ひろプリに野良猫系キャラを入れてみた   作:獅子河馬ブウ

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第98話 キメラングの変化、暴走するツイスター

トールの技を受けたキメラングは暫く上空に飛ばされると強力な雷に気を失い、技が解除されてしまっていた。加えて身体に纏っていたアーマーも耐久力をダメージが超えたのか、空中分解していくと彼女は上空から地上に真っ逆様に落ちていく。それにいち早く地上にいるスカイが気がつく。このまま何もしなければキメラングの身体は地面に衝突して最悪の結末を迎えてしまうだろう。

そうならない為にもウィングが飛んで行こうとしたがそれよりも先に落下するキメラング元に人影が飛んでいく。

 

「おっと、危ねぇ危ねぇ」

 

それは先程までキメラングと戦っていたトールであった。間一髪の所でトールが彼女の身体を受け止めてそのまま地面に着地する。先程まで戦っていた相手とはいえ見殺しにすることは出来ないだろう。

 

「さて、起きたら今までの行いの文句の一つや…ん?」

 

キメラングに対する対する文句を考えようとしたトールだが、ふと気を失っている彼女の顔を見て声を漏らした。

 

「あれ、こいt「トール!」あっ、ツイスターに皆んな」

 

キメラングの顔を見て何かに気づいたトールだが、其処へツイスター達が彼の元へやってくる。

 

「やりましたねトール!」

 

「まさか1人でキメラングに勝つなんて!」

 

「ええ、僕も驚きです!」

 

「本当にすごいよトール!」

 

スカイ達から一斉に褒められたトールは嬉しそうな顔を浮かべる。対してスカイ達も自分達を何度も苦しめていたキメラングを本当に1人で勝った事にトールへ尊敬の念を抱く。

 

「いやぁ、そんなに言われると照れちゃうなぁなんて…あれツイスター?」

 

「ふんっ」

 

4人から褒められたトールは嬉しそうな顔を浮かべるもツイスターだけ何も言ってこない事に不思議に思い、彼女に視線を向けるとそこには機嫌がよろしくないのかムスッとした表情を浮かべたツイスターがいた。

 

「えっと、ツイスター…俺が何かしたのか?」

 

「別に…それよりもいつまでもそいつを抱いているつもりなのよ?」

 

「え?何を言っ…あ」

 

ツイスターの発言にトールは改めて今の状況を振り返る。今トールはキメラングを抱きかかえているが、抱え方はお姫様抱っこな上にキメラングの今の姿はアンダーアーマーのみでボディラインがハッキリと浮かんでいる状態だ。

 

「そ、そうだよなぁ、そろそろ下ろすか」

 

「そ、そうですよ。いつまでも抱えてないでそこのベンチに寝かせておきましょう」

 

「何でウィングが急かすの?」

 

敵とはいえ刺激的な格好をした女性を抱いたトールは顔が次第に赤くなるが、これ以上ツイスターの機嫌を損ねたく無いので近くのベンチに寝かせる。ウィングもトールを急かす様に言うが彼は先程までキメラングの身体をチラッと周りに気づかない様に視線を向けると言ったムッツリスケベな行動をしていたのは秘密だ。

 

「さて、取り敢えず寝かせてみたもののどうしましょうか?」

 

「決まっているでしょ。起きたらマッドサイエンティストにミラーパッドにそっくりな鏡について問い詰め…ん?」

 

ダークパッドについて聞き出そうと考えていたツイスターはキメラングに視線を向けるが彼女の顔を見てある事に気が付いた。

 

「ねぇ、よくよく見たらマッドサイエンティストのヘルメットが無くなっているわね」

 

「あ、本当です!」

 

ツイスターの指摘にスカイ達もキメラングのヘルメットがいつの間に無くなっている事に気付き、普段ヘルメットで露出していた部分を除いて隠されていた頭部全体が露わになっている事を新鮮に思えた。

 

「ああ、それ俺もさっき抱えた時に気付いたんだ。恐らくヘルメットはさっきの俺の技を受けて破壊されたんだと思う」

 

「いえ、多分だと思いますが落下する時に頭から取れてそこら辺に落ちていると思います」

 

「え、どうして落ちてるってわかるの?」

 

ウィングの発言にバタフライは何故ヘルメットが破壊されてないのか気になり聞き返す。するとウィングはキメラングの頭に視線を向ける。

 

「キメラングの頭を見て下さい。もし先程のトールの技で破壊されたとなると破片が刺さってたり怪我をしている筈です。ですが見ての通り頭にはその様な怪我はありませんよ」

 

