King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】 作:かすてらホチキス
プルートが見つからなかったのでヒカリとミッキーは空き家を出た。
「えっ⁉ ヒカリ泳げないの?」
「う、うん……」
さっきまで足手まといにはならないと言ったばかりだったのでヒカリはとても悔しかった。
「大体なんでこんな所に居るのよ、むしろどうやってここまで私を運んできたの⁉」
申し訳なさ半分、ありえない半分でヒカリは逆切れ寸前だ。
ミッキーはそんなヒカリにあきれることなく、
「こうやってさ」
「?」
ヒカリはミッキーが何をするのかよく分からなかった。
(フワリ)
「ちょっと、ミッキー⁉」
ミッキーがヒカリを抱きかかえて動く石を飛び越える。人を抱きかかえるというよりも、物でも担いでいるようにヒカリの体を右肩で抑え、跳ねるように軽々と移動している。
『担いでいる=ヒカリはミッキーの背後しか見えない』
つまり――。
「いやぁ~~~!落ちる!」
結果、とても恐い。
「あはは……ヒカリ、なんか面白い……」
ぜぇはぁ言っているヒカリの横で笑いを押し殺しているミッキー。
「イジメだぁ~~コレ絶対!」
(足手まといと笑われた方がよほどいい!)
何はともあれ、とりあえずは三番街に着いた。
「ははっ……夢のお告げの意味がわかった気がするよ」
まだミッキーは笑っている。
「ああっ~もうそのことには触れないでっ!」
誰かこの人を正常に戻してくれと本気で思い始めた頃。
(ボボンッ!)
空中からイキナリ煙が現れた!
「なに?」
「きたな――」
やっと笑いが取れたミッキーがあたりを見渡しキーブレードを構える。
「ミッキーこれ……」
「ハートレス、心なき者」
キーブレードを構え敵の名を言い当てるミッキーは素晴しくカッコいい!
ハズだったが。
「私の島にいた黒ねずみ!」
(ギクッ!)
ヒカリのこの言葉にシリアスな雰囲気が壊された。
「くっ黒ねずみ……って?ヒカリ――」
「だって小さくて黒くて速くて、ちょっと可愛い」
「か、カワイイ……」
そうこう言っているうちに2人に向かって襲い掛かってくる黒ねずみ。ヒカリはロックセプターを構えたが……。
(バシュバシュ!)
「ん?」
ヒカリの目の前から黒ねずみが消える。いいや、一撃にして倒されたのだ!
残るは、赤い箒のようなハートレスが空を飛んでいるのが見えた。
ミッキーは数メートルの助走だけでそれに追いつき叩きのめす。
ヒカリは遅れて上空を見上げると、満天の星空よりもきらめく金のキーブレードが見えただけ。さっきまでいたハートレスが完全にこの場から消え去ったのは言うまでも無い。
ジャンプの勢いがあまって、着地をした際、彼の靴音がキュッと鳴る音だけが爽快に三番街に鳴り響いた。
「どうだっ! 僕の方が――速いっ!」
くるっとヒカリに向かって向き直りお辞儀をするミッキーはなぜか得意そうだった。
「ミッキー、強い……!」
ヒカリはあまりの速さにハートレスが何匹いたのかさえも分からなかった。
しかし、一つ分からないことがあった。
「でもさ、なんでミッキーそんなに張り切ってるの?」
ただならぬ沈黙が走る。
「えっ?あ――ぼ、僕、これでもスッゴク強いんだっ! ははっ」
『プルート』といい『黒ねずみ』といい、変だ。
ミッキーは何か私に隠しているのか?
(もしや、これは聞かないほうがいいのかな?)
強くて頼もしい青年にヒカリは弱点があるのだと考えたのだった。