King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】 作:かすてらホチキス
ヒカリとミッキーは二番街と三番街をつなぐ扉の前に来た時だった。
その扉が目の前で開き、突如として何かが二人に襲い掛かる!
ミッキーとヒカリは攻防を繰り返していたが意外と手ごわい。
しかし、始めにハートレスではないことに気づいたのはミッキーだった。
「ヒカリ、この人たちはハートレスじゃないよ」
ミッキーが後ろから言ったが、ヒカリは迫りくる相手の武器を力の限り抑えていてそれどころじゃない。
「――やっぱりそうだろうと思ったよ!」
ヒカリの目の前から少女の声がした。その後、武器が退いた。
路地裏の暗がりから明るいところに移動すると、目の前にいたのはヒカリより少し背が高い少女だった。
「あたしの名前はユフィ、こっちはレオン」
☆
「この向こうは危険だ、向こうに一番街に繋がる扉があるからそこへ行ってくれ」
レオンがヒカリ&ミッキーに言った。
「危険って?」
ミッキーが聞く。
「一際大きいハートレスが向こうにいるの、とりあえずここいらに居るハートレスがそっちに流れてこないように私たちはここを掃除しにきたんだけど」
ユフィが二人を楽しそうに見つめて言った。
「何か手伝うことは?」
ヒカリが手助けしたいとばかりに思い切ってユフィに聞いてみる。
「いいや、今のところ大丈夫だ」
レオンが辺りを見渡し即答で言った。
「むしろ、あんたたちがここいら片付けてくれたんだから手伝いなんてもうないよ!」
嬉しそうにユフィが言った。
二人と別れ、忠告通りにヒカリとミッキーは三番街から一番街へ移動した――が、ヒカリはミッキーに思い切ってこう言った。
「ねぇ、一際大きいハートレスって、どのぐらいかな?」
「見たいのかい?」
「で、でも……ミッキーは、急いでるんだよね?」
かしこまって、自分の好奇心と葛藤するヒカリに、ミッキーはため息混じりに、しかし微笑してこう言った。
「見るだけなら、いいかな」
「やったー!」
ヒカリは満面の笑みで飛び跳ねた。どうにも好奇心についに打ち勝つことができなかったようだ。
反対にミッキーは複雑な顔をしていた。
ヒカリとミッキーは一番街を真っ直ぐ言った大きな扉、二番街への扉を開けた。
(なるほど、大きい!)
ヘルメットをつけたハートレスが巨大ロボのように大きくなったようなカンジだ。敵側ではあるが、それはそれでイイ趣向をしている。
そしてソレと戦っているあれは――。
「あれ……ソラじゃない!」
ありえないようなモノを見たような表情のヒカリをミッキーは不思議そうに見つめる。
「知り合いかい?」
「知っているも何も、私の弟よ……!」
「そうかい、って……ええっ!」
ミッキーは戦っている少年と目の前の彼女を何度か見返す。
そんなミッキーには目もくれずヒカリは弟を心配そうに眺めていた。
なんでソラがここに?
そうじゃなくって、なんであんなのと戦っているの? そりゃ、アレはアンタよりも単純だよ?だけどさ、なんで戦っているの?
「キーブレードの勇者、だね」
ミッキーが隣で静かに言った。
「?」
ヒカリはソラの持っている武器を見る。
それは、色は違えどミッキーの武器と瓜二つだった。
「ミッキーと、同じ……?」
さっき見た夢を思い出す。
ソラが夢で言った言葉。
『これでキミは寂しくならない』
「キミは……弟と一緒に行けばいい」
絶句してあれこれ考えているヒカリにミッキーの言葉は聞こえなかった。
「あれ、ミッキー……?」
やっと気づいた頃にはミッキーの姿がいなかった。
☆
「まって! ミッキー!」
一番街の大きな扉を開こうとしていた彼をヒカリは呼び止めた。
「なぜ来たんだい、弟と再会できただろう?」
「私、まだ『さよなら』なんていってないよ!」
「じゃあ、ちゃんと言えばいいんだろ! さよならヒカリ!」
「……なに、言ってるのよ! 私はソラとは行かない! ミッキーと行きたいの!」
「……へっ?」
「だから、言い方がまずかったのか……私はソラに『頑張ってね、さよなら』って言いたかったの。結局いえなかったけど」
ミッキーは口を開けたがそのあとへ続く声が出ない。
「さよならって言うのはちょっと違うかな?『また会おうっ!』じゃあ捨て台詞でしっくり来なかったからさ」
「……僕の方こそゴメン」
「何で黙って行ったの?」
ため息混じりに、しかしあきれたように微笑んでヒカリが聞く。
「あの、キミの弟といっしょに居た二人は僕の友達なんだ。僕は城を抜け出して来たから――」
「?」
ヒカリはミッキーが何を言っているのかよく分からない。
「城の書置きにキーブレードの勇者と共に行動しろって書いちゃったしなぁ」
「?」
「キミの弟がキーブレードを持っているなら夢のお告げってヤツはきっと彼のことだと思うし――」
「ちょっとまって――。ミッキーの言ってる城ってなに?」
ヒカリはさっきから気になっていた事を率直に聞いた。
「僕は――。王様なんだ」
「おう、さま?」
ヒカリはそれに当てはまる単語をいくつか考えてみた。
そしてたどり着くのはただ一つ――
「僕は……とある一つの世界の王様なんだ」
青年の発した言葉は、『現実』を『夢』と言う魔法に取り替えた、ようだった。
「ええ~~~!」
「言ってしまったからにはキミは僕と一緒に行かなければいけないよ、君は身体の心配をしているから僕が責任もって連れていく。僕は彼らが心配で任務をいいわたしたけど、心配でそばで突かず離れず旅をする。でも、僕は彼らとは一緒に居られない。なんたってあの二人は僕を探して、城へ連れ帰ろうとするからね!」
ヒカリは完全に絶句していてミッキーの言葉をほぼ聴いていなかった。それでも彼の笑顔を見るにこのままついて行ってもいいことだけはわかった。
それに今の彼の表情は、誰が何と言おうと文句のつけ所がない。
『肩の荷が取れた』
今の彼の表情は、まさにそれだった。
2章 トラヴァースタウン 完