一同はキメラングの頭部を見つめる。確かに彼女の頭部はこれといった大きな怪我は見当たらず精々髪の一部が焦げている程度だ。

 

「成る程、それじゃあ何処かにキメラングのヘルメットが落ちているって事ですかね?」

 

「え、まさかだと思うけど探すの?」

 

何故かキメラングのヘルメットを探そうとする雰囲気を出すスカイにツイスターは信じられないと言わんばかりの表情を浮かべる。今まで自分達はキメラングから苦渋を飲まされてきたのだ。そんなキメラングのヘルメットを探すのはツイスターにとって抵抗を覚える行いだ。

 

「気持ちはわかります。しかし、敵とはいえあのヘルメットはキメラングにとって大事な物かもしれませんですので。私も大事な物を無くす気持ちは分かりますから」

 

「スカイ…はぁ、あんたのお人よし精神も呆れるわね。それなら私も一緒に探すわ」

 

スカイの言葉に共感を覚えたツイスターは軽くため息を吐きつつ彼女に協力を申し出ようとする。

 

「あ、それなら俺に任せてくれないか?」

 

「トール、心当たりがあるの?」

 

何か自身あり気なトールにプリズムはヘルメットが何処にあるのか知っているのか聞く。

 

「実はキメラングを助ける直前に何かそれっぽいのがキメラングから飛んでいくのを見たからもしかしたらそれかもしれないんだ。俺ちょっくら探してくるから監視よろしく」

 

そう言うとトールはその場を離れ残ったツイスター達5人はキメラングに視線を集中させる。

 

「さて、私達はトールが来るまでキメラングを監視すると言う事ですが…」

 

「とは言っても肝心のキメラングは寝たままだけど…ちょっと待って!」

 

キメラングの監視をする一同だが彼女は先程から寝たままで一向に起きる気配は無く少々拍子抜けに思いかけたが、顔を改めて見ると息が荒く顔色も徐々に悪くなっている。

 

「いけない…さっきのトールとの戦いの怪我が悪化しているんだ!」

 

「それなら早く怪我を治さないと!」

 

キメラングの怪我を治そうとバタフライはミックスパレットを取り出して怪我を癒そうとするがそこにウィングが止める。

 

「待ってください!下手にキメラングの怪我を治せば僕たちを襲う可能性があります!」

 

「でもこの状態を放っておくには!」

 

怪我を治すか治さないかで揉めてしまう一同、確かにウィングの言う事は一理ある。怪我を治せばキメラングは目を覚まして再び自分達と戦いを再開するかもしれない。しかし、だからといってスカイ達は目の前で苦しんでいる者を放っておける訳にはいかないと言い争っていると先程から黙っていたツイスターが口を開く。

 

「バタフライ、マッドサイエンティストの怪我を治してあげて」

 

「え、いいの?」

 

「つ、ツイスター!?」

 

てっきりウィングと同じ様にキメラングの怪我を治す事に反対かと思ってたツイスターの口から治したと言葉が出た時一同は驚きの声を上げる。

 

「まぁ落ち着きなさいウィング。確かにあんたが心配する気持ちは良く分かるわ。でも、マッドサイエンティストは性格はアレだけど筋を通すくらいの事はするから治した所で襲ってくるなんてないと思うわ」

 

「うーん…分かりました。気が進みませんが貴女が言うなら従いましょう」

 

あまり納得できないが取り敢えずはツイスターの言う事を信じる事にしたウィングはバタフライにキメラングの怪我を治して貰いキメラングも顔色と息も穏やかになる。

 

「う…うーん」

 

「あ、そろそろ起きるみたいですよ」

 

身体の怪我が治ったお陰でキメラングの意識が回復し、目が覚めそうになるのに気付いた一同は構えを取る。先程ツイスターからは助けられた恩もあり襲われる事は無いと言ったがそれでももしもの時に対応できる様にしているとキメラングの髪に変化が起きた。

 

「「「「「えっ!?」」」」」

 

それは彼女の白い髪がまるで習字の筆を初めて墨に付けた様に毛先から毛根に向かって黒く染まっていったのだ。

 

「か、髪の色が!?」

 

「白から黒に!?」

 

「何で!?」

 

「一体どう言う事!?」

 

「白髪染め…じゃ無いよね」

 

一瞬で髪の色が変わった事に一同は困惑の表情を浮かべているとキメラングの瞼がゆっくりと開かれる。

 

「うっ…こ、ここは?」

 

「お、起きましたよ」

 

