King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】   作:かすてらホチキス

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Another18~Mission Possible~

 魔法の最終試験を終えるとクラウドが出迎えた。

「早かったな」

「まぁね」

 少し腑に落ちないところもあるが試験官のマーリンが合格といったのだ素直に喜んでおくとしよう。

 ヒカリにとって魔法の試験という一番厄介なものが終わったので、とにかく今は気分がいい。

 

「いやはや、やっと大きな山が終わったというところだな、ソラ達のレッスンよりも骨が折れるわ」

 その試験官がヒカリに続きクラウドとヒカリの横に現れると魔法で出現させたお茶を二人にふるまった。

 ダージリンの紅茶にヒカリは角砂糖三つとミルクを入れてぐるぐるかき混ぜている。クラウドはミルクだけ。マーリンは角砂糖をなんと四つ入れてゆっくりと混ぜている。

 紅茶を堪能したマーリンはしばらくして口を開いた。

「さて、王様はもう闇の世界に行っている。ヒカリはこれからどうするつもりだ?」

「やっぱりここに来たんですね! とりあえずは言われた通りマフの探しているメダルを探します」

「メダルの場所は見当ついたのか?」

「いいえまったく」

「ふむ、今まで集まった銀の方は問題の解決した後に見つけているのでは無いのかな?」

「そういえば……そうかもです」

「それならば、このまま進んでいけば自ずと見つかるかもしれないな?」

「そんなものですか? なんか、メダルなんてどうでも良いみたいな考え方だと思うんですけど?」

 昨日さんざんシドとマフと一緒に考えこんでいたのにこの魔法使いの師匠は楽観的だった。

「そもそもの話だが銀のメダルは探して見つかるものだったか?」

「ぜ、全部、偶然……だったような気もします」

「そらみろ」

 昨日の会議はいったい何だったのだろう?

 呆れたを通り越してどうにでもなれみたいなため息を漏らすヒカリ。隣でクラウドも似たような顔をしていた。

 そんな二人を見て未来を見透かす魔法使いはおどけてこう言った。

「運命に身を任せることも一つの探求なのだよ」

「私はあらがう方が定石だと思いますけど」

 間髪入れずヒカリが反論をする。

「今まで運命なんて考えたことなんてないし、そんなことより今この瞬間の選択は私自身の答えなのだから。できる限りは納得のいく選択をしていきたいな」

 マーリンとクラウドがヒカリの言い分を少し意外そうに聞き入りクラウドが興味深げに彼女に聞く。

「ヒカリは迷ったりはしないのか?」

「迷ったら最初に決めた方にするくらいね。それで納得しているつもり」

「それもしかり。ひとつの選択にすぎんよ。何よりそなたの運命に付き従い、そして、自由でありなさい」

 マーリンは紅茶を飲み干した。

「そんなかっこよく言われても、よくわからんよマーリン様! とにかく、メダルは見つけ次第すぐマフに渡しますから!」

 そもそも、さっきまでの最終試験。私は夢を見ていた気分だったのだ。それが実は現実に起こっていたことなんて、どう受け入れればいいのかまだ曖昧な気分だ。何か修行の課程が修了したという達成感がみじんも無く、大きな壁を目の前にした圧迫感が無くなる事も無い。そんな中での免許皆伝。それもこれからの事を考えると何を目標にしていけばいいのやら、道しるべも曖昧だ。

 しかも自分でなんとかして見せろとは、あまりに思考が追い付かなくて頭が痛くなってきたヒカリは砂糖の塊がたまっているミルクティーを飲み干した。

 その間クラウドは、あまりにもタメ口のヒカリに彼女の師匠であると言うマーリンの顔を見てご機嫌を伺う。

 マーリンは特に気にもせずヒカリに紅茶を注いでいた。クラウドも勧められたが断った。

 二杯目の紅茶には溶け残った砂糖があるようなので今度は砂糖を二個入れてかき混ぜている。

熱かったのか険しい顔になりカップをすぐに置いたヒカリは会話を再開した。

「その後は扉で待ってろとは言われたので、ミッキーが待ってる扉の近くまで行ってみるつもりです」

「そうなるとハートレスの集まる総本山か」

「はい、たぶん……マレフィセントの住む城。たしかホロウバスティオンってレオンが言ってた」

 ここへ来る途中にレオンから聞いた。マレフィセントが拠点にしている星のある場所だった。

「ふむ、あそこは殆どが崩壊していて普通の船は行けない、フック船長の船に乗るのが良かろう。姿を変えて乗り込みなさい」

「姿を変えて乗り込むって? 海賊かな? でも、私の顔ってバレてるはずでは?」

 

