King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】   作:かすてらホチキス

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時にはオリジナルワールドを旅したりします。


3章 OtherWorld1 王様の剣
~長髪の悲劇~


 

 

 

「わぁ……」

 ヒカリは目の前の乗り物を、口を大きく開けて眺めていた。

「ミッキーこれなに?」

 目をキラキラ光らせて聞く彼女をミッキーは子供のようだと思った。

(さっきまで泣きそうな顔になっていたくせに)

 苦笑してミッキーは言った。

「それはグミブロックで出来た船さ。僕はこれで旅をしている」

「グミブロック? おいしそうな名前ね」

 ボディを突いてみるとなんとなくやわらかいような素材だ。

「食べられないよ、これは消滅した星たちのかけらなんだ、宇宙空間でたまに集めておいて新たな船を作ったり増築したりするんだ」

 ミッキーが笑いをこらえるように言った。

「ねぇ、これって船なんでしょ?」

 ふと、思い出したようにヒカリが聞いた。

「うん、宇宙船だけれど?」

「この船に名前ある?」

「そういえば、まだ決めていないよ」

 どうせ一人旅のつもりだったし名前なんて付けなくてもいいかな

 と前までそう思っていたミッキー。

 

「カレイドスターって名前にしようよ!」

 

 ヒカリが意気込みを込めたように両こぶしを握り締めてミッキーに言った。

「えっと、ヒカリ」

「ハイウインドーとかエクスカリバーって名前じゃなくってさ!」

 ヒカリの熱意のこもったまなざしがあったせいか、ミッキーは名前なんていいよと言えなくなってしまった。

「そこまで、ヒカリが言うのなら、それでいいかな?」

「やったぁ!」

 天高く右手こぶしを突き上げるヒカリ。彼女の脳裏には勝利の文字が頭上に掲げられていた。

 何に勝ったのかがよく分からないミッキーは彼女のこの行動がよく分からなかった。

「やっぱりミッキーって王様なんだね」

「?」

 グミシップ改めカレイドスターに乗りこんだヒカリがこうつぶやいた。

「いろいろ持ってて、何でも出来てさ」

「僕は、好きで王様をやっている訳ではないんだ」

「え?」

「好きってだけで出来るものなんて何もない、でも頼まれたからやっているわけでもない」

「じゃあ、なんで?」

「う~ん……」

 考え込むミッキー。

 ふとヒカリの後ろを見ていると船に乗り込もうとよじ登っている。

 

 黒い何か。

 

「!」

 ヒカリの後ろからハートレスが!

「ヒカリ!」

「?」

 後ろを振り返ったヒカリは目の前のハートレスに驚き入り口で足を踏み外した!

「あっ!」

 ミッキーは反射的にキーブレードを構え叫んだ。

「ファィア!」

 キーブレードの先から赤い炎の玉が出現しヒカリの頭上をかすめてハートレスに直撃した!

 一撃で消えるハートレス。

 

(ガシッ!)

 

 ミッキーはヒカリの手を間一髪で掴んだ。

「大丈夫……かい?」

「あ……」

 驚きで声が出てこないヒカリ。あごが、がくがくいいだした。

 ミッキーはその顔を見てほっとしてヒカリを引き上げた。

 

 二人はそのままへたり込む。

 

「僕が王様の理由……わかった」

 

 力が入らないような声でミッキーがヒカリに言った。

 ヒカリはまだ息が荒い。

「こんなときに……頼れるパートナーが居れば安心できるだろ?僕はそんな人になりたい。王様って言うのはそんな人のことなんだ」

 

「ミッキー」

 しばらくしてヒカリが聞いた。

「なんだい?」

 穏やかにミッキーが聞く。

「さっき、何って言ったの?」

「何って、王様って言うのは――」

「違うの、私が落ちる直前なにしたの?なんか火がボオッって!」

「ええと……魔法のコトかい?」

「魔法!」

 聴きなれない言葉に胸をときめかすヒカリ。しかしミッキーは別のことに気づいた。

「あっヒカリ。頭大丈夫だった?かすったようだけど」

「え?」

 ミッキーがヒカリの後ろに回る。

 

「あ! ご、ゴメン」

「?」

「髪がちょっと焦げてる……」

「う、うっそー!」

 

 頭を抑えるヒカリ。

「どこっ? どこが⁉」

「てっぺん、がちょっと」

 

てっぺんって――ハゲですかい⁉

 

 コレを何とかするって言ったら――。

 

「そんな……ベリーショートなんてイヤだ~!」

 悶えるヒカリ。

(前から長い髪切りたいとは言ってはいたがめっちゃ短いのだけはイヤだ!)

 

「ご、ゴメンよ……僕、王様失格――はっ!」

 ミッキーが思い出したように立ち上がる。

 

 ヒカリはまだ、悶えていた……。

 

 しばらくしてミッキーが何かを持ってきてヒカリの後ろに回りこんだ。

「よし、これで何とかなる……と、思うよ」

 頭に何か付けられた。

(もしかしてカツラ⁉)

「どう、かな?」

 ミッキーがヒカリに鏡を見せる。

 

「……リボン?」

 赤い大きなリボンがヒカリの頭の上に乗っかっている。

「王妃がよく付けていたんだ、似合わない、かい?」

 ヒカリはミッキーを見つめ首を横に振る。

「でも、なんか可愛すぎて恥ずかしいや……」

(だけどカツラよりはいいかな?)

「よかった~」

 ミッキーがほっとする。

 

 

「今度こんな時があったら、ブリザドにしよう」

 ミッキーがグミシップを操縦しながらつぶやいた。

「ねぇ、魔法って何?あと王妃って、ミッキーって何歳なのよ!」

 やっと立ち直ったヒカリがミッキーに聞いた。

「レオンよりは年上かな?」

「うそ!」

「星によって年齢はまちまちなんだから、しょうがないよ」

「あっ……ありえないぃ~!」

「ほら笑ってよ、グミシップは笑顔がエネルギーなんだから」

 ミッキーが笑顔でヒカリに言った。

 キラキラしたオーラさえ見える(汗)

(こんなんで、やっていけるのだろうか)

 早くもヒカリはそんなことを考えてしまっていた。

 

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