グランド内を暴れるランボーグ。そのランボーグの暴れっぷりにバッタモンダーは笑みを浮かべる。
「いいね、もっと壊してしまえランボーグ」
グランド内を走り暴れるランボーグはキメラングでは無くバッタモンダーが生み出したものだ。彼は体育祭を破壊しようとランボーグに指示を出し、ランボーグが学校を壊していく光景にバッタモンダーは今までプリキュア達に負けてきた鬱憤を晴らすかのように良い笑みを浮かべている。このまま全て壊してしまえとバッタモンダーはそう思った瞬間だ。
「そこまでです!」
「ん?」
声が聞こえた方へ振り向くとそこにはソラ、ましろ、らんこが立っていた。
「おや、まさかこんな所で君達に会えるとはね」
「それはこっちの台詞よ!人様の学校を滅茶苦茶にして!」
「バッタモンダー、なんでこんな酷い事をするんですか!?」
「そうだよ!今日は皆んなが楽しみにしていた体育祭なんだよ!それを壊すなんて!」
体育祭を破壊するバッタモンダーにらんこ達は憤りを見せる。対してバッタモンダーは不思議そうな顔を浮かべる。
「楽しみ?とんでもない、こんな残酷な行事は壊した方が世のため人のためだよ」
「は?残酷…?」
体育祭を残酷な行事と呼ぶバッタモンダーにらんこは目を丸くする。
「そうさ、体育祭…口にするだけで背筋が凍るよ。強い者が弱い者に力を見せつける残酷なお祭り。こんな物は世の中には存在しちゃいけない。だから壊すんだよこんな祭りをね!」
「「「?」」」
熱く語るバッタモンダー。だが3人はバッタモンダーの発言が理解出来ず、一瞬宇宙猫になりかける。それからいち早くらんこが我に帰ると少し顎に手を当てて何かを察したのか口を開く。
「あんた…さてはアンダーグ帝国内でも実力はかなり下で周りからも弄られてきたんでしょ。それで体育祭を見てその時の事を思い出して今に至るって訳でしょ」
「なっ!?そ、そんな、ん、んな訳ねぇし!俺は最強バッタモンダー様よ!!!じ、実力は当然上だ!俺、は弱くねえし!てかそんな目で俺を見るな!」
らんこの発言に激しい動揺を見せるバッタモンダーに3人はジト目を向ける。
「どうやら図星みたいだね」
「そうね、あの動揺っぷりは嘘を誤魔化そうとするソラによく似てるし」
「ちょ、ちょっとらんこさん!?」
自分がバッタモンダーと似てるとらんこに言われたことにソラはショックを受ける。
「と、兎に角だ!飛んで火に入る夏の虫とはこの事だ!今日こそ僕が勝たせてもらうよ!」
「いや、虫ってあんたの事でしょ。だって名前がバッタだし」
「五月蝿えっ!!!ランボーグ、コイツらを攻撃しろ!!!」
らんこの言葉に癪に触ったバッタモンダーはグランド内を走り回るランボーグにらんこ達を襲わせる様に指示を出すとランボーグは車輪を激しく音を立てて突っ込んでいく。
「来ましたね。2人とも変身です!」
「「うん(ええ)!」」
3人はこちらに向かってくるランボーグを迎え撃とうといつもの様に変身しようと腰に下げているミラージュペンを取ろうと腰に手を伸ばすも空振り、3人は不思議に思い自分達の腰を見るとミラージュペンが無いことに気がつく。
「あああっ!?ミラージュペンをあげは姉さん達に預けていたのをすっかり忘れてたーっ!」
「「ああああっ!?」」
3人は慌てふためく。このままでは物凄いスピードで突っ込んでくるランボーグによって自分達は轢かれてしまう。そう思った次の瞬間、ランボーグの左車輪に何処からとも無く飛んできた電撃が命中し、ランボーグは攻撃された事によりバランスを崩して倒れてしまう。
「な、なんだ!?」
「今のって」
「ええ、間違いありません!」
ランボーグが攻撃された事にバッタモンダーは驚く一方で、らんこ達はランボーグに攻撃したのが誰なのか察する。
「3人とも待たせたな!」
「「「ベリィベリー(さん)!」」」
其処へチアガールの衣装を纏ったベリィベリーがやってきて、その手には3本のミラージュペンが握られていた。
「さあ、ランボーグが倒れている内に変身するんだ」
「ありがとうベリィベリーさん…って、あれ、ツバサ君は?」
「ああ、ツバサならあそこだ」
ましろの問いに対してベリィベリーは近くの茂みに向かって顎を向けると其処に茂みから顔を出しているツバサがいた。
