人気の無いコンテナが積まれている港では今まさに戦いの火蓋が切って落とされる。
「「「「はああああっ!!!!」」」」
ツイスター達4人は仲間であるプリズムを守る為、ゼインを倒そうと一斉に突撃する。対してゼインは迫り来る4人に対して構える様子は一切見られない。
(ノーガードなんて随分余裕ね!)
防御の構えを取らないゼインの姿にツイスターを筆頭にスカイ達も内心苛立ちつつも突撃する。そんな中、先ずスカイが接近して最初に拳を振るう。ただそれはゼインに軽くいなされ、続いてツイスターが回し蹴りが頭部に向かって迫る。ゼインはそれを首を少しずらしたために空振り、そして2人の背後からウィングとバタフライが高く跳び上がり一気に急降下しつつ蹴りを放つ。しかし、これもバックステップして避けられた。
「くっ、当たらない!」
「無駄ですよ。あなた方の動きはラーニング済みですから」
そう言ってゼインはツイスター達の攻撃を避け続ける。彼はかつて別世界にてスカイ達と戦い更にはツイスターとの戦闘を学習している為、次にどの攻撃をしてくるのか予測する事が出来るのだ。
「それならこれはどう!」
「無駄で…うん?」
諦めずに足を振るツイスターを避けたゼイン。するとその右腕にマフラーが巻き付かれる。そのマフラーの先をよく見るとツイスターの左足に巻き付いている状態だった。
「今のは予測出来なかったみたいねっ!」
「むっ!」
そこからツイスターはゴムの様に伸縮する自身のマフラーを利用して一気にゼインへ距離を詰め、蹴りを喰らわせようとした。ゼインはそれを腕で防ぐ。だが、防がれたにも関わらずツイスターは笑みを浮かべる。
「掛かったわね!」
ツイスターは自身の蹴りを防いだゼインの腕にしがみ付くと腕ひしぎ十字固めを決める。
「はあっ!」
其処へスカイが現れるとゼインの側面に向かって拳を振るうがツイスターに抑えられてない腕でスカイの攻撃を防いだ。
「今だっ!」
「ぐっ!?」
「ダメ押しにもう一丁!」
しかし、両腕が封じられた今がチャンスでもある。そこへウィングがガラ空きとなったゼインの腹部に向かってタックルを決めると3人はゼインから距離を空け、同時にバタフライが投げキッスを繰り出して大量の蝶を飛ばす。それらはゼインへ襲いかかると爆発が起こり、煙が舞う。ただ、ゼインは直ぐに腕を振るい煙を吹き飛ばした。
「どう?あんたは別世界のスカイ達に勝った様だけど私とスカイ達の連携には対応出来なかったみたいね」
「成る程。確かにこの動きは予測出来ませんでした。ですがそれだけでは勝てませんよ」
そういうとゼインはそばにあったブロックを破壊するとそこから出た円盤の様な物が現れる。
「何ですかあれ?」
「な、何でしょうか?」
「フリスビー…じゃ無いわよね」
「なんか見た目がゲームのアイテムみたい」
ブロックから出てきた謎のアイテムに困惑しているツイスター達を他所にゼインはそれを手に取る。
液状化!
