ひろプリに野良猫系キャラを入れてみた   作:獅子河馬ブウ

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第50話 スカイランドからの帰還

あの後、プリズムに肩を貸して貰いながららんこは謁見の間に戻ると其処には床に倒れているツバサとスカイの胸の中で泣いているエルの姿があり、更にその奥には胸から黒いエネルギーの様な物が浮かび目を覚さない王と王妃の姿があった。

どうやらツイスターがキメラングに連れ去られたあとに警備が手薄になった隙を狙ってバッタモンダーがやってきてツバサを倒した後、王と王妃に呪いの様な物を掛けてしまった様だ。

 

「ごめんね…ごめんねみんな…」

 

「「「らんこちゃん(さん)……」」」

 

泣きながら己を責めるらんこにソラ達は彼女の姿を見つめる。自分がちゃんと此処にいれば王と王妃がエルの目の前で呪いをかけられずに済んだ事と同時にキメラングが彼女の力を見たいからという理由でランボーグを起爆してシャララを殺した事による己を責め続けた。

それかららんこは手配して貰った城の一室にて一人ベットに潜り込んでいる。先程まで泣き続けていたらんこの目はすっかり充血し、腫れている。

 

(……私の所為でシャララ隊長や王様に王妃様も…)

 

らんこにとって先の件によって亡くなったシャララはやや強引な所があるものの良き人格者として認識している。怠け癖のある己を部下として扱い厳しい所があるものの、時には優しい一面を見せ、まるであげはの様に歳の離れた姉の様に接してくれたのはらんこにとって心地良かった。

また、王と王妃は邂逅した際に無礼な事をしたにも関わらずそれを許し、大きな器を見せてくれた。また、国民からも慕われてエルの親としても立派である。そんな2人を守れなかった事に深く後悔し、スカイランドの国民達から恨まれているのではと不安になってしまう。

 

「らんこ…入るぞ」

 

「っ!」

 

部屋に入ってきたのはベリィベリーだ。らんこは彼女の声を聞いてビクッとなる。彼女もシャララを慕っていた人間の1人だ。らんこはベリィベリーがシャララが死んだ要因となった自分を責めにきたのかと考えてしまう。

 

「らんこ……今お前が何を考えているのか私には分かる。大方、シャララ隊長と王様達の件で国民から恨まれていると思い込んでいるのだろう」

 

「……」

 

その通りだ。ベリィベリーの思っている通りらんこは国民だけでなくソラ達やベリィベリーからも何か言われるのではと不安になっていた。

 

「安心しろ。誰も今回の件はらんこの所為なんt「嘘よ‼︎嘘に決まっている‼︎」…らんこ」

 

らんこはベリィベリーの言う事を否定すると毛布を剥がして充血した目でベリィベリーを睨む。らんこはかつて周りから虐められていたトラウマを思い出す。

 

「あんたも青の護衛隊…いや、スカイランドの皆んなも私の所為でシャララ隊長がいなくなって、王様達には呪いを掛けられたのよ……私の事を憎くくて恨んでいるに違いな──」

 

違い無いと断言しようとしたが、その時パンッという音と共にらんこの頬に痛みが走る。らんこ自身一瞬何が起きたのか理解出来なかったが、数秒経って理解した。それはベリィベリーが己の頬を叩いたのだと。

 

「な、なにを「私達を馬鹿にするな‼︎我々青の護衛隊とスカイランドの民は今回の件で一番傷ついているお前を恨むほど弱く無い‼︎」……」

 

突然叩いた事に文句を言おうとしたらんこだったがそれを遮る様にベリィベリーは怒りながららんこに訴える。

 

「私も後悔している。あの時、お前と共に謁見の間の警備をしていたらもしかしたら何か変わったのだろうと……だけど、そうしなかったのはお前がプリキュアだから大丈夫だろうと思っていたからだ。だが、お前はソラと同じ私より歳が下にも関わらず戦いとは無縁な生活をしていたのだろう?それにお前は責任感が強い……そんなお前に辛い思いをさせた事に私は私自身に怒っている…!」

 

「ベリィ…ベリー……」

 

