ひろプリに野良猫系キャラを入れてみた   作:獅子河馬ブウ

69 / 138
ちょっと職場で左腕を怪我をして投稿が遅れてしまいました。でも、骨折では無いので大丈夫です。
それでは、本編をどうぞ。
尚、今回終盤にとある2人が登場します。


第69話 推す理由

ソラ達の隣のテーブルに座っていたらんこが突然立ち上がり、ベリィベリーに向かって怒りを露わにした事にソラ達は呆然となっていた。

 

「お、おい、らんこ落ち着け」

 

「落ち着けですって?これが落ち着いていられるわけ無いじゃない‼︎」

 

ベリィベリーはらんこを宥めようとするが彼女は堪忍袋の緒が切れたかの様に怒りを鎮められずにいた。

 

「大した事ない?周りにチヤホヤされて調子に乗ってる?なんで見た事も聞いた事無いのにそんな事が言えるのよ!!!」

 

「そ、それは…」

 

どうやららんこはベリィベリーの発言を聞いて怒っている様でベリィベリーは痛い所を突かれたのか言い返せず言葉を詰まらせる。そして、らんこの怒りは更にヒートアップしていき、ついにとんでもない事を口走る。

 

「何も知らない癖に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の恩人を馬鹿にする奴は大っ嫌いよ!!!

 

「っ!」

 

怒りの感情に任せて言ったらんこの言葉にベリィベリーは目が見開き身体が固まってしまう。そして、らんこも呼吸を整えつつ「あっ」と声を出し思わず口を抑える。

 

「ご、ごめん…なさい…べr「すまない、らんこ」…ベリー」

 

らんこは言い過ぎた事に慌ててベリィベリーに謝罪をしようとするがその前に彼女がらんこに謝ると席を立ち上がり、何処かへ向かおうとする。

 

「べ、ベリィベリー …何処へ行くの?」

 

「少し…外の空気を吸ってくる。それとパフェ代は私が払っとこう」

 

「あっ……ベリィ…ベリー……」

 

そう言うとテーブルに置いてあった伝票を持って行くとベリィベリー はその場を去っていき、らんこは彼女を呼び止めようとしたがどう声をかければ良いか分からず、何処と無く元気が無い彼女の後ろ姿が視界から消えるのを黙って見ているしかなかった。

 

「私…なんて事を……」

 

喫茶店から出て行ったベリィベリーを見て力が抜けた様に席に座ると、テーブルに顔を伏して先程の己の行動に深く後悔する。

 

「(私って…やっぱり最低だ…)うぅ…!」

 

身体は震えて目から涙が溢れ泣き出しそうになっていると、

 

「にゃんこ、にゃかない」

 

「え?」

 

その時、聞き覚えのある声と共に小さい手の様な物が自身の頭を撫でている事に気づき、らんこは恐る恐る顔を上げるとそこにはテーブルの上に乗って自分の事を心配そうに見つめるエルの姿があった。

 

「え、エル!?な、なんであんたが此処にいるの!?」

 

「らんこさん…大丈夫ですか?」

 

「っ!その声は…!」

 

エルに続いてまたもや聞き覚えのある声が隣に聞こえた事にらんこはそちらに視線を向けるとそこにはソラ達の姿があった。

 

「ソラ、それに皆んなも!な、なんであんた達が此処にいるの!?」

 

「実は2人が気になって後をつけてきたの」

 

「それよりも先程は何があったんですか?」

 

「らんこちゃんベリィベリーちゃんに怒ってたけど…何か気に障った事でも言われたの?」

 

「そ、それは……」

 

ソラ達は先程のやり取りを一部始終見ていた。しかしベリィベリーが何故らんこを怒らせる発言をしてしまったのか、その部分だけはタイミング悪く見て無かったのだ。そのため、一同はそこを知りたかったのだが、肝心のらんこはとても言い辛そうな雰囲気を出している。

 

「らんこさん、無理に話さなくて良いですよ」

 

「ええ、僕たちは無理矢理聞くつもりはありませんから」

 

らんこの様子を見て今聞くのは難しいと判断したソラとツバサはらんこが自分から話すまで待とうと思った。

 

「うん、それじゃあ私達はその間ベリィベリーさんの様子を見てこようか」

 

