ひろプリに野良猫系キャラを入れてみた   作:獅子河馬ブウ

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今回はギャグをふんだんに盛り込んでおります。


第43話 験担ぎ

スカイランドへ繋ぐゲートが完成した翌日、エルはヨチヨチ歩きで玄関に向かい辺りを見渡して何かを探している様子だ。

 

「プリンセス、今日はお家で遊びませんか?天気予報で言ってましたよ。今日は雨が降るかもって……」

 

すると、其処へツバサがやってきてエルに話しかける。だが、そんなツバサを無視してエルは何かを探す素振りを見せる。

 

「そ、そうだ絵本!絵本を読みましょう!それともお人形遊びが……」

 

「えるっ!」

 

エルは自分の足を指してツバサに訴える。どうやら昨日手に入れた靴が何処にも無い事に気付いてしまったようだ。対してツバサはこの現状をどうやって誤魔化せば良いのか頭を悩ます。

そもそもどうしてこうなったかと言うと、少し前にソラとましろがその靴を持って譲ってくれた女性を探しに家を飛び出したのだ。その為留守番しているツバサはエルに靴が無い事を悟られないようになんとか誤魔化そうとしていたのだ。しかし、今エルは靴のことしか考えておらず、下手な誤魔化しは通用しない。一体どう説明するべきかとツバサは考えていると其処へらんこが2人の元へやってくる。

 

「エル、昨日買った靴は今この家に無いわ。だってソラとましろが持って行ったんだから」

 

「えるっ!?」

 

「ちょ、らんこさん!?」

 

靴の事を誤魔化そうとする筈がらんこがエルに真実を告げたことにツバサは驚きの表情を見せる。エルも折角履こうと楽しみにしていた靴が無い事を知るとショックを受け目から涙が溢れてくる。

 

「えっ、えうっ…」

 

「あわわっ!プ、プリンセス!らんこさんの言った事はタチの悪いj「今その靴はソラ達が靴屋に持って行って履きやすいように調整をしている所よ」…え?」

 

「える…?」

 

泣きそうになるエルをツバサはなんとか宥めようとするがその直前らんこの発言を聞いてキョトンとなる。一方でエルも泣きかけるもらんこの言葉に耳を貸す。

 

「いい、新品の靴は硬いからいきなり履いちゃうと靴擦れを引き起こすの…それだから今ソラとましろは靴屋に行ってエルの履き易いように調整しに行って貰っているのよ。それに夕方にはスカイランドへ行って貴方のお父さんとお母さんにも会えるからちゃんと準備して成長した貴女の姿を見てもらいましょう。だからそれまで私達と遊んでいましょう」

 

「えるっ!」

 

エルはらんこの話を信じるとリビングへ引き返していく。それを見たツバサは深く息を吐く。

 

「はあああ…一時はどうなるかと思いました。それにしても嘘の中に真実を混ぜるとは…」

 

「完全な嘘よりも少し真実を混ぜた方が信じやすいものよ(…まぁ、本当はエルを騙したくなかったけど)」

 

一瞬らんこが靴はソラ達が女性に返しに行った事をエルに明かすのかとヒヤヒヤしたがもののバレずに済んだ事にツバサはホッとする。対してらんこは内心エルを騙す事に心苦しい事もあったが、そこはグッと堪えてエルを誤魔化したのだ。

 

「でもソラさんもましろさんも酷いですよ。僕たちにこんなそんな役目を押し付けるなんて…」

 

「仕方ないでしょ、じゃんけんで決まったんだから。それに仮にこの役目がソラだったら速攻でバレていたでしょうけど…」

 

らんこの言う通りだ。仮にもしソラだったら嘘をつけない体質により速攻でバレることがツバサは簡単に想像でき思わず苦笑いを浮かべる。

 

「でも、これで一安心ですね。後はソラさん達が靴を見つけて来るまでいつもの様にプリンセスのお世話をすればいいだけですから」

 

「……そう上手くいくかしら?」

 

「え、どう言う事ですか?」

 

2人が靴を手に入れるのを期待しているツバサはらんこがあまり期待していない様子を見て不思議に思い詳しく聞く。

 

「疑問に思わなかったかしら…あの人が買おうとするまで私達はエルの気にいるあの靴を見つける事が出来なかったのよ」

 

「そういえば……確かに!」

 

