スカイ達は呆然となっていた。自分達を救う為、ツイスターがスカイ達の身体を侵食する悪意のデータを自身の身体へと全て移した。その際に彼女の身体が耐えきれずに爆発し、その爆発が収まると其処に立つツイスターは蝙蝠の羽を模したマフラーと黒い衣装を身に纏っていた。
「つ、ツイスター…?」
「その姿は…?」
最初は爆発したにも関わらず彼女はどこも怪我をして無い事を安心しかけるも変わり果てた彼女の姿にスカイ達は困惑していた。
「どうやら彼女は悪意に飲まれた様ですね」
「ど、どう言う事ですか!?」
先程まで黙っていたゼインは彼女の姿に何かを察したのか口を開き、スカイは詳しい事を問い詰める。
「普通なら悪意のデータをその身で受ければ破壊衝動に襲われますが、あなた方の分の悪意をその身で引き受けたことで肉体にも大きく影響を及ぼした。よって彼女は完全に自我を失い破壊の限りを尽くす殺戮マシンと化したんですよ」
「そ、そんな…ツイスター!私だよ!プリズムだよ!」
「ツイスター‼︎分かりますか!?私もいますよ!」
「ツイスター!気をしっかり持ってください!」
「悪意だが何だか知らないけど、そんな悪そうな力に負けないでよ!」
プリズムを筆頭にそんな訳ないと思いツイスターへ呼び掛ける。すると彼女はスカイ達の言葉に反応すると赤く染まった目を彼女達に向け、スカイ達は明らかに正気では無い目の色をしたツイスターに後退りをする。
一方でゼインはツイスター達をただ見ているだけだった。このままツイスターとスカイ達が戦い、同士討ちさえしてくれれば後はプリズムを楽に手に入れるだけの漁夫の利を考えていた。
「……」
「「「「くっ…!」」」」
ツイスターは無言を貫き通すも先程自分に話しかけたスカイ達の声に反応するとそのままおぼつかない足取りで彼女達の元へ歩く。対して戦いは避けられないのかと覚悟を決めてスカイ達は身構えるが、ツイスターはスカイ達への攻撃をしなかった。
「「「「…あ、あれ?」」」」
「む…襲いかからない?」
ツイスターはスカイ達へ襲おうとせずそのまま彼女達を素通りしていく。
ゼインも自分の予想していた物とは異なっている事に声を漏らす。
一方でツイスターはコンテナへ向かうと片手をコンテナに添え地面に顔を暫く目を閉じる。そして、突然目を開けるとツイスターは大きく開けた。
「ウッ…オロロロロロロロロロロロッ!!!!」
『えええええええっ!?は、吐いたーっ!?』
「…え……嘔吐?」
まさか目の前で吐いた事にスカイ達は衝撃を受ける。一方でゼインもツイスターがこのタイミングで嘔吐した事に面を食らう。なお、ツイスターが口から吐き出している吐瀉物は黒く染まっており悪意、恐怖、憤怒、憎悪など物騒な文字が浮かび上がっている。
「お、おえっ……き、気持ち悪い…」
ある程度吐いた事で少しは楽になったのか涙目になりつつ漸く喋り出す。それを見たスカイ達は互いに顔を見合わせて彼女の元へ駆け寄る。
「つ、ツイスター……私たちの事が……わかるの?」
「え、ええ…ちゃんと自我は保って、オロロロロロロロロッ!!!」
「うわあっ!?また吐いた!」
プリズムの質問に対してツイスターは返事をするが再び嘔吐してしまう。これを見てプリズムは思わず後ろに下がり、同時に先程までツイスターが無言で足取りが悪かったのは吐くのを我慢していたのだと察する。
そして、ある程度吐き終えたツイスターを見て今度はスカイが近づいて話しかける。
「つ、ツイスター…あの、大丈夫ですか?」
「はぁ、はぁ、だ…大丈夫じゃ無いわ。あ、ちょっとマント借りるわよ」
「ちょ、ちょっと!?私のマントで口についた吐瀉物を拭かないでくださいよ!」
スカイのマントを紙ナプキン代わりにして口に残った吐瀉物を拭き取ろうとしたツイスターにスカイは慌ててマントを取り上げる。
