ひろプリに野良猫系キャラを入れてみた   作:獅子河馬ブウ

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第8話 スカイジュエルを手に入れて

裏山の川沿い。らんこ達がスカイジュエルを探し始めてからそれなりの時間が経とうとしていたが、未だにスカイジュエルらしき物は見つからず。唯一頼りのソラのミラージュペンから発せられる光も探し始めた時と変わらずであった。

 

「見つかりませんね」

 

「スカイジュエル‥どこにあるんだろう」

 

「そろそろ見つかって欲しいところね」

 

此処まで探しているのにスカイジュエルが見つからない事に3人の表情は曇りつつあった。

此処まで道中に謎の積み石と巨大な岩(中身はガチのお宝)と遭遇したが、3度目の正直でいい加減本命のスカイジュエルと巡り会いたかった。

 

「早く見つけないと熊と遭遇しそうね……」

 

「ええっ!熊⁉︎」

 

らんこの何気ない呟きにましろは思わず声を上げる。

 

「当たり前でしょ…こんな自然豊かな山よ。さっきの毒キノコもそうだけど、色んな木の実や食べられるキノコ、川には魚が泳いでいる。野生の動物達にとってはこれ以上住み心地が環境なんてないでしょ?」

 

確かにそうだ。道中の道が舗装されている所もあったが、それ以外の自然は特に手を加えられている所は無く心が安らげる程に豊かな自然が広がっている。そんな環境は動物などもとても住みやすくなっているのだ。

 

「ところでましろ。あんたは熊対策に熊避けのベルや催涙スプレーとか持ってきた?…私は行き先が山とか知らなかったから持ってこなかったけど、あんた達は当然持ってきたわよね?」

 

一応ではあるもののらんこは確認を取る。最も最初から行く場所が分かっているなら勿論持ってきていると思っているらんこは彼女が対策グッズを持ってきていないミスなどする筈が無い。そう信じたが……

 

「………」

 

らんこに問われたましろの顔は固まりダラダラと大量の汗が流れていく。

 

「……嘘でしょ」

 

その分かりやすく動揺している表情を見てらんこは察する。ましろは対策グッズを持ってきていなかったと言う事を…。

 

「あんた……目的地を予め知っておいてなんで持ってこなかったのよ…?」

 

若干震えた声でましろに聞くが、対して彼女は申し訳そうな顔を浮かべ、らんこに謝罪する。

 

「ご、ごめん…家の近所だから別に大丈夫…かな〜なんて……」

 

裏山へ行くと知らなかったらんこは勿論持ってこなかったが、元々裏山へ行くと決めていたソラとましろなら一つくらい熊の対策グッズを持ってくると信じていたが、いざ聞くと何も持ってきていない。そんな彼女の能天気さにらんこは思わずため息を吐く。

 

「御安心下さいらんこさん!例え熊だろうがランボーグが出てきても私が御二人をお守りして見せます!アタタタタタッ!!!」

 

そう言ってソラは己の強さをアピールするつもりか、2人の目の前で物凄い速さのラッシュを見せる。

 

「す、すごい、凄いよソラちゃん!まるで腕が沢山あるみたい…!」

 

「えるぅ〜!」

 

「本当ね……(と言うか確かにソラが居れば熊なんて屁でも無いかも……)」

 

先程のスカイランド神拳もそうだったが、ソラはポテンシャルが高く。熊が本当に出てきてもソラなら撃退してくれる気がする。

と言うよりも熊を返り討ちに出来そうで逆に熊が不憫に思える。何故なら何時もランボーグという熊より強い化け物と戦っているソラだ。

仮に変身して熊と対峙したらオーバーキルになりそう。

そんな時だった。ソラの持つミラージュペンの光が先程まで比べ強く光りだす。

 

「こ、これは!」

 

「きっと、スカイジュエルが近いんだよ!」

 

「ソラ、周りをよく確認して!」

 

2人に言われ、ソラはミラージュペンの光を頼りに辺りを見渡すと川辺の近くに青白い光が反射されている事に気づく。

 

「あ、アレです!」

 

3人は光っている場所へ向かうと、ソラが川の中へ手を突っ込むと其処から光る何かを引き上げる。

 

「あ、ありました!」

 

「これでスカイランドと通信ができるね!」

 

「これがスカイジュエル……」

 

2人は予めスカイジュエルがどんな物か知っていたが、一方でらんこは初めて見る異世界の石に目が奪われていた。

 

(ラピスラズリ…いや、サファイアよりも綺麗……)

 

青い石と聞いてこの世界に存在する青い宝石を思い浮かべるが目の前にあるスカイジュエルはそれよりも綺麗に見え、感動を覚える。

 

「やったぁ!やりました!」

 

「こら、川の近くで飛ぶのは危ないわよ」

 

これでスカイランドと通信が出来る。ソラは嬉しさのあまりにその場に飛び跳ねるらんこはそんな彼女を注意する。するとソラが地面へ着地した瞬間、背後から何かが崩れる音が聞こえて3人は反射的に振り返る。すると、其処には見覚えのあるモヒカンがあった。

 