「それなら此処は私と少年にエルちゃんが一緒にらんこちゃんの側にいるからソラちゃんとましろんはベリィベリーちゃんの方を任せるよ」

 

1人喫茶店から出て行ったベリィベリーの行方も気になる為、二手に別れようとそれぞれが動き出そうとする。

 

「待って、やっぱり…その、聞いて…さっき私とベリィベリーの間に何があったのか」

 

だがその直前にらんこがソラ達を止め、自分が先程怒った原因について話がしたいと言い出したのだ。それを聞いてましろは心配そうに彼女を見つめる。

 

「らんこちゃん…大丈夫なの?」

 

「正直言いづらいけど、逆に時間が経つにつれて余計に言いづらくなるから早めに言いたいの」

 

そう言うとらんこは話し出す。先程の自分とベリィベリーの間に何が起きたのか。

 

────────

 

それはソラ達がらんこ達から目を離した時に起こったのだ。らんこはベリィベリーにパフェを一口やった後、続いてパフェの残りを口に運ぼうとした時にらんこの視界に喫茶店に置かれたテレビに映るCMが目に入った。それはドリンクを紹介するCMで映像には2人の少女がドリンクを美味しく飲んでいる姿があった。

 

「ああっ!?うららとまこぴーじゃない‼︎しかも共演しているし‼︎」

 

「う、うらら…まこ…ぴー…誰だそいつらは?」

 

らんこがテレビに釘付けになり、そこに映る2人の少女の名前を呼んでいる事にベリィベリーは驚きつつもらんこに尋ねる。

 

「え、あんた知らないの!?……あ、そうだったわね。あんた昨日こっちに来たばかりだから知らないのも無理は無いわね」

 

「ああ…それでそいつらは何者なんだ?」

 

らんこの口から出る2人の名前を聞いてピンと来ないベリィベリー。だが、今のらんこの様子はスカイランドから今日まで自身が見た事無いはしゃぎ様に違和感があった。

 

(なんだ…胸に痛みが?)

 

また、同時に何故か今のらんこを見たベリィベリーは胸に謎の痛みを感じた。だが、今はそんな事はどうでも良いと思ってらんこは2人について詳しく聞こうとする。

 

「いい、うららとまこぴーは簡単に言うとアイドルなのよ」

 

「あい…どる?」

 

らんこの口から聞き慣れない単語が出てきた事にベリィベリーは首を傾げる。

 

「あ、そうよね。スカイランドって見た感じアイドル文化は無かったから理解が難しいわよね」

 

「まあな、それでそのあいどる?だったか、一体何をするんだ?」

 

「アイドルって言うのは歌を歌って沢山の人に好かれる人気者って事よ」

 

「歌を歌うだけ?それだけで人気になるのか?」

 

ベリィベリーにとって俄かに信じられない定義と思った。自分の世界で言う人気者と言うのは自身が所属する青の護衛隊にその隊長であるシャララの様な者を言う。スカイランドの平和を守る為日夜悪と戦い国民を守る自分達と比べてテレビに映るうららとまこぴーこと剣崎真琴は碌に武術すら覚えて無さそうなのにそれが人気者と言われて全然ピンと来なかった。

 

「ええ、そうよ。特にあの2人は私達の世界では名の知れたアイドル…スカイランドで言う所のシャララ隊長ね」

 

「は?こいつらが…シャララ隊長と…同等?」

 

ベリィベリーはらんこの発言に思考が停止する。

 

(こんな小娘達が我らが誇りある青の護衛隊の隊長であるシャララ隊長と同等?平和の為なら己の身一つで悪鬼を切って戦ってきたシャララ隊長が……同じ?)

 

スカイランドにて時に怪我を負っても国の為、民の為に粉骨砕身しながら働いてきて皆んなの憧れであるシャララが争いごとを一切し無さそうな2人の少女と同じと聞かされてベリィベリーはスペースキャット状態になる。

 

「ええ、それに私は家にいる時はいつも2人の歌を聞いて元気を貰っているのよ」

 

「っ!?」

 

まるで惚気話をするかの様に嬉しそうに語るらんこの姿を見てベリィベリーは絶句し恐る恐る話しかける。

 

「お、おいらんこ…ま、まさかだとは思うがあの2人に惚れたのか…わ、私以外の女に?