自分達の醜いプライドのぶつかり合いから発生した靴選びバトルにてエルが気に入ったあの靴が見つからなかった事に疑問が生まれる。大抵靴はすぐ売り切れない様に同じ物が幾つかストックされている。

だが、現に自分達はエルの気に入ったあの靴が見つけられなかったのに対してあの女性が買えたのは恐らく前もって予約などをしていたのだろう。

 

「棚には無かったって事はそれだけ人気…または生産中止になって数があまり無いの2択ね」

 

「そんな…も、もし後者の場合は…!」

 

生産中止していたらソラ達が手に入れるのは先ず難しい事だ。そうなれば夕方まで見つからずエルに嘘がバレて大泣きする事が想像出来る。

 

「で、でも!ソラさん達が何処かでプリンセスが欲しがっていた靴を見つけてくれないとプリンセスが泣いてしまいますよ!」

 

靴を入手するのが難しいと思ったツバサはどうすれば良いか慌てふためく。そんな彼に対してらんこはスマホを見せつける。

 

「焦らないの。こういう時は文明の力を使いなさい。こんな時は便利なネットで通販を使えば簡単に見つかるものよ」

 

「な、成る程…(と言うかその手段があるなら最初からしてくださいよ)」

 

らんこの話を聞いたツバサは少し落ち着きを取り戻すも内心彼女にツッコミをいれる。対してらんこはスマホから通販のサイトのアプリを開きエルの靴と同じ物を検索する。

 

「さて、例の靴は……えっ……はあああっ!?」

 

「ど、どうしましたらんこさん!?」

 

突然大声を上げるらんこにツバサは驚きつつも話しかける。

 

「靴はあったわ…でも、馬鹿にならないほどの高さなのよ!」

 

「え、それってどれくら…って、何ですかこの値段は!?0の数が多くありませんか!?」

 

恐る恐るスマホの画面を確認すると其処にはベビー用のシューズとは思えない程の値段に思わず声を上げる。どうやら転売屋がこの靴が人気又は生産が中止されプレミア化しているのを知って買い占めてネットで高く売っているようだ。

 

「ツバサ…一応聞くけどあんたこの靴買うお金はある?」

 

「い、一応僕はヨヨさんからお小遣いを貰っていますが……これを買える程の予算は…」

 

予算は持ち合わせていないと答えるツバサに「そう…」と返事をすると再び自身のスマホに視線を向けるが、その眼差しはいつにも増して冷めている。

 

「これだから転売ヤーは………私達購入者の足元を見て………いっそのこと転売ヤーをプリキュアの力で一掃しようかしら」

 

「えっ!?」

 

転売ヤーに対して物凄い殺意を向けるらんこ、目が本気(マジ)になっている。これなら並行世界で今も世界の悪意を駆逐し善意を満たそうと奮闘しているゼイン(善井正義)もご満悦である。

 

「だ、駄目ですよそんな事をしちゃ!」

 

「冗談よ、冗談……半分だけど

 

「今ボソッと半分って言いましたか?」

 

小さな声だったが"半分"という言葉を聞いてツバサは聞き返すが、よくよく彼女の姿を見ると左手にはミラージュペンを握りしめているのに気付いた。

恐らく先程呟く様に言った半分は本気なんだったんだろうとツバサは理解し、なんとか彼女の意識を逸らそうと話しかける。

 

「と、ところで定価の物はありましたか?」

 

「ん?……あるにはあったけど、送料がそれなりにして買うのに抵抗があるわ」

 

転売価格と比べるとまだマシの方ではあるものの、送料が高い事にイマイチ買う気になれない。だが、此処でらんこはある事に気付いてしまう。

 

(あれ……仮に今から通販で買って今日中に届くの?寧ろ届かない可能性が…!)

 

そう。今通販サイトで購入したとしてその日の内に手に入るとは限らない事に気付いてしまったらんこ。もし、今日中に手に入らなければエルは泣いてしまう。そうなってしまうのはなんとか避けたい。

 

「ど、どうしよう…!」

 

珍しく額に手を当て悩むらんこは何かしら良い案が思い付かないか考える。尚、この時ソラ達が帰りに同じ靴を見つけるという可能性は微塵も考えていなかった。

一方で隣かららんこのスマホを覗くツバサは何かに気がつく。

 

「あれ、ちょっと待ってくださいその出品者の住所は見覚えありませんか?」

 

「住所?……あっ」

 

ツバサの指摘された住所の欄にらんこは視線を向けると声を上げる。

 

