ひろプリに野良猫系キャラを入れてみた   作:獅子河馬ブウ

42 / 138
今回はギャグとシリアスが行ったり来たりする模様。


第42話 近づく別れ

あれから一同は虹ヶ丘家へ戻っていた。今はすっかり夕方となっており段々と夕陽が地平線へ沈んでいき、辺りの景色は暗くなりつつある。

 

「すぅ……すぅ……」

 

「すっかり気に入った様ね」

 

エルは女性から譲り受けた靴が気に入った様で抱きしめながら寝ている。その姿に愛くるしさを感じたのからんこは優しく頭を撫でる。

だが、チラッとらんこは3人の方に視線を向けると表情は浮かんでいない。

 

「……結局靴を譲ってくれた方は見つかりませんでしたね」

 

「見た感じこの街に住んでいるっぽいけど何処に住んでいるのか全くわからないよ」

 

「………」

 

一同は女性から靴を譲り受けたがやはり気になる部分が色々あり、あの後街中を探すも見つける事が出来なかった。その為帰ってきた後も浮かない顔をしているのだ。

 

「……断るべきでした」

 

「え?」

 

「ソラちゃん…」

 

「……」

 

ソラの呟く様に放った一言にらんこ達は視線を彼女に向ける。

 

「きっと、何か事情があったんです。なのに私は……未熟……!」

 

「仕方ないよ。今度会えたらお礼を言おう…」

 

自分達が漸くエルが納得いく靴を手に入れてはしゃいで、ましろが指摘するまで気が付かなかった呑気さに嫌気を刺していた。そんな彼女にましろはフォローをいれる。

 

「…決めました。今直ぐあの人を探して靴を返しましょう!」

 

「えぇ!?プリンセスは?あんなにこの靴を気に入っているのに……」

 

女性から靴を譲り受けたエルは物凄く喜んでいた。そんな彼女から靴を取り上げる行為をする事にツバサ真似をしたくなかった。

一方でらんこはソラの発言を聞いてエルの抱える靴を見ると少し考える仕草をする。

 

「……私もソラの意見に賛成よ」

 

「え、らんこさんも!?」

 

共にエルを大事に思うらんこまでソラと同じ意見にツバサは驚愕の表情を浮かべる。

 

「あの人がエルに靴を譲ってくれたのは嬉しい…でも、あの雰囲気はどうも気になって、なんだか喉に骨が引っかかる様な感じがして嫌なのよ」

 

「そうは言ってもまだプリンセスは2歳ですよ!折角気に入った靴を手放すなんて…!」

 

らんこの側に靴を大事に抱えるエルの姿を見たツバサはもし靴が無い事を知るとエルは物凄く悲しんでしまうと想像する。

 

「諦めなさい…偶には現実と言うのもエルに教えるべきよ」

 

「そ、そんな…!」

 

可哀想だと言おうとしたがらんこはソファから立ち上がると窓の方へ歩き、夕陽が広がる空を眺める。

 

「欲しい物があってもどうやっても手に入らない…人はそんな辛い出来事を受け止めて成長していくのよ」

 

「ら、らんこさん…?」

 

何やら窓の外を見て渋い事を語るらんこの背中には哀愁が漂う。そんな彼女にツバサは恐る恐る話しかけようとするが、突然窓をゴンッと音を立てて叩く彼女の行動に3人は思わずビクッと身体を震わせる。

 

「世の中には欲しいものがあっても…必ず手に入るなんて事はないのよ…!」

 

そう言いながら何か悲しい出来事を思い出したのか、滝の様に涙を流して拳を強く握りしめる。

 

「えっと…なんだか、らんこさんの様子がおかしくありませんか?」

 

「と言うよりも思いっきり私情が入っていませんか?」

 

「た、多分だけど…」

 

何か物凄い辛そうな表情と言動にソラとツバサは困惑する。そんな彼女を見てましろは何かを察したのか苦笑いをしながら2人に答える。

 

「実は去年、らんこちゃんが推しているアイドルの春日野うららちゃんやまこぴー…剣崎真琴ちゃんのコンサートチケットの抽選に全て外れちゃってね。それを思い出しちゃったんだと…」

 

「な、成る程…それで自分と重ねたんですね」

 

「抽選と言うのはよく分かりませんが、全て外れたとなると相当ショックなんでしょうね…」

 

