」

 

「それなら後はランボーグを倒しましょう!」

 

キメラングが来ないと分かるとランボーグを浄化しようと動き出そうとする。

 

《クソ、こなりゃ俺1人でやってやるのねん!ランボーグ受け取れ!》

 

『ラン、ボオオオオオグッ!!!』

 

すると、カバトンがどうやらアンダーグエナジーをランボーグに更に注ぎ込んだ様で先程まで倒れていたランボーグは一回り大きくなり雄叫びを上げる。

 

「大きくなりました!?」

 

「きっとカバトンがランボーグをパワーアップさせたんだよ」

 

すると、ランボーグは近くに埋まっている大岩を地面から抜き出すと、

 

『ランボォォォグ!!!』

 

それを鉄球投げの要領で4人に向かって投げ出した。だが、その岩に対してスカイが駆け出す。

 

「させません!ヒーローガール…スカイ、パァァァァァンチ!!!」

 

迫り来る大岩をスカイパンチで砕くと、スカイの背後からプリズムとツイスターが飛び出し、

 

「「プリキュア!ダブルキック!!!」」

 

『ランボォォォグ!?』

 

《あああっ!?ランボーグ!》

 

2人の同時の飛び蹴りがランボーグに炸裂し、その巨体が宙を舞い地面に倒れ伏す。それを見てカバトンは顎が外れそうになるくらい口を大きく開けてショックする。

 

「ウィング、後は任せるわ!」

 

「はい!任せて下さい!」

 

ウィングは3人に託されると空を飛び、ランボーグに迫る。

 

「ひろがる!ウィングアターック!」

 

オレンジの光となったウィングはそのままランボーグの体を貫き、ランボーグは浄化される。

 

『スミキッター』

 

浄化された事により戦いによって傷付いた周りが元通りになっていく。

 

《キメラングの奴、何で来ないのねん!?カバトントン!》

 

カバトントンは負けた事の悔しさと前回と同様に助けに来ないキメラングに腹を立てながら撤退した。

 

──────────

 

それから4人はあげは達のいる山頂へと向かった。

 

「あげはさんエルちゃんお怪我はありませんでしたか?」

 

「大丈夫だよ、少年が助けてくれたお陰で私もエルちゃんも無事だよ」

 

「えるぅ〜」

 

「あ……僕は別に当然の事をしたまでです」   

 

あげは達が無事である事を確認した後、4人は暫く山頂から見られる虹色の羽を模した花畑を眺めた後、謎解きをすべて解いた事により非売品グッズであるソラ吾郎のキャップとぬいぐるみを手に入れたのだ。

それから一同は車に乗って帰り道に入ると、ソラ達は今日の疲れによって寝ることになるが、らんこは1人起きて窓の外の景色を見ながら考え事をしていた。

 

(……それにしても今日も来なかったわね、あのマッドサイエンティスト……)

 

今回も前回同様にキメラングは乱入する事は無くかと言って何処かで観察している様子も無かった事に安心する。

 

(……何かしら……何だか胸騒ぎがするわ」

 

しかし、まるで嵐の前の静けさを思わせる様な事にらんこは不安を覚える。

 

「うん、らんこちゃん何か言った?」

 

「……へ?…あっ、別に何でも無いわ」

 

心の声が口から出てしまったのだろう。らんこの独り言を聞いたあげはに彼女は心配かけまいと返事を返すのであった。

 

──────────

 

一方その頃、先にソラシド市へ帰ったカバトンは1人ビルの屋上で黄昏ていた。

 

「ああ…心が寒いのねん。今日もプリキュアに負けた……何でこんなに負け続けるのねん……」

 

未だにプリキュアに勝てず更には目的であるエルの捕獲も出来ず、どうしたら良いかと悩んでいるそんな時だった。

 

「カバトン……カバトンよ」

 

「ひ、ひぃっ!?そ、その声は…!」

 

