ベリィベリーとの買い物とその時出会ったレモネードの一件から数日が経過した。らんこ達はゴールデンウイークを終え、再び学校生活を過ごす日々が始まったのだ。
そんなある日、らんこ達は朝のホームルームをしている時だ。
「もう直ぐ体育祭が始まる訳だが、それぞれが出場する種目を決めようと思う」
らんこ達のクラスの担任である雑木林は体育祭に向けて黒板にそれぞれの種目名を書きいていく。それを見たましろは不安そうな顔を浮かべる。
「うう…ついに来ちゃったよこの時期が」
「まぁ、そんな悲観的になるんじゃ無いわよ」
頭を抱えて机に伏しているましろをらんこは哀れんだ眼差しを向ける。実は去年の体育祭に出たましろはあまり良い結果を出せず見事撃沈してしまった事があり、その時の事を思い出し苦悩に満ちた表情を浮かべているのだ。
因みに時期的にまだグレてたらんこは去年の体育祭は仮病でズル休みをして出なかったそうだ。
「らんこさん、体育祭って確か前に言っていた行事でしたよね。名前からして運動をするのが目的みたいですけど」
スカイランドへ行く前日にらんこが体育祭を口にしていた事を思い出したソラはそれがなんなのか彼女に聞く。
「わかりやすく説明すると私達生徒が日々の運動、授業の体育で鍛えた自分達の身体能力を発揮する行事ね」
「成る程、確かに日々鍛錬をこなしてる私にぴったりな行事ですね!」
「はは、ソラちゃん嬉しそうだね」
らんこから体育祭の事を聞いたソラは鼻息を荒くし、自信に満ちた顔を浮かべる。流石うっかりでスポーツテストの学園記録を全て更新しただけはある。面構えが違かった。
「では最初はリレー選手を決めたいと思うが、3人出れるが誰か出たい人はいるかな?」
一方で雑木林は生徒たちにリレーの種目に出る選手は居ないかと生徒達に呼びかけると軽井沢が何か思いついた表情を浮かべて手を上げる。
「はいはーい!それならソラ・ハレワタールさんと風波らんこさんがいいと思いまーす!」
「は?」
「え、私達ですか?」
突然自分が推薦された事にらんこは固まり、ソラもキョトンとした顔を浮かべ自身に指を刺す。
「良いね!」
「学園で総合一位と二位の2人なら絶対優勝間違いなしだよ」
「勝ったな、風呂入って寝よ」
生徒達は軽井沢の意見に賛成し大盛り上がりであった。それもその筈、春のスポーツテストにてソラは全ての種目を一位で記録を更新。らんこは総合で二位と言う運動部の生徒顔負けの結果を出し、その2人が出るとなれば盛り上がるのは当然の事だ。
「どうする、リレーに出るかね?」
「はい!選ばれたからには一生懸命頑張ります!」
雑木林は確認を取るとソラはやる気に満ち溢れた顔で承諾。リレーの種目に参加する事となったが、彼女はそのままキョトンとした顔になって聞き返す。
「あっ、ところでリレーって何ですか?」
「いや、あんた知らずに承諾したの!?」
「い、いやぁ、なんだか断りづらい雰囲気とノリでつい」
リレーを知らないにも関わらず周りの声もあってかつい乗せられてしまったソラは笑いながら誤魔化し、らんこは呆れた表情を浮かべる。そんな中ましろがソラに話しかける。
「ソラちゃん、リレーって言うのはね。普通の駆けっこじゃなくて、チームで走るスポーツだよ。バトンを持って走って次に走る人へとバトンを渡すの」
ましろの説明を聞いてソラは手を叩いて納得した表情を浮かべる。
「なーんだ。リレーってラルーの事だったんですね。スカイr「す、スカイランジナビア!スカイランジナビア…だよね?」えっ!?あっ、そ、そうです!」
「いや、スカンディナビア半島よ」
うっかりスカイランドの事を口に出しかけるもましろが慌てて割り込み、ソラも危うく喋ってしまう事に気付き誤魔化す様にましろの話に合わせる。尚、その横でらんこは間違っている事を指摘した。
「す、スカンディナビア半島にいた頃は村のお祭りでは必ずラルーの選手に選ばれてましたよ!」
