ひろプリに野良猫系キャラを入れてみた   作:獅子河馬ブウ

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コラボ第9話をどうぞ。


第59話 闇に染まった風

全身からオーラを放つツイスターは一気にヒューストムへ距離を詰めるとラッシュを繰り広げる。

 

「はああああっ!」

 

「チィッ、調子に……乗んなよ……!」

 

強化されたツイスターの攻撃力もそうだが速さも先程までとは段違いの物となっておりヒューストムは防ぐのがやっとだ。だが、攻撃を防いでいる中でヒューストムはツイスターの足元が隙だらけに気づく。

 

「足元が留守だ!」

 

「なっ!?」

 

足払いをしてツイスターを倒すとヒューストムは倒れた彼女へと殴り掛かる。

 

「はあっ!」

 

「なっ、があっ!?」

 

だが、ツイスターはすかさず右足で迫る拳を、左足でヒューストムの顎を続け様に蹴り上げるとそのまま手を後ろに着きつつバク転して距離を取る。一方でヒューストムは顎を蹴られた際に口の中を切ったのか口角から一筋の血が流れる。それに気付いたヒューストムは険しい顔を見せる。

 

「俺に血を……やってくれたな!」

 

両腕から竜巻を発生させ、ジェット噴射の様に一気にツイスターへ距離を詰めると竜巻を纏ったその腕を振るうが、ツイスターも左腕に竜巻を発生させ防ぐ。

 

「なにっ!?」

 

「はああああっ!!!」

 

「ごふっ!」

 

そして、お返しと言わんばかりにヒューストムの腹に拳を入れ吹っ飛ばした。

そんな2人の戦いを離れた所からムーンライズ達が見ている。

 

「すごい…あのヒューストムを相手に互角…」

 

「いや、勝っているな」

 

自分達でも苦難を強いる強敵のヒューストムにツイスターが勝っている事に驚いていた。だが、此処で一つ懸念があった。

 

「あのオーラで強くなったが…大丈夫かツイスターの体は?」

 

「うん、私も其処は気になってるよ」

 

ムーンライズ達は心配そうな顔を浮かべる。詳しい事は聞いてないがツイスターがオーラによる強化を行えば体内にあるアンダーグエナジーが育っていくという話だ。そのために、長期化すればツイスターが危険な状況に陥る可能性が高い。

 

「ひかる、お前は今のツイスターを見てどうだ?」

 

「俺が河川敷の時で見たのと比べると……なんだかそこまで殺意は無い気がする」

 

ひかるの脳裏にはキメラングの息の根を止めようと目潰しや首を絞めたりなどあまり良い戦いとは言えない物だったが、目の前のツイスターはそこまで殺意は感じなかった。

 

「という事は今の所大丈夫…でいいのかしら?」

 

「そうだな。だけど、戦いが長引いたらまたあの時の様になるかもしれない…」

 

ひかるとヒョウはそんな不安を抱き、戦っているツイスターを心配する。

 

「大丈夫だ。もし、ツイスターが暴走する様な事があれば俺たちが止める」

 

「うん、私達に任せて」

 

もしもの時を考えてムーンライズとオーロラはいつでも戦える姿勢を取りツイスター達の戦いを見守り続けるのであった。

 

───────

 

そして場面はツイスターとヒューストムに戻りツイスターが戦いを有利に進めていた。ヒューストムに至っては先程からツイスターにあまりダメージが与えられず、逆に自分は血を流している事に苛立ちを隠せずにいた。

 

「吹き飛べっ!!!」

 

「これは…!」

 

ヒューストムは竜巻を放つとツイスターは竜巻を避けるが竜巻は彼女の後をついてくる。

 

「無駄だ。その竜巻はお前を襲うまで追いかけるぞ!」

 

「面倒な技ね!」

 

後ろからしつこくついてくる竜巻にツイスターは自分も竜巻を出して相殺しようかと考えてテンペストバトンを取り出す。

 

「だったらこれでどう!ツイスタートルネード!」

 

テンペストバトンから放たれる竜巻は先程のオーロラを閉じ込めていた竜巻を相殺した様に今回も相殺する。

 

「なっ!?」

 

かと思いきや逆に彼女の竜巻を飲み込み更に大きくなったのだ。

 

「さっきの様に上手く行くと思ったか?残念!」

 

ツイスターが竜巻を消滅出来なかった事にヒューストムは彼女を嘲笑った。一方でツイスターは迫り来る竜巻についての対処を考える。

 

(あの竜巻はそう簡単に私の力で相殺する事は出来ない……それなら!)

