King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】   作:かすてらホチキス

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17章ShortTrip トラヴァースタウン6
~クラウドとエアリス~


 

「だれか植物に詳しい人いないかな?」

「それならトラヴァースタウンに心当たりがある」

 クラウドがそう言うので行先はトラヴァースタウンへ決まった。

 暗闇の道をバイクが走り抜ける。

「ハロウィンタウンでは金のメダルの手がかりも王様の痕跡も見つからなかったな」

 ゴーグルをつけた操縦主クラウドが後ろのヒカリに言った。

「変わった世界が見れたからよかったよ、クラウドはどうだった?」

「暗いのに落ち着かないのは疲れたな。でも、悪くはなかった」

 クラウドがちらりと見るのはブギーの館で入手した『釘バット』だ。これを振るっていたクラウドはなんだか様に見えたのが今さらながら不思議でしょうがなかった。

 まぁ、自分に置き換えたとしたら――修学旅行のお土産で木刀を買ってしまう心理はわからなくもない。これをどんな用途で使うのかは皆無だったし、これ以上は考えないことにした。

 アイテムと言えばハロウィンタウンのサリーからもらった忘れな草。サリーはこれを『記憶』というアイテムと言った。

 クラウドのバイクでオリンポス経由でトラヴァースタウンへ移動すると、ヒカリは飛び降りてすぐバイクの周りを回り始めた。

「どうした?」

「あんまりこういうの見たことないから見納めだと思ったらじっくり見ておこうと思って」

「また乗りたいなら言ってくれ」

「え、いいの?」

 とても意外な発言だ。

 二人乗りは重いとか動きづらいとか言いだすと思った。

「ヒカリといると道が走りやすい」

なるほど、ハートレスの露払いか。

「そういうことなら任せてよね!」

 どーんと胸を叩いて笑うヒカリにクラウドはふっと笑った。

 イカしたバイクをマテリアと呼ばれる石に収納するクラウド。ヒカリにとってはこれはとても面白かった。世界にはいろんな魔法があるんだなぁとしみじみ思った。

 トラヴァースタウンの玄関口、世界の扉を開けると一番街だ。

「初めはマフのところ、って思ったけど、その前にこれを渡しておかなくちゃ」

 歩きながらバックパックに収納していた植物を気にする。

「そんでここで植物に詳しい人いるんでしょ?いったい誰を探せばいいの?」

「長い髪の女だ、名前はエアリス」

「あ、知ってるよ」

 それを聞いてヒカリは即答した。

 クラウドは思わずヒカリに振り返った。その顔は、あまりにも驚きに満ちた表情だったのでヒカリは噴き出して笑った。

 

 

 三番街の空き家レオンたちのアジトを訪れると長い髪の女性。エアリスがいた。

「エアリス久しぶり!」

「ヒカリ、試合お疲れ様。試合の事、ユフィから聞いた……クラウド?」

 ヒカリを見たエアリスは色々話しだそうとするが隣の相方を見て続く言葉が消えた。

その代わりゆっくりとクラウドの目の前に来て下から上まで眺める。

「ずいぶん懐かしい人が来たね」

「来る理由が見つからなかっただけだ」

「せっかくいる場所がわかってるのに合わないでいるのは寂しいわよ?」

「忙しかったんだ」

 ヒカリはエアリスとクラウドを交互に見る。

(なんだか……私が初めて合った時のクラウドを見てるみたいなんですけど?)

 それはもう話すのが面倒だと言わんばかりの雰囲気だだ漏れですよ。

「そう、忙しそうな人がなぜここに?」

 エアリスは本当に懐かしそうにクラウドを眺めている。

(そんなに合っていなかったのか。合えるのに合わないなんてちょっと切ないな)

「それはヒカリから聞いてくれ」

「ええっ⁉ ここでいきなり私に振るの⁉」

 クラウドが受け取った言葉のキャッチボールをバットで打ち返しそうな勢いでツッコむヒカリ。

「要件はヒカリから聞いてくれ」

 そこまで言ってクラウドはずっと見つめられていたエアリスの目の前をヒカリに明け渡した。

 口をとがらせて不服そうにヒカリがクラウドを見つめる。

 クラウドはばつが悪そうにヒカリのバックパックの忘れな草を(勝手に)取り出してエアリスへ差し出した。もちろんいつもは人の荷物なんて取り出さない彼が今回ばかりはしょうがなくだ。