「おお、それは頼もしいな」
「任せて下さい。あっ、ただ一つお願いがあります」
クラスの皆んなから期待を背負ったソラは途中何かを思いついた様子を浮かべるとましろに視線を向ける。
「私達にバトンを渡す3人目のリレー選手を…ましろさんにお願いしたいのです!」
「え?」
「え……ええええっ!?」
突然のソラからの指名にましろは一瞬、固まると次の瞬間教室に響き渡る程の大きな声で叫んでしまう。一方でらんこはソラがましろを指名した事に唖然としている。
「む、無理だよ〜!私運動は苦手だし、スポーツテストの時もあまり良い成績じゃなかったよ〜!」
「そんな事ありません!ましろさんだって日々ランニングをしているじゃないですか!」
「そうだけども〜!」
リレーの推薦にましろは拒否するもソラも粘り強くスカウトするが互いに一歩も引く様子は無い。そのやり取りにらんこはため息を吐くとソラに話しかける。
「ソラ、ましろが拒否してるんだからしつこく誘わないの。それに言っちゃあれだけどましろはこの前の体育の授業でやったサッカーだって"フィニッシュは私が決める!"って、ドヤ顔で言いながらシュート決めようとしたら足を滑らせて転んだんだから」
「らんこちゃんはそれを掘り返さないでよ!」
ましろの擁護をしているつもりのらんこだが、ましろにとってはあまり思い出したく無いしくじりである為、思わず声を上げてしまう。
「そんなことはありません。ましろさんは日々努力をしています。ずっと側で見ていた私が保証します。それに、私はましろさんじゃないと嫌なんです!」
「ソラちゃん…」
自分を信頼してくれるソラの言葉にましろは嬉しく思い、笑みを浮かべる。そのやり取りにクラスもざわめく。
「確かにソラちゃんと言えばらんこさんとましろさんだよね」
「あの3人ならきっとやれるよ!」
「それに走る速さも大事だけど、息のあったバトンパスも大事だしね」
ソラがましろを最初リレー選手に推薦した事は驚いたものの、ソラとましろとらんこは仲の良い3人組としてクラスに認知されている。その為、あまり否定的な意見は無い。寧ろ肯定的な意見がチラチラとあった。すると、ソラはそんな声を聞き、ましろからクラスメイト達の方へ視線を向ける。
「そう!その通りです!」
「そ、ソラちゃん?」
「あんた何するつもり?」
何やら生徒達の発言に強く同意すると黒板の方へ行き、チョークを取ると黒板に大きくバトンパスと書いている。その様子にましろとらんこは不思議そうな顔を浮かべる。
「良いですか!リレーで最も大事なのはズバリ!バトンパスなのです!」
「え、バトンパス?」
「急にどうしたのよ?」
突然ソラが熱く語り出した事にましろは困惑の顔を浮かべ、らんこは不審な眼差しでソラを見つめる。
「確かに足の速さも大事です。ですが、このラルーもといリレーは個人で走るのでは無くチームで走るんです。つまり、バトンを渡す時に落としてしまったり、落とすのを怖がってゆっくりバトンを渡したりすると…ここで差をつけられて負けてしまうのです‼︎」
「か、顔が怖いよソラちゃん」
「あんた、変なスイッチが入っているわよ」
リレーは速さよりもチームワーク…つまり、バトンパスが大事だと熱く語り最後に迫真な顔で言い切るソラにましろは顔を引き攣らせ、らんこは呆れた表情を浮かべる。
「なので勝利の為、私達へ繋ぐ大切なバトンを託せるのはましろさんしかいません…お願いしますましろさん」
「わ、私なんかで良いの?」
改めて指名してくるソラにましろは恐る恐る確認を取る。自身の運動神経はこのクラスの中で下の方だとましろは自覚している。それなら自分以外の運動に自身のある生徒に任せれば良いのではと考えていた。
「勿論です!私とましろさん…そして、らんこさんが協力すれば勝利は確z「ねぇ、盛り上がっている所で悪いんだけどちょっと良い?」…はい、どうかされましたか」