己の拳を強く握り今回らんこ達に辛い思いをさせてしまった自分達の行動に怒りを露わにする。一方でらんこは再び目に涙を浮かべる。

 

「お前は我々青の護衛隊の仲間だ…そして、私の友達だ。そんならんこを恨む訳無いだろう!」

 

「う……うわああああああああん!!!」

 

ベリィベリーの言葉にらんこは再び泣き出した。先程までの悲しみの涙では無く自分の事を今でも友として大事に思うベリィベリーに嬉しさのあまりの涙を流すのだった。

そして、そんな彼女に対してベリィベリーは抱きしめて背中を摩るのであった。

 

─────────

 

それから暫く時間が経ち、らんこは泣き止むと顔を赤くして恥ずかしそうな表情を浮かべる。

 

「その、ごめん…隊服汚しちゃって…」

 

「ああ、気にするな…らんこは前に私を慰めてくれたからな。これでお相子だ」

 

「ぷっ、何よそれ…」

 

ベリィベリーの言葉がおかしく思ったのか、つい笑ってしまうらんこ。そんな時、ソラがやってきた。

 

「らんこさん…お話がありまし…って、ベリィベリーさん?」

 

何からんこに用事があったソラは彼女の部屋に入った際にベリィベリーの存在に気づくと続いてらんこが辛そうな表情ではなく何かスッキリした表情を浮かべている事にソラは察した。どうやらベリィベリーがらんこの精神を回復してくれたのだと。

 

「ソラ、どうしたんだ?」

 

「あっ、いえ、何でもありません」

 

ソラの視線に気が付いたベリィベリーは自分に用があるのかと思い声を掛けるもソラはなんでも無いと誤魔化すと内心でらんこを慰めてくれた彼女にお礼を言ってかららんこの方に視線を向ける。

 

「実はらんこさんにお話があってやってきたんです」

 

「私に?…それって一体なに?」

 

自分に話と聞いてあまりピンと来ないらんこはそれがなんなのか聞く。

 

「実はエルちゃんを連れてソラシド市へ帰ろうと思いまして」

 

「え、ソラシド市に…どうして?」

 

突然ソラシド市へ戻るという発言に目を丸くする。

 

「ええ、スカイランドにいるよりもヨヨさんに王様達に掛けられた呪いを調べて貰うのと、今回の一件でエルちゃんを守る為にはやはり私達は一箇所にいた方が良いと思ったんです」

 

確かにソラの言うことは一理ある。ヨヨに呪いを調べてもらうのもそうだが、今回はいつもの様に自分達が一緒に行動していれば普段通り…までとは言えないが少なくとも結果がまだマシになっていたかもしれない。

 

「でも、良いのソラ?…此処はソラの故郷よ。今国が大騒ぎをしている時にソラシド市に戻るなんて…」

 

らんこは心配そうな顔を浮かべる。幾らエルの守りと王達の呪いを解くとはいえ、自分の故郷が今大変な時に離れるのはソラとしても辛い事だ。それに憧れのシャララを失ったばかりの彼女は今無理をしているのではと心配する。

すると、ソラは服のポケットから何かを取り出す。

 

「それは…ペンダント…かしら?」

 

ソラが手に持つ青い宝石…スカイジュエルのペンダントにらんこはじーっと見つめていると、ある疑問が浮かぶ。

今までメイクとかのオシャレなどあまりやらないソラが何故ペンダントなんて持っているんだ。ひょっとして家族から貰った物なのかと思ったが、ソラシド市にやってきた時は服と手帳以外待っていなかった筈だ。それなら何処で手に入れたのか疑問に感じる。

 

「お、おい、ソラ…それを何処で手に入れたんだ…!?」

 

「ベリィベリー?…急にどうしたの?」

 

するとネックレスを見たベリィベリーの様子が急変する。その表情はとてつもなく驚いた表情であり、らんこは彼女の驚きようが気になった。

 

「そ、それはシャララ隊長が大事に身に付けていたネックレスじゃないか‼︎」

 

「なっ、シャララ隊長のネックレス!?そ、ソラ、それを何処で!?」

 

もしかして、シャララが生きているのではと微かな希望を抱きながらもらんこはソラに問い詰める。

 