「あぁーっ!?おい!ビックリしちゃって崩れちゃったじゃないか!どうしてくれるのねん!」

 

モヒカンを生やした人物は振り返ると、その顔は彼女達にとって因縁のある豚顔だった。

 

「お、お前らは⁉︎」

 

「カ、カバピョン!」

 

「カ・バ・ト・ン!いい加減覚えろっつうの!」

 

前回のショッピングモールと同様に名前を間違えられた事にカバトンはソラに怒る。

 

「この件、またやるの?」

 

らんこが呆れ果てた顔をする中、突如として彼女の脳裏に二人の少女と一人の水の魔女と思われるおばさんのやり取りが聞こえた。

 

『あなたは!』

 

『ハナミズターレ!』

 

『えぇ……』

 

『誰がハナミズタレやねん!』

 

誰だコイツら?

 らんこの脳裏にいきなり響いたやり取りの内容的には目の前のカバトンの名前間違いの件によく似た状況になっているとわかる。茶髪のショートヘアの子が水の魔女のようなおばさんの名前を間違え、もう一人の紫髪のロングヘアをシニヨンにした女の子はその間違え方に若干引いていた。

 

「と言うかソラ!お前は前回の最後に俺の名前を正しく言えただろうが⁉︎」

 

「え、そうでしたっけ?」

 

そんな中、ソラとカバトンのやり取りは続く。事実、前回のショッピングモールの戦いの最後の最後にらんことましろに襲い掛かろうとしたカバトンの前に立ちはだかった際にソラは確かに"カバトン"と正しい名前を言えたが、本人はそれを覚えていない。

 

「そんな事はどぉ———っでも良いわ「よくないのねん‼︎」…それよりも豚男、何であんたがこんな所にいるのよ?」

 

ショッピングモールの時と良い、何でこんなにエンカウント率が高いのか不思議で仕方なかった。偶然かはたまた神の悪戯か、何か不思議な力でも働いているのかとらんこはそう思った瞬間。

 

『出会いに偶然はない……人と人が巡り会うこと。それはいつだって必然、運命……物語の始まり…』

 

以前ヨヨが言っていた台詞を思い出す。つまりそれは目の前のカバトンの出会いも偶然では無く運命に該当する……らんこは一瞬でもそう思ってしまったが……。

 

「……こんな運命なんて嫌よ」

 

「何ヒトの顔を見て露骨に嫌そうな顔をしやがるフード娘⁉︎」

 

自身に向けられた嫌そうな表情を浮かべるらんこに怒りを覚えるカバトン。対してらんこは前回と前々回にで殺されかけた事が運命であるとは思いたく無かった。

そして、世の中にはこんなことわざがある。"二度あることは三度ある"。つまり、最低でもあと一回は自分がカバトンに殺されかけてしまう事になる。

 

「……運命なんてクソ喰らえよ!」

 

「ら、らんこちゃん⁉︎」

 

「いきなりどうしたんですか⁉︎」

 

「おい、其処のフード娘はどうしたのねん⁉︎さっきから様子がおかしいぞ‼︎……うん?」

 

物凄い冷めた目で暴言を吐くらんこにソラとましろだけで無く思わずカバトンも心配を覚えるが、ましろが抱えているエルが視界に入りニヤリと笑みを浮かべる。

 

「ヒヒッ…今日はガキを連れて出掛けているのか……ラッキー」

 

「ッ⁉︎…や、やっぱりエルちゃんを狙っている!え、エルちゃんは渡さないよ!」

 

カバトンがエルを狙っている事に気付いたましろはエルを庇う様にカバトンに強気な姿勢を見せる。だが、カバトンに通用せず鼻で笑われる。

 

「へっ、脇役の意見は聞いていないのねん!兎に角そのガキをこっちによこしな」

 

「絶対に嫌ッ!」

 

渡さないと実力行使に出ると言わんばかりの表情でエルの身柄を要求するカバトンだったが、ましろは勿論エルを渡すつもりはなかった。

 

「なら、実力行使なのねん」

 

そう言って拳の骨を鳴らしながら一歩ずつ近づき、ましろは対照的に後退りをするが、背後には川がありこれ以上下がる事は出来ない。対してカバトンは彼女が抱えるエルを奪おうと近づいていくが、ましろを守る様にらんこが立ち塞がる。

 

「……ましろとエルに手を出したら許さないわよ!」

 

「ほーう、許さないのならどうするのねん?カモン!アンダーグエナジー!」

 

『ランボーグ!』

 

近くに生えていた竹にアンダーグエナジーを注ぐとランボーグへと変貌する。

 

「ランボーグ!邪魔をするフード娘を倒して、脇役からガキを奪い取るのねん!」

 

『ランボォグ!』

 

「うっ…」

 

迫り来るランボーグを見てらんこは一瞬怯むも、其処から逃げ出そうとせずましろを守ろうとした。

 

「2人は逃げて下さい。此処は私が戦います」

 

「「ソラ(ちゃん)!」」

 

其処へ更にらんこの前にソラが立ちランボーグと戦おうとする。彼女は2人にエルを連れて離れる様に言うが、2人を逃すつもりの無いカバトンはランボーグへと命令を出そうとする。