 

ツイスターは何を考えたのか竜巻に向かって走り出したのだ。

 

「態々自分から竜巻に!?何を考えてやがる!?」

 

自殺行為に等しい行動をするツイスターにヒューストムは気でも狂ったのかと思った。一方でツイスターは自身のマフラーを竜巻目掛けて投げる。するとマフラーは竜巻に巻き込まれ彼女は端を掴むと身体は宙に浮き竜巻の周りを物凄い速さで回る…つまり遠心力で加速していき。

 

「喰らいなさい!」

 

「なにっ!?」

 

マフラーから手を離した彼女は勢いよくヒューストム目掛けて流星の如く飛んでいく。対してヒューストムは避けるのが間に合わず咄嗟に腕を交差させて防ぐも衝撃が強く10m程後ろに下がり顔はダメージにより歪む。

 

「ぐうっ……!」

 

「どう?今負けを認めて私と傷つけたソラ達に謝れば許すわよ」

 

今の自分はヒューストムより強いと確信したツイスターは彼に降参を進めるもヒューストムは彼女の提案を蹴る。

 

「ハッ!誰が降参なんてするかよ」

 

「そう、ならもう少し痛い目を…!?」

 

痛い目を合わせようと言いかけた時だ。ツイスターは頭を抑えて苦痛に満ちた表情を浮かべると一瞬だけであったが身体の一部に黒いオーラが現れる。それを見たヒューストムは目を見開いた。

 

「まさか……それはアンダーグエナジーか!?」

 

「ええ、認めたく無いけどその通りよ」

 

一瞬ではあるもののツイスターのオーラに紛れていた物は間違いなく自分達の扱うアンダーグエナジーである事に驚きを隠さなかった。

 

「なんでお前がアンダーグエナジーを宿しているんだ!?」

 

「あら、マッドサイエンティストから教えてもらってないの?あいつは私の力の正体を知っていたわよ」

 

「キメラングだと!?あいつ……俺に散々隠し事をしやがってよぉ…!」

 

話の中でキメラング名が出た事にヒューストムは苛立ちを起こす。少し前に彼女に散々弄られた上に自分を足止め目的に唆しその上ツイスターの身体にアンダーグエナジーが宿っている情報を意図的に伏せられていた事にヒューストムは余計に腹を立てる。

 

「戦いに余計な事を考えている余裕はあるのかしら!」

 

「っ!」

 

ヒューストムはキメラングに対する怒りでツイスターが既に自身の懐に入っている事に気が付かず、そのまま彼女から重い一撃がヒューストムの顔面を捉える。

 

───────

 

ツイスターがヒューストムの顔面に一撃を喰らわす少し前だった。ムーンライズ達は彼女の戦いを手を出さず見守り続けていると側にいたスカイ達が目を覚まし出す。

 

「ぅぅ…此処は…?」

 

「一体…何が?」

 

「何が…起きたんだ…?」

 

『っ!』

 

先程まで気絶していたスカイ達の声を聞いてムーンライズ達は3人の元へ駆け寄る。

 

「スカイ、気が付いた!?」

 

「あれ、皆さん…どうしっ!?」

 

自分達に話しかけてくるムーンライズ達の存在に気付いたスカイ達は立ち上がるもヒューストムとの戦いで受けた傷が重く、ふらついて倒れそうになるがムーンライズたちが咄嗟にそれぞれ3人に肩を貸す事で倒れずに済む。

 

「大丈夫?」

 

「すいませんオーロラ。情け無い姿をお見せしました」

 

自分達3人がかりが相手をしてヒューストムに負けてしまった事に申し訳ない表情を浮かべるスカイだがオーロラは「そんな事ない」と言って否定する。

 

「ねぇ、皆んながここに居るってことはらんこちゃんは?」

 

