体育祭から数日が経過し、らんこ達はいつもの平和な日々を過ごしていた。しかし、そんな平和を邪魔する様にランボーグが現れて戦いが始まっている。
『ランボーグ!』
その場所は以前カバトンと決闘をした河川敷。そこにバッタモンダーが現れると釣り竿の姿をしたランボーグを召喚。釣りや散歩しに来た人達はその姿を見て慌てふためき逃げ惑っていた。
「良い皆んな。此処にはまだ逃げ遅れた人が何人かいるから私達は全員の避難が完了するまでこいつを足止めするわよ」
「お任せを!」
「うん!」
「ああ!」
ツイスターの言葉に返事をするスカイに続き頷くプリズムとベリィベリー。此処には居ないウィングとあげはは逃げ遅れた人々の避難誘導を行なっており自分達がそれが終わるまでランボーグの足止めををする事になる。
「ベリィベリーさんはウィングとあげはちゃんと一緒に避難誘導をしなくて良いんですか?」
「私も避難誘導をしても良いが、護衛隊としての経験上ランボーグと戦う人数は多い方が良い。その分こちらに多く注目をさせられるし、一般人へ被害が減るからだ」
プリキュアじゃ無いベリィベリーも避難誘導をした方が良いかもしれないが、彼女もスカイランドにいた頃。具体的に言うとソラとらんこが青の護衛隊として働いていた時に街中で現れたランボーグの対処と同時に住人の避難をした事がある為、その時の経験を踏まえてランボーグの方に多く人員で対処した方が良いと判断したのだ。
「最初は私から行かせて貰いますよ!」
「私も続くわ!」
そして、早速ランボーグの注意を逸らそうとスカイが飛び出しツイスターも後に続く。2人はランボーグにそれぞれ殴り掛かるが、ランボーグは長い竿を振り2人の拳にぶつけると竿は折れずに大きくしなっていく。
『ラン、ボオオオオオグッ!!!』
「「うわっ!?」」
しならせた竿は反射する様にスカイとツイスターを弾き飛ばしてしまうが、飛ばされた2人は空中で回転しながら地面に着地する。そして、今度はこちらの攻撃だと言わんばかりに竿から垂れる巨大な釣り針がついた糸を振り回しながら飛ばしてくる。
「こんな物受け止めて見ますよ!」
スカイは迫り来る釣り針に向かって両手を広げて受け止める姿勢を見せる。彼女の力ならこれくらいの攻撃は受け止める事は可能であろうと思ったツイスターは手を出さず見ていようとするが、遠くから自分達の戦いを眺めているバッタモンダーの口角が上がった事にツイスターは気がつく。
「っ!スカイ避けて‼︎」
「え?おわっ!?」
突然のツイスターの発言にスカイが反応して彼女は飛んでくる釣り針を避けるとその背後にあった岩に釣り針…と言うよりも糸が巻き付くと締め上げて切断した。
「い、岩が切れました!?」
「やっぱり…気をつけて!どうやらあの釣り糸は刃物の様に物を切ることが出来るから触れちゃダメよ!」
切断された岩を見て驚くスカイにツイスターは釣り糸を触れるなと声をかけつつもランボーグに向かってマフラーを鞭の様に振るう。ただ、ランボーグはそれを釣り糸を使って防いでしまう。
「どうだい?今回のランボーグも強化しているから中々手間取るだろう?」
橋の上からプリキュアとランボーグの戦いを高みの見物をしているバッタモンダーはランボーグが勝っている事にプリキュア達を煽る。
「だったらこれはどうだ!プリズム合わせろ!」
「わかりました!はあっ!」
ベリィベリーはプリズムに目配らせするとプリズムは大きめの光弾をランボーグ目掛けて放ち、更にベリィベリーが光弾に電撃を纏わせて強化させる。
『ランボーグ!』
だが光弾はランボーグの両手の網の中に収まって消えた。
「「なっ!?」」
「無駄さ。君たちの攻撃は通用しない!さあ行けランボーグ!」
