それでは第3話をどうぞ。
ソラ達との邂逅から翌日、らんこは一晩寝てある程度疲れは取れたがまだ昨日の出来事が時々思い出してしまう。それも仕方ない事だ。あんな出来事の連続は人生でそう簡単に会うものでは無い。(と言うか普通は遭わない)
「……本当に一晩寝たら治るなんて」
怪我をしたところを軽く抑えながら呟く。
実は朝起きて怪我をした脇腹を確認すると青紫色のアザはすっかり消えて健康的な肌色に戻っていたのだ。これが昨日怪我したのに一晩寝たら全快するなど普通はあり得ない。
改めて薬を作ったヨヨに尊敬を覚えるが同時に別の感情が出てくる。
「……ひょっとしてヨヨさんは若い頃って表には出せない危ない薬を作っていたりして……」
過去にらんこは風邪を引いた時にましろを通じてヨヨから特製の風邪薬を貰ったがその時の記憶には物凄い異臭と不味さに思わず吐きそうになったが、折角の好意を無駄にする訳にいかないと思い、ちゃんと飲み込んだ翌日に全快して1週間ほど疲れを感じることはなかった。
ヨヨに対して感謝は有ったが普通の医院では出なそうな薬の効果にそれ以来彼女はヨヨの事を色んな意味でヤベェ人物と認識した。現に昨日は薬だけでなくソラとエルと初めて会う筈なのに予めエル用の粉ミルクとオムツを用意していた事に本当に未来を見ているんじゃ無いかと思うくらいだ。
『ずいぶん未来を見てやがる……‼︎』
誰だコイツ?
「……今は昨日の事を忘れて休みを満喫しなくちゃ」
一瞬知らない誰かが頭に過ぎりつつも彼女は現在ソラシド市のショッピングモールにあるCDショップに訪れていた。スカイランドからやってきたソラをましろに任せて、今は発売を楽しみにしていたCDが本日入荷するとわかり店内を探していた。
「あ、見つけた」
最新作の棚に目当てのCDを見つけるとそれを手に取る。
(早速買って音楽プレーヤーにダウンロード……)
CDを購入しようと会計まで足を運ぼうとしたが、突然動きを止める。
(そうだった……今音楽プレーヤーが無かったんだ……)
昨日の出来事で何処かに無くしてしまった自身の音楽プレーヤー。らんこは店に展示されている音楽プレーヤーを見て新しいのを買おうと考え手を伸ばそうとする。
『良かったら、使って…』
「…………」
しかし、何かを考えた彼女は目の前の音楽プレーヤーから手を引っ込める。よくよく考えてみたら自分の今の手持ちのお金ではこの音楽プレーヤーを買うことは出来ない。
「……面倒くさいけど、交番に行けば落とし物としてあったりして……」
そう言ってあまり期待はせず、CDを購した後に交番へ行ってみようと思っていると、
「た、建物の中に市場が…⁉︎」
「おーい、行くよー」
「…ん?」
何やら聞き覚えのある声が聞こえた気がする。辺りを見渡すが周りにいるのはCDのパッケージを見つめている客にCDの整理をしている店員ぐらいで特に喋っている人間は周りにいなかった。
「……うん、気の所為ね」
まさか昨日別れたばかりなのにこんな所ですぐ再会する筈がないと。そもそもショッピングモールとかに行くとか連絡していないのにそうそう会う事ない。
「そうよ、それにこんな広いショッピングモールなんだからそう簡単に会えるはずが──」
「階段が動いている⁉︎」
「おーい」
会える筈が無いと言い切ろうとした時に再び昨日別れた2人の声が聞こえた。しかも先程よりも声が大きくなって聞こえてきた。
「…あ、会える筈g「人形が喋っている⁉︎」……」
流石に三度も聞くと無視できない。しかも無茶苦茶大きく聞こえた為、恐る恐る店の外へ出ると案の定その二人がいた。
「ましろさん離れて下さい!これはなんだか怪しげです!」
「う、うん、どっちかと言うと私達の方が怪しげかな…」
其処には案内役のロボットに警戒しているジャージを着込んだソラとそれに苦笑いを浮かべるましろの姿があった。
(……知らないフリをしとこう)
一晩寝ても昨日起こった現実離れした出来事の数々を飲み込めなかったらんこは此処で2人と接するとまたストレスが溜まると思い2人に気づかれる前に店の中へ戻ろうとする。