「これは…一体どう言う事ですか?」
一方でゼインは目の前でツイスターが漫才とも言える様な掛け合いをする事に疑問しか無かった。大量の悪意のデータをその身に受けたのなら普通はとうに自我は失っている筈なのに目の前にいるツイスターは平然(平然?)としている。
「ふぅ…悪いけどこう言う悪の力的な物は以前に体験済みよ」
「え、体験済みって?」
ゼインの質問に苦しそうに答えるツイスターにスカイ達はキョトンとなる。
「あれ、言ってなかったかしら?この前私が並行世界に飛ばされた時にアンダーグエナジーを受けてこの姿になって暴走したって」
「いや、初耳ですよ!?」
「と言うか暴走って、やっぱり危険な姿じゃないですか!?」
以前並行世界へ飛ばされた事については有耶無耶になっていた為、スカイ達はツイスターが並行世界でとんでもない事にあっていた事を漸く知る事となる。
「成る程、それで耐性が出来た…しかし、それだけではまだ納得できません。今のあなたは常に脳に大量の悪意のデータが送られてますからね。それだけで耐えれるとは思えません」
「勿論……と言いたい所だけどまだ頭の中に絶望や殺意とか物騒な言葉が頭に響き渡ったり、頭痛や吐き気と怠さに熱感それに加えて体の節々が痛む…ウプッ、また吐きそう」
「幻聴以外の症状が巷で噂の流行り病と同じじゃ無いですか!?」
「ツイスター本当に大丈夫なの!?」
体調不良を訴えるツイスターにスカイ達は心配の声を上げるが、ツイスターは彼女達を心配させまいと手で制する。
「大丈夫よ、昔から幻聴は慣れているから些細なことで壊れる柔な精神じゃ無いわ」
「いや、幻聴もだけどそれ以外の症状がほぼインフルエンザじゃん」
バタフライのツッコミに一同は同意する。そんな様子をゼインが感心した声を上げる。
「フッ…大量の悪意をその身に宿したと言うのに自我を保てるとは大した精神力ですね」
「は?…あ、あんたはなにを第三者みたいな発言してんのよ!?」
「お、落ち着いてツイスター!」
「気持ちは分かりますがその状態で急に怒ったら倒れてしまいますよ!」
ゼインの発言に思わず怒声を上げるツイスター。そんなツイスターをスカイとプリズムが宥めようとする。
「いやはや見事な物ですね。悪意のデータは悪の力にも関わらずそれを制し己の力に変えるとは…世の中には毒を持って毒を制すると言う言葉がありますが、あなたの場合は正義の為に悪の力を持って悪を滅殺するという事ですね。いやはや文字通り正義を体現してますよ」
「んな訳あるかボケェーッ!!!」
ゼインの言葉にツイスターはブチ切れ、終いには中指を立てながら突撃しようとする。
「ツイスター気を鎮めてください!後、中指を立てるのはダメですから!」
「そうだよ。もし、これが子供達に見られたらまた人気が無くなるよ」
「に、人気……わ、わかった…」
再びゼインの煽り発言(尚、本人はそのつもりはない)に飛び掛かろうとするもウィングとバタフライの発言(主にバタフライの言葉が効いている)を聞いて踏み留まるが、それでも気分の方は大きく落ち込む事になる。
「でも、今のツイスターはアイシャドウが入っていて何だか大人っぽいよ。それにほら私とお揃いだしね」
「え、そう?」
バタフライと同じアイシャドウが入っていると聞いたツイスターは少しだけ嬉しそうな顔を浮かべる。
「さて、そろそろ茶番は終わりにして戦いに決着をつけましょう」
『っ!』
ゼインの言葉に一同は身構える。今は全員身体は無事であるもののスカイとウィングにバタフライは先程の悪意のデータにより体力を多く消費し、ツイスターは3人分の悪意のデータをその身で引き受け身体に大きな悪影響が出ている。プリズムを加えて全員で戦っても勝ち目は薄いだろう。
(けど、それでも戦わないと…!)
