ひろプリに野良猫系キャラを入れてみた   作:獅子河馬ブウ

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注意:今回らんこのキャラが崩壊します。


第7話 スカイジュエルを探してin裏山

スカイジュエルを求めて裏山へやって来た3人。3人は山道を歩きつつ道中で談話を繰り広げていた。そんな中ソラは先程のヨヨがスカイランド人である事を振り返る。

 

「それにしても驚きでした。まさかヨヨさんがスカイランド人だったなんて」

 

「うん、私もお婆ちゃんがソラちゃんと同じ世界からやって来たなんて今も信じられないよ」

 

「本当ね…私も初めて会った時から只者ではないって感じはしてたから今となれば色々納得出来ちゃうわ」

 

「「確かに」」

 

らんこの意見に2人は同意する。実際に普通の一般家庭では頼まない干したカエルを孫にお使いさせる時点で只者では無いと感じていた。

それとは別にらんこは2人を見てある推測を口に出す。

 

「……案外ましろとソラは遠い親戚じゃないのかしら?」

 

「「私とソラちゃん(ましろさん)が親戚……」」

 

らんこの親戚という発言を聞いてソラとましろは互いに暫く見つめあった。突拍子も無い発言ではあるもののヨヨがスカイランド出身でそれに伴ってましろもスカイランド人の血が流れている事から可能性は低くあるものの否定はできなかった。

 

「ヨヨさんが言うように私達が出会ったのは運命なのかもしれませんね!」

 

「そうだね!」

 

同じスカイランドの血が流れている自分達の出会いは偶然では無く運命という必然なのだと互いに思った。

ただ、それを見てらんこはつまらなさそうな表情を浮かべる。

 

「……なんか私だけ除け者の感じがする」

 

スカイランドの血を引く2人が楽しそうに話しているのをみて自分だけスカイランドの血が流れていない事にらんこは疎外感を感じていた。自分から会話を広げといて口にするのは野暮ではあるものの、2人にあって自分には無い物があるという事実を感じて仲間外れをされているように思えた。

 

「あ、ご、誤解です!決してらんこさんを除け者にした訳ではありませんから!」

 

「ご、ごめんねらんこちゃん!だから拗ねないで!」

 

「……別に拗ねていないし」

 

一瞬でもらんこの存在を忘れていた2人は慌てて弁明をする。しかし、らんこは口では拗ねていないと言いながらその姿は明らかに拗ねていた。

 

「あ、そ、それよりもらんこちゃんはあれからカブトンと遭遇していない?」

 

「話を強引に変えたわね……別にあれから豚男とは会っていない。というよりも家に引き篭もっていたから会う可能性はほぼ無いわよ」

 

「え、ずっと家にいたんですか⁉︎」

 

2人はショッピングモールの一件かららんこがずっと外出せずに家で過ごしていたとは思ってもみなく、驚愕していた。

 

「仕方ないでしょ…私はあのショッピングモールの時に思いっきり豚男の事を罵倒していたから確実に目を付けられているし……仮に外に出て道を曲がったらバッタリ鉢合わせする可能性だって高いの……そう考えたら暫くは家で過ごすというか、……まぁ、その所為でお母さんとお父さんに心配されたけど、取り敢えずは風邪ひいたって事にして乗り切ったわ………所でさっきから黙っているけど何か言ってくれないかし……って、え⁉︎」

 

「「………」」

 

らんこは先程から黙っている2人を不思議に思い振り向くと、2人の表情はとてつも無く思い詰めた表情を浮かべて思わず、驚いてしまう。

 

「ごめんなさいらんこさん!私が浅はかでした!」

 

「へ?」

 

「らんこちゃんの気持ちも考えず、呼び出してごめん!」

 

「は?」

 

突然頭を下げる2人にらんこは困惑する。何故自分に頭を下げて謝罪するのか全く理解できなかった。

 

「ちょ、ちょっと、何で2人が謝るのよ」

 

「だってらんこさんがカバピョンに狙われている可能性を考えず、ここ数日私は呑気にましろさんの家で過ごしていてらんこさんが危険な目に遭うなんて考えてもいませんでした!」

 

「私もソラちゃんが家に居るから安心していたけど、離れた所に住んでいるらんこちゃんが危険な目に遭うかもしれないって考えないで呼び出しちゃったし…」

 

「え、ええ……」

 