「文字通りゲームのアイテムですよっ!」
「「「「なっ、あああっ!?」」」」
「み、皆んな!」
ゼインはアイテムを取り込むと身体が液状化し、その状態でツイスター達へ迫り固体では無い身体を利用して4人の全身に攻撃をする。それを遠くから見ていたプリズムは思わず心配の声を上げる。
そして、液体から元の人型の身体となったゼインはツイスター達に話しかける。
「言い忘れましたがこのゲームエリアにはエナジーアイテムが隠されていてそれを使う事で今みたいな事も可能なんですよ」
「あんた…意外とせこいわね」
「文字通り私たちの戦いはゲームのつもりって事?」
ゼインの発言に彼は本気になって自分達と戦っておらず、遊び感覚で付き合っている事を察した一同。舐めた態度を見せるゼインにツイスター達はイラッと来る。しかしここまでの戦闘だけでもゼインは他のカードを使わずとも現状用意したアイテムのみで自分達と戦えて尚且つ余裕がある事を認め得ざる得なかった。
「でも、良い事を聞きました。ゲームというのはあまりやった事はありませんが我々もパワーアップが出来るという事ですね!」
「え、それはまぁ…そうかもしれませんが…」
スカイの前向きな発言にウィングは言葉が詰まってしまう。そしてスカイはゼインの行動を真似る様に自身も側にあったブロックを破壊するとエナジーアイテムが姿を表す。
「あった!では早速私も!」
「待って!いきなり使うのは早計よ!もっと様子を見てからでも」
スカイにエナジーアイテムの使用はまだやらない方が良いとツイスターが止めようとするがその前にスカイはエナジーアイテムを身体に取り込んでしまう。
睡眠!
「ふにゃ?きゅ、急に眠く…zzz」
「ええっ!?」
「ちょっと!どうしたんですか!?」
「何で寝ちゃうの!?」
エナジーアイテムを取ってスカイはパワーアップするかと思いきやその場で倒れて爆睡してしまいプリズム達は困惑する。
「待って、睡眠って…まさか!」
その一方でツイスターはスカイが寝てしまった原因は先程取ったエナジーアイテムなのではと察する。
「これも言い忘れましたが、エナジーアイテムの中には使用者を弱体化させるハズレもあるんですよね」
今の様にと言って気持ちよく寝るスカイに視線を向ける。対してツイスター達はスカイを起こそうと呼びかけるも一向に起きる様子は無い。
「さて、先ずはスカイから先に倒しましょうか」
ガシャコンブレイカー!
寝ているスカイに狙いを定めるとゼインは白を基調とした桃色のAと緑色のBのボタンが付いた小ぶりのハンマー…ガシャコンブレイカーを取り出す。
「やばっ、スカイ早く起きなさい‼︎」
「ブッ!zzz、ガッ!ブッ!ボ!zzz…」
「ちょっ!?ツイスタービンタはいけません!」
「そうだよ!いくらなんでも叩くのは良くないって!」
「大丈夫よ!スカイの身体は頑丈な上に見た感じちょっとやそっとじゃ起きないからこうするしかないのよ!ほら、早く起きなさい!」
迫り来るゼインに対してツイスターはスカイを起こそうと目覚ましのビンタを繰り出すがスカイは一向に目が覚める様子は無い。そして、ゼインは段々と距離を詰めてガシャコンブレイカーをスカイに向かって振りかぶる。
「ああもう!2人ともスカイを任せるわ!」
「「つ、ツイスター!」」
ツイスターはスカイをウィングとバタフライへ放り投げるとこちらに迫るゼインの攻撃を両腕を交差させ防御。しかし、ガシャコンブレイカーが腕に当たるとHITという音と共にダメージが襲い掛かる。
「ぐっ!」
「もう一撃!」
「きゃあっ!」
先程の一撃で動きが止まったツイスターに追撃する様にゼインは下から上に向かってガシャコンブレイカーを振るいツイスターを吹き飛ばす。ツイスターはそれを耐えて何とか地面に着地する。
「耐久力は相変わらず高いですね。それなら…」
ジャッキーン!
