ひろプリに野良猫系キャラを入れてみた   作:獅子河馬ブウ

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少し遅れてすいません。コラボ4話をどうぞ


第54話 邂逅する風の少年と攫われる風

その頃、ツイスターがキメラングと戦っている時、街の中でムーンライズ達とハイマックスの戦闘が繰り広げられていた。

 

「ふっ」

 

「皆んな避けろ!」

 

先手を取ったのはハイマックスだ。5人に向かってハイマックスは距離を詰めると巨大な腕を振り下ろし襲い掛かる。それに対してムーンライズの声掛けでプリキュアは一斉に散会し、攻撃を避ける。

 

「はあっ!」

 

「無駄だ…む?」

 

プリキュア達が避けて直ぐにプリズムがハイマックスに向かって光弾を放つも、ハイマックスは冷静にデスボールを放ち相殺する。更に其処へオーロラからの新たな光弾が迫る。ハイマックスは先程と同様に焦る事なく今度は手から小さなエネルギー弾を放って相殺しようとする。しかし、その光弾はハイマックスからのエネルギー弾を全てすり抜けてしまった。

 

「なにっ?」

 

ハイマックスは慌ててこちらに迫る光弾を咄嗟に腕で庇い防ごうとする。だが、光弾はハイマックスの腕に接触すると特に爆発する事はなく。また自分へのダメージが無い事にハイマックスは不思議に感じた。

 

「ぐっ!?」

 

「やったぁ!命中!」

 

いつの間にか背後に現れたオーロラの放った光弾がハイマックスの背中に命中しよろけてしまう。

 

「むんっ!」

 

ハイマックスはすかさず反撃のエネルギー弾を撃つ中で、それがオーロラに命中するかと思いきや彼女の姿は消える。直後にオーロラがハイマックスの顔の真横に出現すると拳を振りかぶる。

 

「氷雪拳!氷ノ型!」

 

「ぐっ!?」

 

ハイマックスの顔にオーロラの拳が当たると顔の半分氷で覆われ、ハイマックスはオーロラに向かって拳を振るうも再びワープして避ける。

 

「こっちだ!」

 

「…目障りだ」

 

続いてウィングがハイマックスの周りを飛び翻弄させる。周りを飛んでいるウィングを叩き落とそうとするも先程オーロラによって顔半分が凍り付いた事に右目の機能が停止して視界が狭まり攻撃を当てることが出来ない。

 

「こっちですよ!」

 

「ぬっ!」

 

更にウィングに集中していた事で死角に入っていたスカイの存在に気付かず懐に潜り込まれアッパーをくらうが、スカイの攻撃では有効打にならず。ハイマックスは直様スカイに攻撃をしようとする。

 

「させねぇよ!」

 

「ぐっ!?め、目がっ!?」

 

その直前ムーンライズの放った光弾がハイマックスの無事な左目に当たると爆発し、ハイマックスは思わず顔を手で覆い苦しそうにする。

 

「今だ!ひろがる!ウィングアタック!」

 

「ぐおっ!?」

 

更にウィングの突進がハイマックスの胴体に決まり、地面に膝を付ける。

ハイマックスにとってはスカイ達の攻撃は一つ一つは大したダメージは無いが先程から繰り出すコンビネーションに翻弄され、段々と冷静さが欠けてくる。

 

「こざかしい!」

 

「「うわぁっ!?」」

 

ハイマックスは左右にシールドの様な物を形成するとそれを防御に使うのではなくスカイとウィングに向かって飛ばし、2人はそれをくらってしまう。更に追い打ちをかけようと2人に向かってデスボールを放とうとする。

 

「おい、デカブツ!こっちを見ろぉ!」

 

「っ!」

 

反射的にムーンライズの声を聞いてそちらの方に向くと其処には月をバックに両手からエネルギーを溜めているムーンライズの姿があった。

 

「くらえ!ひろがる!ムーンライズドリーム!」

 

両手に溜めたエネルギーを重ね合わせハイマックスに向かって突き出すとそこから巨大なエネルギー砲が放たれる。

 

「デスブレイクゥ‼︎」

 

だが、迫り来るエネルギー砲にハイマックスはデスボールのエネルギーを拳に溜めて突き出し多少のダメージを受けつつもエネルギー砲に突っ込みそのままムーンライズへと迫っていく。

 

「うおっ!?マジかよ!?」

 

自身の技を受けながらも鬼のように迫るハイマックスにムーンライズは慌てて飛びハイマックスの攻撃を避け、負傷したスカイ達を救出したオーロラ達の元へ降り立つ。

 

