King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】   作:かすてらホチキス

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~光の刃〜

 

 書庫の本をすべて元の位置に整理すると二階の扉の鍵が開いた。

「杖が手錠になっちゃったんだけど魔導師様はどう思う?」

 ヒカリがドナルドに手錠について聞いてみる。

「剣や杖を変えてもいきなり強くならないように、たぶんヒカリの体の魔力は何も変わらないように見えるよ?」

 潜在能力を見透かすドナルドは真剣だった。

 だが、目玉がぐるぐると時計回りしては反時計回りに切り替わる行為に笑いをこらえるのにヒカリは真剣だった。

「じ、じゃぁ……これは私の体質が変わったとしか言いようがないのね」

 落胆するヒカリ。隣で見ていたグーフィが心配そうに覗き込む。

「ヒカリは今、具合悪いの?」

「いいや、さっき椅子に座ってたら回復したよ。いつもと同じ」

 腕をぐるぐる回せないため両手をぶんぶん上下に揺らすヒカリは元気いっぱいだ。

「さっきまでヒカリとビーストに世話になったからさ、今度はオレがヒカリを助ける番だ!」

 ソラは意気込んで書庫の奥の扉を開ける。するとそこはエントランスホールの二階のバルコニーだった。

「なんだ、意気込んだのになにもないじゃん!」

 ソラが拍子抜けする。

 バルコニーは端から端まで歩いても別の扉は見つからなかった。ホールの中心に吊られている場所に炎が燃え盛っている。

 道中、バルコニーが暗いのでおもむろに明かりの灯っていない蝋燭を魔法で灯し始めるヒカリ。

 すべての明かりがともるとバルコニーから見える真ん中の燃え盛る炎が消えて何かが現れた。

「なんだ? 炎が消えて何かあるみたいだ」

 ソラがぴょんぴょん跳ねて見上げるがココからだと見えない。

「ん……? 明るくなって気が付いたけど、彫刻になにか書いているわよ?」

 さらにヒカリが文字を読むと銅像の要求通りツボを壊したり動かしたりするとさらに何かのパーツが二つ出てきた。一階に降りて拾い上げると何かパズルのピースのようだ。

「もしかしてこのパズルピース、あの扉の凹みよね?」

「ああ、一階の奥に扉があった!」

 ドナルドが思い出す。

「僕たちエントランスの奥はまだ見てないからずっと鍵がかかっていたんだ」

 グーフィも思い出したようだ。

「結局、オレの助けなし⁉」︎

 横でソラがうなだれた。

「あらら、ごめんなさいね?」

 ヒカリは口に手を当ててニヤリと微笑んだ。

 

 まだピースは集まっていない。二階に戻るとバルコニーの中央に鎮座している石像を見てヒカリはソラ、ドナルド、グーフィに指示。

「あ、そこの石像三人で倒してみて?」

 それぐらいでソラがやっと役に立ったくらいだ。

 

 計四つのパーツを見つけエントランスの奥の扉へ向かいそれぞれのパーツをはめ込んでいくと扉が開いた。

「オレはそういう考えるのはよくわかんないんだよな~」

 カヤの外のソラがほほを膨らました。

さらにソラの横にいるビーストも何も言わずずっと黙っていた。

扉が開くとソラが先陣を切って次の部屋に飛び込んだ。

「よーし、つぎはちゃんとキーブレードでオレが何とかする!」

 ヒカリはそれをあきれたように見送り、さっき開いた扉のエンブレムを眺める。

(これがマーリン様の言っていた結界の封印なのかしら?)

