ひろプリに野良猫系キャラを入れてみた   作:獅子河馬ブウ

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第41話 靴選びバトル

カバトンとの決闘とゼインとの戦いを終えて数日が経つ、あの日以来カバトンは一同の前から姿を見せなくなっただけでなくキメラングも現れない平和な日々が過ぎていく。

そして、ある日らんこは虹ヶ丘家の玄関前にやってきていた。

 

「ましろ〜、遊びに来たわよ」

 

玄関に備え付けられているインターホンを鳴らして中にいる3人を呼ぶがしばらくしても来る気配は無い。

 

「……留守かしら?」

 

最近ツバサも普通に人の姿で生活する事になったからはインターホンを鳴らせば必ず直ぐ1人くらいは呼び出しに応じてくれる筈なのだが誰も来ない。そうなれば何処か買い物にでも行ったのかと思っていると突然扉が開く。

 

「いらっしゃい、らんこさん」

 

「あれ、ヨヨさん?ましろ達は何処かにお出かけしているんですか?」

 

家の中から出てきたのはヨヨであった。普段ならソラとましろにツバサのいずれかが出てくるのだが、珍しくヨヨが出迎えてくれた事から3人は今留守にしているのかと思い込む。

 

「いいえ、ましろさん達なら全員リビングにいるわ」

 

「え、いるの?」

 

てっきりいないかと思っていたがヨヨの発言を聞いて首を傾げる。普段なら自分達から進んで対応するのに今回は年配のヨヨを代わりに対応させるなんて珍しい事だ。

 

「三人ならリビングにいるわ。さぁ、上がって頂戴」

 

「あ、お邪魔します…」

 

取り敢えず出てこない3人に気になりつつもヨヨの案内で虹ヶ丘家に上がりリビングに入ると其処には丁度ソラ達の姿があった。だが、3人とも床にしゃがんで様子がおかしかった。

 

「ねぇ、あんた達は何を「「「今は駄目ーっ!」」」え…?」

 

何をしているのか話しかけるも3人は今取り込み中と言わんばかりに拒否された事に面食らう。

そして、3人が再び視線をらんこから先程まだ見ていた方向に戻すとらんこは気になって3人がここまで夢中になる物の正体を確認しようと自身も視線を移す。

 

「える…えるっ!」

 

「おおーっ!」

 

「歩いた!歩きましたよエルちゃんが!」

 

「素晴らしいですプリンセス!」

 

其処にはエルが支え無しで歩いている姿があり、3人はエルの成長に感動している様子だ。

 

「ふーん…あんた達随分楽しそうじゃ無い」

 

「「「っ!?」」」

 

背後から話しかけてくる声にソラ達はゾッとし振り向くと其処には物凄く不機嫌そうな表情を浮かべるらんこが立っていた。

 

「ら、らんこちゃん!?」

 

「いらしてたんですか!?」

 

「と言うかいつの間に!?」

 

「ずっといたわよ!て言うかさっき私の方に向いたのに気づかなかったの!?」

 

どうやら歩くエルに夢中になっていた様で3人は気付いていなかったようだ。

 

「全く…私を誘わず自分達だけでエルの成長観察を楽しむなんて…随分薄情ね」

 

「ご、ごめんなさい!目を離したらエルちゃんが怪我をするかもしれないと思って離れられない状況で…!」

 

「あんた達3人いるんだから1人くらい出迎えなさいよ!」

 

らんこは自分を誘わずにエルの成長イベントを間近で見た3人に対して嫉みを覚える。

因みにだが、らんこは少し前まではインターホンを鳴らさずに普通に出入りする事が頻繁にあったが、プリキュアになって以来は其処等へんのマナーは弁える様になった。

 

「あぁ…ソラとツバサは良いわよね。エルの掴まり立ちをその場で拝めたんだしね…ましろも2人と一緒に歩く所まで見たし…別に羨ましいなんて思っても居ないから…これっぽっちも羨ましくなんか無いからね……」

 

(((うっ、すっごい根に持っている)))

 