自分達の攻撃が無力化された事にプリズム達は焦りの表情を浮かべつつ、迫り来るランボーグから間合いを取って再度攻撃をする。だが、先程と同様に光弾と電撃は網に吸収され無力化された。
「これじゃあランボーグにダメージが与えられない!」
「プリズム落ち着いて、私達の今の目的は一般人の避難が完了するまでの足止めよっ!」
次々と自分達の攻撃が無力化される事にプリズムは焦りを覚えるが、ツイスターは彼女を宥めつつ自身も注意を引くように風を飛ばす。その風もプリズム達の時と同様に網の中へ吸い込まれて無力化。更にランボーグは再び釣り針を飛ばしてくると4人は咄嗟に避けた。しかし、その後ろにあった看板に命中すると看板は避難している小さな男の子とその母親らしき人物に向かって飛んでいく。
「危ない!」
「えるっ!」
「「「「なっ!?あ、あげは(ちゃん)(姉さん)(さん)!?」」」」
だが、その親子を守る様にエルを抱えたあげはが親子の前に立ったのだ。それを見てツイスター達は慌てて彼女達を助けに駆け出すが今からでは間に合わず看板があげは達を襲う───
「はあっ!」
──かと思いきや、その直前にまるでワープしたのかと錯覚させる程の速さでウィングがあげはと看板の間に割り込むと看板を蹴り上げた。
「おお、少年ナ〜イス!」
「ナイスじゃ無いですよ!怪我したらどうするんですか!?プリンセスも危険に晒して!」
助けてくれたウィングにサムズアップをしながらお礼を言うあげはだが、ウィングは彼女に振り返ると無茶をした事に対して怒り注意をする。
「ご、ごめんね!エルちゃんも危ない目に遭わせちゃってごめんね」
「えるえる!」
あげはも流石にあの看板が当たれば大怪我じゃ済まされないと思いウィングに謝罪をするとエルにも謝るがエルは気にして無い様子だ。と言うか5歳にも成っていないのに何度も危険な事に遭遇するエルはこれくらいの事では怖がらない程の強い精神を持っていた。将来は有望であるな。
「へぇ、今のを助けるのか…」
一方で子供を助けた事を見てバッタモンダーは何かを思いついたのか周辺を見渡すと視界の隅で地面に座って膝を抑える先程はウィングが助けたくらいの歳の男の子を見つける。
「ランボーグあそこに向かって攻撃しろ!」
『ランボーグ‼︎』
「何で誰も居ない所に攻撃なんか?」
指示を受けたランボーグはバッタモンダーに言われた場所に向かって釣り針を飛ばすがその方向にツイスター達はおらずツイスター達は不思議に思いつつ釣り針の先に視線を向けるとそこに子供の存在に気がつく。
「っ!?大変ですあそこに男の子が!!!」
『えっ!?』
スカイの発言に一同は驚きつつも男の子を助けようと一斉に駆け出した。
だが距離が離れている事もありランボーグの攻撃に反応が遅れたツイスター達動いても間に合わずウィングも加速して助けようとするが間に合いそうに無くランボーグの釣り針はそのまま男の子を襲おうとする。
「くっ…絶対助ける‼︎」
ツイスターはオーラを放つと両足に風を纏わせ先程のウィングに勝るスピードで一気にランボーグの釣り針より先に男の子の元へ辿り着いた。
「はあっ‼︎」
迫り来る釣り針を蹴り上げて防いだ。だが、それを見たバッタモンダーはニヤリと笑みを浮かべると再びランボーグに指示を出した。
「今だランボーグ‼︎」
『ラン、ボッ!』
「なっ、あああっ!?」
『ツイスター‼︎』
ランボーグが竿を振り釣り糸を伸ばすと、先程攻撃を防いだ事により気を緩めたツイスターの身体を釣り糸で縛り上げたのだ。ツイスターは岩をも切り裂いた釣り糸に身体を縛られた事によりまるで刃物を押し当てられる様な痛みに苦痛の表情を浮かべる。
「流石はプリキュアだね、己の身を犠牲にして弱き者を助ける。正にヒーローの鏡だね」
「貴様ぁ…さては最初からこれが目的で!」