─────────

 

それから数時間が経過し、ツバサは遊び疲れたエルを寝かしていると玄関の扉が開いた音に気付き玄関に行ってみると、ソラとましろが帰ってきたのだ。

 

「ただいま帰りましたー!」

 

「ツバサ君、お留守番ご苦労様」

 

「お二人共お帰りなさい…って、その袋は?」

 

2人の様子からして恐らく靴を譲ってくれた女性にあって靴を返す事が出来た事を察するが、空の手に持つ紙袋が気になって指摘する。すると、指摘された事に2人は笑みを浮かべる。

 

「ふふん、実は同じ靴を手に入れる事が出来たんですよ!」

 

「えっ!?」

 

ソラはジャーンと口に出しながら袋から自分達が女性に渡しにいった同じ靴を取り出した。ツバサはそれを見て内心驚きつつ、手に入った事に安堵の気持ちとなる。

 

「あ、ああ…あったんですかその靴……」

 

「うん、空港の帰りに何件も探してみたんだ」

 

「そしたら三件目に同じ物があったので買いました」

 

詳細は省くがソラとましろは女性に靴を渡し、更には空港へ連れて行った帰りに靴屋を何件も回った所漸く同じ物を見つけたそうだ。しかし、ツバサはある事を思い出して複雑そうな表情を浮かべる。

 

「ツバサ君…なんだか嬉しくなさそうだね」

 

「へっ!?あ、いやいや!嬉しいですよ!それは…勿論…!」

 

何やらぎこちない様子のツバサにソラとましろはじっと見つめるが、ここでましろは周囲を見渡して何かに気づく。

 

「あれ、そう言えばらんこちゃんは?」

 

「そう言えば先程から見かけませんね……」

 

ましろの指摘にソラも先程かららんこが一向にやって来ない事に疑問を浮かべる。自分達が例の女性を探しに行っている間ツバサと2人で留守番するという事になっていたのだが玄関にやってくる様子はなく、更には彼女の靴も見当たらない。

 

「ああ…その、らんこさんなんですが──」

 

らんこは今何処にいるのか答えようとしたその時だった。玄関の扉が勢いよく開き、3人は反射的にそちらへ向く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぜぇ…ぜぇ…!今、帰ったぁ…はぁ、はぁ、わぁ……!」

 

「「つ、ツイスター!?」」

 

そこには全身汗だくで息を切らして何かが入った袋を持ったキュアツイスターが虹ヶ丘家の玄関扉に入ってきたのだ。そんな彼女の姿を見てソラとましろは驚きの声を上げる。

 

「どうしたの!?なんで変身しているの!?しかも無茶苦茶疲れているし!」

 

「ま、まさか、アンダーグ帝国の手の物に襲われたんですか!?」

 

疲労困憊の彼女を見てソラはらんこが1人でアンダーグ帝国と戦っていたのかと思い込んだ。

 

「ち、違うわよ…わ、私はぁ……く、靴を…買いにぃ……い、行ってたのよぉ……」

 

「「え、靴を?」」

 

予想外の発言にソラとましろの目が点になる。そして、そんな彼女にツバサは水の入ったコップを渡すと一気に飲み干し深く息を吐く。

 

「プハァーッ……それで靴が売っていた場所がおいしーなタウンだったのよ」

 

「えっ、おいしーなタウン?」

 

ソラとましろは彼女がおいしーなタウンに行ってきたと知ると先程の汗だくの姿を思い出し恐る恐るましろが話しかける。

 

「ま、まさかツイスター…乗り物使わずに走って行ってたの?」

 

「ええ、そのまさかよ」

 

なんと先程の靴の出品者の住所はおいしーなタウンであった事を知ったらんこはバス代又は電車代をケチってプリキュアの有り余る体力を使って全力で走って買いに行っていたようだ。お陰でプリキュアにも関わらず物凄く疲れていたのは納得がいく。

 

「な、なんでしょうか…プリキュアの力の使い所が間違っているような……」

 

「ま、まぁ…私達もおばさんを空港へ連れていく際に使っていたから其処まで強く言えないよ……」

 

ツイスターがプリキュアの力を運賃を節約する為に使った事に頭を悩ませるソラ、対してましろは先程人助けとはいえ正体を露見させただけで無くタクシー代わりに女性を運んだ事もあってか強く言えなかった。