 触れてみるが魔法の力のかけらもないただの扉。この扉は違うようだ。

「ヒカリ~! ハートレス居なくなったから次の場所に進むよ!」

 ソラの声が聞こえたのでヒカリは扉の向こうへ踏み出した。

 

 

「うーん……迷った!」

 数分後、ソラが腕を組んで床にあぐらをかいた。

 ぐるぐると同じ場所を回っていたせいかハートレスはすべて倒してしまった。しかし進む道が分からない。

「もと来た場所どころか、今進んでいるのか戻っているのか、わからなくなったからね」

 イライラしているドナルドの横でグーフィが今の状況を解説する。

 

 何も考えず先陣を切って進んでいたソラが行き着いた先は前回ヒカリとビーストとで探索済みの地下牢だった。

「一回戻ってみたらさっきのエントランスだったし、先に行くにはまた仕掛けがあるのかもね」

 グーフィが頭を揺らして考える。

「トロッコ乗ってたら何処に行ったのか分からなくなるんだよ!」

 ドナルドはトロッコが悪いと言い張る。

「なんだか迷路にハマってしまったわね」

 ヒカリが牢屋の以前ビーストにぶち抜いてもらった壁を調べる。

 まちがいない、ここは地下牢だ。

 似たような風景でハートレスと戦ってると、どこから来たのかさえもわからなくなってきてしまう。

「うーん地下水路の出口から出てまた入口のエントランスから入ってみようか?」

 ドナルドがやっと意気消沈しあきらめたように言うと――。

「ちょっとまって」

 ヒカリが何かを発見した。

 それは鉄色のキラキラだった。

 もしかしてクラウドがさっきまで忙しなく飛び回っていたのは、このトロッコの進むべき道を案内するためだったのか。飛び回る妖精はトロッコの行き先を案内してくれるようだ。

「みんな、こっち!」

 ヒカリは元来た道を戻り小さな鉄色の輝きを追いかけていく。

「この装置に触れればトロッコの行き先が変わるみたい」

 ヒカリが青い輝きを赤に変えると隣のトロッコに乗り込んだ。

「おお⁉」

「わーぁお! 行先が変わった~気がする」

「グワワ! さっきまで下だったのが上に行ったの、かも?」

 三人は訳も分からずトロッコに揺られていた。

 その隣でビーストはヒカリに聞く

「さっきの案内は入口でおまえの肩に乗っていた妖精か?」

「そう、私が偵察してきてと言ったから色々調べてもらってるの」

「そうか……ベルは無事だろうか」

「なにかあったらきっと先陣きってあの妖精が何とかするだろうから大丈夫よ」

 クラウドのことだ、非常事態に陥ればおそらく一人で何かするであろう。

 それにしてもなんで姿見せないんだろう?

 かわいいのに……。

 

 

 その後ヒカリはソラのお言葉に甘え極力戦闘に参加せずに眺めていた。

 野外の大きなトロッコに乗るとハートレスが次々とやってきたがヒカリはバリアを張って攻撃をしのいだ。

 途中、援護でケアルガを数回かけるくらいでいつもは魔法で何とかできるはずなのにそれができない今の状況が次第にあまりに情けない気持ちでいっぱいになった。

 

 これ、わたしこのままじゃダメな気がする――。

 そう思ってしょうがなかった。

 

 

 

 再び城の内部に進むと大きな広間、礼拝堂に行きついた。奥には闇の魔女マレフィセントが待ち構えていた。

「来るのが少し遅かったねぇ。最後の鍵穴が姿を現し世界はもうすぐ闇に覆われる。もう誰にも――」

「止めてやる!」

「止めて見せるわ!」

 ソラとヒカリが叫んだ。

「鍵穴も、この世界もおまえの思い通りにはさせない!」

 ソラがキーブレードを構える。

「世界が闇に覆われるなんて、させない!」

 ヒカリが自由の利かない両腕で木刀を握りしめる。ついさっきソラから貸してもらった元々はヒカリの所有していた木刀だ。

 その姿を見たマレフィセントは喉を鳴らす笑いから高笑いに変わっていった。

「ははは! そんなおもちゃで何ができると思うんだい? 文字通り笑わせてくれるわ!」

 マレフィセントが浮遊する岩に乗り浮き上がる。

 皆が戦闘態勢に入った。

「ヒカリは危ないから下がって! さっきみたいにバリアとケアルだけ!」

 そう言ってソラがマレフィセントめがけて走っていった。

 

 マレフィセントと戦っていた、もう一人の自分を見ていたから今の自分は足手まといなのはわかってる。ヒカリは悔しそうにバリアを張りながらじっとしていた。

 さっきドナルドが言ってくれた。

 杖が手錠に変わっただけだって。わたしの中の力は変わっていないって。

 さっきまで私は、手錠に向かって戦う力を込めて魔法を使っていたんだ。

 そうか、だったら。

 手錠ではなく『この木刀』に戦う力を求めたら!

