King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】 作:かすてらホチキス
「ここはトラヴァースタウン。星をなくした者が集う街さ」
ミッキーがプルートと遊びながら丁寧に答える。
「星……。外の世界ってコト?」
外の世界。リクが行きたいと言っていた場所。
「外と言えばそうだろうね。星は独自の強い力を持っていて、星と星は本来、交わらないに等しいから」
「ちょっとまって! それって、外の世界は外の世界でも、私の知ってる世界のもっと外ってコト⁉」
「……考えからすればそう言うことさ、ただヒカリはキミの言う『外の世界』を見たことはあるかい?」
「……」
私が思っていた外の世界は、海の向こうには島があってそこには王国があって、昔悪い魔女がいて誰かが退治しに行くって物語があったりする。
でもそれは本を見て私が勝手に考えた世界。
「見たことは、ない」
リクがいってた外の世界ってココのことだったのかな? リクは、海の向こう側に何を見ていたのだろうか。
「あまり深く考えない方がいいかもしれない。ただ、僕の言えることは、この星に君が落ちてきたってコトはキミの居た星が消えてしまった、ということだけ」
「それって、帰れないってコト⁉」
「今の時点ではね」
「どうしよう、私あそこにずっと居るって約束したのに」
落ち込むヒカリ。プルートが側で首をかしげる。
「ならば、僕と一緒に旅をしに出ないかい?」
軽い口調でミッキーが言った。
「星が消えて、違う星に飛ばされた。それは災難であっても、自分自身が世界を知ることが出来るチャンスでもある。星を旅するなんてめったにないことだよ!」
ミッキーは屈託の無い笑顔を見せてヒカリに言った。少年と青年が入り混じる顔がヒカリを勇気づけるように、笑いかける。
本当に楽しいことをしている人にしかできない、なにか説得力があるような気さえする。そんな表情だ。
「え、でも私……。さっきまで倒れてたし、迷惑でしょ?」
「病気がちなキミだからこそ、僕は君をほうっておけないよ! ただし、僕は急がなければいけない用事が山ほどあるけどね?」
ミッキーがヒカリに手を差し出した。
島を出る三人にヒカリが冗談交じりに言った言葉。
――私も一緒に行きたい――
今、彼はあの時の答えと真逆のことを言ってくれた。
「――私、コレでも足手まといにはならないからっ!」
ヒカリが勢いよくミッキーの手をとる。
すると――
(ピカッ!)
つないだ手から風が吹き荒れ、視界が一瞬真っ白くなった。
見えるようになるとミッキーとヒカリの手から、二人の武器が交差するように出現していた。
「ヒカリ……この杖は?」
「この武器……ミッキーの?」
なんとなくこの杖と似ている、ヒカリはそう思った。色と言い形と言いデザインはまったく異なっているのだが、持ち手を返せば大きな鍵のような形をしているミッキーの武器。
「コレはキーブレードって言ってあらゆる物を開閉できる物なんだ」
「この杖は、ココに来てから手に入れたんだと思う。多分、名前はロックセプター」
「ロック……錠って意味かい?」
「鍵を待つもの、ロックセプターって」
「カギをまつ……?」
ミッキーが考え込む。
「あっ、そっか! だったら、なおさら私ミッキーについて行く!」
いきなりヒカリが元気に言い出した。
「カギを待つ。僕を待っていたってことかい?」
「うん、きっと夢のお告げだよ!」
弟が夢で言ってた言葉を『お告げ』と言うのもなんだが多分そう言う事だ。
そっか、ココに来た事。なんか分かったような気がする。
待つ場所がなくなったら、探すのが当たり前じゃない!
「……ところでヒカリ、熱の方は?」
さっきから元気なヒカリを不思議そうに見ているミッキー。
「……直った」
「えっ、本当に?」
「うん、ほらっ!」
ヒカリがぴょんと飛び跳ねる。
「キミっていったい……?」
「ねえ、さっきから気になっていたんだけどプルートは?」
武器出現時から姿が見えない。びっくりして隠れているのだろうか。
ヒカリが辺りを見渡す。
意外とオンボロな空き家だ。不思議なことに外は水で覆われている。池のど真ん中に家が浮かんでいるようだった。
「帰ったんじゃないのかい?」
中は調べつくしたので外に出たヒカリの後ろでミッキーが言う。
「ミッキーの犬じゃなかったの?」
それとなくヒカリが言った。
「なっ……なぜそう言えるんだい?」
ミッキーに動揺が見られる。
「なついてたから」
ミッキーを怪しむヒカリ。
「ヒカリにもなついていただろ?」
即答でミッキーが答えた。
「……そっか」
言われてみればそうだ。しかし、なぜそんなにも驚く?
もしかしたら、個人的なことはあまり触れない方がいいのだろうか?
早くも相棒を怪しむヒカリであった。
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