自分達が3人揃えば勝てると豪語するソラにらんこが話しかける。
「なんだか私もリレーに参加する雰囲気になってるけど…私はリレーをやるつもりはないわ」
「「え?」」
『え?』
先程までリレーの選手決めで盛り上がっていたクラスの雰囲気がらんこの一言で突然静まり、教師の雑木林とソラとましろを含めた生徒達が固まってしまうも、10秒ほど経つとソラがいち早く我に返りらんこに話しかける。
「ど、どうやら、窓から吹く風で聞き間違えたみたいです。さっき、らんこさんがリレーには出ないって聞こえたんですが…」
「だからリレーには出ないって言っているじゃない」
再びらんこの発言にクラスは静まり帰ると再び10秒経つと生徒たちは一斉に動き出した。
『……えええええええええっ!!!?』
「いや、なによ皆んなしてそんな反応をして」
らんこの発言に彼女を除く全生徒が思わず机から身を乗り出して驚愕の声を上げる。それもその筈、クラスの中で2番目に体育の成績が良いらんこがリレーに出ないと宣言した事に驚くのは無理も無い事だ。
「な、何故ですからんこさん!?我々3人が揃えば勝ったも同然ですよ!それにプリキ「うわあああああっ‼︎」ま、ましろさん?」
リレー選手を辞退しようとするらんこにソラはうっかりプリキュアの事を口に出し掛けるもましろが慌てて声を上げてソラの声を遮ると、今度はましろが話しかける。
「ら、らんこちゃん!なんでリレーに出ないの!?」
「いや、なんでって、リレーなんて体育祭の中でメインイベントとも言える種目でしょ?そうなると選手として出たら目立って周りの人の視線がいっぱい浴びる事になるから嫌なのよ」
らんこがリレーを降りる理由について聞いた所でましろは思い出した。彼女は目立つ事を嫌う性格だと。確かにリレーとなれば応援する生徒やその家族達の見る対象は走る生徒のみとなり、360度から大量の視線を浴びる事となるのだ。
「た、確かにらんこちゃんの性格上リレーは苦手になるよね」
ましろはらんこがリレーに参加しない理由に納得しかけるが、ここでらんこが追い討ちと言わんばかりの言葉を言い放つ。
「それともう一つの理由は走るのが面倒くさいことね」
「それが1番の理由だよね!?」
らんこからの面倒くさいから出ないと言う発言にましろは思わずツッコミを入れた。
「それに帰宅部の私なんかよりもこのクラスには運動部の生徒が何人かいるからそっちに任せればいいじゃない」
らんことしては此処は走りに自身がある生徒にリレーを出る様に勧めようとする発言をするが、それを聞いた生徒達…特に運動部に所属の生徒は沈んだ表情を浮かべる。
「あれ、あんた達どうしたの急に黙って?」
何故かソラとましろを除くクラスのみんなが沈んだ表情を浮かべた事にらんこはひょっとして失礼な事でも言ったのかと思ってしまうが、吉井が恐る恐る話しかける。
「…らんこちゃん。それ本当に言ってるの?」
「ん、どう言う事よ?」
何やら吉井から信じられない物を見る目を向けられている事にらんこは不思議に思っていると続いて仲田が話しかける。
「らんらん、スポーツテストの翌日に起こった事を忘れてない?」
「翌日?……あっ、そう言えば…」
仲田の指摘にらんこはある事を思い出す。
────────
時は数ヶ月前、スポーツテストから翌日の事であった。らんこは午前の授業を終えるとソラとましろと共にお昼の弁当を食べようとしていた時であった。
『頼もーう!!!』
「「「ん?」」」
教室の扉が開くと複数の人間達の声が其処から響き渡り、らんこ達や教室で弁当を食べていた生徒達はそちらに視線を向けると其処には別のクラスの生徒達が立っていた。
「此処に風波らんこさんと昨日転校してきたソラ・ハレワタールさんはいますか?」
「え、らんこちゃんとソラちゃんに用?」
やってきた用がソラとらんこにある事にましろは一体どんな用事なんだろうと不思議に思ってると、らんこは口を開ける。
