ひろプリに野良猫系キャラを入れてみた   作:獅子河馬ブウ

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今回は少し遅れてすいません。仕事で夜勤だったり4月の異動だったりとむちゃんこ忙しく疲れて小説を書くのに遅れちゃいました。
そのせいでちょっとクオリティが低いかもしれませんが、どうぞ。


第94話 らんことひかるのデートPart3

それからと言うものの、らんことひかるはカラオケ屋で歌を歌うというよりもほぼ◯ンフォギア談義でカラオケ屋の滞在時間を終えた。その後はゲームセンターへと訪れており、最初は何で遊ぼうかと店内を歩いているとあるゲームを見つける。

 

「あっ…」

 

「どうしたんだらんこさん?」

 

そのゲームを見て足を止め、見つめるらんこ。ひかるはそんな彼女の視線の先を見るとそこにはクレーンゲームが置かれており、中には沢山のぬいぐるみがあった。その中でも可愛らしい猫のぬいぐるみを注目していた。

 

「らんこさん…あの猫のぬいぐるみが欲しいのか?」

 

「そ、そんな訳ないじゃない!私は今年で中学2年生よ。この年になって今更ぬいぐるみなんて…」

 

そう言ってらんこは興味無いとアピールするも名残惜しそうな顔を一瞬浮かべるらんこ。彼女はその場を小走りで去り、ひかるもその後を付けて行こうとする。ただ、その前に先程までらんこが見ていたぬいぐるみを暫く眺めつつ考え事をする。

彼女は以前から可愛いものが好きで動物やぬいぐるみを愛でている事があり、ひかるもその事は知っている。その為、らんこはあんなことを言ってたが本当はぬいぐるみが欲しいのだろう。それならひかるは自分が取ろうと考えた。

 

(このぬいぐるみは取りづらそうだな)

 

しかし、目的の猫のぬいぐるみはやや取りづらい位置に置かれてあった。更には他のぬいぐるみも障害物となっている為、目的のぬいぐるみだけ取るにしても最低10回以上はやらないといけない。それにひかるはクレーンゲームはそこまで得意ではない為、下手をすれば財布の中身が無くなる可能性がある。

 

(ごめんよらんこさん。俺にもっと技術があれば)

 

ひかるは内心己の非力さを嘆きながら仕方ないと割り切ると先に行ったらんこの後を追いかけるのであった。

その後、2人はシューティングゲームへ訪れると早速2人プレイで遊び始めた。今やっているのは画面の中のゾンビをどちらが多く倒すかで勝敗が決まるモードで遊んでいる。ただ、この画面に出てくるゾンビのクオリティは中々高く。大抵の女子は思わず悲鳴を上げる事になるのだが、らんこは割と平気だった。

 

「ふっふーん♪」

 

それどころか、次々と出てくるゾンビに対してらんこは鼻歌を歌いながら機嫌良い様子で自身の手に握られた銃で撃ち抜いていく。そんな彼女を横目から見ながらひかるは恐る恐る話しかける。

 

「あの、らんこさんは怖くないのか?」

 

「え、なんで?」

 

ひかるの問いかけにらんこはキョトンとした表情を浮かべる。

 

「いや、俺も思わず声に出そうになるくらいゾンビの出来が良いから何かリアクションするかなって」

 

ひかるの理想としてはこのゲームをやる際に突然画面に現れたゾンビに驚いたらんこが自分に抱きついてしまうシチュエーションを望んでいた。しかし、らんこはゾンビへの耐性が高すぎたせいでそれをしてしまうような気持ちにはなっていなかったのである。

 

「まあ、確かに最近のゲームって本当にリアルと変わらないくらいの出来の良さだけど……私がこれまで体験してきた事と比べるとあまり恐怖は感じないわね」

 

そう言ってらんこの脳裏にはランボーグによりビルの屋上から放り投げられたり、更には拘束されて麻酔無しで内臓を取り出されそうになったりとその他etc…数々の実体験がフィクションよりも現実の怖さが上回ったのだ。

 

「そ、そうか…」

 

ひかるはらんこの話を聞いて彼も今までらんこと会う度に彼女が酷い目にあっている事を思い出し、それ以上は深く聞かない事にした。というより過去のことを語るらんこの目からハイライトが無くなっている為、これ以上踏み込むのは不味いと判断。ひかるは黙ってしまうと2人の間に気不味い空気が流れ、ただひたすらに黙々とゾンビを撃ち続けた。