しかし、それでも戦わなければプリズムを連れ去られる。そうならない為にもスカイ達は残りの力を全て使ってゼインと戦おうとする中、ツイスターが声をかける。
「待ってスカイ。それに皆んなも」
「「「「ツイスター?」」」」
ツイスターが言ったのは彼女達を止める言葉である。その言葉に一同はツイスターへと聞き返した。
「悪いけど……こいつとは私と一対一で戦わせて貰うわ」
「え…ま、待って下さい!ゼインの実力は計り知れません!そんな相手を1人で戦うなんて無茶です!」
「そうだよ!此処は皆んな力を合わせた方が勝ち目があるよ!」
「お二人の言う通りですよ!変な意地を張らず皆んなで戦いましょう!」
「皆んなの言う通りだよツイスター。此処は私たちと一緒に戦った方がいいと思うよ」
1人で戦おうと無謀な発言をするツイスターにスカイ達は当然反対意見を出す。先程までスカイがやられてそれをきっかけにバラバラで戦ってしまった事で一度は全滅に追い込まれた為、2度も同じ事はしない様にツイスターを説得しようとする。
「いや、皆んなで戦っても最初の様に直ぐに攻略されるのが目に見えるわ。それよりも私に策があるの」
「策…ですか?」
策があると聞いてスカイ達は互いに目を合わせる。ツイスターはこれまで自身の考えてきた作戦やアドバイスで危機を乗り越えてきた事が多数ある。それまでの事があって信頼できるが、今のツイスターは自分達の受けるはずの悪意のデータを肩代わりして体調不良となっている。そんな状態でゼインを任せるわけには行かないためスカイは止めようとしたのだ。
「ツイスター…貴女の事は今までの事もあって信頼してます。しかし、今の貴女の身体ではまt「いいえ、この状態が良いのよ」…え?」
「この状態が良いってどう言う事?」
ツイスターの発言にスカイ達は疑問符を浮かべる。今のツイスターは元の見た目から変化して一見強そうに見えるが身体は不調である為、満足に戦える事が出来ない。それなのにこの状態が良いとはどう言う事なんだろうか。
「私の思った通りなら上手くいくはず…だからお願い。私を信じて」
「ツイスター……わかりました」
「「「スカイ!?」」」
ツイスターが1人で戦う事を認めたスカイにプリズム達は思わず抗議の声を上げようとするが、スカイが更に続ける。
「3人ともツイスターを信じてあげて下さい。彼女はいつ如何なる時においても私たちに戦いに勝利する作戦を立ててきました。だから今回も賭けてみましょう」
「スカイ……わかったよ。私もツイスターを信じる」
「僕としてはその状態で戦わせるのはあまりさせたくありませんが…ツイスターを信じます」
「何か勝つ方法があるなら私も信じてるよ」
スカイの説得にプリズム達は応じるとツイスターに戦いを任せる事にした。
「ありがとう皆んな。でも、もしも策が失敗したらその時は力を借りるわ」
ツイスターはそう言うとスカイ達から離れてゼインの前に立ち彼を睨む。
「…あんた…私たちが会話をしている間全く攻撃してこなかったけど余裕のつもり?」
「いえ、別にそのつもりはありませんよ。貴女の実力は中々ありますからね。警戒もそれなりにしてます。それにその漆黒の姿は初めて見ますからね下手に突っつくと何が出るか分かったものではありませんからね」
「そう…まぁ、良いわ。兎に角あんたを倒すわ」
ツイスターはそう言うとテンペストバトンを取り出してバトン形態にするとバトンの先端に風が集中して刃と化し鎌の様になる。
「ほう…既存の武器を風の力で拡張しましたか。今までそうしてこなかった所を見るとその漆黒の姿で成せる技術ですか?」
「さあ、私も初めてやったから分からないけど多分そうなんじゃない?まぁ、お陰であんたをちょっと痛い目に合わせる可能性は出来たって事だけど…覚悟は良いかしら?」
「覚悟ですか…私は貴女には敬意を表してますよ。ですので少し本気で行かせて貰います」
ネクストファイズ!執行!ジャスティスオーダー!