 

「ハッ、逃す隙なんて与える訳ないだろッ!ランボーグさっさt「豚男!あんたはこれでも喰らいなさい!」ブベッ!?」

 

しかしその瞬間、らんこがリュックから何かを取り出してそれをカバトンの顔面に向かって投げるとそれが弾けてカバトンの顔の周りに何かが散る。

 

「ぶ、ブベックション!ふ、フゥべッヘクション‼︎何を投げダクションッ!?」

 

「らんこさんカバピョンに何を投げたんですか⁉︎」

 

「も、もしかして……」

 

突然連続でくしゃみをするカバトンを見てソラは何をしたのか分からなかったが、ましろはらんこが投げた物がある程度察しがついていた。

 

「ええ…私お手製の護身用の胡椒球よ」

 

ドヤ顔で答えるらんこ。彼女が家で情報収集だけで無く、もしも1人でいる時にカバトンと遭遇した時を想定してネットから作り方を調べて作っておいたのだ。

 

「ましろ、豚男が動けない内に私たちは隠れるわよ。ソラ、ランボーグは任せたわ!」

 

「ソラちゃん無理しないでね!」

 

「える!」

 

「はい、あとはお任せください!」

 

そう言ってソラは2人が少し離れた岩陰に隠れるのを確認すると、ミラージュペンを構える。……だがその腕は震えていた。前回はらんこの危機だった為変身したが、やはり戦いに対する恐怖は存在する。しかし、その恐怖を抑え込むと彼女はペンを掲げる。

 

「……ヒーローの出番です!」

 

その言葉と共にペンが光りソラを包み込む。

 

「スカイミラージュ!トーンコネクト!広がるチェンジ!スカイ!」

 

そして一気にソラはキュアスカイへと変身する。

 

「無限に広がる青い空!キュアスカイ!」

 

変身が完了すると丁度カバトンの周りを覆っていた胡椒も無くなる。

 

「ぐっ、ぐぞぉっ!絶対あのフード娘を泣かしてやるのねん‼︎…だが、まずはキュアスカイお前からだ!ランボーグ行けッ!」

 

『ランボーグ!』

 

自分に胡椒球を投げ込んだらんこを恨みつつも、ランボーグに命令を出すとランボーグはタケノコを模した大きな腕を振るいながらスカイへと迫る。

 

「ハァッ!」

 

対してスカイも拳を振るって互いの拳が激突し、威力が互角だったのか後ろへと飛ぶ。

 

「力は互角か…それならランボーグ、奴の足を狙え!」

 

『ランボーグッ!』

 

タケノコの腕を地面に突き刺すとそこから鋭利に尖った竹槍が生えてそのままスカイの足下からも生えてくる。

 

「くっ!」

 

地面に生える竹槍に気付いたスカイは咄嗟に避けるが、避けた先でも竹槍はまた生えてきた。ランボーグから繰り返される執拗な攻撃をスカイは避け続けていく。

 

「あのランボーグ…何処でも竹槍を生やす事ができるのね」

 

遠くの岩陰に隠れたらんことましろそしてエルはスカイの戦いを見ていた。

 

「えるぅ……」

 

「大丈夫だよ、きっとキュアスカイが守ってくれる」

 

「…そう上手く行くかしら?」

 

心配そうにするエルをましろは頭を撫でながら安心させようとする。一方でらんこは戦いをじっと見つめる。それとは対にらんこは彼女とは逆にスカイが勝てそうに無い物言いだった。それを聞いてましろは思わず彼女の顔を見るが、らんこも心配そうな表情を浮かべていたのだ。

 

「ほれほれ逃げる事しかできないか!」

 

「くっ、このままでは……!」

 

スカイも今の状況が不味いと気がつきつつあった。このまま地面から生える竹槍から避け続けると体力が減る一方であると理解しており、何とか状況を変えようと考える。

 

「それなら!」

 

そう言ってスカイは大きく飛び上がり大きな岩の上に立つ。

 

「地面から離れれば大丈夫と考えてるのなら……甘いのねん!」

 

「ッ⁉︎」

 

瞬間スカイの乗る岩へ竹槍が生えていき、あっという間に岩はサボテンの様に全体に竹槍が生えて岩はバラバラに砕かれる。

 

「うわっ⁉︎凄いパワー!」

 

しかし、岩が破壊される寸前にスカイは跳び上がって脱出していた。

 

「此処なら竹槍は生えません!」

 

そう言うとスカイはそのまま地面に立っているランボーグに向かって急降下。その勢いでキックを放つ。だが、スカイのキックがランボーグの腹に命中する直前にランボーグとスカイの間に大きな竹が生えてきた。

 

「えっ⁉︎え、えっ、うわああああああっ!!!」

 

ランボーグの代わりにキックを受けた竹は大きくしなり、限界まで来るとスカイは跳ね飛ばされて、川へ落ちる。

 

「「スカイッ‼︎」」

 

「えるっ!」

 

3人は川へ落ちるスカイを見て声を上げる。

 