「ツ、ツバサ君なんでそこに居るんですか?」
「そこにいないでこっちに来なさいよ」
「い、いや、それは…」
らんこ達が隠れているツバサに出てくる様に言うが何か躊躇っている様子に一同は首を傾げる。そんな中ベリィベリーはため息を吐きつつも語り出す。
「ツバサの奴が今の格好で人前に出たくないって言うんだ」
「「「今の格好?…あっ」」」
ベリィベリーの話を聞いて3人は思い出す。リレーの時、ツバサは今のベリィベリーと同じチアガールの衣装を着ているのを思い出す。
「ツバサあんたまだその格好なの?」
「し、仕方なかったんですよ!着替える暇が無かったんです!それに僕だって好きで着てるんじゃありません!」
恥ずかしがるツバサを見てらんこはため息を吐くとソラ達の方に顔を向ける。
「まぁ良いわ。取り敢えず変身よ」
「「うん(はい)!」」
ベリィベリーからミラージュペンを受け取るとらんこ達は今度こそ変身する。
「「「「スカイミラージュ!トーンコネクト!ひろがるチェンジ!」」」」
「無限にひろがる青い空!キュアスカイ!」
「ふわりひろがる優しい光!キュアプリズム!」
「大空に広がる一陣の風!キュアツイスター!」
「天高くひろがる勇気!キュアウィング!」
「「「「レディ……ゴー!ひろがるスカイ!プリキュア!」」」」
4人は変身が完了するとランボーグの元へ向かっていく。一方でランボーグは迫り来るプリキュア達を見てランボーグに立ち上がる様に言う。
「おい、早く立てランボーグ!」
『ラン、ボォォグッ‼︎』
「「「「うわっ‼︎」」」」
漸く立ち上がったランボーグは白線を撒き散らしながら突撃。4人は慌てて避けるが、ランボーグが通った後に砂煙とは別に白い粉が撒き散らされてそれを吸った4人は咳き込んでしまう。
「ゲホッ、ゴホゴホッ!な、なんですかあのランボーグは?」
「ゴホッ…縦長の胴体に2つの車輪で移動、そして通った後に撒き散らす白い粉……間違い無いわ。あれはライン引きね」
咳をしながらもランボーグの元となったのがライン引きといち早く察したツイスター。
「ライン引きってグランドで白線を作る時に使うあの?」
「そうよ。まぁ、と言ってもあんな爆走するライン引きは見た事無いわっ!」
プリズムの質問に答えながらツイスターは風を放ちランボーグに攻撃をするがあっさりと避けられてしまう。
「ツイスター手伝うよ!」
続いてプリズムもランボーグの動きを止めようと光弾を放つが先程と同様に避けられてしまう。
「あーもう!止まりなさい!!!」
「でしたら直接止めます!」
「僕も行きます!」
自分達の攻撃が当たらない事にツイスターは苛立ち、スカイとウィングはランボーグを捕まえようと突っ込んでいくが、車輪が付いている事で機動力が高く捕まえる事が出来ない。
「くっ、なんてすばしっこいんですか!」
「これでは捕まえられません!」
必死にランボーグを追いかける2人だがランボーグの方が機動力と速さに優れている為、一向に追いつく事が出来なかった。
「だったらツイスター!2人を早くしよう!そうすればランボーグの動きに対応出来るはずだよ!」
「その方が良いみたいね」
プリズムの提案にツイスターは同意するとテンペストバトンを取り出しスカイトーンを装填するとバトンは変形し大きな風を起こし出す。
「プリキュア!ストームフィールド!」
テンペストバトンから放たれる風がスカイとウィングの身体を覆うと緑のオーラが発せられ機動力が上がる。
「よし、コレならいけます!行きますよウィング!」
「はい!」
スカイとウィングは互いに返事をすると再びランボーグを追いかける。対してランボーグは持ち前のスピードで2人から振り切ろうとする。
「逃しませんよ!」
「もうお前のスピードには対応した!」
『ランッ!?』
だが、スカイとウィングは機動力が増した事によりランボーグの左右を並行に走っていた。ランボーグは負け時と更に加速して振り切ろうとするが、二人はすぐさま対応する。
「「させない‼︎」」
『ランボッ!?』
スカイとウィングはランボーグの車輪に向かってそれぞれ重い一撃を喰らわせると車輪が破壊され、ランボーグは先程まで出ていた速さにより勢い良くその身体は宙を舞い、地面に叩きつけられる。
「やった!」
「2人ともナイスよ!」
