ひろプリに野良猫系キャラを入れてみた   作:獅子河馬ブウ

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第72話 リレーの特訓

リレー選手にらんこ達3人が決まって、3人は放課後にツバサやあげは達をPretty Holicに呼び、そこにあるカフェスペースで今日起きた出来事について話していた。

 

「ええっ!?ましろんがリレー選手にっ!?凄いじゃん!」

 

「ラルー…じゃなくてリレーの選手に選ばれるなんて」

 

「えるぅ!」

 

「ほう、大した物だな。これも日々の鍛錬もあってのことか」

 

ましろがリレーに出ると聞いてあげはとツバサ驚きつつも喜び、エルも2人に釣られて笑みを浮かべる。ベリィベリーは何故か上から目線で褒めていた。

 

「大袈裟だよ。そもそも今回はソラちゃんの推薦だし」

 

ましろは謙遜な態度を見せるも3人から褒められる事に嬉しそうな表情を浮かべる。

 

「あれ、でもましろんって走るのって得意だっけ?前に手紙を貰った時も運動会ヤダ〜って書いてたよね?」

 

「う、うん…」

 

去年ましろと文通した際に丁度この時期に貰った手紙に運動会に対する苦手意識があった事を思い出し、ましろもそれを聞いて少し目が泳ぐ。

 

「ええ、そうなのよ。実際去年の体育祭で私はズル休みをして行かなかったけど、その翌日にましろが物凄く落ち込んでいたからあまり良い活躍は出来なかったみたいなのよね」

 

「そ、それは言わないでよ!」

 

らんこも去年の体育祭が終わった翌日に物凄く落ち込んだ様子で学校に登校し、その日の授業も体育祭の事を引き摺ってあまり集中出来てなかった事を思い出しす。ましろはそれを聞いて顔を赤くする。

 

「ズル休みだと?それは感心しないぞらんこ。ちゃんと学校の行事には参加するべきだ」

 

「もちろんわかっているわ。今年はちゃんと体育祭に出るから大丈夫よ」

 

去年の体育祭をズル休みしたと聞いてベリィベリーはらんこに注意し、らんこも今年はサボるつもりはなく真面目に体育祭に参加する態度がみられる。

 

((えっ、らんこちゃん(さん)を注意している!?))

 

一方でましろとツバサはベリィベリーがらんこに注意している姿に信じられない物を見るような目を向ける。日頃かららんこに対して下心を抱いている彼女の事を知っているから尚更だ。だが、ベリィベリーは変態ではあるものの一応青の護衛隊の隊員だ。スカイランドにいた頃は規則正しく生活しており、また素行が悪い者に対してしっかりと注意する真面目な一面もあるのだ。今回はそんな真面目さが出てらんこを注意したのだ。

 

「それでましろん。リレーは大丈夫なの?」

 

「…え?…あっ、うん!実はあんまり自信は無いんだよね。でも、ソラちゃんとらんこちゃんと一緒に走れば何時もより速く走れる気がするんだ」

 

「「ましろ(さん)…」」

 

あげはに話を振られた事にましろはハッとなり慌てて返事をする。彼女自身運動は得意では無いがソラとらんこと共に走れば頑張れると言って、それを聞いたソラとらんこは嬉しそうな顔を浮かべる。

 

「それでね。走るからにはちゃんと練習しようと思ってね。だからソラちゃんとらんこちゃん、私の特訓に付き合ってくれない?」

 

「勿論です!やりましょう、特訓!」

 

「面倒くさいけど、まぁ付き合ってあげるわ」

 

「僕も特訓の手伝いをさせてください。ましろさんには日頃お世話になってますし」

 

リレーに出るからにはいつも以上に特訓をして少しでも早くなろうとましろは2人に頼むとソラは快く聞いて、らんこは面倒くさがりながらも特訓に付き合おうとする。更にツバサも特訓の手伝いをする様だ。

 

「ましお、がんばぁ」

 

「ふふっ、皆んな頑張ってね」

 

リレーに向けて頑張ろうとするましろを見てエルは彼女を応援し、あげはも続いて応援する。そんな中、ベリィベリーは席から立ち上がる。

 