「おっと、誤解だよ。僕もまさか子供があんな所にいるとは思わなかったよ。それに僕はランボーグに"今だ"と言っただけでこんな恐ろしい拷問の様な事はするつもりはなかったんだよ」
「白々しい嘘を!」
バッタモンダーの発言にベリィベリー怒りを露わにしてそのまま感情に身を任せて襲い掛かろうとする。
「ぐぅ、ううっ…!」
「っ!ツイスター!」
しかし、釣り糸がどんどん締まり皮膚が裂けて痛みを味わうツイスターの声にベリィベリーは彼女に視線を向ける。今はバッタモンダーよりも彼女を助ける事を優先にしたベリィベリー。だが、ツイスターの身体は岩をも切る強固な糸が巻き付いている。ベリィベリーは勿論プリキュアであるスカイ達もそれを素手で千切ろうとしたら間違いなく手が切れてしまう事は目に見える。一体どうしたら良いんだと思い悩んでいるとプリズムが声を上げた。
「ツイスター!今助けるよ!」
プリズムは何かを思いついた様子であり、彼女は自身の武器である光弾を釣り糸目掛けて放った。確かにそうすれば直接触らずに切断が可能だろう。しかし、それが糸に当たると逆に光弾が真っ二つに切断されてしまう。
「そ、そんな…!」
「くっ、なら私が!」
「待ってください!プリキュアじゃ無いあなたが触れれば間違いなく手を切ってしまいますよ!」
ベリィベリーがいても立ってもいられずツイスターを助けようとするもスカイが慌てて止める。そんな中ランボーグはリールを回転させどんどん糸の締め付けていく。
「ぐっ…」
締め付けが強くなっていく事でツイスターの身体は糸により皮膚が裂けていき血が流れ、緑の衣装が少しずつ赤く染まっていくと地面に膝をつけてしまう。
(こ、このままじゃ…身体がバラバラに…!)
最悪の想像をしたツイスターは何とかこの釣り糸から抜け出そうと必死に考える。しかし、プリズムの様な光弾やベリィベリーの電撃などの特殊な力でこの糸を千切るのは先程の事を考えて無理だろう。だったら力づくでとなるが下手に力を入れればそれこそ余計に糸が食い込んで肉を裂き骨を断ってしまう。一体どうしたら良いのだと痛みに耐えながらツイスターは考えているとそこに視線を感じた。
「お、お姉さん…!」
「あ、あんたは…」
すると背後から自分を心配する声が聞こえ、後ろを振り返るとそこには先程自身が助けた男の子が不安そうな顔でこちらを見つめているのだ。
「おれのせいで…おれのせいでこんな事に…!」
糸で縛られ傷つくツイスターの姿を見て男の子は罪悪感で押し潰されそうになり涙を浮かべる。
「大丈夫…泣かないで…」
「え?」
「これくらい…直ぐに…抜け出せるから…!」
ツイスターの言葉に男の子は彼女を見つめる。身体が切られているにも関わらず彼女はその子に向かって精一杯の笑みを浮かべた。そんな中バッタモンダーは呆れた表情を浮かべる。
「子供を安心させる痩せ我慢かい?だとしたらそんな出来もしない事を簡単に言うものじゃないよ」
「痩せ我慢?…ハッ!そもそもこんな糸で私を切り刻もうと出来るなんて考えているなんて随分おめでたいわね!はあああああっ!!!」
ツイスターは全身からオーラを放ち強化をすると身体に食い込む釣り糸を力強くで引きちぎろうとする。だが、釣り糸は中々千切れず益々身体へ食い込み体から血が更に流れ出てしまう。
「やめて下さいツイスター!」
「そんな事をしたら貴女の身体が…!」
痛々しいツイスターの姿を見てスカイ達は彼女に止める様に言う。これ以上無理に続けば身体は切断されてしまうと。
「大丈夫…っ、よぉ!これくらい…!」
「痩せ我慢はしないで下さい!」
「そうだ!これ以上無理をすればツイスター…らんこ…お前の身体が…!」
「大丈夫って…言ってる……それにそんな恐ろしい光景を……子供の前に見せる…つもりは……ふぅ、ないわっ!!!」
瞬間、ツイスターの全身が黒一のオーラを放出すると釣り糸を引きちぎる事に成功する。