やっぱり思いっきり私情が入っているじゃねえかとソラとツバサはツッコミを入れたいが、流石に抽選が一つも当たらなかった事には同情し、其処はグッと堪える。

そして、視線を再びらんこに戻すと彼女はブツブツと呟いていた。

 

「ああ、一度で良い…生のうららやまこぴーを目の前で見て出来たらサインと握手をしたい‥贅沢を言うならツーショット、いやスリーショットをしたいわ。私とうららとまこぴーで…!」

 

そんな欲望丸出しの台詞を吐きながら彼女は床に両手と両膝をついて落ち込んでいた。

 

「らんこさん…もう靴の話ですら無くなっていますね」

 

「完全に1人の世界に入っちゃっていますね……」

 

「あ、あはは……」

 

自分の欲に呑まれ、エルの靴の話を忘れている彼女を見てソラとツバサは呆れた表情を浮かべ、ましろは苦笑いをする。

だがそんな時、聞き覚えのない鐘の音が響き渡る。それを聞いたソラ達は驚き、落ち込んでいたらんこも正気に戻る。

 

「え…今の何!?」

 

「スマホの着信音…じゃ無いわよね」

 

「ヨヨさんの部屋の方からです!」

 

「行ってみましょう!」

 

4人はエルを連れて慌ててヨヨの部屋に向かうとノックもせず扉を勢いよく開ける。

 

「お婆ちゃん大丈夫!?…って、ええっ!?」

 

部屋の中にいるヨヨの安否を確認しようとましろが率先して入ると其処にはヨヨとその側にはミラーパッドの鏡面から放たれる光によって青く光り輝く空間が出来ていた。

 

「こ、これって…!」

 

「トンネルの入り口……」

 

「これが、スカイランドに繋がるゲート……」

 

謎の空間の存在に一同は驚くも、それが何となくではあるもののこちらの世界とスカイランドを行き来するゲートであると確信する。

 

「ソラ、あんたはアレを通ってこちらの世界へきたの?」

 

「はい、私が通って来たのと比べて健全っぽいですが、間違いありません」

 

「そう……ん、健全?」

 

スカイランドから実際にこちらの世界にやってきたソラに恐る恐る目の前にあるのが実際に通った物なのかとらんこが確認すると彼女は肯定するが、その際口にした健全と言う言葉が引っかかる。

 

「確かに一年前僕も通ってきたのと比べて健全さを感じられます」

 

「健全って……」

 

「いや、何よさっきから揃いも揃って健全って…」

 

世界と世界を繋ぐゲートに健全も悪いもあるのかとましろとらんこは疑問に思ったが、此処でらんこはある事を思い出す。

 

(待てよ……ひょっとしてあれがゲートだったのかしら?)

 

らんこは以前UFOランボーグの中でカバトンが紫色の謎の空間に向かって会話していた事を思い出し、ひょっとしてその時の謎の空間が世界と世界を行き来するゲートだったのではと推測する。

仮にそれがゲートだとすると確かに目の前のと比べると健全さが感じられる。

 

「そうね……確かに健全に感じられるわ」

 

「いや、らんこちゃんも何言ってるの!?」

 

らんこも続いてゲートを健全呼ばわりする事にましろは困惑の表情を浮かべる。

 

「というかヨヨさんいつの間に完成させていたんですか?」

 

「実は少し前まで大元の所まで完成してそれをさっきみんなに伝えようとしたんだけど…」

 

「ん、"さっき?"…それってどういう事ですか?」

 

ヨヨの口振から何か引っかかる物を感じたらんこは詳しく聞いてみる。

 

「実はらんこさんが家に来る少し前にましろさん達にはもう直ぐゲートが出来上がると報告しようとしたんだけど、みんなエルちゃんが歩くのに夢中になって伝えそびれたの」

 

「「「えっ?」」」

 

それを聞いてソラ達3人は固まる。そして、確かにエルが掴まり立ちから支え無しで歩くか歩かないか絶妙なタイミングでやってきたが、らんこの時と同様に後回しにした事を段々と思い出す。

 

「あんた等…夢中になり過ぎでしょ」

 

「「「あ、ははは……」」」

 

らんこはゲートが出来たという重要な報告を伝えにきたヨヨの事を後回しにしたソラ達に呆れた眼差しを向け、対してソラ達は気まずく思いつつも笑って誤魔化した。

それからヨヨはスカイランドにいるエルの両親である国王と王妃にゲートが完成した事を伝えると2人は大いに喜んだ。安全の為にまだ調整の時間が必要であるので明日の夕方まで時間を伸ばす事を伝えると通信を終え、ヨヨは4人の方に向き直る。