確かにらんこの家からましろの家までは約3kmも距離がある。その間にらんこがカバトンと遭遇する可能性はあった。2人は彼女がそんなリスクもあると考えずに迎えも行かずに呼び出してしまった事に深く後悔していた。

 

「や、やめなさいよ……それに私は何も考えずに今日ましろの家に来た訳じゃ無いから」

 

そう言うとらんこは背負っていたリュックから一冊のノートを取り出すとそれを2人に見せた。

 

「らんこさん……そのノートは何ですか?」

 

「実は私なりにショッピングモールの一件からそれなりに調べたのよ」

 

そう言うとらんこはノートをソラとましろへ渡すと、受け取った2人はノートを開いて中身を見る。

 

「うわっ⁉︎すっごい情報量…」

 

「まだ、この世界の字はまだ読めませんがすっごい密集してますね」

 

其処にはソラシド市の地図が載っており、所々にはカバトンの目撃情報が書かれていた。しかも、細かく日時と何をしていたのか詳しく書かれている。

 

「私が何もせずただ家に引き篭もる訳無いわ……ネットを使ってあの豚男の目撃情報を私なりに纏めたのよ」

 

カバトンに関しては自分たちのいるソラシド市に潜伏している様だが、SNSやキュアスタを駆使して目撃情報を探している。ただ、昼間は目立った行動をしていないのか目撃情報はあまり無かった。その後の時間……夕方などになってようやくおでん屋の屋台で目撃情報が入るくらいだ。

 

「まぁ…幸いにも家の近所に出たと目撃情報はないから今回外へ出て来た訳だけど……と言っても今の所完全に安全とは言い切れないけど……」

 

「それでも凄いよ!らんこちゃん1人でこれだけの情報を集めるなんて……ソラちゃんも凄いと思うよね⁉︎……って、ソラちゃん?」

 

1人で情報収集を行っているらんこをましろは凄いと褒め、ソラに声をかけるが彼女は地面に俯き無言になっていた。

 

「……ごい」

 

「え、何か言ったかしら?」

 

小声だろうか…ソラが何か言ったように思えたらんこはソラに確認すると、

 

「……すっごいです!ここまで研究しているなんて…!」

 

「えっ⁉︎…べ、別に……これくらいは普通よ……」

 

ソラは突如として普段よりも大きな声を上げてらんこの事を褒め称えた。そのためいきなり大声を上げた事にらんこは驚くが、すぐに普段の様に落ち着いた態度で答える。だが、ソラはそんならんこの返事に「いいえ」と否定する。

 

「そんな事はありません。此処まで緻密にノートに書き込んでいるなんて……らんこさんはもしかしてとんでもなく頭が良いんですか!?」

 

「ッ………」

 

だが、らんこは普段の様に謙遜する態度では無く、何か辛そうな表情を浮かべていた。

 

「らんこちゃん?」

 

「……え…あ、ああ、別に大した事じゃ無いわよ………本当に……」

 

「?」

 

ましろに話しかけられて慌てて謙遜する様子は何処かぎこちなかった。ましろは彼女の今の姿を見てショッピングモールでのある出来事を思い出す。それらソラがらんこのフードを外そうとした時に手を叩かれた時と状況が似ている気がした。その時は別の機会に聞こうと考え、先延ばしにしたが良い機会だから今聞こうと思い話しかける。

 

「ねぇらんこちゃん前から思ってたんd「え〜る……」…え?」

 

らんこに話しかけようとしたましろだったが、それを遮るエルの声を聞いて思わずそちらの方へ振り向いてしまう。3人の話を聞いてカバトンの事を思い出したのかでんでん太鼓を振るのを辞めて今にも泣き出しそうな表情を浮かべる。

 

「よしよーし、大丈夫ですよエルちゃん。私達が付いて居ますから」

 

「えうぅ〜…」

 

「…ソラ、今度は私が…」

 

ソラはあやそうとするが上手く行かない。その様子を見ていたらんこは今度は自分があやそうとして近づこうとするが、

 

「あ、そうだ」

 

「「ましろ(さん)?」」

 

何かを思いついたのかましろは道の端っこに行くとそこから何かを拾って2人の元へ戻ってくる。

 

「ほら!フワフワの綿毛だよ」

 

ましろが持って来たのは綿毛となった一輪のタンポポであったが。

 

