King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】   作:かすてらホチキス

157 / 167
アナザー短編はこれで最後。
あとがきもあります。


Another20~Escape Key~

Another20~Escape Key~

 結界が無くなりホロウバスティオンの地下水炉でレオン達に無事救出されたクラウド。

 

「え、ちょっと……ヒカリは⁉」

 キョロキョロしながら辺りを見回すユフィがクラウドに尋ねる。

「ヒカリは消えてしまった……ここにはいない」

「どう言うことだ?」

 傷だらけのクラウドの肩を貸すレオン。

「しかも、アイツはヒカリの事を娘だと言った」

「ん? それって、ヒカリもココ出身なの?」

「話は、ここを脱出してからだ、さっきソラ達のグミシップが飛んで行ったのを見た。俺たちも脱出しよう」

 レオンが新しいグミシップ『ミルコメダリア』の扉を開けた。

 

 

「特別なナビグミのあるソラ達とは別のルートは結界があって、それがなくなったから来れたのはいいものの。ヒカリがその結界そのものだったとは」

 レオンがヒカリの名付けた船ミルコメダリアの操縦をする横でクラウドは何も言わなかった。

「ミルコメダリア。ヒカリも乗るはずだったのに……なんかやるせないよ」

 いつも元気が取り柄のユフィがショックで意気消沈している。

 

 

「アンドロメダとミルキーウェイ。二つの銀河が一緒になるとミルコメダって名前になるんだよ。それでお花の名前のダリアと合わせてミルコメダリア」

 ヒカリが楽しそうに話したのはシドの新しい船を見に行った時だ。

「カレイドスターとコスモステラのいいとこどりだからうってつけでしょ?」

 そう言って不敵に笑うヒカリの顔をユフィとレオンは苦笑しながら見ていたのが、最近のことなのに遠い過去のように思えた。

 

 

「マーリンはヒカリがこうなるのを知っていたのか?」

「俺は何があっても見届けろとまでしか……もしかしてこれのためか」

 クラウドが取り出したのはコースターほどの大きさの金のメダルだった。

「あ、それって……!」

「どこでそれを……⁉︎」

「これは、最初からヒカリの中にあったんだ」

 

 

 ホロウバスティオンの地下水路でクラウドに耳打ちするヒカリ。

(金のメダルで新しい錠前を作ってトラヴァースタウンの噴水に投げ入れて)

「それはいったい――メダルはどこで手に入る?」

 ヒカリがリクの持っていたキーブレードで自身を突き立てるとキーブレードが金のメダルに変わった。

 

 そして、彼女は姿が変わった。

 さらに『彼女』は自身が生み出したハートレスを俺にけしかけた。

「待ってくれヒカリ!」

「残念だけど、ライトハートは消えた。私の名前は違う」

「俺はクラウド、お前は誰だ? 教えてくれ!」

「今はダークネスハートでいい。でも、わたしにはお父様の名付けてくれた大切な名前がある」

 

 

「そして、俺はハートレスに苦戦していたところ、おまえたちが来たというところだ」

 トラヴァースタウンのアジトにて傷の手当てを終えたクラウドがここまで語る。

「ちょっと待って、名前を名乗らなかったってことは……もしかして見逃してくれた?」

「どう言うことだ?」

 ユフィの言葉にレオンが聞き返す。

「冥途の土産には名前を言ってくれるでしょ?」

「そ、そうなのか?」

 ユフィの返答にレオンは今度はクラウドに聞き返した。

「それには同意しかねない。だが、俺は見逃してくれたと考えている。彼女は俺と同じだ」

 

「彼女も、ヒカリを見守っていたってこと、だよね?」

 第三者、というより今ここには三人いるから第四者の声が聞こえた。

「エアリス、どういうこと?」

 ユフィが答えを早く聞かせろと言わんばかりに話の乱入者へ聞き返す。

「ヒカリの中にはずっともう一人いた。それが彼女。彼女もクラウドとヒカリと一緒に旅をしてきた仲間だってこと、そうでしょ?」

 振り返るエアリスにうなずくクラウド。

「きっと彼女もヒカリも待ってる。あとは、私たちのがんばる番! マフ、連れてきたよ」

 エアリスの後ろから恐る恐るマフが現れた。

 クラウドはマフの前へかがみ、不安な表情の彼女に金色のメダルを差し出した。

 

「ヒカリが、これをマフに渡してくれと……そう言って消えた」

 マフは緊張した面持ちで金のメダルを受け取り裏表を眺める。すると思い出したのかびくりと震えこう言った。

 

