ひろプリに野良猫系キャラを入れてみた   作:獅子河馬ブウ

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第49話 敗北の風

巨大ランボーグが出現してから数十分が経ち、らんことベリィベリーはスカイランドの住人を避難誘導していると他の青の護衛隊の隊員達が応援に駆けつけ、2人は後から来た隊員達に避難誘導を任せると城へ急いで向かった。

そして、城に到着した2人はそのまま謁見の間へ入ると其処には王と王妃とエルにソラとましろにシャララの姿があった。

 

「シャララ隊長!」

 

「シャララさんもこちらに?」

 

「ああ、先程ソラに知らされてな。それと先程城壁に今回の騒ぎの犯人からの脅迫状を発見した」

 

そう言ってシャララは脅迫状を見せるとベリィベリーが受け取り書かれている内容を読み上げる。

 

「…プレゼントは気に入って貰えたかな?アレは1時間後に爆発してスカイランドの全てをアンダーグの闇に飲み込む爆弾さ」

 

「なっ!?爆弾ですって!?」

 

空を飛ぶランボーグの正体がスカイランドを全て巻き込む強力な爆弾と聞かされてらんこは驚愕の表情を浮かべる。

 

「待った。まだ続きがある…ただし、プリンセスを差し出せば爆発を止めてあげてもいい…僕は優しいから好きな方を選ばせてあげる…だと!?」

 

最後まで脅迫状を読んだベリィベリーは表情を歪めながら脅迫状を握り潰す。そして、それを聞いていたエルも不安そうな顔を浮かべる。

 

「なんて巫山戯た奴なのあのイカレバッタは!?」

 

「ああ、全くだ!1発電撃をくらわせると言ったが、10発も浴びせないとこちらの気が済まない!」

 

エルを引き渡す事を条件に爆弾の解除を提案するバッタモンダーにらんことベリィベリーは怒りの感情を向ける。

 

「2人とも落ち着いて下さい!」

 

「ソラの言う通りだ。勿論私達もこんな脅迫に屈するつもりは無い」

 

怒りを露わにする彼女達をソラとシャララが宥めると2人も次第に冷静さを取り戻していく。

 

「ご、ごめん。ついカッとなったわ」

 

「いいえ、お気になさらずに兎に角先ずはあのランボーグをどうするか考えましょう」

 

「ええ、わかったわ…って、あれ?ツバサがいないけど」

 

周囲を見渡すが先にましろと共に城へ向かった筈のツバサが何処にもいない事に気づく。すると、その疑問に王が答える。

 

「彼はあの空に浮かぶランボーグを偵察してくると言って先程出て行ったぞ」

 

「な、なに1人で行動しているのよ!?」

 

「単独行動は危険だぞ!」

 

王の話を聞いてらんことベリィベリーは思わず声を荒げる。今回上空に浮かぶランボーグは何やら異質な感じがする。下手に近づくと危険なことが起こるかもしれないのだ。

 

「私達も止めようとしたんですが…」

 

「ツバサ君、唯一飛べる自分が出来るだけ情報を集めてくるって言って聞かなくて」

 

ソラとましろが止めようとしたがツバサはそれを聞かずに飛び出して行った様だ。

 

「ツバサが単独行動なんて…らしく無い事をするわね」

 

普段の彼ならそう言う危険な行動を注意する立場なのだが、やはり自分の世界が危険だとツバサも冷静で居られないのだろう。

 

「仕方ないわ。ツバサの事も気になるけど、今はランボーグの対処を考えないと」

 

1人偵察に向かったツバサを気にしつつ先ず目の前の問題について一同は考える。

 

(それにしてもスカイランドの全てを巻き込む程のアンダーグエナジーなんて何処から手に入れたのかしら?)

 

バッタモンダーの実力はここ最近毎日の様に戦っていたランボーグで実力は大体は察する事は出来た。だからこそスカイランドを巻き込む程の膨大なアンダーグエナジーを出すなんて難しいだろう。

 

(それなら私達が倒したランボーグから…いや、これは無いわね)

 

今まで倒してきたランボーグからアンダーグエナジーを集めたのかと考えるも全て自分とソラが浄化してきた為、その説は無いと断言出来る。だが、そうなると何処から持ってきたのかと頭を悩ましていると、

 

(まさか、マッドサイエンティストが?)

