King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】   作:かすてらホチキス

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~妖精の粉~

 船の中を探索中。グーフィがピーターパンにこう言った。

「ねぇ、どうして空飛べるの?」

 ピーターパンは明日の天気は晴れだと言うようにごく普通に答えた。

「誰だって飛べるさ。試してみるかい?」

 そう言ってピーターパンはヒカリの金色のきらきらした妖精の粉をそっと手に取る。

「キーティンクの妖精の粉は……飛ぶのには威力が強すぎるな」

「え、そなの?」

 これにはヒカリは少し驚いた。妖精の粉には魔法が使える他に何かあるみたいだ。

「しょうがない、ティンクを呼ぼう」

 ピーターパンが口笛を軽快に吹くとティンカーベルが現れた。

「ティンク、そろそろ機嫌直せよ」

「わかった、呼んでくれたの、うれしかったから」

 どうやらお呼びがかかるのを待っていたようだ。

 ティンクの同意が取れたのでピーターパンはティンクの羽をもってソラ、ドナルド、グーフィへ妖精の粉を振りまいた。

「これで飛べるはずだ」

 早速ドナルドがワクワクしながら手をはばたかせる。

 パタパタパタ。

 

 ――が、地面にあごから落ちた。

「なにあれ~普通そこの部分から落ちる⁉」

「あのしろい、翼で……い、一瞬飛べそうだと思ったのに……飛べないんか~い!」

「フッ、さすがにその姿で……見事だな」

 三匹の妖精たちが滑稽な姿のドナルドの落ちに笑い転げる。

 チリンチリン♪

 チャリンチャリン♪

 ギャキン♪

 そんな会話は当の本人には聞こえていないはずなのだがドナルドは金属の三重奏に頬杖をついて面白くなさそうな表情をしていた。

 

 

「もぅ~妖精にとってこれは大切な魔法の粉なのよ!」

 三人に振りまき損のティンクがぼやく。

「妖精の粉って貴重なんだね?」

「そうよ、それなのに飛べないなんて、ホント無駄だったわ!」

 ヒカリが感心するとティンカーベルは更に話を続けた。さっきまで笑うだけ笑ったのでとても機嫌がよさそうだった。

「今、飛べる自分が不思議だな」

「クラウドは妖精だからね!」

 クラウドが呟くとヒカリがすかさずフォローする。しかも声だけするクラウドにティンカーベルは全く気が付いてないようだ。

 それだけティンカーベルは今、自分の世界に入っているみたいだ。

「だとして……もしかして、あなた。まだ生まれてきたばかりの妖精かしら?」

「な、なんで?」

 ズバリ言い当てるティンカーベルにびくりとするヒカリ。

「常識がないから、あなたほど目立つ妖精が堂々と夜道を飛び回っていたらとても危険よ。人には姿を見せてはいけないし、ましてやタカや夜のフクロウに間違って襲われちゃう。特にタカは天敵と言っていいのよ」

「て、天敵!」

 ヒカリは妖精に天敵がいるなんて初めて知った。

 ここは海だから気にしていなかったがこれからは空からの敵も気を付けておこう。

「あと、この金色の輝きは……とても珍しいわ!」

 思い立ったようにヒカリの羽をぐるりと見渡すとティンカーベルはワクワクしたような表情だった。

「うん、うん! なんというか、すっごい力を秘めている! 溶かして固めたら金属になりそう!」

「き、金属?」

 訳が分からない表情のヒカリ。

 更にティンカーベルはヒカリの腰についているハートの飾りを持ち上げる。

「この飾り素敵ね! あ、見た目より重くないわ、それにサビに強い。でもこの光沢……きっといろいろ何かが混ざっている。装飾用にかなり工夫されているわ。これを作った職人に会ってみたい!」

 妖精の粉に負けないくらいきらきらした表情のティンカーベル。ヒカリは更に困惑する。

「えーと。私の世界では普通のアクセサリーです。作った人の名前も知りません」

 なんて、言えない。

「遠いところの、商人から手に入れた物だからごめん、作り方はわからないんだ」

「そ、そうなのね」

 しゅんとするティンカーベルはここで初めてはっとしてわれに返った。

「あ、私ったら金物修理が得意な妖精なの。金属質な物は結構好きなのよ」

 顔を赤くするティンカーベルにヒカリは初めて会った時と全く違って誤解が解けたようでうれしかった。

「気になるならこの羽、見ていてもいいよ?」

「ありがとう。ヒカリっていい人ね! もっとゆっくり出来たらお願いするかも!」

 楽しそうにティンカーベルが笑うとヒカリはうれしくなった。

 しかし、くるりと回れ右をするティンカーベル。

「あとはソラのキーブレードも興味があるわ!」

 今度は戦闘中のソラの近くをきらきらした目をしながら見物しはじめた。

 ヒカリは呼び止めようとしたがあきらめた。

(私、ここ出たら人に戻る予定なんだけどなぁ)

 期間限定の妖精は本物の妖精に告げることができなかった。

 少しあきれるがこんなに興味持ってくれるなんてティンク、マフに合わせたいなぁと思えてくる。

 しばらくヒカリが眺めていると、ティンカーベルはヒカリに向き直る。

「なんか似てるわね?」

「?」

「ソラとあなた」

「そ、そうなの?」

 ちょっとはぐらかしてみるヒカリ。

「妖精はね、赤ちゃんの笑い声から風に乗ってネバーランドで生まれるの。もしかしたら、あなたはソラの兄弟から生まれているのかしら?」

 それを聞いてヒカリはフッと笑う。

「そうかも、ね?」

 

実は、生まれたのは私が先だけど!

 




妖精の天敵、ティンカーベルの好みはディズニーフェアリーズの知識からです。映画もあるので是非。ソラたちもピクシーホロウに訪れて欲しいものです。
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