ゆっくりと瞼を開けたキメラングが今の状況を知ろうとしているのか周辺を見渡し、目の前にいるツイスター達をその狂気じみた赤い瞳…では無く青く澄んだ綺麗な瞳でその存在を捉えた。

 

「君たちは…誰だい?」

 

「え、誰って?」

 

「あんた何言ってんの?」

 

まるで初対面の人間の対応をするキメラングにツイスター達は困惑の表情を浮かべる。もしかしたらキメラングが自分達に油断をさせて騙し討ちを仕掛けてくるのではとツイスターは一瞬考えるが、先程髪の色が変化した事や更には瞳の色も赤から青に変化した事などがありキメラング自身何か予期せぬ事が起こったのではと考えた。

 

「皆んな、ちょっとこいつと話してみるわ」

 

「えっ、大丈夫なの?」

 

まだ何もキメラングの状態が把握出来てない中で率先して話しかけようとするツイスターにプリズムは心配する。

 

「大丈夫よ。でも、もしもの時に備えて警戒はしてて」

 

「分かりました。ツイスターも気を付けてください」

 

何かが起きた時にいつでも攻撃できるようにスカイ達はキメラングへの警戒を緩めずツイスターもキメラングの元に近づく、対してキメラングは特に何かする訳でもなくただ近づくツイスターの姿を見ているだけであった。

 

「あんた…マッドサイ…いや、キメラングなの?」

 

「キメ…ラング……私のことなのか?」

 

「あんた以外に誰がいるのよ」

 

"キメラング"と言う名前は彼女の名前であるにも関わらず、まるでその名前を初めて知ったのか周囲を見渡してツイスターに確認を取る姿にツイスターは益々何かがおかしいと思い質問を続ける。

 

「じゃあ、更に聞くけど何であんたがこの公園にいるのかわかっているの?」

 

「公園だって?」

 

自分の今いる場所を理解してなかったのかキメラングは改めて周辺を見渡した。

 

「なんだこの公園は?よくわからないオブジェに遊具それになんだあの大きな鉄の箱は?いつの間にスカイランドでこんな公園が作られていたんだ?」

 

「「「「スカイランド!?」」」」

 

今いる公園を新鮮な眼差しで見るキメラングの口からスカイとウィングの故郷であるスカイランドという言葉が出てきた事に益々スカイ達は困惑する。一方でツイスターは何かを察してきたのか眉を顰める。

 

「じ、じゃあ最後の質問だけど、あんたが此処にくる前に何をしていたのか教えてくれる?」

 

「え、それは…あっ、そうだ!確か私は先程まで翌日にある国王が特別に招かれる研究のお披露目会に向けて研究室でヨヨと共に私の発明品の最終テストを行なっていたんだ」

 

「「「「「よ、ヨヨ!?」」」」」

 

先程から不思議な事を次々と話す中で自分達にとって馴染み深い人物の名前が出た事にツイスターを含めた一同は揃って驚きの声を上げる。

 

「ちょ、ちょっと待って!何でキメラングが私のお婆ちゃんの名前を知っているの!?」

 

「いや、だから私はキメラングじゃ……んん?あれ、よくよく見たらヨヨじゃないか!」

 

「「「「え?」」」」

 

「わ、私!?」

 

プリズムに話しかけられたキメラングはプリズムの存在に気づくと暫く彼女の顔を見てヨヨという名前で呼んだ事に再び驚きの声を漏らす。

 

「いやぁ、目が覚めたら見知らぬ場所でカラフルな格好した集団に囲まれて心細かったけど、ヨヨもいたのか…あれ、というかなんだいその髪型と格好は?仮装大会の時期はもう過ぎているよ」

 

「い、いやいや!私はヨヨじゃなくてましろ…じゃなくてプリズムだから!というかなんでさっきからお婆ちゃんの名前を知っているの!?」

 

何故か自分の事をヨヨと呼ぶキメラングにプリズムは困惑しつつも彼女に自身の祖母の名前を知っているのかと問い詰める。一方で問い詰められたキメラングは首を傾げる。

 

「何を言っ…いや、待った。よくよく顔を見たら少し幼い様な。それに私の知る限りヨヨの瞳の色は緑じゃなかった筈……誰だ君は!?」

 

「だから私はプリズムだって!」

 

プリズムをヨヨと勘違いしたキメラングだが改めてプリズムの顔を見て自分の知る人物では無いと分かると数歩距離を取って警戒し、プリズムはキメラングに振り回されて顔に疲れを見せる。

一方でツイスター達は明らかに様子がおかしいキメラングを見て小声で相談する。

 

「ねぇ、キメラングの事どう思う?」

 

