ひろプリに野良猫系キャラを入れてみた   作:獅子河馬ブウ

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投稿が遅くなって申し訳ありません。あいも変わらず仕事が忙しくて中々書くタイミングが無く遅れてしまいました。
今回は15000字越えで長いですが今回でデート編は終わります。最後まで見てくれると嬉しいです。


第99話 結ばれる2人

「はあっ!」

 

「シャアッ!」

 

ダークツイスターと化したツイスターと戦うプリキュア達。まず初めにプリズムがツイスターに向かって光弾を飛ばす。対してツイスターは臆する事なくその光弾を弾き返してやろうと腕を振るう。

 

「煌めけ!」

 

「ニャアッ!?」

 

しかし光弾はツイスターの腕に触れる直前に激しく光り、ツイスターはその光を直視してしまうと目が眩み動きが止まる。

 

「今です!」

 

「はあっ‼︎」

 

ツイスターの動きが止まっている隙にスカイとウィングが彼女へ接近して取り押さえようと左右から接近する。

 

「シャアアアアアアアッ!!!」

 

「「ぐっ…うわあっ!?」」

 

しかしツイスターは自身の身体から竜巻を発生させる。これにより近づくスカイ達を吹き飛ばすと追撃する様にスカイ達を自身のマフラーを鋭利に伸ばした。そのままマフラーで2人の身体を貫こうとするツイスター。だが、それを遮る様にバタフライがバリアを張り攻撃を防いだ。

 

「させないよ!」

 

「ウゥゥ…シャーッ!!!」

 

攻撃を防いだバタフライにツイスターは不機嫌そうに唸ると上体を屈みつつ猫の様に両手両足を使って地面を抉りながら一気に彼女へ距離を詰めてきた。そこに金色のオーラを纏ったトールが2人の間に入る様に現れてツイスターの前に立ちはだかる。

 

「俺がいる事も忘れないでくれよ!」

 

「ニャッ!?」

 

トールとツイスターの間は2m弱で一歩強く踏み出せば衝突する事が出来る距離である。勝利を確信したトールはツイスターを抱きしめようと腕を広げて彼女との間合いを詰めようとした。

 

「シャア……アアアアアアッ!!!」

 

「いいっ!?」

 

だがツイスターは迫り来るトールに対して自身の両腕に風を纏わせるとそのまま腕を振るい、風の斬撃を飛ばしてきた。それにトールは慌てて回避する。そして避けた斬撃は地面や近くの遊具を切り裂いてしまう。

 

「あ、危ねえ…なんて切れ味だよ!?」

 

「殺傷能力高過ぎでしょ!?」

 

「あんなの当たったら大怪我してしまいますよ!」

 

ツイスターの放った風の斬撃の切れ味にトール達は冷や汗を流す。もしこれが自分達の体に当たったらスプラッターな光景が広がってしまう。バタフライのバリアで防げるかも怪しいところだ。

 

「それなら早く動くまでだよ!2つの力を一つに!ホワイト!イエロー!速さの力、アゲてこ!」

 

ミックスパレットの力でバタフライは自分を含めた全員の速さを上げるとツイスターへ迫っていく。対してツイスターは自身に近づく敵に対して先程と同様に風の斬撃を放つが、全員はそれを避ける。更にツイスターからは追撃としてマフラーや風を飛ばしてくるとプリキュア達はそれらも避けて彼女の周囲を動き周り翻弄させていく。

 

「よし、流石にツイスターもすばしっこくてもこの速さとこの数じゃ捌ききれないみたいだね」

 

「でしたらこのまま一気に皆んなで取り押さえましょう」

 

翻弄されている今なら今度こそツイスターの捕まえてそのままトールの力によって正気に戻せるとウィングは考えるがバタフライは「いや」と言って否定する。

 

「またさっきの様にやろうとしたらまた自分を中心に竜巻を発生させて吹き飛ばしちゃうかもしれないよ」

 

「だったらどうするんですか?」

 

取り押さえようとしたら逆に自分達が吹き飛ばされる。なら、どうやって捕まえるのかとウィングはバタフライに聞く。

 

「それなら私にナイスな考えが思いついたよ。全ての色を一つに!レッド!イエロー!ブルー!ホワイト!混ぜ混ぜカラーチャージ!」

 

再びミックスパレットを構えたバタフライは全ての色を混ぜ合わせると虹色のオーラが筆から放たれそれがウィングの真上から降り注ぎ彼は巨大な火の鳥へと変身してバタフライが背に乗り込む。

 

「さあ、ツイスター!ドッグファイトで勝負だよ!」

 

「シャアーッ!!!!」

 

バタフライの誘いに乗ったツイスターは自身のマフラーを羽ばたかせると火の鳥と化したウィングを追いかけ互いにぶつかり合っていく。そんな様子を地上ではスカイ達がハラハラと見ていた。

 

「バタフライ!我々も協力します!」

 

「待って!スカイとプリズムは其処でいつでもアップドラフトシャイニングを使える準備をしていて!そしてトールも2人のそばに居て」

 

「え、アップドラフトシャイニングですか?」

 

「よく分からないけど、わかった!」

 

何故アップドラフトシャイニングを使うのかと疑問が浮かぶがバタフライの事だから何か作戦があるのだろうと思い2人はいつでも技を発動できる準備をする。

 

そして、それからツイスターと火の鳥になったウィングが激しくぶつかり合うと二人は正面を向く。するとツイスターが相手を撃ち落とさんと言わんばかりに突撃をかまして来るがバタフライはニヤリと笑みを浮かべた。

 

「今だよウィング!プリキュア!タイタニックレインボー!」

 

バタフライの掛け声に応える様にツイスターがウィングにぶつかる直前、ウィングの身体は火の鳥から巨大なプニバードへと姿を変える。

 

「ニャプッ!?」

 

突然姿を変えた事にツイスターは動揺を見せ、そのまま止められずその巨体の腹に深く減り込むもゴムまりの様に強く反発し彼女を宙に弾き飛ばした。

 

「2人とも後はお願い!」

 