「やっ!」

 

しかし、エルはそれを見ただけだと面白くも何とも無いのかそっぽを向いてしまう。

 

「じゃあ、これは?」

 

タンポポを軽く揺らしていくと先程までそっぽを向いていたエルが次第にタンポポに注目していき、ましろがタンポポに向かって息を吹きかけると綿毛が飛んでいく。それを見たエルは嬉しそうにその綿毛へと手を伸ばす。

 

「凄いですねましろさん!エルちゃんをあっという間に楽しそうな顔をさせるなんて!」

 

「そんな事ないよ…私よりもらんこちゃんの方が上手いよ」

 

自分よりもらんこの方がすぐにエルをあやす事が出来ただろうと、彼女は謙遜な態度を取る。

 

「…そんな事は無いわ」

 

「らんこちゃん…?」

 

だが、それは違うとらんこが否定する。

 

「赤ちゃんってのは、純粋で近くの人間の気持ちを感じやすい。変に赤ちゃんを不安にさせない為に自身が緊張してしまって逆に泣かせてしまう場合だってある……けど、ましろはエルに自身の優しさを伝えて喜ばせる事が出来た……これは簡単に出来る物じゃ無いわ」

 

「優しさ…?」

 

「そうです。今日だってエルちゃんが両親に会えなくて不安になっている事を見抜いたり、先程だってエルちゃん好きそうな物がわかったのもきっとましろさんの優しさの力ですよ!」

 

「そ、そうかな……」

 

ましろは2人に褒められて照れくさそうに顔を赤くする。

 

「よーし、私もらんこさんとましろさんに続いてエルちゃんを喜ばせてみせます!」

 

エルの機嫌を良くした2人に続いてソラも何かエルが喜びそうな物が無いか辺りを見渡すと何かを見つける。

 

「おお、これは何か良さそうです!」

 

「「ん?」」

 

近くの木の根元にしゃがみ込むソラを見て何を見つけたか2人は気になり、背後から覗いて見ると其処にはキノコが生えていた。ただし、見た目からして某配管工がよく食べているキノコと見た目が酷似している。そんなキノコにソラは手を伸ばそうとしていた。

 

「「ま、待って(待ちなさい)!それは毒キノコ(よ)!」

 

「ええ⁉︎」

 

目の前に生えているのが毒キノコだと分かるとソラは慌てて手を引っ込める。

 

「山には危険な植物もあるからよくわからない物は無闇に触っちゃダメだよ」

 

「あんた前に野宿した経験があるって言ってたわよね⁉︎……何で躊躇無く其処ら辺に生えているキノコに手を伸ばすの?」

 

以前ましろの家に住むのを断ろうと野宿経験あると自信満々で言っていたソラだったが、毒性のある物も知らずに手を出そうとする様子を見てらんこは疑いの目を向ける。

 

「い、いやぁ〜、お恥ずかしながらその時は持って来た食料を野生の動物達に全部食べられてあまりの空腹で餓死しかけて…その時に側に生えていたキノコを食べても特にお腹は壊しませんでしたので…寧ろ食べたら体が一回り程大きくなった感覚を味わいました」

 

「え、なに?……スカイランドにはあるの?○ーパーキノコ?」

 

スカイランドに◯ーパーキノコ?が存在すると聞いて一瞬ソラの話に興味が湧くらんこ。

 

「まぁ、結局のところそれはキノコが見せた幻覚でその後三日三晩お腹を痛めましたけど」

 

「「………」」

 

「あはは」と笑って誤魔化そうとするソラを見て2人は思わず無言の表情を浮かべ、恐る恐るらんこはましろに小声で話しかける。

 

「ねぇましろ……前にソラの事を馬鹿呼ばわりしたけど、本当に馬鹿かもしれないわ……」

 

「ら、らんこちゃん其処はせめて少々うっかり屋さんって言った方が……」

 

毒づくらんこをましろは宥める。だが、平然と其処ら辺の物を知識無しに触れようとするソラを見て野宿させなくて正解だったと思った。

 

「取り敢えずソラ…あんた帰ったらましろに植物図鑑を見せて貰って勉強しなさい」

 

「はい……そうさせて貰います」

 

己の危機感の無さを実感したソラはスカイジュエルを探したらましろから植物図鑑を見せて貰おうと思った。

 

「えるぅ〜!」

 