「あっ、そうです!らんこさんはどうなりましたか!?」

 

「落ち着いてスカイ!」

 

自分達がヒューストムにやられて気絶している間何があったのか気になった3人はオーロラ達に聞くと4人はヒューストムと戦っているツイスターに視線を向け3人も彼女が戦っている事に気がつく。

 

「つ、ツイスター!」

 

「良かった無事で…」

 

「でも、なんで戦っているんですか?幾ら何でも無茶ですよ!」

 

3人はツイスターを救出出来た事に安心するも彼女が今たった1人でヒューストムと戦っている事が無謀と思った。更に言えば彼女は手負いの状態であったはずだ。

 

「俺たちもそう思ったんだが、ツイスターが譲らなくて」

 

「そんな…何を呑気な事を言っているんですか!?其処は皆んなで戦うべきでしょう!」

 

かつてオーロラ(ユキ)が仲間と協力せず1人でランボーグに挑み危険な目に遭った事があり、またその時の様な事が起きてしまうとスカイは4人に言い聞かせる。

だが、4人はとても複雑そうな表情を浮かべる。それに気付いたプリズムとウィングは何かあったのかと思い問い詰める。

 

「実はちょっとツイスターにはヒューストムに因縁が出来ちゃってね。それで私達も下手に介入出来ないの」

 

「因縁?」

 

「それって一体?」

 

自分達の知らぬ間にツイスターとヒューストムに因縁が出来た事に驚くもののそれが何なのか聞こうとするが、

 

「悪い!それは言えない!」

 

「言えないってどう言う事ですか!?」

 

因縁とは何なのか明かそうとしないムーンライズにスカイは問い詰めるも彼は全く話そうとしなかった。

 

「ねぇ、言えない因縁って一体2人の間に何があったの?」

 

「せめて何かあったのか教えて下さいよ」

 

「えっと、それは…」

 

「なんて言ったら良いか…」

 

一方でプリズム達に問い詰められるオーロラ達はどう説明すればわからなかった。そんな中ひかるは額に手を当てる。

 

(言えるわけないだろ…裸にされたなんて…)

 

異性に無理矢理服をひん剥かれて裸にされた事を仲間とはいえ広めたく無い。ひかるはツイスターの為にも無言を貫く事にすると、そんな時ツイスターがヒューストムの竜巻を利用して逆に一撃を喰らわした所を一同が目の当たりにする。

 

「どうやら俺たちの助けは要らなそうだな」

 

「そう…だと良いんですが……」

 

戦いがツイスターの方が優勢であるにも関わらずスカイは表情があまり宜しくなく、何やら胸騒ぎを感じていた。

 

(何でしょうかこの胸騒ぎは?嫌な予感がします…)

 

嫌な予感をしてスカイは不安になるもツイスターがヒューストムの懐に飛び込んでそのまま顔面に向かって拳を入れようとした時だ。

ヒューストムの口角が釣り上がったのだ。

 

「っ!気をつけて下さい!ヒューストムは何か企んでいます!」

 

『え?』

 

スカイの声に側にいたムーンライズ達は反応するもツイスターは彼女の声が聞こえずそのまま彼女はヒューストムの顔面に重い一撃を叩き込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「使い慣れてないとはいえ、アンダーグエナジーを使うとは大した物だよ」

 

「っ!?」

 

ツイスターの拳がヒューストムの顔面を完璧に捉えたかと思ったが、左手で受け止められていた。

 

「さて、サービスタイムは終了…だ!」

 

ヒューストムはそう言うと彼女の拳を強く捻りその際、"ゴキンッ"と嫌な音が鳴り響く。

 

「ああああっ!?」

 

『ツイスター!?』

 

更にそのまま彼女の拳を掴んだまま持ち上げるとガラ空きとなっている彼女の鳩尾に向かって拳を撃ち抜く。

 

「ガフッ!?」

 

「言っておくが、パワーアップ出来るのははお前だけじゃないっ!」

 

うめき声を上げて苦痛の表情を浮かべるツイスターを放り投げると全身からオーラを纏うと彼女に向かって竜巻を放つ。

10m程高く飛ばされるツイスターは重力に従ってそのまま落下して大きな音と共に彼女は地面に叩きつけられる。

 