尚、余談ではあるが某トロピカル〜なプリキュアも仲間の枕を届ける為に変身して電車を追いかけたから問題ないはず。

 

「さぁ遠慮はいらないわ。この靴を受け取りなさい」

 

「「「え、あ…そのぉ〜」」」

 

文字通り汗水垂らして手に入れた靴を3人に突き出すらんこだったが、3人が気不味い表情を浮かべている事に気がつく。

 

「……何よその顔は?」

 

「あ…うん。あ…アリガトネー…」

 

ツイスターから靴を受け取ったましろだったが片言でお礼を言う様子にツイスターは彼女に怪しむ眼差しを向ける。

 

「ツイスター…いえ、らんこさん…おいしーなタウンに態々買いに行ってくれたのは本当にありがとうございます」

 

「どうしたのよ…急に改まって?」

 

ソラもツイスターにお礼を言いつつも何やら申し訳なさそうな表情を浮かべている事にツイスターは訝しむ。すると、ツバサが咳払いをしてツイスターに視線を集中させる。

 

「その……大変申し訳ないんですけど…ソラさん達が帰りに運良く靴が買えたみたいなんです」

 

「……え?」

 

ツバサの発言を聞いてツイスターは思わず身体が固まる。そんな彼女に現実を突きつけるかの様にソラが持っていた袋からツイスターが買った靴と同じ靴を取り出した。

 

「なん…ですって…!?」

 

ソラが手に持つ靴を見て思わず床に膝をつくとショックのあまり変身が解ける。

 

「態々変身して…遠出したのに…!」

 

「その…なんと言っていいのやら」

 

彼女もエルが泣かない様にする為、態々遠出して靴を買いに行った事にどんな声をかければいいからソラ達は思い悩んだ。すると、突然らんこはハッとなり何かを思い出した様子だ。

 

「あ……そ、そうよ!靴に集中して忘れていたわ!」

 

「「「ん?」」」

 

そう言うと彼女は靴が入っていた袋に手を突っ込むとそこから更に紙袋を取り出した。

 

「らんこちゃん…それってなに?」

 

「実はおいしーなタウンの中華エリアにフォーチュンクッキーがあったから買ってきたのよ」

 

「「ふぉーちゅんくっきー?」」

 

フォーチュンクッキーを知らないソラとツバサは思わずオウム返しをする。それと同時にらんこの脳裏にとある声が響いてきた。 

 

『夜空にきらめく希望の星!キュアフォーチュン!』

 

……誰だコイツ? 

 

今らんこの脳裏に聞こえてきた声。それは幸運の名を持つプリキュアなのだが、らんこはそんな彼女の声を無視して二人へと説明をした。

 

「要するにクッキーの中におみくじが入っている物でそのクッキーを齧った人の運勢が決まる遊び心ある食べ物よ」

 

「クッキーにおみくじが…面白そうですね!」

 

「へぇ〜、この世界にはそういう物もあるんですね」

 

ソラとツバサフォーチュンクッキーに興味津々な様子だ。クッキーの中におみくじが入っている斬新さにどうやら惹かれたようだ。

 

「でも、なんでフォーチュンクッキーを買ってきたの?」

 

「これから行くのはスカイランド……ソラ達の世界だとしても私とましろにとっては未知なる異世界よ。初めてこの世界に来たソラみたいに私達の常識は通じなかったり危険な目に会うかもしれないわ。他にもこれからのアンダーグ帝国との戦いに向けて買ってきたのよ」

 

どうやらこれから向かうスカイランドや激しくなるであろうアンダーグ帝国との戦いに向けて験担ぎとして買ってきたようだ。それを聞いてソラは感心した表情を見せる。

 

「成る程、カバトンがエルちゃんから手を引きましたがまだキメラングや他にもアンダーグ帝国の手先がいますし、そう考えると自分達のこれからの運を試した方が良さそうですね。運も実力の内と言いますしね」

 

「そう言う事よ。一応クッキーは4枚買ってきたからそれぞれ運試しも兼ねて食べましょう」

 

そう言うとらんこはソラ達にクッキーを配ると早速ソラとツバサとましろはクッキーを齧ると中に入っているおみくじを取り出して確認する。

 

「おお!これは中々良いです」

 

「あ、僕も良い感じです」

 

「私は……うーん、普通かな?」

 

3人はそれぞれ反応を見せる。見た感じソラ、ツバサ、ましろの順で良さげな結果の様だ。

 