「成る程、わかりました!」

 

「うん、任せて!」

 

バタフライが何を考えていたか漸く理解したスカイ達はスカイミラージュを構えるとスロットにスカイトーンを装填する。

 

「スカイブルー!」

 

「プリズムホワイト!」

 

2人はスカイミラージュを高く掲げると宙を飛ぶツイスターの真上に円盤が現れて吸い込まれていく。

 

「「プリキュア!アップ・ドラフト・シャイニング!!!」」

 

「ウガアアアアアアアアア!!!」

 

背後の円盤の強力な吸引力によりツイスターは吸い込まれそうになるが自身のマフラーの翼を羽ばたかせて何とか離脱しようと抵抗する。しかし、そうする事はスカイ達には想定内のことだった。

 

「「トール!!!」」

 

「ああ、今度こそ‼︎」

 

彼女達の背後に準備をしていたトールは黄色のオーラを纏うと一気にツイスターに向かって飛び上がっていき彼女の身体を今度こそ抱きしめようとする。

 

「シャアアアアアアアアア!!!」

 

「しまっ!?」

 

しかしツイスターは迫り来るトールを敵として見ており動けない自分を攻撃して来るのだと思い込んだのかトールに向かって連続で風の斬撃を放つ。対してトールは避けようにも自身も円盤の吸引の範囲内にいる為、あまり動く事が出来ずそのまま風の斬撃に身体を切り裂かれて──

 

「まだだっ‼︎」

 

──かと思いきや斬撃が当たる直前、トールのオーラの色は青白へと変化すると飛んでくる斬撃を全て避けそのままツイスターの元へいき彼女の身体に抱きついた。

 

「ニャアアアアッ!!!」

 

「痛っ!あ、暴れるなって!」

 

身体をトールに抱きつかれた事にツイスターは引き剥がそうとトールの背中を自身の爪で掻きむしり更には首を噛みついたりするがトールは耐え、拘束が解けない様に腕に力を入れながら彼女に話しかける。

 

「ツイスター…痛い思いをさせるかもしれないが我慢してくれ!元に戻ったら何でも聞いてあげるからさぁっ‼︎」

 

「ニャアアアアあああああああああああっ!!!」

 

謝罪の言葉を掛けるとトールは全身から電撃を放ち、そのままツイスターの全身に直接流し込んでいく。ツイスターは全身を流れる電撃の痛みに悲鳴を上げるが、次第にその声は獣から人へ変化。更には衣装も黒から緑色へと戻っていく。このままいけば元に戻せるとトールは確信をし、更に彼女の身体に電気を流し込もうとする。

 

「ぐっ…シャアアアアアアアアア!!!」

 

「な、なにっ!?」

 

だがその時、ツイスターは抵抗する様に自身の身体を竜巻の如く回転させ始める。それによりトールはツイスターの身体から振り飛ばされそうになるが、そうはならない様に必死に耐える。するとツイスターは更に回転数を上げていき、トールは遂に耐えられなくなるとツイスターから手を離してしまうと彼女から少し離れてしまう。

 

「まけるかああああああああっ!!!」

 

「ニャッ!?ああああああああああッ!!!!」

 

しかしトールは完全に飛ばされる直前に両足でツイスターの腹をホールド。そのまま空いた両手を再びツイスターの身体に抱きしめると先程まで放っていた電撃よりも強力な電撃を彼女に流し込んだ。ただ、その電撃が強力過ぎたのか周辺の物にまで襲い掛かり大地や遊具に木を黒く焦がしていく。

 

「くっ、なんて強力な電撃なんですか…!トール負けないで下さい!ツイスターももう少し耐えてください!」

 

「頑張ってトール!ツイスターも頑張って!」

 

電撃はスカイ達にも飛んでいくが2人は何とか避けながらトールとツイスターに応援をする。黒焦げの周囲の物体を見る限りツイスターの身体に流れる電撃は常人では耐えられないだろう。だが、これを耐え切らなければツイスターは元に戻らない為にスカイ達は彼女が耐え切るのを祈っているのであった。

そして、暫くすると電撃は収まっていきトールの腕の中には緑色の衣装を纏うツイスターの姿が確認が出来た。

 

「ツイスター…大丈夫か?」

 

「はあ…はあ…え、ええ…何とかね」

 

心配するトールにツイスターは返事をするが彼女は完全に息切れしていた。何しろ先程までダークツイスターとして暴れ、更には元に戻る為に強力な電撃を身体に浴びた為に1人で歩けない程の大量の体力を消耗してしまったのだ。それに察したトールは奇跡的に無事だったベンチにツイスターを休ませるとスカイ達と避難していたベリィベリー達を呼びツイスターの元へと集まり全員変身を解いた。

 

「ごめんなさい…また迷惑をかけたわ」

 

変身を解いたらんこは今回の件を重く受け止めてしまう。自分の理性は無かったとはいえ、並行世界と同様にキメラングの策略により暴走しソラ達に手を出してしまった事にらんこは心が引き裂かれそうな思いをしていた。

 

「らんこさん…謝らないで下さい」

 

「らんこちゃんは悪くないよ」

 

「そうだぞ。その場にいなかった私が言うのも何だが悪いのはキメラングの奴だろ」

 

「えるぅ…」

 

「にゃん…」

 

未だに消えないらんこの猫耳もぺたんと下がり彼女の悲しみの気持ちがよく伝わって来る。ソラ達はそんな悲しみに沈むらんこを励まそうとそれぞれ声をかける。

 

「だって、私が暴れた所為で皆んなが傷ついて公園もボロボロに…」

 

らんこはみんなを傷つけたのもそうだが視界に広がる先程までの戦闘痕に自身の心が苦しまれる。普段なら戦闘後に周辺の物は修復されるが今回はランボーグなどは出現してない為、以前の体育祭の様に自動で修復される事は無かった。

 

(やはり直りませんでしたか…仕方ありません。エルちゃんには申し訳ありませんが此処は貯めているキラキラエナジーを…)

 

ソラはこうなったら元々貯めていたキラキラエナジーを使おうと考え、ミラーパッドを取り出そうとした時だ。

 