「これは私の部屋に手紙と共に置いてあった物です」

 

「手紙と?」

 

シャララの生きているかもしれない手掛かりと思ったがそうでは無いと知ると、らんこは一瞬ガッカリするがネックレスと共にあった手紙の存在が気になった。

 

「ソラ…その手紙を私に見せてくれないか?」

 

ソラは服のポケットから手紙を取り出すとベリィベリーに渡した。対してベリィベリーは手紙を開いて内容を見ると笑みを浮かべる。

 

「立ち止まるなヒーローガール…また会おう…ふふ、隊長らしいな」

 

シャララが残した手紙にはそう書いてあった。確かにこんな所で燻っているよりもちゃんと前進しないと行けない。

 

「ええ、隊長の言う通り此処で悲しみに明け暮れて立ち止まらずに今何をすべきかが大事なんです!」

 

「ソラ…」

 

らんこはソラの目を見つめると一切の曇りも無い。今、彼女自身が何をすべきか理解している様だ。

 

「わかったわ…確かに私も落ち込んでいる暇があるなら、呪われた王様達を救う方が先決よね」

 

らんこもソラに感化されると自身も進むべき道を進もうと決心する。

 

「あ、でも…良いのかしら?シャララ隊長がいない今、青の護衛隊から私とソラが抜ける事になるけど…」

 

今のスカイランドの事情に加えて、らんこによって人手不足な青の護衛隊はソラと自身が抜けてしまったらシフトに影響が出るのではと思ったが、

 

「心配するな。先程も言ったが、スカイランドの住民は弱く無い。お前たちが抜けた穴くらい私達でフォローする事は可能だ。それに怪我していた隊員達はもう直ぐ復帰する。だからこっちの心配はせずお前たちはお前たちの道を進め」

 

「ベリィベリー……ありがとう!」

 

らんこはベリィベリーの言葉が嬉しくなり、思わず彼女に抱き着いてしまう。

 

「ああ、これくらいの事気にするな(ああ、らんこの感触と匂いがダイレクトに伝わってくる…この機会にもっとらんこの匂いを…!)」

 

口では冷静さを装っているが、内心らんこに抱きつかれた事に興奮ししばらく会えないであろうとらんこの首元や髪の匂いを何度も吸った。一方でらんこは普段と比べて精神が弱っており、ベリィベリーの行動に気付けず、ソラも位置的にベリィベリーの背中を見ている状態である為、彼女の変態的行動には気づかなかった。

 

─────────

 

それからという物のらんこ達はましろ達と合流してソラシド市へ帰ることを伝え、翌日には身支度を終えソラシド市へ繋がるゲートの前に立っていた。

 

「皆さん、見送りありがとうございます」

 

「気にするな。こっちは引き続きシャララ隊長の捜索を続ける。何かあったら報告するぞ」

 

自分達を見送りに来てくれた青の護衛隊にツバサの両親がおり、ソラがお礼を言うと代表として副隊長であるアリリが答える。彼もそうだが青の護衛隊は全員シャララが亡くなったなど誰一人思っておらず何処かで生きていると信じている。

一方でベリィベリーはらんこに話しかける。

 

「らんこ…もし、何か危険な事が起きたら直ぐにそちらへ行くからな」

 

「ええ、何かあったらその時は頼りにするわ」

 

ベリィベリーは何から何まで世話になっておりらんことしてもすっかり心強い存在になっていた。

一方でそのやり取りを見ていたましろとツバサはらんこのためなら些細な事でもソラシド市へやってきそうと思い、苦笑いを浮かべる。

そして、一通りの挨拶を終えるとらんこ達はゲートの方へ向き直る。

 

「では、ソラシド市へ出発!」

 

「「「おおーっ!」」」

 

「えるっ!」

 

ソラの号令と共にらんこ達は返事をすると1人ずつゲートへ入り、スカイランドからソラシド市へ帰るのであった。

そして、トンネルを通っている途中らんこは考え事をしていた。

 

(あのマッドサイエンティストが作った……ハイマックス。きっとまた戦う事になるわね)

 