「なに、今度はどうしたのよ?」

 

そんな中先程落ち着いたエルが再び泣き出そうとする。その様子を見たらんこは何故急に泣き出したのかわからなかった。

 

「もしかして…」

 

「きっと、お腹を空かしているんだと思います」

 

対してソラとましろの2人は家でミルクを飲まなかった事を思い出し、それでお腹が空いて泣いてしまったと察する。

 

────────────

 

それから3人は一旦休憩を取る事にして広い場所へ移動するとピクニックシートを敷く。

 

「はい、らんこちゃん」

 

「………え?」

 

ましろからミルクの入ったマグを突然渡されたらんこは思わず呆気に取られる。

 

「エルちゃんにミルクをお願いね」

 

「ちょ、何で私なの⁉︎…其処は慣れているあんた達がやれば良いでしょ…!」

 

一度もミルクやった経験の無いらんこは経験のある2人にやって貰おうとマグを返却しようとするが、2人は受け取りを拒否する。

 

「良い機会だかららんこちゃんもエルちゃんにミルクを飲ませてあげて」

 

「いや…でも……」

 

授乳の経験の無いらんこは遠慮するが、二人はそれでもらんこにやって欲しいのか逆にらんこをおだてる方向で話す。

 

「エルちゃんはらんこちゃんの事が好きだからきっと上手く行くよ」

 

「あやし方も上手ですからミルクの方も大丈夫ですよ」

 

「えるっ!」

 

2人からの期待を上乗せする様にエルの物欲しがる表情を見て思わず頬を引き攣らせる。

 

「〜〜〜ッ!ああ、もう!…やれば良いんでしょやれば!」

 

こうなりゃヤケだと言わんばかりにスリングの中にいるエルを抱き抱え、エルの口元にマグを寄せると飲み口を口に入れる。するとエルはミルクを飲んでいくとそのまま全部飲み干した。

 

「確かこうやって……」

 

「けふっ」

 

以前ソラがやったやり方を思い出しながらエルの背中を撫でてゲップをさせると、スッキリした表情を見せる。

 

「はあぁぁぁぁ………き、緊張したぁ……」

 

どうにか授乳を失敗せず終える事が出来たらんこは緊張感を解き、顔からは多量の汗が流れ、深く息を吐く。

 

「上出来ですよらんこさん!」

 

「うん、エルちゃんも美味しいって言っているよ!」

 

「あんたら……人に押し付けてよくもそんな白々しい台詞をよくも吐けるわね……!」

 

授乳を自身に押し付けた2人を恨みがましい目で睨むも腕の中にいるエルの笑顔を見てらんこも次第に表情は笑顔になっていく。

 

「……まぁ、赤ちゃんにミルクをやる経験なんて滅多に無いから良い経験にはなったけど……」

 

エルの笑顔と授乳という貴重な経験に免じて今回は目を瞑ろうとらんこは2人を許す事にした。

 

「じゃあ、エルちゃんのお腹が満たしたから今度は私達がお腹を満たそうか」

 

そう言うとましろは持って来たバスケットの蓋を開けると中に入っていた物をソラとらんこに渡す。

 

「はい、2人にはパンがあるよ」

 

「ありがとうございます!」

 

「これは……クリームパン?……けど、色が白いわね」

 

ましろが2人に渡したパンの形はクリームパンに良く似ているが、普通のクリームパンとは違って全体の色は茶色では無く雲の様に白かった。

 

「ハグ…うーん、とっても美味しいですっ!」

 

ましろが用意したパンはソラは気に入った様であっという間に平らげてしまう。

 

「良かった…実は上手く焼けたか心配だったんだ」

 

「え⁉︎これ、ましろさんが焼いたんですか?」

 

「うん」

 

目の前にあるクリームパン(白)がましろの手作りと聞いてソラは驚く。一方で隣で聞いていたらんこもましろの手作りだと分かると自身の手の中にあるクリームパン(白)(ましろパン)を暫く見つめる。

 

「パンを作れるなんて凄いです!しかも、プロ級の味です!」

 

「えへへ、プロ級だなんて……あ、らんこちゃんもどう?美味しい?」

 

ソラに自身の作ったパンが褒められた事にましろは照れた表情を見せ、らんこにもパンの感想を聞こうと彼女の方へ振り向く。

 

「モキュモキュ……まずまずね。点数を付けるとしたら95点ね」

 