自分だけ碌にエルの成長を間近で見れなかった事を何とも思っていないとらんこは言うが、明らかにその態度からして3人を妬んでいる。

1人だけ虹ヶ丘家に住んでいないらんこはエルの成長イベントを中々拝む事が出来ない為、3人にせめて映像で残す様に約束したのだが、エルの成長を目の当たりにして興奮のあまり3人は忘れてしまい申し訳ない気持ち一杯になっている。

 

「ほ、ほら、らんこちゃん。おやつにクリームパンを焼いたからこれ食べて機嫌を直して」

 

「……一応言うけど食べ物につられるほど私は単純じゃ無いから」

 

ムスッとした表情を浮かべながら言うが、ましろからクリームパンを受け取り頬張る。

いつもなら雲パンを貰うのだがゼインとの一件以来らんこは白い物をみてゼインや彼が見せた悪意なき世界を思い出してしまいすっかりトラウマと化していたのだ。ましろの作る雲パンも白い為、らんこは雲パンの代わりに形が良く似たクリームパンで気分を紛らわしていた。

 

「モキュモキュ……まだまだね、精々点数を付けるとするなら88点ね」

 

「相変わらず高得点ですね」

 

「うーん…でも88点か、もっと精進しないと」

 

以前雲パンを初めて食べた時の様に辛口評価と見せかけて高評価するらんこの腹は収まるが、まだ腹の虫は治っていなかった。そんな様子にどうすれば良いのかソラ達は考える。

そんな中ヨヨがらんこにある提案をする。

 

「らんこさん、みんなでエルちゃんのファーストシューズを買いに行くのはどうかしら?」

 

「「「ファーストシューズ?」」」

 

「何ですか…それは?」

 

ヨヨの口から出た言葉に一同は思わず聞き返す。ニュアンス的にバスケットシューズみたいに聞こえるが、多分それとは関係無いだろう。

 

「この世界の習わしの一つで赤ちゃんが初めて歩いた記念に靴をプレゼントするの無限に広がる世界への一歩を、踏み出したことを祝福するものなのよ」

 

「成る程、()()()()()()()()ですか…!」

 

「この世界にそんな素晴らしい習わしがあるなんてな…!」

 

ヨヨの説明を聞いてソラとツバサは目を輝かせる。

 

「ねぇ、聞いた事あるましろ?」

 

「うーん、私も聞いた事ないかな?」

 

対してこちらの世界出身のらんことましろはファーストシューズの習わしについて聞いた事が無いようだ。まあ、語るヨヨは元はスカイランド人でこちらの世界へやってきた際に文化を勉強して知ったのだろう。

 

「それでらんこさんはどうします?」

 

「ええ行くわ。エルの成長イベントを体験出来る又と無いチャンスだから」

 

先程まで不機嫌だったらんこはヨヨの提案を嬉しそうに受け入れ、一行と共に街の靴屋へ向かうことになった。

 

────────

 

そして一同は街の靴屋へ訪れるとエルに合ったファーストシューズを探す為ベビーコーナーへやってくる。

 

「へぇ〜、こんなにあるんだ」

 

「最近のって種類豊富なのね」

 

「こんなにあるとは……迷っちゃいますね」

 

らんことましろとソラは予想以上に赤ちゃん用の靴の多さに驚いていた。

 

「この中からファーストシューズを選ぶ……これはプリンセスのこれからの人生に大きく関わるターニングポイント…慎重に選ばなければ…!」

 

「いや、大袈裟過ぎるわよ」

 

いつに無くやる気に満ち溢れるツバサにらんこは苦笑いを浮かべる。そんな中ソラが目に入った靴を棚から取る。

 

「見てください。これなんてどうですか?とっても頑丈そうだし防御力も高そうです」

 

「それはどう…いや、案外良いかも。エルも歩く様になったからいずれは外で一緒に歩いたりするから足が怪我しない様に配慮する為案外そういう系が良いかもしれないわね」

 

「らんこちゃん…随分真面目に考えるね」

 

前までのらんこならこう言うのは面倒くさいとか何かと言っていたが、今回はエルのファーストシューズを買う為に来たのだ。いつもと比べてしっかりと真面目に付き合っている事から彼女の本気が伺える。

