ひろプリに野良猫系キャラを入れてみた   作:獅子河馬ブウ

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今回も物語があまり進んでいないにも関わらず一万字超えしてしまいました。


第46話 試験による事故

遡るのは数十分前の事、ソラがシャララに案内されてやってきたのは青の護衛隊本部。其処の一室に入ると数十人の隊員たちの姿があった。

 

「隊長にっ!」

 

その部屋にいた大柄の男性…アリリ副隊長は隊員達に指示を出すと隊員達はシャララに向かって右腕を胸に当てる。

 

「見習いの隊員を紹介する」

 

「ソラ・ハレワタールです!シャララ隊長に憧れてヒーローを目指しています!王様にお願いして皆さんの仲間にしてもらえる事になりました。未熟者ですが、一生懸命頑張ります!よろしくお願いします!」

 

「そうかこれからよろし……ん?」

 

アリリはソラを歓迎しようと声をかけるが先程のソラの紹介の中で何やら聞き捨てならない台詞があった。それは王様にお願いしたという事だ。つまり彼女はコネで入った事になる。

恐る恐る後ろにいる隊員たちに視線を移すと隊員たちも気付いたのかとても気不味そうな表情を浮かべる。

 

(だがどうする?見た感じシャララ隊長はそれを承知している…副隊長の俺が指摘して良いのか…!)

 

変に指摘してシャララに小言を言われたら溜まった物じゃ無い。副隊長という中間管理職を担う彼は上司のプレッシャーや隊員達の期待などが集中していつも胃を痛める。

一体どうすれば言いかと悩んでいると赤髪の少女が口を開く。

 

「……まだ子供じゃないですか。しかもコネで入隊って…」

 

「く、口を慎めベリィベリー」

 

自分の言いたい事を代弁するベリィベリーに対してアリリは内心感謝しつつ注意をする。

一方でベリィベリーは続けて口を開く。

 

「どうせ別の世界に行ってプリンセスを救ってきたなんて…護衛隊に入りたくて嘘をついているのかも」

 

「わ、私嘘なんて…!」

 

「ベリィベリー新入りに喧嘩を売るな!」

 

実力を疑われるソラ、しかしそんな事を言われても仕方ない。青の護衛隊はスカイランドで実力ある者達が集っている。その中に実力がわからない者を入れるのは他の隊員達も不満である。そんな雰囲気に気が付いたアリリはベリィベリーにこれ以上余計な事を言わないように止めようとする。

 

「確かにベリィベリーの意見も一理ある……ここにいる者は全員過酷な試験を乗り越えてきた。その中で実力が疑わしい者を特別扱いするのは私も気が進まない」

 

「しゃ、シャララ隊長!?」

 

「ええっ!?た、隊長!?」

 

「フッ……」

 

先程己を歓迎してくれる雰囲気を出していたシャララが真逆の意見を言った事にソラは衝撃を受ける。一方でアリリは折角場を鎮めようとしたのにシャララが余計に事態を大きくした事に困惑し、ベリィベリーはソラの様子を見てほくそ笑む。

 

「よってソラの実力を確かめる為、これから模擬戦を行う。戦う相手は……ベリィベリー、お前が相手をしてやれ」

 

「わかりました」

 

ベリィベリーは返事をするとソラに近づき彼女の肩に手を乗せる。

 

「ついてこい。仕方ないけど構ってあげる」

 

「……望む所です」

 

完全に馬鹿にしている様子のベリィベリーを見て流石にソラもカチンときたのか対抗心を見せる。

それからソラとベリィベリーそしてシャララ達と共に訓練所に移動して模擬戦を行う事になったのだ。その際にソラはその場にあった武器を選ぶ事無く素手で戦う事を選び、ベリィベリーを更に苛立たせる事になる。

 

「らんこちゃんの言った通りになっている!?」

 

「そ、そんな馬鹿なぁっ!?」

 

「だから言ったでしょ?こう言うのは異世界ではあるあるなのよって」

 

そして2人の戦いが始まったくらいにらんこ達は訓練所へ訪れたのだ。

 