「んなっ!?マジかよ…!」
まさか糸を千切るとは思わなかったバッタモンダーは唖然する。そして、糸からの拘束を抜け出したツイスターだが先程まで身体に糸が巻き付いていた所為で所々から皮膚が裂けて血が流れていた。
「フゥー、フゥーッ……と、取り敢えず……これだけで済んだのは幸いね。さて、反撃とっ!?」
「危ない!」
強化した身体能力で一気に叩き込もうとしたツイスターだが突然両足に力が抜けて地面に倒れそうになってしまう。それを咄嗟にベリィベリーが彼女の身体を受け止めた。
「無茶しすぎだ!無理矢理糸を千切った所為で身体から大量に血が流れて貧血になっているぞ!」
「ひ、貧血……そ、そうね。ごめん…無茶し過ぎた……」
ベリィベリーに貧血が原因で倒れそうになったのだと指摘されるが、実際は身体の中にあるアンダーグエナジーを使った事による物で身体の不調をきたしている。ツイスターはそれをわかっていたが、仲間達にそれが悟られない様に貧血であると言う事にした。
「くっ、まぁ良い。1人手負いになってるならそちらを狙わせて貰うよ!ランボーグ!」
『ラン「そうはさせないよ!」ランボッ!?』
弱っているツイスターから狙おうとしたバッタモンダーはランボーグに指示を出すが、直前にプリズムがランボーグの足下に向かって大量の光弾を放ち土煙を巻き起こしランボーグの視界を潰す。
「ハアッ!!!」
『ボオグッ!?』
土煙からスカイが現れると拳をランボーグの胴体に叩き込みその巨体を飛ばすと数回地面にバウンドする。
「何やってんだ!?まだお前には糸があるだろ!そいつを使って奴らをツイスターと同じ様に切り刻め!」
『ランボォォォグ!』
ランボーグは立ち上がると竿を振り回して再び釣り糸を飛ばそうとした。
「そうはさせないぞ!ひろがる!ウィングアターック!!!」
ランボーグが釣り糸を飛ばす前にウィングが技を発動させ竿目掛けて突撃すると竿をへし折った。
『ボオオオグッ!?』
「ああああっ!?なんて事をしやがる!」
竿を破壊されたランボーグはバランスを崩して後ろに転倒し、それを見ていたバッタモンダーは頭を抱えてウィングを睨む。
「これでその厄介な糸は封じた!皆さん後をお願いします!」
「わかりました!プリズム行きますよ!」
「任せて!」
トドメを任されたスカイとプリズムはスカイミラージュを取り出すとスカイトーンを装填する。
「スカイブルー!」
「プリズムホワイト!」
2人はスカイミラージュを高く掲げると、ランボーグの真上に円盤が現れてその円盤にランボーグが吸い込まれていく。
「「プリキュア!アップ・ドラフト・シャイニング!」」
そのまま円盤の中から気流が噴き出していき、円盤の中にいるランボーグは浄化される。
『スミキッター』
「ミラーパッド、オッケー!」
浄化されたことによりランボーグは元の釣り竿に戻り、キラキラエナジーが出現する。スカイはすかさずミラーパッドを構えるとキラキラエナジーの回収に成功し、戦ってた河川敷が元通りになる。
「やったー!今日も皆んなの大勝利ーっ!!!」
「えるっ、えるる!」
ランボーグとの戦いに勝利した事にあげはとエルは喜びの声をあげる。
「おい、其処の外野っ‼︎」
「ん?」
「える?」
そんな時その雰囲気を壊す様にバッタモンダーが怒鳴り声をあげながらあげはに声をかける。
「言っとくけどまだ僕は全然本気を出してないからね?」
「……負け惜しみってカッコ悪いよ?」
明らかな負け惜しみにあげははジト目でバッタモンダーを見つめる。
「んなっ!?戦っても居ねえ外野が偉そうな事を言うんじゃねえ!お前ら覚えていろよ!次こそぜってぇ勝つからな!」
あげはに言い負かされたバッタモンダーは典型的な捨て台詞を吐くと撤退していった。そしてあげはは先程のバッタモンダーの台詞が頭から離れずボソリと呟く。