「ぎゃっはははは!まさかこうもアッサリ引っかかるとは思わなかったのねん!」

 

一方でカバトンは川へ落ちたスカイの姿に愉快に思ったのか大きく笑い声を上げる。

 

「アイツに入れ知恵を貰ったのは正解だったのねん。これで後はにっくきフード娘を泣かして、その後ガキを……ん?」

 

その場を後にして隠れているらんこ達を探しに行こうとするが、川から音がして、その方向へ向くと。

 

「くっ…」

 

全身ずぶ濡れになったスカイが立っていた。

 

(やっぱりダメージはそんなに無いか……まぁ、いいのねん。まだこっちには奥の手かあるのねん)

 

そう言ってカバトンは視線をランボーグのタケノコの腕に移す。

 

(スカイをギリギリの所まで引き付けて腕のミサイルを放てば流石のスカイもおしまいなのねん!)

 

カバトンはそう考えると再びスカイへ視線を向ける。

 

「諦めるのねん!お前は俺様には勝てないのねん!」

 

「何を言いますか⁉︎私はまだピンピンしています!」

 

カバトンの勝利宣言にスカイは納得せず、自分は戦えると示す。

 

「ハッ、さっきまでランボーグに翻弄されていた癖に……」

 

「な、何ですって!」

 

カバトンの言葉にスカイは思わず反応してしまう。一方でその様子を見ていたらんこは目を細める。

 

(不味いわね……この状況)

 

先程跳ね飛ばされた際にスカイは特にダメージなどは喰らってはいないが、先程の攻撃が失敗した事にスカイは焦りを感じ、カバトンの挑発に乗り始めている。そうなると下手にランボーグに攻撃しようとしたら前回のランボーグみたいに何か奥の手を使ってくる可能性がある。

 

(……面倒くさいけど……やるしか無いわね)

 

そう考えるとらんこはましろとエルにバレない様にその場から離れる。

 

「どうしようらんこちゃん。何か良い作戦は無い………あれ、らんこちゃん?」

 

ましろは隣にいるはずのらんこが一向に返事をしない事に不思議に思い、隣を振り向くと漸く彼女がいない事に気がつく。

 

「それなら、力比べと行こうじゃねぇか!」

 

「力比べ…ですか?」

 

「そうだ。俺もお前をさっきみたいに追い込んでいくのも良いが、正直倒すのに時間が掛かり過ぎて面倒なのねん。それなら直ぐに決着が付く力比べ…つまり、小細工無しの拳と拳による肉弾戦の方が早いのねん」

 

「良いでしょう!受けて立ちます!(恐らく今…カバトンは調子に乗っている…それなら隙ができる筈です)」

 

互いに合意となりスカイとランボーグは互いに拳を構えると、

 

「……はあああああっ!」

 

『ラァァァァンボォォォォッ!』

 

一気に互いに距離を詰める。それを見てカバトンはニヤリと笑みをうかべると、

 

「今なのねんランブッ⁉︎」

 

ランボーグと言おうとした瞬間、カバトンの頬に石がめり込む。

 

「ええっ⁉︎」

 

『ランッ⁉︎』

 

それを見たスカイとランボーグも思わず動きを止めて困惑の声を上げる。

 

「誰なのねん!人が喋っている時に石を投げ込む奴は⁉︎」

 

カバトンは石が飛んできた方向を見ると其処にはいつの間にかき集めたのか山積みの石に隣にはらんこが両手でいつでも投げれるように石を握っていた。

 

「「ら、らんこさん(ちゃん)⁉︎」」

 

「またお前かフードブッ!?」

 

「……ストライク!」

 

喋っている途中のカバトンにらんこは容赦なく石を顔に向かって投げる。

 

「コラァッ!フード娘!遠くから石を投げるせこい手を使うんじゃ無いのねん!」

 

「喧しい!あんたもランボーグ使って襲っている時点で人の事言える立場じゃ無いでしょ‼︎それにあんたの所為でここ数日は家で引き篭もる羽目になったのよ!その恨みここで晴らす!」

 

カバトンは腕を交差させ防ぎながら機械の様に投石を行うらんこに止めるように言うが勿論らんこ止める気さらさら無い。対してらんこも私怨を込めて山の様に積んだ石をピッチャーマシンの様に投げ続ける。

 

「前回と言い今回と言い戦いの邪魔をしやがって!YOEEE癖に目障りなのねん!ランボーグ‼︎」

 

『ランボーグ!』

 

「なっ、ミサイル⁉︎」

 

スカイと戦っていたランボーグは右腕をらんこの方へ向けるとそれがミサイルの様に飛びらんこ目掛けて放たれる。スカイもまさか腕がミサイルになっていると予想しなかったのか、反応が遅れた。

 

「やっぱりまだ隠し玉を持っていた!」

 

らんこに向かって飛んでくるミサイルにスカイも彼女を助けようと走り出すが反応が遅れた為、間に合わない。

 

「これくらい怪我していなければ避けられる!」

 

飛んでくるミサイルギリギリの所で跳んで避けると地面に着地する。それを見たカバトンはニヤリと笑みを浮かべる。

 