「船は後でレオン達が届けてくれるはずだ」

「あれ? マフじゃなくてレオン達なの?」

「あそこはレオン達の故郷だそうな」

「そ、そうだったんだ」

 

 軽はずみに聞いてしまったけどレオンとユフィには思い入れのある所なのか。そこへ突入するチャンスがあるのだ。ヒカリは少し気合が入った。

 

「ホロウバスティオンは見つけ次第乗り込む手筈は整っているはずだ。ヒカリなら中から結界を破れるはず、どうか潜入してくれないか」

「わかった、じゃあ作戦会議だね。レオン達集めに行ってくる!」

 そう言ってヒカリは紅茶を急いで飲み干して水路方面へ駆け出していった。

 

 ここで残ったのはマーリンとクラウドだけ。

 

「さて、クラウド。王様から一言頼まれていたのじゃ」

「ミッキーから?」

「そう。ヒカリの鍵となってくれ、と」

「カギ、とは?」

「比喩的なものだと思ったのじゃが、そうではないな、そのまんまだ」

「もう少し具体的に何をすればいいのか聞きたい」

「ヒカリにはもう一つの人格がいて、彼女はいちおうは制御できるようじゃが……」

「俺は不自然なヒカリを一度だけ見たことがある。で、俺がヒカリに何をすればいいんだ」

 

「それはだな……その言葉の通りだ」

 

「また、あいつは難解な言葉を残していくんだな」

「私からのヒントを授けてやろう。ホロウバスティオンでは何があってもヒカリに手を貸さないこと」

「それは、強制か?」

 困惑した表情のクラウドに未来の見える魔法使いは一言。

「おまえの心のままにいなさい、時期が来るのは自ずとわかる」

 

 ほどなくしてヒカリが帰ってきた。

「レオン連れてきたよ! シドはまだ船作ってた」

 ヒカリの後に連なってレオンとユフィ、エアリスがやってきた。

 クラウドは複雑そうな表情でヒカリを見た。

「どうしたのクラウド?」

「いいや」

 それよりも作戦会議が重要なのでそれ以上は何も聞かなかった。

 

 

「わぁ~ヒカリかわいい!」

 エアリスとユフィが目の前を飛び回る輝く妖精を眺める。それが今のヒカリだ。

「でも~なに言ってるのか全然わからないわ」

 ユフィがヒカリに顔を近づける。

 大きなユフィにヒカリが驚くと『カチャン♪』とカギ束がこすれあったような音が聞こえた。

 これが今のヒカリの言語だ。

「それと、もう一人いたはずなんだけど、こっちはまったくもって見えないわね」

 ユフィがヒカリの周りを見渡すがヒカリ以外輝く妖精が見当たらない。

 ヒカリが何かを察知してあそこにいるよ~と大げさに指をさすがやはり見えていないようだ。

「もしかして見えない妖精とか?」

 観念したヒカリが自身の金色の妖精の粉を、とある一定のところに振りまくと輝く輪が現れる。その輪の中から姿を眩ましていたもう一匹が現れた。

「クラウド。全然見えなかったわ」

 エアリスが楽しそうに妖精クラウドを見ている。

 クラウドはかわいい格好の自身に顔を赤くしている。

「あ、もしかして隠れていたの? かわいい~」

 ユフィがからかうと何か大声で反論したみたいだが、その声は『ジャリン♪』と剣がこすれあったような音が聞こえただけ。これがクラウドの妖精時の言語のようだ。

 ヒカリが楽しそうに会話をしているのを見るあたり妖精達だけ意思疎通ができるようだった。

「うふふ、二人ともそれぞれ輝きが違くて素敵ね」

 フェアリーゴッドマザーにより妖精姿になった二人は彼女へ向き直る。

「でも、残念だけどこの変身は一度きりよ。元に戻るタイミングは慎重にね」

 フェアリーゴッドマザーが二匹の妖精に言い聞かせた。

 

「それでは、目的地。ホロウバスティオンへ向かっている海賊船へ今すぐ移動するぞ、二人とも健闘を祈る!」

 マーリンが魔法の杖を一振りすると空間が一瞬にして変わった。

 

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