 

「さて、みんな聞いて頂戴。アンダーグ帝国はこれからもエルちゃんを狙ってくるでしょう。戦いの場所はソラシド市からスカイランドに移る。でも、ましろさんとらんこさんは一緒に居られないわ」

 

「「え?」」

 

ヨヨの言葉にらんことましろは思わず声を漏らした。当然の話だ。ソラ達は元々スカイランドの住人、元の世界に帰る術が出来た今は本来住む世界(スカイランド)に帰るべきだ。対してらんことましろはこの世界の住人。彼女達には学校で勉強する義務がある。その為、ソラ達がこちらへ暮らした様に自分達がスカイランドで長期滞在する事は出来ない。そうなるとこれから先2人はソラ達と一緒に居られる時間が今までと比べ物凄く減ってしまう。

 

「だ、駄目よ‼︎」

 

「「「らんこちゃん(さん)…」」」

 

一緒に居られなくなる、それを知ったらんこは思わず声を上げてしまう。そんな彼女の声を聞いて一同は視線を集中する。

 

「ソ、ソラはうちの学校の生徒よ!学校をサボるなんて…こ、この前みたいな騒ぎは…ご、ごめん…よ……

 

「らんこさん……」

 

何とかしてソラ達を説得しようとするらんこだったが最初と比べて勢いが無くなっていき、次第に声が小さくなって表情が曇っていく。それを見てソラは悲しげな表情を浮かべる。

 

「……ソラさんの転校の手続きは後日私がしておきます」

 

「ま、待ってよ!」

 

ヨヨの台詞を聞いて焦りを感じたらんこは何とかヨヨを説得しようと頭を抱えて必死に考える。

 

「そ、そうよ!ソラ、もう少しこっちにいない!?後一、二ヶ月もいればソラが好きそうな体育祭があってそれに出れば大盛りあが……り……」

 

らんこはソラを説得しようと試みるがソラの顔を見て次第に勢いが無くなっていく。

 

「わ、悪かったわね……うん、そうよね…元々はあんた達はあっちの世界から事故でやってきたんだから」

 

らんこの表情は沈んでいく。彼女も最初からわかっていた。いつかは別れの日が来ると。だが、いざその時が来ても簡単には納得出来なかった。

 

「…らんこさん…ごめんなさい」

 

「ううん、謝らないで。無理に引き留めようとしたこっちが悪いんだから……」

 

ソラは自分をこの世界に引き留めようとするらんこの姿に心が痛みつつも謝罪するが、らんこは自分が悪いと口に出す。

 

「そ、それによくよく考えれば会う時間は減るだけで永遠の別れじゃ無いから…そうよねましろ!」

 

「えっ!?あ…う、うん!そうだよ!もし、スカイランドにランボーグな現れたら私達がそっちに行くから大丈夫…だよ」

 

突然らんこから話を振られたましろは一瞬驚くも慌てて話を合わせる。だが、ましろもらんこと同様にあまり割り切れておらず表情は暗い、それを見てソラとツバサも表情が暗くなっていく。一方でエルは4人の表情が暗い理由がわかっていないのかキョトンとしている。

 

「……皆んな一緒に居られるのは明日まで。今日はあげはさんも呼んでご馳走にしましょう」

 

(ヨヨさん……)

 

ヨヨはせめて最後の思い出作りの為に一同に提案をする。彼女も言うのは辛いが大人として現実を突きつけなければならない憎まれ役を買って出てたのさ分かる。それならこれ以上自分の我儘で場を乱すのは良くないとらんこは思っていた。

 

「らんこちゃん、今日は泊まっていかない?」

 

「…え?」

 

其処へましろが家に一泊しないかと提案してくる。らんこは突然の提案に呆気に取られる。

 

「そうですよ。せっかくこの家に居られるのが最後ならせめて最後は私もらんこさんと一緒にいたいです」

 

「ソラ……」

 

「…わかったわ。それじゃあ今日はお邪魔するわね」

 

それからと言うもののらんこは家にいる両親に虹ヶ丘家に泊まることを伝え許可を得ると着替えを一式受け取りに一旦家に戻り、その後あげはにも連絡を入れるとその日の夜に虹ヶ丘家にやってきて共に夕食を食べ始める。

 

「そっか、ソラちゃん達は明日に帰っちゃうんだ」

 

「エルちゃんをお家に帰してあげる。その為に頑張って来たんですから」

 