 

「惚れた?…そうね……惚れたかどうかって聞かれたら……惚れてるわね」

 

「な、な、なんだとぉっ!?」

 

らんこの口から惚れたという言葉が出た事にベリィベリーは持っていたコーヒーカップを落としかけそうになる程の動揺っぷりを見せる。

 

(し、しかも、ふ、2人だと!?)

 

自分以外の女と、しかも2人も好きになったと聞いてベリィベリーはらんこの節操無さに怒りを燃え上がらせる。

 

「らんこおっ!!!私と言うものがいながら浮気とはどう言う事だ!?」

 

「う、浮気!?いきなり何言っているのよ!?」

 

突然ベリィベリーが自分の事を浮気したと発言にらんこは困惑しながらも何故そんな発言をするのか聞き返す。

 

「どうしたもこうしたもあるかっ!あんなポンコツ臭とカレー臭漂う女達を好きになるとはどう言う事だ!?」

 

「ちょっと、そんな失礼な事は…いや、合ってるけど」

 

自分の推し達を貶す様な発言をするベリィベリーに一瞬怒りかけるも、その発言の内容が間違って無い事に反論出来ず認めるも、何故今日初めて見る2人の特徴を言い当てたベリィベリーを不思議に思った。

 

「そもそもあんな奴等がシャララ隊長と同等な訳無いだろう!それに歌ってるだけで人気者に成れこと事態が信じられない!テレビとやらで映っているからこちらの世界ではそれなりの知名度があるのだろうが、どうせそいつらの歌は実際聞いてみると大した事無いだろう!」

 

「大した事ない…ですって…?」

 

ベリィベリーの発言が聞き捨てならないらんこの眉はピクッと動き、ベリィベリーを睨みつけるが、彼女はらんこの眼差しに気付かずヒートアップする。

 

「ああ、そうだ。どうせ周りの奴等はその2人の顔が可愛いからちやほや持て囃し、そいつらが好きになった奴等もその二人にただ金ヅルにされているのだろう!まるでよくある宗教詐欺だ!らんこも目を覚せ。お前も騙されて─」

 

騙されていると言おうとした時、テーブルに物を叩く音が響き渡る。ベリィベリーはその音を聞いて驚き発言が途中で止まり、恐る恐る音の発生源に視線を向ける。其処には席を立ち上がり、自身の拳をテーブルに叩きつけたらんこがいる。そして、彼女の顔は俯いており表情がよくわからなかった。

 

「ら、らんこ…?」

 

「…消しなさい」

 

「え?」

 

彼女の声があまり聞こえずベリィベリーは声を漏らすと次の瞬間、怒りに満ちた表情を向けられて大声を上げる。

 

「今の言葉…取り消しなさい!!!」

 

 

───────

 

「─という事があったの。どう、こんなくだらない事でベリィベリーに怒鳴るなんて私って滑稽で笑えるでしょ」

 

「そ、そんな事ありません!」

 

らんこはベリィベリーに怒りを露わにした経緯を伝えると先程までの己の行動に自虐めいた発言をするとソラは慌てて否定する。

 

「そうだよ。それに友達でも趣味が合わなくて喧嘩する事はよくある事だからそう深く落ち込まなくて良いよ」

 

「あげはさんの言う通りです。僕だってスカイランドにいた頃空を飛ぶ事を夢にみてそれで近所の友達から散々馬鹿に……されて……フッ」

 

「つ、ツバサ君!?わ、態々自分の辛い過去を思い出さなくて良いと思うよ!」

 

「ちゅばしゃ、いたい?」

 

続いてあげは達もらんこのフォローをしようとするがその際ツバサは己の思い出したく無い過去を思い出し目からハイライトが消えて自虐的な笑みを浮かべる。そんな彼をましろとエルは慰めようとする。

 

「ツバサ…あんた何やってんの?」

 

「あ、ははは…」

 

先程まで落ち込んでいたらんこは今度は落ち込むツバサの姿に呆れた眼差しを向け、ソラもその様子に苦笑いを浮かべるとある事を思いつく。

 

「あっ、そう言えばらんこさん。さっき恩人って言ってましたが、そのうららさんとまこぴーさんとは前にに知り合った事があるんですか?」

 

以前スカイランドにて10年ぶりに自身の憧れであるシャララと再会した際にらんこはソラをキャラ崩壊する程羨ましがっていたが、その時らんこは2人とは対面した事ないと話していた。あれは間違いだったのかと聞く。