「大丈夫ムーンライズ!?」

 

「ああ、こっちは大丈夫だ。それよりもスカイ達は?」

 

チラッとスカイとウィングの方に視線を向けると先程の攻撃をくらった傷が見られるもまだ動けそうな様子だ。

 

「私達は大丈夫です。ですが、長期戦に持ち込むのは難しいですね」

 

「相手はロボット、恐らく僕達と違って長く戦えます。更に言えば多少のダメージがあっても普通に動けると思います」

 

相手がランボーグならまだなんとかなったが、目の前の存在はロボットだ。自分達が今まで戦ってきた敵達と違い長時間の激しい戦闘が可能だろう。

 

「それなら短期決戦で決めるしか無いよ」

 

「そうだな。ひかるとらんこさんが心配だからここからは一気に決めるぞ。オーロラ行くぞ!」

 

「うん、わかった!」

 

オーロラがムーンライズの呼びかけに強く返事をすると2人の背後に月とオーロラが出現。それと同時に2人がスカイミラージュにスカイトーンを装填して手を繋ぐと光が上空から降り注ぐ。

 

「輝け、月の力!」

 

「煌めけ、光の力!」

 

その光に包まれた2人の周囲は黄色とミントグリーンのエネルギーの球体へと変わって浮かび上がる。

 

「「集まれ!二つの幻想の力達よ!」」

 

「「プリキュア!ファンタジーパワー・クレシェンド!」」

 

掛け声と共に2人が変化した球体は夜の星空の中を流星のように駆け抜けながら突撃していく。

 

「この力…!デスボール!」

 

迫り来る2人に対してハイマックスは驚いた様子を見せるも直様デスボールを放つ。それに対して2人はデスボールを避けて距離を詰めていく。ハイマックスはすかさずシールドを貼り防ごうとするが、先程の様に前面に貼ってあるシールドを避けてシールドの無い左右から襲い掛かろうとした。

 

「そうはいかん」

 

そう言ってハイマックスは左右から飛んでくるムーンライズとオーロラを飛んで避けた。これにより、2人の攻撃は失敗したかに思いきや、まるで誘導ミサイルの様にハイマックスを追いかけると先程よりも2人の身体を覆う球体は更に大きくなる。

 

「な、馬鹿なっ!?」

 

ハイマックスは技を外した事により、そのまま解除されると思っていた。しかし、彼の考えとは裏腹に2人の技はパワーアップして迫ってくる。理由として、この技には飛距離が伸びれば伸びる程に威力が増していくという特性が存在するのだ。

先程2人の技をハイマックスが避けた事により再び彼を追いかける事で技の威力が増した。つまり、この技は逃げれば逃げる程その分威力が増していく事になっているのだ。

 

「くっ、ぬおおおおおっ!!!」

 

「「はあああああっ!!!」」

 

そして、迫り来る2つの球体を今度は自身の周りにシールドを貼って防ぐもシールドは段々とヒビが入っていき、バリンッと周囲に割れる音を響かせて中にいるハイマックスへ命中する。

 

「ぐおおおおっ!?」

 

命中するとハイマックスの周囲に星のマークが浮かび、そのまま爆発すると地面に落下し大きなクレーターを作りハイマックスは目の光が消えて機能が停止する。そしてその後にムーンライズとオーロラが地面に降り立つ。

 

「や、やった…!」

 

「ああ、やったぜオーロラ!」

 

「2人ともやりましたね!」

 

2人は強敵だったハイマックスを倒せた事に喜び、スカイ達と離れていたあげは達もムーンライズの元に行き喜びを分かち合った。

一方でやられて機能が停止していた筈のハイマックス。そんな彼の目がいきなり目が赤く光るとギギギっと軋む音を立てながら起き上がりだす。すると、それにヒョウが気付いた。

 

「あっ!み、みんなハイマックスが‼︎」

 

『え、なっ!?』

 

ヒョウの指摘に全員もハイマックスは立ち上がっていた。

 

「なんだよ、しつこいなぁ…!」

 

「2人は休んでて下さい。此処からは私達が戦います」

 

あまりのしぶとさにムーンライズを筆頭に再び戦いの構えを取るが、先程大技を使った2人は体力を多く消耗した為、激しい戦いは難しい。スカイ達は2人の代わりに戦おうとするが、ハイマックスは目を点滅させると呟く様に喋り出す。

 

「……データ収集完了、新たにキュアムーンライズとキュアオーロラのデータを更新」

 

『えっ?』

 