「風波らんことソラ・ハレワタールなら今日は風邪を引いて休みですよー」
「えっ、らんこちゃん?」
何故からんこは他人を装う様に自分とソラは今日登校してないと嘘をついた事にましろは驚き、何故彼女はそんな嘘を吐くのか不思議に思っているとらんこが理由を言い出した。
「静かに、どうせロクな用事じゃ無いわよ。此処は居ないって事で頼むわ」
「ええ…良いの?」
どう言う用事で来たかは知らないが、折角別の教室からやってきたんだから話でも聞いてあげようと提案するが、らんこはそれでも嫌なものは嫌なようで。
「私は厄介事は苦手なのよ。それに貴重な昼休みの時間を知らない誰かの為に割きたくないのよ。わかったらソラも黙ってて……って、ソラは?」
「あ、あれ、そう言えばさっきまで此処に居たのに?」
先程まで自分達の側にいた筈のソラが消えている事に気付き、一体どこへ行ったのか周囲を見渡していると彼女の声が教室の扉付近から聞こえてきた。
「はい!私がソラ・ハレワタールです。因みにあそこでお弁当を食べているのがらんこさんで隣にいるのはましろさんです」
「ちょっ、ソラァッ!?」
「あ、ははは…バレちゃったね」
いつの間に生徒達の前におり、自身とらんこはいると明かしてしまう。そんな彼女の行動にらんこは思わず声を上げ、ましろは笑って誤魔化した。
「貴女がソラ・ハレワタールさんに風波らんこさんね」
「はぁ…はいはい私が風波らんこですよー。それで何の用か早く言ってくれる?私は昼休みの時間を無駄にしたくないので」
ソラによってバラされた為、らんこは観念してやってくると生徒達に要件を尋ねた。
「私達の要件はただ一つ!」
「ソラ・ハレワタールさんと風波らんこさんに挑戦状を叩きつけにやって来たのよ!」
「え?」
「は?」
『ちょ、挑戦じょおおおおおおおおおおおうっ!!!?』
なんと別クラスから2人に挑戦状を持ってきた事にソラとらんこは呆然になるもましろを筆頭としたクラスの生徒達が驚愕の声を上げる。
「え、ええええっ!?ちょ、挑戦状って、なんで私達に!?」
「なんでって、十中八九昨日のスポーツテストで私達が学校で一位と二位になっちゃった事が原因でしょ」
挑戦状を叩きつけてきた理由にいち早く気付いたらんこは改めて挑戦状を持ってきた代表の生徒を見て思わず目を丸くする。
「あれ、よくみたら貴女達は女子野球部の四宮たまきさんに扇かなめ先輩じゃないですか」
「知ってるんですからんこさん?」
目の前にいる2人の事を知ってそうな口振りならんこにソラは気になって尋ねた。
「2人は女子野球部のピッチャーとキャッチャーでうちの学校の女子野球部を連戦連勝に導く実力者コンビよ。まぁ、通称たまかなコンビって呼ばれてるけど」
「女子野球部…」
らんこから2人について説明されると不思議そうな顔を浮かべる。それも当然の事だろう。ソラが暮らしていた世界のスカイランドには野球というスポーツは存在していない為、それがなんなのか興味があった。
「それで私達の挑戦状は受けるの?」
「ええ、ヒーローはどんな挑戦でも受けまs「いや、受けませんが」…え?」
『え?』
ソラは彼女達の挑戦を受けようとしたが、それを遮る様にらんこが拒否の声を上げる。
「な、なんで挑戦を受けないの!?」
「そ、そうよ!其処はスポーツテスト一位と二位の結果を持つ貴女達なら挑戦を受けるのが普通でしょ!?」
らんこの発言に思わず動揺を見せるたまかなコンビ。
「いや、ソラは知らないけど私はあんまりスポーツは興味ないの。それにそんな気持ちはとうの昔に無くなったし」
「ら、らんこさん?」
「目の、目の輝きが消えてるよ!?」
まるで燃え滓の様にやる気が無いらんこ…と言うよりも目のハイライトが消えている事にソラとましろは心配する。一方で挑戦状を叩きつけにやってきたたまかなコンビは困惑の表情を浮かべる。