 

「ううん、私の一方的よ…」

 

「では、会ったこと無い2人を何故恩人と?」

 

会ったことが無い事に恩人と呼ぶらんこを不思議に思ったソラ。自身もかつては幼少期にシャララに助けられそれで彼女を恩人と慕っているが、らんこは自分と違い会ってもない人を恩人と呼ぶ矛盾点を指摘する。それにらんこは何やら言い辛そうな表情を浮かべる。

 

「言い辛いのなら無理に聞きませんよ」

 

「…いや、言うわ。ソラやあんた達は友達だから教えるわ」

 

そう言うとらんこは暫く目を閉じて心の準備が出来たのか口を開く。

 

「皆んなが私が昔虐めにあったのは知ってるでしょ」

 

「え、ええ…」

 

「らんこちゃん…」

 

あまり口に出したくない自身の虐めにあった過去を話すらんこに一同は心配しながらも彼女の話を聞く事にした。

 

「あれは2年くらい前、私が小学5年生くらいに虐めにあってソラシド市に引っ越した後の話よ」

 

そこかららんこは語り出す。当時虐めを受けたらんこは前の学校は転校し更にソラシド市へ引っ越して新たな生活を初めていたのだが、その時は自身の脳裏には別の街にきても虐めの出来事が残っており時々フラッシュバックが起き、更には四六時中虐めをしていた生徒たちの悪口が幻聴として聞こえていたのだ。心に深い傷を負うらんこは当時はまだ小学生でとても精神的に耐えられる物じゃなかったのだ。

 

「そ、そんな事が…」

 

「らんこちゃんのお母さん…そんな事言ってなかったよ……」

 

「える…」

 

ソラ達は既にらんこが虐めにあった事はらんこの母から教えて貰っているが、彼女の母ですら知らされてなかった事実にそれぞれ反応を見せる。

 

「らんこさん…どうして両親に相談しなかったんですか?」

 

「そうだよ。そんな辛い事を心に溜め込まずらんこちゃんのパパとママに言えば良かったじゃん」

 

「言える訳無いでしょ…私の所為で仕事をやめたり引越しする羽目になったんだからこれ以上迷惑を掛けたくなかったし」

 

ツバサとあげははらんこに両親に頼らなかったのかと聞くが、らんことしては自分の為にかつての生活を捨てる事となった両親にこれ以上心配を掛けたく無く、黙っている事にしたのだ。

 

「まぁ、そのおかげで毎日毎日頭の中に聞こえてくる悪口に私はノイローゼになり掛けたわ。そして、耐えられなくなった私はリストカットw「り、リストカット!?らんこちゃん手首見せて‼︎」あ、ちょっ!痛っ!」

 

リストカットと聞いてましろとあげはは慌ててらんこの腕をそれぞれ掴むと袖をまくって確認するが、そこには刃物などで切った傷跡は存在してなかった。

 

「あ、あれ、傷跡が無い?」

 

「いや、ひょっとして肌色のシャツやシールを…って、無いね」

 

2人は腕を触れたり摘んだりするが特に傷跡を隠している様子はなく、らんこは腕を引っ込めると不機嫌そうな顔を浮かべる。

 

「話を最後まで聞きなさい。やろうと考えたけど、自分の身体に傷を付ける度胸が無かったからやんなかったのよ。と言うか前に私が大怪我した時に身体を見たんだから腕に傷跡なんて無い事は知ってるでしょ?」

 

「あ、ははは…い、いや、ごめんね。焦ってつい早とちりしちゃって」

 

「でも、傷がなくて良かったよ」

 

らんこから呆れた眼差しを向けられたあげはは笑いながら謝罪し、一方でましろはらんこがストレス発散の為に自身の身体を傷つける事はしてない事に一安心する。そんな中ソラとツバサは先程らんこの腕を確認した際にある事に気がつく。

 

「あの、らんこさん。話が変わるんですけど、らんこさんは確かスカイランドでベリィベリーさんの電撃で腕を火傷しましたが、その火傷の跡が無くなってませんか?」

 

「少なくともスカイランドから帰る時はまだあった筈なんですけど」

 

「え…あ、本当だ」

 

ソラ達の指摘にらんこは一瞬呆気に取られるも改めて火傷をした腕を確認するとそこにあった大きな火傷の跡はまるで最初から無かったかの様に消えていた。らんこ自身何故消えているのか疑問に思っているとある事を思い出す。