「さあ、そいつが動けない今が倒す絶好のチャンスだ!」
車輪が壊された事により地面からた起き上がれないランボーグを好機と見てベリィベリー達はスカイ達に浄化する様に促す。
「何やってんだ!こうなったら…」
立ち上がれないランボーグを見てバッタモンダーは痺れを切らしたのかズボンのポケットからドーピングカプセルを取り出した。
「そら、受け取れ‼︎」
「させません!ヒーローガール!スカイパーンチッ‼︎」
「ひろがる!ウィングアターック!!!」
バッタモンダーがランボーグを強化させようとするのを見てスカイ達はそれよりも先にランボーグを浄化しようとそれぞれの技を繰り出す。しかし、それらがランボーグに命中する前にドーピングカプセルが先に身体に取り込まれてしまう。するとランボーグの頭部の蓋が開き、そこから2本の巨大な白い手が現れた。
「何あれ!?」
「白い…大きな手?」
突然ランボーグの身体から出てきた謎の手の存在にツイスターとプリズムは驚きの表情を浮かべる。
「構うな!そんな手など気にせずランボーグを倒すんだ‼︎」
「「はい!」」
それがドーピングカプセルによる影響だとしても技が決まれば自分達が勝つと思ったベリィベリーはスカイ達に突き進めと指示を出し、スカイとウィングもそのままそれぞれの浄化技を決めようとする。
『ランボオオオオオオグッ!!!』
「「「なっ!?」」」
「「えっ!?」」
しかし、先程現れた2本の白い手によってスカイパンチとウィングアタックが受け止められてしまうと更に白い手はスカイ達を掴んでそのまま地面に叩きつけてしまう。
「「ガアッ!?」」
「「「スカイ!ウィング!」」」
やられるスカイ達を見てツイスターは思わず悲痛な声を上げてしまう。
「どうだい、今回のランボーグは一味違うだろう」
「くっ、プリズム行くわよ!」
「うん!」
バッタモンダーの煽り言葉にツイスターは顔を歪ませるもの今はスカイ達を優先と考えてプリズムと共にスカイ達の元へ向かう。その場に残されたベリィベリーは悲痛な顔を浮かべた。
(くっ…私が2人を止めず攻撃をする様に言ったからこんな事に…)
己がスカイ達を焚き付けなければ2人は怪我をせずに済んだと自分を責め、後悔するのであった。そしてツイスター達は倒れているスカイ達の元に駆け寄り2人を起こす。
「スカイ!ウィング!大丈夫!?」
「まだ動けるわよね!?」
「ええ、大丈夫です」
「僕も、まだ動けます」
先程は地面に叩きつけられたがまだまだ余裕はある様子だ。そんな2人を見てツイスター達は安心すると宙を飛ぶ白い左右の手…と言うより2体のランボーグに視線を移しどの様に対処するか考える。
(ランボーグの中から出てきたって事はもしかしたらあのライン引きのランボーグを倒せば自然消滅する可能性が…)
「あっ、皆さん!あれを見て下さい!」
ライン引きを倒せば勝てると思ったツイスターだが、其処へスカイが彼女の思考を遮る様に話しかけ、ある場所に指を指した。其処には先程動けなくなったライン引きのランボーグがいる筈なのだが、何故かその体は縮んで元のライン引きに戻っていた。
「ライン引きが戻ってる?」
「これはどうなっているんだ?」
浄化技を当てた訳じゃ無いのにいつの間にかライン引きが元に戻っている事にプリズムとウィングは不思議に思っているとツイスターは数ヶ月前の戦いのことが脳裏を過ぎった。
「待って、これって前に桜の木がランボーグになった時と同じじゃ!」
偶然にも同じ学校で桜をランボーグにし更にキメラングが強化した際に桜にあった花びらがランボーグとなり代わりに木が元に戻った時と似た現象であると気がつく。
だが、そんな時ツイスターが考察している最中に2体の内の1体のランボーグが握り拳となり彼女に襲いかかる。
「ツイスター危ない!」
「へ、うわっ!?」
咄嗟にスカイに身体を抱えられたツイスターは思わず声を上げるもスカイはツイスターを抱えると突撃してくるランボーグを避ける。だが、避けられたランボーグは拳から拳銃へ姿を変えてスカイとツイスターのガラ空きの背中に向かって襲いかかろうとする。
「姿を変えた!?」
「2人とも危ない!」