「まぁ、外野なのは事実だけど…」
「える…」
バッタモンダーの言う通り自身はプリキュアの様に変身出来たりベリィベリーの様な戦闘能力を持ち合わせている訳ではない。そのため自分は皆と戦えず、いつも戦いは自分より年下の皆んなに任せっきりである事を気にしていた。そんなあげはの表情が曇り、エルは心配そうな顔であげはの顔を見上げる。
「そんな事ありません」
「…え?」
すると背後から話しかけられた事にあげはは振り返るとツイスター達があげはの後ろに立っている。
「あげはちゃんは大切な仲間だよ」
「いつも私たちを応援してくれるから頑張れるんです」
「そうよ。それにさっきもウィングと一緒に一般人の避難誘導をしていたし」
「まぁ、プリンセスを危険に晒したのは褒められる物ではないが、良くやったぞ」
「ええ、それにプリンセスもあげはさんの事が大好きですしね」
「だいしゅき」
「皆んな……よぉ〜し、私も頑張らないと!いつもの様に気分アゲてくよ!」
一同からの言葉にあげはは嬉しくなり拳を天高く突き上げるが、あげははツイスターを見てある事を思い出す。
「あっ、そういえばツイスター身体は大丈夫?見た感じ傷が凄いけど…」
「平気よ…これくらい何時ものこ…うっ!」
心配するあげはにツイスターは大丈夫だとアピールしようとしたが、身体に痛みが走り苦痛の表情を浮かべる。
「無茶しないでツイスター!」
「そうですよ!この中で一番怪我をしているのは貴女なんですから!」
「ご、ごめん…心配かけて…」
痛々しいツイスターの姿に一同は心配し声をかけるとツイスターは申し訳なさそうな表情を浮かべる。
「兎に角だ。そんな状態だと歩くのも辛いだろう。ヨヨ殿の所まで私がおんぶして行こう」
「うっ…仕方ないわね。それじゃあお言葉に甘えるわ」
ベリィベリーが背負って行くと言う発言にツイスターは一目につく事を気にするが今は背に腹を変えられない状況である為、彼女に背負って貰おうと変身を解いて彼女の背中に覆い被さる。それに続きスカイ達も変身を解く。
「じゃあ、家まで帰r「あ、あのぉ…」え、あっ!」
虹ヶ丘家へ向かおうとした途端、誰かが話しかけた事に気付き一同は振り返ると其処には先程ツイスターがランボーグの攻撃から守った男の子が立っていた。
「ひょ、ひょっとして今の見てましたか?」
「う、うん…ばっちり見てた」
恐る恐る先程自分達が変身を解いた所を見たのかとソラは尋ねると男の子は頷きながら肯定する。それを見て一同は焦りの表情を浮かべる。
「あっ、だいじょうぶ。おれ、みんなの事ひみつにするから」
「え、そうですか?なら助かります」
男の子が自分達の正体を他の人に言わないと発言するとソラを筆頭に一同は安心して胸を撫で下ろす。
「あと、そこのお姉さん…」
「え、私?」
ベリィベリーにおんぶして貰っているらんこは自分に話しかけられた事にキョトンとした顔を浮かべる。一体何の用なのかと思っていると、男の子はある事を言う。
「た…たすけてくれて…ありがとう!」
「っ!」
「そ、それじゃあ!」
男の子は最後にらんこにお礼を言うとその場から走り去っていった。一方でらんこはお礼を言われた事に呆然となる。そんな様子に一同は話しかける。
「良かったですね。らんこさん」
「そうだよ。さっきの男の子にお礼を言われて嬉しいよね」
「べ、別に……お礼なんて言われても////」
「あれ、らんこさん?」
「なんか、顔が赤いよ?」
先程の男の子にお礼を言われた事に顔を赤くして恥ずかしがるらんこに一同は首を傾げる。一方でらんこは先程の男の子の顔が頭を過ぎり続ける。
(な、何でよ…何でさっきの子の顔が頭に残っているのよ……それに胸がドキドキする……いや、本当に何で!?)