 

(そう言えば、並行世界で手足を折られた時アンダーグエナジーで治ってだけど、もしかして…)

 

こちらのスカイランドに戻ってくる際に並行世界でヒューストムに手と足を折られ、その後キメラングからドーピングカプセルを投与されると手足が治った事を思い出し、その際に火傷も治ったのではと推測する。

 

「まぁ、火傷の傷跡は後回しよ。それよりもさっきの話の続きをさせて」

 

火傷については後で話す事にしてらんこは続きを話す。

幻聴に苦しむらんこは自傷行為で気を晴らそうとするがやろうとした直前に自分の身を傷つけようとする勇気がなかった彼女は何度もやろうとしたが結局やらずに終わる。だが、らんこは耳から永遠と聞こえてくる幻聴をなんとかしようと音楽を聞いて上書きしようと考えた。やってみると幻聴は聞こえなくなったがそれは一時的な物だ。音楽を聞き終わればまた自分を苦しめる幻聴が聞こえてくる。それかららんこは出来るだけあらゆる音楽を聞いて苦しみを紛らわそうとする日課が増えるのであった。

 

「そっか、それがらんこちゃんが音楽を聞く趣味に繋がる訳なんだね」

 

「まさか、音楽鑑賞のキッカケが幻聴を聞かない様にする為だったなんて…」

 

まさからんこの趣味である音楽鑑賞が元々幻聴を妨げる目的とは思ってもみなく衝撃を受ける4人。

 

「ええ、最初は音楽を聞く事は幻聴を消す治療目的としてやっていたの。最初はこれと言って音楽に思い入れは一切なかったの。聞いていた音楽のジャンルは全て適当に選んで内容はどうでもよくて…イヤホンで聞く時にボリュームを最大にして幻聴を聞こえなくしていたわ」

 

「え、そうだったんですか?」

 

ツバサはらんこの発言に驚く。らんこは音楽鑑賞が本当に趣味となっており、以前登山へ誘った時は音楽を聞くのを優先にしてあげはの誘いを断ったくらいであった為、今の発言は信じられなかったのだ。

 

「そっか…それで音楽プレイヤーを学校の時でも持ってたんだね…と言うかそんな事があったんだったら教えてよ!」

 

「う、五月蝿いわね!…そんな事当時の私が教えられる訳ないでしょ!」

 

「ま、まぁ、らんこちゃん落ち着いて。ましろんもらんこちゃんが好きで隠していた訳じゃない事はわかっているでしょ」

 

「うっ、わ、わかっているよ」

 

ましろは中学1年の時に幻聴に苦しんでいた事を教えてくれなかった事に怒るが、らんこはその時虐められていた事をましろに隠していた為言える訳が無く逆ギレするも、あげはが彼女を宥めつつ同時にましろを説得するとましろは説得に応じてくれる。

 

「じゃあ、らんこちゃん続きをどうぞ」

 

「え、ええ…それからと言うものの私は2年間も音楽を聞く習慣が毎日続き、中学に入学してから私はある出会いをしたの」

 

「それってましろさんの事ですか?」

 

「え、私!?」

 

らんこが中学である出会いをしたと聞いたソラはそれがましろとの出会いなのではと推測する。それを聞いてましろは嬉しそうな顔を浮かべる。かつて自身も不安だった中学生の生活は屋上でらんこと初めて言葉を交えた事がきっかけで川に落とした財布を拾ってもらったりそのお礼で新しい音楽プレーヤーをあげた事を機会に彼女と友達になり、それから交流を深めて楽しい学校生活を過ごせていると思い出す。

 

「違うわよ」

 

「え、違うの!?」

 

らんこの一言で蘇った思い出が砕け散り落ち込むましろ。そんな彼女を他所にらんこは続きを喋る。

 

「勿論ましろとの出会いもあったわ…でも、その後、大体2週間くらい経った日の事よ。私はあの2人…うららとまこぴーに出会ったの」

 

そう言ってらんこが思い出すのは幻聴に苦しむ日々が続く中、ましろから貰った新たな音楽プレーヤーに入れる曲を探そうと音楽ショップにやってきた時だった。

らんこは店内に入り適当なCDを買おうと店の中を回っていると近くの壁に飾られているポスターが目に入り、そのポスターに写る自分と同年代の少女の姿を目にする。

 