「何だ?」

 

「ひかる君?」

 

突然自身のズボンのポケットに手を突っ込んだひかるにソラはどうしたのだろうと不思議に思う。その直後、ひかるはポケットから手を引き抜くと点滅する自身のスカイトーンを取り出した。そして、そのスカイトーンからは見覚えのあるキラキラした物質…キラキラエナジーが放出される。

 

「え、キラキラエナジー!?」

 

「何でひかる君のスカイトーンから!?」

 

普通はランボーグを浄化しないと現れないキラキラエナジーが何故かひかるの持つスカイトーンから放出された事に一同は疑問に思った。一方でひかるは目の前に放出されるキラキラエナジーを見て数日前の出来事を思い出した。

 

「このキラキラエナジー…もしかしてあの時の!」

 

それはひかるが元いた世界にてバタフライとウィングがミックスパレットの力を手に入れ、それでランボーグを浄化した際に出現したキラキラエナジーが半分程自身の持つスカイトーンへ吸収された時のことを思い出した。恐らく今出ているキラキラエナジーはその時のものだろうと推測する。

そして、そのキラキラエナジーは戦闘によって傷ついた公園を修復して行った。

 

「ソラさんミラーパッドを!」

 

「あ、はい!ミラーパッド、オッケー!」

 

ひかるにミラーパッドを出す様に促されたソラは言われた通りミラーパッドを取り出すとキラキラエナジーを吸収する事に成功した。

 

「ひかる君、何でキラキラエナジーを持っていたの?」

 

「ああ、元の世界で皆んながランボーグ…あれ、なんか凶暴だっけ?まぁ、兎に角いつもの様に浄化した際に何故かその時出たキラキラエナジーの半分程の量が俺のスカイトーンに吸収されたんだよ」

 

「ひかる君のスカイトーン…なんか他の皆んなと違う仕様になっている感じだね」

 

ひかるの持つスカイトーンだけなのかどうかはわからないがキラキラエナジーをストックできる事にあげははこの前の壁画アートにて彼がいたらキメラングにキラキラエナジーを横取りされずに済んだのだろうと考えた。

 

「兎に角、これで少しは気が晴れただろう?」

 

「うん、ありがとうひかる……でも、公園が直っても私が皆んなを傷つけようとした事実は変わらないわ」

 

「大丈夫ですよ。幸いにも僕たちは大きな怪我をしてませんでしたし」

 

「そうだよ。それにあんな事になるなんて誰も想像出来なかったんだから」

 

公園は戻ったもののやはり皆んなを傷つけようとした事実は消えずらんこはその事を責め続ける。それも仕方ない事だ。らんこにとって彼女達はかけがえのない友達。そんな彼女達に理性は無かったとはいえ攻撃してしまった事にらんこ自身は許せなかった。

 

「またいつか今回の様に暴走…しちゃうかもしれない……なら、私は皆んなからh「らんこさんそれ以上は言わないでくれ」ひかる…」

 

"皆んなから離れる"と言おうとした時、ひかるがらんこの隣に座り彼女の手を取り真剣な目で彼女の顔を見つめる。

 

「俺と此処にいる皆んなは誰もそんな事を望んで無いんだ。だからそんな事は言わないでくれ…」

 

「でも…皆んなの側にいればまた暴走して今度こそ取り返しのつかない事に…」

 

今回はベリィベリーやエルなど戦えない者が近くにいなかったから良かったものの、次に暴走した際に同じ状況になるとは限らない。今度は彼女達や一般人を巻き込んでしまうかもしれないと考えると不安でしょうがない。

 

「その時はまた俺が戻すよ。そうすればらんこさんはみんなを傷つけずに済むから」

 

「でも、ひかるは此処とは違う別の世界に住んでいるんだから…」

 

そう簡単に呼べる訳が無いとらんこは思った。彼にも元の世界では自分と同じく学校だったり友達と遊んだりと生活がある。そんなひかるを自分が暴走する度に呼んでしまうのはひかるにとって迷惑になるとらんこは考えた。

 

「確かに俺は此処とは別の世界の人間だ。でも、それがどうした!俺は大好きならんこさんの為ならどんな時でもこっちに飛んでいくぞ!」

 

「ひかる…ありが…ひっぐ、がとぅ…!」

 

どんな時でも助かると言う言葉を聞いたらんこは思わず涙を流していき、そんな彼女を見てひかるは優しく身体を抱きしめて涙が止まるまでただ頭を撫で続けるのであった。そして、ソラ達は2人の時間を過ごせる様にその場から離れていった。

 

───────────

 

それから数分して、漸く涙が止まったらんこは少し気まずそうな顔を浮かべながらひかるに声をかける。

 

「ひかる…ごめんなさい。あなたに恥ずかしい所を見せたわね」

 

「気にしなくて良いさ。これくらいお安いご用だから」

 

先程までらんこはひかるの腕の中で泣いてしまった事に恥ずかしさ覚え、更には自身の流した涙がひかるの服を汚してしまった事に申し訳ないと思いひかるに視線を合わせづらかった。

 

「…今思うとあなたには色々と助けられてばかりよね」

 

「そうか?でも、そう言うらんこさんも初めて会った時に俺を助けてくれただろう?」

 

そう言ってひかるはらんこと初めて会った時の事を口にする。あの時はらんこと同様にキメラングが転移し、丁度近くにいたひかるをランボーグへ変えてしまった。そこで知り合ったアサヒとユキとその世界のソラ達と協力してひかるを元に戻したのだ。そんな思い出を語るひかるにらんこは少し懐かしむ様な顔を浮かべる。

 

「あの時は偶然よ。あなたが運悪くマッドサイエンティストに目をつけられた所為で2度も巻き込まれたのよ」

 

「偶然か…でも、俺はどちらかといえば運命って思っているぞ。だってそうじゃないか。本来は俺たちは別々の世界で住んでいてあの時の事がきっかけで俺たちは今日まで一緒に楽しい事や辛い事を共にした。これって運命じゃないのか?」

