スカイランドへやってきたから数日が経過する。その中でソラは念願の青の護衛隊へ入隊し、シャララ率いる他の隊員達と共にスカイランドの平和を守っていた。
そんなある日の昼時に城の前にはランボーグが現れ、それを迎え撃つかの様にソラを含めた青の護衛隊達が立ち塞がる。
「此処で止めるぞ!」
剣を抜いたシャララは他の隊員達に指示を出すと隊員達はランボーグをそれぞれが協力してダメージを与えていく。そしてランボーグの隙を見てキュアスカイへと変身したソラが浄化しようと飛び出す。
「ヒーローガール!スカイ…パァァァァァァァンチ!!!」
スカイの浄化技であるスカイパンチが繰り出され、それがランボーグへと向かっていく。
『ボーグッ!』
「なっ、外した!?」
しかし、ランボーグはそのタイミングで大きく跳躍してスカイパンチを避けると不利と悟ったのか城から離れて城下町へ向かおうとしていた。
「くっ、そっちへ行ったぞ!
らんこ仮隊員‼︎」
「……」
シャララの視線の先には目を瞑り腕を組んだ状態で壁に寄りかかっているらんこの姿があった。しかし、その格好はソラ達が着ている青の護衛隊の制服を身に纏っている。
「はぁ、面倒ね…」
『ランボォォォグ!!!』
「…ひろがるチェンジ!ツイスター!」
シャララの声とランボーグの足音を聞いてゆっくりと目を開くと気怠そうな態度を見せながら迫り来るランボーグに対してミラージュペンを取り出すと一気にキュアツイスターへと変身し、突進を仕掛けてくるランボーグを真上に跳んで避ける。
「ヒーローガール!ツイスターストライクッ!!!」
『スミキッター…』
そして、真上に跳んだ状態からツイスターストライクを叩き込むとランボーグは浄化される。
バッタモンダーが出現してからは毎日の様にランボーグがスカイランドの各地に出現しその度にソラとらんこに青の護衛隊達がランボーグの対処に当たっているのだ。
「ふぅ、全くしつこいわね…」
ランボーグが浄化されたのを確認するとらんこは変身を解き、彼女の元にソラとベリィベリーや他の隊員達がやってくる。
「やりましたねらんこさん!」
「ああ、流石はらんこだ!無駄の無い動きだったぞ!」
ソラとベリィベリーは興奮しながららんこを褒めていると、らんこは首を横に振る。
「別にあんなの大した事じゃ無いわよ……ソラやベリィベリーに他の皆んなが追い詰めた事でランボーグも焦って単純な動きをしたから対処出来たから私の力だけ無いわよ」
己の力だけでなく他のみんなのお陰であると伝えるとそれを聞いたソラ達は照れた表情を浮かべる。
「そうだな。これは皆んなの勝利だ」
そう言ってシャララは剣を鞘に収めてらんこの意見に同意する。青の護衛隊は決して1人で戦っているのではなく仲間と共に戦っている。正にヒーローの様な志である。
「最近ソラとらんこは働きっぱなしだろう。今日はもう休んで来ていいぞ」
「それじゃあお言b「いいえ、私とらんこさんはこれくらい大丈夫です!ランボーグは浄化しましたがそれ以外の事で困っている人がいるのでその人達を助けに行きませんと」……は?」
らんこはシャララのご好意に甘えようとするがソラの発言を聞いて彼女の目からハイライトが消えソラの背中をじっと見つめる。
「その熱意は嬉しいが休める時に休まないと身体が持たないぞ」
「うっ…確かにそうです。体を壊してしまったら元も子もありません。そういう事なら休憩を取らせて頂きます!」
シャララの言葉にソラは納得すると休憩を取ることにすると今度はベリィベリーがシャララに話しかける。
「それなら隊長、私も2人と一緒に休憩しても宜しいですか?」
「ああ、構わない」
続いてベリィベリーもシャララから許可を貰うとソラとらんこと共に休憩をしに一足先に宿舎へと戻って行った。それを確認したアリリがシャララに話しかける。
「ソラの奴は真面目なのは良いが少しは周りの事を考えて欲しい物ですね」
「そうだな。だが、それがソラのいい所でもある」
「そうは言いましても休憩を取らなかったら間違いなくらんこ仮隊員にど突かれていましたよ」