「どうするたまき?風波さんがこんなんじゃとても挑戦を受けてくれ無さそうだよ」
「まぁ、ここは私に任せて下さい」
やる気が一切感じられないらんこにかなめは出直そうかと提案するが、たまきは何か良い案を思い付いた様子でらんこの方に視線を向けると口を開ける。
「勿論ただとは言わないよ。君たちが勝てば何でも聞いてあげるよ」
「ちょ、たまき!?」
挑戦に勝ったら自分達がらんこの言う事をなんでも聞いてあげると言う発言にかなめは驚きの表情を浮かべると、先程まで目の輝きを失ってたらんこは目にうっすらと輝き出す。
「…今なんでもって言った?」
「ほら、たまきが変な事を言うから反応したじゃないか!?」
「大丈夫ですって、ようは私達が勝てば良い話ですから」
かなめは明らかに邪な事を考えているであろうらんこの姿を見て不安になるもたまきは焦っておらず余裕の表情を浮かべる。
「因みにだけど、他の皆さんも同じ条件でいきますか?」
「勿論よ!私達に勝てばなんでも望みを聞いてあげる。だけど、2人が負けたら私達テニス部に入ってもらうよ!」
「いいや、此処は女子バスケット部!」
「いいえ、卓球よ!」
他の部活に所属している生徒達もたまきと同じ条件を出すとらんこは笑みを浮かべる。
「面白いわ…ちょっと、構ってあげるわ」
「あっ!らんこちゃんが珍しくやる気になった!」
「なんと、これは面白いですね。私も付き合いますよ!」
こうしてらんことソラはたまかなコンビを筆頭とした野球部や他の運動部の挑戦を受ける事となりソラと共にそれぞれの部活のスポーツで対決をして勝っていったのであった。
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「…ああ、そう言えばそんな事もあったわね」
スポーツテストの翌日にて運動部から挑戦を受ける事となり、らんこはソラと共に挑戦を受けて勝った事で今回の体育祭でらんこの代わりに出るリレー選手のプレッシャーがあまりに重すぎたのだ。
「あの時は結構張り切りすぎたわね」
「ええ、私とらんこさんで私達に挑んでくる皆さんを相手に様々なスポーツをしたのは良い経験でしたね」
「いや、ソラちゃんとらんこちゃんが挑戦しに来た相手全部に勝ったから運動部の皆んなのプライドがズタズタにされたんだよ!」
らんことソラは数ヶ月前にやった運動部たちからの挑戦を受けた感傷を浸っていると吉井がツッコミを入れる。
「ちょっと、人聞き悪い事を言うんじゃ無いわよ。私達はスポーツマンシップにのっとり正々堂々と戦ったのよ」
「うん、ソラちゃんとらんらんが正々堂々と戦ってたまかなコンビや他の運動部に勝ったのは凄かったよ。けど、部室の看板を剥ぎ取って行こうとしたのは流石に不味かったって!」
そう、らんこ達は勝ったのだが、どう言う訳からんこは道場破りの如く運動部に勝った後看板を持って行こうとする暴挙に出たのだ。
「仕方ないでしょ、私達が勝ったらなんでも願いを聞くとか言ってたのに私の願いがどの部活も叶えられなかったから仕方なく部室の看板で妥協してあげたのよ」
「いや、妥協でも歴史あるウチらの学校の部活の看板を持って行こうとするかな!?」
らんこの発言にましろのツッコミが入る。因みにらんこが叶えて欲しかったのはうららとまこぴーのコンサートチケットなのだったが、どの部活もスポーツ一筋である為、コンサートチケットを持っている訳が無くらんこの願いは叶えられなかったのだ。
「何言ってんのよ?元はと言えばたまきさんが先に提案したのよ。私はその提案通りの事をしようとしたのよ」
「うっ、確かにそうだけどさ」
確かにらんこの言う通りだ。元々運動部達の挑戦を受ける条件は勝ったらなんでも聞くと言うのを野球部のたまきが提案したからルールにのっとったまでの話だ。
「まぁ、結局看板はたまきさんや挑戦してきた運動部が土下座しながら返してって言うから仕方なく返したのよ…全く、私は結局何も得られなかったじゃない」