「ラルーの特訓か、いつ行く?私も同行しよう」

 

「ベリィベ院」

 

「いや、誰ですかそれは?」

 

ベリィベリーの台詞にらんこは思わず某スタンドバトル漫画に出てくる主要キャラに因んだ名前をベリィベリーの名前と掛け合わせて呼んでしまう。

 

「えっ、ベリィベリーさんも特訓を手伝うんですか?」

 

「ああ、私もラルーの経験者だからな。この私に任せ…って、おい。なんだその顔は?」

 

「あ、いえ…」

 

特訓なら私に任せろと言おうとしたベリィベリーだったが、ましろが露骨に嫌そうな顔を浮かべているのに気がつき話しかける。一方でましろは顔について指摘されるも慌てて誤魔化した。

 

「成る程、青の護衛隊がやっている本格的な訓練をやるのかと思っているのだろうが、そこは大丈夫だ。ちゃんと初心者に優しい様な内容トレーニングがあるから安心しろ」

 

「いや、そう言う訳じゃ…」

 

運動が苦手なましろが激しい特訓内容をするのではと思い込んでいると思ったベリィベリーはちゃんと優しい内容にすると説明するのだが、ましろはこの前ベリィベリーの◯ナニー現場を目撃しその後も深夜から隣の部屋に聞こえる彼女の喘ぎ声にその日は一睡も出来なかったのだ。その事もあって、ベリィベリーへの苦手意識があるのだ。

 

「大丈夫ですよ。ベリィベリーさんはしっかりしてますから、ちゃんとましろさんにあった特訓メニューを考えますよ」

 

「そうよ。私も青の護衛隊に仮隊員としていた時もキツかったけど、ちゃんとやり切れる特訓を用意してくれたのよ」

 

「で、でも…」

 

ソラとらんこの言葉があってもましろは躊躇いがある。それは仕方ない事だ。あんな物を見てしまったら躊躇いを覚えるのは当然だろう。というか、お世話になって貰っている立場なのに人の家で◯ナニーするベリィベリーの精神は本当にどうなっているんだろうか。

 

「大丈夫。ベリィベリーを信じて、それにその後やってくれたマッサージも中々気持ちよかったわよ」

 

「え、マッサージ?」

 

「なんですかそれは?」

 

らんこの口からマッサージという単語が出た事にましろとツバサは気になった。

 

「らんこ、良かったら特訓後にまたマッサージをしてやろうか?」

 

「い、いや。人前であのマッサージは遠慮して欲しいんだけど…」

 

(人前で?)

 

(あのマッサージ?)

 

マッサージを誘うベリィベリーにらんこは少し顔を赤くして遠慮する様子に嫌な予感を覚える。すると、ベリィベリーらんこの元へ歩み寄ると耳元で囁く様に話しかける。

 

「なら、誰もいない所でしよう。そうすれば周りの目を気にせず気持ちよくなれるぞ…」

 

「そ、それは////」

 

「「えっ!?」」

 

珍しく顔を赤くして身体をもじもじするらんこの姿にましろとツバサは衝撃を受ける。そして、隣にいるベリィベリーは明らかに邪な眼差しをらんこに向けている事に2人ヤバいと感じた。このまま特訓後にベリィベリーのマッサージを受けたららんこは開いてはいけない扉を開いてしまうと察する。

 

「ら、らんこちゃん!マッサージなら私がするよ!」

 

「そ、そうです!僕もプニバード族に伝わるプニプニマッサージを披露しますよ!」

 

「え、プニプニ?何それすっごい興味ある」

 

「なっ!?」

 

らんこの貞操の危機を救うべくましろとツバサは自分達が代わりにマッサージをするとアピールし、らんこはツバサのプニプニマッサージとやらに興味を示す。それを見てベリィベリーは何とかこちらに意識を向いてもらおうと考えていると、あげはがパンッと両手を叩いて全員の視線を己に向けさせる。

 

「マッサージも良いけどそれは後でしよ。今はリレーの特訓をしよっか」

 

「そ、それもそうですね!なら早く特訓をしに行きましょう!」

 

「う、うん!そうだね!私なんだか猛烈に走りたい気分だよ!」

 