「ええ、今の彼奴は普段私達がよく知るマッドサイエンティストとは別人の様に見えるわ」

 

「そうですね。それに先程彼女の口からスカイランドだけでなく…」

 

「ヨヨさんの名前が出てきました」

 

先程からキメラングの様子がおかしく最初は記憶喪失かと思ったらそうではなく。今いるこの場を見た際にソラが初めてソラシド市に来た時と似たリアクションを取っていた。加えてスカイランドだけでなくヨヨの名前を出し、更にはプリズムの事を少しだけだがヨヨと勘違いした事に益々彼女の謎が深まった。

 

「ねぇ、あんたの名前は一体なんなのよ?」

 

「私の名前だって?」

 

取り敢えずキメラングと言う名前は自分の名前では無いと言い張る事から別の名前があるのだと考えたツイスターは彼女から名前を聞き出そうとする。

 

「だってそうでしょ。あんたさっきから自分の事をキメラングじゃないって言ってるなら別の名前がある筈よね?」

 

「そりゃ勿論だとも、良いかいよく聞くと良い。私の名前h「おーい!」…ん?」

 

ツイスターに煽られたキメラングは自身の本当の名前を言おうとした時、遠くから聞こえてきたトールの声に遮られる。こちらに向かってくる彼の手にはキメラングのヘルメットが収められていた。

 

「トール、見つけたのね」

 

「ああ、少し離れた木に引っかかっていたみたいでな。おっ、丁度起きてたか。ほら、返す…ん?」

 

起きているキメラングに気づくとトールはキメラングにヘルメットを差し出そうとする。しかしキメラングは一向にヘルメットを受け取ろうとしない。

 

「ほら、あんたのヘルメットでしょ。早く受け取りなさいよ」

 

「いや、ちょっと待って下さい。何か様子がおかしいです」

 

スカイに言われた通りキメラングの様子を見ると何故かヘルメットを見てひどく怯えた様な表情を浮かべていた。

 

「な、なんで私の発明品が此処に……いや、待てよ。段々と思い出してきた…わ、私は今まで何て恐ろしい事を!?」

 

自身の身につけてたヘルメットを見て彼女はこれまでの記憶がフラッシュバックしたのか顔が青ざめて酷く後悔して己を責め立てる彼女の姿にツイスター達は困惑する。

 

「どうしたんだろう?」

 

「ああ、なんかこのヘルメットを見て様子が──」

 

トールが様子がおかしいと言いかけた瞬間、彼の手の中にあったヘルメットが勝手に手から抜け出して宙を飛ぶ。そしてそのヘルメットからは漆黒のエネルギーが噴き出した。

 

「な、これはまさか!?」

 

「アンダーグエナジー…!」

 

ヘルメットから出てきた大量のアンダーグエナジーに一同はそれぞれ距離を置き警戒する。そんな中キメラングは息を荒くし目も正気じゃなかった。

 

「い、いや、…嫌だあああああああああっ!!!」

 

「ま、待ちなさいキメラング!」

 

その場から逃げようとするキメラングをスカイが止めようとするが、ヘルメットから出てきたアンダーグエナジーは大きな手に形成すると一瞬でキメラングの胴体を掴んだ。

 

「なっ!?、ま、待ってくれ…私は…!」

 

そう簡単に私から逃げられると思ったか?

 

『へ、ヘルメットから声が!?』

 

キメラングを捕らえたヘルメットから声が聞こえた事にツイスター達は驚きの声を上げる。ひょっとしてヘルメットにAIでも入れているのかと思いかけたが、ツイスターは何かに気がつく。

 

(あの口調は確か以前にも…)

 

ヘルメットから聞こえた声にかつてキメラングがゼインとの戦いにてゼインを追い詰めた際に豹変したキメラングと口調が似ているのだ。

 

「まだ新しい身体の候補がないからな。まだまだお前には働いてもらうぞ!」

 

「や、やめろ!私はもっ、ああああああああああっ!!!」

 

『キメラング!?』

 

拘束されているキメラングの頭にヘルメットが装着されると其処からアンダーグエナジーが放たれ苦しそうな声を上げるキメラングの身体を覆い尽くす。すぐにアンダーグエナジーは消えると其処には髪の色が黒から白へ、瞳の色と青から赤へと戻ったキメラングは拘束が解かれるとゆっくりと地面に降り立つと口角を釣り上げる。

 

「ククク……ハーハハハッ!!!やっぱりアンダーグエナジーは最高だね!」

 

先程までの別人の様な雰囲気と違って水を得た魚の様に生き生きとし狂気な笑みを浮かべるキメラング。一方でツイスター達は先程までのキメラングの姿を見て一つの確信を得る。