それから2人はシューティングゲームを楽しんだ後、メダルゲーム、◯鼓の達人、◯リオカートを遊んだ後次の店に行くために最初訪れたクレーンゲームの前を通りかかる。

 

「あれ?」

 

「どうしたのひかる?」

 

何故か足を止めてクレーンゲームに視線を向けるひかるにらんこは不思議に思いつつ彼に話しかける。

 

「いや、最初此処にきた時と比べてクレーンゲームの中にある人形がごっそりと無くなってるなって」

 

「あっ、本当ね」

 

ひかるの言う通りそこには最初訪れた時と比べて沢山あったぬいぐるみが半分くらいの数まで減っていたのだ。

そして、肝心の猫のぬいぐるみはまだ取られておらず周りにあったぬいぐるみが消え取りやすい状態になっていた。

 

「(今なら…!)らんこさん、少し待っててくれ」

 

「え、ひかる?」

 

ひかるはらんこから離れるとクレーンゲームの元に行き、数枚の100円玉を入れてアームを操り猫のぬいぐるみを取ろうとするが途中で落としてしまう。

 

「まだだ!」

 

だが、ひかるは諦めずに3回繰り返すと目的のぬいぐるみを取り出し口へ落とし、見事手に入れる事ができた。

 

「よっしゃー!ぬいぐるみゲットだぜ!」

 

何処ぞのマサラ人が言いそうな決め台詞を放つとらんこの元へ戻りぬいぐるみを差し出した。

 

「はい、らんこさん」

 

「え…これを……私に?」

 

「ああ、らんこさんの為に取ったんだ」

 

差し出されたぬいぐるみにらんこは驚きつつゆっくりとぬいぐるみを手を伸ばす。

 

「し、仕方ないわね。もうぬいぐるみを持つ歳じゃ無いけど、手に入れちゃったんだから受け取ってあげるわよ」

 

「ふふっ、そう言ってもらえると助かるよ」

 

嫌々口調で猫のぬいぐるみを受け取るも、彼女は大事そうに頭を撫でている。そんならんこの姿からは彼女の本心が溢れており、それを見たひかるは笑みを浮かべる。

尚、この時またらんこの尻尾がパーカーから飛び出して左右に揺れていた。これを見たひかるはボウリング場と同様に自分の妄想と判断すると必死に気持ちを抑えた。

 

(くっ、俺の理性…保ってくれ!)

 

ぬいぐるみを愛でる姿に加えて妄想によって生えた尻尾(勘違い)を見たひかるは自身の中にある本能を押さえ込む理性の鎖が今にも引きちぎられんとしていた。ひかるは何とか耐えようと自身の太ももを抓って理性を耐えようとする。

だが、其処へ先程までぬいぐるみを愛でていたらんこが手を止めて、チラッとフードにより少し隠れてる顔をチラッと向けてらんこが話しかける。

 

「ひかる…その、ありがとう…ね////」

 

「んなっ!?」

 

その時、ひかるは絶句する。フード越しから見えるらんこの顔は少し赤くなっていた。らんこは先程までぬいぐるみを持つ歳では無いと言っていたものの、ひかるからぬいぐるみを貰った事が本当は嬉しかった。それでも彼女はお礼を言うのがやや恥ずかしいのか、極力彼に目線を合わせずにもじもじとする。その姿を見てひかるには大きな衝撃が走り、本能を封じ込めていた理性の鎖にヒビが入ると思わずらんこを抱きしめるべく手を伸ばしかける。

 

「ぐ…う、おおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」

 

「え、ひかる!?何処に行くのよ!?」

 

だが、ひかるはそうやって伸ばそうとした手の影響で何とか一線を超えないように自身のもう片方の手で押さえていた。今は止められるが、これ以上らんこの姿を見ていたら自身の本能が彼女をターゲットにして襲い掛かってしまう。そんな事を懸念したひかるはらんこを置いてゲームセンターから飛び出していく。そんならんこも突然出ていったひかるに驚きつつも彼の後を追いかける。

尚、その近くにあるクレーンゲームの陰からベリィベリーが覗いており、その視線からは唯ならぬ嫉妬が感じられていた。

 