「「はああああああっ!!!」」

 

戦いが始まると互いに距離を詰め拳と蹴りをぶつけ合うもどちらも攻撃を防御する。そんな時、ベリィベリーのグローブに付いた宝石が光るとそこから電撃が発生する。

 

「はあっ!」

 

ベリィベリーが発生させた電撃を右手に纏うとソラに向かって手刀を繰り出す。それに対応する形でソラは避けてすかさず正拳繰り出すが、ベリィベリーは大きく後ろへと飛びソラとの間合いを開ける。

 

「武器を選ばなかった事を…後悔すると良いっ!」

 

ベリィベリーが再び電撃を発生させるとそれを球体状に形成。ソラに向かって放つ。対してソラは迫り来る電撃球の弾道を見切り避けるとベリィベリーとの距離を詰めながら飛び蹴りを放ち、彼女はソラの蹴りを腕を交差させて防いだ。

 

「ええええっ!?手から電気を出したぁっ!?」

 

「ま、魔法よ!手から雷魔法を出したわよ!」

 

戦いの様子を見ていたましろとらんこはベリィベリーの放つ電撃を見て興奮していた。特にらんこはスカイランドにやってきてあまり良いことが無かったから目の前の魔法(仮)を見て正に異世界へきたのだと改めて実感を覚えたのだ。

 

『今、魔法って言いました!?ワクワクもんだぁ!』

 

誰だコイツ?

 

「いえ、あれは恐らくあの人のグローブに嵌められているスカイジュエルのエネルギーを利用して電撃を出しているのでしょう」

 

「え、スカイジュエルってそんな事も出来るの!?」

 

「唯のエネルギー資源じゃなかったのね…」

 

またらんこの脳内に知らない誰かの声が過ぎるもツバサからベリィベリーの放つ電撃の仕組みの説明を聞いて、らんことましろはスカイジュエルの万能さに驚く。

 

「あれ…もしかして今あの人が電撃を放つ様に他にも炎や水も使えたりするの?」

 

「その通りです。何せスカイジュエルはこの世界の生活には欠かせない資源でもあり、色々と応用に効くんです」

 

「へぇ…種類によって他にも出せるなんてRPGゲームみたい……ん?」

 

目の前の光景に興奮していたが冷静に考えてみるとベリィベリーは電撃を操るグローブに対してソラは素手で特に防具とか身につけていない丸腰である。

 

(あれ、もしかして……ソラって今割と危ない状態?)

 

もし、あんな電撃を浴びたら大怪我を負ってしまうのでは不安を抱いた。

 

(いや…これはあくまで模擬戦よ。そんな大怪我をする様な事をしない筈。電撃出しているあの人も精々身体が痺れるくらいの出力でやっているに違いないわ…)

 

これは模擬戦だから大丈夫と己に言い聞かせていると、再び2人の戦いを視界にいれるが、彼女の思いを否定するかの様にベリィベリーがソラに向かって電撃を放つとソラが近くに刺さっている剣を投げ、それが電撃に当たり爆散する。

 

「って、思いっきりあっちは殺る気満々じゃない!?」

 

「うわああああっ!?剣が爆発したよぉっ!?」

 

爆散する剣を見てらんことましろは顔を青ざめながら声を上げる。あんな電撃を身体に浴びたら大怪我を負ってしまう。

 

「そ、そもそも何でこうなったんですか?」

 

「ああ、実は…」

 

ツバサは恐る恐る側にいたアリリから事の経緯を聞いた。

こうして、アリリはシャララがソラを連れて宿舎へ訪れると隊員達に紹介するが、ベリィベリーがソラの実力を疑いコネで入ったのだと言いがかりをつけられてソラの実力を示す為に模擬戦を行う事になったと三人へ説明する。

 

「ええ…らんこさんの予想と全く同じ事が起きているじゃ無いですか」

 