形状を変えた事にウィングが驚いているのに対し、プリズムは2人を助けようとランボーグに向かって光弾を放つとそれは命中。ランボーグの身体に穴が出来た。しかし、その穴は直ぐに閉じられてしまう。
『ランボッ!』
「「ああっ!」」
「「スカイ!ツイスター!」」
そのままランボーグは止まる事なく弾を撃ち出し、弾丸はスカイ達の背中に命中して撃ち落とした。
「だ、大丈夫ですかツイスター?」
「ええ、大丈夫よ」
ツイスターはスカイに心配されて彼女は大丈夫と答える。ただ、彼女はスカイの背中に白い粉が付いている事に気付いて手に取った。
「これは…砂…いや、違うわね」
自分達を攻撃した時に使った物は砂かと思ったがそれは違うと判断し、先程自分達に攻撃したランボーグに視線を向けるとその身体は微かに白い粉が飛び散っているのが見られる。
「あのランボーグ…ライン引きの中から出たって事は石灰ね」
「石灰って確か理科の授業でもあったアレですか?」
目の前を飛ぶランボーグの正体が何なのか察したツイスターはそれを口に出し、側にいたスカイが聞き返す。
「ええそうよ。石灰という粉は理科で聞き慣れるけど、私達の身近にもあるセメントの元となる砂の一種よ」
だが、石灰とわかるとツイスターは少し辛そうな顔を浮かべる。
(それにしても砂のランボーグ…また戦う事になるなんて…)
かつてプリキュアになる前に単身で砂のランボーグと戦ったが、一方的にやられた事を思い出すツイスター。ただ、相手の体が砂に似ているという事は水が弱点と思い出す。
「皆んな聞いて。そのランボーグは石灰の塊だから水が弱点よ」
「水ですか!なら水道からありったけの水を─」
ランボーグの弱点を知ったウィングは水道へ向かおうとするが、もう1体のランボーグが襲いかかる。
『ランボォォォグ‼︎』
「うわっと、お前の攻撃は今の僕には当たらないぞ!」
咄嗟のところウィングは避ける。今のウィングはツイスターにより機動力がスカイと同様に上がっており先程の不意打ちを避けることが出来たのだ。
『ボォォ…』
「っ!消えた!?」
しかし、目の前にいたランボーグは突然ウィングの目の前から姿を消す。その事にウィングは驚き周辺を見渡すが、何処にもいなかった。
「ウィング気を付けて!そのランボーグがツイスターの話通りなら身体を散り散りにして辺りに飛び回っている筈だよ!」
「それじゃあ、何処から襲ってくるのかわからなっ!?」
「ウィング!」
突如ウィングの背中にダメージが入り、それを見たプリズムが思わず叫んでしまう。だが、ウィングは背中から攻撃された事から後ろにランボーグがいると判断しお返しの回し蹴りをするが空振ってしまう。
「そうだった!散り散りになっているから僕たちの攻撃が当たらがっ!」
当たらないと言おうとした時、石灰の塊が勢い良く飛んできてウィングの腹部に命中し、彼は倒れそうになった。そこにプリズムが彼の元に駆け寄りウィングの身体を支える。
「大丈夫ウィング!?」
「だ、大丈夫です。ですが、これでは僕たちが一方的にやられてしまいます…!」
姿形を自由自在に変化させる事の出来るランボーグに一同は苦戦を強いられる。そんな4人を見てバッタモンダーは笑みを浮かべる。
「いやあ、まさかこうなるとはね。人生って簡単に行かないよね。そう毎回都合よく勝てるなんて行かないよねぇ…ああ、かわいそうに…」
「あの馬鹿…ここぞと言う時に煽って腹立つわね…!」
自分達が苦戦している姿を見て楽しんでいるバッタモンダーをツイスターは睨みつける。
「ですがどうしましょう。このままでは水道にも行けませんよ。何とか動きを封じ込めないと」
「だったら私がツイスタートルネードで全部纏めて捕まえるわ!」
そう言ってツイスターはテンペストバトンを取り出し自分達を襲ったランボーグを捕えようと動き出す。
「喰らいなさいツイスタ─」
ツイスタートルネードを発動しようとしたその時、側にいたスカイの背中から大量の石灰が飛び出し、ツイスターの両手をバトンごと覆ってしまう。
「なっ!急にあらわ『ランボォォォグ!』きゃあっ!?」
「ツイスター!」
ツイスターが驚いている隙に再びランボーグが石灰の塊を彼女に放ち、首から下に石灰の塊がまた周り付き捕らわれてしまう。
「ツイスター今助け『ボオオオオオグッ‼︎』え、うわぁっ!?」
「ちょ、スカッ、ブホッ!?」