そう言ってアリリの脳裏には今でもらんこにジャイアントスイングをされて他の隊員達と共に倒された記憶が過ぎる。更に先程もソラがらんこも休憩は要らないと発言した時に彼女はソラを背後からチョークスリーパーを仕掛けようとしていた所を見ていた為、内心ヒヤヒヤしていた。
────────
それから宿舎に一足先に戻ったらんこ達はそこで休憩の準備をしていたましろからタオルとドリンクを受け取っていた。
「3人ともお疲れ様。はい、タオルと特製スポーツドリンクだよ」
「はい、ましろさんもありがとうございます」
「何時も悪いな」
「ましろのドリンクは美味しいから良いわね」
3人は早速ましろから貰ったタオルで汗を拭き取るとドリンクを一気に飲み干していく。
「ふぅ…仕事後のドリンクは格別ね
って、ちがあああああああうっ!!!!」
「ら、らんこちゃん!?」
「ど、どうしたんですか突然叫んで!?」
「まさか、ドリンクが口に合わなかったのか!?」
突然怒鳴り声を上げてタオルを床に叩きつける奇行を見せるらんこにソラは驚きの反応を見せる。
「どうしたも無いでしょ!?なんで私が毎日私が戦わなきゃならないのよ!?って言うかそれ以前になんで青の護衛隊で働いているのよ!?おかしいでしょ!?ちゃんと断った筈なのに!?」
自身の覚えている限りではシャララからスカウトされた日にはキッパリと断ったと記憶をしている。だが、現実はその逆でバリバリ働いている。その証拠として今ソラとベリィベリーと同様に隊員服を着ているのだ。
「なんでって……らんこ忘れたのか?」
「忘れたって……なにを?」
「やっぱり覚えていないか…」
首を傾げるらんこを見てベリィベリーは額に手を当てながら息を吐く。
「ほら、らんこちゃんスカウトされた翌日にシャララ隊長が私達の所にやってきたじゃない」
「翌日に?……あっ、そう言えば…」
ましろの指摘にらんこはその時の記憶が蘇る。
────────
時は遡りスカイランドの城の一室にてらんこがましろとツバサと共にエルと遊んでいた時の事だ。
「皆さんおはようございます」
「あっ、ソラちゃんおはようって、その格好は?」
部屋に入ってきたソラが着ているのは昨日まで着ていた私服では無く青の護衛隊の隊服だ。
「ふっふーん、どうですか?この度は青の護衛隊に無事入隊出来た事によりシャララ隊長から頂いた隊服です」
先日のベリィベリーから合格を言い渡されて晴れて彼女も青の護衛隊の正式な隊員となり隊服を支給された様だ。
「似合っているよソラちゃん」
「ほんと、髪の色も相まっているわね」
「ええ、とってもカッコいいですよ」
「えるるぅ〜♪」
くるりとその場で周り決めポーズを取るソラはらんこ達に褒められると「えへへ」と嬉しそうな声を出す。
「ああ、似合っているぞソラ」
「あっ、シャララ隊長」
「私もいるぞ」
すると其処へシャララもやってきて更にはベリィベリーも部屋に入ってくる。但し彼女の片手には何かが入った袋の様な物を持っている。
「ベリィベリーも…って、何を持っているの?」
「これはだな。シャララ隊長がらんこへプレゼント出そうだ」
「え、私に…この場で開けても?」
「勿論だ」
ベリィベリーの持つ袋はどうやららんこへのプレゼントらしく受け取ると早速中身を確認しようと開封する。
「さて、中身は何かしら……ん?」
「どうしたのらんこちゃん?」
袋の中身はこの世界のフルーツの盛り合わせかと思い中身を覗くらんこだったが、突然黙ってしまう。そんな様子に不思議に思ったましろは彼女に話しかける。すると、らんこは無言で袋から中身を取り出す。
「ええっ!?そ、それって…!」
「青の護衛隊の隊服じゃ無いですか!?」
ツバサの言う通りらんこが今手にしているのはソラとベリィベリーが着ている物と同じ隊服である。
「えっと、何で隊服?」
服を貰ったらんこは恐る恐るシャララに自分に隊服を渡した事を聞いてみる。
「ああ、実は君にはこのスカイランドに滞在している間青の護衛隊の一員として働いてほしい」
「いやいやいや!私昨日キッパリ断りましたよね!?入らないって!」
シャララの発言にらんこは動揺する昨日ちゃんと断った筈なのに何故再び勧誘し、しかも自分の体型に合った隊服まで持って来たのか理解出来なかった。
「ああ、その、大変言い辛い事なんだが……」
珍しくシャララが言うのを躊躇っている様子にらんこは首を傾げる。