 

「ふーん…運命…ね」

 

そう呟くとチラッとひかるの顔に視線を向ける。確かにひかるの言う事も分かる。本来別々の世界に住む自分達はこうやって会話したり今日遊んだりして共に行動する事は無かった。そう思うと自分達が出会ったのも運命なのだと自然に納得する。

 

「あっ、なんかキザっぽい台詞だけど別に俺はカッコつけたつもりはないから」

 

「わかっているわよ。て言うか逆にわざと言ってたらダサいわよ」

 

「ダサッ!?」

 

らんこの発言に思わずショックを受けるが、先程吐いた台詞について我ながら臭い台詞とひかるは自覚する。らんこもひかるがナルシストではない事を承知している為、彼がそのつもりで言ったのではないと理解している。

 

「……ねぇ、今日…いや、今まで色々とあったけどそのお礼をさせてくれない?」

 

「え、お礼?」

 

お礼がしたいと聞いてひかるは疑問符を浮かべる。これまでらんこは自分が何かした時、またはらんこがひかるへ感謝される様な行動を取る度に大抵はその場で何かする。または約束事をしていた為、その必要は無いはず。それに今日だって何やかんやあったが2人っきりのデートをして貰ったりしていたのだ。だからお礼は必要無いと考えたひかるは口を開く。

 

「いや、俺はお礼なん──」

 

"お礼なんて要らない"と言おうとしたひかるは最後まで言い切る事が出来なかった。何故なら言っている途中でひかるの唇がらんこの唇に塞がれてしまう。

 

「?……んんんっ!?」

 

「ん…ぷはっ!…こ、これがキスの味なのね…」

 

突然唇を奪われたひかるは現実を認識するまで10秒経って漸く理解して顔を真っ赤にし、そのタイミングでらんこはひかるの唇から離れると一筋の糸が唇から垂れ、それを拭き取るり顔を赤くして恥ずかしそうにする。

 

「ら、らんこそん…じゃなくてさん!?い、今のって…」

 

動揺しつつもひかるはらんこに尋ねる。何故、自身の唇へキスをしたのかと頭にその疑問が沢山浮かび上がった。するとらんこは極力ひかるに視線を合わせず口を籠らせながらゆっくりと開く。

 

「い、今までの事を…振り返ったらこうした方が良いと思って…こ、こんな気持ちをしたのは初めてなのよ。それに人の唇にキスをするのも…」

 

らんこは今までの事を振り返りひかるにキスをすると言う考えに至ったと言うが、男女間の唇同士のキスというのはらんこ自身は何を意味するのか理解している筈だ。

 

「え…それって…」

 

一方でひかるはらんこが自分に初めての唇のキス…つまりファーストキスをしたと気付き呆然となる。

 

「だから…こんな気持ちにさせた……責任を取りなさいよ」

 

「責任って…それはつまり……」

 

薄々察しているひかるだが思わず反射的に聞き返してしまい、それを聞いたらんこは顔を赤くしながらキッとした表情をひかるに向ける。

 

「こ、この鈍感…察しなさいよ!私が何を言いたいのかを!」

 

「お、怒らないでくれよ。だからこそなんだよ。俺はこんな時に勘違いをしたくないからこそ、らんこさんの口から俺に何を伝えたいのかをちゃんと聞かせて欲しいんだ」

 

「うっ!…あ、あんたって、と、とんだドSね…!」

 

虐めるつもりは更々ないのだが、ひかるにとって此処は大事な場面。それも人生に大きく関わるくらいのだ。だからここは間違いを犯したくない為にらんこの言いたい事をはっきりと聞きたかったのだ。

対してらんこは暫く頭を抱えた後、心の整理がついたのかひかるに顔を向ける。

 

「い、一度しか言わないからよく聞きなさい……ひかる……わ、私の…か、彼氏になって…くだ……さい……////」

 

「っ!…らんこ……さん……」

 

恥ずかしがりながらひかるに目を合わせながら告白するらんこにひかるは一瞬脳がフリーズしかけるが、すぐに再起動しらんこが自分に告白してきた事を認識する。

普段からツンデレならんこは自身の本音を中々に言えずやや厳しい口調で言いたい事を遠回しに伝えるのだが、今回はそんな回りくどい事はせず恥ずかしがりながらもド直球に告白する辺り彼女の勇気が伺える。

 

『直球勝負だ!』

 

誰だこいつ?

 

何やら親近感を覚える様な声が相変わらずらんこの脳内に聞こえできたが、今のらんこはそれに気にする程の余裕は無くひかるに告白の返事を今か今かと待っており、告白してから10秒程経つとひかるは漸く口を開ける。

 

「い、良いのか…ほ、本当に良いのからんこさん?」

 

思わず2度確認してしまうひかる。それも仕方ない事だ。以前よりひかるはらんこの事を異性として好んでおり、いつかはらんこの彼氏になりたいと思っていた。しかし、まさからんこから告白してくるとは思ってもみなく再度確認を取ってしまった。

 

「あんたの所為でこんな気持ちになった…いや、させてくれたのよ。今まで私を助けてくれたり楽しい思い出を作ってくれた。それに彼女になれば一緒に過ごす時間も増えて色々と効率的なるわよ」

 

何に対しての効率的なのかは知らないがらんこはひかるに対して必死にアピールしているのはが伺える。

 

『効率的ルン!』

 

誰だこいつ?(2回目)

 

再び脳内から聞こえてきた声にらんこは取り敢えずは無視する。その際オヨ〜!?と聞こえた様な気がするが気の所為だろうメイビー。

そして、らんこは少し不安な顔を浮かべながらひかるに詰め寄る。

 

「そ、それでどうなのよ?付き合って……くれるの?」

 

「そ、それは…」

 

詰め寄るらんこにひかるは少し狼狽しかけるも直ぐに冷静になる。最初は自身の片思いで次第にらんこも自分の事を好きになり自分より先に今回のデートを提案したりファーストキスを捧げてくれたのだ。それならもう答えは決まっている。

 