ツバサは此処へくる途中でらんこが予想した事をフィクションである話だからそんな事起きやしないと言ったが、実際に起きてしまったことに頭を悩ませる。

一方でアリリもベリィベリーの言動を思い出しながら呆れた表情を浮かべる。

 

「全く、ベリィベリーにも困ったものだ。別の世界からプリンセスを救った事を嘘呼ばわりするとは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はあっ?…ちょっとそれはどういう意味よ?」

 

「「ら、らんこちゃん(さん)?」」

 

「え?」

 

「…ん?」

 

先程までましろと同様に慌てふためいていたらんこだったが、アリリの発言に表情を一変させるとアリリへ睨みながら詰め寄る。対してアリリも突然睨んでくるらんこに困惑の表情を浮かべる。

一方で先程まで模擬戦を眺めていたシャララはらんこに視線を向ける。

 

「あんた…さっきなんて言ったの?ソラの今までやってきた事は嘘だって言いたいの?」

 

「い、いや…俺は別に……」

 

睨みながら詰め寄ってくるらんこにアリリは否定しようとするが、あまりの気迫に思わず言葉が詰まってしまう。

 

「それにアレを見なさいよ!剣が爆発するくらいの威力よ!あんなのまともに受けたら火傷だけじゃ済まないわよ!」

 

らんこの言う通りベリィベリーの電撃は威力が高く、下手に受けたら大怪我を負ってしまうだろう。そして今戦っているソラは電気対策をした防具やアイテムを装備していないのだ。そんな状態で受けたら本当に洒落にならないだろう。

 

「い、いや、そんな事俺に言われてm「あんた見た感じ此処の責任者なんだからなんとかしなさいよ!」ぐえっ!?」

 

「ら、らんこちゃん!?」

 

「そ、その人は副隊長ですよ!」

 

怒りがヒートアップするらんこはアリリの胸倉を掴むとその巨体を激しく前後に揺らす。それを見てましろとツバサは慌てふためく。

 

「おい!アリリ副隊長を離せ!」

 

「幾ら客人とはいえ限度があるぞ!」

 

それを見た隊員達はそんならんこの暴行を止めようと駆け寄ってきた。

 

「うるさいっ!!!止めないあんた達も同罪よっ!!!」

 

『ぎゃあああああっ!?』

 

近づいてくる隊員達に対してらんこは揺らしていたアリリを突き飛ばして転ばせ、足を掴むとその巨体を利用しジャイアントスイングを繰り出して隊員達を纏めて一掃する。

 

「ああああああっ!?ら、らんこちゃんなんて事をするのっ!?」

 

「あ、青の護衛隊が…全滅…!?」

 

らんこの凶行にましろは顔を青ざめ、ツバサも世界で一番強いと称される青の護衛隊が倒された事にショックを受ける。そして、2人は恐る恐るシャララの顔を覗く。目の前で自分の隊員達がやられたんだきっとその顔は怒りに満ち溢れ───。

 

「ほう…アリリや残りの隊員達を倒すとは…凄まじい力だな」

 

「「あれ、意外にも好感触!?」」

 

──ていなく、寧ろらんこの事を評価していた。目の前で自分の仲間がやられたというのにシャララが顔色を一つも変えないことにましろとツバサは困惑の表情を浮かべる。

一方でシャララはらんこをじっと見つめる。

 

(まさか、アリリの巨体を振り回すとは……中々の力を持っているな)

 

背丈はソラやましろとほぼ同じくらいで見た感じあまり鍛えて無さそうにも関わらず大柄なアリリの身体を振り回した事に関心を覚える。

だが、同時に彼女はらんこのとある変化に気がついたのだ。

 

(……先程アリリの言葉に反応した時、一瞬だが目が光ったような…)

 

そう、それはシャララの思う通り先程らんこが一瞬ではあるものの、アリリの発言を聞いた時僅かであるが瞳の色が緑に光ったのだ。

 

(ひょっとして先日ワシオーンが襲いかかったのと関係があるのか?)