 

彼女の頭に何度も自分達の前に現れて苦戦を強いられてきたキメラングの姿が過ぎる。彼女はランボーグを強化するドーピングカプセルを持っている為、今回バッタモンダーに手を貸したのではと推測する。

 

「ソラ、何とかあのランボーグを浄化する事はできないか?」

 

一方でシャララはソラの方を向いて問いかける。ソラはそんなシャララと目を合わせた。

すると、ベリィベリーは何か思い出してソラに話しかける。

 

「確か前にキュアスカイとキュアプリズムが手を繋いで放った技があったよな?確か名は……」

 

「アップ・ドラフト・シャイニング…」

 

だが、アップ・ドラフト・シャイニングで浄化出来るかと言われたら難しいだろう。あそこまで巨大なランボーグは過去に浄化した事がない為、自信があまり無い。

 

「それなら私を入れた合体技、エクストリームツイスターズの方が有効かもしれないわ」

 

其処へらんこが3人の合体技エクストリームツイスターズを使う事を提案する。確かにエクストリームツイスターズならアップドラフトシャイニングよりも浄化出来る可能性が高いだろう。だが、一つ懸念がある。

 

「らんこさん…その、大丈夫ですか?」

 

「今のらんこちゃんって白い物が苦手だからエクストリームツイスターズをやるとなると私のすぐ側にいるという事になるよ…」

 

バッタモンダーと初めて対峙した際にらんこはキュアプリズムへと変身したましろからベリィベリーを盾にする程である為、まだ其処が克服出来ておらず。エクストリームツイスターズを放つのは難しいのではと考える。

 

「…確かにまだ白は苦手よ……でも今はスカイランドの存亡が掛かっているのよ。私1人の我儘でこの国を滅ぼす訳には行かないわ」

 

今は非常時のため贅沢は言ってられない。そのためらんこは自身の頬を叩いて己を奮い立たせる。それを見てソラは口を開く。

 

「わかりました。では、私達3人があのランボーグの対処に──」

 

対処にあたる事を言おうとした瞬間、謁見の間の扉が開き、その場にいた全員は扉の方に視線を移すと其処にはアリリと彼に付き添う2人の隊員が入ってくる。しかし、それよりもアリリが背中に背負っている人物を見て思わず驚愕の表情を浮かべる。

 

「「「「ツバサ(君)!?」」」」

 

「えるっ!?」

 

少し前に偵察に出たツバサがボロボロの姿で帰ってきたのだ。らんこ達は慌てて彼の下へ集まる。

 

「大丈夫ツバサ君!?」

 

「あんた…ボロボロじゃない!?」

 

「み、皆さん。すいません…こんな情けない姿を晒して…!」

 

「い、一体何があったんですか!?」

 

ゆっくりとアリリの背中から降ろしてらんことましろに肩を貸しながら床に座り込み、ソラがツバサの身に何が起こったのか尋ねるとここまで運んできたアリリが代わりに答える。

 

「さっき、例のランボーグへ偵察しに行ったら攻撃を受けて撃墜されたんだ」

 

「撃墜って…空から落っこちたって事!?」

 

「お、おい、それが本当なら重症だぞ!」

 

アリリの説明を聞いたらんことベリィベリーは血相を変えて心配する。

 

「だ、大丈夫…です。変身してましたから、何とか重症は避けられました」

 

「いや、今も充分重症だよ!」

 

平気なことをアピールするツバサだがそれは誰が見たって軽い怪我では済んでいない。らんこ達は取り敢えずツバサに応急処置をしようとすると、ソラがある決意を固める。

 

「らんこさん……貴女は此処でツバサ君達と共にエルちゃんや王様達をお守り下さい」

 

「えっ!?」

 

突然のソラの発言にらんこは驚き思わず声を上げるが、続けてソラは喋る。

 

「バッタモンダーは私達がランボーグの相手をしている隙にエルちゃんを攫うかもしれません。ツバサ君が怪我をした今こちらの警備が弱くなっています」

 

「でも、そうなったらあのランボーグは……」

 

自分がいなくなればランボーグを浄化出来る可能性が低くなってしまうと不安に思った。

 

「らんこさん気にしないでください」

 

「そうだよ。私とソラちゃんが絶対に浄化してみせるかららんこちゃんは皆んなを守って」

 

「2人とも……しょうがないわね。だけど、あんた達も無茶するんじゃ無いわよ」

 

「「もちろん(です)!」」

 