あげはの発言を利用しツバサは腕を振り、ましろも立ち上がり足踏みをして特訓をしたいと猛アピールする。

 

「おっ、ましろさんやる気ですね!なら私もお供しますよ!」

 

「まぁ、マッサージって運動した後の方が気持ち良いから先ずは走るべきよね」

 

チッ…まぁ、良いだろう。それなら早速特訓しに行くぞ」

 

ソラとらんこもましろに感化されリレーの特訓に対して意欲が増していく。対してベリィベリーは余計な真似をと言わんばかりの表情を浮かべて周りに聞こえないくらいの大きさの舌打ちをしながら彼女達の意見に同意するのであった。

 

───────

 

それから一同は特訓をする為、学校のグランド並のランニングコースがある公園へやってきて、ましろの前にはソラ、らんこ、ツバサ、ベリィベリーの4人が並んでいる。

因みにあげはとエルは少し離れた場所で遊んでいる。

 

「よろしくお願いします。ソラコーチ、らんこコーチ、ツバサコーチ、ベリィベリーさん!」

 

「「コーチ…!」」

 

「コーチね……うん、悪く無いわね」

 

ましろからコーチと呼ばれたソラとツバサは目を輝かせながら嬉しそうにする。らんこもコーチと呼ばれた事に満更でも無い顔を浮かべ、早速特訓が始まろうとするが、

 

「ちょっと待て、なんで私だけさん付けなんだ?」

 

「え、いや…なんて言うかその…」

 

ベリィベリーだけコーチでは無くさん付けな事にましろに不満を訴え、対してましろは先程までらんこに下心全開でマッサージ(意味深)を勧めようとしていたのを見て呼ぶのに抵抗があったのだ。

 

「まぁ、良いじゃない。それよりもましろの特訓を始めましょうベリィベリーコーチ」

 

「むっ…まぁ、良いだろう」

 

らんこに宥められるとベリィベリーは素直に応じてその場は引き下がって代わりにソラが前に出て早速ましろに特訓をつけようとする。

 

「では、まず初めにこの私ことソラコーチが速く走る方を伝授しますね」

 

「えっ、そんなのがあるの!?」

 

いきなり速く走れるコツと聞いてましろは食いつきそれは何なのかと尋ねると、ソラは得意げな顔を浮かべ口を開く。

 

「それはですね…前だけを見て走る事です!」

 

「「え?」」

 

「「ん?」」

 

ソラの口から出た速くなるコツを聞いてましろ達は一斉に固まる。対してソラは4人の反応に首を傾げる。

 

「……前だけを見て走る事です!」

 

「いや、聞こえてなかったんじゃ無いよ。ただ、そのぉ…」

 

先程と同じ台詞をもう一度言うソラにましろは苦笑いを浮かべるも何やら言いづらそうな顔を浮かべる。そんな様子にらんこはため息を吐きながらソラに話しかける。

 

「ソラ、それってこの前の体育でもましろに言った奴よね」

 

「え、どういう事ですか?」

 

らんこの発言にツバサはこの前言った事と聞いてどういう意味なのか聞いてくる。

 

「少し前に体育の授業でサッカーをしたんだけど、その際ソラがドリブルを上手くするコツをましろに教えたんだけど、それが今言った台詞なのよ」

 

「そうなんですか。因みにましろさんはサッカーが上手くなりましたか?」

 

「いや、前に集中し過ぎてサッカーボールが足から離れて全然ドリブルができなかったわ。因みその後は逆にサッカーボールをばかり見てドリブルをやったお陰でゴールポストの存在に気づかず頭をぶつけたわ」

 

「うわぁ…」

 

「だ、だからそれは掘り返さないでよ‼︎」

 

ゴールポストに頭をぶつけたと聞いてツバサはそれは痛そうだと想像する。一方でましろはまた体育の苦い思い出を掘り返された事に恥ずかしさのあまり顔を赤くする。

 

「で、ですが!前を向いて走るのは難しい事ですよ!」

 

「いや、悪いけどソラ。あんたのアドバイスはあまりあてにならないかも」

 

「そ、そんなぁ〜」

 