「あっ、らんこさん!らんこさんじゃないですか!」
「え、本当だらんこちゃん!」
「げっ⁉︎」
しかし無情にもらんこの姿に気が付いたソラは彼女の名を呼びそれに釣られてましろもらんこの存在に気付いた。対して彼女も思わず声を上げるが敢えて無視して店内へ逃げる様に早足で入ろうとする。
「らんこさんそんな早足でどうしましたか?」
「うひゃっ!?」
しかし、ソラのアスリートもびっくりな速さでに回り込まれ、思わず声を上げてしまう。
「ひ、人違い…です……」
「何言っているんですか?昨日会った上に友達になった人を間違える訳ありませんよ」
「………」
フードを深く被り人違いと言い張るが色んな意味で純粋なソラには通用しなかった。更に視線もソラ達だけではなくらんこ自身にも向けられつつあった。
「……こっち来なさい」
「お、おっと。ど、どうしたんですか⁉︎」
「き、急に引っ張らないで!」
これ以上視線を浴びたく無いらんこはソラとましろの手を掴むと2人をCDショップの中へ連れ込む。
「…それでどうして此処にいるの?」
「はい、今日はこの世界で私が着る服を買いに来たのとヨヨさんに頼まれたお使いをする為にこの市場に来たんです」
「市場?……ああ、ショッピングモールね」
ショッピングモールの事を市場と言い回す事にジェネレーションギャップ、ではなく異世界ギャップに違和感を覚えつつも彼女達が服を買いに来た事を知る。
「此処は初めて見るものが多くて本当に驚きが絶えませんね。今朝頂いた朝ごはんも鮭というお魚で。スカイランドでは味わえない美味しさでした」
今朝食べた朝ごはんの事を思い出したのか「えへへ」と声を漏らし、恐らく鮭を想像しているのだろう涎を垂らしているのだから。そんな彼女を他所にらんこはソラと共に来たましろへ話しかける。
「ねぇましろ、何で今日ソラを連れてきたの?昨日私言ったけどもう少しこの世界の常識を学んでからの方が良かったんじゃないの?」
異世界から来たばかりのソラを外へ出歩くとトラブルなどが起こるかもしれないとらんこは思い、ましろに何故連れてきたのか聞く。
「私もそう思ったけど、お婆ちゃんが実際にこの世界を見せて学ばせた方が良いって言われてね。私も多少浮くのは承知しているけどこれもソラちゃんの為になるから」
「でも浮き過ぎよ。さっきから店にいたけどここまで声が聞こえていたわよ。反応も異世界からやってきた人間みたいな……」
「なんですかこれは⁉︎この蜂の巣みたいな大量の穴から音楽が聞こえて来ます!もしかしてこの中に蜂さん達が演奏をしているのですか⁉︎」
「……いや、本当に異世界人だったわね……」
視線を移すと其処には音楽が流れてくるスピーカーに興奮していて彼女が大声を上げており、周りのお客からも注目されていた。
その様子を見てましろは「あちゃー」と声を上げ、らんこは軽くため息を吐きながらソラに近づく。
「……ちょっと良い」
「どうされましたか?」
「…あれを読んでみて」
そう言って指をさしたところには注意書きの看板が置いてあり"店内はお静かに"と書かれてあった。それを見てソラはじーっと見つめるが暫くして、らんこへ顔を向ける。
「えっと、なんて読むのでしょうか?」
思わずずっこけそうになるもその場で強く踏みとどまる。よくよく考えてみるとソラは昨日こちらの世界に来たばかりだからまだこの世界の字と常識を知らない為、読めないのは当然だった。
「……店内はお静かによ」
「あっ、す、すいません…!」
「いや……私も少し意地悪したわ…ごめん」
と慌てて両手で口を押さえて謝罪するソラにらんこもソラの境遇を考えずにやってしまった事に申し訳なく思い、話題を変えようと考えていると昨日別れた赤ちゃんがいない事に気づく。
「そういえば昨日連れていた赤ちゃんはどうしたの?」
昨日別れた際にソラと一緒にいた赤ちゃんが今日は見かけない事にらんこは気になって聞いてみた。