「も、もちろん。よ、喜んで…お付き合いいたませう」

 

「噛んでんじゃないわよ……ばか////」

 

カッコよく決めるつもりが緊張のあまり噛んでしまったひかる。対してらんこは気が抜ける返事に呆れつつも顔を赤く染めていると突然ボフンという音が響き渡り、一体なんの音かと2人は周囲を警戒しながら見渡すとひかるがらんこの頭を見てある事に気がつく。

 

「あっ、らんこさん猫耳が!」

 

「え?」

 

ひかるに頭に生えている猫耳を指摘されたらんこは恐る恐る猫耳のある部分へ触れようとするが、その手は空振る。更には尻尾の感覚も無くなっていた。そのためもしやと思ったらんこはスマホの液晶画面を鏡代わりにすると、そこに映る自身の姿を見る。すると先程まであった筈の猫耳と尻尾が消えていたのだ。

ミックスパレットの効果が切れたのかはたまたそれともらんこの気持ちの変化があったのか。詳細はわからないが、今日まで生えていた猫耳と尻尾は煙の様に消えたのだ。

 

「や…やったわ!漸く耳と尻尾が消えたわ!」

 

「うおっ!?ら、らんこさん当たっている柔らかいのが当たっているから!」

 

猫耳と尻尾が消えた事にらんこは嬉しさのあまりひかるに抱き着き、その際に服越しに伝わる胸の感触にひかるは興奮するもらんこに離れる様に言う。

 

「あーっ!猫耳が勿体無い!!!」

 

「「……え?」」

 

その時、その場から聞こえた声に2人は動きを止めてその声が聞こえた方向に視線を向けるとそこにはベンチのすぐ後ろにある茂みからスマホを片手に持ったあげはが飛び出していた。

 

「ちょ、ちょっとあげはさん!」

 

「見つかっちゃうよ!」

 

「いや、もう手遅れですよ…」

 

「…」

 

「にゃんこ、ひかりゅ、ちゅっちゅっ」

 

「にゃれにゃれ…」

 

更にあげはに続く様にソラ達も茂みから続々と姿を現した。

 

「な、あ、あんた達!?」

 

「まさか、最初から見ていたのか!?」

 

いつのまにか姿を消していたソラ達が自分達に気づかれない内にベンチ裏にある茂みに隠れていた事に先程までのやり取りを見られていたのかと狼狽する。

 

「い、いやぁ、ちょっとだけですよ。ほんのちょっとしか見ていませんでしたから」

 

「ちょっと?…ちなみに聞くけどそのちょっとって具体的に言うとどこら辺?」

 

「はい、らんこさんがひかる君に慰めて貰っていた所です」

 

「思いっきし最初からじゃない!?」

 

始めから自分達のやり取りを見られていた所にらんこは頭を抱える。そんならんこをましろが慰めている一方であげはとエルがひかるに興奮気味に話しかける。

 

「ひかる君、らんこちゃんの彼氏ご就任おめでとう!そんでらんこちゃんの初めてのキスの味はどうだった?」

 

「ちゅちゅっ!」

 

「え…えっと、とても…甘く…み、瑞々しかったです////」

 

「ひかるさん律儀に答えなくて良いですから」

 

恥ずかしそうにファーストキスを語るひかるにあげはは「きゃー!」と声を上げてエルと共に盛り上がるのに対してツバサはやれやれと言わんばかりの呆れた表情を浮かべる。

そんな時、とある人物が気配を消しながらひかるの背後に現れる。

 

「おい、雷田ひかる」

 

「うおっ!?べ、ベリィベリーさん?」

 

「「「「あ、やばっ!?」」」」

 

「え、なに?なんなの?」

 

先程まで黙っていたベリィベリーがひかるに話しかけてきたのだ。今回のデートにてベリィベリーがらんことひかるの間を裂こうとする行いを見てきた一同は晴れてらんこの彼氏となったひかるに危害を加えるのかと思い焦った表情を浮かべる。

 

「…貴様には聞きたい事がある。嘘偽りなく答えろ」

 

「な、なんで…しょうか…?」

 

まるでゴゴゴッと大気が揺れそうなくらい一触即発な雰囲気の中心に立つベリィベリーから途轍もない圧を感じたひかるは唾を飲み込み、彼女に何を言われるのかやや不安を覚える。

 

「貴様はらんこの事を守れる自信はあるのか?」

 

「も、勿論ある!あります!さっきも言いましたが俺はこの世界の人間じゃない。でも、らんこさんは俺にとって大事な人だ!だから何か危険が迫った時に直ぐにでもらんこさんの元へ行って守っていくつもりです!」

 

「ひかる…!」

 

ベリィベリーはひかるにらんこを守れるかと問うとひかるはその問いにらんこを守っていくと強く答える。そしてその答えをそばで聞いていたらんこは嬉しそうな顔になる。

 

「そうか、なら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ら、らんごぉを…ぐっ、よ、よろじぐだのむぅ〜!」

 

「「「「ええっ!?」」」」

 

「えるっ!?」

 

「にゃっ!?」

 

「べ、ベリィベリーさん!?」

 

「ちょっとどうしたのよ!?」

 

先程まで一触即発な雰囲気から一転してベリィベリーの目からはまるで滝の様に涙を流しながらひかるの手を握り出す。そんな彼女を見たソラ達は思わず驚きの声を上げる。てっきりベリィベリーの視点ではらんこをかっ攫ったひかるに文句や暴力などを振るうのかと思いきやそうではなく逆にらんこを任せたのだ。

 

(完敗だ…完全に私の負けだ…!)