それは自身を完膚無きまでに叩き潰した漆黒のロボット…ハイマックスの事を考えていた。ハイマックスは自分の技が全て効いておらず、その他に自分を含めた10人のプリキュアのデータが備わっており、勝つのは難しいだろう。

 

(でも、唯一あの時の攻撃は効いていたわね)

 

らんこが思い出すのは怒る事によって自身のパワーが上がった状態での攻撃だ。らんこ自身は最初火事場の馬鹿力なのかと思っていたが、最近、己のその力が周りから指摘され、怒る事によって目が緑に光り、更には全身からオーラを纏った状態で強力な力を発揮する事が自分でも認識する事が出来たのだ。

 

(でも、どういう事…あの力は明らかに変)

 

プリキュアの状態で発揮しているならまだしも変身していない状態でも使える超人的な力にらんこは不気味さを覚える。幾ら己に運動能力がそれなりにあるとはいえ、まるで化け物の様に思えるその力にらんこは自分自身が怖く思えてきた。

 

(一体何の……この力は?)

 

らんこは自身の謎の力の存在に不安になっていると、

 

「皆さん……なんだか様子が変じゃありませんか?」

 

「「「え?」」」

 

「える?」

 

突然ソラが足を止めて一同に話しかけてくる。

 

「おかしいって…何がおかしいのよ?」

 

らんこは一同を代表にソラが疑問に思っている事について聞いてみる。

 

「ソラシド市からスカイランドまではそんなに時間が掛からなかったのに今我々は10分もこのトンネルを歩いていませんか?」

 

「そういえば…」

 

「確かに景色が変わらなかったから気が付かなかったけど時間がかかり過ぎな……」

 

ソラの言う通り先程から歩いているのに一向にトンネルの出口に辿り着けない事に一同はその違和感に気がつく。

 

「何かしら……なんだか嫌な予感g──」

 

嫌な予感がしてきたと言おうとした際、自分達のいるトンネルに異変が起きる。先程まで自分達がいた青白い空間が突然上書きされるかの様に紫の空間と所々に浮かんでいる岩の光景が広がる。

 

「何よ…これ?」

 

「なんだか、長時間ここにいたら体調を崩しそう……」

 

視界に広がる紫色の空間にましろとらんこは苦手な表情を浮かべる。一方でソラとツバサとエルは何か警戒している様子。

 

「ソラさん…此処は…」

 

「ええ、前にカバトンの作ったゲートを通った先にあったトンネルと同じです」

 

「える……」

 

見覚えのあるその景色はかつてソラが攫われたエルを助ける為通った世界と世界を繋ぐトンネルであると気付きソラは辺りを警戒する。ヨヨの作ったゲートは安全である為、こういうトラブルは起きない筈になっている。だが、実際起きたと言う事はヨヨの想像も出来ないトラブルが起きたのだと思っていると、

 

「やぁ、待ってたよ」

 

『っ!?』

 

一同は自分達以外誰もいない筈のトンネル内から誰かに話しかけられた事で反射的に聞こえた方向へ顔を向けると、其処には浮いた岩に足を組んだ状態で座っているキメラングの姿があった。

 

「「「キメラング!?」」」

 

「えるっ!?」

 

突然の敵の存在に一同は驚きを隠せない。昨日スカイランドに大きな騒ぎを起こしたばかりだと言うのにその翌日に自分達の目の前に現れるなんて予想も出来なかった。

 

「あんた、なんで此処にいるのよ!?」

 

「なんでって…君たちのゲートをちょっとばかしハッキングして私のテリトリーに誘い込んだんだよ」

 

「ゲートをハッキング!?そんな馬鹿な事が…!」

 

ゲートをハッキングした…そんなぶっ飛んだ台詞に一同は驚きを隠せない。だが、らんこはある事を思い出す。かつて自分が事故で並行世界に飛ばされた時、キメラングは自分の意思で並行世界にやってきただけじゃなく元の世界に帰れた。もし並行世界を行き来する技術を持っているのなら対象のゲートをハッキング出来るのも不思議では無いと思った。

 

「それに私は言っただろう…今の私の実力ならいつでも君たちを捕まえることが出来るからって」

 

まさか昨日襲って今日も襲撃をかけてくるとは思ってもみなく、一同は辛そうな表情を浮かべる。エルを除いて全員昨日の戦いにて負傷しており戦うのも難しいだろう。

 

(最悪っ、みんながボロボロの状態で襲ってくるなんて…!)