「実は昨日らんこが倒した隊員の内何人か身体を痛めてそれで暫く出れそうに無いんだ」
「え?」
ベリィベリーの発言を聞いてらんこは固まる。どうやら昨日のやらかしで何人か休む羽目になったそうだ。
「それで言い方は悪いのですが、らんこさんには出来たら出れなくなった皆さんの代わりを少しでも良いので手伝って欲しいんです」
「……」
ソラの発言を聞いてらんこは思考が停止する。それはつまり自身のやらかしにより青の護衛隊のシフトに影響が出てしまった。そして、彼女はそうなった事の罪悪感が背中に乗っかる。
「まぁ、そう難しい事は頼まない。だが、今の我々には君が必要なんだ。この通りだ」
「ちょ、シャララさん頭を上げて下さい!……わかりました。やりますよ…」
あまり気は進まないが自分の所為で他の隊員達に迷惑を掛けた事にらんこはその罪滅ぼしとして青の護衛隊の仮隊員としてその日から働く事になったのだ。
────────
「お、思い出した……」
らんこはその日の出来事を全て思い出した。今まで忘れてしまっていたのは恐らく毎日ハードな仕事内容を行っていたからその所為で自分が何の為に働いているのか記憶が吹っ飛んでしまった様だ。
「うぅ…罪滅ぼしだとしてもなんで私はあの時ちゃんと考えず返事をしちゃったのよ……お陰で身体の至る所が筋肉痛と仕事の疲れでへとへとよ…」
らんこは毎日慣れない仕事をしていた為、彼女の体と精神はもう限界に近かった。尚、これがおみくじに書かれていた過酷な労働に強いられるに該当するだろう。だが、今のらんこは肉体共に精神も疲れてそれに気付けるほどの冷静さは持ち合わせていなかった。
「ところで…あんた達よくこの仕事を弱音吐かずにやれるわね…」
自分とほぼ同じ仕事内容をこなしているにも関わらず辛い表情を全く見せないソラとベリィベリーに話しかける。
「そうですか?私はスカイランドの皆さんを助けるやり甲斐のある仕事が出来て楽しいです」
「そうだな。私も仕事は疲れるが青の護衛隊の隊員として誇りがあるからな。これくらいはなんて事は無い……それにこうやって汗を流すらんこの姿が間近で見られるから」
2人とも理由は違えどもどうやら青の護衛隊の仕事に誇りを持っている様だ。尚、最後ぼそりとベリィベリーが煩悩に塗れた発言をしたが幸いにもらんこ達には聞こえなかった。
「はぁ、あんた達のその屈強な精神が羨ましいわね…」
2人を見るとますます自身が青の護衛隊に似合わないと実感させられる。らんこも確かに身体能力は優れているが2人の様に青の護衛隊にこれと言って思い入れがある訳では無い為、肌には合わなかったのだ。
「あぁ…こんな事になるのなら無闇に返事するんじゃなかった」
あの時シャララの頼みを引き受けなければ今頃楽しい観光が出来た筈なのにと深く後悔をする。
「らんこちゃんそんな事はあまり言わない方が良いよ。でも、もう直ぐで私達は帰るから護衛隊としての仕事も……あっ」
ましろは自身の失言した事に気付き、慌てて己の口を塞ぐが時既に遅くソラとベリィベリーにらんこは静かになる。
「そういえば…そうよね」
「お二人とも…もうすぐ帰っちゃうんですね……」
らんことソラは別れの時がもう直ぐそこまで迫っている事を考えると、悲しそうな表情を浮かべる。ソラとツバサがこちらでの生活があるの様にらんことましろにも元の世界の生活があり、休み明けの学校もあるのだ。
「あっ、その……」
そしてましろは自身の失言によってまわりの雰囲気が暗くなってしまった事になんとか気分転換に何か無いか考えるが中々思いつかない。一体どうすれば良いかと悩んでしまう。
「……なぁ、それならこの後はシャララ隊長から休みを貰ってスカイランドの観光をするのはどうだ?」
「「「え?」」」
すると先程まで黙っていたベリィベリーが3人観光を提案をした事に思わず声を漏らす。
「らんことましろはもう直ぐ帰るんだろ?それならスカイランドで良い思い出を作ろうじゃ無いか」
「でも…いいの?」
ベリィベリーの申し出は有難い。だけど自分達が抜けたら青の護衛隊の戦力は大丈夫なんだろうかと不安になる。
「なに、問題無いさ。特にらんこは仮隊員とはいえ正式な隊員と変わらない働きをしたんだ。これくらいの事で隊長は怒らないぞ」