 

先程らんこの身に起きた現象に先日のワシオーンが怯えた事と何か関係があるのではと考える。

一方でらんこはシャララからそんな評価を受けていることを知らず残りの隊員達を気絶させるとソラを応援する。

 

「ソラ!ブルーベリーだか、ラズベリーだかなんだか知らないけどそんな奴さっさとやっつけなさい!って言うか危ないからせめて変身ぐらいしときなさい!!!」

 

「ちょ、らんこちゃん!?」

 

「なに煽っているんですか!?」

 

隊員たち倒したにも関わらずまだ彼女の腹の虫が治らないのか、らんこは戦っているソラ達に向かって煽る。

 

「五月蝿い外野だな…ん……はあっ!?」

 

らんこの声が疎ましく思ったベリィベリーは一瞬視線を彼女に移すも直ぐにソラに視線を戻すが、らんこの側で死屍累々の様に倒れる青の護衛隊を二度見ではなく三度見して驚愕の表情を見せる。

 

「お、おいお前!私の仲間に何をした!?」

 

「ベリィベリーさん何を…って、ましろさんにツバサ君にらんこさ…って、あああっ!?ら、らんこさん何しているんですか!?」

 

らんこの側に倒れるアリリを含めた同僚達を見てベリィベリーは彼女に向かって大声をあげる。一方でソラはらんこ達の存在に漸く気付いたが、ベリィベリーと同様にらんこのやらかした惨状に驚愕の声を上げる。これは戦っている場合じゃ無いと判断した2人はらんこの元へ詰め寄ろうとした。

 

「待てベリィベリー、ソラ。お前たちは戦いを続けろ」

 

「「え?」」

 

しかし、シャララは2人にまだ戦いが終わっていないことを指摘して直ぐに戦いを再開する様に促す。

 

「「で、ですが隊t「続けろ」…はい」」

 

目の前の惨状に戦い所では無いと2人はシャララに言おうとしたが、彼女から発する気迫に負けて2人は再び向き合うと戦いを再開する。

 

「くっ、おい!お前は彼奴の知り合いか!?一体なんなんだ彼奴は!?」

 

「そ、そんな事私に言われましても…!」

 

戦いながらも2人の脳裏には先程の光景が未だに鮮明に残る…というよりも今も視界の端にチラチラと惨状が広がり戦いへ集中が出来なかった。

 

(でも、本当にらんこさんが護衛隊の皆さんを…?幾ら何でもスカイランドの精鋭をプリキュアに成らず全員倒すなんて……)

 

あり得ない…そう思いかけた時、ソラはある事を思い出す。それは以前彼女がらんこのアップルパイを食べた事を暴露した際に怒ったらんこがソラに関節技を決めたのだ。その時普段の彼女から想像も出来ない力で腕を痛めたのだ。初めて会った時はそこまでの力は無く、彼女達と友達になった際に感激のあまり手を強く握ったら物凄く痛がってたりと反応には差があった。特に最近は自分達を別世界の戦士ゼインから守る為に見せたあの気迫と彼女が発生させた大型の台風を思わせるような風などチラチラと異常な事も見られる。

 

(もしかしてらんこさんは修行を…)

 

修行をしたと考えたが直ぐにそれは違うと否定する。らんこは数ヶ月の付き合いだがそれでも彼女は自分から進んで修行や鍛錬をする様な人間ではないと理解していた。それなら何が原因なのか。

 

(もしかして……プリキュアになったから…?)

 

プリキュアになった事で彼女の身体能力が上がったのだと考えたが、それなら先に変身したましろにも身体に影響が出る筈だ。だが、彼女と共に生活をしているがプリキュアになる前となった後と特に身体能力が上がった様子はなかったのだ。

 

「なら、一体何g「私との戦いに考え事か…ふざけた奴だ!!!」っ!」

 

ベリィベリーの怒声にソラはハッとなる今のベリィベリーは今まで以上に敵意剥き出しの顔でソラをにらんでいた。先程までソラは考え事をしていた中ベリィベリーは電撃を連続で放っていたのだが、考え事をしているにも関わらず全てソラは避けてしまい、それでベリィベリーの癇に触ったのだ。