 

最初はひかるに対して強い対抗意識を向けていたベリィベリー。だが、戦いの余波で飛んできた雷から自分を守るとプリキュアとなりらんこ達と協力して見事キメラングを倒した。其処から更に暴走したらんこを正気に戻し、極め付けはひかるへの対する強い想いを見せられたのでベリィベリーも敗北を認めざる得なかったのだ。

 

「らんこ…それと雷田ひかる…幸せになれよ!」

 

「あっ!ベリィベリーさん!」

 

自身の負けを認めたベリィベリーは今までのひかるへの嫉妬や憎悪による最低な行いを振り返ると涙を流しながらその場から去ろうとする。

 

「待ってよベリィベリー!」

 

「らんこ……」

 

だが、そうはさせまいとらんこがベリィベリーの手を掴んでその場に止まらせる。

 

「急にどうしたのよ?何でそんな涙を流すのよ?」

 

「グスッ…だって…だって私は…雷田ひかるに…お、お前の彼氏に一方的に嫉妬していたんだ…!」

 

「え、嫉妬?」

 

ひかるに嫉妬していたという発言を聞いたらんこは泣いているベリィベリーの姿に既視感を覚える。

 

「お前は…わ、私にとって大切な人だ…それなのに、雷田ひかるがお前と仲良くしている姿を見て…わ、私はとても妬ましく思ったんだ。私の大事な友達が……と、取られるんじゃないかって…!だからこんな私がお前の側にいたら…!」

 

「ベリィベリー…」

 

ベリィベリーが心からの本音を語る姿にらんこは少し前にあげはに嫉妬していた自分の姿と重なって見えた。

 

(そっか、あの時親近感を覚えたのはこういう事だったのね…)

 

スカイランドにて初めてベリィベリーと話した時、彼女とは他人の気がしなかった感覚に見舞われた。最初はその正体がわからなかったが、こうやって見るとそれはますます過去の自分とそっくりだった。

 

「ベリィベリーその気持ち分かるわ。私だって今のあんたの様に人を強く恨んでいた事があったのよ」

 

「……え?ほ、本当なのか?」

 

らんこの口から今の自分と同じ時期があったと言う信じられない言葉が出た事に耳を疑った。

 

「私も少し前…ましろがあげは姉さんと仲良くしていた事に強く嫉妬していたのよ。中学で初めて友達になってくれたましろを幼馴染のあげは姉さんに取られるかもって…だからあげは姉さんを貶したりしていたわ」

 

「そんな事が…」

 

一瞬自分を安心させようと作り話でも聞かせるのかと思ったが、らんこの語る表情はその時の感情が強く表されている。それを見たベリィベリーは彼女の言っている事は本当の事だと確信した。

 

「でも、最後はお互いに仲直りをして今の様に仲良くなったのよ。だからベリィベリーもひかると仲良くなれるわよ」

 

「良いのか…私はお前の彼氏…雷田ひかるを散々酷いことをしてきたんだ。今更仲直りするなどそんな虫のいい話があって良いのか…」

 

「何言っているのよ?勿論良いに決まっているわ。ひかるもあんたの事を恨んでいないわよ」

 

そう言うとらんことベリィベリーの前にひかるがやってくる。その表情は今までベリィベリーがしてきた事に対して怒っている…のではなく申し訳なさそうな顔を浮かべていた。

 

「ベリィベリーさん…ごめんなさい。俺の所為でこんな事に…」

 

「なっ!?あ、謝るんじゃない!わ、私だって青の護衛隊の一員なのにお前へ数々の非礼をしてきたんだ。謝るのはこっちだ!」

 

ひかるが謝ってきた事にベリィベリーは慌てて謝罪を撤回させると逆にベリィベリーがこれまでやってきた事に対して謝罪する。

 

「いや、俺もらんこさんが好きだからベリィベリーさんの気持ちがよく分かるんだ。もし立場が逆だったら俺も同じ事をしていたかもしれないんだ」

 

「そ、そんなたらればな事を言っても…と、兎に角だ。私はお前にしてきたことへの仕打ちに対しての罰を受けるつもりは出来ている。何でも言ってくれ。私はどんな罰でも受け入れるつもりだ」

 

「ん?今何でもっt「ちょっと」じょ、冗談だ!冗談!だから目を光らせないでくれ!」

 

つい条件反射でお約束の言葉を言ってしまったひかる。彼は隣からとてつもなく冷めた眼差し…と言うか目を光らせるらんこに睨まれて慌てて冗談と言って誤魔化すと軽く咳払いをする。

 

「じゃ、じゃあ、ベリィベリーさん。俺の事を"ひかる"って呼んでくれないか?」

 

「……え?そんな事で良いのか?」

 

「ああ、前から俺だけフルネームっていうのはなんか堅苦しくってなんか調子狂ってたんだよ。だから良いだろう?」

 

せっかく何でも受け入れると言ったがまさか名前を呼んでくれと言われた事にベリィベリーも面食らってしまう。そのため恐る恐るらんこにどうすれば良いいかと視線を向けると彼女はウインクをして名前を呼んであげてとサインを送った。

 

「じゃ、じゃあ…ひ、ひかる…」

 

「ああ、ベリィベリーさん」

 

ベリィベリーはひかるの名前を呼ぶが今までフルネーム呼びであった事からいざ名前だけで呼ぶとやや緊張してしまい、顔を赤くして少々恥ずかしそうにする。ひかるはベリィベリーに名前を呼ばれた事に返事をすると彼女もまたひかるの名前を呼び続ける。そんなやり取りにましろとツバサは恐る恐るらんこに話しかける。

 

「良かったのらんこちゃん?」

 

「ベリィベリーさんはあなたとひかるさんの仲を何度も裂こうとしていたんですよ」

 

それなのに簡単に許して良かったのかと疑問に思っていると。らんこは口を開く。

 

「ベリィベリーはきっと私がひかると仲良くなっているのを見て、私と関わる時間が減ると思って今回の事をしたって考えると怒るに怒れないのよね」

 

ベリィベリーが寂しい思いをしたくないが為にしたんだろうとらんこは推測するが、ましろとツバサはベリィベリーの好意に結局気づいてない事に呆れた表情を浮かべる。まぁ、今更それが明かされたらややこしい事になりそうだと考えて2人は暫くは黙っていようと考えた。

 

「あ、そう言えば私とひかるが音楽ショップに行った時に其処で腹が立つ奴がいたのよ。全く…今でも腹立たしいわ。何が私の為よ!ひかるの事を馬鹿にして、今度あったら絶対に許さないんだから!」