一同はハイマックスの言葉に一瞬呆気に取られるも、直ぐにどう言う事なのかを理解する。

 

「まさか……俺とオーロラのデータを手に入れたのか!?」

 

「だとしたら不味いよ!」

 

先程までの戦いはムーンライズとオーロラのデータを取られていなかった事で有利に戦えだが、ハイマックスの言っている事が本当ならスカイ達の様に自分達の攻撃があまり通用せず勝てる見込みが薄くなってしまう。

 

「同時に私の本来の任務も達成だ」

 

『え?』

 

するとそう言ってハイマックスは一同に背を向けてその場から去ろうとしていた。

 

「お、おい、戦わないのか?」

 

もしそうだとしたら自分達にとっては都合が良い。だが、最初執念深く襲いかかってきたハイマックスが急に帰ろうとする姿に疑問が浮かび恐る恐る話しかける。

 

「これ以上の活動は不必要だ。私の任務はお前達の排除では無く時間を稼ぐ事だ」

 

『じ、時間稼ぎ!?』

 

「まさか…!」

 

ハイマックスの口から出た本来の目的に一同は驚く中、嫌な予感がしたプリズムはあげはに話しかける。

 

「あげはちゃん!ひかる君に電話を!」

 

「え…あ、うん!」

 

少し反応に遅れるもあげははスマホを取り出すとひかるに電話を掛けるが、反応は無い。

 

「……だめっ!全然電話に出ない!」

 

「そんな…!」

 

「おいおい、まさか!?」

 

現在河川敷ではひかるとらんこがキメラングに襲われている。そうなると2人の身に何かあったのではと一同は嫌な想像をしてしまう。

 

「どうやら、ドクターキメラングは目的を果たせたそうだな」

 

「目的ですって!?」

 

「ハイマックス!一体何を知っているんだ!?」

 

何やら意味深い発言をするハイマックスにスカイとウィングは追求する。

 

「それは言えんな。では、さらばだ」

 

「ま、待って!」

 

2人の質問に答えず撤退しようとするハイマックスをオーロラが止めようとするも転移して去っていく。

 

「くそっ!逃げられた!」

 

「ハイマックスの言っていた事って……まさか!?」

 

「早く河川敷へ行こう!」

 

ハイマックスの発言に胸騒ぎを感じた一同はそれぞれ変身を解くとあげはとひかるの車に乗り込み急いで河川敷へと向かうのであった。

 

────────

 

ムーンライズ達がハイマックスとの戦闘を終える数分前に遡り、河川敷では激しい戦闘が繰り広げられていた。

 

「はああああっ!!!」

 

「いいね。漸くエンジンが掛かってきたって感じじゃないか!」

 

先程まで体がボロボロでまともに動く事が出来なかったツイスターは今は別人の様に目をギラギラとさせながらキメラングに襲いかかっている事にキメラング自身興奮していた。

 

「逃げるんじゃ無いわよっ!」

 

「おっと、悪いけどそう簡単に当たる訳には──」

 

ツイスターの攻撃を避けたキメラングだが、その時ツイスターが手の中からいつの間にか持っていた砂をキメラングに向かって掛け、目潰しをする。

 

「ぐっ!?め、目がはっ!?」

 

「ふふん♪…当たったわねっ!」

 

キメラングの視界を潰した事にツイスターは鼻で笑うと彼女の腹に膝蹴りを繰り出すと川の方に吹き飛ばしていく。

 

「ぐっ…今のは中々だよ……らしくない戦いだが面白いよッ‼︎」

 

川に落ちた事で目に入った砂を洗い流し直ぐに両肩のドローンから無数のミサイルを発射しツイスターに迫っていく。

 

「それで私を倒せると思ってんの?」

 

すると、掌から小さめの旋風を作り出すと迫り来るミサイル目掛けて投げ、ミサイルは旋風の中に巻き込まれると飛んでいく軌道がズレ、キメラングの元へ引き返していく。

 

「なんだと!?」

 

自身の放ったミサイルがこちらに戻ってくるのを見て驚くも直ぐにレーザーを放ち爆発させる。これにより、キメラングの目の前はミサイルの煙で覆われるとその中からツイスターが飛び出してきた。

 

「なっ!?」

 

「それっ‼︎」

 

「ぐうっ!?」

 

ミサイルの爆煙を煙幕として利用したツイスターに思わず呆気に取られたキメラングはその隙を突かれ、ツイスターが自身のマフラーを首から解くとそれをキメラングの首に巻き付け、そのまま彼女の背後を取り首を締め付ける。

 

「このまま窒息させてあげるわ!」

 

「カフッ…!」

 

ツイスターはそう言ってキメラングの首をマフラーでどんどん締め付けていき、対してキメラングはマフラーを引きちぎろうとマフラーに手を掛けるも千切ることが出来なかった。

 

(ば、馬鹿な…このハイスペックアーマーの力を持ってしてもマフラーが千切れないなんて…!)