「エルちゃんなら家でお婆ちゃんが見ているから大丈夫だよ」
「エルちゃん?」
「はい、名前を知らないので暫くはエルちゃんと呼ぼうと思って」
「そう……」
昨日ソラ達と一緒にいた赤ちゃん…エルちゃんはヨヨと共にお留守番していると聞くと、ましろの家にカバトンがやってきても何とかなりそうな気がした。戦闘能力を持たないヨヨの筈だが根拠は無いが普段からに何をしているかわからない彼女なら武術の一つや二つを嗜んでカバトンを撃退するかもしれないという考えが頭を過ぎる。
「…所で話は変わるけどあなたの着ているのってジャージかしら?」
視線を再びソラに向け、彼女が着ているジャージについて指摘する。自身の記憶が正しければ昨日ソラはこの世界にやってきた時にはエルを抱えており着ていた服の胸ポケットには手帳を持っていたが、ジャージは持っていなかった筈だ。
だが、彼女の纏っているジャージを眺めていると何処となく既視感を覚える。
「はい、私の服はどうもこの世界では目立ってしまいますのでましろさんからお借りしました」
「そう、通りで見覚えのあるジャージだと思った」
既視感を感じていた訳がましろの物だと分かると納得する。以前にましろが少し腹周りを気にしてランニングなどの運動していた時に着用していた時の事を思い出しつつ、その時自分も無理やり付き合わされた事があったと苦い出来事を振り返る。
そして、思い出に浸かりながらもらんこはある疑問を抱いた。
「と言うかソラはこの世界に来た時に何か服以外に持ってこられなかったの?」
「そう言えばそうだよね……」
この世界へ手帳と衣服を除いて丸腰でやってきた事にらんことましろは気になり、ソラも「あー…」と声を漏らしながらも口を開く。
「じ、実はある用事で大荷物を持ってスカイランドの城へ行く予定だったんですけど、道中にカツドンに攫われているエルちゃんを見つけて放っておけず持ってきた荷物をほっぽり出して追いかけて気が付いたら……一文無し……なんですよね……はははっ」
「そ、ソラちゃん自分で言って悲しくなるなら言わない方がいいよ!」
この世界へ来る経緯を語るが次第にソラの目はハイライトが消えつつ自嘲的に最後は空元気で笑う彼女をましろは慰める。
「…そう」
自分の荷物を置いてこの世界にやってきた。思い返すと彼女が初めて会った時は着ていた服とカバトンに破かれた手帳のみしか持っておらずでそれ以外の丸腰でこの世界にやってきたのを見てまるでよくある異世界小説の主人公みたいなシュチュエーションを間近で見るととんでも無い不幸な出来事だと感じてしまう。
「ソラ……あんた中々の度胸あるわね」
「え、突然どうしましたか?」
「いや、もし私もあんたと同じ状況になったら生きる為に手段は選ばなそうな気がして……」
仮に自分がソラと同じ様に見知らぬ土地で無一文の状態だったら、生きる為犯罪にも手を染めるかもしれないと想像する。
「うーん、そうかなぁ?私はそうするとは思えないけど……」
「私もです。私たちやエルちゃんに優しくしてくれるらんこさんが犯罪に手に染めるなんてありえませんよ」
2人にとってらんこが自分の目的の為に他人を傷つけたり、犯罪をするとは心の底では思っていない。ソラも昨日彼女がエルをカバトンに引き渡そうとした事を黙らず正直に明かし、その後も泣いていたエルをあやしたりする優しい姿を見て彼女は信頼できる人間だと思っている。同様にましろも彼女とは長い付き合いの為、信頼できている。
「そう……ありが……とう」
「え、なんて言いましたか?すいませんがもう一度言ってくれますか?」
自分を深く信頼している事にらんこは恥ずかしさを感じ、フードを深く被り2人とは別の方へ顔を向けお礼を言うが、最後の方は小さ過ぎて聞き取れずソラは問いただす。
「ああもう五月蝿い!それよりも早く服を選びにいくわよ!」
「おおっ、そうでした!って、お店の中は静かにしないとダメな筈では⁉︎」
「あはは、そうだね」