 

「ええい! うるさいね!」

 マレフィセントが浮遊する岩を回転させて真下にいるソラ達を振り落とす。

 ふとヒカリに目をやるマレフィセントは何か小細工をすることを見抜きヒカリへと魔法を放つ。

「闇の力を持たない今のおまえに私が倒されるはずがない!」

 マレフィセントの背後から現れた隕石が意識を集中させているヒカリめがけて振り下ろされた!

「しまった! ヒカリが危ない!」

 ソラが振り返ると、大きな隕石が遠くにいる少女に落とされた瞬間だった。

 

 隕石は壮大な音をして落ちるはずだった。

 ――が『ゴトン』と不思議な音がしただけ。

 それもそのはず。

 

「岩が」

「真っ二つに」

「割れた……?」

 ドナルド、グーフィ、最後にソラが今の状況を実況した。

 

 真っ二つに割れた岩の中心に少女の姿が現れる!

「杖も、闇の力もなくたって……私は負けない!」

 少女の手の周りが輝いていた。

 それは手錠でも、おもちゃの木刀でもなかった。

 

 それは『輝く木刀』だった!

 

「木刀なのかよ! 一瞬、杖に戻ったと思ったのに~~!」

 ちゃんと突っ込んでくれたソラにヒカリがいつものように不敵に笑いかける。

「だってさ~岩斬るんだったらさ~杖じゃダメでしょ?」

「まぁ、そうだけどさ~」

 ヒカリの口調がソラに伝線した。

 

「とにかく私は大丈夫!」

 手錠が健在ではあるが、これでソラ達と同様、戦えるようだ。

 

「おもちゃの剣で戦おうなんて笑わせてくれる!」

 マレフィセントが高らかに笑う。

「それはどうかしら? もう一度行くわよ……ザンテツケン!」

 ヒカリがさっき覚えたての技をマレフィセントの乗る浮遊する岩めがけて振り下ろした。

「なっ⁉ 何その名前……⁉」

 ソラがヒカリへすかさず叫んだ。

 光の輝きとともに一瞬で間合いに攻め込んだヒカリがマレフィセントの目の前から背後へ――それはもう瞬きするうちに移動する!

「ふっ……またつまらぬものを、斬ってしまった」

 その言葉が合図のように、岩は浮遊する力を失い地面に落ちる!

「なっ⁉ 小癪な小娘めっ……!」

 間の抜けたセリフと見事な技のキレ味のギャップがあってか、岩が砕かれると、バランスを崩しながらヒカリへ振り返った魔女。

「これでとどめだ!」

 後ろをとったソラがマレフィセントに最後の一撃をお見舞いした!

 

「ううっ……おのれ」

 マレフィセントはよろよろとした足取りで闇の扉を開けて消えていった。

 

「ヒカリのおかげで助かったよ、でもなんでその木刀で?」

 ソラが今は輝きを失ったヒカリの手の中の木刀を眺める。

「杖が私の力ではないってことよ、そうでしょドナルド?」

「そ、そうだけど……それをわかってて、いきなり本番でやれる人はそうそう居ないよ!」

 ムムムと唸るドナルドにヒカリは手錠から木刀へと視線を移す。

「初めは手錠だから出来ないって思いこんでたみたいなんだ、でも考え方を変えてみたらこう……う~ん理屈にしようとすると、よくわかんないなぁ」

「それでも助かったことには変わりないよ。ありがとうヒカリ」

 グーフィが嬉しそうにヒカリの肩をポンポンと叩く。グーフィの励ましににんまりと笑うヒカリ。

 黙って見ているんじゃなくて、みんなで戦えるのってなんかいいな。そう思った。

 ようは仲間外れが嫌なのだ。

 一緒に戦うことこそ真骨頂!