 

「「え?」」

 

「…ん?どうしたのよそんな顔をして?」

 

どうやら音楽ショップでらんこ達の前に現れた女性がベリィベリーであるとらんこはまだ気づいてない様子だ。そのためましろ達は言うべきか言わないべきかと悩む。今ひかるとベリィベリーは少しずつではあるものの仲良くなっているのだ。其処に音楽ショップで変装したベリィベリーについて教えでもしたら折角鎮火してきたらんこの怒りの炎が再び激しく燃え上がるだろう。そうなったらもうベリィベリーとは絶交してしまうと考えた2人は…。

 

「い、いや、何でもないよ」

 

「よ、世の中には変な人がいるもんですね…ええ、いますよねぇ〜」

 

此処は黙っているという選択肢を取りましろ達は暫くベリィベリーの変装については秘密にしとこうと考えた。今回の一件を終えたベリィベリーがまたあの姿に変装するとは思えない為、言わなくて良いと考えた。

しかし、この選択肢が数ヶ月後とある街にてとんでもないトラブルを引き起こす事になろうとはましろ達は思いもしなかった。

 

「?…へんな2人って、あああっ!ベリィベリー!なにひかるに抱きついているのよ!ひかるも鼻の下を伸ばしてんじゃないわよ!」

 

「なっ、誤解だらんこさん!俺はそんなつもりはない!」

 

「そうだ違うぞらんこ!別にやましい気持ちはない!ただの健全なスキンシップを図ろうとしてだなぁ!」

 

いつの間にか名前呼びから何故か抱きつく程の仲の良さになっていたひかるとベリィベリー。RTA走者もびっくりな速さにらんこはそんな2人へ嫉妬の念を抱き、ひかるとベリィベリーも機嫌が悪くなったらんこを宥めようとする。そんな光景にソラ達は慌ててらんこの機嫌を取ろうと彼女の元へと向かう。

何はともあれ、今回のデートは多くのトラブルが起きたがらんことひかるは男女交際が成立した。最後には交際が成立して早々に崩壊するなんて事が起きかけたが、何とかひかるやソラ達の説得により最悪の事態は回避。らんこも少し照れ臭そうにひかると手を繋ぎ共に公園を後にした。

 

『さぁ、あなたも私と愛を育んでくださいな』

 

だから誰?誰なの!?

 

最後の最後にまた知らない誰かの声が聞こえてきたがその言葉の通りこれかららんことひかるは自分達の愛を育んでいくだろう。

 

─────────

 

その頃、同時刻のキメラングのラボでは丁度キメラングが戻ってきた所だ。

 

「ふぅ〜、何とか戻ってこれたね」

 

「おっ、ドクター戻ってきたか」

 

大きな足音を立てながらキメラングの前に現れたのはターボマンだった前回の戦いにてウィングとバタフライの技にやられて機能停止していたがどうやら動ける様になった様だ。

 

「留守番ご苦労、それでハイスペックアーマーのカメラで取った戦闘記録はちゃんと保存できたかな?」

 

「勿論ちゃんと此処にデータは受信されたぜ。あんたがやられる所までな」

 

キメラングに新しい白衣を着させると近くのモニターに電源を入れると其処に先程までのツイスター達との戦闘映像が流れ、最後はトールの技を受けた所で映像が途絶えた。

 

「でもよ、折角手に入れたプリキュアの力の元であるあのペンが取り返されただけじゃなくアーマーが全部おじゃんは残念じゃないのか?」

 

「いやぁ、そうでもないかもね。新たなプリキュア、キュアトールの力の一端が見られただけでなく新しいドーピングカプセルのデータも取れたんだ。アーマーの件は残念だがその分得る物は得られたさ」

 

「まぁ、ドクターが良いって言うならいいけど、アーマーが無いとこれからの戦いついていけなくねえか?」

 

これから先彼女達と戦う時はアーマー無しでは結構な苦戦を強いられてしまうとターボマンは推測するが、キメラングは「クククッ」と相変わらずの笑い声を漏らして答える。

 

「それなら新しいアーマーを作るつもりさ。なに、今度のは前戦ったゼインのデータを参考にして作るから中々期待できる実力の物が出来るさ」

 

そう言って早速アーマーを作り出そうとダークパッドを取り出して収集したゼインの戦闘データを確認しようとする。

 

「無駄だ。お前が何を作ろうとプリキュア達…ソラ達に勝つ事はできないぞ」

 

「おっ?」

 

「あん?」

 

キメラングとターボマンは声が聞こえた方向に視線を向けると其処には牢屋があり、その中に囚われている声の主はキメラングの姿を見て「ふっ」とほくそ笑んでいた。

 

「おいおい、あんたな。囚われの身の癖して偉く言ってくれるじゃ無いか」

 

「私は思った事を言ったまでだ。現にお前達はいつも自信満々で彼女の達と対決するが勝った試しはあるのか?」

 

牢屋の中にいる人物を脅そうとするターボマンだが逆に正論を突きつけられて思わず拳を強く握る。

 

「ドクター!ちょっとイラつくからこいつを殴っt「アオオーンッ!!!」うおっ!?」

 

牢屋の中にいる人物を殴ろうと思ったターボマンだったがその隣にある更にデカい牢屋から聞こえてくる鳴き声と翼を羽ばたかせる音に思わず驚いてしまう。

 

「ンニャロ、隣の鳥も図体がデカいんだからそんなに羽を動かすな!五月蝿いだろうが!焼き鳥にしてやろうか!」

 

2つの牢屋の鉄格子が変形するくらい殴り脅しを掛けるターボマン。だが、牢屋にいる大きな鳥は鳴き声を上げるのをやめずもう一つの牢屋にいる人物は表情は変えずにいた。

 

「其処までだターボマン。それ以上すると牢屋が壊れちゃうからね。それに其処にいる彼女とそのペットの鳥ちゃんは貴重なモルモットだ。下手に傷つけさせないでくれよ」

 