「があっ!」

 

「まだ、終わらねえよ!」

 

更に地面に倒れたツイスターに向かってヒューストムは彼女の元へ跳躍し膝を突き出すと倒れている彼女の右足に向かって膝蹴りを繰り出すと、"ゴシャリ"と先程よりも嫌な音を立てる。

 

「ああああああああああっ!!!」

 

『つ、ツイスター!!!』

 

周りに再びツイスターの悲痛の叫びが響き渡り彼女の右足があり得ない方向に曲がった光景を見て彼女を助ける為、スカイとプリズムとウィングにムーンライズが飛び出す。オーロラはひかるもツイスターを助けようと飛び出そうとした為、ヒョウと共に彼を取り押さえる。

 

「なんだ、こいつがボロボロになってから助けに来るなんて大した絆だな」

 

『っ!』

 

ヒューストムの皮肉と言えるその言葉に一同はぐうの音も出なかった。ツイスターがヒューストムとの1対1の戦いを挑みたい彼女の意思を尊重し、自分達がヒューストムと戦っている事が多く彼の実力を見誤ったが故にツイスターが怪我をしたのだと負い目を感じた。

 

「うぅ……」

 

「っ!…今は反省している時じゃねえ!」

 

地面にうずくまるツイスターを見て今は後悔している時では無いと思ったムーンライズを筆頭に4人は彼女を助けようとヒューストムへ迫る。

対してヒューストムは両腕に竜巻を纏いムーンライズ達を迎え撃つ為、その腕を振おうとする───。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「デスボール」

 

『うわあああああっ!?』

 

「っ!みんなぁ!」

 

突然上から降ってきた巨大なエネルギーの玉にムーンライズ達は対応できず吹き飛ばされ、ひかる達と共にいたオーロラは思わず叫ぶ。一方でヒューストムも面食らった表情となっていた。

 

「なんだ、何が起きた…?」

 

自分がムーンライズ達を吹き飛ばそうとした時、何処からか飛んできた攻撃に彼等が吹っ飛ばされた光景を見て困惑していると、ヒューストムとムーンライズの間に大きな黒い人影らしき物が降りてきた。

 

「…ターゲットを確認、これよりプリキュアの殲滅任務を開始する」

 

『は、ハイマックス!?』

 

そこに現れたのは少し前にムーンライズ達と街の中で戦闘をしたロボット、ハイマックスであった。ハイマックスは視界にプリキュア達を捉えると襲い掛かる。

一方でハイマックスが現れた事に呆然となっていたヒューストムはハッとなる。

 

「奴が現れた…ということは…」

 

「たった数分留守していただけでここまでは面白い事になっているなんてね」

 

「その声は!?」

 

背後から聞こえてきた声に思わず振り返ると其処にはいつの間にかキメラングが立っていた。

 

「やぁ、ヒューストム。私の代わりにツイスターを捕まえてくれた事に感謝するよ」

 

「キメラング………俺にそいつの力の事を隠していただろう」

 

自分にツイスターの強化について黙っていた事をキメラングに指摘するも彼女はキョトンとなる。

 

「あれ?言ってなかったけ?」

 

「聞いてねえぞ。それともまだ俺に何か隠している事でもあるのか?」

 

全く悪びれないキメラングの態度を見てヒューストムはオーラを纏いつつ彼女に向かって殺気を向ける。

 

「まぁ、そうカッカしない。それを言ったら君こそ私に実力を隠していたじゃないか。それでおあいこって事で良いんじゃないかな?」

 

「チッ」

 

隠し事は互いにしている。その事を指摘されたヒューストムは反論する事が出来なかった。

 

「さて、それにしても随分と彼女を痛めつけた様だね」

 

キメラングは視線をヒューストムから地面に倒れているツイスターに向けると骨折した右手首と右足を確認する。

 

「ああ、中々の実力だったから俺も本気を出したんだ。まぁ、少しだけだがな」

 

自身の実力を自慢するヒューストムにキメラングは「ふ〜ん」と返事をする。

 