スカイがツイスターを助けようと動くがその際背中に隙が生まれるとランボーグはスカイに向かって石灰の塊を放ち、スカイは石灰の塊ごと捕らわれているツイスターの元へ吹き飛び、仲良く石灰の塊に捕まってしまう。
「「スカイ!ツイスター!」」
2人が捕まっているのを見てプリズムとウィングも2人を助けようと動くが、バッタモンダーが声を上げる。
「おっと、仲間を助けるのもいいけど君たち2人はまだ戦っている事を忘れているよ」
『ランボオオオオオオグッ!!!』
「「うわ、ブッ!?」」
先程まで散っていたランボーグはプリズム達の前に突然白い壁となって現れるとプリズム達はランボーグに突っ込んでしまい身動きが取れず捕まってしまった。
「ぐっ、抜け出せない!」
「こっちも駄目、プリズムショットが使えない」
ウィングはもがいて抜け出そうとするが抜け出せず、先程のツイスター同様に手が石灰に覆われてしまいプリズムも光弾やプリズムショットが使えずにいた。
「いやはやまさか、今日まで勝ってきた君たちがこんな情けない姿を晒す羽目になるなんてね…ああ、なんて事だろう」
プリキュア達全員がランボーグに捕らわれた事にバッタモンダーは相変わらずキザなポーズを取って哀れんだ眼差しを向けるが、勿論内心は捕まった4人に対して腹を抱えて笑っているだろう。
「さて、捕まっている君たちを此処に置いてプリンセスを探しに行ってもいいけど、これまで君たちによって味わった雪辱を晴らすのも悪く無いよね。特にスカイとツイスターはね」
「「くっ…」」
そう言ってバッタモンダーは手にエネルギーを溜めて拘束されているスカイとツイスターに向かって手を向ける。
「でも、僕は優しいからね。これまでの非礼を詫びれば許してやらない事も無いよ」
「誰が詫びますか!」
「そうよ!誰があんたみたいなナルシストの勘違い野郎に謝るのよ‼︎巫山戯るのも大概にしなさい‼︎」
「んなっ!?…ひ、人が優しく接していればいい気になりやがって、そうかいそうかい!君たちがそっちの選択を取るのなら僕は遠慮なく攻撃させてもらうよ‼︎」
2人の発言(主にツイスター)を聞いて額に青筋を浮かべたバッタモンダーは2人に向けてエネルギー波を放とうとする時だった。
「其処までだ!」
『んっ?』
その時、上から声が聞こえてその場にいた一同は一斉に上…と言うよりも校舎の屋上を見上げると其処にはベリィベリーが仁王立ちしていた。
「「「べ、ベリィベリーさん!?」」」
「あんた、いつの間にかいなくなっていたかと思ってたら何で屋上なんかに!?」
ツイスター達は何故ベリィベリーが屋上に立っているのか疑問を投げる。と言うか自分達がベリィベリーを見上げる形となっている為、位置的に彼女のスカートの中が見えそうだった。
「なに、そのランボーグの弱点が水と聞いてピンッと来たんだ。だから此処に来たまでだ」
「はは、何を言い出すかと思えばそんな所に水なんて無い筈だよ」
バッタモンダーの言う通り屋上には水道は無い。それなら屋上へ来た意味はないと彼はベリィベリーを笑うが、
「水は無いと言ったなバッタモンダー、だが実際はあるぞ大量の水が此処に!」
そう言ってベリィベリーは電撃を屋上のとある場所目掛けて放った。
「あ、アレって!」
ベリィベリーが電撃を放った場所を見てプリズムは気づく、其処にあったのは大きめのタンクで其処に大きな穴ができると大量の水が噴き出した。
「な、何っ!?」
『ランッ!?』
屋上から雨の様に降り注ぐ水にバッタモンダーは驚き、ランボーグは身体は水を吸収した事に固まって行く。ある程度固まった事で捕まっていた4人はそれぞれ体に力を込めると自分達を拘束していた石灰の塊を破壊し抜け出した。
「漸く自由になれました!」
「ええ、もう砂に捕まるのは懲り懲りよ」
「それにあっちは水を吸収した事で身体が固まって動けなくなっているみたいだしね」
「なら、やる事は決まりですね」
4人はそれぞれ自分達を捕まえていたランボーグ達を睨むとランボーグ達は思わずビクつく。
「お、おい、自分の形勢が有利になると容赦なく攻撃するつもりか!?お前らそれでもヒーローかよ!?」
「うっさいわね!ヒーローでもイラつくのよ!今まで攻撃できなかったお返しはこの一撃で済ましてあげる!ヒーローガール!ツイスターストライクッ‼︎」