「春日野うらら…剣崎真琴…」

 

ポスターには人気アイドルの春日野うららと剣崎真琴が映っていた。そんな彼女達のポスターを見て目を細める。

 

「フンッ…何よ、幸せそうな顔をして…アイドルなんてくだらない…」

 

ポスターに映る彼女達はとても楽しそうに歌を歌っている様子で店内に置いてあったモニターにも彼女達が映り生き生きとして笑顔を振る舞っていた。

 

(私も昔は皆んなに好かれてたのに…なんでこの2人は人気のままでいられるのよ…!)

 

かつては自身も己の才能で小学校のトップ成績で人気者であったが、虐めに遭いその人気は途絶えた。だと言うのに彼女達は自分と同じ様に才能に満ち溢れ、人気は途絶える事なく維持どころか上昇している事に嫉妬心が芽生えるとらんこは2人のポスターに向かって蔑む様な眼差しを送ると、適当に他の歌手のCDを手に取りレジに向かおうとした瞬間だった。

店内から流れるとある曲がらんこの耳に入る。

 

「なに…この曲は?それに、心が軽い?」

 

その曲を耳にしたらんこは思わず足を止める。何故、突然足を止めたのか自身にもわからない。ただ、その曲を聞いていると先程まであった嫉妬心などが浄化していき、心が軽くなっていく様な感覚を味わう。らんこは気付くとその曲が流れているスピーカーを探して発生源を見つけると其処は先程まで自分が立っていた春日野うららと剣崎真琴のCDとポスターが貼られてあった棚であった。

 

「この声の主って…春日野……うららの声?」

 

らんこは驚く、先程まで自分が嫉妬して嫌っていた2人の内1人の少女がこんなにも心地良く、元気にさせてくれる様な歌を歌っていただなんて信じられなかった。そんな中、曲がキリの良いところで変わると今度はうららの歌では無い別の少女の歌がスピーカーから流れ、こちらも先程のうららと同様に自身の心を元気にしていく様な感覚に見舞われる。

 

「今度は……剣崎、真琴の歌?」

 

らんこはその声が剣崎真琴と気付くもその場に立って聴き入ってしまう。普段音楽はあくまでも聞こえてくる幻聴を遮る為のものとして聞いていたらんこだったが、彼女達の歌はまるで映画館の様に周りの観客が雑音を立てずに映画に集中するかの様にスピーカーの曲がスムーズに耳に入っていく。同時に自身のそれまで失っていた何かを再び作り出して行く感覚を味わうとやかましかった幻聴もすっかりと消えていた。まるで2人の曲がらんこの心を蝕む過去の傷を浄化してくれたかの様にだ。

 

「それがきっかけで私はうららとまこぴーのCDを買ってファンになったのよ」

 

「そう言う事だったんですか…」

 

らんこが2人のファンのきっかけとなった話を聞いて納得するも、それでも気になる事がある。

 

「でも、なんで2人の曲を聞いたら幻聴が消えたんだろう?」

 

「さぁ、それに関しては私自身も分からなかった。でも、分かっているのは2人は私を幻聴から解放してくれた。この事実は確かよ」

 

何はともあれ、らんこを苦しめていた幻聴は2人の歌によって消え去りらんこにとっては一度も会ったことは無いが恩人と慕い。いつかファンと同時に彼女達に救われた1人の人間としてお礼を言いたく日々コンサートや握手会のチケットを応募している。尚、結果は全て惨敗の模様。

 

「良かったですね。兎に角らんこさんはもう幻聴に悩まされずに済んで」

 

「あー…その事なんだけど」

 

「どうしたの?」

 

ソラの発言に何やら言い辛い表情を浮かべるらんこにましろ達は不思議に思い聞いてみる。

 

「うん、私に対して責めたり悪口の幻聴は無くなったわ…でも、その代わりに別の幻聴が…」

 

「「別の幻聴!?」」

 

てっきり幻聴は聞こえなくなったかと思いきや、今度は別の幻聴が聞こえてくると言う発言に一同は驚愕を浮かべる。

 

「あれ、らんこちゃん…その幻聴って、もしかして」

 

「なに、ましろんは何か心当たりがあるの?」

 