 

「さぁ、エルちゃんこれを「やっ…」えっ…」

 

どうぞと言おうとしたがエルはソラの選んだ靴がお気に召さなかった様でそっぽを向いてしまう。

 

「防御力も良いけど、エルちゃんはまだ赤ちゃんだから……あっ、こう言うのはどう?ほら、ピカピカ光るよ」

 

そう言ってましろは近くの棚から反射板が着いてピカピカと光る靴を手に取る。

 

「ましろ、そんな安直にキラキラなんて…いや待って、夕方や夜や明かりが少ない場所とかで迷子になった際に光が反射して直ぐ居場所が分かる事を考えればそれも良いかもしれないわね」

 

「な、なんだか恥ずかしいな…」

 

先程の様にましろが選んだ靴について機能性などを評価している様子に照れ臭そうな表情を浮かべる。

 

「じゃあ、エルちゃんこの靴を履いて「やっ」…くれないみたいだね……」

 

ましろの持ってきた靴もお気に召さなかった様で再びそっぽを向くエル。その後ソラとましろは手当たり次第色んなデザインや機能がある靴をエルの前に持ってくるが全て駄目だった。

 

「うう…全て駄目でした……」

 

「自信無くしちゃうよ……」

 

どれも用意した靴は自信があった物だったがそれが全て却下された事に落ち込んでしまう。

 

「困ったものね。エルの我儘は…」

 

これだけ2人が用意した靴を一度も履かずに却下した事にらんこは頭を悩ませる。

 

「いえ、プリンセスは悪くありません。足りてないんですよ、お2人のセンスが」

 

「「んなっ!?」」

 

突然自分達のセンスがダメ出しされた事に思わず固まる2人。

 

「なによ、偉そうな事を言うけどあんたの場合はエルの気にいる靴が分かるとでも?」

 

上から目線でソラとましろのセンスをダメ出しするツバサにらんこジト目で彼を見つめる。

 

「当然です。僕はプリンセスのナイトですから」

 

「自称でしょ…まぁいいわ。其処まで言うならあんたのセンスを見せてもらうわよ」

 

やけに自信満々な所が気に入らないが取り敢えずツバサに任せる事にしたらんこ。

 

「エルちゃんはスカイランドの王家のプリンセス…キラキラ輝く一番星、国民のアイドル、そんじょそこらのデザインで満足する筈が…うん、コレが良い」

 

すると、ツバサはやや高めの靴のコーナーから一足の靴を手に取る。

 

「げっ…よりにもよって白って」

 

白く煌めく靴を手に取るツバサを見てらんこは思わず嫌な顔を浮かべる。ツバサ自身他意は無いのは分かるが、時期的にあまりよろしく無い。この靴が採用されてもしたららんこにとってあまり良い気分はしないだろう。

 

「さあ、お受け取り下さいプリンセス!あなたのナイトが選び抜いた飛びっきりn「えるっ!」ええーっ!?」

 

自信満々でエルに自分が選んだ靴を差し出すがソラ達よりも強く拒否した事にツバサは涙を浮かべ、ショックを受ける。そんな彼を見て哀れんだソラとましろはツバサの肩に優しく手を乗せる。

 

「ハッ!墓穴を掘ったわねツバサ。あれだけ偉そうな御託を並べて置いてこの始末なんて……所詮は自称ナイトね」

 

「ぐぅ…」

 

「ら、らんこちゃん…言っている事がなんだか悪役っぽいよ」

 

「せめてもう少し優しく言ってくれませんか?」

 

ツバサの選んだ靴をエルが拒否したのを見て嘲笑い、ツバサは悔しそうな表情を浮かべる。

ソラとましろはそんな悪者ムーブを出す彼女を注意する。

なお、エルが白い靴を拒んだのを見てらんこは内心ほっとしていた。

 

「そ、そう言うらんこさんはどうなんですか!貴女は先程から見ているだけじゃ無いですか!?」

 