照れ隠しする様に店から出ていくらんこをソラは追いかけ、その後ろにましろもついて行く。(尚、ましろだけはらんこが照れていることに気づいていた。)
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CDショップを出て3人は目的地である服屋に来てソラの着る服を選ぼうとしているが、
「うーん、どっちのジャージにするべきでしょうか?」
ソラの両手にはジャージがあり、どちらも色が異なるだけで特に凝ったデザインではなくシンプルなジャージである。
「折角服屋に来たのに何でジャージを最初に手に取るのよ?」
「ジャージ以外の選択肢があってもいいんじゃないかな?」
そんな彼女に2人はもう少しジャージ以外にも視野を広げるべきだと指摘する。
「はっ!その考えはありませんでした…」
「なかったんだ…」
「これは先が思いやられるわね」
どうやらソラの頭の中はジャージを買う事で一杯だった様で他の服に関心を向けていなかった。と言うよりもあまり年頃の女の子らしくオシャレとかに拘っていなそうな様子だ。
「2人ともわたしの服を選んでもらえませんか?どんな服がいいのかわからなくて」
「そうかな?ソラちゃんは顔が綺麗だから何を着ても似合うと思うんだけど…」
異世界人故なのかそこら辺の人間よりも良い顔立ちをしている為、どんな服を着ても似合いそうな感じがする。現に昨日キュアスカイに変身した時の衣装は女の子らしい可愛さとヒーローらしいカッコ良さを両立させていた。
「と言うかソラ、ましろは良いけど私に服選びをさせるのはおすすめしないわ」
「え、どうしてですか?」
「だってほら見てみなさい私の今の格好」
彼女の着ている服は灰色のフード付きパーカーと短パン*1 ましろの様に桃色を基調とした可愛らしい格好に比べて自身の格好は地味である。
「…私ってセンス無いからあまり役に立たないと思うけど」
下手に自分の手を加えるとましろが選んだコーディネートを台無しにしてしまうと思い、服選びから降りようとする。
「そんな事ありません。それに私はましろさんとらんこさんが選んだ服が良いんです。」
「そうだよ。私も手伝うから一緒にソラちゃんに合う服を探そう」
「……はぁ、解ったわ。だけど、もう一度言うけど服のセンスは無いから」
そんなに頼まれたらこちらも断れないと思い軽く溜息を吐きながらもソラの服選びに参加する事になった。
「因みにだけどましろはソラの服に何か候補とかあるの?」
「え、えーと……私もソラちゃんが選ぶものかなって思って何も考えてなかった」
「……ソラは何かこう言う服が良いとかないの?一回店を見渡してみて何か気にいる物があるかもしれないわよ」
「そうですか?では、ちょっと見てみます」
一応ましろとらんこの2人が服を選ぶ事は決めたがましろが特に候補がない為、ソラ自身に何か気にいった服を選びそれを基準にコーディネートしていこうと考えたらんこはソラに店内を探索させにいかせる。
「うーん……あっ!」
暫く店内を歩いていたソラは何か気になった服を見つけた様でその服の前へ行く。
「これなんか強そうです!」
そう言って手に取ったのは
リアルな虎の絵が載ったTシャツであった。
「「無しッ‼︎絶対無しッ‼︎」」
「えええええっ!?」
そのため、2人からドアップでダメ出しを食らったソラであった。
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その後、隣に有ったこれまた見事な龍の絵が載った服を手に取ろうとしたソラであったが、その手を2人に掴まれその服を手に取る事はなかった。
「そ、ソラちゃん確認だけど本当にこの服がいいの?」
「はい、この世界の言葉には"虎の威を借りる何とか"と言う言葉があるのでヒーローを目指すものとして己を更に強く見せる為、この動物の威光を借りてより私の目指すヒーローへ近づくんじゃないかと考えまして」
「それを言うなら"虎の威を借る狐よ"……て言うかなんでこの世界へ来てまず最初にそのことわざを覚えたのよ」