 

先程から全力でマフラーを引きちぎろうと腕に力を入れるキメラングだが、一向に千切れる気配は無かった。今のキメラングはハイスペックアーマーを纏っており物凄い力を発揮出来るのだが、今のツイスターはアンダーグエナジーにより強化され、マフラーも強固な物へと変わっていたのだ。そして、呼吸出来ずキメラングの顔が段々と青紫色に染まっていき、意識が飛んでいきそうになっていた。

 

「さて、これでしまいよ」

 

そう言ってツイスターはトドメを刺そうと更にキメラングの首を締め付けようとマフラーに力を入れようとした瞬間だ。

 

「や、やめてくれツイスター!」

 

「ひかる?」

 

其処へひかるが遠くからツイスターを止めようとして声を掛けてきたのだ。

 

「それ以上やっちまうと本当にそいつが死んじまうぞ!」

 

「はぁ?…あんた何言ってんの?殺す為に今このマッドサイエンティストの首を締めているんでしょうが」

 

ひかるの発言にツイスターは呆れた表情を浮かべながら殺す事を伝えるとひかるは表情を変える。

 

「こ、殺すって…やっぱりそんなのらんこさんらしく無い!幾ら相手が悪党でも殺すなんてやり過ぎだ!」

 

「うるさいわね……戦いに参加しないあんたはどっか行ってなさい!」

 

何やらひかるの言葉に鬱陶しく思ったツイスターはひかるを追い払おうとするが、その時ひかるとの会話でツイスターの気が緩みキメラングの首を締めていたマフラーが少しずつ緩んで行く。

 

「き、キメ…ランラン…!」

 

「なっ、があっ!?」

 

「ら、らんこさん!?」

 

キメラングが呪文を唱えた事により彼女はツイスターのマフラーから転移して抜け出し、背後に出現するとツイスターの延髄目掛けて強烈な蹴りを放ち数m程吹っ飛ばされて地面に倒れる。

 

「ふぅ…危ない危ない。流石に今のは私でも駄目だと思ったよ。だけど、君のおかげで助かったよ」

 

「くうっ…!」

 

ひかるは自身がツイスターを止めた所為で形勢が逆転した事に険しい表情を浮かべる。

 

「さて、ツイスター続きをやろうか……ってあれ?」

 

キメラングはうつ伏せで地面に倒れるツイスターに話しかけるが反応が無い事に思わず首を傾げる。

 

「ひょっとして…気絶してる?なら好都合だ。君を捕まえてじっくりと身体を調べる事が出来るよ」

 

「なっ!?や、やめろっ!」

 

気絶しているツイスターを捕まえると聞いてひかるは止めようと声を出すも勿論キメラングは彼の言葉には一切耳を貸さずツイスターに手を伸ばそうとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、その時彼女のマフラーがキメラングの手首を縛り付ける。

 

「なっ!?」

 

「引っかかったわね!」

 

気絶していたと思われていたツイスターは目を開きそう言うと魚を釣竿をで釣るようにマフラーで引き上げるとキメラングは宙に浮かび、ツイスターはすかさずキメラングに向かって飛び、両足で彼女の両腕を抑え、両手で両足を掴みそのまま重力に従い落下していく。*1

 

「う、うおおおっ!?」

 

「これでジ・エンドよ!」

 

キメラングはもがくいて抜け出そうとするもツイスターはしっかりと彼女の四肢を固定し抜け出せなかった。

 

「や、やめろおおおおお!…なんてね、キむぐっ!?」

 

「生憎逃がさないわよっ!」

 

転移して逃げ出そうとするキメラングにマフラーで彼女の口を縛って喋れなくしそのまま地面に大きな衝撃音を響かせながら彼女の頭を叩きつけた。

 

「ガハッ…!」

 

地面に叩きつけられたキメラングはあまりの衝撃が頭を貫き、幸いにもヘルメットで頭を保護していた為、カチ割れる事は無く気絶だけで済んだ。そして、ツイスターはキメラングが気絶した事を確認すると四肢から両手両足を離し彼女を見下ろした。

 

「や、やったな…らんこ…じゃなかったツイスター」

 