 

ただでさえキメラングには苦戦を強いられているのに全員がボロボロの状態では勝つことはほぼ不可能に近い。何とかこの状況を打開する作戦が無いか考えていると、

 

(ん、あれは…?)

 

すると、らんこの視界の端、少し距離が離れた場所には青白いゲートの様な物が確認出来た。恐らくあれがソラシド市へ繋がるゲートなのだろう。だが、簡単にゲートを通る事は出来ないだろう。仮に通ったとしても態々此処で待ち伏せしていたキメラングの事だ。彼女も自分達を追いかける為、ゲートを通るだろう。

そうなると、やる事は一つだ。

 

「…みんな聞いて、この状況を打開する作戦があるわ」

 

「「「え?」」」

 

「えるっ?」

 

4人はらんこの"打開する作戦"という言葉に耳を貸す。

 

「あっちの方向を見て、青白いゲートがあるでしょ?」

 

「あ、本当です!」

 

「もしかしてあれはソラシド市へ繋がっているのかな?」

 

「僕たちが通ってきた方向を考えれば恐らくその可能性が高いです」

 

ソラ達も自分達が通ってきた青白いゲートの存在を確認すると安心感を覚える。

 

「確認出来たわね…なら、これから私の言う事を聞いて。そうすれば此処を直ぐに離脱してマッドサイエンティストから逃げる事が出来るわ」

 

「本当に…わかったよ」

 

ましろを筆頭にソラとツバサも彼女の言う事を信じることにした。

 

「作戦会議かい?…まっ、私は一向に構わないけど、昨日はお預けを喰らったから今回ばかりは容赦無く行かせてもらうよ」

 

そう言ってキメラングは赤いドローンを呼び出すと体に装着してハイスペックアーマーとして身に纏った。それを見て冷や汗を流す。ハイスペックアーマーを身に付けたキメラングとは戦った回数はたったの一回しか無い。しかし、それだけでも自分達を圧倒していた強さがある為、一同は一瞬怯んでしまう。

 

「みんなゲートの方へ向いて」

 

「「「うん(はい)」」」

 

ソラ達がちゃんとゲートの方を向いた事を確認すると、らんこはこっそりと自身のミラージュペンを取り出した。

 

「ひろがるチェンジ…ツイスター」

 

「「「…え?」」」

 

そして、一気に変身したツイスターにソラ達は思わず振り返る。対してツイスターはテンペストバトンを取り出すとソラ達に向かって構える。

 

「悪いけど、手荒な真似になるわ。ツイスタートルネード!」

 

「「「な、ああああああっ!?」」」

 

「え、るうううううっ!?」

 

テンペストバトンから発生した竜巻に呑み込まれるそのままゲートのある方向へ飛んで行ってしまう。

 

「ツイスターどうして!?」

 

「どうしてこんな事をするんですか!?」

 

彼女の突然の行動にましろとツバサは困惑の表情を浮かべながら彼女に聞く。

 

「…こうでもしないと皆んな捕まっちゃうからよ」

 

「そ、そんな…それじゃあらんこちゃんが…!」

 

自分達を逃がす為ツイスターがこの場に残ってキメラングと1人戦うという事になる。

 

「心配しないで…私は前にも言ったけど悪運は良いからちゃんと皆んなの所に戻るわ。だから、先にソラシド市へ戻ってて!」

 

「む、無茶だっ!らんこさんは怪我をしているんですよ!僕たちも戦います!」

 

ツバサの言葉にソラとましろ達は竜巻に巻き込まれながらもミラージュペンを取り出してツイスターと共に戦おうと考えて変身しようとする。

 

「ありがとう……だけど、今は1人でも多く助かるのが大事なのよ!」

 

そう言うとツイスターはテンペストバトンの出力を上げ、ソラ達を一気にゲートの方まで飛ばしていく。

 

「きゃあああああっ!!!!」

 

「うわあああああっ!!!!」

 

「えるるるるるるっ!!!!」

 

「くっ、らんこさあああああああん!!!!」

 