それからソラとましろは変身すると、城の外へ出て巨大ランボーグを見上げる。やはり従来のランボーグを一回りも二回りも上回るその大きさに少々不安を覚えるも、此処で浄化しないとこの国が滅んでしまうのだ。

 

「プリズム…行きますよ!」

 

「うん!」

 

スカイとプリズムはスカイミラージュを取り出すとスカイトーンを装填する。

 

「スカイブルー!」

 

「プリズムホワイト!」

 

2人はスカイミラージュを高く掲げると、巨大ランボーグの真上に円盤が出現し、ゆっくりではあるものの吸い込まれていく。それを謁見の間から画面を通して見ていたらんことツバサ達が見ている。尚、ベリィベリーとアリリは外の警備に回っている。

 

「らんこさん!これなら…!」

 

「ええ、時間は少し掛かるけどいつもの様に出来るわ!」

 

2人はランボーグが浄化出来ると確信し、安心する。

 

「待て!ランボーグの様子がおかしいぞ!?」

 

「「えっ?」」

 

シャララの指摘に2人は思わず声を出して画面に視線を戻すと、そこにはランボーグから無数の腕が生えて円盤を掴みヒビを入れている。それに伴いスカイとプリズムが辛そうな表情を浮かべて地面に片膝をついた。

 

「スカイ!プリズム!」

 

「そんな……このままじゃ…」

 

このままでは円盤は壊されアップドラフトシャイニングが防がれてしまう。そう思ったらんこは居ても立っても居られず、2人を助けに行こうとする。

 

「待て、君は此処で待機だ。らんこ仮隊員」

 

「しゃ、シャララさん!?」

 

するとその時、シャララがらんこの肩を掴み彼女を止めると代わりに部屋から出ようと扉に向かっていく。

 

「シャララ隊長どちらへ!?」

 

「ここの守りは君達に任せる。私はプリキュアの援護に向かう」

 

「援護って…無茶よ!」

 

らんこの代わりにシャララがスカイ達の助けに行こうとするのを見てらんこが止めようとする。

 

「確かに無茶かもしれん…だが、私は青の護衛隊の隊長。我が隊員の危機を救うのも隊長の勤めだ。それにここを守る事は君の役目だ。隊長として一度任された任務を放棄する事は許さん」

 

「っ!」

 

シャララの言葉にらんこはソラにエルや他のを皆んなを守る様に頼まれた事を思い出す。

すると、気付いた時にはシャララは部屋から出て行っていた。

 

「シャララ……隊長」

 

その場から居なくなったシャララに対してらんこは不安そうな表情を浮かべる。そんな彼女にツバサが話しかける。

 

「大丈夫ですよらんこさん。シャララ隊長は強いですからきっと無事に戻ってきますよ」

 

「ツバサ……」

 

らんこを安心させるようにツバサが彼女に話しかける。

 

「ツバサの言う通りだ。彼女はこの世界で1番の剣の使い手…そう簡単にやられる人間では無い」

 

「此処は信じて待ちましょう」

 

「えるるい!」

 

続いて王と王妃達も彼女を安心させようと話しかけ、らんこは次第に不安そうな表情が穏やかになっていく。

 

「……そうですね。私、信じて待っ─」

 

待ちますと言おうとした瞬間、突然謁見の間の扉が爆発し、扉を警備していた兵士たちが爆発に巻き込まれ吹き飛ばされる。

 

「なんだっ!?何が起こった!?」

 

「まさか、バッタモンダー!?」

 

「えるぅ……」

 

「みんな!私より後ろに下がって!」

 

そらんこはミラージュペンを持つと、エル達を守る様に前に立ち爆発した扉の方を警戒する。すると、煙の中からゆっくりと1人の人間が出てくる。

 

「いやぁ、乱暴な入室を失礼するよ」

 

「あ、あんたはマッドサイエンティスト!」

 

破壊された扉から入ってきたのはキメラングである。らんこは薄々彼女が今回バッタモンダーとの共謀しているのではと予想していたが、まさかこんな形で当たるとは思いもしなかった。

 

「キメラング、お前が此処にいると言う事は…!」

 

「キュアウィング、君の察しの通り。私はバッタモンダー君に頼まれてきてね。ちょっと此処に襲撃を掛けてくるように言われたのさ」

 

「くっ、プリンセスに指一本は「待ってツバサ!」って、らんこさん?」

 

エルや王達を守ろうとツバサは怪我した身体にあるにも関わらずミラージュペンを取り出そうとするが、らんこに止められる。

 

「此処は私に任せて」

 