強敵であったキメラングに勝ったことにひかるは駆け寄ってツイスターを褒める。取り敢えず戦いを終えたツイスターは戦いを始める前は大怪我をしていた為、虹ヶ丘家へ帰って休もうと提案をしようとする。しかし、彼女の顔は未だに嬉しく無い表情を浮かべている事に疑問を思ったひかるは彼女に話しかける。

 

「まだよ、まだ完全にトドメを刺していないわ」

 

「え?」

 

ツイスターの発言に再び固まる。先程彼女はは息の根を止めると言ったが、それはその場の勢いかと思っていたが、今の彼女は本当にキメラングにトドメを刺すつもりの殺意が感じられる。

そして、ツイスターは気絶したキメラングにゆっくりと近づくのを見てひかるは彼女の手を掴んで止める。

 

「駄目だツイスター、そんな事をさせる訳にはいかない」

 

「……手を離して」

 

「これ以上は取り返しがつかない事になるぞ!」

 

幾ら悪党とはいえ命を取ることはいけない。そうなればこの先人を殺した罪悪感を一生背負っていくことになる彼女をひかるは説得しようとした。

 

「離しなさい!」

 

「う、うわああああっ‼︎」

 

しかし、ひかるの説得にいい加減我慢できなくなったツイスターは彼に向かって強風を放ち、彼を5m程吹き飛ばした。

 

「つ、ツイスター…!」

 

「っ!……ふん」

 

地面に叩きつけられた事にやってくる身体の痛みに耐えながらひかるは彼女を見つめる。

一方でツイスターは自分がひかるに手を出した事に気がつくと一瞬ハッと我に帰り瞳の色も元の明るい緑色に戻る。ただ、それは一瞬で再び濃い緑色になると彼にそっぽを向きキメラングの方に向く。

 

「……これで終わりよ」

 

するとツイスターは緑の旋風を身体に纏わせてそのまま回転しながら宙に浮く、それはツイスターの技であるツイスターストライクだがアンダーグエナジーの影響の所為か、所々黒い風が混じっている。

 

「ヒーロガール!ツイスターストライクッ!!!」

 

「や、やめっ!」

 

そして、彼女のツイスターストライクが地面に横たわるキメラングの身体を貫こうと迫って行く。それを見たひかるは再度彼女に止まるように言うが、間に合わずそのまま彼女の技が決まってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…なんちゃって!」

 

「なっ!?」

 

その時、気絶していたと思われていたキメラングが目を開けると同時に何かの装置を取り出して起動させる。その瞬間ツイスターの纏っていた黒い風が吸い込まれ、彼女の全身から力が抜け回転が段々と遅くなる。

 

「ッ!だとしても‼︎」

 

力が抜けたとはいえ、キメラング自身も弱っている絶好のチャンスをツイスターは逃そうとせず残った力を振り絞って彼女に向かってツイスターストライクを決めようとした時だ。

突如とツイスターとキメラングの間に旋風が巻き起こり其処に1人の人物が現れるとツイスターの足を片手で受け止める。

 

「なっ!?私のツイスターストライクを…!」

 

「あ、彼奴は…!」

 

弱体化しているとはいえ自身の技を簡単に受け止められた事にツイスターは信じられなかった。一方でひかるはツイスターの蹴りを受け止めた少年には見覚えがあった。

 

「おいおい、私とツイスターの戦いは参加しない話じゃなかったのかい?」

 

「お前が余りにも無様な姿を見せるから見てられなくてな。それに此奴には興味が湧いたから俺にも出番をくれよっ!」

 

「ガァッ!?グウッ!」

 

ツイスターは地面に叩きつけられ、更に蹴飛ばされ地面に横たわる。すぐに反撃をしようと立ち上がろうとするが全身が鉛の様に重く感じ立ち上がる事が出来ずにいた。

それを見て不思議に思った少年はツイスターに話しかける。

 

「おい、さっきまでの勢いはどうしたんだ?」

 

「知らないわよ…それよりもいきなり現れて……あんた…誰よ。そこのマッドサイエンティストと馬ッ鹿モンダーと同じ敵って事?」

 

「ブフッ‼︎ば、馬ッ鹿モンダーって…中々面白い事を言うな!」

 

全身にダメージがありながらも自分を見下ろす少年に睨みつける。対して少年はバッタモンダーの渾名の語呂の良さも相まってから思わず吹き出し腹を抱えて笑う。

 

「答えなさい…あんたは……誰なのよ…!」

 

「ん、ああ、悪いな。自己紹介が遅れた。俺の名はヒューストム、アンダーグ帝国の住民だ。そしてお前と同じ風の使い手さ!」

 