何故か心臓が激しく息も荒くなり顔が赤面になっている事にらんこ自身どうしてこの様な事が起こっているのか分からずにいた。
「らんこちゃん顔が赤いけど…もしかしてさっきの子にほr「わ、私はショタコンじゃない!!!」うわっ、ご、ごめんって。何もそんなムキにならなくても」
「いや、今のはあげはがいけないぞ。怪我人を下手におちょくるものでは無いぞ(それにらんこは私がいるからショタコンではまず無いな)」
揶揄うあげはにらんこは大きな声を上げて否定した事に驚き、ベリィベリーもそんなあげはを注意する。尚、内心では邪な事を相変わらず考えていたが。
「兎に角だ。らんこ、家に着くまでは寝て良いぞ。着いたら起こすから」
「そ、そうさせて貰うわ…」
らんこはベリィベリーの言葉に甘えると瞼を閉じてベリィベリーの後頭部を枕変わりにして早くも眠りにつく。どうやら戦闘による疲労が大きくすぐ寝てしまった様だ。尚、らんこが眠った事により彼女の寝息がおんぶしているベリィベリーの首に辺り思わずゾクっとし、彼女は顔がニヤつきかける。
「よし、私もらんこちゃんに負けないくらいに実習で子供に慕われる様に努力しないと!」
「え、実習って」
「あげはちゃんもしかして…!」
あげはの言葉に一同は何かを察すると、あげはは「ふっふーん」と鼻息を出して得意げな顔を浮かべる。
「そうだよ!もう直ぐ保育園実習が始まるんだ!くぅ〜っ!今から楽しみ過ぎる!」
その発言にらんこを除く一同は「おお〜!」と声を上げる。保育園実習が始まると言うことはあげはの最強の保育士になると言う夢がまた一歩近づく事になると言う事だ。
「ついに始まるんですね!」
「おめでとうございますあげはさん!」
「頑張ってねあげはちゃん!」
「期待しているぞ」
「あげは、がんば!」
「皆んなありがとう!保育園実習はアゲアゲでやっていくよー!」
一同の応援にあげはは笑顔を浮かべるとテンションを上げてこれから始まる保育園実習を真面目に取り組んでいく姿勢を見せるのであった。
──────────
それからと言うものの虹ヶ丘家への帰り道、河川敷から住宅街を歩く一同、あげはは保育園実習の準備がある為途中で別れると先程のあげはの実習について話し合っていた。
「それにしてもとうとう始まるんですねあげはさんの実習が」
「あげはちゃんとっても楽しみにしてたみたいだからね」
「子供が大好きなあげはさんにとっては園児に触れ合う事がやり甲斐ですからね」
「ふむ、プリンセスとの接し方を見て思ってたがあげはは才能があるからな。恐らく他の子供からも好かれるだろう」
「えるる♪」
これから始まる保育園実習についてあげはは今までの行動を振り返るとエルとの接し方とかも考えれば実習は上手く行くだろうと考えられる。
「よし!それならあげはちゃんの実習を記念して何かパーティをやるのはどう?」
「良いですね!家に戻ったら寝ているらんこさんに実習とパーティについて教えましょうか!」
「じゃあ、早速ケーキを予約しに行こうか。ちょうどそこを曲がった所にケーキ屋さんがあるから!」
そう言ってましろはテンションをあげながら曲がり角にあるケーキ屋へ向かおうとして曲がり角を走って曲がろうとした。
「きゃっ!」
「おっと!」
「「「ましろ(さん)!?」」」
しかし、前を見てなかったせいで曲がり角にいた先にいた誰かとぶつかり、その衝撃でましろは地面に尻餅をついてしまう。
「痛たた…お尻を打っちゃった…」
ましろは地面に打ちつけた自身の臀部を摩りながら立ちあがろうとすると誰かがましろに手を差し伸べる。ましろは手を差し伸べた人物に視線を向けると自分達より歳が上の青年が立っていた。
「大丈夫ですかお嬢さん」
「え…あ、ありがとうございます」
ましろはお礼を言いつつ青年の手を握るとゆっくりと立ち上がる。
「どこか怪我はしてませんか?」
「だ、大丈夫です…あっ!さっきはぶつかってすいませんでした!」
ましろは目の前の青年が先程曲がり角でぶつかってしまった人物なのだと気付き頭を下げて謝罪する。
「いえいえ、お気になさらずに…それにこうやって貴女とお話しできる事は嬉しい事ですから」
「え?それってどう言う「ましろさーん」あっ、ソラちゃん!」
青年の言葉に首を傾げているとソラ達がましろの元まで駆け寄ってくる。
「ましろさん大丈夫ですか?」
「さっき思いっきり地面に尻餅をつきましたが?」
「怪我はしてないか?」