 

「ねぇ、まさかだと思うけど」

 

「ええ、多分私も皆さんも同じ事を考えてます」

 

先程までの黒髪のキメラングと今のキメラングの性格は明らかに異なりAI?が入ったヘルメットを装着したことで性格と見た目が大きく変わった事でキメラングは洗脳されていたのだと確信した。そうと分かるとツイスター達はキメラングにヘルメットを外す様に呼びかける。

 

「マッドサイエンティスト!そのヘルメットを今すぐ外しなさい!」

 

「外すだって?やなこった。誰が私の最初で最高の発明品であるこのハイメットを外す必要があるんだい」

 

「ハイメット?なんだか地味にかっこいい名前だけど今のお前はそのハイメットって奴に洗脳されているんだぞ!」

 

「洗脳って、何を言い出すかと思えばこの私が自分の発明品に操られて愚かにも洗脳されているだって…プッ、中々ユニークな発想するね。お生憎だけど私は元から頭のネジが数本外れているから洗脳なんて受け付けないよ」

 

洗脳されている事が全く自覚出来てないキメラングはツイスター達の言う事が戯言と判断してしまう。そして、説得は出来ないと分かるとそれぞれキメラングの周りを取り囲む。

 

「だったらちょっとばかり手荒な真似をするわよ」

 

「へぇ、本当にちょっとかね…」

 

ハイメットを外すつもりが無いのなら実力行使をして外そうとそれぞれはいつでも動ける様に構えを取る。

 

「おやおや6対1か、丸腰の相手にリンチとは随分とらしく無い事をするものだねぇ。特にスカイもやるとは意外だよ」

 

「正直このやり方は私も好きではありません。ですが先程の貴女の顔を見たらそうも言ってられません」

 

キメラングがハイメットを無理矢理装着されて再び元の狂気の姿に戻る直後の事を思い出す。彼女はハイメットから放たれるアンダーグエナジーにその身体が侵食されていく時に自分達の方に目を向けたのだ。

 

(あの時の彼奴は酷く苦しんでいて…助けを求める声を出す間も無かった…でも!)

 

彼女は青い瞳から助けてと言わんばかりの涙を流していたのだ。洗脳されてたとはいえ過去にキメラングが自分達に対して酷い事をしてきたのは覚えている。しかし、彼女は自分のしでかした事に対して深く罪悪感を抱いていた。その姿を見せられたツイスター達は彼女を助けようと判断したのだ。

 

「あらら、これは私にとってはか〜なり不利の様だね」

 

「それが本音なのか演技なのか分からないけど、下手な真似はやめた方がいいよ」

 

「何か妙な動きでもすれば直ぐに僕たちが一斉に止めますから」

 

「痛い思いをしたくないなら降参して」

 

キメラングの言う通りこの6人が同時に相手となると不利であろう。しかし、自身が不利と言っている割には彼女はまだ余裕の表情を浮かべている。一同はまだ何かこの場を逆転出来る手段を持ち合わせているのかと考えているとその考えに察したのかキメラングが口を開ける。

 

「どうやら君たちは私がまだ何か戦う手段を持っていると思っている様だけど安心したまえ、ハイスペックアーマーは君たちの所為で全てオジャンな上にその他武器や発明品はラボに置いてきたから君たち相手に勝てる可能性は低すぎるからね。此処は素直に負けを認めて帰らせてもらうよ」

 

「簡単に逃げられるとおもってんの?」

 

「そうです。あなたのそのヘルメットを外すまでは逃しませんよ」

 

キメラングを逃さない様にツイスター達はジリジリと距離を詰めて行く。対してキメラングは追い込まれているにも関わらず焦らず余裕な笑みを保ったままである。

 

「クククッ、いや、逃げられるさ。何故ならツイスター…君が私を逃してくれるからね♪」

 

「はあ?あんた何を言っ!?」

 

『ツイスター!?』

 

その時、突然ツイスターは苦しい表情を浮かべると地面に膝をついて胸を抑える。スカイ達も突然苦しみだすツイスターの元に駆け寄る。

 

「ツイスターどうしたんですか!?」

 

「胸が苦しいの!?」

 

「く、苦しい胸がっ!あ、ああああああああああっ!!!」

 

苦しむツイスターにスカイ達は彼女の状態を詳しく確認しようと肩に手が触れそうになった時、ツイスターの身体からブワッと漆黒のオーラが放出されスカイ達は咄嗟にスカイから距離を取る。

 

「これはまさか!」

 

「アンダーグエナジー!?」

 