Faiz Edge Materialize
カードを裁断するとともにバイクのハンドルを模したビームサーベル…ファイズエッジを召喚すると構える。
「貴女は確かスピードに自信があるそうですね」
Complete
「でしたらどちらが速いか試しましょうか」
Start up
するとゼインの青い複眼が赤く染まるとその場から消えたのだ。一方でツイスターは消えたゼインの存在に驚かず、落ち着いた様子でバトンを握り直すと口を開く。
「良いわよ。なら、あんたの勝負に乗ってあげるわ!」
そう言うとツイスターの姿もその場から消える。
「き、消えた!?」
「2人ともどこに行ったの!?」
ツイスター達が目の前で消えた事にプリズムとバタフライは驚く一方でスカイは耳に手を当てウィングはキョロキョロと目を動かしている。
「……先程から何か物がぶつかる音が聞こえて来ますが、ひょっとして透明…いや、見えない速さで戦っているのでしょうか?」
「その通りです。ツイスターとゼインも先程から超高速で互いの武器をぶつけ合っています」
「「「え、ウィング見えるの!?」」」
スカイは音で辛うじて大まかな場所が分かるがウィングは目で追っている事から2人の戦いを把握出来ている事にスカイ達は驚きの声を上げる。
「ええ…(あれ、そう言えばなんで僕は目で追えるんだ?)」
ウィング自身も先程まで視力は普通だった筈なのに2人の高速バトルを目で追えるほど視力が突然良くなった事に疑問を浮かべる。その理由は先程のゼインの戦闘時にゼインが使おうとした迅バーニングファルコンのカードと共鳴した際に視力も飛躍的に良くなったのだが、それを本人が知る由もない。
一方でツイスターとゼインは互いにもの凄い速さでぶつかり合って己の得物で火花を散らす。だが、ツイスターは体調不良もあってか口元を手で抑えて足を止めてしまう。
(どうやらこれで終わりの様ですね)
足を止めたダークツイスターの頭部目掛けてゼインはファイズエッジを振るい勝利を確信する。しかし、その瞬間ゼインの振るったファイズエッジはツイスターの頭部に当たる直前で彼女がその場にしゃがみ込む事で空振る。
「何っ!?」
「はあっ‼︎」
そして、そこからツイスターはテンペストバトンをゼイン目掛けて振るうも彼はギリギリの所で避けるが、ファイズエッジが破壊されてしまう。
3…2…1…Time out
Re formation
それと同時に音声が鳴り響くとゼインの赤かった複眼が元の色へ戻り高速移動が解除される。
「ウプッ…外れたようね」
「今の動きは…予測出来ませんでした」
ゼインは先程足を止めたのは演技なのかと思ったがそれは直ぐに違うと否定する。もし演技なら自身のAIがそれを否定し確実に当たる方法の答えが出るのだが、今回それが起きなかったのなら何故当たらず逆に反撃を受けたのだろうかと疑問を浮かべる。
「あんた…仮面で表情が分からなそうだけど自分の攻撃が当たらなかった事を不思議に思ってるわね」
「……何故当たらなかったのでしょうか」
自分から聞く事に少し抵抗のあるゼインは渋々とツイスターに尋ねる。
「さっき、私や別世界のスカイ達の動きを学習しているって言ってたから通常なら私たちの攻撃を予測する事は容易い事でしょうけど、今の私は絶不調、その状態で戦えば私自身自由に身体を動かせず途中で動きを止めたり立ち眩みを起こすわ。それを利用したのよ」
「成る程、AIの弱点を突きましたか」
ツイスター自身の身体の不調によってランダムに引き起こす予測出来ない動きを利用しAIの隙を突いて攻撃をしたのだと納得の声を上げるゼイン。だが、彼はそれを受けて新たなカードを取り出した。
「それならこちらは如何ですか?」
龍騎!執行!ジャスティスオーダー!