「おのれぇ、雷田ひかるぅ…あのぬいぐるみは私が手に入れてらんこに差し出そうとしていたのにそれをよくもぉ…!」

 

「まぁまぁ、ベリィベリーちゃん落ち着いて」

 

ひかるへの恨み言を口にするベリィベリーを側にいたあげはが宥めようとする。その後ろでは沢山のぬいぐるみを抱えるソラ達の姿があった。何故彼女達は沢山のぬいぐるみを持っているのかは数十分前に遡る。

 

──────────

 

らんこ達が最初にクレーンゲームへ訪れてその場から去った後、クレーンゲームの前にソラ達がやってきていたのだ。

 

「お二人はこのクレーンゲームを覗いていましたが何かあったのでしょうか?」

 

「見た感じ中にある猫のぬいぐるみが気になっていた様だね」

 

「えりゅ」

 

ソラとあげははクレーンゲームの中に置いてある沢山のぬいぐるみを覗き、エルも沢山のぬいぐるみに目を輝かせていた。それを見てベリィベリーは何かを察した表情を浮かべる。

 

「ふっ、差し詰め奴はこのクレーンゲームにあるぬいぐるみを取ろうと考えたが、失敗して財布の金が無くなる事を考えて怖気付いた様だな」

 

「ベリィベリーさん、ひかる君を一々貶さなくって、ああああああああっ!?」

 

「ま、ましろさん!?」

 

「どうしたんですか?」

 

突然ましろが声を上げてクレーンゲームのガラスに張り付くという普段なら絶対無い行動を見せた事に一同は驚きつつ彼女に話かける。すると、ましろはワナワナと身体を震わせゆっくりと口を開ける。

 

「ま、間違いない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラベンだるまちゃんだーっ!!!!

 

ましろの発言に一同は恐る恐る彼女の視線の先を見るとそこには紫玉ねぎ?だるま?の様なぬいぐるみが置かれてあった。

 

「ら、らべん…何だって?」

 

「ましろさん、そのぬいぐるみをご存知なのですか?」

 

ぬいぐるみを見て声を上げた事にソラ達は困惑しつつも恐る恐る尋ねるとバッと振り向き語り出す。

 

「うん、これはラベンだるまちゃんって言って前にネットで見た時にこうビビーン!ときてね。それで私はその時から欲しくなったんだけど、通販とかじゃ売ってない非売品の上に此処から離れた街にあるハーブガーデンって場所に6回通わないと手に入らないぬいぐるみで。ただ、ソラシド市からハーブガーデンのある街まで結構遠くてそれを6回通うのはお小遣い的にも難しくて泣く泣く諦めてたんだ。まさかこんな所でお目にかかれるなんて驚きラビ!」

 

「ま、ましろん…詳しいね」

 

「しかも無茶苦茶早口ですね」

 

「あと、なんか語尾がおかしくありませんか?」

 

普段とは違ってハイテンションなましろに一同はやや引いていた。後、気のせいかましろの背後に兎の妖精の様な物が浮いている様に見える。

 

「むらちゃき!」

 

「ふふっ、エルちゃんもラベンだるまちゃんが気に入ったみたいだね。それなら絶対手に入れないと!」

 

此処に同志が現れた事に嬉しくなったましろはラベンだるまを手に入れる為、絶対に手に入れると意気込み100円玉を数枚クレーンゲームに挿入してクレーンを操り出す。

そんなましろを後ろからソラ達が集まり小声で会話をする。

 

「なあ、此方の世界の可愛いの感性ってあんな感じなのか?」

 

「さ、さあ、私には分かりませんね。あげはさんとしてはラベン…だるまちゃんは可愛い物なんですか?」

 

「そ、そうだね…可愛いって言えば可愛く見えるかな?」

 

「あげはさん…素直に微妙と言って良いんですよ」

 

「にゃ〜」

 

ラベンだるまちゃんにうっとりしているましろを見てソラ達は変に可愛く無いと言うと彼女が落ち込むと考えて、取り敢えず感性は人それぞれであると納得する。尚、ライは"人の感性はそれぞれだからそれを一々突っ込むのは野暮な事だぜ"とクールな事を言っている。

 

「うわああああっ!!!取れないよーっ!!!」

 

「むらちゃき…」

 

一方でましろはクレーンゲームの前で頭を抱えて嘆いている。その様子からして財布にある100円玉を使い果たしてしまった事が伺える。エルもラベンだるまちゃんが取れなかった事に悲しそうな顔を浮かべている。