見覚えのある漆黒のオーラはこれまで見慣れてきたアンダーグエナジーであるとスカイ達は直ぐに理解した。だが、何故彼女から突然アンダーグエナジーが身体から噴き出したのかスカイ達は分からなかったがプリズムとバタフライの脳裏にはツイスターとキメラングの戦いの最中にあった事を思い出した。

 

「待って、確かあの時に…」

 

「キメラングがツイスターにアンダーグエナジーを…まさかその時の!?」

 

「クククッ、どうやら気付いた様だね。そうさあの時私がツイスターの身体に仕込んだアンダーグエナジーこそが彼女の身体を苦しませる原因なのさ」

 

プリズム達の推測を肯定するキメラング。それを聞いたスカイ達はツイスターを苦しませるキメラングへ憤慨しようとした時だ。

 

「あああああああああっ!!!!」

 

『ツイスター!!!』

 

先程よりも更にツイスターの身体かアンダーグエナジーが放出され彼女の表情は苦痛に満ち、中途半端に黒かった彼女の衣装は全て黒く染まっていき、マフラーも蝙蝠の翼の様なデザインに加えて髪も黒に近い緑へ染まり最後には紫のアイシャドウが追加される。

 

「嘘…あの姿って」

 

「あの黒い姿は以前の!」

 

姿が変わったツイスターを見てプリズムを筆頭とした一同は以前ゼインとの戦いでなった漆黒の姿に動揺を見せると先程まで辛そうな顔を浮かべてた彼女の事を心配してプリズムは恐る恐る近づく。

 

「ツ、ツイスター…大丈夫?」

 

「待ってプリズム!」

 

何か嫌な予感を察したのかバタフライはプリズムに止まるように言うがプリズムは既にツイスターに手が届くまで近づいており彼女の肩に手を伸ばそうとした瞬間だ。とても正気とは思えないツイスターの瞳が近づくプリズムの姿を捉える。

 

「シャアッ!!!」

 

「え?」

 

プリズムの顔にツイスターの鋭く伸びた爪が襲いかかり、彼女の顔を切り裂く…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「や、やめてくださいツイスター…!」

 

「フゥー…フゥー…コロスッ…!」

 

と思われた瞬間、直前にスカイがプリズムの前に割り込みツイスターの手を両手で掴んで止めたのだ。

 

「何やっているんですか、貴女が手をかけようとしたのはプリズムですよ…!(くっ…なんて力なんですか!?)」

 

説得をしながらスカイはツイスターの手を全力で抑えているが一瞬でも気を抜けば振り払われそうになりそうになる。一方でツイスターはもう片方の手でスカイに攻撃しようとする。

 

「シャアアアアッ!!!」

 

「しまっ!?」

 

両手でツイスターの片手を止めているスカイはツイスターのもう片方の手による攻撃に防御する手段がない為、迫り来るもう片方の拳を受けてしまう。

 

「させるかっ!!!」

 

「ニャアッ!?」

 

だが、其処へウィングが飛び込みツイスターに向かって蹴りを放つが彼女は咄嗟に後退して蹴りを避けた。

 

「ありがとうございますウィング」

 

「お気になさらず。それよりも何故ツイスターが攻撃を?」

 

「あの姿って前になった時は暴走はしなかったよね」

 

「でも、何で今回は暴走を?」

 

一同(トールを除く)の脳裏にはかつてゼインとの戦いの最中に今と同じ姿になったもののその時は身体の不調を訴えるだけで暴走はせず正気は保たれていたのだ。だが何故今回は正気が保てていないのか分からずにいた。

そんな疑問にキメラングは再び察したのか口を開いた。

 

「どうやら君たちはゼインとの戦いの時の事を言っている様だが、あれは例外中の例外…元から彼女の身体にあったアンダーグエナジーと悪意のデータを吸収した事でエラーが発生し奇跡的にも正気は保つ事が出来たのだよ。だけど今回はツイスターの身体に募らせた純粋なアンダーグエナジーの許容が限界を超えて彼女は闇の戦士ダークツイスターとなったんだよ!」

 

『なんだって!?』

 

てっきりトールのいる世界で一度ダークツイスターと化したからゼインとの戦いではダークツイスターへの耐性が出来て暴走は起きないと思っていたスカイ達はキメラングから聞かされた事実に驚きの声を上げる。

 

「さて、説明は以上だ。君達はダークツイスターの相手をして貰って私はお暇させてもらうよ」

 

「ふざけるな!ツイスターをこの状態にしたまま帰すと思っt「シャアッ‼︎」うおっ!や、やめろツイスター!」

 