「っ!あああああああっ!?」

 

「つ、ツイスター!」

 

そう言ってヒューストムはアピールをするかの様に手のひらに旋風を作り出すとそれを倒れているツイスターに放つと彼女はその旋風に巻き込まれて高く打ち上がり、そのまま川の方へ大きな音を立てながら落ちていった。そんな様子を見てひかるは心配そうに彼女の落ちた川に視線を向ける。

すると、少しして彼女が浮かび上がるも変身は解けて気絶していた。

 

「ら、らんこさん‼︎」

 

川に浮かぶらんこの姿にひかるは彼女を助けようと駆け寄ろうとするが、其処へヒューストムが立ち塞がる。

 

「そこをどけ!」

 

「どけだ?雑魚の癖に偉そうな事を言いやがって。口には気をつけた方が良いぞ!」

 

「うわっ!?」

 

ヒューストムはひかるのすぐ側まで距離を詰めると彼の足元に向かって拳を叩きつけ、ひかるは思わず尻餅をついてしまう。

 

「みっともない姿だ…そんなざまであの女を助けるなんて馬鹿だな」

 

「くっ…!」

 

今の自身の姿を馬鹿にされた事にひかるはヒューストムを睨みつけるも彼にとってはそんな眼差しは子犬に睨まれる様な物で全く感じなかった。

 

「それにこっそりと一部始終を見ていたが、随分嫌われているんだな…まぁ、そりゃ仕方ないよな。戦えないのに首を突っ込もうとする雑魚には目障りで仕方ない。そう思うとあの女が不憫で仕方ないな」

 

「そ、そんな事…!」

 

そんな事ないと否定しようとしたが、先程らんこが言っていた事を思い出す。彼女も戦えない自分が何時も付き纏っている事に対して苛立っている様子が見られた。更には先程らんこがキメラングにトドメを刺そうとする所を止めようとしたり窒息をさせようとした所を邪魔して逆に彼女が辛い目に味わってしまった事を思い出し、苦しみの表情を浮かべる。

 

「図星だな。お前は碌に彼奴の気持ちも気付かず自分の気持ちを押し付けていた勘違い野郎だった訳だ」

 

「くぅ…」

 

言い返せない。今のひかるはヒューストムの言う通り自身の気持ちを押し付けてばかりで碌に彼女の気持ちを知ろうとしなかった事で彼女に不快な想いをさせてしまった事を理解せざる得なかった。

 

「まぁ、安心しろ。彼奴は俺と同じ風の使い手だ。悪い様にはしねぇよ」

 

「え…どういう事だ?」

 

ヒューストムの発言にひかるは何を言っているのか理解できずにいた。

 

「ああ、キメラングって奴から聞いた時は俺と同じ風を使うくらいでそこまでは興味は無かったが、さっきまであった力を見て興味が湧いた。同じ風を使う者同士だ。俺の女にしてやろうかなってな」

 

「なっ!?そうはさせるか!」

 

ひかるはヒューストムの発言にカッとなり彼に襲い掛かるが、ヒューストムは避けてひかるの足を引っ掛かると彼は地面に勢い良く倒れる。

 

「いい加減にしろ。雑魚の癖に目障りなんだよ…」

 

「ぐっ…!」

 

ひかるの存在が鬱陶しくなったのかヒューストムは手から風の塊を作り出すと地面に倒れるひかる目掛けて放とうとした。

 

「おーい、ヒューストム。モルモット君と遊んでないでそろそろ行こうか。ツイスターはこの通り確保したからね」

 

「……まっ、それもそうか」

 

「ら、らんこさん…!」

 

気絶したらんこを抱えたキメラングを見てヒューストムは気が変わって作り出した風の塊を消すとキメラングの方へ行く。そんな中、捕まったらんこを見てひかるは彼女を助けようとその場から立ち上がろうとしたものの、先程殺されそうになった恐怖がまだ残って足がすくんで立ち上がれなかった。

 

「じゃあなクソ雑魚野郎。次会った時は俺の女になったこいつを紹介する。ヒューストストム」

 

「別に君の女にするつもりはないけど…まぁ良いや。また会おうねモルモット君。キメランラン」

 

そう言ってヒューストムとキメラングはらんこを連れてその場から去っていった。

そして、その場に一人残されたひかるはヒューストム達がいた場所を見て強く歯を食いしばり更には拳に血が滲むくらい握り締める。

 

「くそ……くそおっ‼︎」

 