「えっ、剣!?」
ゼインはガシャコンブレイカーに付いているAボタンを押すとガシャコンブレイカーの頭から刃が出現し剣になるとツイスターに向かって走り出す。対してツイスターはハンマーから剣が出てきた事に驚くも直ぐ様迫り来るゼインに向かって風を放った。
「ふっ!」
「ちょこまかと跳んで…!」
まるでゲームのキャラの様にブロックやコンテナの上を軽々と跳んでツイスターの風を避けその動きでツイスターを翻弄していき、一気にツイスターに距離を詰めてガシャコンブレイカーを振るってきたゼイン。
「させない!」
「ほう」
切り裂かれる直前ツイスターはムーンサルトをしてゼインの攻撃を防ぐとそのまま両手に地面をついて逆立ちの状態で回転蹴りをお見舞いするも防がれる。
「中々やりますね。前回戦った時よりも動いている様に見えますが…あの時は本調子じゃなかったと?」
「あったりまえよ!あの日は色々とあり過ぎて本調子じゃなかったのよ!」
かつてゼインのいる世界に迷い込みゼインに挑んだその日は別の世界での戦いに加え元の世界の連戦によって彼女の疲労は物凄かったのだ。
「成る程、どうりであの時の貴女は顔色があまりよくなかった訳d「隙あり!」おっと」
不意打ちの形でウィングがゼインに突撃をしてくるがゼインは簡単に避けると彼の足を掴む。
「なっ!?」
「そう簡単に不意打ちは成功しませんよ!」
「うわっ!?」
「ウィング!」
ゼインはウィングをツイスターに向かって投げると彼女はウィングを受け止めるとその際ツイスターの動きが止まってしまいゼインは再びツイスターをウィング諸共襲い掛かろうとガシャコンブレイカーを振るった。
「させない!」
間一髪の所をバタフライがツイスター達の前にバリアを生成してゼインの攻撃を防いだ。しかし、ゼインはそこからピンク色の板の様なアイテム… マイティアクションXガシャットを取り出すとガシャコンブレイカーのスロットに挿入する。
ガシャット!キメワザ!
MIGHTY CRITICALFINISH!
「喰らいなさい」
「「あああっ!!!」」
「「ツイスター!ウィング!」」
その瞬間、ガシャコンブレイカーの刃に電撃の様なエフェクトが発生してそのままエネルギーが溜まると其処から強力な一撃を至近距離からバリアへと叩き込む。その威力でバリアを破りツイスターとウィングを吹き飛ばして地面に倒させた。
「さて、どうやら最初に倒れるのはお二方の様ですね」
「ぐっ…」
「足に…力が…!」
ツイスター達は直ぐにでも立ち上がろうとするが先程の一撃を受けた場所の当たり所が悪く直ぐに立てずにいた。そんな2人にゼインはトドメを刺そうと近づいていく。
「そうはさせない!」
「2人をやらせないよ!」
それを見てバタフライと一同に止められて不参加だったプリズムがツイスター達を助けようと動き出した。
「邪魔はさせませんよ」
ゼインはそんな2人に対して指を鳴らすと2人の前にパティシエの服を着たオレンジ色の異形の頭を持つ怪人の集団…バグスターウイルス立ち塞がると襲いかかってくる。
「な、何これ!?」
「ちょっとどいて!」
自分達の前に現れるバグスターウイルスの集団にプリズム達は足止めをされてしまいその間にゼインはツイスター達に視線を向けて足を構える。
「先ずは2人です」
キメワザ!
MIGHTY CRITICALSTRIKE!
ゼインの足にゲームの様な電撃エフェクトが起こりエネルギーが溜まると彼は高く跳び上がり動けない2人に向かって必殺のキックを放とうとした。
高速化!