逃げ出そうとするキメラングをトールが捕まえようとするがそれを邪魔するかの様にツイスターが立ち塞がりトールへ襲い掛かった。

 

「クククッ、礼を言うよツイスター。それでは諸君。さらば!キメランラン♪」

 

「なっ、待ちなさい!」

 

キメラングを止めようとスカイ達が動き出すが間に合わず彼女はその場から消えてしまった。

 

「しまった逃げらr「ニャアアアアッ!!!」くっ、ツイスターやめろっ!俺だトールだ!」

 

休む間も無く連続で攻撃を仕掛けてくるツイスターにトールは必死で抵抗をしながら彼女に呼び掛けるが全く効果は無かった。以前はトールことひかるに手を出さなかったが今回は手を出してくる辺りキメラングが何か手を加えたのだろう。

 

(くそッ!キメラングの奴、ツイスターにさせたくない事をさせやがって…!)

 

このままではツイスターが自分達の中の誰かを傷つける様な事があれば正気に戻った後、彼女は自分を責めてしまうと考えたトールは何とかそれを防ごうと迫り来る彼女の両手を掴み動きを封じる。

 

「ツイスター!悪いがちょっと我慢してくれよ!」

 

正直トールとしてはツイスターに傷を付けたくないが彼女がこれ以上苦しむ様な真似をさせない為、一時的に気絶させようと自身の両手から彼女の身体に電流を流し込む。

 

「ニャ、ああああああああっ!?」

 

「え?」

 

するとトールからツイスターへ電流が流れ込んだ瞬間、ツイスターの腕は元の緑の衣装に変化し伸びた爪が元の長さへと戻り、更には悲鳴も獣から人…即ち元のツイスターの様悲痛の叫びを上げた事にトールは電流を止めてしまう。

 

「シャアッ!」

 

「がはっ!?」

 

「「「「トール!」」」」

 

電流が止まるとツイスターはトールの腹部に向かって蹴りを入れて彼を吹き飛ばされるがスカイ達が咄嗟に回り込み彼を受け止めた。

 

「大丈夫ですか?」

 

「ああ、大丈夫…いや、やっぱり大丈夫じゃない。ツイスターに蹴り入れられて拒絶されたぁ…」

 

「ああ、心のダメージが大きかったみたいだね」

 

ポロポロと涙を流すトールはツイスターに嫌われたと思い込み腹ではなく心に深刻なダメージ負ってしまい気分が沈んでしまう。

 

「気をしっかり持ってくださいツイスターは今正気じゃないんですよ!」

 

「そうだよツイスターも元に戻れb「元に…あっ、そうだそれだ!」うわっ!?なに、急に声を上げてどうしたの?空元気?」

 

先程まで落ち込んでいた筈のトールがウィングとバタフライが慰める中、突然声を上げた事にバタフライは驚いてしまう。

 

「わかったんだよ。どうすればツイスターを元に戻せるのか」

 

『本当に!?』

 

ツイスターを元に戻せると聞いてスカイ達は思わずトールに詰め寄る。

 

「ああ、さっきツイスターの動きを止めようと電流を流したら一瞬だけ掴んでいた腕が元に戻って更には瞳も戻ったんだ」

 

「そうなんですか!?」

 

先程トールの目の前で起きた事を聞いたスカイはツイスターを戻せる希望が見えた事にやる気が湧いてくるがプリズムとウィングは何か納得いかないのか疑問を口に出す。

 

「でも、なんでその時に完全に戻す事が出来なかったんだろう?」

 

「それ以前に電流を流したら元に戻るって言うのはどう言う原理なんですか?」

 

「え?…あ、あぁ…マジで何だろうな?」

 

2人の疑問に対してトールは言葉が詰まってしまう。先程自身が自分の電気でツイスターを元に戻せるとは言ったが何故元に戻す事が出来るのかその仕組みを理解できてなかったのだ。

 

「え、皆んなわからないの?そんなもんに決まっているじゃん」

 

『何故そこで愛!?』

 

バタフライの発言に思わずツイスターを除く全員がツッコミを入れる。

 

「え?だってよくある御伽話だって呪いを掛けられたお姫様が王子様のキスによってを呪いが解かれるのと同じでしょ?」

 

「そんな訳ないじゃないですか」

 

当たり前の様に御伽話と同じパターンに当て嵌めている事にウィングが呆れた表情を浮かべる。

 

「いや、待ってください。強ち間違いじゃないかもしれませんよ」

 