 

「そんなに考えていたければ……ベットの上で考えていろっ!!!」

 

「待てベリィベリー!それ以上出力を上げるな!」

 

シャララが流石に不味いと気付き止める様に言うが時既に遅くベリィベリーは今まで以上に電撃を貯めるとそれを一気にソラに向かって放出した。

 

「ソラちゃん!」

 

「その威力を受けるのは不味いです!」

 

「避けなさいソラ!」

 

「くっ!」

 

放たれた電撃は飛んでくる威力を上げて迫り来る雷撃に気付いたソラは跳んで避けるとその後ろに刺さっていた剣に命中する。

だが、此処でアクシデントが発生する。この訓練所にあちこちに剣が地面に刺さっており、電撃を受けた剣が爆散するとその近くに刺さっている別の剣へと伝達して爆散を繰り返しらんこの側に刺さっていた剣まで電撃が飛んでいく。それに気付いたソラがらんこに向かって叫ぶ。

 

「らんこさん危ない!!!」

 

「え?」

 

ソラの声に気付いたらんこだが、既に遅く彼女の側にあった剣が爆散すると電撃が彼女に襲い掛かる。

 

「な、きゃあああああああっ!?」

 

「「「らんこちゃん(さん)‼︎」」」

 

電撃に気付いたらんこはその場から離れようとしたがそれよりも早く電撃が彼女の右腕に命中して電撃による激痛でその場に倒れる。それを見たましろとツバサ、戦っていたソラは彼女に駆け寄る。

 

「らんこちゃん大丈…っ!」

 

「こ、これは酷い…!」

 

「らんこさん!私達の声は聞こえますか!?」

 

ましろとツバサはらんこの右腕を見て顔を青ざめる。彼女の右腕、主に前腕部の皮膚が大きく剥がれてその下の組織は一部は焦げている。そして彼女の顔から大量の汗を流しており顔は青ざめている。ソラは彼女の意識があるか呼びかける。

 

「だ、大丈夫よ…これくらい……へ、へい「平気な訳無いですよ!」

 

心配させまいと痩せ我慢をするらんこだったが、ソラはそれを見て怒った表情を浮かべつつシャララに視線を向ける。

 

「シャララ隊長!すいませんがテストは「そんな事は今は良い!それよりも患部を冷やしながら近くにある病院で診てもらうぞ!」

 

シャララはそう言うとアリリや他の隊員たちを起こし、担架や氷を持って来させるとらんこを担架へ乗せると数人の隊員達とソラ達が彼女を近くの病院へ連れて行く。

 

「まさか、こんな事になるとは…」

 

「ええ。全く、昨日剣を片付け忘れたのは誰だ!?」

 

シャララは運ばれていくらんこを心配そうに見つめ、アリリは訓練所の剣を片付けるのを怠った者に対して怒りを見せる。

 

「兎に角我々も急いで病院へ行くぞ」

 

「はい!…ん?」

 

シャララに返事をしたアリリは訓練所の真ん中で1人その場を佇んでいるベリィベリーの姿に気付く。

 

「ベリィベリー!お前いつまで固まっているんだ!?事故とはいえお前の所為d「待てアリリ!」た、隊長?」

 

「あ…ああ……」

 

アリリは動かないベリィベリーを怒鳴ろうとするが、シャララが止めに入る。するとベリィベリーが動揺している事に気がつく。

 

「お、おい…べ「あああああああああっ!!!!」なっ、待てベリィベリー!どこへ行くんだ!?」

 

突然声を上げてその場から走り出すベリィベリーをアリリが呼び止めるが、彼女は止まらず訓練所から飛び出して行った。

 

「くそっ!シャララ隊長!ベリィベリーを「待て、先ずは怪我人の方が優先だ」わ、わかりました」

 

ベリィベリーを追いかけようとしたアリリだったがシャララに止められ、仕方なくらんこが運ばれた病院へ向かった。そしてシャララはベリィベリーが走り去っていた方向をじっと見つめる。

 