「何っ!?」
エナジーアイテムの習得の音声が鳴ると共に青い光がバタフライ達を襲うバグスターウイルスを倒してそのままツイスター達とゼインの間に高速で移動する。その青の光の正体は先程まで寝ていた筈のスカイが間に立つと両手にエネルギーを溜め物凄い速さで拳を振るう。
「アータタタタタタタタッ!!!!」
「くっ!」
まるで百の数の拳と錯覚してしまうほどのラッシュにゼインは自身の連続の蹴りを全て防がれ吹き飛ばされる。しかし、体勢は崩してないのでゼインは普通に地面へと着地しスカイを見つめる。
「睡眠の効果が切れましたか。それに今のはスカイランド神拳…成る程、エナジーアイテム"高速化"で長い溜めを早く終わらせて発動させましたか」
岩を砕く力があるスカイランド神拳の弱点である長い溜めをエナジーアイテムの力で克服したのだと察したゼイン。一方でスカイはツイスター達に視線を向ける。
「大丈夫ですかお二人とも!?」
「ええ、助かったわスカッ!?」
「ありがとうございまっ!?」
助けてくれた事にツイスターとウィングはスカイにお礼を言いかけるも衝撃を受けた顔を浮かべて言葉を詰まらせる。
「?…お二人とも一体どうされましたか?もしかして顔に何か付いてますか?」
「い、いや…た、助けてくれたあんたの顔が……じ、実にヒーローらしい顔をしているわ……そうよねウィング!」
「えっ!?あ、は、はい!ほ、本当にヒーローみたいですよ…な、なんて言うか今の貴女は!」
「そうですか。なんだか照れますね〜」
2人にヨイショされるすかい現在スカイの顔は先程までのツイスターの目覚ましビンタで頬が真っ赤に腫れており、その顔は頭があんぱんで出来た国民的なヒーローを彷彿とさせていた。
(ど、どうするんですか!?スカイの顔が腫れちゃっているじゃないですか!)
(し、しょうがないでしょ!そもそもスカイが私の話を聞かずに安易にアイテムなんて取るから寝ちゃったのよ!それで私は仕方なく叩き起こしたのよ!)
殺伐とした戦いの最中なのにそれに似合わないこの状況にツイスターとウィングは揉めている。プリズムとバタフライもスカイの顔に気付いたのか顔を引き攣らせている。
一方でゼインはツイスター達と違い特にスカイの顔を見て大きなリアクションを見せず口を開く。
「どうやらあなた方を見くびっていた様ですね。ですので此処からは少し本気を出します」
そう言うとゼインは1枚のカードを取り出してスカイに見せつける。
「なにを出すか知りませんがそうは行きません!」
スカイはゼインがカードの力を使う前に攻撃をしようとするがそれよりも先にゼインの行動が早かった。
メテオ!執行!ジャスティスオーダー!
カードを裁断するとゼインの右腕には3つのレバースイッチが備わったガントレット…メテオギャラクシーが装着されると其の内の手前のレバースイッチを押す。
Saturn Ready?
ガントレットから待機音が鳴ると手の甲部分にある指紋認証装置に左手の人差し指を置く。
OK Saturn!
するとゼインの腕に土星の様な無数のエネルギー体…サターンソーサリー現れるとそれを発射。地面やブロックやコンテナを切り裂きながらスカイに襲い掛かる。
「フッ!ハッ!」
対してスカイはエナジーアイテムの高速化の効果により迫り来るサターンソーサリーを全て避けるとゼインへ間合いを詰め拳にエネルギーを貯める。
「流石はキュアスカイ、高速化もありますが回避能力は中々ですね」
Jupiter Ready?
「だったらこれはどうですか?」
OK Jupiter!
続いて真ん中のレバースイッチ押した後、指紋認証装置を触れると今度先程の土星型のエネルギー体よりも一回り大きな木星の見た目をしたエネルギーが右手を覆い迫り来るスカイに向かって構える。
一方でスカイは自身の浄化技であるスカイパンチの構えに入る。
「負けませんよ!ヒーローガール!スカイ…パァァァァァァァァンチッ!!!」
スカイパンチとゼインの一撃…ジュピターハンマーがぶつかり合い衝撃が走ると互いに数m後方へ下がる。
「久方ぶりにスカイパンチを見ましたよ。お陰で少々右手が痺れました…まぁ、プリズムを簡単に手に入れられるとは思ってませんでしたからこれくらいが丁度良い」
「プリズムは渡しません!」
「いいえ、プリズムは貰いますよ…力強くで」
今度は手の平に収まる位の小さな装置…メテオスイッチを取り出すとメテオギャラクシーの空いているスロットにを嵌め込む。
Limit Break! OK!