 

「ましろさんにエルちゃん……此処は私が一肌脱ぎます!」

 

ましろ達の悲しむ姿を見てソラは彼女達の為に今度は自分がクレーンゲームに挑戦しようといたのだ。

 

「ソラちゃん…私の為にお金を無駄遣いしないで」

 

「無駄遣いじゃありません。これはいつもお世話になっているましろさんへの日頃のお礼を兼ねたプレゼントなんです。どうか、私の気持ちを受け取ってください!」

 

「ソラちゃん…」

 

ソラの言葉にましろは目に涙が浮かんだ。自分の為にぬいぐるみを取ろうとするその優しさにましろは嬉しく思った。

一方でベリィベリー達には不安が過った。

 

「何でしょうか…嫌な結果が目に見えます」

 

「奇遇だな。私もだ」

 

「だ、大丈夫だよ。きっと、ソラちゃんならぬいぐるみを取ってくれるよ……たぶん」

 

ベリィベリー達3人は不安に思いつつもソラの様子を見守る事にし、ソラもクレーンゲームに100円玉を数枚入れる。

 

「(待っていて下さいましろさん。必ずぬいぐるみを取ってみせます!)いざ!」

 

ソラはましろの為にラベンだるまちゃんを取ろうとクレーンを操る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、数分後にソラはましろと同様にクレーンゲームの前で崩れ落ち、落ち込む姿が見られた。

 

「私はなんて無力なんですか…ぬいぐるみを一個すら取れないなんてヒーロー失格です!」

 

「いや、ヒーローのハードル低すぎない?」

 

結局ラベンだるまが手に入らず自身の財布の金を散財してしまったソラはましろの期待を裏切ってしまった事に自身を責め、その姿にあげはは思わずツッコミを入れる。

そして、ベリィベリーは軽く息を吐くとツバサに話しかける。

 

「仕方ない。ツバサ手を貸せ」

 

「え、手をって…どういう事ですか?」

 

突然協力を申し出るベリィベリーにツバサはこれまでの事から何か企んでいるのではと考える。

 

「私達がこのぬいぐるみを取り尽くすんだ」

 

「取り尽くすって……え、これ全部をですか!?」

 

取り尽くすと聞いてツバサはまさかクレーンゲームの中にある全てのぬいぐるみを取るのかと考えた。

 

「勘違いするな、全て取るとは言わん。私の目的はあの猫のぬいぐるみだ。だが、他のぬいぐるみが邪魔で取りづらいからそれらを取ろうと言う事だ。その際にましろが取りたかったぬいぐるみも取る予定だ」

 

「で、でも…そんな事をしたら…」

 

ベリィベリーの話に乗ると言う事は彼女の企みに手を貸すという事だ。十中八九ひかるが諦めたらんこの欲しそうにしてたぬいぐるみを代わりに取る事でらんこの好感度を上げようと言う魂胆なのだろう。ツバサはそんな事には付き合わないときっぱりと断ろうとする。

 

「あの紫のぬいぐるみはましろだけでなくプリンセスも欲しがってたから取ればプリンセスが喜ぶだろうなぁ」

 

「ぷ、プリンセスが!?」

 

エルの名前を出された事にツバサは動揺を見せ頭を悩ませる。此処で手伝ったらベリィベリーの思惑通りなる。だけど手伝わなければエルが悲しんでしまう。どちらを取るかとツバサは暫く悩んだ結果は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ〜、ラベンだるまちゃん可愛いなぁ」

 

「むらちゃき〜♪」

 

「ベリィベリーさんにツバサ君ありがとうございます!」

 

「おかげでさっきまで元気が無かったましろんとエルちゃんが喜んでいるよ」

 

「なに、気にする事は無いさ。我々は仲間だからこう言う窮地は手と手を取り合って解決する物だろう。そうだろうツバサ」

 

「ええ…まぁ」

 

結局、エルの悲しむ姿に耐えられなくなったツバサ。彼は渋々ベリィベリーと協力して持ち前の動体視力を使うとクレーンゲームを360度確認してぬいぐるみを掴むベストな位置をベリィベリーへと指示を出して、その成果として大量のぬいぐるみを手に入れた。その過程ではましろとエルが欲しがっていたラベンだるまちゃんも手に入れる事ができたのだ。