3人は先程ましろが地面に倒れた事を心配するが、ましろは大丈夫だと答える。
「私は大丈夫、この人とぶつかっちゃったけど助けて貰ったから」
「そうですか…すいません。ましろさんを助けていただきありがとうございます」
「いえいえお気になさらずに。何せ困っている者がいたら救うのが正しい行いですからね」
「困っている者がいたら救うのが正しい行い…なんてヒーローらしい言葉ですか!」
青年のその言葉にソラは目を輝かせる。一方でベリィベリーはましろに呆れた眼差しを向ける。
「全く、前を見ないからこんな事になるんだぞ」
「そうですよ。気持ちは分かりますがちゃんと前を向いて歩かないと」
「ご、ごめんね」
ベリィベリーとツバサから注意を受けたましろは申し訳なさそうな顔を浮かべる。
「お二人とも彼女を許して上げて下さい。見た感じ何か祝い事をする為はしゃいでいて周りの事が見えなくなっていたようなのでそんな嬉しい気持ちを壊すのは控えて下さい」
「うぅ…」
「いや、逆にましろさんが恥ずかしがっているんですが?」
青年はましろをフォローするもののどちらかと言うと先程の行動を掘り返され、ましろは恥ずかしさのあまり顔を赤くする。
「ちょっと待て、何故祝い事をやるってわかったんだ?」
「いえ、難しい事じゃ無いですよ。先程話の内容は聞き取れませんでしたが、そちらのましろさんがはしゃいでる声に曲がり角に駆け込む様子。それにこの近くにはケーキ屋さんさんがありますから恐らく祝い事だと推測したまでです」
「す、すっごいです!当たってます!」
「まさか、貴方は名探偵なんですか!?」
青年の話にソラとツバサは目を輝かせて青年を見つめる。対して青年も満更でも無い表情を浮かべる。
「いえ、名探偵なんて大それたものではありません。ただ人間観察が趣味なだけですよ」
「そんなご謙遜な!貴方はさぞ名のある探偵に違いありません!是非とも名前を教えて下さい」
「私もさっきからお兄さんって呼んでいるのもあれだから名前を知りたいな」
謙遜な態度を取る青年にソラ達は名前について問われると青年はキョトンとした顔を浮かべる。
「名前ですか?私は善…いえ、桜井侑斗と言います」
「さくらいゆうと…ふむ、この街ではあまり聞き慣れぬ名前だな」
「まあ、私はちょっと観光目的でこの街に訪れましたからね」
青年の名前にベリィベリーは不思議に思いつつも青年は軽く笑いながら自分が他の街からやってきたと明かす。
「あっ、そうです!侑斗さん此処で知り合ったのも何かの縁です!良かったら一緒にケーキ屋さんに行きませんか?」
「え、私ですか?」
「うん、さっきぶつかっちゃったお詫びをしたい所ですし。是非とも奢らせて下さい」
ソラ達からケーキ屋に誘われた事に侑斗は驚いた表情を浮かべるも直ぐに元の表情に戻る。
「良いでしょう。美しい女性の頼みを断るのは紳士として恥ずべき事ですからね。そのお誘いに有り難くうk「ぎやあああああああああっ!!!」…ん?」
「「「え、ああっ!?」」」
ソラとましろの誘いに侑斗は乗ろうとした瞬間、近くから悲鳴が聞こえ一同はそちらに振り向くと驚愕な顔を浮かべる。
「ぬおおおあああっ!?ら、らんこ、いきなりどうしたあああああっ!?」
「グガガガゴゴゴッ!!!」
其処にはベリィベリーに寝ながら首を絞めるらんこの姿があった。ベリィベリーは苦しそうにらんこの腕を叩くも一向に起きる気配は無くどんどん顔が青く…と言うよりも紫色に変わっていく。
「ちょっ!?らんこさん何やってんですかーっ!?」
「死んじゃう!ベリィベリーさん死んじゃうよー!」
「やめて下さいらんこさーん!」
「にゃんこめっ!」
寝ながら殺人を起こそうとするらんこを止める為一同はらんことベリィベリーに駆け寄るのであった。そしてそのやり取りを侑斗は黙って見ていた。
(やれやれ、寝ているかと思ったら私の気配を察知して反応したんですかね?でもまぁ、今日は帰らせて貰いますよ)
そう思いながら侑斗…否、桜井侑斗と名乗る青年は一同に悟られずその場から姿を消すのであった。
そして、その場に残ったのはベリィベリーの悲鳴とらんこの奇行を止めようとするソラ達の慌てふためく声だけであった。
ちょっと今回はコラボ感が薄いですが次回からコラボ色が強くなる予定です…多分。
コラボ相手の作品のURLを貼っておくので気になった方は是非読んでみてください。
https://syosetu.org/novel/344015/
次回もお楽しみに。