「受けてみなさい!ホーワタタタタタタタタッ!!!!」
「負けませんよ!アータタタタタタタタッ!!!!」
二人は互いに高速の拳を放ち、ぶつかり合っていく。しかし、その速度はゼインの方が速い。加えてスカイが先程取得した高速化の効果が途中で切れてしまうと動きが遅くなってしまった。
「しまっ「どうやらこの勝負、私の勝ちですね」ガアッ!?」
「「「「スカイ‼︎」」」」
ゼインの拳がスカイの腹部にめり込むとそのまま彼女を吹き飛ばし後方にあったコンテナに叩きつけられる。
「さて、お次は誰が相手をしますか?」
「それなら僕が相手だ!」
「「ウィング!」」
「早まるんじゃないわよ!」
やられたスカイを見てウィングはゼインに向かって飛んでいく。それを見たツイスター達は単独行動は危険だと言い聞かせるも彼もスカイと同様話を聞いていなかった。
「今度はキュアウィングですか。確か貴方は元は鳥でしたね、それならこのカードを使いますか」
そう言ってゼインは不死鳥をイメージとさせる真っ赤なボディに加え猛禽類を彷彿とさせる鋭い形をした緑色の複眼がある戦士のカードを挿入しようとした。
「させるかっ!!!」
「何っ!?」
するとその瞬間、突然ウィングの全身が普段と異なり炎の様なオーラを身に纏うと物凄い速さを出しゼインへ襲いかかる。それを見てゼインも思わずカードをベルトへ挿入するのをキャンセルし回避する。しかし、ウィングの突撃が肩に掠ったのかゼインの白い装甲が焼けた様に一部焦げている様子だった。
「この熱は…?」
まるで炎を押し当てられた強い熱を肩に感じたゼインは驚きつつウィングに視線を向けると彼はまるで猛禽類を思わせる様な鋭い眼差しでゼインを睨んでいた。
「プリンセスにまで手を掛けたお前は絶対許さない!」
そう言うとウィングの身体からまるで炎の様なオーラが放たれ実際に熱も感じていた。更にゼインは手に持っていたカードからまるで炎の様な高熱を放っている事に気がつく。
「この現象は…あの時の…!」
ゼインは今起こっている現象はかつてこちらの世界へ訪れた際にスカイ達をキメラング諸共倒そうとした際にツイスターが立ち塞がった時に見せた現象と全く同じだ。
(まさかバーニングファルコンのカードがキュアウィングと共鳴するとは…!)
炎の玉と化したウィングは加速を続け、連続で突撃してくる。そのウィングの攻撃をゼインは掠りつつも避けていく。ただ、このままだと面倒な事となると考えた彼は別のカードを取り出してベルトに挿入する。
ホーリーライブ!執行!ジャスティスオーダー!
カードを裁断するとゼインの手には緑を基調とした銃…ライブガンが召喚され更には白い烏をモチーフとしたスタンプ…ホーリーウイングバイスタンプが装着されている。
ゼインはライブガンを使いウィングに向かって連射するもウィングはそれを全て避けてしまう。
「受けてみろ!ひろがる!ウィングアターック!!!」
ウィングは普段と異なり全身に炎を纏うと不死鳥の如くゼインに向かって突撃していった。
「怒りで冷静さを失ってますよ」
必殺承認!
Wing to fly!Wing to fly!
ゼインは焦る事なくライブガンに装填されたスタンプのスイッチを押す。そのまま必殺技の待機音が流れると迫り来るウィングに向かって照準を合わせると引き金を引く。
「お生憎ですが、貴方の技は受けるつもりはありません」
ホーリージャスティスフィニッシュ!