「どうやら3人とも中々良さそうね…なら、私もそれなりに期待は出来そうね」

 

先におみくじを引いた3人を見てらんこも続いてクッキーを齧って中のおみくじを取り出そうと手を伸ばすが直前で手を止め、更には目も動揺している。

 

「らんこさん…どうされたんですか?」

 

「まさか、食当たりですか!?」

 

急に動きを止め目の様子がおかしい事からソラとツバサは彼女のクッキーだけ傷んでいたのかと不安になる。

 

「ち、違う…おみくじの色が……白いのよ」

 

「「「白…あっ」」」

 

3人はらんこの発言を聞いて思い出す。彼女は現在白い物に対して恐怖を抱いている。その為、彼女は自身のクッキーから白のおみくじを取り出すのを躊躇している。

 

「……ましろ……読んで」

 

「うん、いいよ」

 

半分に割れたクッキーをましろに突き出すと彼女は拒否する事なくクッキーを受け取るとおみくじを取り出す。

 

「それで…なんて書いてあるの?」

 

「えっと……言った方が良い?」

 

何やららんこのおみくじを見て複雑そうな顔を浮かべるましろ。それを見たらんこはましろを訝しむ。

 

「なんで勿体ぶるのよ…良いから早く言いなさいよ。私はあくまでも験担ぎとしてしか思っていないから結果についてはそこまで真に受けないわ」

 

「そ、そう?…じゃあ、言うよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旅行すると不幸な目に遭うでしょう

 

「……え?」

 

ましろの言葉にらんこは固まるも彼女は続けておみくじを読む。

 

動物に蹴られたり、感電したり、飯マズにあったり、過酷な労働を強いられたり、その他大怪我するって書いてある……」

 

「な、何よそれ…!?」

 

フォーチュンクッキーでゲン担ぎをするつもりが自身の最悪な運命を決定づけられた事に顔が青ざめる。 

そんな彼女に追い討ちをかけるようにまた脳内に声が響いた。 

 

『大凶〜』

 

『うははっ!なんてツイて無い奴オニ〜!』

 

こんな風に脳内で煽られればらんこも苛立つわけで、すかさず大声で反論。 

 

「うっさいわね!わざわざ言わなくてもわかるわよ!」

 

ただ、脳内の声に対してらんこは怒ったのでソラ達視点ではらんこがいきなり一人で怒り出したように見えていた。

 

「らんこさん、いきなり叫んでどうしちゃったんですか!?それにましろさんもほ、本当にそんな事が書いてあるんですか!?」

 

「幾ら何でもそんな不幸の連発なんて……読み間違い…じゃ無いんですかね?」

 

ソラとツバサもましろに寄り何かの間違いなのではと問い詰めるがましろも辛そうな表情を浮かべながらソラ達におみくじの内容を見せると2人は衝撃を受ける。

 

「こ、これは…!」

 

「ひ、酷い…酷すぎます!」

 

おみくじを見たソラとツバサは先程のましろの読み上げた内容は事実無根であると理解せざる得なかった。と言うよりも何故らんこのおみくじだけここまで具体的過ぎる内容なのかその場にいる一同はその事に関して気づかなかった。

 

「ま、待ちなさい!こ、こう言うのはラッキーアイテムとか色とかがあるのが相場よ!よく見なさい!絶対ある筈…だから…!」

 

自分のおみくじの内容があまりに酷すぎて涙を浮かべるらんこ、先程彼女はおみくじの結果は真に受けないと言っていたが完全に受けている。そんな彼女に対して3人は流石に不憫に思い、おみくじを再度確認する。

 

「え、えっと…あ、あったよ!…えっ!?」

 

「……最後えって言ったけど、何かあったの?」

 

おみくじに幸運のアイテム又は色を見つけた様子だが何やら最後のましろの発言に嫌な予感を覚える。だが、此処で聞かないとこの先自分はおみくじの内容の通り不幸な目に合うと思い込むらんこは聞かざる得なかった。

 

「えっと、あるにはありましたよ…ラッキーカラーが…」

 

「でも、言って良いんでしょうか?」

 

「なんでそこでももったいぶるのよ!?良いから言いなさいよ!」

 

ラッキーカラーについて明かそうとしないソラとツバサにらんこは怒りながら催促する。彼女としてはそのラッキーカラーしか自分の不幸の連鎖を止める物だと思い込んでいる為、早くその色について知りたかった。

 