(ヒューストム……君の事を最初はチンピラと評価したがその評価は訂正するよ)

 

感情に振り回され変身出来なかったらんこに性的行為を行おうとした事にバッタモンダーの様な小物として見下していたが、強化したツイスターを倒した事で彼女の中の評価が上がったのだ。

 

「まぁいいさ。それよりもツイスター……手足が折れていて痛いよねぇ。でも、安心すると良いよ。君のその痛みが無くなる物がここにあるよ♪」

 

そう言ってキメラングは白衣のポケットから黒く輝く一丁の拳銃が現れる。それを見たヒューストムはギョッとする。

 

「お、おい!?痛みを無くすってそう言う意味かよ!?」

 

「違うよ。この拳銃は私が作ったものでね。中に入っているのはドーピングカプセル、つまり高密度のアンダーグエナジーが込められているんだ」

 

まさか此処で拳銃を取り出した事にツイスターにトドメを刺すつもりなのかと思ったが、キメラングが否定して弾丸の中身がアンダーグエナジーと明かす。

 

「ツイスターの身体はアンダーグエナジーに適応しているんだ。その身体にアンダーグエナジーを注げばあっという間に怪我なんて治るよ。なに、カバトン君で既に立証済みだから大丈夫さ。まぁ、その結果暴走する可能性が高いけどね」

 

「へぇ、そいつは面白いな」

 

キメラングの説明を聞いてヒューストムは興味深く彼女の持つ拳銃を見つめる。

 

「という訳でツイスター。君の怪我を治してあげるよ」

 

「く…!」

 

銃口を向けられたツイスターは足を折られている為、その場から逃げ出す事が出来ずにいた。キメラングは動けない彼女に向かって引き金を引こうとした。

 

「させない!」

 

「うおっ!?」

 

その時、オーロラがキメラングの目の前に突然現れて彼女の持つ拳銃を蹴り飛ばした。

 

「チィッ!なにをやってる!」

 

ヒューストムはオーロラに攻撃を仕掛けようとするが彼女は咄嗟に避け、ツイスターに触れると彼女共にひかるとヒョウの元へ転移する。

 

「ツイスター!」

 

「大丈夫!?しっかりして!」

 

「み、皆んな……また助けられたわね……」

 

ひかるとヒョウはツイスターのに駆け寄ると彼女に肩を貸して身体を支える。

 

「2人はツイスターを連れてあげはさん達の元へ避難して!私は皆んなと一緒に戦ってくる!」

 

ツイスターを2人に任せるとオーロラは戦いに戻ろうとするが、ツイスターに腕を掴まれて止められる。

 

「ま、待って…私も…戦う…!」

 

「ツイスター…」

 

身体に大きな傷を負いながらも共に戦う意思を見せるツイスターを見てオーロラはかつての自身の姿と重ねる。戦いや日常生活で皆んなに必要される為に無茶を重ねてきた過去の自分とそっくりだった。

 

「ツイスター無理しないで。今のあなたは右手と右足が折れているんだよ。そんな状態で戦うなんて無理だよ」

 

「くっ」

 

オーロラの言葉にぐうの音も出なかった。確かにこの状態で戦うのは難しく足手纏いになり人質になるかもしれないのだ。

 

「オーロラの言う通りだ。悔しいけど此処は皆んなに任せよう」

 

「そうよ。貴女は一生懸命頑張ったからしばらく休んでましょう」

 

「でも……」

 

ひかるとヒョウからも戦う事を止められるもツイスターは戦う事を諦めようとしなかった。先程まで自身が優勢だったがヒューストムが本当の実力を見せたり更にはハイマックスとキメラングまで戦いに参戦している。このまま自分が何せずにいると戦いに負けてしまうかもしれないのだ。

 

(何とかして…せめて足だけが治ればまだ戦えるのに……)

 

何とかして自身の怪我を直ぐに治療出来ないか考える。だが、自分達には回復能力など都合の良い力は存在しない。やはり諦めるしか無いのかと思った時、ツイスターはとある出来事を思い出す。

 

「そうよ…ひかる、前に私がお腹を怪我を治したように今治せる事は出来る?」

 

「え?前って確か…」

 