特訓が始まって早々戦力外通告を受けるソラは落ち込んでしまうが、そこにベリィベリーが声を上げた。

 

「いや、ソラの言う事はあながち間違いでは無いぞ」

 

「「「え?」」」

 

「べ、ベリィベリーさん?」

 

そんな突然のベリィベリーからのフォローに全員は驚いた表情を浮かべる。

 

「どういう事よ?」

 

「なに、前を向いて走るとは、一見くだらなそうに見えてもただ自分が走る事を集中するのを目的としているんだ。体育祭当日は何人観客が来るかは知らないが、360度から自分に視線を注がれる中で緊張のあまりスタートダッシュに失敗したり、走るのが集中出来なくなるかもしれない。そうならない為にもただ真っ直ぐ前を向いて走るのは理に叶っていると思うぞ」

 

「「成る程…」」

 

ベリィベリーの解説を聞いてましろもツバサは納得した表情を浮かべる。

 

「さっき言ってたソラのアドバイス……ベリィベリーも同じ事を言ってるにも関わらず天と地ほどの差が感じられるわね」

 

「なっ!?そ、そんな事ありません!わ、私だってベリィベリーさんと同じ事を言ってたつもりでしたよ!」

 

「いや、嘘つきなさい。絶対そんな事考えてなかったでしょ」

 

自分が言いたい事を分かりやすくベリィベリーが解説してくれたとソラは言うが、らんこはそれが嘘だとすぐに分かり指摘する。一方でましろとツバサはベリィベリーを暫く見つめる。

 

(ベリィベリーさんは凄いのか凄くないのかイマイチわからない…)

 

(真っ当な事を言ってくれましたが、なんとも評価しづらいですね)

 

先程までPretty Holicでベリィベリーはらんこにマッサージ(意味深)を勧めたり、ソラシド市にやってきてから度々らんこにセクハラをしようとしてきた。しかし、ここぞという時に真面目にやるからギャップの差が激し過ぎて風邪をひいてしまいそうになる。

 

「(とは言え、ちゃんと私の特訓に付き合ってくれるのは確か!)ありがとうございますベリィベリーコーチ!」

 

「おお、やっと私もコーチに昇進か」

 

ベリィベリーが自分の特訓に真面目に付き合ってくれる事を理解したましろは彼女に敬意を表しコーチと呼んだ。

 

「良かったわねベリィベリー。じゃあ、そうなると代わりにソラはコーチから格下げ?」

 

「そんなぁ!?ましろさ〜ん!」

 

コーチらしくマトモなアドバイスを送ったベリィベリーとは逆にアドバイスが下手なソラはコーチ呼びは止まられるのではと軽口を叩くと、それを真に受けたソラは心配そうな顔を浮かべてましろに縋る。

 

───────

 

それから一同は実際に走ろうとランニングコースにソラ、ましろ、らんこの3人が軽くストレッチをして並び立つ。

 

「では、これから実際に走って見ましょうか」

 

「うん!」

 

ツバサの合図でましろを筆頭にそれぞれ走る構えを取る。

 

「あ、ましろさん。スタートする時はソラさんとらんこさんみたいに身体を傾けた方が良いですよ」

 

「そうなの?」

 

「まあ、見てなさい」

 

ツバサのアドバイスを聞いたましろはソラとらんこを見ると2人は実際見せようと思い同時に物凄い速さで駆け出した。

 

「は、速い!?」

 

「ほう、2人とも中々の速さだな」

 

2人のスタートダッシュを見てましろは驚き、ベリィベリーは感心した様子で見ていた。

 

「あの様に前に身体を傾ける事で前に行こうとする力が働いて速く走れますよ」

 

「よーし、なら私も…って、うわわっ!?」

 

先に走った2人に続いてましろも身体を前に傾けてスタートしようとするがバランスを崩して転倒してしまう。

その後、何とかスタートしたましろはソラとらんこと共にランニングコースを走り出す。

 

「ましろさん!前を向いて走って下さい!」

 

「う、うん」

 

「あんた…さっきと同じアドバイスじゃない」

 

走っている中でソラは先程言ったアドバイスを再び言うもましろは苦笑いをして、らんこは呆れた表情を浮かべるとましろに話しかける。

 

