King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】   作:かすてらホチキス

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~自分の意思~

 

 

 

 だめだ、攻撃があたらない!

 騎士は馬上から攻撃をしてきてヒカリの攻撃が当たる隙が無い。馬を攻撃してみたが速すぎて体当たりされる。

「っく、かはっ……!」

 背後からの馬の体当たりで地面に投げ出されるヒカリ。落ちた拍子に小枝で顔に傷を作った。

「いった~~い!」

 ヒカリはすかさず頭を押さえて立ち上がる。

 何度、倒れただろうか。

 横揺れの地震が起きてるみたいに目の前が揺らいでいる。

 さっきから考えていたが、この場所には他のハートレスは見当たらない。もしかしてこれがボスモンスターと言うものだろうか。

 ヒカリは馬に乗った騎士のハートレス。アイアンナイトの攻撃を受け止めることだけに専念しようとロックセプターを構える。向こうが速すぎて今の私では攻撃を与える隙がまったく無い。

 自分ではどうすることも出来ないぐらいの、力がある!

「っ……!」

 腕を上げるだけでも危うくなってきている。

 体に、力が入らない。

(でも、ここで倒れたら、ここまで来た意味がないよ)

 魔法を見る前に終わるのはいやだ!

 アイアンナイトが目の前に迫る。ヒカリはかたくなに防御の体制をつくった。

 半眼で迫り来る騎士を見据える。

 

 来る……!

 

「!」

 

 ヒカリがとっさに閉じてしまっていた目を空けると、足元が地を踏んでいなかった。

 

「え?」

 

 ヒカリは誰かに担がれていたのだ。

 こんな間発入れずに助けてくれるのは彼しか居ないだろう。

「ミッキー! 遅いわよ助けるの!」

「それ、君の仲間の名前?」

「え?」

 声が、違う。

 

(ベキッ)

 

 え?

 なに?

 この嫌な音は――。

 

 音と共に重力に従い、落下。

「うわぁぁ~!(涙)」

 いきなりの展開に体がついていけず恐怖と混乱の最中、ヒカリが叫んだ。

 

 ☆

 

 落とし穴のおかげ(?)で、さっきまで戦っていたボスハートレス。アイアンナイトは居なくなったようだ。

「……あぁ、びっくりした」

 もうこれ以上動けない。むしろこのまま生き埋めにされてしまっても構わない。

 

 脱力。

 

 今のヒカリにはこの文字しか頭にはなかった。

「あぁ、危ない所だったね、キミ名前は?」

「ヒカリ」

 ヒカリは生気の無い顔で彼を見た。ミッキーとは背丈は似ていてもこちらは若く優しい金色の髪の青年だった。

「僕の名前はワート。とにかくキミが無事でよかった」

「無事って……これのどこを見れば無事だと言えるの?」

「あはは、そうだね、ボロボロだね」

「あははじゃないわよ! なんでこんな所に落とし穴があるの!」

「これはさっき僕が作った。即席なのにこの深さ! すごいだろ?」

(落とし穴って、どういうものでしたっけ?)

「僕はあの騎士を倒せるほど強くは無い、でも倒せずとも乗り切ることは出来る、こうやってね」

 純真無垢にそう言われるとこれ以上はツッコミようが無い。不可解だと思われることでさえも結果的にそれが正しかった事だと動かしてしまう。人の心をひきつけてしまう、そんなカリスマ性を彼は持っていた。

(なんだかミッキーにもあるよな、こんなの)

「さて、落とし穴を生き埋めにならずに上がれるコツって..……あると思う?」

 ワートは本気でヒカリに聞いた。

(でも、何も考えてない所は似てない!)

 

 ☆

 

「ところでキミはなぜあんなのと戦っていたの?」

「いきなりあれが飛び出してきたの!」

 災難だとばかりヒカリがワートに言った。体中がひりひりしてきているヒカリは、満身創痍。ワートの質問に答えるのさえもイライラしてきた。

「目立つものさえなかったら普通は追ってこないよ?」

 ワートは苦笑しながらキズだらけのヒカリに言った。

「目立つもの?」

 ヒカリはぐるりと自分の体を見る。特に、変わったところは無い。

「例えば、さっきの杖とかね?」

「これ?」

 パシッと軽い音を立ててロックセプターが出現した。どうやって出てくるかはわからないがロックセプターは欲しい時に出現するようだ。

 グミシップに乗っていたときに似て非なる武器を持つミッキーの言われた通りに練習した甲斐あって、ヒカリはこの杖の扱いに慣れてきた。

 

 ミッキーが言うに、コレは噴水に落ちていたわけではないらしい。

「セプターが君を選んだハズなんだ、僕のキーブレードみたいに」

 そういうミッキーも気がついたらキーブレードを持っていたと語ってくれた。それは突然、前触れがないと言えば嘘になるが、少なくともそれは、自分が必要だと感じたとき。キーブレードを手にしていたのだと。

 とにかく、自分の意思に反応して武器が出現すると言うことはとても画期的だ。

 そう、自分の意思で――。

 

「この森は危険だ。とりあえず広場へ行こう」

 ワートの言葉でヒカリは我に返った。

「広場の場所知ってるの?」

 逃げるのに専念していたのでヒカリはこの事をすっかり忘れていた。

「もしかして、迷ってたのかい?」

「うん!」

 体中とにかく痛くてグミシップへ帰れるのが嬉しい。

「元気な迷子だなぁ~」

 ワートが苦笑して言った。

 

 ☆

 

「ヒカリさんのことでちょいと聞いておきたいことがあってのう」

 マーリンがミッキーに訪ねた。

「なんでしょう?」

「ヒカリさんは魔法のことを知っているか?」

「いいえ、彼女はまったく知らないようです」

「はて、なぜじゃ?」

「?」

 考え込むマーリンにミッキーは何と答えていいのかが分からなかった。

「ヒカリは、魔法を見たことがないといっていました」

「そうなんじゃよ……。なぜ彼女が魔法を知らないのか」

「それは?」

「彼女は、ヒカリさんは――」

 

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