「今なのねん!」

 

『ランボォッ!』

 

「キャッ!?」

 

ランボーグは右腕を再生させるとスカイにやった様に両腕を地面に突き出すと一気に竹槍がらんこの周りを突き出し竹槍で出来た檻のなかに閉じ込められる。

 

「らんこちゃん!」

 

檻に閉じ込められるらんこの姿にましろは思わず声を上げる。

 

「ギャハハッYOEEEE癖して調子に乗るからだ!お前はそこで間抜けな姿を晒しているのがお似合いなのねん!」

 

「カバトン!なんて酷い事を!」

 

スカイはカバトンを睨みつつも先程の己の行動に不甲斐無さを覚える。あのままカバトンの言う通りに力比べしようとしたら、間違いなくミサイルを至近距離で喰らってやられていただろう。

 

(未熟です!……私はなんて未熟ですか!)

 

ショッピングモールに引き続き、今回も友達(らんこ)の力を借りて更には危機に晒す。そんな自身の未熟さに嫌気を差し、現在竹の檻に囚われているらんこの姿を見ると彼女は声を上げた。

 

「スカイ!後は任せたわよ!」

 

「らんこさん…?」

 

らんこは怯えた表情では無く自信に満ちた表情でスカイに跡を託そうとする。一方でスカイは彼女の台詞に一瞬呆気に取られるも飛んでくるミサイルと竹槍のコンボに跳んで避けていく。

そして、ランボーグの攻撃を避け続けている内にスカイは先程までらんこが立っていた所へ着地する。

 

「これはらんこさんが投げていた石……」

 

残りをカバトンに投げつけるつもりだったのだろうがその数は多すぎる。そして、スカイの脳裏には先ほどらんこの言っていた台詞を思い出す。

 

「……そう言う事ですか!」

 

スカイはらんこの言葉の意味を理解し石の山を見つめると、ランボーグを視線を移す。

 

「どう言う事か知らないがそろそろとどめなのねん」

 

『ランボーグ‼︎』

 

そう言ってランボーグは両腕をスカイに向けて構える。一気にミサイルで倒そうとしていた。

対してスカイは拳を強く握ると大きく振り被る。

 

「ヒーローガール……!」

 

「馬鹿め!やけになったつもりか?そんな距離からスカイパンチが届く筈ないのねん!」

 

スカイパンチの構えをするソラに距離が足りないと指摘するカバトン。確かにその通りであるスカイとランボーグは距離が離れておりスカイパンチの当たる範囲外である。但し、それは()()()()()()()()の場合だ。スカイはすかさず視線をランボーグからそばに置いてある()()()()()へとずらす。

 

「スカイ…ショットガン‼︎」

 

スカイは必殺技であるスカイパンチを山積みの石に放つと大量の石は青い光を纏ってそのまま飛んでいく。

 

『ランボォォォッ!!?』

 

「な、なにぃ〜!?」

 

それが散弾の様にランボーグの巨体に命中し、そのまま後ろの川へ倒れる。

 

「嘘だろ!なんであんな石ころで俺のランボーグがやられるのねん!」

 

「ただの石ころではありません!」

 

「な、何だと⁉︎」

 

スカイの言葉に思わず彼女の方へ振り返る。

 

「あれはらんこさんがランボーグを倒す為に用意した秘密兵器です。それを私がスカイパンチを直接当てた事によりスカイパンチのエネルギーが石に宿って、ランボーグにダメージを与えたのです!」

 

実際らんこはスカイパンチのエネルギーが石に宿るとは確信しなかったが、石が熱を伝導しやすい原理を利用して半分賭けてみたが成功し、らんこ自身は檻の中でガッツポーズをする。

 

「くそおっ、死んでもなお邪魔するとは…おのれフード娘!」

 

「「勝手に殺すな(殺さないで下さい!)」」

 

いつの間にか死んだ扱いされているらんこにスカイと彼女自身が思わずツッコミを入れる。

 

『ラ、ランボォ……』

 

「ランボーグ早く立ち上がるのねん!」

 

倒れているランボーグに立ち上がるように命令するがランボーグは先程のダメージが残っている所為か中々立ち上がれなかった。そんな隙をスカイは見逃す筈がなかった。

 

「これで決めます」

 

「させるかっ!ランボーグこうなったらありったけタケノコミサイル攻撃をオミバッ!?」

 

一気にランボーグに向かって間合いを詰めようと走り出したスカイ。それを見たカバトンはランボーグにミサイル攻撃を出そうとした瞬間、再びカバトンの頬に石が投げ込まれる。

 

「フード娘またおま…あれ?」

 

らんこがまた石を投げて邪魔をしたのかと思い、彼女の方へ振り向くがらんこは檻の中で閉じ込められている上に先程投げ込まれた石はらんこがいる所では無く別の場所から投げられ、そちらを向くと。

 

「ふ、2人だけに大変な思いはさせないよ!」

 

そこには先程までエルと共に隠れていたましろが石を握って立っていた。

 

「今度は脇役お前か⁉︎」

 