ひかるは地面に向かって拳を何度も叩きつける。今回自身はらんこの手助け所足を最初から最後まで引っ張って挙げ句の果てには彼女が連れて行かれる所を黙って見ているしか無いという情けない姿の己に悔しさの感情が爆発した。

 

「あっ!いましたよ!」

 

「え、本当だ!」

 

「おい、ひかる無事か!?」

 

「えるるる!」

 

「え?」

 

そんな時、ハイマックスとの戦いを終えて漸く河川敷へ到着したアサヒ達の姿があった。

 

「み、皆んな…!」

 

「ひかる君大丈夫?」

 

「何処か怪我をして無いですか!?」

 

一同は河川敷の激しい戦闘の痕跡を見てひかるが怪我をしてないか心配し、ひかるは「大丈夫だ」と答える。

 

「ひかる君、さっき電話でキメラングが現れたって聞いたけどキメラングは何処?」

 

「それにらんこさんの姿も無いが一体どうしたんだ?」

 

「じ、実は……」

 

ひかるはこの場で起きた事を全て話した。

 

「そんな…らんこちゃんが!?」

 

「しかもあいつまで今回の一件に噛んでいるのかよ!」

 

一同はらんこがキメラングと更にはヒューストムによって攫われたと知り一同は憤りを見せる。

 

「それなら一刻も早くらんこさんを助けに行きましょう!」

 

「でも、どこに連れて行かれたかわからないよ」

 

ましろの言う通りらんこ達が今どこにいるのかわからない為、探しようがなかった。

 

「それなら僕が鳥の仲間達にらんこさんやヒューストム達を見かけたか聞いてみます」

 

「ツバサ、私も手伝うよ」

 

「なら、私はヨヨさんにミラーパッドで場所がわからないから聞いてみるよ」

 

ツバサとヒョウは他の鳥たちに聞き込み、あげははヨヨの力を借りようと考えていると、ユキは何かを思い出した表情を浮かべる。

 

「あっ、そう言えばひかる君の持っていたスカイトーンが確からんこちゃんの居場所を教えてくれたよね?」

 

「言われてみれば……ひかる、お前のスカイトーンは今持っているか?」

 

「あ、ああ、それならここにある…って、うおっ!?」

 

そう言ってひかるはズボンのポケットからスカイトーンを取り出すとスカイトーンが光り何処かに向かって一筋の光を指し示した。

 

「この光の先にらんこさんのいるのか?」

 

「あ、ああ…多分いる筈……」

 

「ん?」

 

かけるの質問にひかるは肯定するが何やら自信が無い様子だ。

 

「兎に角これでらんこさんが攫われた場所はわかりましたね」

 

「うん、はやく助けに行かなくちゃ」

 

ソラを筆頭に一同はらんこを助けようと意気込んでいる中ひかるはアサヒに話しかける。

 

「アサヒこのスカイトーンを託すよ」

 

「おう、わかった……ん?」

 

ついノリで返事をしたアサヒだったが、スカイトーンを渡したひかるに視線を向ける。

 

「ひかる、託すってどう言う事だ?」

 

「俺……これ以上らんこさんに関わらないことにしたよ」

 

『……え?』

 

その場にいた一同はひかるの発言に思わず耳を疑う。

 

「ん、俺の聞き間違いか?今、らんこさんとは関わらないって言わなかったか?」

 

自分達もハイマックスとの戦闘による疲労の所為かひかるが普段言わなそうな台詞に聞き間違いかと思い再度聞こうとする。

 

「だから俺、今後らんこさんとは関わらない事にするよ…」

 

「……はああああああっ!?」

 

ひかるの発言にアサヒは思わず声を上げる。それに続いて慌ててユキとあげはが話しかける。

 

「ひ、ひかる君急にどうしたの!?らんこちゃんと関わらないって!?」

 

「何かあったの!?」

 

あれだけらんこに好意を寄せていたひかるが突然彼女との関わりを避けようとする事が信じられず何か理由があるのかと思い話しかける。

 

「別にこれと言っt「嘘つけ」…アサヒ」

 

「このスカイトーンはらんこさんとお前の絆の証の様な物だ。それを簡単に手放すなんて余程のことがあったんだろ?」

 

「俺たちがここへ来る前に何があったんだろう。話してくれないか?」

 

アサヒやかけるや他の皆んなもらしく無い言動のひかるを見て自分達がやってくる前に何かあったのかは明白である。その為、何があったのか問い詰めるとひかるはポツリと呟くように口を開く。

 

「俺、らんこさんに嫌われちまってよ」

 

「え、嫌われた?」

 