「なんで……こんなことって!」

 金のメタルチョコボにはこう書かれていた。

 

『鍵が導く心のままに』

 

「それと、これが近くに落ちていた。前はヒカリの使う杖だったものだ」

「これは、もしかしてヒカリさんの? 世界の扉の……」

 クラウドが持っているのはヒカリが消えた後に残った手錠だった。

「キーブレードやロックセプターは消えるのにこれは消えないんだな」

 レオンが金色の手錠を眺める。

「結界の封印とともに、これはもう役目を果たしたのでしょう」

「それって、マフは今、記憶が戻ったの?」

 ユフィが金の手錠よりもマフの記憶について気になっている。

「教えてくれ、何を思い出したのか、ヒカリは元に戻ってくるのか」

 クラウドがマフにまっすぐに問う。

 マフは口をとがらせて悔しそうな表情で叫んだ。

 

「私が今、思い出したのはこの手錠について、だけです」

「じゃぁ本来の記憶は?」

「それは……記憶。ではなく、記憶が戻るヒント、です!」

 

 

 トラヴァースタウンの地下水路でソラとカイリに会うクラウド。

「カイリはヒカリのことは覚えているのか」

「ソラの記憶のほうが多いけど、すこしヒカリからも見ていたからね。でもヒカリ姉はあえて消したり戻したりしてたから、ソラにはなんて話せばいいのか考えても答えが出ないや。それにセプターはもうなくなったから、あの記憶はもう……」

「いいや、ソラがこうして元に戻ってこれたんだヒカリもきっと戻ってこられる」

「うん」

 

「二人で何話してるんだ?」

「ん? その頭ソラに似てるなぁって」

 カイリはクラウドを眺めながら楽しそうにソラに言う。

「そうなの?」

「そうか?」

 ソラとクラウドが同時に首を傾ける。

 さらに似てきた。

「ヒカリと三人で一緒に立ってみてほしいなぁって」

 カイリがそのもう一人を思い出してくすくす笑い出した。

「この続きはヒカリが戻って来ないと始まらないな」

 つられるようにクラウドも微笑する。

「オレが戻ってこれたんだ! ヒカリならきっと大丈夫だって!」

 

「ところで、ソラは消えたときどうやって元に戻ったんだ?」

「ハートレスになったんだ」

 ソラの返答に驚くクラウド。

「消えたんじゃなかったのか」

「ん~あんまり覚えてないけど、たしか城の外で投げ出されて真っ逆さまに落ちたのだけは覚えてる。そのあと、なんだかんだでカイリのおかげで元に戻ったんだ」

「ハートレス、お城のエントランスの入り口から来たよね。地下水路から上がってきたんじゃないの?」

「そういえばさ、落っこちた後、誰かにあったような気がするんだ」

「なんというか……すまない」

 そう言ってクラウドは申し訳なさそうにポンポンとソラの頭を撫でた。

 ヒカリが抱きしめていたハートレスが今、目の前にいて、しかも知らなかったとはいえ自分が力の限りぶん投げたとは――本人は覚えていないらしい。

「?」

 一瞬、クラウドはヒカリの顔をソラに写して見えた。

「……顔を除けば可愛いのにな」

 

 ヒカリの顔を思い出し思わず口にしてしまった。

「よくわかんないけど子供扱いするなよ~!」

 クラウドの手を払ってソラは叫んだ。

 隣のカイリがふふっと笑う。

「そうか、カイリは知っているんだな」

「うん、コロシアムの時だよね……帰ってくるよね?」

「帰ってくるさ――そのために俺はこれを持って行くんだ」

 クラウドの手にあるのは、マフから渡された金と銀の錠前。

「マフから聞いたけど、俺たちヒカリの記憶がこれから無くなるんだってな」

「うん、ヒカリはこの世界の中心の存在なんだって。私はちょっと信じられないな」

「俺だって……でも、この戦いが終われば世界が元に戻るんだ。そうしたらきっとなんとかなるって」

「ソラ……うん私も信じてる。ソラに渡したお守りそれはヒカリと一緒に探した貝なんだよ?」

「それって、俺たちの島には、本当にヒカリがいたのか!」

「うん、それにソラのお姉さんなんだよ?」

「えっ……な、なんかぞわぞわするな」

「ふふっ。会えたらきっと思い出すよ……きっと」

「そ、そう? なんだが嬉しいとちょっと怖いが同じくらいだな。まるでイカダで海を越えようとしていた、あの時みたいだ」

「ずいぶん前みたいに言うけど、そんなに前じゃ無いよね?」

「そうなんだよな~リクもヒカリのこと思い出すかな?」

「それはもちろん! なんてったってヒカリはリクのこと大好きだから!」

 

