King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】   作:かすてらホチキス

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14章 アトランティカ
~船の名前~


 

 

「そう言えば、まだこの船の名前決めていなかったわね」

 船内の部屋に集まったミッキーとマフに向かって毛布にくるまったままホットミルクを飲んでいるヒカリが言った。

「前の船の名前「カレイドスター」はヒカリさんが名付けたのでしたよね?」

 まだ熱いらしくホットミルクを手に持っているマフ。以前カイリの寝ていたベッドの上に靴を脱いでご丁寧にちょこんと正座している。

「あの時は即答だったけど、何か新しい名前の候補はあるのかい?」

 ミッキーはマフとヒカリの間、扉の近くのカベにもたれている。

「あの名前は島のイカダにつけるつもりだったから即答だったの」

「イカダの名前に他の候補はあったのかい?」

「それはもちろん。でも本当は『カレイドスター』も即興で考えた名前だったから……」

 ヒカリは枕元のノートをめくる。

 ミッキーがトラヴァースタウンでヒカリに買ってあげたものだ。

 何か欲しい物はないかと訪ねると、ヒカリは『紙とペン』と答えたのだった。

 なぜ必要なのかと聞くのも愚問だと思ったのでミッキーは何も言わなかったが、いつも枕元にあるので結構よれよれになっているノートの中身はミッキーでさえも今初めて知った。

「んー『ホロスコープ』とか『オシロスコープ』で考えたのもしっくり来ないし~」

「王様、オシロスコープって何ですか?」

 マフが珍しく王様に質問する。

「望遠鏡とかのたぐいではないモノだよ……」

 王様もあまり知らないみたいだ。

「『フレイアソール』とか『アステリスタ』とか」

「ちょっと素敵な名前になってきましたね」

 総数二ページに渡る星のついた名前を読み上げるヒカリにマフは涼やかにコメント。

「こんなに名前考えてるからすぐに魔法思いつくのかな?」

 感心するミッキー。

「んー『ラテスカ・ステラ』もいいけど……これこれ!『コスモ・ステラ』がいいかな?」

「コスモ・ステラか。いいね」

 ミッキーが復唱して頷く。

「いい名前ですね」

 マフがうんうんと頷く。

「え~~即決? 他に何か可愛い名前あったとか聞いてるのに~」

 ヒカリがつまらなそうに口を尖らせる。

「ですが、みんな素敵な名前だったのでヒカリさんが一番気に入った名前がいいと思ったので」

「こんなに名前があったら全部つなげてみたらどうだい? って言ってみたかったけれど、ノート二ページ分はさすがに覚えられないからね」

「うーむ……じゃぁ『コスモ・ステラ』でいい」

「決まりだね」

 にっこりとミッキー。

「決まりましたね」

 丁度良い暖かさのホットミルクを飲んでマフ。

「うん、決まった!」

 マグカップをおいて立ち上がったヒカリ。

「ではあらためて『コスモ・ステラ』出発☆」

 不敵な笑みで右腕を天上へ突き上げるヒカリはいつもの元気な彼女だ。

「さっそくシドさんに名前をつけた事を報告しないと行けませんね」

「うん。あと新機能の善し悪しと使い勝手のほども報告せねば」

 そう言ってヒカリは別のページに新たな文字を書き始めた。

「私も張り切って次の杖の形を考えます!」

 マフが再び格納庫にこもっていった。

「ってなわけでミッキーも一路トラヴァースまで安全運航よろしく☆」

 そう言ってミッキーを自室から追い出した。

「え、あ……ウン」

 淡々とした行動に気圧されながらもミッキーは彼女が少しだけだが心配そうな表情をしていたのは分かった。

 理由はいくつかあるだろう。ソラ、カイリ、リクの事、自分自身の事、謎の声の事。

 それでも今は見守っていよう。ヒカリがコレから闇にどう立ち向かって行くのかを――。

『コスモ・ステラ』

 銀河に輝く星達の輝き。

 実際はあんなに遠くても、夜になるとそばで輝いているような気さえする星。

 そんな闇夜に瞬く星のような心強い彼女を見守っていよう。

 僕はそれが一番の選択だと信じている。

 グミシップコスモ・ステラの操縦桿を握るミッキーがうなずいて次の目的地へ発進させた。

 

 

 

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