「な、ああああああっ!?」
ゼインが引き金を引くとライブガンから必殺のビームが放たれ、ウィングは避けられずにビームをその身で受けてしまい撃ち落とされてしまう。
「ウィング!」
「そんな…ウィングまで!」
ツイスターとプリズムはスカイに続きウィングまでやられた事にショックを受ける。そしてバタフライは地面に倒れるウィングを見て拳を震わせゼインを睨む。
「よくも少年を…ウィングを!」
「「バタフライ!」」
バタフライはウィングのやられた姿を見て怒りを露わにしゼインに猛攻を仕掛ける。その動きは怒りで冷静さを失っている為に簡単に動きを対応されていき、ゼインはすかさず1枚のカードを取り出す。
「バタフライ。貴女はこれが良いでしょう」
サーベラ!執行!ジャスティスオーダー!
カードを裁断するとゼインの手には真紅の細いサーベル型の剣…煙叡剣狼煙を手にするとバタフライに向かって振るい、彼女はそれをバク転して避けつつゼインに向かって投げキッスを放った。
狼煙霧虫!
「ええっ!?」
ゼインは煙叡剣狼煙の力で身体を煙に変えるとバタフライの投げキッスを透かすと宙を舞い、元の身体へ戻る。そのまま背中から蝶の羽を生やしてから剣のトリガーを引いて必殺技を発動させる。
「永煙の一刺し」
煙幕幻想撃!
「させない!」
ゼインの言葉と音声にバタフライは嫌な予感がしたため、咄嗟に全方位にバリアを張る。しかし、ゼインは再び身体を煙に変え彼女の背後に回り込む。
「3人目」
「っ!?ああああっ!」
「「バタフライ!!!」」
ゼインはそのまま刀身にエネルギーを溜めるとバリアごと彼女を切り裂き、バタフライは地面に倒れ伏す。
「そんな…バタフライ…あげはちゃん…!」
「あげは…姉さん!」
ゼインの一撃でやられたあげはの姿にプリズムとツイスターは悲しみの表情を浮かべる。
「さて、残すはツイスター。あなただけですがどうしますか?此処で引けば貴女は怪我せずに済みますよ」
「「っ!」」
バタフライを倒したゼインは剣をツイスターに向けると彼女は怒りに満ちた表情を浮かべる。それを見たプリズムは慌ててツイスターに声を掛ける。
「つ、ツイスター!駄目だよ戦っちゃ!」
次々とやられていく仲間達の姿を見てきたプリズムはこれ以上自分の為に仲間がやられていく所を見たくなくツイスターを止めようとするが。
「プリズム…止めてくれるのは嬉しいわ。でも、私はプリズムがあんな奴に連れて行かれるのは我慢ならないから!」
「つ、ツイスター!」
ツイスターはプリズム静止を振り切りゼインへ突っ込んでいく。
「戦いを選びましたか、それなら私も容赦しませんよ」
アルティメットバイス!執行!ジャスティスオーダー!
煙叡剣狼煙を捨て新たにカードを裁断するとゼインの側にメタリックブルーの戦士…アルティメットバイスが召喚される。
「へへへっ、バイス参上!」
「っ!武器だけじゃなくカードの中のやつを召喚できるの!?」
アルティメットバイスの出現にツイスターは驚くが、一旦彼を無視してゼインに襲い掛かる。するといきなりアルティメットバイスがツイスターとゼインの間に入ってツイスターを止めてしまう。
「なぁなぁ、俺と戦おうよ!」
「邪魔よあんた!」
自分の行動を邪魔するアルティメットバイスにツイスターは苛立ちつつも先ずは先にこちらから倒そうと攻撃。対してアルティメットバイスはツイスターをおちょくるかの様に笑いながら避けつつ攻撃をする。
「もう、何なのよあんたは!うざいわよ!」
「ウザくて結構♪だって俺っちは悪魔だからもんねぇ〜!」
「はあ?訳わかんないわよ!」
ツイスターはアルティメットバイスの言動に苛立ちマフラーを使って鞭のように使うも、それも簡単に避けてしまう。
「へへへっ、鬼さんこちらっ、手の鳴る方へ!」