(そんなに懐かしい人と話すのが嫌なのか)

 エアリスは興味深げにその行動を眺めていたがやがて差し出されたアイテムへと視線を向ける。

「この植物、たしか忘れな草ね。とても珍しい……不思議な力を感じるわ」

「記憶というアイテムだそうだ」

 エアリスが受け取ると目を閉じた。

 何かを感じ取っているようだ。

「これは、魔法の力を宿しているわね」

「魔法? どんな?」

 魔法と聞いてヒカリが割り込む。

「メモリー。身近な過去を訪れる魔法よ」

「メモリー? 聞いたことのない魔法だけど」

「そうね、私もこの魔法は初めて」

「なんでわかるの?」

「さぁ、なんでだろう?」

「え?」

 訳の分からないヒカリにエアリスは目を閉じて更に解説(もしくは解析?)する。

「思い出す記憶は過去に自分が見た同じ場所限定。過去になるにつれて忘れる時間も早くなるのが欠点。通常の人なら長くて1年前くらいね。1日に3回以上使うと頭が痛くなって、明日になると完全に忘れるから気をつけて」

「へ、変な魔法」

「どうする? 一人だけ限定だけどヒカリ、覚える?」

「う、うん」

「はい」

 エアリスの手にしている忘れな草が輝くとヒカリの体に吸い込まれていった。

『ヒカリはメモリーを覚えた!』

 さて、この魔法どうアレンジしようか。特殊すぎて変えようがない気がするが一度マーリン様に相談してみようか。

「要件はそれだけだ、助かった」

「ちょっとちょっと、クラウド!わたし、エアリスにお礼したいな!」

 クラウドがドアを開けようとしたのでヒカリは引き留める。

「知り合いなんでしょ?久々に何か話すこともあるんだし」

「俺は特にない」

「大アリ! ユフィと私、クラウドとレオンと戦ったでしょ!」

「それは、後で別の奴らに聞いてくれ」

「私とクラウドが一緒に居る理由とか!」

「そう! それが一番気になる」

 熱を込めてエアリスが言ったもんだからクラウドの足が止まった。

「まぁ、そうだな」

 

 

「そっか、ヒカリはミッキーと別行動なのね」

「すごく危険な場所らしいの。そんでクラウドにはここに送ってもらうだけの予定だったけど、成り行きかな」

「成り行きではない、ヒカリがあの男と戦っていたから、戦い方に興味がわいたんだ」

「ふーん」

 エアリスはクラウドの顔を見る。楽しそうだ。

 対するクラウドはお茶を飲むのに専念している。

「正確には男装してだけどね!あ、ユフィにはまだ内緒だから……そういえば見てよエアリス!」

 ヒカリは男装ミッキーに変身した。

「髪が切られたんだ……エアリス?」

 エアリスは目の前の変身した自分を見て目を丸くして固まっている。

「えっ、あ……こ、これはひどいわね」

 そう言いながらぐるりと見渡すエアリス。

 髪を触られると少しくすぐったい。

 しばらくその様子を横目で眺めていたクラウドはなにか耐えられなくなったようにがたりと立ち上がった。

「俺はシドのところに言って船の手配をして来る」

「え、ああ~そうだった、ごめんエアリス」

 ヒカリが変身を解除するとエアリスに名残惜しそうな顔をされた。

「私もアクセサリーショップに用があるから一緒に行きましょ」

 

 