「滅茶苦茶高得点だね⁉︎」

 

最初辛口評価かと思いきや、その後の点数を聞いて思わずツッコミを入れるましろ。どうやら、らんこもましろの作ったパンの味が気に入った様だ。

一方で2個目を食べようとバスケットの中にあるパンを手に取るとなにかに気付く。

 

「あれ、もしかしてこの形は雲ですか?」

 

空にパンを掲げ、雲の隣に並べる様に見比べるソラに対して正解と言わんばかりにましろは頷く。

 

「うん、見た事ないけど私なりにスカイランドをイメージして作ったの。その名も"雲パン"!」

 

「雲パンですか…そうだ!エルちゃん雲パンですよ〜フワフワ〜!」

 

何か思いついたのかソラは雲パンを動かしてエルに見せる。すると、エルは動く雲パンを見て笑顔になっていく。

 

「えるぅ、えるる〜!」

 

「「フワフワ〜、フワフワ〜」」

 

ましろも雲パンを手にしてソラと一緒にエルの前で雲パンを揺らし始めると、先程よりもエルが笑顔を見せてくれる。そんな様子をらんこはじっと見つめる。本来なら食べ物で遊ぶのは良くないと注意したい所だったが、満面の笑みを見せるエルを見て此処で注意するのは野暮であるとらんこは黙々と雲パンを食べながらその光景を眺めていた。食事はみんなを笑顔にする。正に言葉通りだ。

 

『ご飯は笑顔、デリシャスマイル〜!』

 

誰だコイツ?*1

 

『ピピピーッ』

 

「ん?」

 

また、再び知らない誰かが頭を過ったかと思えば先程の声と比べてはっきりと聞こえ、鳴き声からして小鳥がパンを食べに来たのかと思いその方向を向く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると薄らとだが雲パンによく似た可愛らしい妖精が飛んでいた。

 

「……いけない。あまりの美味しさにパンの妖精の幻覚が見える」

 

雲パンの妖精を見て一瞬思考がフリーズするものの直ぐに再稼働する。目の前を飛ぶそれは先程の知らない誰かと同様に自身の想像から生み出した物なのだろうと考え、その存在を無視して雲パンを食べようとする。

 

「おお、この世界ではパンの妖精さんが存在するんですね」

 

「え?」

 

だが、隣で雲パンを美味しく頬張っているソラの発言にらんこは思わず耳を疑い振り向くとソラはらんこの幻覚?の妖精を目で追っていた。

 

「ソラもしかして……見えるのこの子?」

 

「はい、はっきりと見えますよ。雲パンの妖精さんが!」

 

『ピピー♪』

 

先程までらんこの周りを飛んでいた雲パンの妖精は今度はソラの周りを飛び、彼女の頬に頬擦りする様子が見られ、それがらんこの想像から生み出した物では無いと彼女は理解する。

 

「まさか集団幻覚とは……どうやらましろの料理の腕は私たちに雲パンの妖精の幻を見せる程の技量を持っているのね……流石ましろ…略して"さすまし"ね」

 

「そ、そうなんですか⁉︎凄い…やはりましろさんは料理の天才です!」

 

『ピピピ?』

 

こうして2人は互いに笑顔を見せ合い雲パンの妖精と戯れるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「2人はなんで何も無いところに向かって話しているんだろう?」

 

「え〜う♪」

 

ただし、作った本人であるましろは妖精が見えていない様で虚空に向かって指を刺したり、話しかけたりする2人を見て困惑する。

ただ、エルの方は2人と同様に妖精が見えているようで雲パンの妖精に手を伸ばそうとするのだった。

 

 

───────────

 

それから休憩を終えた3人はスカイジュエルを求めて再び歩いていると、竹林のある河原へとやって来た。

 

「お婆ちゃんが言っていたのはこの川だけど……」

 

「……ある程度場所は絞り込めているみたいだけど、この石ころの中から異世界の石を探すなんて1日で終わら無い気がするわ……」

 

目の前には大量の石が転がっており、此処からスカイジュエルを見つけるのは骨が折れそうだと思っていると、ソラのミラージュペンが光り出した。

 

「ペンが光っています!」

 

「スカイジュエルがあるって事だね」

 

「そうみたいね」

 

この川の何処かにスカイジュエルがあると確証を得た3人は目的であるスカイジュエルの捜索ができるとモチベーションが上がる。

 