「それは……1人で戦うって事ですか!?無茶ですよ!相手はキメラングですよ!今まで僕たち4人が戦ってきて苦戦を強いられてきたんですよ!それをらんこさん1人で戦うなんて無茶だ!」

 

ツバサの言う通りである。今までスカイとプリズムと協力して戦ってきたが、キメラングが操る武器やメカの前に何度も負けそうになったのだ。それを今回はらんこ1人が相手にするのは無謀な行動とも言える。

 

「大丈夫よ。私こっちきてから運は悪いけど戦いに関しては調子良いから」

 

「だとしても、1人なんt「それにあんたはエルの正式なナイトなんでしょ?だったら彼女の側にいてあげて。エルは今にも泣きそうよ」…え、プリンセスが?」

 

らんこの指摘に思わずエルの方を振り向くツバサ。確かにらんこの言う通り彼女は今にも泣きそうだった。

 

「プリンセス!」

 

「だからあんたはエルの側にいて元気付けて上げなさい」

 

そう言うとらんこミラージュペンを構える。

 

「ひろがるチェンジ!ツイスター!」

 

その言葉と共にらんこの身体は光に包まれる。

 

「大空に広がる一陣の風!キュアツイスター!」

 

一瞬で変身が完了するとツイスターはマフラーなびかせながらキメラングの前に立ちはだかる。

 

「おや、キュアウィングの力を借りなくて良いのかい?」

 

「ええ、ツバサは今怪我をしているから無茶はさせられないわ。それにさっきも言ったけど、私は今戦いは調子良いのよ!」

 

両足に旋風を纏うと一気にキメラングへ距離を詰めて拳を振るうもキメラングはバックステップをしてツイスターの拳を避ける。

 

「はああああっ!!!」

 

「おっと、ととっと!」

 

だが、ツイスターは攻撃を辞めず当たるまで連続攻撃を繰り出していく。それらも全て避けられてしまうが、ツイスターには狙いがあった。

 

「うおっ!?」

 

「今よ!」

 

ツイスターの攻撃を避ける事に集中し過ぎてキメラングは周りの事が視界に入らず、自身の背中を部屋の壁にぶつけて動きを止めてしまう。それを見たツイスターはチャンスだと言わんばかりに拳を叩き込もうと振りかぶる。

 

「なんちゃって、キメランラン!」

 

「なっ!?」

 

「はい、捕まえたぁ〜♪」

 

拳がぶつかる瞬間、キメラングは得意のショートワープを繰り出すとツイスターの攻撃を避け、彼女の背後に現れるとチョークスリーパーを掛ける。

 

「ぐっ、この!離しなさい!」

 

「まあまあ、そんな焦らない」

 

ツイスターはなんとかキメラングを振り払おうとするが、しっかりと彼女はツイスターが逃げない様に腕を堅く固定している。

 

「ツイスター!…やっぱり僕も戦います!」

 

捕まっているツイスターを見てツバサはミラージュペンを握ると2人の元へ駆け出そうとする。

 

「おっと、生憎今回は私とツイスターのデートなんでね。君はお呼びじゃ無いんだよ。キメランラン♪」

 

「なっ、ツバ─」

 

「つ、ツイスター!」

 

ツバサが戦いに介入しようとする直前キメラングはツイスターを連れて何処かへ消えてしまう。直前にツイスターはツバサに手を伸ばし、ツバサも彼女の手を掴もうとするが空振ってしまう。

 

─────────

 

そして、キメラングによって何処かへ転移したツイスターは連れ出された先が屋外である事に気づく。

 

「こ、此処は…!」

 

「城の中庭さ。此処なら私の開発した新たな発明品を最大限に利用できると思ってね」

 

「っ!いい加減、離れなさい!」

 

耳元で呟くキメラングにツイスターは背筋がゾクっと感じ、一刻も早く拘束を抜け出そうと彼女のつま先を踏み付けるとキメラングは突然の爪先のダメージに腕の力を緩め、そこからキメラングを背負い投げ。しかしキメラングは空中で回転して綺麗に着地する。

 

「あんた、私をこんな所に連れてきて何するつもりよ!」

 

「何って、そろそろ君を本気で捕まえようと思ってね」

 

「何ですって?」

 

キメラングの台詞を聞いてツイスターは眉を顰める。以前よりキメラングはツイスターを筆頭に他のプリキュア達を捕まえようとしてきたが、彼女は今回もそのつもりのようだった。