 空き家から外へ出るとハートレスが出迎えた。

 ヒカリは面倒な飛び回るハートレス、エアソルジャーから先に魔法で撃ち落とす。クラウドとエアリスはその下のハートレスの相手をする。

 ソルジャーの攻撃をなぎ払ったクラウドが後ろにいるエアリスに聞いた。地上のハートレスはこれで最後だった。

「さっきは、やけに驚いてヒカリのこと眺めていたよな?」

「あ、やっぱり気になっちゃった?」

「本人はまるで気になってないようだったが、他人が見るとよくわかる」

 ヒカリは夢中になってエアソルジャーを追いかけまわしている。高く飛び上がっているので文句を言っているくらいだ。

「誰かさんに似ていてカッコいいから思わずびっくりしちゃったのかも」

「その誰かさんは俺が知ってる誰かなのか?」

「ううん、たぶん知らない。ヒカリって、なんだろう、不思議な感じがするの。自信のある言葉とかかしら? なんかいいなぁって」

「俺とは全く違う」

「ふふっそうかな? 一生懸命なところとか似てると思うな」

 エアリスが風の魔法でヒカリを援護する。ヒカリに向かってきたエアソルジャーの攻撃が跳ね返った。

「あとは、髪型? ツンツンしてる」

 楽しそうに振り返るエアリスにクラウドはそれを見ないような角度でソルジャーを倒した。

「そういえばソラとも戦ったんでしょ?」

「ああ、ヒカリほどではないが」

「そうよね、ヒカリとは沢山戦ってるみたいね」

 なんだかエアリスは始終にこにこしている。

「ヒカリといるとクラウドなんだか楽しそうね」

「!」

 クラウドは目を見開いたまま動かなくなった。そんなクラウドを見てエアリスは首をかしげる。

「ちょっと二人とも、見てないで助けて~」

 ヒカリがエアソルジャー4体に苦戦していたので話はそこで打ち切りになった。

 

 

 三番街の広場のハートレスをすべて片づけた後、扉を開けると一番街だ。

「地面にいないハートレスはさ、どうやって倒そうかなぁ~」

「グラビデの球を落とす方法が無難ね、あとはサンダーとか上から落とす魔法くらい?」

「サンダーは私の魔法、一撃必殺型なんだよね、グラビデかぁ~星の重力の魔法だっけ、何か考えてみるよ」

 魔法談議に花を咲かせるヒカリとエアリス。

 ゆっくりと歩いているとアクセサリーショップ上の2番街へ続く大きな入り口から裏手の路地にガレージがある。そこがシドのグミショップだ。

「シドお願い、船作って!」

「よっし~ガッテンショウチの助……って藪から棒になんだ?」

 ヒカリの第一声にノリノリで答えてくれたにもわからず訳が分からないシド。

 それは本来いるはずのミッキーの代わりに隣にいるクラウドを見て大体わかったようだ。

「なるほど、嬢ちゃん彼氏変えたんか」

「ぬぁあ~にを言うぅかぁ‼」

 拳を握りながら力強く叫ぶヒカリにエアリスはとても面白そうに笑っている。

「冗談だ、相棒もパートナーと言えば合点がいくだろ?」

 あっさり言うシドにクラウドは横にいる笑っている彼女とは違って難しい顔をしている。

「それとこれとはニュアンスも重みも、解釈もなにもかも、ちっがぁ~う!」

 本気で怒りだしそうなヒカリ。

「それじぁ私もヒカリの彼女になりたいなぁ♪」

 エアリスがさらにノリノリで発言しだしたので ヒカリは驚いて思わず彼女に勢いよく振り返った。

 一応隣のクラウドをちらりとみると手で顔を覆っている。耳が赤くなっていた。

 さらにアクセサリーショップ二階のドアが開く。

 声を聞きつけたのかマフが飛び出してきた。

「ヒカリさ~ん! お帰りなさ~い!」

「マフ~ただいま!」

 幼稚園のお迎えのようにマフがヒカリに抱き着いた。勢いがよかったのでバフッと音がした。

「お、ヒカリの声を聞きつけてやってきたマフも参戦か~面白くなってきたぞ!」

 マフが乱入するとシドもさらに饒舌になる。

 ニコニコ顔のエアリス。甘えた小動物のようにヒカリにほっぺをすりすりするマフ。かわいいが溢れ出す光景を見ていられないクラウド――これでは何から話をしたらいいのやら。

「あ~もう収集つかない! クールダウンです。一旦下のカフェに行きましょう!」

 

 

 カフェにはシドとエアリス、マフに加えてユフィとレオンも集まり。さらに混沌と化していた。

 後から来た二人はクラウドを見ると少し驚き、説明するのにヒカリはほぼ頭真っ白に。

「ミッキーとそのお師匠が危険な場所に二人で行ってしまってヒカリをクラウドに頼んでいったのよ」

 エアリスが即興で考えたシナリオは実に的確。

初めにエアリスのところに行ったのはシナリオフラグを立てるには正解だったようだ。話下手なクラウドのサポートに出来れば今後も一緒に来てほしいくらいだ。

「そっか~最後の試合負けちゃってたもんね。修行かな?」

 ユフィはそれで納得していた。隣のレオンは『王子様ミッキー』はヒカリの男装だと最近知ってしまったので少し複雑な顔をしていた。ヒカリはレオンに目配せしてあからさまな苦笑いを披露した。