「いいましろ?速く走るには腕の振り方と足を上げるのが大事よ」

 

「えっと、具代的にどうやるの?」

 

らんこもソラ達に続いてましろにアドバイスを送るが先に言われた前を向いて走るを実行している為、隣で走るらんこにあまり視線を移す余裕は無かった。

 

「肘は90度曲げて真っ直ぐ振るの!膝も高く上げて走るのよ」

 

そう言ってらんこは自身の腕を前後に大きく振り、膝を高く上げて走っていく。こうする事により走るリズムが出来、推進力が上がっていくのだ。

 

『足は高く上げる。腕は大きく振る。足は高く上げる。腕を大きく振る。』

 

誰だコイツ

 

「足は高く上げる。腕は大きく振る…こうする事で速くなるって、ああっ!?ましろ、いつの間にあんな遠くに!?」

 

またいつもの如く脳内に知らない女の声が聞こえるも、気がつくとましろは既にソラと一緒に数十m先を走っている。それを見てらんこは自分のアドバイスによって速く走れたのだと思い込んでいると、また脳内に声が響いた。

 

『れいか、前に進んで』

 

誰だコイツ

 

「らんこさーん!遅くなっていますよー!」

 

「と言うからんこ、急にその場で足踏みをしてどうしたんだ!?」

 

「え?」

 

知らない誰かの声に困惑するらんこ。同時にツバサとベリィベリーに指摘をされ自身の足を見下ろすとその場で足踏みをして全く走ってなかった。

 

「やばっ!幻聴聞いていたら足止め喰らった!?」

 

らんこは慌てて走り出すもソラとましろは既に遠くを走っておりこのまま走り続けても直ぐに追いつけそうに無かった。だが、走る前にあれだけ偉そうな事を語っていた為、此処で自分だけ遅くゴールしたら気不味い思いをしてしまう。なんとしてでもそれは避けたいと思ったらんこは此処から一気に挽回する方法を考えようとする。

 

『脇道、寄り道、回り道……しかしそれらも全て道』

 

誰だコイ──

 

「ん?脇道……それよっ!!!」

 

「あれ、らんこさん何処に行くんですか!?」

 

「お、おい!らんこそっちはランニングコースじゃ無いぞ!」

 

幻聴でら何かしらのヒントを得たらんこはとある方向に向かって全力疾走をしていき、それを見たツバサとベリィベリーは止まる様に言うがらんこは止まらずそのまま走っていく。

一方でらんこより遥か先を走るソラとましろは時折後方に視線を移していた。

 

「どうしたんでしょうらんこさんは?」

 

「何かあったのかな?」

 

2人はいつまで経ってもらんこが走って来ない事に何かトラブルがあったのかと不安が過ぎるも、取り敢えず目標のゴールはもう直ぐである為、ゴールした後に来た道を戻ろうと思いラストスパートを振り切ろうとするが、

 

「……ぉぉぉぉぉ」

 

「ん、ましろさん何か言いましたか?」

 

「え、私は何も言って無いよ」

 

何処からか誰かの声が聞こえたソラはましろが言ったのかと思ったが、ましろはそれを否定する。先程の声は気の所為なのかとソラは割り切ろうとしたその時だった。

 

「うおおおおおおおおおっ!!!」

 

「「ええええええっ!?」」

 

すぐ側の茂みから身体の所々に葉や枝が引っ付いたらんこが飛び出し、それを見たソラとましろは思わず足を止めて驚きの声を上げる。その隙にらんこは目標のゴールへ到着する。

 

「ぜぇ…ぜぇ…や、やったわ…!」

 

「「ら、らんこちゃん(さん)‼︎」」

 

そう言うとらんこは地面に倒れ、それを見たソラとましろは慌てて彼女の元へ駆け寄る。

 

「らんこちゃん何処を走ってたの!?」

 

「そうですよ!今、茂みから出てきましたよね!?」

 

「べ、別に大した事じゃ無いわ。ただ、一々あんた達と同じ道を走るのは面白く無いから私は私の道を走ったまでの事よ」

 