 

「何時もそう言って私を捕まえようとしたけど、結局口だけじゃない」

 

ツイスターの言う通りキメラングはプリキュアを後一歩のところまで追い詰めるが最後は負けてしまうことが多々あり、未だに有言実行出来ていなかったのだ。

 

「確かに君の言う通りだ。だが、それは何時も私がデータを取るのに夢中になって最後の所は油断してしまう。それは私の悪い癖だ。だが、今回はその反省を生かして私の代わりに彼に戦ってもらう事にするよ」

 

「彼?…一体誰のこ…っ!?」

 

キメラングの口から出た彼にピンとこないツイスター。まさか、バッタモンダーの事ではと考えるが、突然背後に殺気を感じ、顔の前に両腕を交差させながら振り返ると巨大な拳がツイスターに叩き込まれる。

 

「ぐ、あああああっ!!!!」

 

なんとか耐え切ろうとするも想像以上の重い一撃にツイスターの身体は宙を舞い地面に叩きつけられる。

 

「ぐぅ…な、何よコイツは!?」

 

決して軽くないダメージを身体に負ったツイスターはなんとか立ち上がると自身を攻撃した存在の姿を視界に入れる。其処には大きさが3mを超える巨体に漆黒のボディを身に纏った2本の角がある人型のロボットが存在していた。

 

「紹介するよ。彼は対プリキュア用に私が作り出したロボット、ハイマックスさ」

 

「ハイ…マックスですって?」

 

如何にも強そうな名前とその見た目に思わず後退りする。対してハイマックスはツイスターの姿を自身の視界にいれる。

 

「…データ照合…キュアツイスター照合率97.45%」

 

「喋った!?まさか、このロボットは人工知能があるの!?」

 

まさか喋るとは思わなくツイスターは驚いた表情を見せる。そんな彼女を見てキメラングはニヤリと笑みを浮かべる。

 

「いい反応ありがとう。そうさ、今回私が作ったこのハイマックスには人工知能を搭載してあるのさ。私が予めプログラミングして行動させるのも良いけど、君達の行動パターンは未知数だからね。こうやって自分で考えて行動する様にしたのさ」

 

「くっ…!」

 

キメラングの説明を聞いてツイスターは戦いの構えを取る。以前の様にスカイ達と共に相手をしたデスメットロボの場合はキメラングが操縦していた為、操縦者を翻弄させれば勝てたが今回は自分で考えて行動する人工知能のロボットだ。冷静で的確な判断で自身の戦いに対応してくるだろうと考える。

一方でハイマックスは無機質な表情を一切変えずに口を開く。

 

「…私は貴様等プリキュアを排除するのが作られた目的だ」

 

「違う違う。捕まえるのが目的だよ」

 

黙々と自分の目的を喋り出すハイマックスに対してそれを作った本人であるキメラングが訂正する。

 

「いや、君に早く彼をお披露目したくてね。ちょっと焦ってプログラミングをミスってね。まぁ、最悪ギリギリの所で止めるから安心するといいよ」

 

既に勝ったことを前提に喋るキメラングにツイスターの癇に障ったのか、拳を強く握り締める。

 

「悪いけど……あんたのこの木偶の坊は今日スクラップ確定よっ!」

 

地面を強く踏み込んだツイスターは一気にハイマックスへと距離を詰めると、風を纏った拳をその漆黒の身体に叩きつける。だが、その一撃はハイマックスの身体に傷一つもつかなかった。

 

「嘘っ!?…があっ!?」

 

自身の攻撃が効いていない事にツイスターは呆然になり、その隙をハイマックスが突き彼女を地面に叩き落とす。そして、追い打ちを掛けるかのように足を上げると地面に倒れるツイスターの身体を潰そうと踏み付けようとする。

 

「くっ、はあっ!」

 

迫り来るハイマックスの巨大な足にツイスターは横に転がって避け、バク転して立ち上がると空かさず強烈な風を放つが、やはりハイマックスの身体に傷が付かない。

 

「だったら、これはどう!」

 

ツイスターは全身に風を纏って跳び上がり、

 

「ヒーローガール!ツイスターストライク!」

 

彼女の浄化技であるツイスターストライクを喰らわせるもギャリギャリと音を立てているが、傷一つついていない。

 

「これも効かない!?」

 

「その通り、お前の攻撃は無駄だ」

 

「なっ、がはっ!」

 