ソードベント!
新たに一枚のカードを裁断すると共に音声が響き渡ると空から赤い東洋龍…ドラグレッダーが現れると其処から一振りの青龍刀…ドラグセイバーが降って来てそれを受け止めて構える。
「良いわよ…とことん相手になるわ!」
ツイスターはテンペストバトンを握り直すと立ち上がってゼインへ突っ込んで行く。だが、やはり先程の高速移動で無茶をしたのかやや足取りが悪くまるでゾンビの様だった。
「まるで酔拳の様に動いて厄介ですねっ!」
迫り来るツイスターに対して横一線に斬るがツイスターは脱力する様にガクンと地面に両膝を付いてそのまま膝滑りをして避けるとゼインの背後に周る。そのまま後ろからテンペストバトンで斬りかかるが、ゼインは直ぐ様ドラグセイバーを逆手持ちにしてツイスターの攻撃を防ぐ。
「そうは行きません」
「チッ、簡単に攻撃を受けてくれないわね!」
舌打ちをしながらツイスターはゼインの足へと目掛けて何度もテンペストバトンを振るうもゼインは全て避け、仕返しにドラグセイバーをツイスターの顔に向かって突き出す。
「掛かったわね!」
「なに?」
迫り来るドラグセイバーにツイスターはテンペストバトンを元のハートの形へと戻すと真ん中の穴にドラグセイバーを通して防ぐ。混乱するゼインを他所にツイスターはすかさず其処から大きく腕を回してドラグセイバーを遠くへ飛ばした。
「貰ったわ!」
得物が無くなった事で隙が生まれただろうゼインにツイスターはテンペストバトンを再びバトン形態にして風の刃を生成し胴体を切り裂こうとした。
ガードベント!
しかし、テンペストバトンの刃を使って胴体を切り裂こうとする瞬間、ゼインはそれをドラグレッダーの胴を模した盾…ドラグシールドを召喚して防ぐ。
「な、盾っ!?」
「ええ、この力は武装も中々豊富なんですよねっ!」
「がはっ!」
ツイスターが驚いている隙にゼインは盾を使ってテンペストバトンを弾き飛ばし、其処から彼女の腹部に向かって蹴りを入れ後方へ吹き飛ばす。流石にこれを受けてツイスターは地面に倒れる。
ストライクベント!
「燃え尽きなさい」
「っ!」
続いてドラグレッダーの頭部を模した手甲を右手に装着すると背後に現れたドラグレッダーと共にツイスターへ向かって強力な炎を放ち、ツイスターは避ける間も無く業火をその身で受ける事となる。
「「「「ツイスター!」」」」
スカイ達は炎に覆われたツイスターを見て思わず悲鳴を上げるも次の瞬間、炎が消え其処には黒い繭…否、蝙蝠の様なマフラーで全身を覆ったツイスターが立っている。そしてマフラーを解くと中からは火傷一つも覆ってないツイスターの姿があった。
「そのマフラー…中々の防御力と耐熱性がありますね」
「ええ、私自身も驚いているわ。前に一度しかこの姿に成らなかったからまだ把握してない力があるみたいね」
ツイスターはそう言って得意げな笑みを浮かべるも顔色はあまり良くなく顔には冷や汗が浮かんでいる。やはり身体が不調の状態で戦っていた為、彼女の身体は限界に近かった。
(ヤバい…視界も霞んできた……そろそろ限界かも…!)
ツイスター自身これ以上の戦闘は難しいと感じて来たが、其処は精神力でなんとか持ち堪えていた。一方でゼインはツイスターがそろそろ限界である事は察しがついていた。
「大したものですね。しかし、そろそろ貴女は限界の様ですからこれで終わらせます!」
ファイナルベント!