(事故とはいえ…己のトラウマを蘇らせる事になるとは……)

 

シャララはベリィベリーに対して一切怒りを向けず、悲しそうな表情を浮かべると遅れて彼女も病院へ向かった。

 

 

─────────

 

らんこが病院へ運ばれてから2時間後、病院の一室にあるベットには治療が終わったらんこが安静にしており、その側にはソラ達が心配そうな表情を浮かべる。

 

「…みんな…心配掛けて悪かったわね」

 

「ううん、らんこちゃん腕の方はどう?」

 

ましろは恐る恐る怪我の具合について尋ねるとらんこは自身の包帯が巻かれた右腕に視線を移すと、ゆっくりと腕を動かすが痛みが残っている為少し辛そうな表情を浮かべる。

 

「だ、大丈夫よ…少しヒリヒr「巫山戯ないで下さい!」…ご、ごめん」

 

「あ、いえ…こっちも大声を上げてごめんなさい」

 

「で、ですが…暫く安静するだけで良かったですね」

 

少し雰囲気を変えようとツバサがフォローを入れる。らんこの火傷はどうにかこの病院にある治療薬と医者によって事なきを得たが場合によっては火傷が深かったら腕を切断する事になっていたかもしれないのだ。

 

「本当、私の悪運は我ながら呆れr「そんな事言っちゃダメだよ!」わ、悪かったわよ」

 

自虐めいた発言をするらんこにましろが注意をする。それを聞いたらんこは軽く謝罪をする。そんな時病室の扉が開かれると2名入室してくる。

 

「どうやらそこまで大事に至らなかった様だな」

 

「「「シャララ隊長!」」」

 

病室に入ってきたのはシャララとアリリであった。そして、シャララはベットに安静しているらんこの側に寄ると彼女に話しかける。

 

「この度は我が青の護衛隊のベリィベリーが君に怪我をさせてしまった事に隊長として謝罪させてくれ」

 

「「「えっ!?」」」

 

「た、隊長!?」

 

らんこに向かって頭を深く下げて謝罪する姿にらんこ達は驚きの表情を見せる。

 

「あ、謝らないでください!私は…気にしていませんから」

 

「そうか…それで腕の具合はどうなんだ?」

 

「あ…だ、大丈夫です。痛みはありますが、最初と比べて良くなりました」

 

らんこは今の傷の具合について報告するとそして、側にいるアリリに視線を移すと一瞬言い辛そうな表情を浮かべるも意を決して口を開く。

 

「それと……さ、さっきの事は……す、すいませんでした」

 

「え…あ、ああっ、気にしなくて良い。俺や他の隊員達も頑丈だからそんな大きな怪我はしてないからな」

 

らんこの謝罪を聞いて訓練所で他の隊員共々やられた事を思い出すも特に怒っている様子はなくらんこの行動を許してくれるようだ。それを聞いてらんこは安堵の息を吐く。

 

「らんこさん…私も気になっていたんですが、なんであんな事をしたんですか?」

 

思い返せば自分とベリィベリーが戦っている間いつの間にかアリリを含めた隊員達を倒した事にソラは気になっていたのだ。らんこは理由無く人に手を出すような人間では無いことを存じている為、何故今回の事をしたのか知りたかったのだ。

 

「…ごめん、そこの副隊長さんからあんたの戦っていた……ベリィベリーだったかしら?そいつがエルを助けたソラの事を嘘つき呼ばわりしたからついカッとなって……」

 

「そ、そんな事で怒ったんですか!?」

 

そんな事で青の護衛隊に手を出してしまった事にソラは信じられなかった。幾ら何でも沸点が低すぎないかとそう思ってしまう。

 

「笑っちゃうよね……でも、私にとってはそれは私達とソラの出会いやこれまでの思い出も否定されたと思って……それで…」

 

「「「らんこちゃん(さん)……」」」

 

人にとっては些細な事でもらんこにとっては今回の事はとても見過ごせる訳が無く今回の暴挙に及んでしまったと話した。それを聞いて3人は複雑な顔を浮かべつつ互いに顔を合わせるとソラがらんこに近寄る。