「さぁ、宝探しの時間です!」

 

そう言うとソラは腰のミラージュペンを手に取って翳しながら周りの反応を確認し、しらみ潰しに探していく。

 

「おや、あれは何でしょうか?」

 

「どうしたのソラちゃん?」

 

遠くに何かを見つけたソラ。3人はその見つけた物へ近寄ると其処には様々の大きさや形をした石が高く積まれていた。

 

「す、凄い…一体誰が何の為に…!」

 

「うん、確かに凄いけど……」

 

2人は目の前の積まれた石に感想を述べるが、これが何なのか全くわからなかった。

だが、2人の隣でらんこは目を細めて高く積まれた石を見つめる。

 

「河原に積み石?……あっ」

 

「どうしましたからんこさん?」

 

目の前の積まれた石を見て何か気付いた様子のらんこにソラは話しかける。

 

「いや、……これはまるで賽の河原の石積みたいねって思って」

 

「賽の河原…?」

 

「それは何ですか?」

 

聞いた事のない単語を聞いてソラとましろは首を傾げそれが何なのからんこに聞く。

 

「賽の河原って言うのは三途の川の手前にある河原の事で親よりも先に死んだ子供が辿り着く場所よ……石積みは其処の河原にある石を使って子供が何時間も掛けて親との再会の為に石の塔を作っているの……けど、賽の河原にいる鬼がそんな子供を虐めてせっかく建てた石の塔を崩して邪魔をするの」

 

「え、ええええっ!?こ、これってそんなに怖いものなんですか⁉︎」

 

ソラは顔を青ざめながら積み石から2、3歩下がり、怯える様な姿を見せる。

 

「…なんか凄く動揺しているけどあくまでもそれを連想しただけよ。別に此処は本当に賽の河原じゃ無いから死んだ子供も鬼もいないわよ……そもそも私達は普通に生きているでしょ」

 

「ほっ…それは良かったです」

 

例えであると分かるとソラは安堵の息を吐く。その様子にらんことましろの2人はは恐る恐る話しかける。

 

「もしかして……ソラ。あんた怖いの苦手?」

 

「そう言えばさっき酷く動揺していたね」

 

「こ、怖くありません!ヒーローは怖い物知らずですから!」

 

2人の指摘にソラは強く否定するが、声が若干震えている事から2人は強がりであると察した。

 

「まぁ、良いわ……にしてもこれだけの形や大きさが異なる石や岩を積み重ねるなんて、余程の技量の持ち主ね」

 

記念に写真でも撮っておこうかとポケットからスマホを取り出そうとするが、

 

「へ、へっくち!」

 

「「「あ」」」

 

するとエルがタイミング悪くくしゃみをして、その衝撃により奇跡的にバランスを取っていた積み石はガラガラと音を立ててあっという間に崩れていった。

 

「……見なかった事にするわよ」

 

「そ、そうだね……」

 

「ほ、放置して良いんでしょうか……?」

 

3人の中で1番正義感のあるソラは制作者に黙っていて良いのかと気にするが、

 

「良い…エルのくしゃみで崩れるのよ。それなら私達がやらなくても風とかで崩れていたのかもしれない……いや、そうに違い無いわ」

 

「いや、そう言われるとそうですが……」

 

らんこの話を聞いて半分納得しかけるが、流石に他人の物を壊してそれを知らんぷりするのはヒーローを目指す者として見過ごす訳にはいかないと考える。

 

「それに此処にもし、私達以外の人が来てこの積み石の崩壊に巻き込まれたりする危険性があったのかもしれないのよ。それなら、人々の安全の為、時には手を汚す必要だってあるのよ」

 

「っ!他者を守る為に自ら汚名を被る…らんこさん!貴女の覚悟に感銘を受けました!」

 

「いや、其処まで言っていないんだけど……」

 

ソラはらんこにそう言われて納得するとらんこを褒め称え、そんな彼女からの褒めに自身の事を過大評価し過ぎだと若干引き気味にらんこは答える。

 

「あはは、と、取り敢えず次行こうか……」

 

2人はましろに言われ、崩れた積み石を後にして奥の方へ進んだ。

それから暫く進むと今度は直径3m程の大岩が3人の目の前に存在していた。

 

「この大きな岩にあったりして……」

 