らんこは1人遅れるのが嫌でランニングコースを外れ茂みを突っ切って近道をしたのだが、らんこはそれを素直に言うのが嫌で誤魔化すのだが、明らかな強引さに2人はらんこの考えを見抜いた。

 

「それとどのつまりショートカットしたって事でしょ?ていうかルール違反だよ!」

 

「そうですよらんこさん!ちゃんとルールをまもらないと駄目ですよ!メッ!」

 

「うっ…わ、わかったわよ!ちゃんと次からは正しい道を走るわよ」

 

2人から注意を受けたらんこは反省し、この後正しいランニングコースを走り、リレーの特訓をするのであった。

 

───────

 

その頃、キメラングのラボではバッタモンダーが訪れていた。しかし、その様子からしてあまり機嫌の良いもので無かった。

 

「おいキメラング!お前が寄越した道具は全然役に立たねえじゃねえか!」

 

「なんだい、人のラボにやってきて早々クレームとは穏やかじゃ無いね」

 

目の前で丁度何かを使っているキメラングにバッタモンダーは先日彼女から借りたショックキャノン砲を投げつけ、キメラングは怒る事なく彼に話を聞く。

 

「これが穏やかでいられるか!?コイツを使えばプリキュアを倒せると言ったのはお前だろ!俺を騙したのか!?」

 

「おいおい、騙すなんてとんでも無いね。私はその発明品を使いこなせば勝てるかもよって言っただけで確実に勝てるなんて言ってないよ」

 

「そんなの屁理屈だ‼︎」

 

怒りが治らないバッタモンダーは近くの箱を蹴り上げて中身を床にぶち撒ける。それを見たキメラングは目が細くなりバッタモンダーに視線を向ける。

 

「ねぇ、私は結構寛容なんだけどそれ以上ラボを汚すのは控えて欲しいんだけどね」

 

「ああっ!?うるせえ!碌な実験や発明品を作らないお前のラボなんて知った──」

 

知ったことかと言い切ろうとした時だ。辺りを飛んでいた数機のドローンがバッタモンダーに銃口を向ける。対してバッタモンダーは自身に向けられた銃口を見て動きを止める。

 

「碌な実験が…なんだって?」

 

「い、いや、じょ、冗談!ただのつまらない冗談だって!そんな事を本当に言うわけ無いだろう?」

 

バッタモンダーは言い過ぎだ事に慌てて冗談だと訂正すると、キメラングはドローンを引っ込めて再び何かを作り始める。

 

「それで、最近のプリキュアの状況はどうかな?何か変わった様子はあるかな?」

 

「あ、ああ、まぁ…どうやらプリキュア達はランボーグを浄化した後に発生したキラキラした何かをかき集めている様だよ」

 

「ん…キラキラした何か?」

 

キラキラした物をプリキュア達が回収していると聞いて、手の動きを止める。

 

「ああ、何が目的で集めているのかは知らないけど、まぁ、どうせ大した事じゃないだろうね。あと、この前新しいプリキュアが現れたんだ」

 

「新しいプリキュアだって!?名前はなんて言うんだい!?」

 

「お、おう、黄色いプリキュアで確か名前はキュアレモネードって言ってたよ」

 

先日初めて会ったキュアレモネードについて教えるとキメラングは興奮しながらバッタモンダーに問い詰めてくる。対して、バッタモンダーは驚きつつもキュアレモネードについて教える。

 

「ほほう、キュアレモネードか…気になるねぇ。なら、後で報告書とかで詳しく書いといてくれ」

 

「はぁ、なんでそんな物書かなきゃ「あれ、忘れたのかな?君に発明品をレンタルする条件に書いてもらうって」…チッ、わかった」

 

バッタモンダーは軽く舌打ちをすると報告書に書くと返事をする。

 

「その代わりまたあのカプセルを貰っていくよ」

 

「ああ、どうぞ。ついでにドーピングカプセルにより強化したランボーグについても報告書に書く様に」

 

「はいはい、わかりましたよ」

 

バッタモンダーはそう言ってラボから去って行くと1人残されたキメラングは先程まで使っていた何かの装置を手に取る。

 