らんこの言う別の幻聴にましろは何かを思い出し、あげはは気になりましろに問い詰める。

 

「う、うん。実は前に私達がスカイランドの通信の為に裏山からスカイジュエルを取って帰ってきた後なんだけど」

 

そう言うとましろの脳裏にはその日、スカイジュエルを家に持ち帰りミラーパッドを通してスカイランドとの通信を終えて、らんこが帰ろうとした時だった。

 

「いや、今日はもう疲れたから私は帰らせて貰うわ……疲れによる物なのか今日は6人くらいかしら……女の子の声が聞こえるのよ……いや、1人はおばさんっぽかったけど。……特に最後は色々騒々しい声をしていた」

 

とらんこはそんな事を言っていたのだ。ましろは当時そこまで気にしてなかったが今思えばそれが彼女が言っていた自分を責め立てていた幻聴とは別の幻聴なのではと推測する。

 

「ましろ、それ正解だから」

 

「や、やっぱり!」

 

「と言う事はらんこさん、今度は複数の女の子達に悪口を言われる幻聴を!」

 

一難去ってまた一難。再び幻聴に悩まされているのかと一同は心配していたが、らんこは至って平気そうだった。

 

「いや、それが…なんか応援?みたいな事を言ってくるのよ」

 

「「「え?」」」

 

「応援って?」

 

「える?」

 

今度聞こえてくる幻聴の内容が応援と聞いて一同は目を丸くし。エルは首を傾げた。

 

「いや、そのまんま応援なのよね。なんか私が何か特定の行動や何かを考えたりすると勝手に頭の中に響くのよね」

 

「そ、それはつまり、大丈夫なんですか?」

 

応援とはいえ、幻聴が今も止まらず聞こえている事からツバサを筆頭に一同は心配そうにする。

 

「ええ、前の様に一日中聞こえるって訳じゃなく偶に聞こえてくる頻度になったから大丈夫よ」

 

以前の様に幻聴が罵ってきたら問題だったが、今は特にこれと言って一部を除いてストレスが溜まるような物は無い為、らんこの精神は余裕があった。

 

(そう言えば、幻聴の中においしーなタウンのゆいと同じ声が聞こえたけど…偶然だったのかしら?)

 

かつて裏山の時に聞こえた声がおいしーなタウンに住む同じプリキュアのゆいと声と台詞がそっくりだった事にらんこは一瞬驚いたが、そんなに気にせずにいたが今思えば自身の幻聴は何か謎があるのかと考える。だが、今はそれよりも別の問題に直面しなければならなかった。

 

(ベリィベリーに謝らなくちゃ…)

 

らんこは先程自分の発言で傷つけて店を出て行ったベリィベリーに謝って仲直りをしたいと思っていた。

 

────────

 

一方その頃、らんこと別れたベリィベリーは喫茶店から少し離れたベンチに座っており物凄いネガディブなオーラを発していた。

 

「ああ、らんこを怒らせてしまったぁ…らんこを怒らせるなんて私はなんて事を…」

 

自分の発言によりらんこを傷つけ怒らせてしまった事が今でもベリィベリーの脳裏に残っており絶望感に囚われている。

 

(憧れのシャララ隊長の名を出されてかっとなってしまい、気づいたららんこにとって大事な人を蔑む様な事を言ってしまうとは…)

 

らんこが2人のアイドルが好きと聞いて嫉妬のあまりその2人の悪口を物凄く言ってしまった事に後悔をしていた。

心なしか彼女の周りには紫色の顔が付いた金平糖らしき物も飛んでいる様に見えた。

 

「はぁ、私なんて…もうどうだって良いな……らんこに嫌われた今、この世界にいる意味なんか無い…」

 

完全に気力が無くなったベリィベリーはいっそのことスカイランドに帰ろうかと考えた。尚、ベリィベリーはアリリから与えられたシャララ捜索とプリキュアのサポートの任務の事を完全に忘れていたのだ。

 

(そうと決まればヨヨ殿にトンネルを準備してもらおう…)

 

ベリィベリーは気力を失った事でいつもより重く感じる身体をベンチから起こすと両腕をダランと垂らして顔は俯きつつ、身体を左右に揺らしながらその場から移動しようとする。

 

「あの…何かお困りですか?」

 

「ん?」

 