ハイマックスはツイスターの足を掴むとそのまま彼女の背中を地面に叩きつけると、再び彼女の身体を振り回し地面に叩きつける。

 

「ぐうっ…いい加減離しなさい‼︎」

 

「むっ!」

 

ツイスターは背中にくるダメージを堪えながら自身のマフラーを使ってハイマックスの目を覆うと、突然視界が見えなくなった事に動きを止めツイスターの足を掴んでいる拳が緩んでいる所を抜け出す。

 

「なら、ツイスタートルネード!」

 

「むぅ?」

 

それなら動きを止めようとツイスターはテンペストバトンを取り出すと、ツイスタートルネードを発動し、ハイマックスを竜巻の中に閉じ込める。

 

「どう、この強力な竜巻の中はそう簡単に「全てデータ通りだな」…え?」

 

「デスボール」

 

「ああああああっ!!!」

 

竜巻からハイマックスの黒い腕が飛び出すとそこから巨大な球状のエネルギーが放たれ、ツイスターに命中し爆発に巻き込まれる。

そして、爆煙が晴れると身体が所々傷だらけになったツイスターが地面に片膝を突く。

 

「ぐ、なんで…私の攻撃が全く効かないのよ?」

 

ボロボロになりながらもツイスターはハイマックスを睨みつつも、自身の攻撃が効いていないことに不思議に思っていると、その質問にキメラングが答える。

 

「君の攻撃が効かない理由について教えるよ。私の作ったハイマックスは今まで私が戦ってきたプリキュア達のデータが入っていて、そのプリキュア達の攻撃が一切通用しない様に作ったんだよ」

 

「な、何よそれ!?」

 

なんて無茶苦茶な。キメラングの言う事が本当であるのなら自身の攻撃が通用しないのが頷ける。

 

「君やキュアスカイとキュアプリズムにキュアウィングは勿論、デリシャスパーティ♡プリキュアの4人に加えて更には並行世界にいるキュアサンライズとキュアスノーのデータが全て入っていてるから、対プリキュアに特化した私の最高傑作さ♪」

 

「ドクターキメラングの言う通りだ。お前が私に勝てる確率は0%だ」

 

「くっ…」

 

先程攻撃をされた事によりツイスタートルネードが解かれた事でハイマックスは自由となり、ツイスターを倒そうとゆっくりと近づく。ツイスターはなんとか立ち上がって諦めずに立ち向かおうとするが、その時彼女の視界には空を飛ぶ何かが入る。

 

「あれは……シャララ隊長!?」

 

「むっ?」

 

ツイスターの声にキメラングは彼女の視線の先を見て、ワシオーンの背に乗って飛ぶシャララの姿を確認する。

 

「おや、プリキュアの援護か……危険を顧みずに行動するとは大した物だねぇ」

 

「っ、あんたは止めに行かないの?」

 

折角自分達の用意したランボーグをこのままではシャララの援護によりスカイ達に浄化される事になるにも関わらず止めようとしないキメラングの姿に不思議に思った。

 

「ああ、構わないよ。だって、あのランボーグは此処からでも起爆出来るしね」

 

「起爆って……っ!?ま、まさか!」

 

キメラングの言葉を聞いてたツイスターは察した。キメラングは上空に浮かぶランボーグを今爆発させるつもりなのだと。

 

「しゃ、シャララ隊t「逃がさん」ああっ!?」

 

その場を跳んでシャララに危険を知らせようするも、ハイマックスが彼女を地面にたたき落とした。だが、ツイスターは倒れてもシャララに向かって手を伸ばしている。

 

「おや、あの剣士のことが大事なのかい?…それなら安心すると良い。あのランボーグに入っているアンダーグエナジーはスカイランドを吹き飛ばす程の量は最初から入っていないよ」

 

「ほ、ほんt「だけど、あの剣士のいる場所は距離的に爆発に巻き込まれるね」…え?」

 

一瞬爆発の範囲が狭いと聞いて安堵するが、シャララが爆発の範囲にいると聞いて頭が真っ白になる。そして、彼女の表情を見てキメラングはニヤリと笑みを浮かべるとダークパッドを白衣から取り出した。

 

「しゃ…シャララ隊長っ!!!!