 おまけにツッコミも入れてくれると気分もいい。

 

「闇の扉がまだ消えていない、急いで進もう」

「おおっと、そうだったわ!」

 ビーストがこのゆるい空気に流されず進むべき場所へとうながしてくれた。

 

 

 マレフィセントの後を追うとそこにはリクがいた。ソラが叫ぶ。

「リク!」

「あれは――」

 ドナルドがリクの手の武器に気が付く。

「そう、キーブレードだ」

 リクが自身の手に持つキーブレードを掲げる。

「おまえのキーブレードとは異なり、これは人の心の扉を開く。心を解放された人間は、こうなる!」

 リクは振り向きながらマレフィセントの胸にキーブレードを突き刺した!

「なっ!」

 マレフィセントから闇が広がる。

「心の闇を開け放ち、闇に心を明け渡せ!おまえは闇そのものになるのだ!」

 

「……っ!」

 ヒカリの体が一瞬で冷水を浴びたように震える。

 ガタガタと震えあがる体に対抗するように手錠から金の輝きが発せられヒカリを守る。

 

 もう一人の私に交代する時と違う、この闇はたとえるのならば冷たい炎のようだ。

 まるで周りに枯れ草が生い茂っていて、一気に炎が周りに広がっていく感じ。みるみるうちに取り返しのつかない大きな力が広がっていく。

 こわい、闇にのみこまれそうだ。

 

「これだよ、この力さ! 闇、真の暗闇――!」

 マレフィセントは巨大な黒いドラゴンの姿に変貌した!

 口からは青白い炎が絶えず吹き出しソラ、ドナルド、グーフィ、ビースト、そしてヒカリへ視線を向けると、その炎を吹き出した!

「ッ……バリア!」

 険しい表情でヒカリが全員の身を守る。

「アッヒョ! 危ないところだった!」

「グワワ! どこを狙えばいい?」

「頭を狙え、あの魔女はもはや正気ではない」

「とにかくやるしかない。皆行くぞ! ヒカリはここで、危なくなった時にみんなにケアルを!」

「わ、わかった……」

 ソラの指示にヒカリはしぶしぶ頷いた。

(もしかしてさっきの震えてたの見られてたのかな?)

 闇の力。私はなんでかこの言葉に弱い。

 いいや、今はそんなこと考えてる暇なんてない。

 立ち向かうんだ!

 

「おまえは闇に敏感だ」

「……っ⁉」

 リクがヒカリにささやく。

 思わずゾクリとする。

 ヒカリは木刀を構えリクに向き直る。

「あなた、リクじゃない! リクはどこ⁉」

「それよりも自分の身を守ることだな、安心しろ。おまえにこれは使わない」

 リクがキーブレードをヒカリに見せる。

 思わずびくりと震える。

「さぁ、闇のドラゴンに見事打ち勝って見せるんだ。ヒカリ」

 リクの姿が消えた。

 ヒカリはドラゴンに向き直る。

 傍で目を回しているドナルドがいたのでケアルガをかけた。

「グワッ! 暑い日にチョコレートサンデーを食べたような気分だ~~MP全快! ようし~」

 なぜか手錠になった時のケアルガはMPも全快になる。ドナルドを助けたヒカリはなんでかほっと胸をなでおろす。

 なんでか、さっきのキーブレードを見てすごく怖かった。

 闇の力、解放された心。

 今の私は闇の力を使うもう一人の私に頼ることができない。さっきの震えは、私じゃない。

 きっと、あの子が出てくるのを拒んでいるんだって分かったんだ。

 それにさっきのキーブレードを見てよくわかった。この手錠は悪いものではない。

 だから私は今の私の武器を信じる。

 私の中の力、心の力、魔法の力!

(さっきの木刀の技は物にしか使えない)

 ヒカリは新たな魔法を考える。

「闇に打ち勝つ……なら光の魔法?」

 魔法の波動砲は光属性のバーストは使えない。ファイラやブリザラもいちおうは光属性に少なからず属しているが、もっと純粋な光の魔法を考える。

 

 なんでバーストは杖でないと使えないのか?

 私の中の魔法の力が光と闇の魔法を拒んでいるのだ。

 杖に頼らず魔法を放ちたい――。

 そうだ、初めて魔法を覚えたときそれは光の魔法だった。あの時は輝きをイメージしていた。

 そして、さっき私は木刀だったから、刃物をイメージしたからなんでも切れる技を出せたのだ。

 ならば、やりかたは同じ。

思い描くだけ。

 

 聖なる剣、聖剣をイメージするんだ!