まさかのましろが妨害するとは予想していなかったカバトンは完全に動きが止まる。

 

「ましろさんありがとうございます!」

 

最後にカバトンに注意を惹きつけてくれたましろにお礼を言うとそれに報いる様にランボーグへ距離を詰め───。

 

「ヒーローガール……スカイパァァァァンチ!!!」

 

見事にスカイの拳がランボーグの腹へ命中する。

 

『スミキッター』

 

ランボーグは浄化されベースとなった竹に戻る。それに伴い辺りの戦闘痕が消えた。

 

「漸く動ける…」

 

檻に閉じ込められたいたらんこも解放される。

 

「らんこちゃぁぁぁん!」

 

「うわっ⁉︎ま、ましろ⁉︎」

 

全力で走ってきたましろはそのままらんこの身体を抱きしめる。

 

「何処か怪我してない⁉︎腕やお腹に足、それと顔に傷は無い⁉︎」

 

「ちょっ、うひっ!擽ったいから離しなさいよ!」

 

全身を揉みくちゃにするましろにらんこは離れる様に言う。そんな2人の姿を見てスカイはホッとする。

 

「認めないのねん!お前らYOEEEE癖に戦いの邪魔をしやがって…!」

 

「ランボーグは倒しました。残るのはあなただけです!」

 

自分達の戦いに横槍を入れてきたらんことましろを強く睨むカバトン。そんなカバトンから2人を守る様に立つスカイ。

 

「こうなったらここへ来る途中で手に入れたいコイツでリベンジなのねん」

 

そう言ってカバトンが取り出したのは此処へくる途中にソラが触れようとしたキノコと同じ物であった。

 

「ああっ!そのキノコは!」

 

「いっただきま〜す!」

 

そしてスカイはましろに注意された事を思い出しカバトンを止めようとするが既にキノコはカバトンの口の中に入っておりそのまま喉を通って胃袋は入って行った。

 

「ウメェ〜!からのパワー全開なのねん!」

 

「ええっ⁉︎2回目ですか!」

 

既に今日は変身してスカイパンチを2回も放っていてヘトヘトのスカイであったが、こうなったら腹を括り二戦目を覚悟する。

 

「んじゃ、行くぜ!カモン!アンダーグ…⁉︎」

 

再びランボーグを生み出そうとするカバトンであったが突然お腹から音がなるとそれに伴いカバトンの顔色が紫から青へと変わり、その場で蹲って苦痛な表情を浮かべる。

 

「い、痛ぇぇぇ…!」

 

「やっぱり毒キノコだったみたいね」

 

ましろの言う通り毒キノコであった事がカバトンによって証明されるとスカイは此処へくる途中自分もああなっていた可能性があると思いながらカバトンに話しかける。

 

「まったく…むやみに山にあるものを取ったり食べたりしちゃダメなんですよ?めっ!」

 

「いや、あんたも取ろうとしたでしょ…」

 

自分の事を棚に上げてカバトンに注意するスカイに思わずらんこはツッコむ。

 

「ぐぅ、くそぉ…カバトントン!」

 

腹痛によりこれ以上は戦えないと判断したカバトンは撤退し、スカイは変身を解除して2人に近寄る。

 

「2人共、助けていただきありがとうございます」

 

「ううん、私は最後の方に石を投げたくらいでらんこちゃんみたいにそこまで役に立っていないよ」

 

最後に一発投擲をしたくらいで其処まで役に立ったと思ってはいないましろは謙遜するが、それをらんこが否定する。

 

「そんこと無いわよ……少なくとも自分から戦いに行くのは結構勇気が必要な事よ」

 

「そうです。らんこさんもそうでしたが、最後にましろさんの力もあって勝てた戦いですよ」

 

「そ、そうかなぁ…」

 

2人に褒められたましろは少し顔を赤くして照れる。

 

「そうよ……エルもそう思うでしょ?」

 

「える!」

 

「エルちゃん……ありがとう」

 

エルもそうだと言わんばかりにましろの手を握って肯定し、それを見てましろはお礼を言う。

 

「では、早くヨヨさんの元へ戻って、スカイジュエルを渡しましょう」

 

「うん!」

 

「そうね」

 

カバトンの襲撃もあったが、3人は目的のスカイジュエルを手に入れる事が出来た為、裏山を後にし虹ヶ丘家へ帰っていった。

 

────────────────

 

帰り道は特にトラブルなく虹ヶ丘家へ戻れた3人をミラーパッドを用意したヨヨが出迎え、3人をリビングへ案内する。

ましろとらんことエルは今回の一件で体力を使い果たし、ソファに座ってぐったりする。

一方でソラは手に入れたスカイジュエルをヨヨに渡した。

 

「それではヨヨさんお願いします」

 

「ええ、任せて頂戴」

 

ソラからスカイジュエルを受け取ったヨヨはミラーパッドにスカイジュエルを翳すと鏡面に映像が浮かび上がってくる。すると、2人の人影らしきものが段々と見えてくる。

 

《な、何だ…⁉︎》

 

《えっ、誰からですか?》

 

《通信が復旧したぞ!》

 

「……ん?」

 