誘拐されそうになったエルを助けてその際こちらの世界へやってきたソラは漸くエルを元の世界へ連れて帰る事が出来る事に安心しているが、あげははそんな彼女を見て少し複雑な表情を浮かべる。

 

「それはそうだけどさ……ましろんとらんこちゃんは明日はどうするの?」

 

あげははましろとらんこに話しかけるがましろは返事をせず反応が無い、対してらんこは先程から無言で食事をしているが夕食に出た料理を箸で掴むが口に入れる直前手前の皿に落としている。

 

「2人とも…」

 

「「…え?あ、なに!?」」

 

再度あげはに話しかけられた事に2人はハッとなり慌てて返事をする。

 

「いや、2人は明日どうするのかなって」

 

「あ、明日?一緒にエルちゃんを送り届けて観光してから帰ってくるよ」

 

「私も…前々から異世界には興味あったから行くつもりだから」

 

やや落ち着かない2人をあげはは不審そうに見つめながらも食事を摂るのだった。

 

─────────

 

それから食事を終えて、入浴をするとそれぞれの寝床につく。ツバサは1人リビングの巣箱で寝て、残りはましろの部屋におり最初にエルが揺籠の中で寝静まると続いて4人は用意した布団にそれぞれ寝ようとする。

 

「ねぇ…ソラちゃん起きている?」

 

「はい、起きてますよ」

 

ましろは中々眠れずにいてソラに話しかけると彼女もまだ眠れずにいた。

 

「らんこちゃんはどう?」

 

「寝れるわけ無いでしょ…この状況」

 

続いてらんこに話しかけるが彼女は何故か不機嫌そうに返事をする。

 

「らんこさん…なんだか機嫌が悪そうですね」

 

「当たり前でしょ!そもそも…い、一緒の布団に寝るなんて恥ずかしくて寝れるわけ無いでしょ…!」

 

そう、今3人は大きめのベットに一緒になって寝ていたのだ。ソラとましろは偶に同じベットに寝ることがあったかもしれないが、らんこは違った。友達の家でお泊まりは中々無い事な上に同性とはいえ同じ寝床に入って寝るなんて彼女には恥ずかし過ぎて眠気が吹き飛んでいたのだ。

 

「それに…」

 

「グガーッ!グガーッ!」

 

らんこはチラッと視線を横に移すとそこには怪獣の鳴き声と思い込んでしまうくらいのいびきをするあげはが布団に寝ていた。

 

「あげは姉さんのイビキが酷すぎて眠れないわよ」

 

「「あ、あははは…」」

 

らんこの言葉にソラとましろは否定出来ずに苦笑いを浮かべる。彼女はいつも隣町からソラシド市の学校へ通って保育士の勉強をしているのだ。日頃の疲れが溜まってその影響でイビキが酷いのだろう。そんな彼女を無理に止めるのは出来ない事だ。かと言ってこのままでは一睡もできないと考えたらんこはパジャマのポケットから耳栓を取り出した。

 

「こうなったら耳栓で音を「グガァーッ!!!」うわっ!…って、ああっ!」

 

耳栓を取り出したらんこだったが、あげはが転がってベットにぶつかりその衝撃でらんこは耳栓を手放してしまいそれをあげはが手で受け止めるとそのまま元の布団に転がり戻って再びイビキをかきなから眠る。

 

「ちょっと!あげは姉さん起きてるでしょ!耳栓を返して!」

 

らんこはあげはの元に行くと彼女の拳を開かせて耳栓を取り返そうとする。

 

「ちょ、ちょっとらんこちゃん!あげはちゃんを無理矢理起こすのは止めようよ!」

 

「そうですよ。きっと疲れにより寝相が悪くなっていたんです!」

 

「あんた達の目はやっぱり節穴!?どう見てもさっきの動きは起きてるしか思えないでしょ!」

 

「グガーッ!グガーッ!」

 

ソラとましろに止められるもらんこは2人に辛辣な言葉を言いつつもあげはから耳栓を取り返そうとするが、彼女の拳は万力の様に強く握られている上にイビキが先程よりも増して大きくなっていく。なお、そんなイビキを至近距離で聞いているにも関わらず全く起きないエルの存在に3人は気づかない。

 

「その…らんこちゃん。此処はあげはちゃんのイビキが治るまで外の空気でも吸いに行かない?」

 

「そうですよ…それに今日の夜空は綺麗ですよ」

 

「ええ…はぁ、わかったわよ。まぁ、外の景色でも眺めていれば眠気も出るわよね」

 