最後にソラがツイスターに手を伸ばしながら白のゲートに入っていくと、ゲートは閉じ紫色に広がる空間にはツイスターとキメラングの二人が残った。

 

「おや、キュアスカイ達の力を借りず君一人でこの私と戦うつもりかい?」

 

「ええそうよ」

 

ツイスターはキメラングの方へ振り返るとファイティングポーズを取る。だが、彼女は昨日のハイマックスとの戦いによって出来た傷がまだ完全に癒えていない為、全力で戦う事は出来ないのだ。

 

「君は手負いなんだから無理せず彼女達の力を借りれば良いものを…」

 

「それには及ばないわ。今の私は脳内からアドレナリンが大量に分泌されて…… 力が漲っているのよ!

 

そう言ってツイスターは全身から緑のオーラを放つ。今の彼女は動くのも辛いがエルを悲しませたバッタモンダーとシャララを殺したキメラングに対しての怒りの感情が原動力であり、同時に怒る事によって自身の身に起きる強化に賭ける事にした。

 

(正直この力の正体が未だにわからないけど…今はこいつを確実に倒す為使える物は使わないと!)

 

自身の強化はもしかしたら何かデメリットや後遺症などがあるかもしれない。だが、今勝つにはこの力を使うしか他ならない。

 

「ほう、手負いであるにも関わらずここまでのエネルギーを出すとは……面白いねぇ」

 

「フンッ!あんたのにやけ面……今此処で私が叩き潰す!」

 

そう言って一気に距離を詰めるとキメラングに一撃を叩き込もうとするが、避けられツイスターの一撃はキメラングのすぐ後ろの岩を粉砕する。

 

「ヒューッ!良いね。先日のハイマックスの戦いもそうだけど、その強化は中々の物だ。益々今の君の身体を調べたくなったよ」

 

「調べられる物なら調べてみなさい‼︎」

 

再び距離を詰めようとするツイスターに対してキメラングは身体に装備したドローンからレーザーを放つ。だが、それをツイスターは全て避け、キメラングの懐に入り込む。

 

「んなっ!?」

 

「はあああっ!!!」

 

「ぐおっ‼︎」

 

ツイスターに頬を殴られ、その場から吹っ飛ぶも近くの岩に着地する。

 

「プッ…成る程、パワーも想像以上だね」

 

頬を殴られた際口の中を切ってしまい血を吐き出すと、普段とは違い冷静にツイスターの力を評価する。

 

「言っとくけど、あんたにはシャララ隊長の件があるから少なくとも後数発は殴らさせて貰うわよ!」

 

ツイスターは自身の今の状態ならキメラングに勝てると確信し、決着を付けようと距離を詰めていく。

対してキメラングは迎え撃つ姿勢や防御の構えを取らず迫り来るツイスターの姿を見つめる。

 

「ふむ、これは遊んでいたら本当に負けそうだね。あまりこれは使いたく無いけど、私も君を早く捕まえて実験がしたいから使わせてもらうよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クロックアップ!」

 

「っ!?が、ああああああああっ!!!」

 

突然ツイスターの身体が吹き飛び近くの岩に叩きつけられ、全身から激痛が走る。

 

(な、に…何が……起きた…のよ……?)

 

ツイスターは突然の出来事に理解出来ず、己の身体を見ると全身に打撲の跡と所々血を流して動けない状態になっていた。

自身はキメラングに攻撃しようとして突っ込んだが、気がついた時には全身が傷だらけになってやられている事に困惑する。

すると、そんな疑問を答える様にツイスターの下にキメラングが近づく。

 

「ちょっと、先日現れたゼインが使った能力を再現してみたんだ……まぁ、この"クロックアップ"って言う力はオリジナルの力とは少し原理は異なるけど出来るだけ再現してみたんだよ……まぁ、一回使ったらオーバーヒートを起こすから長期戦には向かない能力だけど」

 

そう言ってキメラングは全身に付けたドローンから煙が出ている様子から連続で使える能力では無いとわかるが、今のツイスターにはキメラングの話が聞こえない。全身の怪我と大量の出血により意識が朦朧としていたのだから。

 

(うぅ…失敗だった……私1人でコイツと挑むなんて…!)