これまで充分働いてくれたのだからバチは当たらないとベリィベリーは告げるとソラは目を輝かせる。
「ありがとうございますベリィベリーさん!じゃあ、ツバサ君とエルちゃんも誘って街の観光と行きましょうか!」
「ええ、そうね。しばらく城にいて退屈にしてそうだし」
一足先に宿舎から走り去っていくソラをらんこは後を追いかけていく。そして、残されたベリィベリーとましろも2人の後を追おうとすると、
「あの、ベリィベリーさん…ありがとうございます」
「ん、どうした急に?」
突然ましろからお礼を言われた事にベリィベリーは不思議に思った。
「いえ、さっき私が暗くした周りの雰囲気を変えてくれたんですよね?」
「ああ、それか…まぁ、気にするな」
ベリィベリーは照れ臭そうに頬を指で掻きながらましろからの視線を逸らす。
「私も出来ることなららんことこれから共にいたい…だが、彼女にも元の世界の生活があるからな。無理に止めたくない」
「ベリィベリーさん……」
感動的な台詞を吐くベリィベリーを見てましろは感動をする。らんこが青の護衛隊へ入ると仕事の内容を率先して教えたりまた、痛みが残る右腕を補助したりとお世話をしてくれた。
(最初不安だったけど、らんこちゃんの事を大事に思っているんだなぁ)
ベリィベリーがらんこの事を愛しているという衝撃的な事実に驚くも特にその日以降は目立った行動は無かった為、彼女もちゃんと弁えているのだとましろは理解する。
尚らんこが怪我をした事に負い目を感じたのを理由に彼女の背中を洗おうと一緒に入ろうとしたり、また共に同じベットに寝ようとしたり下心な部分が時々あるのだ。だけど、そんな事があった事をましろは知らない。そしてらんこもベリィベリーが自身に対して恋愛的感情を抱いている事に気付いていない為、怪我をさせた事による過保護的行動だと思っている。
「まぁ、話はこれくらいにして私達もらんこ達の後を追おう。あっ、私はトイレによってから行くから先に行っててくれ」
「わかりました」
そう言ってましろは先に宿舎を出て行った2人の後を追い掛けるのであった。そして、1人宿舎に残ったベリィベリーはチラッと床に落ちているらんこのタオルを暫く見て、周りに人が居ないのを確認すると拾い上げ、顔を埋めて息を吸い始める。
「スウ-ハァ-……ああ、らんこの良い匂いがする……」
誰もいない事を良いことにベリィベリーはらんこの汗を拭いたタオルの匂いを満足するまで吸い続けるのであった。
────────
その頃、此処はスカイランドの某所。其処には1人の青年が新聞を読んでいた。
「青の護衛隊、期待の新入り達の活躍もあり、今日もランボーグを撃破…か」
そう言って青年…バッタモンダーは腰と額に手を当てるキザなポーズを取る。
「美しいね…やっぱり平和は素晴らしい
って、んな訳あるかっ!!!」
先程までの穏やかな表情が一変し怒りを露わにすると、大声を上げて新聞を地面に叩きつけると踏み潰す。
「なんでだよ!?俺の立てた計画じゃ今頃スカイランに巨大ランボーグが出現しているのに!……それも全てプリキュア達の所為だ…!」
本来なら毎日の様に出現させたランボーグをソラやらんこ以外の隊員達が倒した事で浄化されずにその場に残ったアンダーグエナジーを掻き集めて巨大なランボーグを作り出し大パニックになっている所でエルを誘拐する予定だったのだが、全てソラとらんこがランボーグを浄化してしまった為、彼の計画は破綻していた。
「だが、どういう事だ?なんでアイツら、他の奴等を頼らず自分達だけで浄化するんだ……まさか、俺の計画を見越して!?」
他の隊員に一切トドメを譲らなかった事から計画がバレたのではとバッタモンダーは思い込むが、実際は違っていた。
それはらんこが仮隊員として任命されたその日にランボーグが現れて他の隊員達と協力してランボーグを追い詰め、最後はシャララがランボーグにトドメを刺そうとしたが、それをらんこが止めた。
『待ってください。アンダーグエナジーで構成されたランボーグは無闇に近づくと身体がアンダーグエナジーに侵されて死ぬほど苦しい思いをしますよ』
『そうか、なら迂闊に我々がトドメを刺すわけにいかないな』