「この岩、頑丈でびくともしないわね」

 

らんことましろの2人は岩を触って調べるが、勿論素手では壊せそうになかった。

 

「これはさすがにピッケルとかドリルが無いと壊せそうになさそうだね」

 

「そうね。でも、そんな道具は此処にはないから……」

 

一瞬虹ヶ丘家で留守番しているであろうヨヨならそれらの道具を持っていそうな気がするが此処から虹ヶ丘家まで往復するのに体力を結構使う為、一度虹ヶ丘家へ戻る案は却下する。

 

「此処からましろの家に戻ると結構時間が掛かるから……此処はソラ、あんたが変身してこの岩を「いえ、それには及びません」…え?」

 

「ソラちゃん?」

 

キュアスカイの力でをなんとかして貰おうと思ったが、ソラは変身する必要はないと答え背負っているリュックをらんこに渡す。

 

「すいませんがリュックをお願いします」

 

「リュック……え?」

 

状況が飲めないらんこは渡されたリュックと渡したソラを交互に見た。

 

「あの、ソラちゃん何するつもり?」

 

「この岩を割ります」

 

「「はい?」」

 

「えるぅ?」

 

今なんて言った?とらんことましろの脳内にはこの言葉が思いつく。この頑丈そうな岩を変身せずに素の身体能力で割ると言った。いや、そんな筈はない、恐らく聞き間違いだろうと思った2人は再びソラに問いただす。

 

「……あー、聞き間違いだと思うからもう一回聞くわ。ソラ、あんた何するつもり?」

 

「ですからこの岩を拳で割ろうと…」

 

やはり聞き間違いではなかった。このヒーローガールは素手で頑丈な大岩を割ろうとしていた。

 

「そ、ソラちゃん本気⁉︎逆にソラちゃんの拳が砕けちゃうよ」

 

「そうよ!あんたが修行や鍛錬をしたって板割や瓦割りと違うのよ……って、聞いていないし……!」

 

だが2人の話を聞かずソラは大岩の前へ立つと軽く深呼吸を行い、両腕を鳥が己の翼を羽ばたかせる様な動きをする。それを見たらんこは目を見開く。

 

「え、あの構えは……まさか⁉︎」

 

「え、何か知ってるの?」

 

ソラの動きを見て驚きを露わにする彼女の様子にましろは聞いた。

 

「あれは間違いない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鳳翼◯翔の構えよ」

 

「え、ほうよく…なんて?」

 

初めて聞く言葉にましろは首を傾げる。

 

「◯闘士星矢っていう少年漫画に出てくるフェニックス◯輝が使う技で相手を貫くパンチだったり、上に飛ばす技だったり、炎を飛ばす技だったりと人によっては印象が異なる技よ……」

 

「言っている意味はよくわからないけど、兎に角凄い技なんだね」

 

というよりもましろが一番驚いたのは何時もクールな雰囲気を出しているらんこが少年漫画を読んでいる事だった。今もシリアスな顔をして語る姿に違和感を覚える。

一方でらんこは内心興奮を覚えていた。これから目の前に起こる光景はアニメや漫画よりも完成度が高い鳳翼◯翔が見られるだろうと期待していた。

普段の彼女ならこんな想像はせずファンタジーじゃ無いんだからとバッサリと切る。

だが、自身の家から虹ヶ丘家へ来るまでの疲労が残り、思考が今まとも出なく。更にファンタジーバリバリな異世界からやってきたソラがやって来た事に彼女の中のフィクションの定義が崩れつつもあるのだ。

他にもこれまでランボーグから自分達を助けてくれたソラなら出来るとらんこは信じ切っている。

そして、次第にらんこの目にはソラの後ろ姿が青寄りの白い鎧を纏った青髪の男(フェニックス◯輝)の姿と重なって見えてきた。そうなるとこの後起きるのは。

 

『くらえ!鳳翼◯翔ーーーッ!!』

 

周りを燃やす炎が大岩を包み、それに目掛けて鳳凰の形をした炎の一撃を放つソラが見えてくる。

 

「ああ、見えるわ……ソラが鳳翼◯翔を打ち込む姿が!」

 

「らんこちゃんには一体何が見えているの⁉︎」

 