「じゃ、じゃあ言うけどあなたの幸運の色は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だって」

 

「し、しろおおおおおっ!?」

 

よりにもよって現在トラウマカラーとなっている白が己のラッキーカラーと聞いてらんこはショックのあまりに顔が青ざめ、床に倒れる。

そんな彼女を見てソラはフォローを入れる。

 

「だ、大丈夫ですよ!ほら、ましろさんが変身するキュアプリズムだって白の衣装を纏っているから全然大j「ああああああっ!!!?敢えて其処だけはスルーしていたのになんで指摘するのよぉぉぉぉぉぉっ!!!」えええっ!?そ、そうだったんですか!?」

 

良かれと思って言った事がらんこにとって一番自覚したくなかった事にソラはまた自分の行いが裏目に出たことに動揺する。

 

「ああああ…最悪…プリズムが駄目なら並行世界にいるユキだって髪が白かったし…変身した姿はプリズムと比べればそこまで白く無いけど…仮に今あの子に会ったら失神する自信があるわ」

 

「そ、そんなにですか?」

 

此処とは違う世界のらんこの友達であるユキの髪色やキュアスノーの色合い的にも今の彼女にとって苦手意識があった。その為、再会して自身がユキに対して恐怖を見せたら彼女が悲しむ。らんこはそれだけは避けたいと強く願った。

因みにどうでも良い補足だが昨日の夕飯にてソラ達が白飯を主食とする中らんこは特別にカレーピラフを作って貰った。

 

「ねぇましろ、プリズムの衣装って色変えられない?あんたは白も良いけどピンクもきっと合う…いや、絶対似合っているから!」

 

「ど、努力してみるよ」

 

らんこの無茶振りにましろは無理と答える事が出来なかった。何故なら彼女が必死な形相で訴えているのだから下手に断る事が難しく取り敢えず返事だけはした。

そして、ソラはそんなやり取りを見て先程の自分の指摘により余計な苦悩するらんこに恐る恐る自身のおみくじを差し出した。

 

「その……らんこさんお詫びという程ではありませんが良かったら私のおみくじと取り替えっこしましょうか?」

 

「ソラ…その気持ちだけは頂くわ」

 

ソラの親切心に思わずらんこの目からホロリと涙が流れる。そして内心らんこはフォーチュンクッキーを買わずにらんのパンダ軒に寄って食べ損ねたパンダ麺を食べれば良かったと深く後悔するのであった。

 

─────────

 

それから夕方になるとあげはが虹ヶ丘家へやってきて、寝ていたエルも起きて靴を履いていた。

 

「えるぅ!えるぅ!」

 

「お似合いですよプリンセス!」

 

お気に入りの靴を履けて上機嫌に笑顔を浮かべるエルを見てツバサも嬉しそうな顔を浮かべる。そんな彼のではあげはがソラに小声で話しかける。

 

「それにしてもあの靴って結構人気な奴でしょ?よく手に入ったね」

 

「ま、まぁ、靴を手に入れるのも大変でしたが…その後も大変でしたよ」

 

あげはの質問に対して苦笑いを浮かべながら答えるとソラ。

因みに今エルの履いている靴はらんこの買ってきた物である。あまりにもらんこが不憫すぎるが故にせめてものの彼女の行いを無碍にしない様にソラ達は彼女の靴をエルに差し出したのだ。尚、ソラとましろの購入した靴は下駄箱に大事に仕舞っている。

 

「大変な事?…それって今のらんこちゃんに関係ある奴だったりする?」

 

あげははそう言ってチラッとソラの隣にエルの姿を眺めるらんこに視線を移すが、其処にいる彼女は普段と異なり何やら首にアクセサリー…では無く複数のお守りが掛けられていた。健康祈願、無病息災、交通安全、旅行安全…etcなど色々な物があった。

 

「その…らんこちゃん気になっていたんだけど……その沢山のお守りはいったいなに?」

 

何故えげつない量のお守りを首に引っ下げているのあげはには疑問しか無く恐る恐る彼女に聞いてみる。

 

「……これから向かうのはスカイランド、謂わば異世界だから私達の知る常識とは異なっているかもしれないからこうやって一応お守りを身につけているのよ」

 

「だ、だからと言ってちょっと…いや、結構欲張り過ぎない?」

 

幾ら用心しているとはいえあまりにも多くのお守りを持っているのは違和感しか無くあげははもう少し数を減らした方が良いとらんこに勧めた。

 