 

「さて、次はメインディッシュだ。最後まで協力してもらうぞツバサ」

 

「…はい」

 

ツバサは渋々と返事をしてベリィベリーに渋々と手を貸す事になりベリィベリーも目的のぬいぐるみをいざ手に入れようと100円玉を挿入しようとした時だ。

 

「あっ、皆んな!らんこちゃん達がこっちに来たよ!」

 

「やばっ!ベリィベリーちゃん隠れるよ!」

 

「ちょっ、ちょっと待ってくれ!後一回だけやらs「あー、ダメですね。此処にいたら2人に僕たちの存在がバレてしまうので急いで隠れませんと」ツバサ貴様ぁ!よくもそんな白々しい台詞を!」

 

タイミングが良いのか悪いのか、一通りゲームを楽しんだらんこ達がこちらにやってきてしまった。そのためソラ達は手に入れたぬいぐるみを持ち、更にはベリィベリーをクレーンゲームから離すと近くにある別のクレーンゲームの影に隠れた。その後はひかるがベリィベリーの努力を横から掻っ攫う様に猫のぬいぐるみを手に入れ、らんこへ渡した事でベリィベリーの内心は穏やかではなくなったのであった。

 

─────────

 

それからと言うもののらんことひかるは楽しい時間を過ごしており、ソラ達はその2人にバレない様に尾行を続ける。時々ベリィベリーがちょっかいを掛けようとするも、ましろ達によってことごとく邪魔され、更にはソラとあげはからも止められる始末だ。

 

(くそっ、奴がらんこにぬいぐるみを渡した所為でますます奴とらんこの距離が縮まってしまった…)

 

ゲームセンターでの出来事でらんことひかるとの関係はより深まってしまった事にベリィベリーは歯軋りをする。例えば此処までの道中にて小腹を空かした2人はアイスクリーム屋でそれぞれ好きなアイスを頼み食べていたが、途中らんこは自分からひかるのアイスと自分のを食べ比べしようとリア充っぽいやり取りを見せられたベリィベリーはグローブを身につけて突貫しよう凶行に走ろうとしたがソラに止められたのだ。

 

(仕方ない…こうなったら奥の手を使うか!)

 

これ以上は危険と判断したベリィベリーは自身の切り札を使おうと考える。そして、らんこ達が音楽ショップに入っていきソラ達も後に続こうとするとベリィベリーは行動に出る。

 

「すまない、少しトイレに行ってくる」

 

「トイレですか?それでは気を付けて下さい」

 

ベリィベリーが突然トイレに行きたいと言い出し、ソラ達は拒否する事なく彼女が近くのトイレに向かうのを見送った。ベリィベリーは誰もついて来てない事を確認すると個室のトイレに駆け込み、自身の服のポケットから猫の形を模したパクトを取り出す。

 

「くくくっ、あげはから教わった化粧技術を遂に発揮する時が来たな」

 

そう言うとベリィベリーはパクトを開き、持っていたバックから金髪のウィッグを取り出して怪しい笑みを浮かべて何かを企んでいる様子だ。

 

─────────

 

一方その頃、音楽ショップの前にはソラ達がトイレにいるベリィベリーを待っていた。

 

「遅いですねベリィベリーさん」

 

「お腹でも下したのかな?」

 

一向に戻ってこないベリィベリーにソラとあげはは心配な表情を浮かべる一方でましろとツバサは訝しむ表情を浮かべる。

 

(また何か企んでいるのでしょうか?)

 

(もし、そうだったら様子を見にいかないと)

 

今までのベリィベリーの行動からトイレに行ったのも何かよからぬ事を考えているのではと推測し、一旦様子を見に行こうとするとトイレの方から人影が出てくる。

 

「あ、ベリィベリーさん遅かったですけどだいじょ……ぶ?」

 

ソラはトイレから出てきた人物をベリィベリーと思い込み話しかけるがいざ姿を確認するとそこにいたの人物はベリィベリーではない。服は先程トイレに入ったベリィベリーと同じだがその人物は髪が淡いブロンドでハーフアップに結んでおり、瞳は青色で眉も細くベリィベリーと似ても似つかない女性だった。

 

「ベリィベリー?…誰よそれ」

 

「あ…す、すいません!人違いでした」

 