 

「……らんこさん。確かに理由はどうアレ、一時の感情に身を任せて人に暴力を振るったことは決して褒められる物ではありません」

 

「…わかっていr「ですが」わ…って、ソラ?」

 

らんこの言葉を遮る様にソラが突然彼女に抱きついてくる。それに対してらんこは困惑の表情を浮かべる。

 

「ありがとうございます。私、いえ私達の事を大事に思ってくれて」

 

「うん、私も嬉しいよらんこちゃん」

 

「ええ、僕たちの事を其処まで思っていてくれるなんて…なんだか照れ臭いですね」

 

先程の彼女の発言に嬉しく思い3人は笑顔を浮かべてる。それを見てらんこは顔を赤く染める。

 

「や、やめてよ、恥ずかしいじゃない…そ、それにソラはいつまで抱き着いているのよ!?シャララさん達がいるんだから良い加減離れなさい!」

 

らんこは恥ずかしさを誤魔化す様にソラを引き剥がすとある事を思い出す。

 

「ところでシャララさん。ソラと戦っていたベリィベリーって人はどうしたんですか?」

 

事故とはいえ普通当事者が謝罪するのだがやってきたのはその上司であるシャララとアリリの2人だ。何処にもベリィベリーの姿が無い事に不思議に思った。

 

「そういえば居ないよね」

 

「トイレ…では無さそうですよね」

 

「シャララ隊長、ベリィベリーさんは何処に?」

 

ソラ達もらんこと同様にこの場にいない彼女の存在が気になり尋ねると、2人は言い辛そうな表情を浮かべる。

 

「ああ、その事なんだが…」

 

「ベリィベリーは…今行方不明なんだ」

 

「「「えっ!?」」」

 

「ベリィベリーさんが…行方不明…!?」

 

2人からベリィベリーが行方不明と聞いて4人は驚愕の表情を浮かべる。

 

「ああ、実は今回の事故が発生した時には訓練所にいたんだが」

 

「俺が声を掛けたら発狂してそのまま訓練所の外へ出て行ったきり行方がわからなくなっている」

 

現在他の隊員達がベリィベリーの捜索をしているがそれでも彼女が見つからず目撃情報も中々手に入らないようだ。

 

「そんな…事故とはいえ当事者であるのに謝りに来ないなんて…!」

 

「ツバサ君そんな事言っちゃ駄目だよ」

 

上司に謝罪させて自分は何もせず何処かに隠れたベリィベリーにツバサは怒りを見せるがましろはそんな彼を宥めようとする。

 

「すまない。確かにベリィベリーが当事者だが彼女が逃げてしまったのは恐らく昔の事を思い出してしまったのだろう」

 

「「「昔の事?」」」

 

「隊長…それは一体?」

 

なんなのだと問いを投げるとシャララは数秒程無言になると、隣のアリリに視線を合わせると彼も無言で頷いた。

 

「わかった。話そう…」

 

それからシャララはベリィベリーの過去について話した。

かつて彼女が青の護衛隊に入る前、入隊試験を何度も受けたのだが全て不合格になってしまった。試験に落ちてしまった理由については昔右腕を怪我して、それにより腕の力が落ちてしまったのだ。今はその落ちた腕の力を補助する様に電撃を操るスカイジュエルが入ったグローブを使っているが、それでも彼女は何度も試験に落ちた事を気にして力に固執する様になったのだ。

 

「それで恐らくらんこに怪我をさせた事がかつての怪我した自身と重ねてしまったのだろう」

 

「取り敢えずだ。ベリィベリーの事は私達に任せt「シャララ隊長!私もベリィベリーさんを探すのを手伝わせて下さい!」

 

ベリィベリーは自分達が探すと言い切ろうとした時、ソラが自身も彼女の捜索の協力を申し出た。

 

「良いのか?ベリィベリーとの仲はあまりよく無いように思えたが」

 

「ですが、先程の話を聞いたら今度はちゃんと話をしてみたいんです」

 