 

 ここのカフェは前回のコロシアム決起会場だったこともあってヒカリはカフェのマスターから活躍祝いと称してスペシャルパンケーキをいただいている。三枚重ねのタワーのような分厚いパンケーキに、はちみつとアイスクリーム、三種類のベリーが乗っかっている。

 隣にはクラウドが座っていた。ベーコンと半熟卵のパンケーキを頼んだ。

 エアリスはマフに用事だったようなので用件をここで済ましている。さらに隣にはシドが関わっているのか横やりを入れていた。

レオンとユフィも隣の席でヒカリとクラウドと同じものをご馳走された。

 

「ヒカリの故郷はどんなところなんだ?」

 クラウドが何気なく聞いた。

「この街よりすっごい田舎かな? カフェないから採れるもので自炊するし、あとは海と島しかないよ。本島も祭り以外はあまり人いないし、ソラもリクもここを出て新しいところに行きたいって言ってたしね~」

「俺の故郷とは違った田舎だな」

「え、そなの? って事は山の方なのか~」

「そうだな。好きな男とかはいなかったのか?」

「な、なにそれ? どういうこと?」

 クラウドにしては変な質問だった。

「コロシアムの時は結構目立っていただろう?」

「あれが人気があったと言えるのかしら?」

「戦いなれた戦士から見れば高評価だ」

「そんな屈強なお兄さん達に人気あったの私?」

 ヒカリのファンは男装していたときとは何かが違った。絶対王者の称賛が男装時だとすれば真逆の悪役ヒーローへの称賛みたいなのだった。

 さらに言えば強い魔法のせいなのか男装ヒカリ推しの女性ファンから嫌がらせのような言葉は聞かなかったのは嬉しい誤算。

「ヒカリの技はミッキーと似通った魔法だと言い張ったとしても、あまりの威力に冷酷な攻撃に見えるからな」

「そんなに凄い?私自身は見れないからホントわからないって」

 パンケーキ二枚目にナイフを入れるとふんわりとした生地がゴロンと滑り落ちた。お皿が広いから問題ないが何かコツは無いのか、ちらりとクラウドを見るとナイフの使い方がとてもキレイだったので参考に少し見入った。

「一言で言えば情け容赦ない魔法だな、例えていうなら女王様のピンヒールといえば絶妙な物言いだろうな」

 いきなりシドがヒカリたちの会話の間に参戦。

「なんですか! いたいけな少女に皆は一体なにを望んでいるのかしら、しかもシド見ていたの⁉」

「俺をだれだと思ってる?レオンに頼んで定点映像を撮らせていたんだぜ!」

「今後の戦いの参考にだな。それより、ヒカリには他にも面白い名前がある。魔界の女王様、リトルデビル、オニカワ魔法使い」

 レオンが淡々と異名を数えながら言い放つ。

「いろんな異名がつくのは結構楽しかったけど、正直に言えばこれ以上枝葉がつく前にちゃんとした名前だれか考えてよ~」

「俺が一番好きな名前は『忍者娘と魔王少女』だ。魔法少女にも聞こえるので一度言い間違いだと言えば違和感がない」

 レオンがなぜか得意げに話すと隣のユフィが冷めた目でレオンを見ていた。

「どの口がヒカリに魔法少女って言えるのよ」

「魔王だマ、オ、ウ少女」

「よく聞いててスルーしてたけど、そんな感じで呼ばれていたのね……」

「試合中、結構ノリノリだっただけにあんたも騙されていたわけだ」

「魔法少女って言われていたから頑張ってお応えしていたつもりだったんだけど?」

「でも、楽しそうね緊張しなかったら私も行きたかったなぁ」

「エアリスは、たぶん人気出ると思うよ」

 ヒカリが真顔でエアリスを推薦した。この時だけ手を止めてパンケーキを食べるのを忘れた。

「え~どうだろう? 上位に行けたらだよね。ユフィは私とヒカリのチームが戦うとしたらどうなっていたと思う?」

 ユフィがうーんと考える。

 ヒカリはエアリスが隣にいるなら自分は男装ミッキーでサポートしたいなぁとか思ってみた。

 シドは脳内将棋のようにいろいろ考えてるようで、とても楽しそう。

 クラウドとレオンは複雑な顔で無言だ。

 ユフィはたっぷり時間を使ってこの答えにたどり着いた。

「そもそも、エアリスはあの観客の多い所でいつも以上の力は出せるかが問題?」

「そ、そう……よね」

 エアリスがうなだれてこの話は終わりになった。

 ヒカリは少し残念そうにエアリスを眺めていた。

余談だが、隣のクラウドもヒカリと同様だったのは誰も気が付かなかった。

 