読み方は最後まで言えていないにもかかわらず意味は強ち間違いではない事に色々と複雑な気持ちになる2人であった。と言うか何処で"虎の威を借る狐"なんて知ったんだこのヒーローガール。
「あのさ…もしかしてスカイランドの人間って全員こんなセンスしているの?」
あまりにも服のチョイスがおかしい事にスカイランドの人間の感性がおかしいのではと思い、スカイランド対しての風評被害が生まれつつあった。
「そ、そうかな……でも、エルちゃんは可愛い服を着ていたよ」
「そう言えばそうね……」
まだ見ぬスカイランドを庇う様にましろはエルは赤ちゃんにも関わらず可愛い服を着ていた事を思い出しらんこも彼女の意見に同意するとソラの方に視線を移す。
「ソラ……あんた赤ちゃんのエルにオシャレで負けているわよ」
「がーん!?うう……私はヒーローとして未熟だけでなく女の子として未熟とは……不覚ッ‼︎」
「そ、ソラちゃんしっかりして!」
らんこの残酷な指摘をされたソラはその場で膝を崩し己のオシャレの無さに絶望し、ましろはそんな彼女を慰めようとするのだった。
(それにしても改めて思うとエルって何なのかしら?なんかソラより育ちが良さそうだし)
赤ちゃんであるエルは服もそうだが髪も良い感触をしていた。恐らく良いジャンプーを使っているのだろう。らんこは何処となく気品を感じたことを思い出す。
(……もしかしてエルって結構良い家から生まれかしら?)
エルについて一瞬そんな推測をするがあまりにも根拠がない話だと思い忘れようと考えたが、らんこは先程のソラの話を思い出す。
(そう言えばソラはスカイランドの城へ行く途中攫われたエルと出会った………)
ここでらんこの脳裏にはある仮説が浮かんだ。ソラはスカイランドの城へ行く途中街でカバトンに攫われているエルを見つける。一方でエルは着ていた服が赤ちゃんにしては中々上質な生地を使っていた気がする。更には落下するソラを宙に止めたサイコキネシスにプリキュアに変身させた力もある。
そして、よくあるファンタジー物では悪者に姫が誘拐される事がある。スカイランドを見た事ないがソラのリアクションからしてよくあるファンタジーな世界観として見た方が良い。
以上の事から整理するとエルの正体は……。
(……いや、考え過ぎよ。流石にそれは無い)
いくら何でも話が跳躍し過ぎだ。エルがスカイランドのプリンセスと考えたがいくら何でもそんな訳ない。仮に百歩譲って貴族の子供だろう。だとしても彼女は高貴な出の出身の赤子をカバトンへ引き渡そうとした。
(そしてソラがエルを連れてスカイランドへ帰ったら私のやろうとした事が発覚して処される………)
そう思った瞬間、彼女の顔から大量の汗が流れ出る。
そんならんこを他所にましろはソラにスカイランドではオシャレなどをしなかったのか聞いていた。
「私は……幼い頃からヒーローになる為、鍛錬に集中して服のことやオシャレに気が回らなくて……それでどれが良いかってわからないんですよね」
「そっか、道理で…」
真っ先にジャージを手に取ったり虎や龍のTシャツという女の子が普通進んで着ない物を手に取ったりした行動に納得する。
「私はお二人が選んだ服は何でも喜んで着ます!」
「何でもが難しいんだよね」
期待するソラに特に要望がない事にましろは困惑の表情を浮かべる。
「らんこちゃんは何かいい案が……って、どうしたのその顔ッ⁉︎」
「へ、どうしましたかましろs…って、らんこさん顔が物凄く青いですよ⁉︎」
ソラの服は何が良いかと相談しようとしたましろだったが、らんこの顔色が物凄く青くなっていた。フード越しでも分かるほどだ。
「べ、別に……何でもない……」
「いや、その顔で何でもないって無理あるよ⁉︎」
「まさか、昨日の怪我が悪化したんですか⁉︎ほら、足もガクガクと生まれたばかりの子鹿みたいに……!」
とても動揺しているらんこを本気で心配する2人に対して本人は将来への不安とプレッシャー、ストレスによって胃に負担が掛かるのであった。