「へぇ…見ているだけね……私がただあんた達の用意した靴が尽く拒否される様を何も考えずに嘲笑っていると思っているなんて実に愉快な発想ね」

 

「いや、さっき思いっきりツバサ君を嘲笑っていなかった?」

 

何やら靴屋のベビーコーナーかららんこを中心に怪しい雰囲気が出てきた。

 

「いいわよ…なら、私の実力を見せてあげるわ」

 

いつにも増してテンションが高いらんこは軽くベビーコーナーを一周すると、顎に手を当てて考える。

 

「先ず安易に王族だからといって金や銀、他に煌めく物を好む先入観は捨てて対象の人物が何を好んでいるのかって話よ」

 

「と言うと…?」

 

対象が好む物と聞いて3人は首を傾げる。

 

「そうね…やはり此処はエルのイメージカラーをベースにした方が良いわ。エルを表す色といえば……ズバリ紫よ!」

 

「「「紫…あっ!」」」

 

らんこの指摘に3人はエルをじっと見つめると彼女はあまりここいらでは見かけない紫の髪である事を改めて認識する。対してらんこは紫をベースにエルに合う靴を探している。

 

「うん、これが良いかもしれないわ」

 

「える……」

 

そう言ってらんこは紫色の靴を手に取るとエルに見せる。一見その靴は3人が選んだ靴と比べてこれと言って頑丈だったり煌めいたりと機能は無いがエルは先程までと比べると興味津々で眺めている。

 

「……やっ」

 

だが、これもお気に召さなかったのかまたしてもそっぽを向いてしまう。

 

「どうやらこの靴は気に入らなかった様ね。でも、少し興味があったから先ずは私が一歩リードよ」

 

「ぐぅ…」

 

採用はされなかったがエルが今までの中で反応がいい事にツバサは悔しそうな表情を浮かべる。

 

「ま、まだ勝負はこれからです!」

 

「ふん、碌に靴選びで相手の気持ちを考えず偏見だけで選ぼうとしたあんたが私に勝てるとは到底思えないわ」

 

負け惜しみに近い台詞を吐くツバサに対してらんこは優越感に浸りながらツバサを見つめる。

 

「やってみないとわかりません!!!」

 

「良いわよ…ならどっちが選んだ靴を受け入れてくれるか勝負よ!」

 

「いや、勝負って…」

 

本当なら楽しく皆んなでエルの靴を選びにきた筈がいつの間にか靴選びバトルに発展する。

 

(ていうからんこちゃんは今日はやけにテンションが高いね…)

 

普段の彼女ならもう少し物事に対して冷静になのだが、ゼインの一件に加えエルの成長イベントに中々参加出来ずストレスが尋常じゃ無いほど溜まってしまい、それの影響で彼女のテンションがおかしい事にいつぞやの海◯雄山っぽい台詞を言っている。

 

「なんだか面白くなってきましたね。私も負けていられません!」

 

「ええっ!?ソラちゃんも混ざるの!?」

 

ただでさえ2人だけでも厄介なのにソラがこの靴選びバトルに追加エントリーした事にましろは面倒なことにならない事を祈るのであった。

 

 

────────

 

それからと言う物の各々はエルが気に入りそうな靴を次々と持ってくる。

 

「さっ、エル遠慮しないで!なんちゃってナイトが選んだ靴よりも優れる私の靴を選んで!」

 

「何を言いますか!?プリンセス、貴女のナイトが今度こそ最高の一品をご用意しました。どうぞ納めて下さい」

 

「エルちゃんこっちなんてかっこいいですよ!」

 

3人は己の靴を選んで貰おうとエルに靴を差し出す。

 

「やっ!」

 

「「「なっ!?」」」

 

「あはは…3人とも残念だね……」

 

しかし結果、どれもエルのお気に召すものではなかった。3人はまたしても自分達の靴がお気に召さなかった事にショックし、そんな3人にましろは哀れみの眼差しを向ける。

 

「ちょ、ちょっと、エルってこんな我儘だったかしら?なんか初めて会った時と比べて酷くなってないかしら?」

 