「……プリキュアもあのエネルギーを集め初めてたか。目的は……恐らく王様と王妃にかけられた呪いかな?何にせよ。あのエネルギーは私のこれからの研究に必要な物…君達に独占させるつもりは無いよ」

 

そう言ってキメラングは怪しい笑みを浮かべると白衣から以前並行世界で手に入れたひかるのミラージュペンを取り出すとそれを装置の中に入れるとそれを中心に電撃が起こされる。

 

「ククク…アーハハハッ!!!良いね、まさか期待してなかったモルモット君が金の卵を生み出してくれるなんてね!!!」

 

目の前の光景を見たキメラングはとても楽しそうな顔を浮かべると、装置を手に取る。

 

「さて、後は出力を調整すれば完成だ…ククッ、実戦で使うのが楽しみだなぁ♪」

 

キメラングはこの先この装置を使う事を想像しながら再び工具を手に取り楽しそうに装置を弄っていくのであった。

 

─おまけ─

 

ランニングを終えた後、一同は公園の中心に集まり、ソラとましろがその場で足踏みをしている様子を見ていた。

 

「「いち、に!いち、に!」」

 

「ましろさん頑張って下さい」

 

「ましろんファイトー!」

 

「ましおー!」

 

一生懸命腕を振るうましろをあげはとエル、そして彼女と共に足踏みをしながらソラが応援していた。そんな中、らんこは何もせずその場で2人を黙って見ていた。

 

「あの、らんこさんはやらないんですか…足踏みは?」

 

「そうだ。らんこも走るんだからやった方が良いんじゃ無いのか?」

 

「いや、私は腕振りは慣れているから別にやらなくても大丈夫よ」

 

足踏みをしないらんこにツバサとベリィベリーはソラ達と共にやる様に促すが、らんこはやるつもりは無い様だ。

 

「またまた、そう言ってただ面倒くさいだけじゃ何ですか?」

 

「そうだぞ、らんこ練習をサボるんじゃ無い。ちゃんと腕が鈍らない様にやるべきだ」

 

「そうは言ってもほんと腕振りは慣れているから今更これをやっても特訓にならないわ。それに私は実戦向きだから足踏みなんてやんなくて良いわよ」

 

ツバサは兎も角ベリィベリーは珍しくらんこを注意をするが、それでもらんこはやるつもりは無い様だ。

 

「腕の振りに慣れているってなんですか?ひょっとして学校に登校する際はいつも走っているんですか?」

 

「いや、学校は時間に余裕を持って登校してるわよ。それに偶に寝過ごして遅刻しかける際はプリキュアになってパルクールをして登校してるわ」

 

「なにプリキュアの力を乱用しているんですか!?」

 

まさかの遅刻時にらんこが変身してエキサイトな登校している事を知ったツバサは思わずツッコミを入れる。

 

「それじゃあらんこ。結局お前の言う腕の振りって何で慣れているんだ?」

 

「うーん…そうね。ちょっとツバサ、バトンを2本借りるわよ」

 

「え、2本ですか?まぁ、構いませんが…」

 

何故かバトンを2本借りるらんこを不思議に思いながらもツバサは赤と白のバトンを1本ずつ渡すと受け取ったらんこは左右の手にそれぞれのバトンを握る。

 

「あの、一体何をするつもりなんですか?」

 

「まぁ、見てなさい…スゥー、ハァー」

 

するとらんこはバトンを何故か2本手に持つと目を閉じて足を開き深呼吸をする。

 

「…ッ!!!」

 

そして、目をカッと開いた瞬間バトンを持った手を激しく動かした。しかし、それは腕だけでなく身体全体を使っており、一見ただ無茶苦茶な動き回っている様にしか見えないが、その動きはまるで一種の踊りにも見えた。

 

「な、なんですかこれは…!?」

 

「まるで巫女が神に捧げる舞の様に見える…!」

 

激しく動くらんこの姿にツバサとベリィベリーは圧巻される。

 

「あれ、らんこちゃん達一体何をして…って、ええええっ!?」

 

「える〜!」

 

「どうしたの2人ともって、えええええっ!?らんこちゃんなんでオタ芸を!?」

 

「な、なんですか!?あのキレのある動きは!?」

 