ソラは慌てて謝罪すると女性は特に気にする事無くその場を去っていき、去っていく女性の後ろ姿にソラ達は暫く見惚れてしまう。

 

「綺麗な人ですね」

 

「あの人、何処かのモデルさんなのかな?」

 

「でも、あんな子は雑誌やテレビでも見た事ないよ」

 

「……」

 

先程の女性の容姿に一同はモデルかと考えるもファッション雑誌をよく目にするあげはからも知らない事からまだ無名の新人なのかと推測する。

一方でライはどんどん離れる女性の後ろ姿を暫く訝しむ様に見ていると突然鳴き始めた。

 

「……っ!?にゃあ!」

 

「ど、どうしたんですかライさん!?暴れないでください!」

 

「何か私たちに伝えようとしているのかな」

 

突然ソラの腕の中から抜け出そうともがくライにソラは驚くも彼が何処かに行かないようにしっかりホールドする。

 

「にゃあっ!にゃにゃにゃーっ!」

 

「えっと…何を言っているのでしょうか?」

 

「よく分からないけど、ライちゃんは何かを必死で訴えているみたいだけど…」

 

切羽詰まった様子でソラ達に何かを伝えようとするライだが、残念な事に猫の言葉は分からず首を傾げてしまう。

一方であげははツバサに話しかける。

 

「うーん、こう言う時は…少年通訳よろしく」

 

「ええ、良いですよ」

 

あげはの頼みにツバサは拒否する事なく応じて鳥へと姿を変えると改めてライの話を聞き出す。

 

「ふむふむ……え…う、えええええええっ!?」

 

「どうしたのツバサ君?」

 

ライの話を聞いたツバサは何やら衝撃を受けたリアクションを見せた事にましろは気になって話しかけるとツバサは慌てた様子で答える。

 

「さ、さっきトイレから出てきた女性はライさん曰くベリィベリーさんだって言ってます!」

 

「「「え……えええええええええええっ!?」」」

 

「えるーっ!?」

 

ツバサを通じてライが先程の女性の正体がベリィベリーという事に驚きのあまり揃って声を上げてしまう。

 

「い、いやいやいや、流石にそれは無いでしょ!」

 

「そ、そうですよ!さっきの人はベリィベリーさんと全然似てない別人でしたよ!」

 

ソラの言う通り先程女性は容姿がベリィベリーと全く異なっておりそれが同一人物であるなんて信じられなかったのだ。

そんな中ましろは少し考える素振りを見せる。

 

「……はっ!?ま、まさか!」

 

ましろは嫌な予感を察して1人ベリィベリーが入って行ったトイレに向かうと10秒くらい経ってからましろはソラ達の元に戻ってきた。だが、その顔は慌ただしくなっている。

 

「大変だよ!ベリィベリーさんの姿が何処にもない!」

 

「何ですって!?」

 

「と、言う事は…」

 

「さっきの金髪の子は…し、信じれないけどベリィベリーちゃん!?」

 

ましろからベリィベリーがトイレにいなくなり、一同は漸く先程の金髪の女性はベリィベリーの変装であると察した。

 

一方でらんこ達は音楽ショップにてそれぞれ好みの音楽を視聴し、気になるCDが無いか棚を見て回っていた。

 

「あっ、まこぴーの新作があるじゃない」

 

「おっ、本当だ」

 

らんこ達が見つけたのは彼女の推しの1人である剣崎真琴の新作のCDであった。らんこは嬉しそうにそのCDケースを手に取り早速購入しようとレジへ向かおうとする。

 

「あっ、そうだアレがあった!」

 

「ひかる?店の中では大声を上げちゃダメよ」

 

「ご、ごめん」

 

突然声を上げたひかるにらんこは注意をするとひかるは周りの客達の視線を気にしながらも軽く謝罪をするとらんこに話しかける。

 

「実は数日前、元の世界で偶然らんこさんが喜ぶ物を手に入れたんだよ」

 

「私が喜ぶもの?…それって何なのよ?」

 

ひかる自分が喜ぶ物と聞いてらんこは一体なんなのだろうか想像するが、それが何か皆目見当がつかなかった。対してひかるは「ふっふーん」と得意気な笑みを浮かべている。

 

「それはn「ねぇ、そこのあなた」…え?」

 

「ん?」

 