音声が鳴り響くとゼインの側にドラグレッダーが現れるとゼインはその場から高く跳びあがる。
「私は……負けない!」
ツイスターも負け時と跳び上がるとマフラーを全身に覆い螺旋状に回転する。
「ヒーローガール!ダークツイスターストライクッ!!!」
ドリルの様にゼインへ向かって飛んでいき、ゼインも背後から放つドラグレッダーの炎のブレスを背に浴びて必殺の蹴りを発動させぶつかり合う。
「ぐっ…あああああっ!?」
「「「「ツイスター‼︎」」」」
しかし、単純な力の差でツイスターが押し負けてしまうとそのまま吹き飛ばされ地面に墜落する。そしてゼインはツイスターの背後に着地して彼女に振り返ろうとした。
「ぐうっ!?」
そんな時、ゼインは片膝を地面に突いて苦痛の声を上げる。どうやら先程のツイスターとのぶつかり合いの時ゼインも無傷では済まず足に大きなダメージを負った様だ。
「いやはや…見事ですよツイスター。まさか、ここまで追い詰めるとは…!ですが此処までですよ」
「っ!させません!」
足を庇いながら倒れているツイスターに近づきゼインはツイスターにトドメを刺そうと近づいて行く。それを見たスカイ達はツイスターを助けようと動き出したその時だ。
「おっと、ダークツイスターはやらせないよっと!」
「ぐっ!?」
その時、突如としてゼインの前に電撃の音と共に何者かが現れるとゼインの側頭部目掛けて蹴りを喰らわせる。それに対してゼインは咄嗟に腕で防御した。
「お前は…!」
「クククッ…久しぶりだね。こう言う時って真打ち登場って言うのかな♪」
ゼインは自身を攻撃して来た人物を見て声色を変える。其処に立つのは以前こちらの世界に訪れた際に戦ったキメラングであったのだ。
「「「「き、キメラング!?」」」」
「ま…マッド…サイエンティス…ト……な、なんの……つもり?」
まさかこのタイミングで現れたキメラングの存在にスカイ達は驚き、同時に敵であるツイスターを助けた事に疑問を浮かべる。
「何のつもりだって?そりゃ君を助けに来たと言ったら信じるかい?」
「あんた……こんな時に冗談なんて…おも……しろくない…」
自分を助けに来たと聞いて簡単に信じる程ツイスターは彼女の言動を信じられなかった。キメラングが共闘や手助けをしたのは並行世界での一回のみだが、その時は成り行き上共に戦った。だが、今回は前回と事情が異なるために彼女が進んで自分を助ける理由がわからなかった。
「おや、随分信頼されてない様だね。まぁ、仕方ない事か…所で君は随分疲弊しているみたいだけど……身体にアンダーグエナジーとは別の物を取り込んでいる所為で異常を起こしているみたいだね。全く、仲間を助ける為己の身を犠牲にするところは実に美しい…まさにヒーローらしいよ。でも、そのまともに動けない身体で戦って無様な姿を晒すとは…滑稽に見えるよ」
「うっ…さい…!」
キメラングの小言にツイスターは気力が無いにも関わらずせめてものの今残っている気力で吠える。
「まぁ、私としては君をこのままお持ち帰りして良いがそれではつまらないからね…助けてあげるよ」
「や、やめなさい…!」
そう言うとキメラングは黒い首輪の様な物を取り出すとそれをツイスターの首に嵌め込もうとする対してツイスターは身体を動かせる体力は残っておらず、抵抗すらできずに首輪を嵌められてしまう。
「「「「ツイスター!」」」」
スカイ達はツイスターに首輪を嵌めたキメラングを見て何かを企んでいるのだと思い込みキメラングへ襲い掛かるも今のキメラングはハイスペックTYPE-Tを纏っている為、4人の攻撃を簡単に避けてツイスターから距離を開ける。
「ツイスター大丈夫ですか!?」