「わかったよ。まぁ、確かにドクターの言葉に一理あるな。特に其処の鳥は図体がデカいから下手に殴ったらその分デカい羽が飛び散るからな。掃除するのも面倒だし」

 

キメラングに止められたターボマンはそれ以上牢屋を殴るのを止めると牢屋に背を向ける。その代わりにキメラングが牢屋に近づいた。

 

「悪いね。彼はこの前キュアウィングにやられた事を根に持っている様だから特に鳥に対して恨みを持っているんだ」

 

「構わないさ。お前も奴を作ったのなら早く其処ら辺を教育し直す事すすめるぞ。でないとワシオーンを傷つける事があれば貴様を斬る事になるからな」

 

そう言って牢屋に囚われる女性…シャララはキメラングに睨みを利かせる。

 

「わお、怖いねぇ。確かにそうなりたく無いけど、それはあそこにある君の剣を取ってから言うべきだね」

 

そう言うとキメラングは少し離れた壁に掛けといてあるシャララの剣に視線を向けるとシャララは目を細める。

 

「まぁ、安心してくれたまえ。暫くはまだ君たちを生かしているつもりだからそれまで此処で楽しく暮らしていてくれよ」

 

そう言うとキメラングは牢屋の前を去りターボマンと共に新しいアーマー作りに取り掛かり始める。一方で牢屋に残されたシャララは隣の牢屋で拘束されている相棒のワシオーンを宥めつつ、牢屋の外にある自身の剣を見つめる。

 

(剣の場所は把握出来た…後は此処からの脱出方法を考えるだけだな)

 

ランボーグの爆発に巻き込まれたシャララは此処に囚われてから数ヶ月が経過。その間にキメラングから多くの人体実験をされたが、其処は己の屈強な精神で今日まで耐えてきた。シャララはそんな日々を過ごしつつ、いつかこの牢屋…キメラングのラボからの脱出出来る機会を伺うのであった。

 

 

ーおまけー

 

デートを終えたらんこ達はその帰り道にひかるが変身するキュアトールの事を振り返った。

 

「それにしてもひかる君、本当に強かったですね」

 

「うん、とても初めて変身したにも関わらずあの強さは凄いよ」

 

「私も初めて変身した時は上手く力を使いこなせなかったけど、何か才能でもあるのかな?」

 

これまで自分達の初変身&初戦闘と比べて明らかに差を感じた事に何かあるのかとソラ達は考えているとらんこは「ふふーん」と珍しく得意げな笑みを浮かべる。

 

「当然よ。だって私の彼氏なんだから」

 

「なんからんこさんキャラ違いませんか?」

 

「これが恋を知って一皮剥けたらんこか…実に良い!」

 

ひかるを褒められたことにらんこは嬉しそうになり、ツバサは苦笑いを浮かべてベリィベリーは嫉妬ではなくらんこの新たな一面を見られた事に興奮していた。

 

「んー…その事なんだけどさ、なんかまだあの時は本調子じゃなかった感じがするんだよなぁ」

 

「えっ、あれで本調子じゃ無いの!?」

 

実際に戦ったひかるから自分の力はまだまだこんな物では無いという発言にましろは驚きを隠せなかった。もし、それが本当なら本調子であればどれ程の実力になるのか想像しづらかった。

 

「でしたらひかるさん修行をしましょう!そうすればプリキュアとしての力を使い熟すだけでなく更に己の隠された実力を発揮できる筈です!因みに私はスカイランド神拳を覚えるのをおすすめします!」

 

「修行か…悪くないなぁ」

 

ソラからの提案にひかるは前向きに受け止める。ひかるも男の子だ。こう言う超人じみた力を手に入れたら修行して更に強くなりたいのに憧れを持っていた。

一方でらんこはひかるが修行すると聞いて戦いの最中で起きた"ウスノロ"と言う言葉を口にした事を思い出す。

強くなるのは別に良い。だが、強くなって更に天狗になってしまったらどうなるか想像してしまう。

 

──────────

 

戦いによって荒れた大地、其処にはまだ見ぬ強敵が目の前に対峙するキュアトールの姿を見て戦慄していた。

 

「ば…馬鹿な…貴様はキュアトールだろ!?ち…違うのか…!?」

 

「違うな…俺は…スーパーベジじゃなかった!スーパートールだ!」

 

そう言って自分と敵の圧倒的な実力の差に優越感に浸ったトールはドヤ顔を浮かべるのであった。

 

──────────

 

「ダメダメダメ!!!そんなのダメよ!」

 

「うわっ!?急にどうしたんだらんこさん!?」

 

突然声を上げるらんこにひかるを筆頭とした一同が心配する。らんこも声をかけられた事にハッとなり軽く咳払いをする。

 

「べ、別に強くなるのは良いけど、天狗になって油断するのは駄目よ」

 

「もちろんだ。そうなると痛い目を見る事は◯ジータや◯飯を見て学んでいるからな」

 

らんこの忠告にひかるは重々承知しているようでそれを聞いたらんこは安堵の息を吐く。

 

「そう、なr「まあ、俺は修行した先にて見た目も更にカッコよくなろうと思っているんだ」…ん?見た目?」

 

天狗にならないと安心しかけたらんこだがひかるの発言の続きを聞いて嫌な予感を覚える。

 

「ああ、修行していつかは常時身体からスパークを放ち行く行くは今の髪より更に長く伸ばして強く表していきたいんだ」

 

「それってつまり…」

 

らんこの脳内には修行して強くなったキュアトールの姿が思い浮かんだのだが、その姿は髪が腰まで届くぐらいに伸びておりそれを代償にと言わんばかりに眉毛が毛根から消えている姿…とどのつまりスーパー◯イヤ人3、またはウルトラ◯ジータ1号であった。

 

「だ、だめよ!!!ビジュアル的に認めないわ!!!」

 

「だ、だからどうしたんだらんこさん!?」

 

強化した結果、眉を喪失してしまうなんてなったらと想像したらんこは泣きそうになるぐらい嫌がり、一同も泣きそうならんこを見てこれ以上の修行談義は一旦止めにしてまた後日改めて話をする事にしたのであった。

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