「え、何を言っt「思い出してください我々が常に困難に立ち向かった時は愛…つまり仲間や他者への強い想いにより打ち勝ってきましたよ」…と言うと?」

 

「つまり、トールがツイスターを元に戻したいと言う強い想い…即ち愛がツイスターの中にあるアンダーグエナジーを浄化してくれるのかも。私たちがランボーグを浄化する様にね」

 

スカイとプリズムの説明を聞いてウィングは「成る程」と納得の表情を浮かべる。確かにこれまで自分達の想いが強い程それに見合った力が発揮された。それなら今までの様に今回はトールがツイスターへの強い想いを彼女にぶつければ戻せるという可能性が思いつく。

 

「それならトールg「フシャーッ!!!」うわあっ!?」

 

何か告げようとしたウィングの言葉を遮るかの様に痺れを切らしたツイスターが一同に向かって一気に飛び出してそのまま両手の爪で切り裂こうと迫り来る。

 

「はい、ちょっと待ってて!」

 

「ウニャッ!?シャアアアアアアッ!!!」

 

しかしそうはさせまいとバタフライがバリアを貼ってツイスターは目の前に突然現れたバリアに顔を強打し、更に逃げ出さない様に彼女の周囲にバリアを貼るがツイスターは怒りのまま爪や翼で自身を囲うバリアを壊そうと無茶苦茶に攻撃する。

 

「どうやら黒ツイスターは気が短い様だからチャチャっと作戦決めちゃお」

 

「ええ、では僕たちがツイスターの注意を晒すので隙を見てトールは彼女に電撃を浴びせて下さい」

 

「でも、腕を掴むだけじゃあまり効果は無さそうですよ」

 

「だったらどうしたら良いんだろう?」

 

先程ツイスターの腕に電流を流し込んだがそれは一瞬しか効果が無くもっと効果を発揮するにはどうしたら良いのかトール達はわからないでいたが、バタフライはキョトンとした顔を浮かべて口を開く。

 

「え、だったら浴びせる範囲を広げれば良いじゃん」

 

「え、それってつまり?」

 

「勿論ハグしかないでしょ」

 

『は、はぐーっ!?』

 

バタフライの提案に思わずトール達は驚きの声を上げてしまう。確かにハグ…つまり彼女の身体を包み込む様に全身にトールの電気を流せば効果は大きくあるだろう。

 

「い、いや…でも、無理矢理抱きつくのって…」

 

正気じゃないとはいえ無理矢理抱きつくのはトール自身抵抗があった。幾らツイスターを助けるとはいえ彼女の合意無しにするのは先程腹を蹴られた様にツイスターが物凄く抵抗するイメージがあり、やる気がイマイチ湧かなかった。

 

「良いじゃん。ツイスターの身体を合法的に抱きしめて更には元に戻せる一石二鳥じゃん!役得役得♪」

 

「バタフライ…ひょっとして楽しんでいる?」

 

「はははっ、まさか。そんなつもりはないよ」

 

──嘘である。

この女はこんな状況にも関わらず恋を患う少年(トール)と同じく恋を患う少女(ツイスター)のアハハでウフフな恋のときめきアバンチュールを見たい目的もあり提案をしたのだ。戦いの最中だと言うのに。

トールはそんな提案に乗るべきか乗らないべきかと悩んでいるとスカイが話しかけてくる。

 

「トール、私からもお願いします」

 

「スカイ?」

 

「ツイスターは今あんな姿になって本当は苦しい思いをしている筈です。そんな彼女を救うにはトールの力が必要なんです」

 

「っ!」

 

スカイの話を聞いてトールは思い出す。ツイスターはダークツイスターになる瞬間、とても苦しそうにしていたのだ。そして今の彼女も苦しい思いをしている筈であると考える。

 

「私からもお願いだよ!」

 

「正直キツイと思いますがツイスターを助けてください!」

 

「プリズム…ウィング……ああ、わかったよ!やってやるぜ!」

 

スカイだけで無くプリズム達からの頼みにトールは腹を括りやる事を決意し、それを見たバタフライは口元を緩める。

 

「なら、私たちがツイスターの注意を逸らすからトールは隙を見てツイスターをお願い!」

 

「ああ、任せてくれ!」

 

これで自分達のやるべき事は決まった。それと同時にツイスターがバリアを破壊して一同の前に立ちはだかる。

 

「ウゥゥゥゥゥ…コ、コロス…シャアアアアアアアアア!!!」

 

「さあ、ツイスターを救おうぜ!」

 

「「「「はい(ええ)(うん)‼︎」」」」

 

暴走するツイスターを止めようとトール達はツイスターへ突っ込んでいった。

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