ツイスターの発言にひかるは以前彼女の世界にやってきた際に腹に瓦礫の破片が刺さって大怪我を負っていたツイスターの姿を思い出す。あの時、自身が持つスカイトーンをツイスターのスカイミラージュへ装填した事で傷が治ったのだ。

 

「お願いひかる。皆んなを助ける為なの…力を貸して…!」

 

「ツイスター…」

 

藁にもすがる思いで頼み込むツイスターの悲しそうな顔を見てひかるは断れなかった。未だにその時の現象について理解出来ない事があるも彼女が必死に頼み込むのを見て彼女の想いに応えようと思ったのだ。

 

「ああ、わかった……あ、あれ?」

 

「どうしたの?」

 

ツイスターの怪我を治そうとポケットにあるスカイトーンを取り出すひかるだが何やら不思議そうな表情を浮かべる。それを見たヒョウは彼に話しかける。

 

「いや、なんか最後に見た時とデザインが違う気がして…」

 

そう言ってひかるは3人に自身の持つスカイトーンを見せる。色は黄色に変わっており更には中心には稲妻のマークが浮かんでいた。

 

「見た目の事なんてどうでもいいでしょ。今は治療が優先よ」

 

「おっと、そうだった」

 

スカイトーンのデザインが気になるもツイスターの怪我を治す為、彼女の手に持つスカイミラージュにスカイトーンを装填しようとした。

 

「何をするかわからないが、俺の存在を忘れるなよ」

 

「っ!させない!」

 

このタイミングでツイスターの治療をさせまいとヒューストムが襲い掛かる。そのため、すかさずそれをオーロラが止める。

 

「邪魔だ!」

 

「ああっ!」

 

『オーロラ!』

 

オーラを纏ったヒューストムにツイスターは吹き飛ばされる。

 

「くっ…負けない!」

 

「しぶといなっ!」

 

オーロラは諦めずにヒューストムに立ち向かいヒューストムもオーロラを迎え撃つ。そんな様子をムーンライズが見ていた。

 

「くっ、オーロラ!」

 

今すぐにでもオーロラを助けに行きたいムーンライズだったが、そうは行かなかった。

 

「デスボール」

 

「くっ!」

 

今はムーンライズ達はハイマックスと戦っている為、彼女を助けに行く事が難しいのだ。先程からスカイ達とコンビネーションで攻撃を繰り出しているが、全て見切られてダメージを与える事が出来ていない。

 

「これはどうだ!」

 

「はああああっ!」

 

ムーンライズはプリズムと並ぶとハイマックスに大量の光弾を放つが、デスボールを作り出すとそれを握り潰しながら拳を突き出す。

 

「デスブレイクッ!!!」

 

ハイマックスは飛んでくる光弾の雨をモノともせず突っ込んで行きそのままムーンライズ達の元へ行くと拳を振り下ろす。それを2人は避けるが、体勢を崩してしまう。ハイマックスはそこですかさず後衛であるプリズムに向かっていくと追撃を仕掛けた。

 

「きゃああっ!」

 

「プリズム!」

 

ハイマックスの漆黒の腕によって地面に叩きつけられたプリズムを見てムーンライズは彼女を助けようと迫るが、ハイマックスはそれを見越していたのか今度は彼に向かって腕を振るう。

 

「そうは行くか!」

 

「むっ?」

 

ムーンライズは光の光弾を放ちハイマックスの目を眩ませると一瞬で背後に回り込み、両手にエネルギーを溜める。

 

「ひろがる!ムーンライz「フンッ」ぐあっ!?」

 

必殺のムーンライズドリームを放とうとした時だ。ハイマックスは上半身を180度回転させ、ムーンライズにラリアットを決め地面に叩きつける。

 

「「ムーンライズ!」」

 

今度はスカイとウィングがハイマックスに迫っていく。それに対してハイマックスは2人に向かってデスボールを放ち、スカイとウィングは左右に分かれて避ける。

 

「ウィング行きますよ!」

 

「はい、スカイ!」

 

ハイマックスを挟み込む様にそれぞれ左右に立つとスカイは青いエネルギーを拳に纏い、ウィングは橙色のエネルギーを全身に纏うとハイマックスに迫る。

 