 

今更後悔するがもう彼女には指を一本も動かせる力すら残っていない。そうなるとこの場から逃げるのは不可能。後はキメラングに連れ去られ恐らく非合法な実験を行う為のモルモットとして身体を弄くり回されるだろう。

 

(い、嫌…誰か…助けて……助けて…!)

 

自身のこれから受けるだろう出来事を想像すると、らんこは助けを求める。すると、かつて自身がやられそうになって捕まりかけた際に助けてくれた人物達の姿が脳内に浮かび上がる。

 

(お願い、助けて……アサヒ、ユキ……ひか…る……)

 

此処にはいない並行世界の友達に助けを乞うと彼女の意識は失い、同時に変身が解かれる。

 

「おっと、つい熱く語ってしまったよ。さて、ツイスター今回こそ私の勝ち……って、意識を失ったか」

 

キメラングはいつの間にか気絶しているらんこの存在に気が着いた。自分の再現した能力の説明について聞いていなかった事に少々落胆する。

 

「まぁ、いいさ。元より君は敗者…即ち勝者である私が君の身も心もどうにかする権利、生殺与奪の権を握っているからこのままラボに連れ帰らせて貰うよ」

 

そう言ってらんこの身体に手を伸ばそうと瞬間だ。らんこの持つスカイトーンが突然激しく光り出したのだ。

 

「っ!な、なんだこの光は!?」

 

突然の現象にキメラングは思わず後退する。一方で光は激しさを増し、やがてはらんこの身体を包み込む程の大きさとなりキメラングはあまりの眩しさに目を覆う。

そして、光が晴れるとそこには先程まで倒れていたらんこの姿が消えていた。

 

「な、なんだとおっ!?」

 

姿を消したらんこにキメラングは驚愕の表情を浮かべて周囲にもしかしたら隠れているのではと見渡すが、居ないと分かると青筋を浮かべる。

漸くらんこの身体を調べられると思ったのにまたお預けをくらったのだと理解すると、怒りが沸々と噴火直前の火山の如く募らせていく。

 

「ど、何処に行ったああああああああああっ!!!!」

 

怒りが爆発したキメラングはドローンからレーザーやミサイルを発射し周囲にある岩を破壊して怒りを発散させて行く。

そして、暫く岩を破壊した事により冷静さを取り戻していく。

 

「フゥー…フゥー……そうかいそうかい。そこまでこの私と鬼ごっこがしたいのか……なら付き合って上げるよ!そして、今度こそ捕まえて君の身体を調べるよ!キメランラン‼︎」

 

そう言うと今度こそらんこを捕まえる事を決心するとキメラングはその場から消えるのであった。

 

────────

 

一方で消えたらんこはと言うと、現在ある場所へ倒れており。微かであるが意識が浮上する。すると、少しずつではあるものの全身冷たく感じた。

 

(何かしら…からだが冷たい……これは……みず?)

 

自身の身体の冷たいのは己の身体が水溜り…否、川に浸かっているのだと理解する。

 

(此処は川…と言う事は……三途の川って奴……かしら)

 

先程の戦いで自身はもう身体を動かせない程の怪我を負った為、とうとう死んでしまったのかと思い込む。すると、遠くからこちらに迫る何人かの足音のような物が聞こえる。

 

(何かしら……ひょっとして死神でも迎えに来たのかしら?)

 

視線を足音の方にずらすも戦いで血を多く流し過ぎた為、全身倦怠感や痛みによって目が霞んでおり近づいてくる人物の姿がボヤけて分からず、更に音まで聞こえなくなっていく。

 

(ああ、駄目ね音も聞こえなくなってきた……ソラ、ましろ、ツバサにエル…あげは…姉さん……ベリィベリー……それにひかる……最後……かお…みたかった…なぁ…)

 

それを最後にらんこは意識を再び失うのであった。




お知らせします。次回よりBURNINGさんが執筆されている。熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて とのコラボエピソードが始まります。

コラボ相手の作品のURLを貼っておくので気になった方は是非読んでみてください。

https://syosetu.org/novel/330971/

次回も楽しみにしていて下さい。
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