辺りから聞こえてくるこの氷の様に冷たい声は聞き覚えがあった。それは自身をプリンセス捕獲任務に任命した己の上司の声だ。

 

「プリンセスエルはまだ手に入らぬのか?」

 

「も、申し訳ありません!!!」

 

カバトンはその上司の声に向かって平伏し許しを乞う。以前UFOランボーグを作った日にプリンセスエルを捕まえた事を報告したが、結局献上する事は出来ずぬか喜びさせてしまった事に恐らく今も怒りが湧いて機嫌が悪いだろう。早く何か言わないと最悪この場で処刑されるかもしれないと思ったカバトンは口を開こうとすると、

 

「…ぷっ、プハハハハッ!!!も、もう我慢出来ないね!」

 

「あ、あの、どうしましたか?」

 

急に笑い出した上司の声に恐る恐るカバトンは話しかけるが、すぐ側から物音が聞こえそこに視線を移すと大きなドラム缶があり、そこから見覚えのある人物が出てくる。

 

「ああっ!?お、お前は!」

 

「やぁ、久しぶりかなカバトン君」

 

其処に現れたのはキメラングであった。ただし、よくよく見ると彼女は何かマイクらしき物を握っている様だ。

 

「おい、そのマイクは何なのねん?」

 

「ん、ああ…これは少し前に作ったボイスチェンジャーだよ。こうやってマイクを口元に寄せれば、ほら声が変わる」

 

「さっきの声はお前か!?」

 

どうやら先程まで自身の上司の声だと思い込んでいたカバトンはキメラングが装置を使って声を真似し自身を弄ったことに気付いた。

 

「それよりもお前!今まで何処に行っていたのねん!」

 

「何処って、誰かさんが炎上するランボーグの中に放置したお陰で全身火傷をしたから暫く療養する羽目になったんだよ」

 

「え、あっ!?」

 

キメラングの発言を聞いてカバトンは思い出す。ウィングのウィングアタックにより貫かれた自身のUFOランボーグに搭乗していたカバトンは気絶するキメラングの存在を忘れて1人撤退した事を。

 

「ま、まさか置いていった俺に復讐をしに来たのねん!?」

 

あんな事をしたんだ。間違いなく彼女は自身にその時の恨みを晴らしに八つ裂きをしに、又は己の実験の為に捕まえに来た2択だろう。そう思ったカバトンは顔色が青く染まる。

 

「復讐だってぇ?…あ、はっはははははっ!!!」

 

カバトンの発言に目を丸くした彼女は次の瞬間狂った様に笑い声を上げる。それを見てカバトンは不気味に思った。

 

「いやはや、君には感謝しているよ…火傷して暫く療養する事により考える時間を与えてくれたんだから」

 

「そ、それって褒めているのねん?」

 

恐る恐るカバトンはキメラングに聞いてみる。

 

「いやいや、褒めているよ。君が薄情にも私の存在を忘れて燃え盛るランボーグに放置した事で私は全身を火傷して暫く苦痛を味わう事になり碌にデータ収集と実験も出来なくて考える事ばかりしかさせてくれないんだからね」

 

「おい、絶対根に持っていr「んん?」…いや、何でもないのなん」

 

わかりやすい皮肉にカバトンは思わず声を荒げるもキメラングの冷たい眼差しを向けられ、咄嗟に誤魔化した。

 

「ま、それよりもだ、ここ最近君は任務に失敗続き…良い加減成果を出さないとあのお方に大目玉を食らってしまうよねぇ〜」

 

「う、五月蝿い!余計なお世話なのねん!」

 

痛いところを突かれたカバトンは怒鳴り声を上げてキメラングにそっぽを向ける。

 

「まぁ、そんなカッカしない……今日は君に一つ良い物をあげよう」

 

「良い物?」

 

良い物と聞いてカバトンはキメラングに視線を向ける。

 

「戦い続きの君だ…偶には任務を忘れて旅行に行くのはどうだい?」

 

