King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】   作:かすてらホチキス

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~隠し事~

「内緒話は、三人以上は秘密にはならない。ならば三人なら、まだ秘密だろう?」

 アトランティカからトラヴァースタウンへ帰還中。ミッキーはマフとヒカリにそう言った。

「それって……アグラバーでの私の行動の反省?」

 しゅんとするヒカリにミッキーはあわてて訂正した。

「あ、いいや。そんなつもりじゃなかった、ごめんよ、ヒカリ」

「ううん、謝るのはこっちの方。それで、どういうつもりで言ったの?」

「コホン。改めて、僕が言いたかったのは隠し事や今すぐにでも飛び出して行動したい事があっても、けして一人で判断して行動してほしくないってことなんだ」

「聞こえはいいですが、つまりミッキーさんは仲間はずれにしてほしくないのですね?」

「平たく言えばそういう事だよ」

 誰もいない空間に視線をそらしミッキーが口ごもる。しかし勢いのままこう言った。

「そういうことなので……二人は僕に何か隠し事はしているかい?」

「早速か、なんだかかわいそうだからミッキーにあれ渡しておこうか」

「そうですね……」

 そう言ってヒカリはマフからもらったキーブレード専用のロケットを渡したのだった。

 ロケットというよりもソラのつけているキーホルダーと同じなのだが。

「マフにはこれはまだ時期じゃないって言われてて」

「どういう事だいマフ?」

「これを作ったのは私ではないからです」

 

 

 そんなやり取りがあったわけで、隠し事はミッキーには今後一切隠さないと誓ったのだった。

 ユフィとの約束は出場していないミッキーには特に隠すことでもない。さらに言えば普通に言うタイミングがなかっただけだ。

「この前トラヴァースでユフィと会った時にね、コロシアムの話になってさ」

「ヒカリがさらわれる直前だね」

「ううっ……この人はぁ〜」

「ごめんごめん悪気は無いんだよ。続けて」

「ユフィが手に入れた情報によりますと、次の試合でレオンとクラウドがタッグで出るみたいなの!」

「ほう、あの二人がね……」

「あれ、驚かないの?」

「驚いたけどいつかそうなるかなと思ったからね」

「ミッキー解るの?」

「僕のカンにすぎないけどね」

「ふーん。そっか」

「珍しく何で? とか言わないんだね」

「うーん……実は私もそんな気がしてさ」

「あの二人は似ているところがあるからね」

「あっ……そうかも! なんでかな?」

「それは戦ってみないとわからないかも?」

「うーん……レオンとクラウドの似ているところ。無口で無愛想……根暗。何でネガティブなところしか見つからないんだ?」

 自問自答を繰り返すヒカリの表情を楽しそうに眺めていたミッキー。そして何か思いついたようにこう言ったのだった。

「あ、それで僕の力が欲しいってことだよね?」

「えっ⁉」

 待ってましたとばかりにさわやかに微笑むミッキー。ミッキーがこんな無茶な条件でこのリアクションはなんか意外だ。

 

 むしろ――この人、やる気だ(汗)

 

「いままで見ていた側だったから結構ハラハラしていたんだ」

「もしかして……出たかった?」

 元々はミッキーのチケットだ。なんだか申し訳ない気持ちで聞くと意外な答えが返ってきた。

「始めは最初から乗り気でなかったんだ、気にしないで良いよ。ただ――」

「ただ?」

「まさか優勝するなんて……いいや、確かに優勝は君の実力だった!」

 ミッキーの表情はなんと言うか意外そうな、それでいて驚いたというか、複雑そうな表情だった。

「私が優勝で何か不満でも?」

「う〜ん。そう言う訳ではないんだけど――もし、ヒカリが僕と同じ立場だったらどう思う? 自分が見ているだけでは退屈だろう?」

「はい、ごもっともです」

 そんなこんな雑談を交えながら、旅の休憩地、トラヴァースタウンはいつものように色々お買い物や船の整備をしているうちに、まだ明るかった街はいつものどこかのんびりとした夜を迎えていた。

 前の船『カレイド・スター』は船室が一部屋しかなく代わりにミッキーの部屋は格納庫だった。

 対する『コスモ・ステラ』はバスルームと操縦室、格納庫の機能はもちろんのこと三つ部屋が完備されている。部屋割りを決めた時、ヒカリは三つの部屋の中で窓の大きな部屋を選んだ。理由はもちろん外の景色を見ていたいからだ。

「景色が変わる窓って素敵でしょ?」

 大きいとはいえ小さな絵の額縁のような窓。そう言われるとなんか素敵なもののように見えてくる。

「それじゃ素敵な景色をさがさなくちゃね」

「そんな訳で素敵な場所の確保はよろしく!」

 対するミッキーは逆に窓の小さな部屋を選んだ。

「なんでさ?」

 とヒカリが聞いた所。

「あまり外から見られたくない」

――だそうだ。

「どこの人気者ですかあなたは?」

 なんて冗談で言ったが。

「実を言えば僕は人気者なんだけどね」

 という返事が返ってきたので、

「はい、そうでした……」

 ヒカリはそう言ってその後はあえてこれ以上突っ込まなかった。

 自室の窓を眺めるヒカリ。この旅はいつまで続くのだろう。大変なこともあるけど、この生活は、今の状況は悪くはない。それでも今はただ、目の前のことから一歩でも進めなくてはならない――と。

 

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