誰かがベリィベリーに話しかけてくると、彼女はそちらに振り向くと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには眼鏡を掛けた金髪のツインテールの少女とその隣には少女と同年代だろうの茶色の短髪の少年がいた。すると、少年は少女にこそこそと話しかける。

 

「おい、何で話しかけるんだよ?明らかにこいつは近づいちゃ不味そうなオーラを放っているぞ!」

 

「だって、なんだか放って置けないじゃん。それに困ってそうだし…あの、良ければ相談に乗りますよ」

 

「あっ、お前なぁ…!」

 

少女がベリィベリーに関わろうとしているのを見て少年は顔に手を当てて天を仰ぐ。一方でベリィベリーは知らない少女が自身に話しかけてきた事に驚きつつも彼女を突っぱねようとする。

 

「別に私は困って───」

 

困ってないと言おうとしたその時、ベリィベリーの脳裏には先程のらんこの声が蘇る。

 

「落ち着けですって?これが落ち着いていられるわけ無いじゃない‼︎」

 

「大した事ない?周りにチヤホヤされて調子に乗ってる?なんで見た事も聞いた事無いのにそんな事が言えるのよ!!!」

 

「何も知らない癖に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の恩人を馬鹿にする奴は大っ嫌いよ!!!

 

自分の推し達を馬鹿にされたらんこの顔とその時の台詞がまるで走馬灯の如く一言一句蘇り、ベリィベリーの心は再び悲しみの渦に飲み込まれ、目には涙が溢れる。

 

「わァ…ぁ…」

 

「あっ、泣いちゃった!」

 

「お、おい!何泣かしてんだよ!?余計面倒な事になってるじゃねえか!」

 

「わ、私はそんなつもりじゃ…!」

 

らんこの事を思い出したベリィベリーは◯いかわの如く泣き出し、それを見た少年と少女は困惑してしまう。泣かせるつもりは無かった少女はベリィベリーをどうやって泣き止ませ場もば良いかと考えていると、ある妙案が思い浮かぶ。

 

「あ、そうだ!ねぇ、一緒にご飯を食べませんか?」

 

「いや、なんでだよ!?」

 

少女の妙案に思わず少年はツッコミを入れる。そんな中ベリィベリーは何とか泣き止む。

 

「グスッ…べ、別に腹は──」

 

減ってないと言おうとした時、ベリィベリーの腹から音が鳴り響き彼女の顔は真っ赤に染まっていき、慌てて腹を手で隠そうとする。

 

「ふふっ、そろそろお昼の時間ですからお腹が鳴るのは仕方ないですよ」

 

「いや、確かにもうそんな時間だけど……まぁ良いや。んで、あんたはどうするんだ?」

 

「わ、私は…」

 

2人の誘いにベリィベリーは最初断ろうとしたが脳裏にらんこの顔が過ぎる。

 

「(どうせ、謝ったって許してくれ無さそうだし…)わかった。その誘いに乗ろう」

 

「え、マジか?」

 

「やったー!じゃあ、お昼は其処のカレー屋さんにしましょう」

 

少年はまさか初めてあったばかりで自己紹介もしていない自分達の食事の誘いに応じた事に驚きの表情を浮かべる。

 

「ああ、ところでお前たちの名前はなんだ?私はベリィベリーだ」

 

「へぇ、ベリィベリーさんですか…外国の方ですか?」

 

「まぁな…それでお前たちは?」

 

少女の質問にベリィベリーは下手にスカイランドから来たと言ったら面倒くさい事になると思い肯定する事にし改めて名を聞く。

 

「俺は甘井シローまぁ、シロップって呼んでいいぞ」

 

「私は春…うららって呼んで下さい」

 

「そうか、じゃあ店に入るか」

 

2人は己の名をシロップとうららと明かすとベリィベリーは2人と共にカレー屋へと入っていく。そして、ベリィベリー達がカレー屋へ入って1分が経つとまた1人カレーの匂いに誘われたのか、1人の人物が店の前に訪れる。其処には黒いジャケットを羽織り緑の髪とバッタを連想する触角?の様な物を生やした青年で店の外見を眺めていた。

 

「ここの店から美味そうな匂いがするな…丁度飯の時間だし、今日は此処で昼飯を食べるか」

 

そう言って青年…バッモンダーはカレー屋の扉に手をかけて中へ入っていく。そこにベリィベリーがいるとも知らずに。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。