ベリィベリーから嘘つき呼ばわりされてあまり気分の良い物では無かったが、彼女の過去を知ったからには放っておけず見つけたら腹を割って話をして仲良くしたいと思ったのだ。

 

「わかった。任せよう」

 

「ありがとうございます。それじゃあ私は早速ベリィベリーさんを探しに行ってきます」

 

ソラはらんこ達にそう告げると病室から出ていこうとするが、

 

「待って、私も探しに行くわ」

 

「「「「えっ!?」」」」

 

なんと怪我をしているらんこも探しに行くと言い出したのだ。それを聞いたソラ達とアリリは思わず声を出す。唯一シャララだけは声を出さずらんこをじっと見つめている。

 

「だ、駄目ですよ!まだ安静にしないと!」

 

「そうだよ!無理しちゃだめだよ!」

 

もちろんソラとましろは怪我人である彼女見過ごす訳が無く止めようとする。

 

「大丈夫よ。怪我したのは腕だから歩くくらいなら問題はないわ」

 

「いや、そういう問題じゃなくて…!」

 

何処かズレた発言をするらんこにツバサは思わず呆れた表情を浮かべる。

 

「それに私はベリィベリーには文句の一つや二つを言わないと気が済まないわ」

 

「え、恨んでいるんですか?」

 

先程の過去の話を聞いたら其処は流れ的に許す所なのではと言わんばかりの視線がらんこに向けられる。

 

「当たり前よ。こっちは腕が大火傷してるし、しかも跡が残るかもしれないのよ?そうなったら休み明けの学校で腕に包帯巻く羽目になるのよ」

 

確かにスカイランドに帰った後の事を考えると色々と生活に支障が出る為、ソラ達は言い返せなかった。

 

「そ、それはそうですが…」

 

「じゃあ聞くけど、今まで散々エルにや私たちに酷い事してきたカバトンが未だに菓子折り所かごめんの一言も謝りに来ないけど、ツバサはもう彼奴を許したの?」

 

「許すわけないじゃ無いですか!」

 

「「つ、ツバサ君!?」」

 

まさかの発言にソラとましろは衝撃を受ける。と言うよりもらんこは以前なんやかんやで許したが対してツバサは未だにカバトンの事を許していなかった事に驚きだ。まぁ、彼は人に対して大人のように振る舞っているがこの病室にいる中で1番年が下で精神的にもまだ子供でもあるのだ。根に持っていても仕方ないことだ。

 

「そう言う訳だから私もベリィベリーを探しに行くわ」

 

「いや、どういう訳なんだ?」

 

「た、偶にあるんですよ…」

 

よくわからない理屈でゴリ押ししようとするらんこにアリリは困惑の表情を浮かべ、ましろがフォローを入れる。

 

「はぁ、わかりました。こうなってしまったらんこさんは頑固ですからね。なら、私と一緒にいて下さいね」

 

「ええ、ここの地理がまだ把握出来ててないから頼むわよ」

 

探しに行くと聞かないらんこにソラは折れるとらんこに共に探す事を認める。

 

「なら、私達も行くよ」

 

「ええ、僕たちも話を聞いたから放っては置けませんからね」

 

ましろとツバサもベリィベリーの捜索の協力を申し出る。

 

「すまない、元は青の護衛隊の問題と言うのに君達の手を借りる事になるとは…」

 

「気にしないで下さい」

 

「そうですよ。それに僕としては青の護衛隊の手伝いができる事が何よりも嬉しいですから」

 

無関係のましろやツバサに協力してもらう事にシャララは申し訳なさそうな表情を浮かべるが、2人は困っていたら助けるのが当然と言わんばかりの姿勢を見せる。

 

「2人の言う通りです。ヒーローは困っている人を見捨てませんから」

 

「まぁ、私に関しては探す動機が違うけど」

 

「ふっ…そうか。皆んなの協力感謝する」

 

シャララは一同にお礼を言うとソラ達と共に病院から出てベリィベリーを探しに街の中を走るのであった。

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