一方で足踏みをしていたソラ達もバトンを持って激しく身体を動かす…キレキレなオタ芸を披露するらんこに思わず動きを止めて驚きの表情を浮かべる。尚、エルだけ楽しそうな顔を浮かべている。

それから暫くしてらんこは満足したのかオタ芸をやめて額から流れる汗を拭き取るとソラ達はそれをみて彼女に拍手を送る。

 

「はぁ〜、疲れたぁ…」

 

「お疲れ様でしたらんこさん」

 

「凄かったぞらんこ。と言うかなんだったんだあの舞の様な物は?」

 

「ええ、よく分かりませんがキレのある動きでしたね」

 

初めて見るオタ芸にツバサとベリィベリーにソラは感想を言うとオタ芸について詳しく聞こうとすると、先程まで呆然となっていたましろはハッとなりらんこに声をかける。

 

「らんこちゃん何でオタ芸をしてたの!?」

 

「「「オタ芸?」」」

 

3人はましろの口から出たオタ芸という言葉をオウム返しする。

 

「オタ芸って言うのは自分の好きな人、主に歌手やアイドルの人に応援する為の踊りの様な物だよ」

 

「そうよ。これは私がうららとまこぴーのコンサートの為に常日頃家で練習しているのよ」

 

やはりと言うか案の定自分の推しの為にオタ芸を鍛えていた様で薄々予想していたましろは苦笑いを浮かべる。

 

「らんこさん、さっきのオタ芸なる踊りはとっても凄かったです‼︎」

 

「ああ、仮にその手に持っていた得物が剣だったら戦場で無双しているレベルだぞ」

 

「いや、何を物騒な事を…と言うか確かに凄いですけど、今はリレーの特訓をしているんですが…」

 

ソラとベリィベリーがらんこのオタ芸に感想を言う中でツバサは幾ら腕の振りに関係しているとはいえ、リレーにオタ芸がノウハウが役に立つか微妙と考えていた。だが、其処へソラがある事を口にする。

 

「そんなに動きのキレが良いということはもしかして、遂にコンサートのチケットを手に入れたんですね?それで行く日はいつなんですか?」

 

『あっ』

 

何気ないソラの一言にらんこを除く一同は一斉にソラに視線を向ける。そして、らんこはソラの発言にピシッと動きを止めて手に持っていたバトンを地面に落とし、両手と両膝を地面につける。

 

「…ええ、そうよ。未だに私はチケットが一枚も当選出来ずにいますよ。それで現実逃避をするかの様に家では2人の曲に合わせてオタ芸をしてますよ…」

 

「ら、らんこさん?急にどうされましたか?」

 

突然語り出すらんこにソラは困惑の表情を浮かべ、ましろ達は嫌な予感を覚えたのか、いつの間にか2人から数m後方に移動していた。更に言えばあのらんこが大好きなベリィベリーでさえましろ達と共に下がっていたのだ。

 

「ソラァ…あんたは良いわよねぇ…憧れの人に会えた上にボディタッチも出来てねぇ…」

 

「ら、らんこさん!どうか、落ち着いうおっ!?」

 

まるでゾンビの様に地面を這いながらソラの元へ向かうらんこにソラは恐怖の表情を浮かべながら気を沈める様に言うが、足元にあった石の存在に気付かずソラは踏んでしまい、後ろに転倒してしまう。

 

「いたたっ、なんでこんな所に石g「ソォ〜ラァ〜」ヒィッ!?」

 

臀部を地面に打ち付けたソラは摩りながら立ちあがろうとした時にらんこがソラの下半身を掴むと思わず悲鳴を上げる。そして、らんこはそのままソラに覆い被さると黒に近い緑の瞳で彼女を見下ろした。

 

「憧れの人に会えただけじゃなく、同じ職場にも働けるなんて……妬ましい…!

 

「い…いやああああああああああっ!!!!」

 

平和な公園を中心にうっかりらんこの地雷を踏んでしまったソラの悲鳴が響き渡っていく。そのすぐ近くにはらんこの異常さにソラの救出を断念したましろ達がせめてもののソラに向けて黙祷を捧げるのであった。

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