「ヒーローガール!スカイパァァァァァンチ!!!」

 

「ひろがる!ウィングアターック!!!」

 

それぞれの必殺技を同時にハイマックスに喰らわせようとするが、ハイマックスは左右にバリアを展開すると2人の同時必殺技を防ぎ切る。

 

「そんなっ!?」

 

「スカッ!?」

 

自分達の攻撃が効かなかった事に思わず動きを止めてしまった2人はハイマックスに捕まると地面に思いっきり叩きつけられる。

 

「そんな…皆んなーっ!!!」

 

「ハーハハハッ!!!やるじゃないかハイマックス!」

 

オーロラの目の前で次々とやられていく仲間達の姿を見て叫び声を上げ、対照的にヒューストムは愉快に笑い声を上げる。

 

「嘘…みんなが……このままじゃ全滅する!」

 

「ひかる!早くスカイトーンを私のスカイミラージュへ!」

 

「お、おう!」

 

一刻も早く戦いに復帰する為、ひかるに催促するツイスター。ひかるも彼女の要求に応じてスカイトーンをスカイミラージュへ装填して回復させようとする。

 

「きゃあああああっ!?」

 

「「うわああああっ!?」」

 

しかし、装填した瞬間に何故かツイスターの身体に電撃が走ると彼女を支えていたひかるとヒョウは吹っ飛んでしまう。そして、ツイスターを支える2人が離れた事で彼女は1人で立てずに地面に倒れてしまう。

 

「なんで…なんでなのよ…!」

 

かつて怪我をした時と同じ手順を行った筈なのに怪我の治療どころか逆にツイスターの身体が痺れて身動きが取れなくなってしまう。

 

「面白いな!やっぱりお前は笑いの才能があるぞ!」

 

「ツイスターを笑わないで!」

 

回復に失敗したツイスターを見てヒューストムは彼女を笑うが、オーロラはそれに怒りヒューストムに攻撃。しかし、それはあっさり防がれてしまう。

 

「おい、キメラング!いつまで拳銃を探すのに手間取ってんだ!」

 

「はいはい、わかってるよっと」

 

ツイスターが動けない今、ドーピングカプセルを打ち込むチャンスだとキメラングに言う。一方でキメラングは辺りが暗い事と拳銃の色が黒である事で探すのに時間が掛かったが漸く拾うとツイスターに銃口を向ける。

 

「ズドンと1発行こうかっ‼︎」

 

「っ!駄目だっ!」

 

「させない!」

 

キメラングが引き金を引く直前ひかるとヒョウはツイスターを庇おうと動くが、時既に遅かった。キメラングの拳銃から放たれた弾丸はツイスターの脇腹に命中する。

 

「ああああっ‼︎」

 

「「ツイスター!」」

 

脇腹を苦しそうに抑えるツイスターに2人は駆け寄ろうとした時だ。彼女の腹部を中心に漆黒のエネルギーが放たれる2人は吹き飛んでしまう。

 

「「うわっ!?」」

 

「ふ、2人とも!」

 

吹き飛ばされてそのまま気を失ったひかる達をオーロラは心配するが、それよりも不味い事が起きてしまう。

 

あああああああああっ!!!!

 

「っ!?つ、ツイスター!」

 

苦痛に満ちた顔を浮かべて声を上げるツイスターにオーロラは驚愕しながら視線を向ける。すると、ツイスターの全身から先程とは比べ物にならないくらいの漆黒のオーラが発せられていくと折れた右手首と右足が"メキメキ"と生々しい音を立てながら治っていき、更には彼女の衣装が漆黒に染まりマフラーも蝙蝠の翼と思わせる様な形へと変化し、髪の色と瞳が黒に近い緑へと変わり、最後は紫のアイシャドウが追加されると静かになる。

 

「……」

 

「つ、ツイスター?」

 

変わり果てたツイスターを見てオーロラは思わず固まってしまう。すると、ツイスターは先程姿が変化する過程で治った右足でゆっくりと地面に立ち上がると辺りを見渡す。

 

「おっ、どうやら成功したかな?」

 