そう言ってらんこは自分達の後ろに積まれた選ばれなかった靴の山を見て流石におかしい事に気付く。

 

「言われてみれば……前までエルちゃんはここまで我儘じゃ無かった気がします」

 

「ですが、何が原因なんでしょうか?」

 

「私もわからないな…」

 

3人もエルが我儘過ぎる事に気付くが何が原因なのか心当たりがなかった。対してらんこはそんな3人に対してジト目をしながら見る。

 

「……ねぇ、ひょっとしてあんた達が甘やかし過ぎたんじゃないの?」

 

今日まで一緒に生活をしていた面子が今まで気付かなかった事に自分達が知らない内に甘やかし過ぎたのではとらんこが指摘する。

 

「そうですか?私は日頃から好き嫌いしちゃメッてエルちゃんに言い聞かせて来ましたし…」

 

「私もソラちゃん程では無いけどちゃんとお世話してきたつもりなんだけどな」

 

対してソラとましろは日頃からあまり好き嫌いをしない様に努力してきたと話す。

 

「そうですよ。僕たちはちゃんと将来立派なプリンセスになる様に世話をしてきたのでその可能性は低いですよ」

 

「ふーん、因みにあんたはソラ達が私と一緒に学校に行っている間はどんな感じに世話してたの?」

 

自分達が学校に行っている平日の昼間は基本的にツバサがエルの世話をしているので詳しく聞いてみた。

 

「僕ですか?僕は普通にプリンセスが嫌いな食べ物があったら端っこに避けたり、お菓子のお代わりを要求があったら新しいお菓子をあげたりとプリンセスの為を思ってのお世話を「あんたの所為かいっ!!!」え、うわあああっ!?」

 

犯人はツバサであると分かると彼女は目にも止まらぬ速さで彼の胸ぐらを掴み、ツバサも突然胸ぐらを掴まれた事に声を上げる。

 

「ちょ、らんこちゃん何やっているの!?ツバサ君の胸ぐらを掴んじゃ駄目だって!」

 

「そうですよらんこさん!暴力はいけませんよ暴力は!」

 

突然靴屋でらんこが行った事に2人は周りに人がいないのを確認しつつ彼女にやめる様に注意をするが、らんこは止まらない。

 

「うっさい喧しい!!!同じ屋根の下に暮らしておいて気付かなかった節穴コンビが口出しするんじゃ無いわよ!」

 

「「ふ、節穴!?」」

 

2人はらんこの暴言に思わずショックする。

 

「こんのおバカ‼︎それだとエルが我儘になってもしょうがないでしょ!?」

 

「で、でも、プリンセスはスカイランドの姫です。多少の贅沢は許されるかと…」

 

「それでも限度があるでしょ限度が!?未来を考えるなら尚更贅沢は程々にしなさい!そうしないと将来我儘し放題の暴君になるわよ!!!」

 

「ちょ、ちょっとらんこさん!エルちゃんに限ってそんな!」

 

そんな事は無いとツバサが言おうとするとらんこが更に声を荒げる。

 

「赤ん坊は可能性の塊よ!ましてやエルは一国の姫よ!幼い頃からそんな生活をしていたら将来どんな影響を及ぼすかちゃんと考えなさい!…多少の贅沢は良いわ。だけど、それがエルの為になるか、ならないかは見極めてから行動して!」

 

「す、すいませんでした……」

 

「分かればよろしい」

 

そう言ってらんこはツバサの胸ぐらから手を離し、それを見たソラとましろは暴力に発展せずに済んだ事にほっとする。

 

「でも、靴の方はどうしましょう?この店の靴は全て試しましたがエルちゃんの気にいる物はありませんでしたし…」

 

こうなったら別の靴屋に行って探しに行こうかとソラは提案。

 

「じゃあ、後日あげは姉さんを呼んで靴を改めて探すのはどう?こう言うのは得意そうだし」

 

「確かにあげはちゃんがいればエルちゃんの欲しい物がわかるかも」

 

保育士を目指すあげはならエルの気にいる靴が直ぐに見つける事が出来るとらんこは考え、ましろもその意見に納得する。

 