「苦しく無い!?」
「くっ…私は…だいじょう……あれ?」
スカイ達に上体を起こされたツイスターは先程まで身体の不調により疲弊していたが突然誰にも支える事なく1人でに立ち上がった。
「ツイスター?」
「苦しく無いの?」
「ううん…何とも……て言うかさっきまでの怠さが無くなって幻聴とか全く聞こえない」
ウィングとバタフライもツイスターが1人で立ち上がった事に驚きの表情を浮かべる。
「はははっ、どうだい?私に少しは感謝する気になったかい?」
「え、感謝って…」
スカイはキメラングの感謝すると言う発言に反応するプリズム達も彼女の発言の意味がわからなかった。
「なんだよ鈍いなぁ。簡単に言うと私がダークツイスターに付けた首輪はアンダーグエナジーと有害なエネルギーを透析してくれる装置が埋め込まれている物でそれで透析した事により先程まで不調を起こしていた身体を治療した訳だよ。お分かりかい?」
「と、透析って…糖尿病じゃ無いんだから…」
キメラングの発言に思わずプリズムがツッコミを入れる。しかし、これでキメラングがツイスターを助ける為に行動したのだとスカイ達は納得した。
「ちょっと待ちなさい。身体を治してくれた事には感謝するわ。でも、さっきからダークツイスターって何?」
ツイスターは先程からキメラングが自分をダークツイスターと呼んでいる事に疑問を覚える。
「え、君の名前に決まっているだろうダークツイスター」
「いや、ダークは要らないわよ!なに勝手に人の名前にダークなんて禍々しい物を付け足しているのよ!?」
ツイスター自身は今の自分が漆黒の衣装を身に纏っている事を自覚しているが、ただでさえ今のヴィジュアルがヒーローらしく無いのにこれで名前も漆黒に因んだ物を足せばもはや悪党みたいで彼女自身嫌だった。
「いやいや、その黒い姿でダークなんて呼ばずにはいられないよ。それとも別の名前が良いのならツイスターダークノワールブラックシュバルツとでも呼ぼうか?」
「いや、長いわっ‼︎て言うか代案も結局ダークがつくじゃない…はぁ、もうダークツイスターで良いわよ」
代案名が某風来坊な光の巨人のパチモンみたいな感じのを出されたツイスターは諦めてダークツイスター呼びを投げやりな形で認める事とした。そんな彼女にスカイはフォローを入れようと話しかける。
「き、気にしないでくださいダークツイスター」
「あんたも何ダーク呼びしてんのよスカイ!?」
「あっ、すいません!ついうっかり…」
スカイからもダークツイスターと呼ばれた事に思わず声を荒げるツイスター。そんな彼女達のやり取りを見てプリズム達は苦笑いを浮かべる。
「全く、敵と馴れ馴れしく会話をするとは…堕ちましたね」
『っ!』
その時、先程から黙っていたゼインが自分達を見つめて呆れた声を出す。
「私が知るキュアスカイ達も最後までアンダーグ帝国の者達と仲良くしようとした事を思い出しますよ」
「へぇ、仲良くか…クククッこいつは面白い事を聞かせて貰ったね。その口振りからして君の知る世界のアンダーグ帝国は壊滅した…って事かな?と言う事はあの方も殺したって事かな?」
ゼインの発言にキメラングは興味深そうに尋ねるとゼインは隠す事なく答える。
「ええ、随分呆気なかったですよアンダーグ帝国は…まっ、プリズムを連れて行くついでにこちらのアンダーグ帝国を滅ぼすのも悪くなさそうですかね」
「へぇ、アンダーグ帝国は大した事ないって事か
図になるなよ小僧が」
「ッ!?」
その時、ゼインは一瞬全身を漆黒のエネルギーに侵食される様な感覚を味わい思わず後ろへ大きく下がる。
(なんだ…今の気配は!?…今、私の前に立つのは誰だ!?)