「うん、それが原因で皆んならんらんの代わりに出る事を渋っているんだよ」
数多の運動部をソラと共に下してきたらんこの存在に彼女がいる2年2組の運動部の生徒はプレッシャーが掛かり、リレーを遠慮しようとしたのだ。
「つまり私とソラが運動部に勝った所為で私の代わりとしてリレーに出るのが精神的にキツイから嫌と…あんた達、ちょっと私達がたまかなコンビ率いる運動部に勝ったからって根性無さすぎでしょ」
「いや、根性をなくすには十分な理由だと思うんだけど」
らんこは運動部に所属している生徒たちに向かって呆れた眼差しを負けるのに対してましろはフォローを入れる。
「兎に角、私はリレーは出ないから適当に玉入れあたりでもやってるわ」
「あっ、ちょっと!?」
他の人の意見など知った事かと言わんばかりの態度を見せるとらんこは黒板の方へ行き、玉入れの選手欄に自身の名前を書こうとする。
「待ってくださいらんこさん!」
「ソラ?」
だが、その直前にチョークを握るらんこの手をソラが両手で掴み自身の顔の前まで持ってくる。
「お願いです!私はましろさんとらんこさんと一緒にリレーに参加したいんです」
「で、でも…私は目立つリレーなんて」
「其処を何とかお願いします!」
必死で頼み込むソラにらんこは困惑の表情を浮かべる。
「らんこちゃん私からもお願い」
「ましろ…あんた私と同じくリレーに出たく無いって言ってたのにどう言う風の吹き回しよ?」
先程まで自分と同様リレーに出る事に渋っていたましろがソラと一緒に自分を説得しようとする事に疑問を浮かべる。
「私もあんまり運動神経が良くないことは理解しているよ。リレーだって私の所為で勝てないかもしれないって思うくらいには…でも、ソラちゃんとらんこちゃんの2人と一緒に出れば速く走れる気がするの」
「ましろ…」
自身と一緒に走りたいと言うましろの気持ちがらんこに伝わり、らんこは少し悩む表情を浮かべる。
「らんこさんお願いします」
「私達と一緒に」
「「リレーに出て(下さい)!」」
2人が声を合わせて頼んでくる姿にらんこは暫く思い悩んだ表情を浮かべると深く溜め息を吐く。
「……わかったわよ。其処まで頼まれたらやるしかないじゃない」
「「あ、ありがとう(ございます)!!!」」
『やったあああああああああっ!!!』
2人の説得に負けたらんこはリレー選手として参加する事が決まるとクラスの生徒達はまるでもう優勝したと思うくらいの熱気に溢れる。
「これでリレーはソラましらんトリオが優勝する事に決まったね!」
「優勝期待しているよ!」
「今夜はソラましらんで優勝するわねぇ」
3人がリレーに出る事で優勝が決まったと確信する生徒が何人かいる様だ。その中で伝説の三忍の内1人が紛れ込んでいる様に見えたが、気の所為だろう。
(全く、面倒くさいったらありゃしないわね…)
渋々リレーに出る事が決まったらんこは内心面倒くさそうな声を上げる。
「ましろさん!らんこさん!絶対勝ちましょうね!」
「うん、私も2人が入れば何時もより速く走れる気がするよ!」
しかし、隣でらんこと一緒に走れる事が決まったソラとましろが嬉しそうにしている顔を見てらんこの面倒くさい気持ちが薄れていった。
「まぁ、私も2人と走れるなら悪く無いわね」
こうして、らんこも二人に感化されて少しばかり嬉しそうな顔を浮かべるのである。かくしてリレーに出る事が決まった3人は果たして他のクラス達から勝つ事が出来るのであろうか。
「あっ、そう言えば軽井沢。あんた勝手に私を推薦した件は許してないから放課後ちょっと付き合いなさい」
「え?」
尚、勝手に推薦した軽井沢に対してらんこは少なからず怒っており放課後に軽井沢を連れて何処かへ行くのだが、体育館裏に男子生徒の悲鳴が聞こえてきたのは恐らくらんこと軽井沢と関係ないだろう(震え声)。