らんこは以前ランボーグに取り込まれかけその際アンダーグエナジーが身体を蝕んで苦しい思いをした為、他の人に極力そうさせない様にシャララ達に言及した所ほぼ全てのランボーグはソラとらんこがトドメを刺すことなった。
そんな事を知らないバッタモンダーは1人己の計画が見抜かれたと慌てていると、後ろから声が聞こえてきた。
「おや、随分荒れている様だねバッタモンダー君」
「き、キメラング!?ど、どうして此処に?」
バッタモンダーは振り返ると其処にはキメラングが立っていた。最近ゼインにやられて以降再び治療と同時に新たな発明品を作るためにここ暫く引き篭もっていたのだが、ようやく出てきたらしい。
「なに、身体が治ったのと気分転換に久しぶりにこの世界の景色を見たくてね?」
「ん、お前って前にスカイランドにきた事があるのか?」
キメラングの言葉の中に引っかかるワードがあったバッタモンダーは気になり詳しく聞こうとする。
「ああ、気にしないでくれたまえ昔の話さ…それよりもさっきの荒れ具合からして自分の作戦が上手く行っていないようだね」
「う、うるさいっ!」
痛いところを突かれたバッタモンダーは思わず怒鳴ってしまう。
「そもそもお前が俺にくだらない発明品を寄越したのが何もかもの原い「くだらない?」…じ、じゃなかった。それを上回るプリキュアの力の事について教えてくれなかったからこんなことになっているんだぞ!」
「おいおい、随分ないい草だね。私は治療している状態であまり動けないにも関わらず君がラボに訪れた際にプリキュアの事をちゃんと説明したじゃ無いか。それなのに私の所為ってちょっと理不尽過ぎやしないかい?」
「いいや、ちゃんと細かい所まで教えなかったお前が悪い!何故ならキュアツイスターだったか?あいつ変身していないにも関わらずアンダーグウバウゾーの手をこじ開ける程の力を見せたぞ!?そんな馬鹿力があるなんて俺は聞いていないぞ!」
「ん?…アンダーグウバウゾーの手をこじ開ける馬鹿力……ねぇ、その時の事について詳しく教えてくれないか?」
「え、あ、ああ、良いだろう」
そしてバッタモンダーは語り出した捕まったらんこが見せた力について語り出すと、キメラングは顎に手を当てて暫く考える。
「成る程…つまり、そう言う事か……ふふふっ、あっははははぁー!!!成る程、そういう事だったのか!」
「お、おい、どうしたんだ?」
何やら君の悪い笑みを浮かべるキメラングに少し引きながらもバッタモンダーは話しかける。
「なに、気にしなくていいよ。ところで、君の計画について私が情報を詳しく提供しなかったお詫びとして手伝っても良いかい?」
そう言って白衣のポケットから出したドーピングカプセルを出す。ただ、その量は手の平には収まらないくらいあったためにバッタモンダーはそれを見てニヤリと笑みを浮かべるのであった。
────────
その頃、らんこ達は城にいたツバサとエルを連れ出すと城下町を歩いていた。
「さぁ、皆さん行きましょう」
「えるぅ〜!」
「ふふ、張り切っているねソラちゃん」
「そこまで自信があるのなら期待しているわよ」
一行を張り切りながら先導するソラと彼女が抱えるエルは笑顔を浮かべている。ましろも2人の楽しそうな顔を見て嬉しそうだ。らんこも碌に観光が出来なかった分楽しむつもりだ。
「…ところで、ツバサとベリィベリーはなんでそんな浮かない顔をしているの?」
「「……別に」」
らんこはそれぞれツバサとベリィベリーに視線を向けると2人ともあまり機嫌が良さそうでは無い事にらんこは不思議に思う。
「あー、多分らんこちゃんが原因かもしれないよ」
「え、私?」
ましろから2人の機嫌が悪いのは自分であると指摘した事に首を傾げる。何故自分が原因なのからんこはわからなかった。だが、第三者視点で今のらんこの状態を見れば自ずとその訳がわかる。今、らんこの手の中にはプニバード形態になったツバサが収まって先程から今までの仕事のストレスを発散するかの様に揉まれてそれでツバサの機嫌があまりよろしくなかった。そしてベリィベリーはらんこに揉まれるツバサを見て嫉妬心を抱いて彼と同様に機嫌が悪くなったのだ。
