King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】 作:かすてらホチキス
トラヴァースタウン 短編
Another02~Rival~
二番街と三番街を繋ぐ扉の前に来たところ。ヒカリは目の前の彼をじっと見ていた。
「あの、ミ――」
ヒカリがミッキーにさっきから考えていることを言おうとしたとき、突如向こうから扉が開いた。
開いたというより蹴破った!
そしてイキナリヒカリ&ミッキーに攻撃を仕掛けてきた。
仕掛けてきたのは二人。
一人はミッキー、もう一人はヒカリに襲い掛かった!
ヒカリは速すぎて相手の姿を見ることが出来ない。
(これもハートレス?)
始めヒカリはそう思ったのだが、考えている最中に空中で何か飛来するものがヒカリに迫り来る!
ヒカリは迷わずロックセプターを構えそれを打ち返した。
島でよくワッカのボールを打ち返していたのと一緒。暗くても標準はつけられる――狙いは飛来したところ。つまりは相手だ。
(きゃぁっ!)
「へっ?」
(いま、ハートレスが「きゃぁ!」ってかわいい声を出した?)
考えているヒカリに相手の攻撃はなおも止まらない。
すかさずヒカリの間合いに入ってきた。
「!」
(ガキンッ!)
ヒカリと相手の武器が重なり合う。そのとき一瞬相手の姿が見えた!
(え、なんか違う?ハートレスじゃないよ?)
「そこまででいいだろ、ユフィ」
だれかのあきれたような声が聞こえた。
「ヒカリ、この人たちはハートレスじゃないよ」
さらにいつの間にいたのかミッキーの声が後ろから聞こえた。
ヒカリは迫りくる相手の武器を力の限り抑えていてそれどころじゃない。
「やっぱりそうだろうと思ったよ!」
ヒカリの目の前から少女の声がして、その後ヒカリの目の前に迫る武器が退いた。
明るい所に出ると、さっきまで戦っていたのは大きな手裏剣を持った女の子だった。
「あたしの名前はユフィ、こっちはレオン」
☆
「ごっめんね~てっきり私、ここにはハートレスしか居ないって思っててさー」
ヒカリにしきりに謝るユフィ。
「もう少し周りを見て行動してくれ」
レオンがため息混じりにユフィに言った
「レオンだってさ、そこの人に向かってガンブレード振り回してたじゃーん!」
ミッキーを指差してすねるユフィはレオンに追い討ちをかける。
「かわされてばっかで振り回しているようにしか見えなかったよ」
「……」
痛いところを突かれたようだ。
「アンタも強いね名前は?」
ユフィがヒカリに聞いた。
「えっ!」
あまりにも唐突だったので驚くヒカリ。
「私はヒカリ、でも私はかわしていないよ?」
それにミッキーみたいに強くもない。
「もう~そうじゃなくってさぁ~」
じれったいように首を横に振るユフィ。
「ユフィの手裏剣はどこから飛んでくるのかわからない。それを初対面で弾き飛ばし、ついでにちゃんとユフィに向かって打ち返したヒカリは見事だ」
レオンがさっきの表情とは打って変わってサラリと言い放った。
「ってことで、アンタすごいね!」
ユフィがにっこりとヒカリに笑いかけた。
「たぶん、マグレなんじゃない、かな」
ユフィの言葉に自信が持てないヒカリ。
ヒカリは自分の力量なんてまだわからない。ここに来たのは初めてだ。ハートレストはとりあえず倒せているが、コンディションが悪いと単純な攻撃ばかりのソラでもヤバイ。
本当に私って何にもわからない。自分のことでさえはっきりとした基準も何がよくて何がダメなのかも。なにも確かめることができない。
「あ~もう! じれったいなぁ!それじゃあ、今度会ったときは正々堂々と勝負しよう!」
ユフィがビシッと指を突きつけてヒカリに言った。
「えっ? ま、待ってよ!わたしまだ――」
「問答無用!」
ユフィはさっきと違って今度は憤慨している。
「正直、アンタなんか弱いなんて決め付けた自分が甘かった。そんな自分が今から戦ってもきっとやられるだけ! 私修行し直すからそのときまでヒカリ、待ってなさいよっ!」
ヒカリは何も言い出せなくなってしまった。
ソラと戦った時の自分と今のユフィが重なった。そう思ったら、競争心がわいてきた。
「じゃあ、私も頑張る!」
ユフィの言葉は少なからず自分にも意欲がわいてきた。
「待ってるだけじゃ変われないもんね!」
そうなんだ、待っているだけじゃ変われない。変わりたいと思ったことは正直ある。
変わっていく自分が、恐かった。
あの時に戻れないなんて思っていた。でもそれだけじゃない。
変わった自分を見て欲しい。そして、あの頃の私にこういうんだ。
『私はこれだけ強くなった』って!
「この向こうは危険だ、向こうに一番街に繋がる扉があるからそこへ行ってくれ」
レオンがヒカリ&ミッキーに言った。
「危険って?」
ミッキーが聞く。
「一際大きいハートレスが向こうにいるの、とりあえずここいらに居るハートレスがそっちに流れてこないように私たちはここを掃除しにきたんだけど」
ユフィが加えて言った。
「何か手伝うことは?」
ヒカリが聞いてみる。
「いいや、今のところ大丈夫だ」
レオンが辺りを見渡し即答で言う。
「むしろ、あんたたちがここいら片付けてくれたんだから手伝いなんてもうないよ」
嬉しそうにユフィが言った。
「それじゃ、ヒカリ! 私がいいって言うまでトラヴァースタウンには来ないでねー」
満面の笑みで手をぶんぶん降って駆けていくユフィはとても楽しそうだった。
閉め出しをくらい苦笑するヒカリにミッキーが首をかしげた。
「待ってるってことかな?」
「うん、そうなのかも」
そう言ってヒカリはつられて楽しそうに笑う。
来ないでと言われたはずだが悪い気はしなかった。
期待半分、心配半分な感情が相まって、それがなんだか気持ちいい。
「僕もライバル宣言されたようだなぁ」
「?」
「レオン、僕だけスッゴク睨んでたから」
「そりゃあ、武器も出さないでかわしてただけだったからじゃない?」
「……僕はあの武器は極力使わないことにしているんだ」
「なんで?」
ヒカリの言葉にミッキーはしばらく唸って、ぽつりと言った。
「あれは、目立つから」
二人のあいだに沈黙がはしる。
「なに言ってるの?それだけ⁉」
ありえない答えに叫ぶヒカリ、
あとからヒカリはふき出した。
「あははっ。そりゃ金色でキラキラしているけどさ。アレ使わないと、武器……ははっ」
「笑わないでくれよ~しょうがないだろ!」
誰もいない三番街にヒカリの笑い声が響いた。