 

「「ツイスター!?」」

 

「っ!?」

 

ツイスターの声がランボーグを浄化しているスカイとプリズムに聞こえ更にはシャララ本人に聞こえ反応を見せるが、無情にもキメラングはダークパッドの鏡面に触れてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その直後。ランボーグの身体が白く光るとそこから大きな爆発が引き起こされ、至近距離にいたシャララとワシオーンは爆発に巻き込まれる。

 

「「あああああっ!!!」」

 

加えてランボーグの爆発によって起きた爆風に吹き飛ばされたスカイとプリズムは城の壁に叩きつけられ意識を失う。そして、爆発したランボーグを見てキメラングは満足行く表情を浮かべていた。

 

「よし、ランボーグの爆発は計算通りの範囲内で爆発し、スカイとプリズムも爆風に巻き込まれて気絶したね。これでバッタモンダー君のお膳立ては出来たね」

 

スカイ達が気絶したのを見て、キメラングは自身の想定した通りの事が起きて嬉しそうにする。

 

「なんで…よ…!」

 

「ん?」

 

そんな中で背後から聞こえてくる声にキメラングは振り向くと其処には地面に両手と両膝をついて涙を流すツイスターの姿があった。そして、彼女は涙を流しながらキメラングを睨みつける。

 

「なんで、シャララ隊長を殺したのよ…!あの人は……とっても良い人なの‼︎ソラの憧れの人物で心優しい人で、私を助けてくれた…とってもいい人なのに……どうしてよぉ…!」

 

ツイスターは泣く。彼女にとってシャララは短い付き合いではあったものソラの様に心優しく誰に対しても平等で接し、困っている人がいれば助ける良き人格者だ。そして、今日まで一時的ではあるものの仮隊員であるらんこの上司であった人だ。そんな人物を躊躇いもなくランボーグの爆発で殺したキメラングの行動が理解出来なかった。

 

「なんでって……まぁ、最初はそのつもりは無かったけど、君を怒らせる事によって起きる特殊な現象とやらを見て見たかったんだよね」

 

「私を……怒らせる……?」

 

ツイスターはそれを聞いて思考が固まる。つまりシャララが死ぬような事になったのは自分を怒らせる…たったそれだけのシンプルな事だった。

 

「そう……そうなの、ね……」

 

「おっ…」

 

すると、ツイスターを中心に辺りから突然風が起き、それが段々と強くなっていく現象にキメラングは興味深そうに見つめ。ハイマックスも動じない姿勢を見せる。

 

「良いわよ……そんなに私を怒らせたいのなら…… 望み通り、怒ってあげる!!!

 

ツイスターの目が緑色に光と彼女の身体からオーラが出現すると、キメラングへ突っ込もうとした。

 

「お前の相手は私だ」

 

「邪魔だあああああああっ!!!!」

 

ツイスターの進行を妨げる様にハイマックスが立ち塞がると彼女はハイマックスに拳を叩きつけようとする。

 

「無駄な事を…お前の攻撃は私にh「ああああああっ!!!!」なにっ?」

 

先程まで傷一つ付かなかったハイマックスのボディが大きく凹む。

 

「馬鹿な…データ以上のパワーだと…!?」

 

まさか自身の身体に凹みを与えたツイスターに先程まで無表情だったハイマックスが焦りの表情を見せる。

 

「そうだよ!それだよ!!!私が見たかったのは!!!」

 

「あんただけは殺す!

 

殺気立つ言葉を吐くとツイスターは先程の攻撃により怯んだハイマックスを放ってキメラングに襲いかかろうと距離を詰めるも。

 

「実に素晴らしい。だけど、前に言ったよね。熱くなって攻撃力が上がるのも良いけど、冷静さを無くすのは頂けないねって」

 

「突然何を言っ「デスブレイク」があっ!?」

 

キメラングの言葉に気を取られている内に回り込んできたハイマックスの強烈な突進を受けるとそのまま城の城壁を叩き込まれる。

 

「これで終わりだ」

 

「あああああああっ!!!!」

 

城壁にめり込んで動けなくなったツイスターに向かってハイマックスはデスボールを放つと、まともに受けてしまい大きなダメージが彼女の身体に入る。

 

「ああ……ぁぁ…」

 

動けない所をまともに受けたハイマックスの一撃にツイスターはとうとう耐えきれず地面に倒れると、変身が解けてしまう。それを見たハイマックスは彼女に近づく。

 

「まだ息があるな……息の根を止めt「はい、そこまで〜」…む?」

 

自身の足を振り上げらんこを踏み潰そうとしたが、そこでキメラングが止めに入る。

 

「そこまでさ。後は私に任せて君はラボに戻って修理を受けてきな」

 