「ああ、もう面倒くさい!こうなったら!」
ツイスターは我慢できなくなり控えていた強化を使うとマフラーを振るい、アルティメットバイスはそれを避けるがマフラーはその先にあったコンテナに巻きつく。
「潰れろっ!」
「あん、それってどう言う…ゴアアアアッ!?」
マフラーを力の限り引っ張ったツイスターはコンテナをアルティメットバイスへ叩きつけ、アルティメットバイスはその衝撃でそのままゼインの足元へ吹き飛ぶ。
「中々やりますね」
「やりますねぇ?…いつまでも私達を見下せると思ってんじゃ無いわよ!その顔面を引き剥がしてやるわよ!!!」
「つ、ツイスターどうしたの!?」
ツイスターの豹変にプリズムは驚きの表情を浮かべる。普段から時々やや過激な発言をする彼女だが今はそれ以上の発言をした事に驚き、更には緑の衣装だった筈が黒へ変わり更にはオーラまで黒くなっている。
「どうしたも無いわよ!それよりもあんたはそこにいなさい!今すぐ彼奴を殺して並行世界のあんた達の仇を取ってあげるから!」
「こ、ころっ!?だ、駄目だよツイスター!」
明らかに様子のおかしいツイスターを止めようとするが彼女は止まらずゼインへ突っ込んで行く。
「ふむ、何やらツイスターの様子がおかしい様ですが。まあ良いでしょう。さて、決めるとしますか」
「いでででっ、応とも!」
バイスはゼインに返事をすると自身のベルトにあるレバー…ではなくスタンプを2回ほど捻ると全身を青く光らせ、隣にアルティメットバイスを一部赤くした様な戦士のエネルギー体を召喚。それと左右対称の構えを取る。
バイス!ギファードフィニッシュ!
「「はあっ!!!」」
「がああああああっ!?」
ベルトから必殺の音声が鳴り響くと一瞬で2人はツイスターの左右に立つと磁石の如く引き寄せ合い、ツイスターを挟み込む様に必殺の蹴りを喰らわせた。その瞬間ツイスターはダメージで地面へと倒れ伏す。
そしてアルティメットバイスはゼインのそばに立つと倒れ伏すツイスターを背に向けて口を開く。
「それでは皆さん一緒に!3!2!1!はい、ドッ!ぐええええっ!?」
「む?」
アルティメットバイスが決め台詞を言おうとした時、彼の背後から黒い風が襲い吹き飛ばされるとそのまま海へ落ちていったのだ。ゼインは吹き飛ばされたアルティメットバイスを見て後方に視線を向けると其処にはボロボロになりながらも肩で息をするツイスターの姿があった。
「ほう…まだ動けましたか…」
「あ…あ、たり前…よ…私はぁ…し、しぶとい…から…!」
もはや立っているのもやっとなツイスター、そんな彼女を見てゼインは先程の攻撃を耐えた事に楽にしてやろうと考える。
「ま、待ちなさい…わ、私達もです…!」
「あなた方は…」
更に聞き覚えのある声が聞こえ、視線を向けると其処には先程自分の攻撃でやられたかと思ってたスカイがふらつきながらもツイスターの元へと来る。続いてウィングとバタフライも互いに支えながらツイスターの元へ集う。その姿にプリズムは思わず涙を浮かべる。
「み、皆んな…もう良い…もう良いんだよ!私の為に…無茶しないでよ…!」
自分という存在を守る為にボロボロの身体を無理矢理動かすツイスター達を見て、プリズムは涙を流しながら戦う事を止めようとした。
「そうは…いきません……プリズム…いえ、ましろさんは…わたしの…はじめてのともだち…渡す…訳にはいきません…!」
「その、通り…です!」
「ましろんは…皆んな、大事だから…!」
「ぜったいに…守って、あげ…る…!」
「み、みんなぁ…!」
自分の事をそこまで大事に思っていてくれる事にプリズムは嬉しく思っていると、そんなやり取りを見てゼインは少し苛立ちを覚える。
「全く…勝てない癖にそんな事を……それならこれであなた方を葬りますよ!」
アークゼロ!執行!ジャスティスオーダー!