姿が変わり全身からアンダーグエナジーを放つツイスターを見てキメラングは彼女に近づく。

 

「ゥ……ウガアアアアッ!!!」

 

「うおっ!?き、キメランラン!」

 

だが、ツイスターはまるで獣の様に近づいてきた存在を敵と見なしキメラングに向かって腕を振るう。キメラングはそれに対して咄嗟にしゃがみ、追撃を免れる為10m程離れた位置へ転移する。ヒューストムもオーロラとの戦闘を切り上げてキメラングの隣に立つ。

 

「キメラング……これはお前の想像した通りか?」

 

「あー、どうだろうか?」

 

ヒューストムに実験は成功したのかと聞いてくるが、キメラングは再び視線を姿が変わったツイスターに向けると彼女はキメラングを見つめていた。

 

「マッド…サイエン……コロス…!」

 

「ああ、ひょっとしたら失敗したかも…ちゃんと私の事を敵として認識してるから」

 

「おい、彼奴を強化させてどうする!?」

 

明らかにキメラングを標的として認識している事にキメラングは失敗と発言しヒューストムは彼女に詰め寄る。

 

「落ち着きたまえ、"失敗は成功の母"というだろう。もしかしたらただの失敗じゃ無いかもよ」

 

「ん?それって一体?」

 

何やら含みのある言い方をするキメラングにヒューストムは首を傾げる。

一方でヒューストムが離れた事でオーロラはツイスターの元に駆け寄る。

 

「ツイスター!姿が変わったけど、身体は大丈夫?」

 

オーロラは姿は変わったが敵であるキメラングを攻撃した事で彼女は正気を何とか保っていると思い彼女の肩に手を伸ばそうとする。

 

「シャアッ!!!」

 

「きゃあっ!?つ、ツイスター!?」

 

しかし、まるで猫のように手から鋭い爪を出すとオーロラに向かって振るってきた。そのためオーロラは咄嗟に避ける。

 

「フゥー…フゥー…コ、コロスッ…!」

 

「ツイスター…嘘でしょ…!?」

 

キメラングに攻撃したからツイスターは正気を何とか保っていると思っていたオーロラだったが、彼女が自身に襲い掛かり敵意ある眼差しを向けている事が信じられなかった。

一方でキメラングとヒューストムはその様子を見ていた。

 

「成る程、どうやら彼女は私だけじゃなく周りの動くものを全て敵として見ている様だね」

 

「へぇ、まるで血に飢えた獣みたいだな」

 

ツイスターの行動を見て彼女は視界に入ったものを全て敵として認識しているのだと気付いたのだ。

 

「これはカバトン君とまた異なったデータが取れそうだね。という訳でオーロラ、ツイスターとの戦闘データを期待しているよ!」

 

「ふざけないで!ツイスターを…らんこちゃんを戻して!」

 

自分の友達を獣の様に変えたキメラングにオーロラは怒りを露わにしてツイスターを戻す様に言うがキメラングは首を横に振る。

 

「戻せって言われても、生憎私は彼女を戻す手段は無いからその要望に応えられないよ」

 

「そんな…!?」

 

ツイスターを元に戻す手段が無く彼女にアンダーグエナジーを注いだ事とそれに一切悪びれる様子が無いキメラングの態度にオーロラは嫌悪感を見せる。

 

「残念だったな。まぁ、仲間同士の喧嘩は良くあるって話だからな。仲良くしな!」

 

「喧嘩なんt「シャアアアアッ!!!」きゃっ!や、やめてツイスター!」

 

再び獣の如く襲いかかってきたツイスターにオーロラは彼女に止めるように言うが、彼女に声は届かず攻撃を繰り出す。対してオーロラは反撃はせず防御しながら繰り返し彼女に呼びかけ続けるのであった。

一方でそんな様子をキメラングはじっと観察している。

 

(さて、正気は保てなかったけどアンダーグエナジーが満ちたその身体に戦闘技術…君は私の本来の目的の為の実力を見せてくれるかな?)

 

今まで実験やデータ収集の為に他者を見下していた眼差しとは異なった目をツイスターに向け、オーロラとの対決をじっくりと観察するのであった。

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