「あれ、もう通信始まったの?」

 

らんことましろは疲れていながらもミラーパッドから聞こえる声に反応して、身体をゆっくり起こしミラーパッドを覗くと、

 

「……王様に」

 

「……王妃様?」

 

ミラーパッドに映っているのは立派な髭を生やした王冠を被った威厳のある男性とその隣にはこれまた美しいドレスを見に纏い綺麗なティアラを付けた女性が映る。まるで絵に描いたような王と王妃の姿が映っている事にらんことましろの2人は困惑する。

だが、2人の隣にいるソラは鏡面に映る人物達を見て驚愕する。

 

「ス、スカイランドの王様と王妃様⁉︎」

 

「「え……えええええええええっ!?」」

 

ソラの発言に2人は思わず驚愕の叫びを上げる。目の前に映っているのは決してコスプレをした愉快な御二方では無く、正真正銘の一国の王とその妃である王妃であると理解する。だが、同時にらんこは困惑する。自分達はスカイランドにいるエルの両親と通信しているのに通信先が違うと思い、ヨヨに話しかける。

 

「あのぉヨヨさん……多分通信先が間違っていると思うんですけど?」

 

「ん?」

 

恐らくミラーパッドの通信先が誤ってスカイランドの王室に繋がってしまった事を指摘するが、ヨヨは首を傾げる。

 

「いや、お婆ちゃん。私たちはエルちゃんに両親の顔を見せる様に通信を《エル!?君ッ!今、エルと言ったかね!?》……え?」

 

鏡面に映る王らしき人物の口からエルの名前…しかも割と親しそうに呼んでいる事からましろの思考が停止する。すると、先程の声が聞こえたのかエルは目を覚まし、何かを探す様にキョロキョロと見渡している。そんなエルをソラが抱えミラーパッドに映る王と王妃にその姿を見せる。

 

《エル・・・・・・》

 

《プリンセス・エル!》

 

その時、3人の思考はフリーズする。鏡に映っている王はエルの事をなんと呼んだ?聞き間違いでは無ければ、"プリンセス・エル"と呼んでくれた。

 

「「「ええええっ!?」」」

 

「私が付けた名前合ってました!」

 

「いや、驚くとこ其処ッ⁉︎」

 

「それもそうだけど今プリンセスって言ったよね⁉︎」

 

スカイランドの王からエルが"プリンセス・エル"と呼ばれた事により3人はエルがスカイランドの姫であると理解する。

 

「超能力とか使えるから唯の一般家庭じゃないと薄々思っていたけど……まさか王族だったなんて……と言うかソラ、あんたの世界なのにエルがお姫様って知らなかったの?」

 

スカイランドの王と王妃の事は存じているのに、エルの事は全く知らないのはどうなっているんだと確認するが、

 

「い、いやぁ……私の住んでいたところは田舎だった上に……前に新聞でチラッと王様と王妃様を見たくらいであまり其処らへんは存じ上げていなくて……」

 

「「…………」」

 

らんことましろはソラを顔を見て察した。日常生活の殆どを鍛錬に費やしてオシャレは疎かになっていると以前言っていたが、彼女はオシャレどころか世間や政治事情も存じてないと理解する。

 

「えう〜…」

 

《プリンセス……》

 

《エル……》

 

一方でエルは自身の両親である王と王妃の顔を見て涙を浮かべ、ミラーパッドに手を伸ばし、王と王妃も何処も怪我をしていない無事なエルの姿を見て涙を流す。

そんな光景を見てらんこはエルの涙をハンカチで拭き取る。

 

「良かったわね……お父さんとお母さんの顔を見られて……」

 

「うん、パパとママの顔を見られてエルちゃんも安心したと思うよ」

 

「える!」

 

3人は笑顔で返事をするエルを見て、吊られて笑顔を浮かべる。対して王と王妃もエルの側にいる3人を見て彼女達がエルを保護してくれたのだと理解すると、其処へヨヨが会話に入り込む。

 

「王様、王妃様。そちらの世界へ戻る手立てが整うまでプリンセスをお預かり致します」

 

《あなたは、スカイランドのハイパースゴスギレジェンド名博学者のヨヨ殿!》

 

「いや、なにそのいかにも凄そうな肩書き⁉︎」

 

王と王妃はヨヨの姿を見て目を丸くし、物凄い肩書きで彼女の名を呼び、らんこは不敬と思いつつもツッコミを入れてしまう。隣で無言で頷くましろもらんこと同じ気持ちらしい。

その時、ミラーパッドに映る2人の姿が段々とぼやけてくる。どうやら、ミラーパッドのエネルギー残量が少なくなりそろそろ通信が切れそうだ。

 

《皆さん、プリンセスエルの事を……》

 

《よろしく頼みます》

 

「「「はい!」」」

 

こちらの世界にいる間エルの事を王と王妃に頼まれた一同は返事を返し、それを聞いて2人が安心した表情を浮かべた所で通信が切れる。

 

 

─────────────

 

「あのさ、らんこちゃん……大丈夫?」

 

「大丈夫?……何のこと?」

 

