King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】 作:かすてらホチキス
気絶したパラサイトケイジ。
しかし中には突然姿を消していたヒカリが居る。
攻撃はないもののソラ達の攻撃の手も止まってしまった。
「もしかしてヒカリ、寝ぼけてる?」
「グワッ!消えたり出てきたり分け分かんない」
「アッヒョ~でもこのままだとマズいかも?」
ソラ、ドナルド、グーフィがこの状況では攻撃のしようもないのでヒカリの現れた檻の中を眺めていた。
「ヒカリ。このままそこに居ると危ないから攻撃してそこから出てきてくれないかい?」
ミッキーがヒカリに言った。
☆
ミッキーの声がヒカリに聞こえた。
「ん~~まてよ。ここ、ハートレスのおなかの中だよね?」
ここってかなりの急所じゃない?
ヒカリがふとひらめいた。
「出て行くけど……」
ヒカリが不敵な笑みでセプターを出現させて集中する。
迷うことはない一点の曇りの無い瞳。
そして口元がいつも以上に吊り上がっていた。
☆
「どうしよう? 敵が気絶してるけどヒカリが出てこないと攻撃できないよ」
右往左往するソラ。
「まったく、困ったコだ…」
うなだれるドナルド。
「それにしてもさっき空から振ってきたよ? 何があったんだろう」
のんびりとグーフィ。
「バカ! おなかの中には空なんて無いだろ!」
ツッコミは冴えているドナルド。
「なに? 俺なら居るよ?」
なんだか勘違いするソラ。
「ヒカリさん一体何を……あれは?」
おなかの中から輝く円陣が浮かび上がる。
「まさか、あれって!」
いち早く異変に気づくマフ。
「ヒカリの魔法!」
驚愕するソラ、ドナルド、グーフィ。
「みんな伏せて!」
次の行動は誰よりも早いミッキー。
(ピカァー!)
パラサイトケイジの身体が真っ白く輝いた!
ハートレスの雄叫びと共に人影が現れた。
真っ白く輝く中心で浮かび上がる身体はあまりの輝きにだれも見上げる事が出来ない。
まばゆい光が消えると、さっきまで居た大型のハートレスの姿はきれいさっぱり消え去り、代わりにその中心には真っ赤なリボンの少女の姿。
その頭上ではキラキラとした大きなハートが天上にのぼっていって――やがて消えた。
尋常でないパワーの魔法に一同、声をかけるのにためらった。
後日談だが、ある意味その光景はハートレスの化身にも見えたり、いいや、そうでなかったり。
「やっぱり弱点はおなかだったみたい!」
周りのギャラリーの想像も露知らず。元気よくヒカリが一声を放つ。
「ヒカリ……もしかしてさっきのリクの事、怒っている?」
遠慮がちにソラが聞いた。
「え、ああ……でもさ、私ってリクとはあまり親しくないんだし、しょうがないよ~」
楽観的に笑うヒカリにほっとするソラ。
「そ、そっか。気にしていなかったら、いいや」
「ところでおなかって言ったらココもクジラのおなかの……うわわっ」
皆、ぐらぐらとよろける。
クジラの胃袋の中が振動している!
「僕たちおなかで暴れちゃってたんだね」
グーフィがのんびりと解説。
「に、逃げろーー!」
ドナルドが叫ぶ。
「ヒカリさん!ソラさんがまだ……」
マフがあちこち探しているソラを指差す
「あのバカ!」
「リク! リクーー!」
ソラが親友の名を叫ぶ。ヒカリがソラのところへ駆けつけ腕を掴んで引っぱる。
「リクはもうここには居ないわ! ソラ逃げないと!」
「でも、リクが……うっ」
「ソラ⁉ ケガしてる!」
ソラが顔をゆがめて体が傾いた。慌てて支えるヒカリ。左足首をひねったようだ。
「ポーション持ってる? ケアルは?」
「どっちも、無いMPもないや」
「わかった」
ヒカリはロックセプターを取り出してロケットを付け替えた。
「この前のお礼。まだしてなかった」
「おれい?」
「うん。この鹿の杖で――オーシャンケアル!」
ソラの周りが青白く輝く。懐かしい潮の香りと、真夏の太陽。はじけるような泡が一瞬、見える。
それはもう、懐かしい場所そのものだった。
「これで完全に治ったはず」
ヒカリの声ではっとソラが我に返る。
「な、なにしたのヒカリ?」
「何って回復呪文」
「えっ……?」
「はい、動く!」
寝ぼけたようなソラの手を引いてヒカリが走り出した。
☆
「はい、迷子の誘導はココまで。お連れ様が待ってますよ!」
ヒカリはソラをドナルドとグーフィの待つグミシップにうながす。
「ヒカリ……さっきのあの魔法……ヒカリは俺たちの島、知ってるの……?」
「ヒカリさん!こっちです」
ソラの質問に紛れてマフの声が聞こえた。
「今はそんな場合じゃない。もう行く……バイバイ、ソラ!」
そういって走り出したヒカリの後ろ姿をソラが見ていた。
ヒカリは口をキュッとつぐんで駆け出した。
☆
暗闇の中、魔女がリクに聞く。
「あの娘を元の場所に戻したのはどうしてだい?」
「……」
「ここに来たのなら仲間になりたかったのだろう?それとも?」
「オレはアイツに興味がない」
「あの力はとても面白い。しかし、あの杖がなせる技にほかならない」
「それよりカイリは心をなくした人形だって言いたいのか?」
「その通り、ハートレスに奪われたのだろうね」
リクはマレフィセントに振り向き声を荒げる。
「どうすればいいんだ!」
マレフィセントは優しく語りかけるようにリクに言った。
「七人のプリンセスを集めるといい。そうすれば世界の中心……世界の心と言っているがね。そこへの扉が開く。そこは知識の宝庫だ――カイリの心を取り戻す方法は必ずそこでみつかるさ」
マレフィセントがリクに近付く。
「そうだ。おまえに力をやろう。ハートレスを操る力を――」
マレフィセントの魔力が、リクを包み込む。
リクの中に大きな力があふれ、からだ中をゆっくりと侵食するように駆け巡る。
「カイリ、待ってろよ」
自信に満ちたリクの瞳が人形のようなカイリを見つめていた。