 

「聖なる力よ、この手に宿れーー刃を創り悪を滅せよ!」

 握る木刀が輝き、輝く剣がヒカリの目の前に浮かび上がる。

「狙い定め、悪なる竜へ――飛来し貫け!」

 木刀を握りしめ振り上げると、ヒカリの頭上に輝く刃が移動し木刀の切っ先に繋がった。

 それを確認するとヒカリは叫びドラゴンめがけて勢いよく振り下ろす!

 

「ホーリーライトニング・エクスカリバー!」

 

 斬撃の衝撃波のように一直線に向かう光の剣!

「エクスカリバー⁉」

 ソラが気になるワードを聞き取り、思わずヒカリに振り向くとその輝く刃がソラの頭上をかすめ光の速さでドラゴンの胴体を貫通した!

 ドラゴンは大きくうねるようにもがき、やがて巨体を地響きとともに横たえた。周りの茨が消え、ドラゴンの姿も消え黒いしみが残る。

 

 ソラが遠くのヒカリに何か言いたそうだったが、リクがドラゴンの消えたシミの上にやってくる。

「役立たずめ。しょせんハートレスの操り人形か」

「なんだって⁉」

 近くで聞こえたドナルドが声を上げる。

「マレフィセントは最初からハートレスに利用されていたのだ。そのため心の闇が膨れ上がり、身を滅ぼした。愚か者がたどる末路だな」

 そう言ってリクはヒカリを一瞬一瞥する。

「⁉」

 同意を求められたようでヒカリは困惑する。

黒いシミはやがて消えてリクも闇の扉を開けて消えてしまった。

 

「さっきアイツと何か話していたな」

 ビーストがヒカリに問う。

「私に、さっきのキーブレードは使わないって……意味は、分からない」

「リクはヒカリには優しいのかな?」

 のんきな意見のグーフィにヒカリは少し和んで微笑んだ。

「どうかな? 今の時点ではさっぱりだわ」

「あのリクなんだか変だ」

 

 ソラが険しい表情になる、それは一瞬だった。

 

「それよりもヒカリ。さっきのエクスカリバー⁉ なんだよ! 技なの魔法なの? 俺にもできる⁉」

 思い出したようにヒカリに乗り出すように声を荒げる。まるで新しいおもちゃを初めて見たときの子供のような興奮しきった表情だ。

 肩をつかまれ揺さぶられるがままのヒカリ。

「あ~もう……思わず出てしまったとはいえ、言うんじゃなかった~~」

 ソラの好奇心にほとほとあきれるヒカリだった。

 

「そもそもエクスカリバーってどんな形だった。一瞬で見えなかったからもう一度出してくれない? いいや、それよりもどうやって出すんだ。今のヒカリは杖じゃなくて木刀使っているから出せたのか? それなら俺も使えるかな~~? なぁヒカリ~~教えてくれよ。カッコいい技使えるんなんてさ~~いいなぁ~~」

「あの~~はやく、カイリの所に、行こうよ?」

 

 その言葉が出てくるとソラはわれに返り、やっとヒカリを質問攻めしなくなった。

「うっ……コホン。進もう!」

 やっと解放されたヒカリは思いついたようにソラにとあるアイテムを渡した。

「はい、ドラゴン倒したから近くに落ちてたよ」

 そう言って渡したのは最後の相棒『ムーシュー』の、今はヒカリが使えなくなってしまった召喚石。

いずれ渡そうと思っていたがすっかり忘れていたので今の勢いで渡してしまおう。

 

「そっか、俺たちドラゴン倒したんだよな!」

 ソラがあらためて実感したようで顔が高揚する。

「これって召喚石だ」

 ドナルドが赤い石をのぞき込む。

「もしかしてドラゴンが出てくるんじゃない?」

 グーフィが楽しそうに期待する。

 

(うん、まぁ……そうだね)

 

 期待した通りのドラゴンではないだろうとヒカリは未来を想像し、申し訳なさそうに微笑んだ。

 

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