「いや、これでも数は少ないわよ。外国に行くのならまだしもこれから向かうのは異世界。何があってもおかしく無いわ……ひょっとしたら誤って街の裏通りに出てモヒカン達がカツアゲしてくるかもしれないし」

 

「ちょ、ちょっとらんこさん!スカイランドはそんな治安の悪い所ではありませんよ!」

 

らんこの発言に聞き捨てならないソラはスカイランドは治安の良い場所であると説明する一方であげはましろとツバサに話しかける。

 

「ね、ねぇ、ましろんツバサ君…私が此処を半日も離れている間らんこちゃんに何があったの?」

 

「「そこはあまり聞かないで(下さい)!」」

 

「え、ええ……むっちゃ気になるんだけど」

 

ましろとツバサはあのおみくじの内容を巡って大変な思いをした為、あまり思い出したくなかった。対してあげはも気になるが、らんこのあの様子からしてあまり言及しない方が良いと決め、それ以上の追求はしない事にした。

 

それから数分が経過し、一同は荷物の準備をするとヨヨの部屋に訪れる。そこにはヨヨといつでもスカイランドに繋がるトンネルが開ける様にミラーパッドがテーブルに置かれてあった。

 

「皆んな、準備は良いかしら?」

 

「はい…ヨヨさん、本当にお世話になりました」

 

「僕もこの1年間、色々とお世話になりました」

 

こちらの世界にやってきて自分達の衣食住など色々手配をしてくれた事にソラとツバサはヨヨに感謝の言葉を送る。

 

「あの…ヨヨさん……一応確認なんですけど、ちゃんと出口の場所は設定してありますか?」

 

「勿論よ。あれから王様と王妃様と相談して皆さんに直接お礼が言いたいとの事だからトンネルの出口は謁見の間に設定しておいたわ」

 

「そう…それなら安心ね」

 

出口の場所が謁見の間だと分かるとらんこは胸を撫で下ろす。これで急にミラーパッドが不具合を起こさない限り出口の場所はずれたりしないだろう。

 

「じゃあソラさん、あなたがボタンを押して」

 

「はい」

 

ヨヨに言われてミラーパッドのボタンを押すとスカイランドへ繋がるトンネルの入り口が出来上がる。

 

「じゃあ、みんなお土産よろしく!」

 

「気をつけて行ってらっしゃい」

 

「「「「はいっ!」」」」

 

4人はあげはとヨヨに返事を返すとそれぞれトンネルを通っていく。だが、らんこだけは直ぐに入らず少し考え事をしていた。

 

(何はともあれ、此処から先はスカイランド…まぁ、警備がしっかりしているお城に繋がっているんだから出て早々トラブルとかは起きないわよね)

 

ヨヨからちゃんと出口の場所を聞いたらんこは心が軽くなっている

 

(それに……よくよく考えたら所詮はおみくじ、たかが紙切れ1枚に翻弄されるなんて私らしく無いわね)

 

そう考えたらんこは首に下げてあるお守りを全て外すと、あげはに駆け寄るとあげはにお守りを差し出した。

 

「あげは姉さん悪いけど、このお守りを受け取ってくれる?」

 

「え、良いの?らんこちゃん」

 

突然お守りを渡してくるらんこに思わずあげはは聞き返した。詳しい事情は知らないがこのお守りはこの先向かうスカイランドに必要な物なのではと思ったが、らんこは首を横に振る。

 

「ううん、私がお守りやその時引いたおみくじなんかに縛られるのはらしく無いと思ったからもう要らないわ」

 

「え、おみくじ?」

 

何やら気になる事を言ったらんこにあげは気になるが、今の彼女はとてもいい表情をしている為、聞かない事にした。

 

「そう言う訳だから、そのお守りの処分はお願いね」

 

「うん、よく分からないけど…わかった!その代わり良いお土産を期待しているよ」

 

あげはは嫌な顔をせず大量のお守りを引き受けるとらんこは先にトンネルを通っていたソラ達を追いかける為、彼女もトンネルへ入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、うげぇ〜…こ、腰が…!」

 

「あああああっ!?早速やらかしちゃったあああああああっ!?」

 

しかし、お守りを雑に扱ったバチが当たったのか、若しくはおみくじの所為なのかスカイランドへ来て早々王様の腰にヒップドロップをしてしまったらんこはムンクの叫びの如くショックするのであった。

 

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