「了解した」

 

キメラングの指示ハイマックスは拒否する事なく応じて転移してその場から去っていく。そしてその場に残されたキメラングは倒れ伏すらんこに近づく。

 

「どうだった私の作ったハイマックスは?…まっ、見ていたからわかってたけど、圧倒的だったね」

 

「ぐっ…!」

 

キメラングの煽りにらんこは涙を流す。目の前で知り合いが命を落とす所を助けられず、ましてや怒りに身を任せて戦ったが、仇も取れず自身は指を一本も動かせない程の重傷を負っていた。そして、こんな時らんこはおみくじの最後に書かれていた大怪我をするという文を思い出す。

 

(うっ…何がラッキーカラーは白よ。全然良いこと無いじゃない)

 

今周りには城壁が視界に広がっているが全て白で塗られているが、全く役に立たないことに涙を流す。結局彼女は不幸続きで良いことは無かったと思い込んでいると、

 

「さぁて、じゃあ最初言った通り君を捕まえる……その前にやっておく事が一つある」

 

「何よ…それh…痛っ!」

 

突然キメラングはらんこの右足を掴んで靴を脱がすと、片手にメスを握る。

 

「な、何をするの…?」

 

「何って、これから君をラボに連れ帰った際に逃げない様にアキレス腱を切っておくんだよ」

 

「っ!い、いや!や、やめて…!」

 

「や〜だよ♪」

 

抵抗しようとするが先程の戦闘によるダメージにより身体に力が入らずらんこは止めるように言うが、キメラングはそれを拒否し自身のメスをアキレス腱に軽く当てるとそのまま切り裂こうとした。

 

「うおっ!?」

 

「な、なにっ?」

 

その時、何処から共なく飛んできた光弾がキメラングのメスを弾き飛ばし、らんこもそれを見て呆然となり光弾が飛んできた方向に視線を移す。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……ら、らんこちゃんから離れて…!」

 

其処には先程の爆風で気絶したプリズムがキメラングに向かって手を突き出していた。ただし、頭からは血を流しており息が荒く、無事な状態とは言えなかった。

 

「おっ、プリズムじゃないか。てっきり動けない…って、危な!?」

 

再び放たれる光弾にキメラングはらんこから手を離し、後退して避ける。

 

「離れて!これ以上らんこちゃんを傷つけたら私は容赦しない!!!」

 

「ぷ、プリズム…!」

 

ボロボロの状態でありながらも自分の事を助けようとするプリズムの姿にらんこは涙を流す。そして、彼女は気付いた。おみくじに書かれてあったラッキーカラーの白の事は今自分を助けようとするプリズムなんだと。

 

「カァーッ!麗しき友情って奴か…ほんと君たちは仲が良いねぇ妬けちゃうじゃ無いk「プリズムショット!」…って、危なっ!?」

 

らんこを助けようとするプリズムの姿にキメラングは感心を覚えていると容赦なくプリズムのプリズムショットが飛んできた時に冷や汗を流しながら避ける。

 

「これ以上此処にいるのなら……今度は本気で撃つよ」

 

普段温厚で優しいプリズムとは思えない険しい表情を見せると、キメラングは深くため息を吐く。

 

「はぁー……はいはい、わかったよ。そこまでは言うのなら今日は帰らさせて貰うよ。まぁ、今の私の実力ならいつでも君たちを捕まえることが出来るからね。キメランラン♪」

 

そう言ってキメラングは撤退し、プリズムも彼女がいなくなった事を確認すると安心の息を吐くとハッとなりらんこに駆け寄る。

 

「らんこちゃん!大丈夫!?今身体を起こすよって、らんこちゃん?」

 

プリズムは重いダメージにより動けないらんこの体を起こすと、突然彼女はプリズムを抱き締める。その時点でらんこの顔は涙で溢れていた。

 

「グスッ……もう少し…もう少し…このままでいさせて…!」

 

「…うん、いつまででも良いよ」

 

プリズムは自身の胸を貸すとらんこは彼女の胸の中で泣き、プリズムはそんならんこの頭と背中を母親の様に優しく撫でるのだった。




お知らせします。近日、BURNINGさんが執筆されている。熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて とコラボする事が決まりました。今回のコラボエピソードは自分が執筆する事になります。

コラボ相手の作品のURLを貼っておくので気になった方は是非読んでみてください。

https://syosetu.org/novel/330971/

次回も楽しみにしていて下さい。
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