隣でましろが何かを言っているがらんこには彼女の言葉は一切聞こえず、これから起こる事を楽しみにしていた。ああ、待ち遠しい……早く技を見せて欲しいと目を輝かせて待っているが、次の瞬間ソラの構えが別の物に変わったと同時に先程まで見えていたフェニックス◯輝の姿は消え、同時にらんこの目が覚める。

 

「あ………ごめん違った…これ鳳凰◯翔じゃない……」

 

「ええええっ!?」

 

あんなに自信満々に言っておいて勘違いだった事を聞いてましろはずっこけそうになる。一方でらんこも先程まで珍しく熱く語ってた己の姿を思い出して恥ずかしく思ったのか顔を赤くし、フードを深く被り直す。

一方で一通りの構えを終えたソラは大岩に向かって拳を放つ。

 

「はあああっ!」

 

岩に命中したソラ渾身の正拳突き。すると拳に当てた場所から縦にヒビが入ると岩は綺麗に真っ二つに割れる。

 

「押忍ッ!」

 

「嘘ぉっ!?」

 

「に、人間技じゃ無いわね」

 

「えるるぅ!」

 

漫画やアニメの様にプリキュアにならず本当に拳一つで岩を砕いたソラに唖然となる2人、対してエルは面白そうにきゃきゃと笑って機嫌が良くなった。

尚、割れた岩にはスカイジュエルは無く代わりにアンモナイトの化石があった。

 

「そ、ソラちゃん手は大丈夫⁉︎」

 

「ご心配なく。これくらい何ともありませんよ」

 

岩を割ったソラの手が怪我をしていないかましろは気にするが、ソラは大丈夫と言わんばかりに右手を軽く振り問題ないとアピールする。

 

「というかスカイランドの人間って全員そんな身体能力を持っているの?……それともプリキュアになってから変身しなくてもでも強くなったの?」

 

先程のソラの岩を割った姿は異世界あるある別世界の人間よりも身体能力が高いのか、変身の影響でソラ自身の身体能力が超人みたいに向上してしまったのかと推測する。

因みにらんこは後者の方だと思っている。

 

「違いますよ。私は幼い頃よりヒーローを目指す為鍛錬を続けた結果、今の様に岩を割る事が出来る。スカイランド神拳を身につける事ができたんです」

 

「そ、ソラちゃんがどれくらい鍛錬をしたのかは知らないけど、普通の人は先ず岩を割る事は出来ないと思うよ……」

 

ましろの言う通りソラのやった事は簡単にできる事では無い。

 

「ちょっと待って……さらっと言ったけどスカイランド神拳って何よ?」

 

先程ソラの口から出た謎の言葉"スカイランド神拳"について詳しく聞くと、ソラは目を輝かせながら答える。

 

「よく聞いてくれました!スカイランド神拳とはスカイランドに古くから伝わる技でして!身に付ければ先程の様に岩を割る事なんて朝飯前なんです!」

 

「わ、わかったから近い!近いわよ!」

 

顔にぶつかるくらい近い距離で興奮気味で答えるソラはらんこは押され、彼女もハッと冷静になると「すいません」と謝りらんこに謝罪する。

 

「……と言うかそれぐらいの力があれば変身せずともランボーグに勝てるんじゃ?」

 

「そういえばそうだね」

 

らんこの言い分は最もだ。スカイランド神拳を最初のランボーグ戦に使っていれば倒せるまでは行かないが、何とかなったのではと思ったが、その問いに対してソラは首を横に振る。

 

「残念ながらスカイランド神拳は最初に行う溜めの動作が長いから実戦には不向きなんですよ」

 

「……凄いのか凄くないのかイマイチわからないわね」

 

岩を一撃で壊せるスカイランド神拳はあまり戦闘には向いていない様で使うタイミングが限られていた技であった。

一方でましろはソラが割った岩を眺めている。

 

「それにしてもこの岩の中にはスカイジュエルが無かったね」

 

割れた岩を確認するがやはりあるのはアンモナイトの化石くらいでスカイジュエルらしき物はなかった。

 

「まあ、アンモナイトの化石も立派なお宝だけど……今はスカイジュエルが優先ね」

 

「はい、それでは次に行ってみましょうか」

 

化石を放置するのは勿体無いと思うが、専門の道具を持って来てない為回収する事が出来ない。らんこは化石を諦めるとソラとましろと共に更に奥へと進んでいった。

*1
食が発展した街で料理を守る食べるの大好きな戦士

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