「えっ⁉」

 

 この声は二重奏になった。

「だから、私はヒカリとリクが無事でいること、一緒に戻ってきてくれること。信じてるよ」

「うん俺も信じる! クラウド。ヒカリを頼んだ」

「ああ、例え記憶がなくなってでも、俺はこれを渡すため、ヒカリに会いに行く。約束する」

三人はカイリとヒカリの作った『約束のお守り』に手を重ね誓った。

「俺と、ドナルドとグーフィーはアンセムを倒して鍵穴を守る」

「俺は鍵穴の裏側でヒカリを見つけ、武器職人の最高の武器を届ける」

「私は、ヒカリ自身が望んでいた事を代わりにする」

「それって?」

ソラが聞くとカイリは不敵な笑みを作り言った。

「みんなの無事を祈る事!」

 

「あの、ヒカリが⁉」

「神頼みする性分では無いだろ?」

ソラとクラウドが思わず顔を見合わせる。

カイリはそれを見て面白そうに笑う。

「ヒカリはね、私と同じだよ」

「どういうこと?」

ソラが聞く。クラウドも同じ顔だ。

「みんなが必ず無事で戻ってくる事。信じているんだよ! もちろんヒカリ自身もね!」

 花が咲くような笑顔の少女に一瞬見とれるソラとクラウドはまるで彼女の笑顔が映ったような不敵な笑みで言った。

「俺は、必ずヒカリに届ける。たとえ、記憶が消えても。届けてみせる」

「そうだな、忘れてしまっても、やる事は決まっている。オレは信じている。俺たちみ~んな無事に戻って来るよカイリ!」

「いってらっしゃい!」

笑顔で見送るカイリにクラウドとソラがそれぞれの道へ向かった。

 

 




KaHAnother Story'sあとがき
あとがき

去年は書き直し製本を役6ヶ月で5冊作り今年はちゃんとこのように短編集が出来ました☆
 これもウェブオンリーに登録したおかげなんで感謝しています。やはりイベント参加は原動力になりますね。
 さて、今回の短編集。初めは長編小説の最後の章に一話だけこぼれ話のように出てきた場面を引き延ばして一話完結型で入れておいた話なのです。そのためこの話の他に気になる単語があれば長編も読んでほしいです。章ごとにまとめているので見つけやすいよ。ちなみに、一番初めの話は1章が終わる前に書いたもの。たしかサーチサイトに紹介するためのお試しサンプル小説でした。そんな経緯から、この小説楽しそうだけどちょっと長いのは読めないかも、と悩める方の飛ばし読み用短編みたいなくくりで作っていました。実際そんな内容でも無い話もありますが、いろんな星を旅する彼女たちのワールド完結後の間のお話にもなっています。
 本来なら、この短編は初めの1巻、2巻には章の終わりに一緒に書き直して掲載していたのですが、なんとぉ~アナザー短編の無い章が3つもあったので去年の書き直し製本中に新規で書き下ろすのは難しくなって3巻から無くなりました。
 さらに言えば編集してわかったのもありますが、長編の本文が長すぎて短編を入れるページも無く、後で書き直しと新規でもう1冊作ることに変更。
 こうして半年に及ぶ書き直し長編本が2021年内にできあがりました。よかったね☆
 そんでキングダムハーツ20周年の2022年にはせっかくだからお祝いに製本書き直し版長編をPixivに定期掲載した次第です。狙って書いたわけじゃ無いけど本当にちょうど良かったです。
 それもあって章末にアナザー短編も掲載中。間に合うようには書けました。新規で書くのは時間かかるね。ここだけの話、1章7話構成の話書き直すのに丸1週間はやりたいこと封印して取り組んでいましたので。新規で新しい話も書くのは……正直、続かないよ。
 これが終わったらソラを操作してワールドを旅しに行きます。次回の話のネタ集めに行く! あと新しいディズニー映画も見る。妄想する!
 それでは、ヒカリの旅もここで一段落です。次回作はすぐ書いているけどね☆エンディング終わった後の後日談考えるの好きなんです。そのおかげでこの短編集が出来たのもあります。次回も続く限り新しい話ができあがっていくと思われます、今後ともご期待ください。


二〇二二年 七月一七日 かすてらホチキス☆

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。