そう言ってキメラングはとある街のパンフレットと旅行のチケットを渡す。

 

───────────

 

その頃、同時刻の虹ヶ丘家ではらそ山から帰ってきた一同はリビングに来て、軽い休憩を取っていた。この後にらんこをあげはが家まで送り届ける予定なのだが、その前にあげはは一同にある提案を出す。

 

「という訳で次回は少年の歓迎パーティーを開きたいんだけど、どうかな?」

 

それは今回山登りをして親交を深めた事をキッカケに今度はツバサの歓迎会を開くと言うのだ。

 

「歓迎パーティーって、この前やったばかりなんですけど」

 

山登りの数日前にましろ発案のツバサの歓迎パーティーを開いたばかりなのだ。それなのにまだ1ヶ月も経っていないのにまた歓迎パーティーをやるのは如何なのかと、ツバサ本人が疑問を口に出す。

 

「イイじゃん、その時って私が学校で居なかったから今度は私も参加して少年の歓迎パーティーをやらせてよ」

 

「うーん、でも……」

 

前回のパーティーは自身が参加しなかったからパーティーを開きたいと言うあげはにツバサは難色を示すが、

 

「良いんじゃないでしょうか?パーティーは楽しいですから何回やってもいいと思いますよ」

 

「そうね、この前はあげは姉さんは来れなかったから今度は皆んなでやった方が良いと思うわ」

 

ソラと意外にもらんこがパーティーに対してノリ気だった。前回は都合が悪かったとはいえらんこはあげはが参加できなかった事を気にしていた様だった。

 

「私も出来たらやりたいな」

 

「えるぅ」

 

「……はぁ、わかりましたよ」

 

自分以外の全員がやりたいと言ってしまったら流石のツバサも折れ、歓迎パーティー(2回目)の開催を承諾する。

 

「でも、あげはちゃん歓迎パーティーの内容は決めてあるの?」

 

「うーん、実はまだ決めていないんだよね」

 

「いや、決まっていないのにパーティーをやるって言ったんですか!?」

 

先程からやりたいと言っていた本人がパーティー内容を決めていない事にツバサは驚いた。

 

「でしたらまた、たい焼きパーティーをしますか?」

 

「けど、前と同じ内容をそのままするのって何だかあまり気が乗らないわね」

 

ソラが前回と同じ内容のパーティーをするかと提案するが、らんこを含めましろとツバサもあまり乗り気では無い模様だ。

それなら如何すれば良いかと一同は頭を悩ませていると、

 

「それならパーティーに打ってつけの場所があるわ」

 

「え、お婆ちゃん?」

 

其処へヨヨが一同の会話に混ざり、パーティーの内容の提案をする。

 

「ヨヨさん、パーティーに打ってつけの場所って?」

 

「ええ、私がこちらの世界にやってきた時にお世話になった古い知り合いがいた街だけど、其処に行けば皆んなが楽しめるパーティーが出来る筈よ」

 

一同は驚きの表情を浮かべる。ヨヨが元々スカイランドからやってきた事は知っているがこちらの世界へやってきた当時の事はあまり知らない為、一同はヨヨが世話になった人物がいた街について気になった。

 

「其処は世界中の美味しい料理が集っていてきっと皆んな満足出来る筈よ」

 

「世界中の美味しい料理……じゅるり」

 

「ソラ…涎が出ているわよ」

 

世界中の料理が食べられると聞いてソラは思わず涎を口から垂らし、それを見たらんこが彼女にハンカチを渡す。

 

「それでその街はなんて言う街なんですか?」

 

一方でツバサもヨヨが世話になった街が気になり、詳しく聞いて見る。

 

「その街の名は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おいしーなタウンよ」

 

こうしてヨヨの提案でパーティーの開催場所が決まり一同は次の休日でプチ旅行する事になった。

そして、一同はこれからおいしーなタウンでかつて料理の存亡を巡って戦った伝説の戦士である少女達と邂逅する事になるのであった。

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