スカイランドとの通信を終えて、心配そうにらんこを見つめるましろ。対してらんこは何故彼女に心配されているのかわからなかった。

 

「いやだって、前にらんこちゃん言っていたよね?…エルちゃんがお嬢様だったら、処されるとか……」

 

「そう言えば言ってましたね…」

 

ましろはらんこがエルが貴族の子で処されるかもと酷く動揺していた事があり、今回まさかのエルがスカイランドの姫君と判明し、らんこに精神的ストレスが溜まっているのではと心配していたのだ。

 

「少しはね……でも、いつまでも過去のやらかした事を引き摺るのは良く無いと思ったのよ」

 

「そうなの?」

 

らんこの表情からショッピングモールの時の様に酷く動揺して折らず、あまりストレスを感じている様子は無いがやっぱり少し思う所がある様で時折表情が曇る事がある。

 

「今はやるべき事は過去の行いを引き摺る事じゃ無い……エルの為に何をするのかが大事…それが今の私にとって一番やるべき事だから……」

 

勿論、自分の行いを忘れようと現実逃避するのでは無い。己の行動に反省しつつ、今一番大事な事…つまりエルの為に何かをする。それが今の自分にとっての償いだとらんこは思っている。

 

『いま一番大事な事をやろう!だってそれがトロピカっているから!』

 

誰だコイツ?*1

 

「らんこさん……」

 

「どうしたのソラ?」

 

本日三度目の知らない誰かが過ぎりつつも真剣な表情でらんこを見つめるソラに彼女は困惑を覚える。

 

「…立派だと思います」

 

「え、立派……?」

 

突然ソラから褒められた事に首を傾げつつ何が立派なのからんこ自身わからなかったが、

 

「過去の行いを反省しつつ、今何をするのかが大事!立派な心構えですよ!」

 

「そ、ソラちゃん。そんな風に言うとらんこちゃん困っちゃうよ……」

 

らんこの台詞にソラは感銘を受け彼女を褒めるが、ましろはらんこが困惑すると伝え、彼女の表情を見ると、

 

「………そう」

 

「……あれ?」

 

てっきりいつもの様に謙遜な態度を取るのかと思いきや、何処と無く寂しそうな表情を浮かべている事に不思議に思いつつ、その様子から既視感を覚える。それは今日ソラがらんこの事を天才と称賛した時の辛そうな表情とフードを外した時に見せた怯えた表情それらの時と状況が似ている。

 

(……らんこちゃん……何かあったのかな?)

 

ましろは彼女の様子がおかしい事に何かあったのかと思い話しかけようするが、

 

「………ねぇ、ましろ」

 

「え……な、なに?」

 

先にらんこがましろへ話しかけられて、彼女は少し遅れて返事をする。

 

「いや、今日はもう疲れたから私は帰らせて貰うわ……疲れによる物なのか今日は6人くらいかしら……女の子の声が聞こえるのよ……いや、1人はおばさんっぽかったけど。……特に最後は色々騒々しい声をしていた」

 

『えええっ!?』

 

先程らんこの頭を過った声と同一人物なのかは知らないが驚愕する声が彼女の頭に響いた。同時に一瞬だけだが、鼻水を垂らして酷く驚いた表情を浮かべる女の子の顔が見えた……気がする。

 

「それはいけません!きっと疲れによる幻聴に違いありません!らんこさん今日は帰って休みましょう……あっ、何でしたら私が家まで送りまs「いや結構…歩きで帰るわ」…そ、そうですか……」

 

ミラージュペンをチラつかせるソラにらんこは即答する。仮に此処でスカイになって家まで運んで貰うと道中道ゆく人に見られて余計にストレスが溜まると思い彼女は拒否したのだ。

 

「と言うわけで今日はもう帰って寝る……それじゃあ」

 

「ま、待って!」

 

らんこは軽く欠伸をしながら虹ヶ丘家を去ろうとするが、ましろが呼び止める。

 

「……あ、あのさ、らんこちゃん」

 

「なに?」

 

ましろは以前より気になっていた事を今聞こうと思い彼女に声を掛ける。

 

「……今日はありがとうね」

 

しかし、途中で聞くのが怖くなったのか、ましろは誤魔化す様に彼女にスカイジュエルを一緒に探してくれた事に御礼を言う。その様子にらんこは特に違和感を感じる事なく頷く。

 

「そう……じゃあ、次から何か誘う時はちゃんと何処に行くか最初に伝えなさいよ」

 

「はい、らんこさんもお気をつけて!」

 

「うん、じゃあね。らんこちゃん」

 

3人は別れの挨拶を言うと、らんこは虹ヶ丘家を去っていく。

 

(……やっぱり自分から打ち明けてくれるのを待った方が良いよね)

 

無理矢理聞くのは良く無いと判断したましろ、いつか彼女自身から打ち明けるのを待とうと考え、彼女の姿が見えなくなるまでソラと共に見守るましろであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、ましろはこの時の己の選択を後悔する事になる。今聞いておけば、あんな事にはならなかっただろうと。

 

*1
とある海沿いの街で戦う頭トロピカルな戦士

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