「並行世界の自分達と同じ末路を辿りなさい!」
「「「「っ、ああああああああっ!?」」」」
ゼインはツイスター達を葬ろうとカードを裁断すると手から漆黒のエネルギーを出現させそれをツイスター達に放ち、ツイスター達は苦しみの声を上げる。
「み、皆んな!やめて、やめてよっ!」
「いいえ、彼女たちがいるから貴女に幻の希望を見せるんです。それならそんな幻は消してしまうに限ります!」
プリズムの言葉を聞かないゼインはツイスター達に悪意のデータを浴びせて自我を消そうとする。
「ぐっ、頭に悪意の言葉が!」
「ぼ、僕が、僕じゃ無くなっていく…!」
「気持ち悪い…気持ち悪いよぉ!」
スカイ達は大量の悪意のデータが入り込み段々と自分達の自我が失いかけていく中、ツイスターは地面に蹲りながら苦痛の表情を浮かべる。
(このままじゃ…プリズムが……皆んなが…!)
段々と悪意に侵食されて意識がぼんやりとしてきて、視界も霞んできた時だった。ツイスターの目にある映像が浮かび上がる。
(あれは…スカイ…ウィングにバタフライと………だれ……?)
その映像はスカイとウィングとバタフライに加えて自分達と同じプリキュアらしき紫色の衣装を纏った見知らぬ女性がゼインの放つ悪意に身体が蝕まれ、そこからプリズムが助けようとしてゼインの策略に嵌ってしまった様子が流れる。恐らくこれは並行世界でのスカイ達の末路なんだと理解したツイスターは悪意に蝕まれつつも立ち上がる。
「そうは……さ…せ、ないっ!」
ツイスターは自身の両手で隣にいるスカイとウィングの手を握る。更には首に巻いてあるマフラーを使うとそれはまるで意思を持っているかのように動いてバタフライの胴体に巻き付く。これによってスカイ達の身体を蝕む悪意はツイスターの身体へ流れていく。
「ああああああああああっ!!!」
「「「ツ…ツイスター!」」」
「ツイスター!?」
「なにっ!?」
身体を蝕んでいた悪意がツイスターへと流れ出ている事で自我を失いかけていたスカイ達は自我を取り戻していく。ただ、それはスカイ達はツイスターが無茶をしている事を認識する事にも繋がるので、慌てて彼女の手を離そうとした。しかし、それでもツイスターは離さず自身の身体にスカイ達の悪意を受け止めていく。そして、その様子を見ていたプリズムとゼインは驚きの表情を浮かべた。
「離して!離してくださいツイスター!」
「そうですよ!じゃ無いと貴女が!」
「やめてツイスター!私達の分まで受けたら死んじゃうから!」
「は、離せる…訳ない…でしょ…!」
ツイスターに自分達から手とマフラーを離すように言うが、ツイスターは決して離すことは無かった。そしてツイスターの身体にスカイ達3人分の悪意が加わると身体が遂に限界を迎える。
「ぐ、ああああああああああっ!!!」
「「「うわあああああっ!!!」」」」
ツイスターを中心に爆発が起きるとその爆発によりスカイ達は吹き飛びプリズムの元まで転がっていく。
「皆んな大丈夫!?」
「な、なんとか…」
「身体の節々が痛みますが…」
「つ、ツイスターは…?」
身体を痛めつつもスカイ達は恐る恐る爆発した箇所を見てそこには爆発によって出来た炎で何も見えないかと思ったら奥からツイスターらしき影が見える。
「「「「つ、ツイス……え?」」」」
「……」
スカイ達は安心を浮かべた顔が固まってしまう。其処にいたのは確かにツイスターだ。しかし、スカイ達がよく知る姿と異なり大量の悪意をその身で浴びたツイスターはその姿を変化。それはかつて並行世界でアンダーグエナジーを受けた時と同じ漆黒の姿へと変貌するのだった。