あまり気が進まないものの2人の提案を受けるとらんこはソラ達共に家の外に出る。すると如何だろうか家の外を出ると其処に夜の星空が広がっており更には虹ヶ丘家から見下ろす街は街灯や建物の光によって美しい景色になっていた。それを見たらんこは目を輝かせる。

 

「綺麗ね……あんた達何時もこんな絶景を見ているの?」

 

「何時もじゃないよ」

 

「普段この時間は寝ていますからあまり見ませんから」

 

こうやって虹ヶ丘家へ住んでいないと見れない絶景にらんこは2人を羨ましく思い、対して彼女達は謙遜な態度を取る。

 

「確かにこうして此処から見る景色は本当に美しいですね。初めは此処が魔法の世界かと思ってました」

 

「ふふ…そんな事言ってたね」

 

ソラは初めてこの世界へやってきた時の事を思い出し、ましろもその時の出来事を思い出す。

 

「私も…突然空から落ちてきたあんたが不審過ぎて一分一秒も関わりたく無かったわ」

 

「えっ……私の事をそんな風に思っていたんですか!?」

 

「ちょ、らんこちゃん!?」

 

らんこのカミングアウトにソラは思わずショックを受け、ましろもとんでも無い事をぶっちゃけた事に思わず声に出す。しかし、それも仕方ない事だ。今にして思えば突然空から自分達の元へ赤ん坊を抱えて落下してきて更にはピーターパンの様に宙に浮いたりする。当時人一倍警戒が強かった時期のらんこに不審がられるのは当然だ。

 

「冗談よ…最初はそうだっけど今は違うわ」

 

「な、なんだ冗談でしたか…」

 

「もう、らんこちゃん!」

 

らんこの発言が冗談であると分かるとソラは胸を撫で下ろし、ましろは怒った表情を見せる。

 

「悪かったわよ……でも、明日からこうやって軽口を言う機会が減ると思うと寂しい物ね」

 

「「あっ……」」

 

らんこの寂しげな表情に2人は思わず暗い表情になり、ソラは恐る恐るらんこに話しかける。

 

「らんこさんは…そのやっぱり寂しいですか、私達がスカイランドに帰ってしまうことが」

 

「……当たり前でしょ。友達が遠くにいくのは……寂しいから」

 

少し口を籠らせながら言いづらそうに答える。それを聞いて2人は黙ってしまう。普段と比べて今はいつものクールさは無く弱気な姿を見せる。それ程今回ソラ達がスカイランドへ帰ってしまうのがショックなことが伺える。そして、らんこは2人の視線に気付きハッとなる。

 

「あっ……ら、らしく無い事を言ったわね……そ、それと急に眠気が出てきたから……先に家に戻って寝てるわ!おやすみ!」

 

「「らんこちゃん(さん)!」」

 

そう言ってらんこはその場から逃げる様に家の中に駆け込む。2人が彼女を呼び止めようとするも彼女はそれを聞かずに家に入り、玄関の扉を勢いよく閉めると床にしゃがみ込み顔を両手で覆うと、彼女の身体が震える。

 

「な、泣いちゃ…ひっぐ、駄目よ…ぅぅ……!」

 

彼女の目には涙が溢れている先程ソラとエルとツバサの3人が自分の日常から消えることを想像したらんこは悲しい気持ちが溢れ、今にも泣き出しそうになっていた。彼女はなんとか堪えよう自身の腕を抓って痛みで涙を引っ込めようとする。

そんな時前から足音が聞こえてそちらに視線を移すと、あげはが立っていた。

 

「あ、あげは……姉さん……っ!」

 

らんこは慌てて今の自身の醜態を見られない様に涙を拭き取ろうとする。だが、そうする直前にあげはが優しく話しかける。

 

「素直に泣いていいよ。安心して……今此処には私しか居ないから胸を貸してあげる」

 

そう言ってあげはは両手をらんこに近づく、対してらんこは遂に耐えられなくなったのかあげはの身体に抱きついて涙腺が崩壊する。

 

「ひっぐ…う、うわあああああんっ!!!」

 

「そりゃ…寂しいに決まっているよ。友達が居なくなるのは…」

 

あげはの胸を借りて涙が枯れるまで泣き続ける。対してあげはは彼女の身体を優しく腕で包み込み頭を撫でる。

普段はあまり人に頼る事は無いらんこだが今夜限りは大人のあげはに頼るのであった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。