其処に立つのはキメラングであるが、先程まで敵味方関係なくおちゃらけた態度を見せていた。そんな彼女がそれまでとはまるで全くの別人と思わせる声を出すととてつもない殺気を乗せていた。ゼインはチラッとキメラングを見ると彼女はバイザー越しであるにも関わらず、目の位置が紫色に光っていたのだ。だが、それは数秒だけで光が収まるとキョトンとした態度を見せる。
「……ん?…あれ、一瞬意識が飛んだ様な……気のせいかな?」
「キメラングどうしたのですか?」
まるでスイッチを押したかの様に先程まであった殺気は消え失せ普段の態度になるキメラングはキョロキョロと辺りを見渡す。そんな彼女にスカイは気になり話しかける。
「いや、やっぱり何でも無いよ。ただ一瞬時間が飛んだ様な感覚に見舞われた気がしてね」
「はぁ?…あんたこの前の学校の時からなんか様子がおかしいけど頭大丈夫?あと、さっきなんかボソボソと何か言ったかしら?」
「ダークツイスターその言い方はどっちの意味で言っているのかは知らないが、取り敢えず正常だよ…って言うか私って何か喋ったのかい?」
ツイスターの棘のある発言にキメラングは機嫌を悪くする事なく答えるも先程独り言をしていたのかと首を傾げた。
(先程のやり取りを覚えてない?…それに周りにいるツイスター達は気が付いてないとはどう言う事だ?)
先程のキメラングの発言と気配に気づいているのは己自身のみだと気付き、周りは全く気付いてない異常に気がつく。
(まさか、奴の身体の中に何かが隠れているのか?)
まるでキメラングの心の奥底に何かが隠れ住んでいる存在がいるのかとゼインが推測しているとキメラングが口を開く。
「ところで君たち。あのゼインは私に相手をさせてくれないか?」
『え?』
キメラングの発言にツイスター達は口を揃えて声を出す。彼女は以前ゼインに瀕死の状態になるまでやられたことがあり、それを進んで再び戦おうとする様子に驚いた表情を浮かべる。
「一体どう言う事よ?」
「別に大した理由はないさ。彼の持つ技術はどれも魅力的でね。ドクターとして実に興味深い存在なんでね。それに私は負けず嫌いなんだよね。だから今回はリベンジも兼ねて戦いたいんだよ」
どうやらキメラングは前回負けた事を気にして再び戦いたくウズウズしている様だ。
「…敵であるあんたに言うのもなんだけど、また1人で戦うつもり?」
「勿論さ…何せ1人で戦わないとリベンジの意味がないからね」
「キメラング!ゼインは前回戦って知っていると思いますが1人で戦って勝てる相手ではありませんよ!」
「わかっているさ。ついでに言えば、君達がこのまま何も考えず怒りに身を任せて行くと返り討ちに合う事も把握済みさ」
『なっ!?』
キメラングの発言に再び声を荒げるツイスター達。どうやら彼女は自分達の先程までの戦闘を何処かで見てた様子だ。
「さ、最初から見てた訳って事!?」
「趣味悪っ!」
「何とでも言うさ…まっ、そのお陰で仕込みはできた訳だけどね」
『?』
自分達の戦いを見物していた事に非難の声をあげるがキメラングは気にする事無く何かを企んでいる様子だ。
「と言う訳で君たちは其処で見ていてくれたまえよ」
そう言うとキメラングは再び身体に電撃を纏うとゼインの前に立つ。
「さて、と言う訳で私の戦いに応じてくれるかな?」
「良いでしょう…寧ろ前回仕留め損なった貴女を再びこの手で倒す良い機会です。今度こそ抹殺しますよ」
「抹殺ね…ククッ、果たしてそう上手くいくかな?」
ゼインの言葉にキメラングは余裕の笑みを浮かべる。一方でゼインは先程のキメラングの事を気にする。
(先程の奴の殺気は一体……いえ、何かをしでかす前に駆逐しますか)
先程のキメラングの異常を気にするゼインであるものの倒してしまえば関係ないと考え戦いを始めるのであった。