「いや、それは無いと思うわ。ベリィベリーの方は分かんないけど、ツバサは自分から抱き締めるなりなんなりして下さいって言ったんだから」
「いや、それは……」
ましろはらんこの発言を聞いて言い辛そうな表情を浮かべる。ツバサが自分かららんこに進んで抱き締めて良いと言ったのは丁度彼女達がツバサとエルの元へ訪れた時にはツバサの両親がなんともまぁ悪いタイミングできていたのだ。
そして、らんこは目の前に現れたツバサの両親(プニバード形態)の姿を見て目を輝かせた所をツバサは彼女の可愛い動物を抱き締めたくなる衝動に気付き、慌てて両親を守る為にらんこに己を猛アピールをした。そのおかげでツバサがらんこに抱きしめれる事になるのだが、ツバサの両親はその自分達の息子の行動を見てらんことはお付き合いしている関係かと口に出し、それを聞いたベリィベリーはツバサに対して物凄い嫉妬心を抱く事になったのだ。
(くそぉ、プニバード族めぇ、私のらんこを魅了して……羨ましい‼︎)
自分が側にいるよりも幸せそうな顔を浮かべるらんこを見てベリィベリーはツバサとその家族、否プニバード族に対して嫉妬するのであった。
そんな中ソラは再び一同に話しかけて催促をする。
「皆さん。いつまでも此処にいないで早く行きましょうよ!これから楽しい楽しい思い出作りをするんですから」
「えるっ!」
「あ、そうだったね」
ましろはらんこたちのやり取りにヒヤヒヤしながら見ていたがソラの一声にハッとなる。
「そうね…なら、さっさと行きましょう。ツバサもベリィベリーも行くわよ」
「「はい(ああ)」」
らんこの声かけにツバサとベリィベリーも反応して一同は再び歩き出し始めようとした時だ。
「……あれ?」
「どうしましたかましろさん」
ましろが何かに気付き、ある一点を見つめその様子が気になったソラが話しかける。
「ねぇ、アレってなに?」
『ん?』
一同はましろが指を刺した方向へ視線を向けると街の上に巨大な黒い球体のような物が浮かんでいた。
「あれは何でしょうか?」
「今日は何か……行事がありましたっけ?」
「いや、私たちは何も聞かされていないぞ」
スカイランド組は今日は街で何かのイベントがあると聞いて無い為、それが何なのか気になったが、らんこは黒い球体をじっと見つめていると見覚えのある顔がついているのに気がつく。
『ランボォォォグ……!』
それはここ最近スカイランドで毎日のように戦っているランボーグの顔だ。
「ランボーグ…ですって!?」
『えっ!?』
「えるっ!?」
らんこの言葉に一同は驚愕の表情を浮かべつつもその黒い球体をよく見つめると、遅れてそれがランボーグであると気がつく。尚、ツバサはらんこの腕の中から抜け出して人の姿になる。
「本当にランボーグ!?」
「しかもデカ過ぎるよ!?」
「一体どうしたらあんな大きさのを作り出したんだ!?」
ソラ達は突如として現れた巨大ランボーグに驚愕していると、周りの住人達も空に浮かぶランボーグの存在に気付きパニックになり始める。
「みんな!今は驚いている場合じゃ無いわ!」
「らんこの言う通りだ!ソラ、お前はこの事をシャララ隊長と他の隊員達に伝えて応援を要請してくれ!私とらんこは周りの住人を避難誘導する。ましろとツバサはプリンセスを連れて一足先に城へ避難だ!」
「「「わかったよ(わかりました!)」」」
「えるっ!」
ベリィベリーはすかさずベテラン隊員としての貫禄を見せるとそれぞれに指示を出し、一同は一瞬反応に遅れるもそれぞれ彼女の指示に従ってらんこを除いてその場から離れていく。
「本当最悪……あのイキリバッタはこんな馬鹿でかい奴を用意して……見つけたら絶対1発はぶん殴ってやるわ!」
「ああ、私も必ずきつい電撃を1発ぶつけないと気が済まない!…だけど、今は住民の安全の確保をするぞ!」
それぞれバッタモンダーに対して怒りを向けつつも住人の避難誘導をする2人であった。
そして、その様子を近くの建物の屋根からキメラングが見下ろしていた。
「クククッ、さて、キュアツイスター…今日こそ本気で君を捕まえてあげるからね。その為に面白い物を用意したから楽しみにしているといいよ。キメランラン♪」
キメラングはいつにも増して自信ある顔を浮かべるとその場から姿を消すのであった。