「うーん、出来たらプリンセスには1秒も早く靴をプレゼントしたかったのですが…」

 

「仕方ないですよ。取り敢えずらんこさんの言う通りあげはさんのお力を借りてまた靴を探しましょう」

 

こうして一同はまた後日にあげはと共に靴を探しに行こうと決めると、その場を去ろうとする。

だが、その時エルが何かに気づく。

 

「える、えるる!」

 

「どうしたのエルちゃん?」

 

「ん、あれって…」

 

一同はエルの視線の先を見ると其処には1人の女性が赤ちゃん用の靴を購入している様子だ。デザイン的には全体的にピンクで靴底は白く。特徴的な紫のリボンが付いている物だ。何処と無くエルの髪と服に色合いが似ている事からエルに似合いそうだと一同は一瞬思うも。

 

「も、もしかして、エルちゃんあの靴がいいの?」

 

「えるっ!」

 

恐る恐る確認するとエルはそうだと言わんばかりに返事をする。どうやらその靴が気に入ってしまった様子だ。

 

「だ、駄目ですよ!あれは人の物ですよ!」

 

「そうですよエルちゃん!別のものにしましょう!」

 

「そうよ、流石に人の買った物を譲って頂くのはね…」

 

「やあっ!やあっ!」

 

「ああ、どうしたら…」

 

すっかり女性の購入した靴が気に入ったのか駄々を捏ねるエル。そんな彼女をどうやって説得しようか頭を悩ます。

 

「どえらい可愛い赤ちゃんやなぁ」

 

「「「「あっ!?」」」」

 

その時、いつの間にか4人の目の前に先程靴を購入した女性が立っており話しかけてきたのだ。

 

「える!えるるぅ〜!」

 

「ちょ、エル駄目だって!」

 

お気に入りの靴が目の前にきた事にエルは手を伸ばす。それを見てらんこは駄目だと注意する。

 

「これ、気に入ったん?」

 

「す、すみません…!」

 

靴を求めるエルの姿に状況を察した女性に一同は申し訳ない気持ちになり、慌てて去ろうとするが、女性は暫くエルの顔を眺めると購入した靴を一同に差し出す。

 

「これあげるわ」

 

「「「「えっ!?」」」」

 

「あ〜い!」

 

一同は女性の言葉を聞いて思わず声を上げる。一方でエルは靴が貰えると分かると満面の笑みを浮かべる。

 

「い、いいんですか!?」

 

「ええよ。その子が欲しいゆんならあげるわ」

 

そう言って女性は購入した靴をソラに譲った。

 

「ありがとうございます!」

 

「ええよ、こない気に入ってもらえて靴も喜んでるわ。逆におおきに」

 

そう言って女性は去っていき、その後ろ姿を見たソラは嬉しそうな表情を浮かべる。

 

「ヒーローです!ヒーロー発見です!靴の気持ちまで考える優しさ…それがヒーローです!」

 

「なんでやねん!」

 

「あんたのヒーロー定義って一体なんなの?」

 

目を輝かせながら先程の女性の行動をメモするソラにらんことツバサは思わず呆れた顔を浮かべながらツッコミを入れる。

一方でましろは去っていく女性を呼び止める。

 

「あの、本当にいいんですか?これって誰かにプレゼントする靴なんじゃ?」

 

もともとは女性が購入した物でしかも赤ちゃん用、勿論自分が履いて使う訳が無く誰かにプレゼントする物であるとましろは指摘する。それを聞いてソラ達はハッとなり女性に視線を向ける。

 

「……これで良かったんや」

 

「え?」

 

女性は呟く様に答える。その発言には何か複雑な思いを感じ取るも女性は店を去っていく。一同は去っていく女性をただ見つめているが、暫くしてソラが走り出す。

 

「待ってください!」

 

「「「ソラ(ちゃん)(さん)!?」」」

 

走って女性を追いかけるソラに驚きつつもらんこ達も彼女を追いかけて店を出るが、其処にはソラが周辺を見渡して先程の女性を探していた。どうやら、ソラは追いかける途中で見失ってしまったようだ。

 

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