ひかるは何かを持っていたバックから取り出そうとするが、その直前に背後から誰かに話しかけられてらんこ共々振り向くと其処には知らない女性(変装したベリィベリー)が立っていた。

尚、ひかるはベリィベリーの姿を見て暫く放心し、それを見たらんこはムッとなり彼の二の腕を抓る。

 

「い、いだだだだっ!?」

 

「あんた…いつまで見ているのよ!」

 

「ご、ごめん!だから許してらんこさん!」

 

自分が側にいるにも関わらず他人の女性に見惚れてしまったひかるは慌ててらんこに謝罪する。一方でベリィベリーは2人の様子を見て内心ほくそ笑んだ。

 

(ふっ、早速変装が役に立ったな。こうやって美しい女を目の前にすれば簡単に目移りするとな)

 

予想通り変装した自分の姿に意識が行ったひかるにらんこが嫉妬を抱き、少しではあるものの2人の仲を傷つける事に成功すると次の手段に移る。

 

「あなた、そんな男と付き合っていいの?」

 

「え?」

 

「は?…いきなり何を言い出すのよ?」

 

突然ベリィベリーの言葉にひかるはキョトンとなる一方でらんこはベリィベリーに向かって目を細くする。

 

「あなたと言う魅力的な女性がいるにも関わらず、私に鼻の下を伸ばすなんてそんな節操の無い男と離れた方が良いわよ。」

 

「お、俺は別に鼻の下なんて!」

 

「ちょ、ちょっとさっきから何なのよあんたは!?いきなり初対面に関わらずひかるの事を貶すなんて!」

 

ひかるを貶すベリィベリーにらんこは思わず声を荒げ彼女を睨むもベリィベリーはブランドヘア(ウィッグ)を靡かせる。

 

「私は何も意地悪で言っているんじゃないわ。ただ、そんな男と一緒にいて幸せになれるなんて到底思えないわ」

 

「何ですって!?」

 

ベリィベリーの言葉にらんこは怒りを募らせ今にも彼女に襲い掛かろうとするも慌ててひかるが止める。

 

「ま、まぁ、らんこさん落ち着いて」

 

「でもひかる!あんたの事を馬鹿にされているのに怒らない訳ないでしょ」

 

「そりゃ俺も少しは腹が立つさ。でもこんな事で怒る訳にはいかないよ」

 

怒りに身を任せてベリィベリーに詰め寄ろうとするらんこに対してひかるは怒らず。代わりに怒ったらんこを宥めると言う対応を見せ、らんこは気が進まないもの当事者であるひかるを見て我慢する事にした。

一方でベリィベリーはひかるが怒らない事につまらなそうな表情を浮かべる。

 

「まぁ、別に良いわ。でも、其処のあなたはその子を守れる程の力量はあるかしら?」

 

「力量ですって?」

 

ベリィベリーの言葉にらんこは思わず聞き返した。

 

「そう力量よ。例えばその子に悪漢が襲い掛かって来たら守り切れるくらいの力はあるのかしら?」

 

「あるさ!俺だってらんこさんを守るくらい出来るさ!」

 

らんこを守ると聞いてひかるは躊躇なく返事をするが、ベリィベリーはそんなひかるを頭から足先まで眺めると落胆したかの様なため息を吐く。

 

「残念だけどあなたにはその子を守れる力は無い様ね」

 

「なっ、そんな事h「いいえ、無いわよっ!」…え、うおっ!?」

 

「ひかる!?大丈夫!?」

 

突然ベリィベリーはひかるの顔に向かって回し蹴りを放つもギリギリ当たらず寸止めされ、ひかるは思わず腰を抜かして床に尻餅をつき、らんこは彼に駆け寄り、ベリィベリーはひかるを見下す様な目を向ける。

 

「これでわかったでしょ。私の蹴りに反応出来てないんじゃ彼女を守り切れることは出来ないって」

 

「うっ、うぅ…」

 

ベリィベリーの言葉にひかるは悔しい表情を浮かべる。彼女の言う通り実際に今の蹴りに対応出来てなければ自分は真っ先にやられ、らんこは暴漢に襲われるだろう。そう考えるとひかるは自身の無力感に押し潰されそうになる。

一方でベリィベリーは落ち込むひかるに対して先程まで見下していた眼差しから同情の眼差しを向けていた。

 