「私も!ヒーローガール!スカイパンチッ!」
『スミキッター』
ツイスターとスカイは今までのお返しと言わんばかりに同時に浄化技を放ち、動けないランボーグに命中させ浄化させる。
「こっちも行くよ!ヒーローガール!プリズムショット!」
「僕も続きます!ひろがる!ウィングアタークッ‼︎」
『スミキッター』
そしてプリズム達の方も浄化に成功してランボーグは元の石灰に戻り、同時にキラキラエナジーが出現する。
「スカイ、ミラーパッドを」
「お任せください」
キラキラエナジーが現れた事にツイスターはスカイにミラーパッドの用意をさせる。そしてスカイもミラーパッドを構えていつもの様にキラキラエナジーを回収しようとする。
「ミラーパッ─」
キラキラエナジーを回収しようとするスカイであったが、突然何処からとも無く電撃が飛んできてスカイを襲った。
「あああああああっ!!!」
「「「「スカイ!?」」」」
突然の不意打ちと言える電撃を受けたスカイは防御する間もなく、全身で電撃を浴び痺れてしまい、手からミラーパッドを落としてしまう。そんなスカイを見てツイスターは驚きの声を上げる。
「く……うっ」
「「「スカイ‼︎」」」
そして、電撃によるダメージによりスカイは立つことを維持出来ず、地面に倒れてしまう。ツイスター達はスカイの元へ駆け寄ってゆっくりと起こす。
「大丈夫スカイ!?」
「か、身体が…痺れて動けません……」
「見て!キラキラエナジーが!」
するとプリズムがキラキラエナジーへ指を刺すとベリィベリーのいる校舎の屋上の方へ飛んでいく。
「な、何故キラキラエナジーがこっちに「いいや、君の方では無く私の方だよ」なにっ!?」
ベリィベリーは自分以外誰もいない筈なのに声が聞こえた事でそちらへ視線を向けると、先程自分が破壊した貯水槽の上に人がおり、その者が持つ鏡の鏡面に吸い込まれていく。
「キラキラエナジー、ゲットだぜってね♪」
「「「キメラング!」」」
そう其処にいたのはキメラングだった。
「キメラングだと…そうかお前が話に聞いていたキメラングか」
「おや、この私を知ってるとは光栄だね」
ベリィベリーは目の前にいるヘルメットを被った少女がバッタモンダーと同じアンダーグ帝国の者だと察し構えを取る。
「マッドサイエンティスト!さっきの電撃をスカイにやったのはあんたね!」
「その通り。察しが良くて助かるよツイスター」
キラキラエナジーを回収する様子からしてスカイに攻撃したのは自然に考えてキメラングと断定し、キメラングも否定する事なくそうだと認める。
「キメラング!なんでお前もキラキラエナジーを!?」
「なに、私も集めているんだよ。君達の言うキラキラエナジーって奴をね」
そう言ってキラキラエナジーを回収した自身のダークパッドを見せつけるキメラング。一方でプリズムは先程スカイが地面に落としたミラーパッドとキメラングの持つダークパッドを見比べる。
「やっぱり似ている…一つ聞かせてキメラング」
「なんだい珍しいね。私に質問なんて…まぁ、良いよ。質問は何かな?」
プリズムが自分に質問をしてきた事に珍しいと思ったキメラングはキョトンとなりつつも新鮮な気分を感じて彼女の質問に答えようとしていた。
「あなたの持つその鏡はどうして私達のミラーパッドと似ているの?」
「んん?君たちの持つ……ミラーパッド?」
プリズムの話にキメラングは首を傾げつつ彼女達の側に落ちているミラーパッドに視線を向ける。
「あれ、何で君たちがダークパッドとそっくりな鏡を持っているんだい!?」
「それはこっちの台詞よ!あんた、前々から思ってたけど私達のミラーパッドをパクったでしょ‼︎」
「パクるだって?とんでもない言い掛かりをよしてくれたまえ、このダークパッドは私のオリジナッ!?」
私のオリジナルと言おうとしたキメラングだが、突然激しい頭痛が彼女を襲う。
「ガアッ!?な、なんだ急に頭が…!」
「お、おい、どうしたんだ?」
頭を抱えて苦しむキメラングにベリィベリーは思わず心配して声をかけてしまう。一方でキメラングはベリィベリーの声は聞こえていなかった。それどころか今キメラングは激しい頭痛と共に脳裏にある映像が浮かび上がる。
(何だ…この映像は!?)