 

 ユフィとレオン、エアリスと分かれ更にシドとマフもお仕事の片付けに一旦戻っていった。

 カフェが酒場のメニュー表に変わる頃はヒカリとクラウドだけになっていた。

「なんかクラウド最近よく喋るようになったね」

 パンケーキを食べ終わり暖かいレモンティーをゆっくり飲むヒカリ。

 クラウドは押しの強い女性店員に新作のクラフトビールを進められたので少し頂くことになった。

「前は、その、あまりヒカリを知らなかったからだろうな。みんなの評価だけ見ていたからだろう」

「私ってそんなに印象ちがうの?」

「そうだな」

「それを差っ引いても、今まではこうやって普通の会話が成り立たなかった気がするもん。なんで喋ってくれるようになったのよ?」

 クラウドはさっき差し出されたクラフトビールを見つめ一口含む。

「自分でもなんでかよくわからない。でも俺の知る親友に似ているからかもしれない」

「そんなに私に似てるの?」

 その質問に答える前にビールをもう一口飲みだすクラウド。どうやら口に合ったらしい。

「年は上で性別は男だ」

「ほんとだ~前のと違うね。この前の質問だとエアリスとセフィロスだったよね!」

「やはり、気がついていたのか」

「エアリスに久々に会ったらやっぱどことなく似てるからかな? 不思議な何かの力みたいなの」

「ヒカリはそう思うのか」

「よくわかんないけど、雰囲気だけ」

 いろいろ考えてみるがちゃんとした答えが見つからない。見つからないからなぜ私も含めて似ていることになるのかの答えも見いだせない。

「初めて会った時のヒカリは、年甲斐にもなく落ち着いている気がしたんだ、あとは余裕のある振る舞いとか」

「でも、今回のは立場全く逆じゃん! もう似てないじゃん~私ってそんなに親しくなると雰囲気ちがうの?」

「面倒見の良さなのか、それとも気さくに話しかけてくるところか、味方にいれば頼りになるような」

 ヒカリはティーカップに浮かぶレモンを眺める。

「なんか地味に褒められて、聞いてて恥ずかしくなってきたかも……」

 クラウドは更にビールを飲んでいる。酔いのせいなのか顔が赤い。

「でも、破天荒で自信過剰で女好き。そういえば最後のだけは似てないな」

「最後のちっとも嬉しくない! さっきの彼氏いなかったか発言はこのことだったのね」

 いつも言わないであろう言葉が出てきたのはその親友のせいだったのか。

「でも不思議となぜか悪い気はしない。少しだけ欠点があるくらいが印象に残るのかもな」

「そ、そうですけど~なんか、その人に合ってみたい気もする」

 あまり多くを語らない彼が親友と言うくらいの人物だ。きっといろいろすごい人物なのだろう。

「残念だが、もう会えない」

「あ……なんかごめん」

「俺からこんな昔話をしたんだ気にするな」

「そう? うん、わかった」

 しゅんとするヒカリ。

 紅茶を飲む手が止まる。

「こんな話、今まで語ったことすらないな。そうそう誰かに言えることでもないしな」

「もしかしてお酒の力?」

「そうしておこう」

「……まだ一杯目だよ?」

「これでもうやめだ」

 そう言って目を伏せて微笑むクラウドはとても穏やかな表情だったので、彼の言葉通りなんだか最後は悪い気はしなかった。

 しばらくすると人が増えてきてカフェはすっかり酒場に様変わりだ。

「さて、シドとマフに話をするんだろう? アクセサリーショップに先に行ってる」

 クラウドはスマートにテーブルにマニーを置いてアクセサリーショップへ向かった。

 

「クラウド……本当に酔ってる?」

 マニーの数を数えてみたら少し数が少なかった。

「まぁ、いつもより多めに話が聞けたからいいけどさ。その分ここは私が出しますよっと」

 ヒカリは押しの強いお姉さんに向かってお勘定を頼んだ。

 

 

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