らんこに嫌われたと聞いて一体どういう事なのか一同は不思議思っているとひかるは続いて喋り出す。自分の様な力の無い人間がらんこが戦っているすぐ側にいて迷惑をかけ、他にもヒーローの様に戦えるらんこやアサヒにユキ達の友達のポジションにいる事に優越感があった事を認めてしまいらんこを悲しませ、挙げ句の果てにはキメラングを倒せる絶好の機会を2度も邪魔して彼女から突き飛ばされてしまった。

一同はそれを聞いて浮かない顔を浮かべるのに対してアサヒはゆっくりとひかるに近づく。

 

「俺ってほんと馬鹿だよな。碌にらんこさんの気持ちを考えず付き纏って迷惑を「馬鹿野郎ゥ‼︎」があっ!?」

 

『えええええっ!?』

 

その時、突然アサヒの拳がひかるの頬を貫いた。頬を殴られたひかるは地面に倒れる。

 

「あ、アサヒさん!?」

 

「な、何やっているのアサヒ!?」

 

突然のアサヒの暴行に一同は驚きを隠さないでいた。

 

「な、何するんだっ!?」

 

そして勿論ひかるは人が喋っている時に不意打ちをされた事殴られた頬を抑えながらアサヒを睨む。だが、アサヒも睨み返すとそのまま彼の胸倉を掴み上げる。一同はアサヒに止める様に言うがアサヒは止めるつもりは一切なかった。

 

「ぐ、お、おい、アサ「なんで俺たちより付き合いが長いお前がらんこさんの気持ちを知らねえんだよ!」…え?」

 

アサヒの言葉にひかるは思わず目が見開く。だが、ひかるはアサヒが自分を責めているのかと思い悲しみの表情を浮かべる。

 

「そうだ…その通り……俺はらんこさんに無理矢理気持ちを押し付けようt「違えよ!らんこさんがお前を助ける為にわざと突き放す真似をしたんだろうが!」……え?」

 

再びひかるの目は見開いた。彼女が自分を助ける為に突き放したと聞いて信じられずにいた。

 

「なんで…え、俺を助ける…そんな、馬鹿な…事…」

 

「んな事ねぇよ。らんこさんは責任感が強い…お前だってらんこさんの素直になれず回りくどい性格をしているって分かっているだろう」

 

「…あっ」

 

その言葉を聞いてひかるは思い出した。普段強気で人当たりが強い性格を見せる彼女は本来は優しい心を持っているが素直になれず人と話す時は口が悪く本心が伝わりづらい事がある。虹ヶ丘家ではユキの作ったアップルパイに対しては素っ気ない感想を述べるもその後100点中93点と高得点である事を言う様子など、本音を隠しきれない所が見られたり、自分達といたらキメラングに襲われると思ったらんこは皆んなから離れようとする行動があったりした。

更に河川敷で自分の事を嫌うような事を言っていたにも関わらず光線から庇ったり身体が動けないダメージを負っているにも関わらず自分を助ける行動が見られたりする。

 

(そう言えばあの時も…)

 

それはらんこが気絶していたキメラングにトドメを刺そうとした時、自身が止めようとした時に彼女に吹き飛ばされるもその時、濃い緑に染まっていた彼女の瞳は一瞬ではあるものの元の明るい緑の瞳に戻ったのだ。あの時はやり方が強引であった物の自分が巻き込まれない様にわざとしたのかもしれない。

そして、ひかるの顔を見てアサヒは察した。

 

「どうやら思い当たる所が幾つかある様だな」

 

「ああ、俺はなんて馬鹿だ…らんこさんの言葉や行動の意味を碌に知ろうともせずに嫌われているなんて一方的に勘違いしてるなんてよ」

 

らんこから嫌われていると盛大に勘違いしたひかるは恥ずかしくて穴があったら入りたい気分だ。

 

「なら、やる事は決まっているな?」

 

「ああ、俺もらんこさんを助けに行く…そして、今度こそ俺の気持ちを伝える」

 

こうしてひかるは一同共にらんこを助けるようと行動をする事に決め、更には今度こそ伝えられてない自分の想いを彼女に伝える事を決心する。

 

「よし、なんやかんやあったけど、ひかる君もらんこちゃん救出に参加する事が決まったね」

 

「ええ、全員でらんこさんを助けましょう!」

 

腹を括ったひかるを見てあげはとソラを筆頭に今度こそ一同はらんこを救出しにスカイトーンが指し示す場所へむかうのであった。

 

*1
所謂キン肉ドライバーである。

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