キメラングの脳裏に浮かんだ映像はとある研究室にて自身の持つダークパッドを弄る己の姿があった。だが、ダークパッドの鏡面に映る自身はヘルメットは被っていなかった。その側にはミラーパッドとそっくりな鏡を持つ知らない女性が立っていた。
(この女は……君は誰なんだ…!?)
自分の知らない記憶、知らない人物に困惑するキメラングは珍しく取り乱す。そんな彼女の元にワープしてきたバッタモンダーが現れる。
「お、おい、キメラングどうしたんだ?」
キメラングの事をあまり好きでは無いバッタモンダーも普段見ない彼女が苦しむ姿に思わず心配になり、駆け寄って話しかける。ただ、キメラングはそんなバッタモンダーに手で制止する。
「な、なに、ただの頭痛さ…最近寝るのも惜しまず徹夜続きだからね。恐らくそれが原因だろう」
「そ、そうか…なら良いんだけど」
ただの頭痛と聞いてバッタモンダーはそれ以上キメラングに心配する事はしなかった。
「君も見苦しい所を見せて悪かったね。謝罪するよ」
「別に謝罪はいらん。それよりもお前が奪ったキラキラエナジーをこちらに渡せ!」
先程スカイを攻撃してキラキラエナジーを横取りしたキメラングにベリィベリーはこちらに渡す様に言うがキメラングは渡すつもりはなかった。
「悪いけど私もとある目的でキラキラエナジーが必要なんだ。渡すつもりは無いよ」
「そうか。それなら力強くでキラキラエナジーを渡して貰うぞ!」
そう言うとベリィベリーはキメラング達に向かって電撃を放つ。対してキメラングは白衣のポケットにダークパッドをしまうと代わり四角い装置の様な物を取り出し迫り来るベリィベリーの電撃を吸収した。
「なにっ!?」
「悪いね。キラキラエナジーは渡せないが君には出来立てほやほやの新たな発明品のテストに付き合わせてあげるよ。という訳でバッタモンダー君、白衣を持っててくれ」
「は、何を言っ、うおぷっ!?」
キメラングは着ていた白衣を脱ぐとバッタモンダーに放り投げる。対してバッタモンダーは突然の事で対応出来ず、投げ渡された白衣を頭に被ってしまい、思わず後退りする。
「では、実験を始めようか」
そう言ってキメラングは手に持っていた装置を胸に装着すると同時に電撃が発生する。
「な、なんだ?」
ベリィベリーは目の前の光景を見て冷や汗を流した。一方でキメラングは胸の装置を中心に電撃を発しながら黒い装甲が展開し全身を覆い尽くすと左右の腕に籠手が装着され、更には両肩にはトゲが生えてくると最後にヘルメットの色が黄色に代わり稲妻マークが現れ、バイザーも下される。
「な、何なんだその姿は…!?」
「クククッ…驚いただろう。これは私の新たな発明品…と言っても君とは今日初めて会うからこれが君が見る初めての私の発明品だね。それならよく目に焼けつけたまえ。これが我が最新作、ハイスペックアーマーTYPE-Tだよ!」
そう言うとキメラングは笑みを浮かべながら全身から電撃を放つのであった。
お知らせします。近日中にikkunさんが執筆される『ゼインの世界渡り』と再びコラボする事になりました。
コラボ相手の作品のURLを貼るので気になった方は是非読んで下さい。
https://syosetu.org/novel/344015/