(…少しやり過ぎたか?……いや、これで良いに決まっている。こいつも自分ではらんこを守れないと自覚した事だしな)

 

自分のやった事は間違って無いと己に言い聞かせて正当化しようとするベリィベリー。

だが、誤解の無いように言っておこう。ベリィベリーは本気でやればひかるの顎を掠め脳震盪を起こして気絶させる事が出来たのだが、敢えてしなかったのはもしかしたらひかるは本当に守れる強さを持っているのかもしれないと可能性は低いものの彼女は考えていた。それを踏まえて寸止めという形で彼に当たらないように蹴りを放ったのである。

何故、そうしようとしたのかはソラ達と共にゲームセンターを出た後に再びらんこ達を尾行していた時にひかるについて尋ねたのだ。

 

(ソラから聞く話だとらんこが別の世界に迷って途方にくれた時、こいつが手を差し伸べて助けてくれた事がなれ始めと言う事だったな)

 

最初は何かひかるの苦手なものや弱点は無いかと情報を得ようとした所、ソラは勘違いをしてらんことひかるの出会いや其処からの交流について話をしてそれを聞いたベリィベリー。彼女は少しばかりひかるの対応について考え直そうと思い、今回の様な回りくどい事をして彼かどんな行動をするか申し訳程度ではあるものの期待していた。

 

(私に見惚れ。煽り言葉も自分の代わりにらんこが怒り、挙げ句の果てにはらんこを守れると啖呵を切ったもののその力量は無く言い返せず落ち込むとは…とんだ期待外れだ)

 

ベリィベリーはひかるへの落第点と言わんばかりの評価を付けるとらんこに話しかける。

 

「あなたも今のでわかったでしょ。そいつにあなたを守れる力は無いn「あんた、黙って聞いていれば何様のつもり?」…え?」

 

ベリィベリーはらんこにひかると付き合うのを諦める様にと言おうとしたが、らんこの物凄い低い声にベリィベリーは思わず声を漏らし彼女の方を見つめるとフード越しから向けられる眼差しに思わずその場から一歩後退りする。

 

「さっきからあんた、ひかるの事を貶して挙句の果てには蹴りを放つなんて…!」

 

「ま、待ってくれ!わ、私はお前の為を思ってだな」

 

このやり取りにベリィベリーはデジャヴを感じた。かつてらんこと2人っきりで出かけた際に彼女の推しを貶した時と状況がそっくりでベリィベリーもそれに気付くと慌てて弁明をしようとする。

※尚、ベリィベリーは自身の口調が元に戻っている事に気付いてない。

 

「はあ?…あんた初対面の癖になに知り合いみたいに馴れ馴れしく話しかけているのよ?そもそも私はひかるといて一度も不快な気分になった事はないわ。それなのにあんたは突然現れたかと思ったら私たちの邪魔をして…ムカつくのよ!」

 

らんこはベリィベリーに向かって暴言を吐くとひかるを立たせ、彼女に背を向けてその場から去ろうとする。

 

「ま、待ってくれらん「鬱陶しいわよ!とっとと私達の視界から消え失せなさい!そして二度とその面を見せるんじゃ無いわよ!」……」

 

そう言うとらんこはひかるを連れてその場から去っていき、1人残されたベリィベリーはらんこの台詞が自身の頭の中を何度も再生される。

 

(二度とその面を見せるな…二度とその面を見せるな…二度と私に会うな…)

 

ベリィベリーはらんこから絶交宣言と同等の発言をされた事に目の前が真っ暗となり手足に力が抜けて床に四つん這いする姿勢になり、その際にウィッグが外れて元の髪が露わになる事に気付かず絶望感を味わう。尚、ベリィベリーは自身が変装している事をすっかり忘れており、らんこの言葉が変装したベリィベリーに向けられた事に気付いていなかった。そして、この後遅れてやって来たソラ達にベリィベリーは捕まることになるのだが、落ち込んでいるベリィベリーの姿を見てあまり強い事が言えなかったソラ達は取り敢えず彼女を慰めて立ち直らせようとするのであった。




因みにだけど、ベリィベリーは変装する時は太かった眉毛を細く剃りブロンドのウィッグに合わせて染めたり、目もカラコンを使って変えてます。
そして、ベリィベリーの変装した姿は去年のプリキュアシリーズのあるキャラまんまだからだかピンと来ますよね。
次回もお楽しみに。
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