King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】 作:かすてらホチキス
「ソラ、おまえイカダの名前何がいい?」
いきなりリクがソラに言った。
「ん――っエクスカリバー!」
数秒しか考えなかった名前にツッコミをいれようとヒカリがソラとリクの後ろへスタンバイ。
「もし、リクが勝ったら……?」
ソラは『どんな名前にするんだ?』と言おうとしたのだが、リクは驚くべきことをサラリと言った。
「カイリとパオプの実を食べる」
ソラと、実は後ろにいるヒカリはびっくりした。
リクは遠くを眺めながらつぶやくように言った。
「あのイカダの名前は『カレイドスター』よっ!」
「うわっ、姉ちゃん!」
リクとソラが後ろからの声に驚いた。
「ヒカリ、コレは俺とソラの――」
「カレイドスター!」
「――っ。わかったよ」
ソラは勝負というものが付く物全てにおいて彼女が乱入をすることは知っていた。そして一度彼女が口を開けばそれ以外の言葉が発せられることはほとんど、無い。
しかし、ソラはいつも姉のこの行動に何かの根拠があるのかどうかさえも分からなかった。もちろんリクでさえも。それが彼女の本音なのか上辺だけの物なのかも、うかがいしれない。
ヒカリはというと。
(カレイドスター、とっさに考えたものにしてはイカシた名前ね!)
なんてことを思っていた。これがさっきまでソラにツッコミを入れようとしていた行動だったことなんて彼女はすっかり忘れている。
リクがカイリにスタートの合図を頼んで3人は1列にならぶ。
「いくよー。よーい……。ドン!」
カイリは左手を下から上へ振り上げた。
三人は走り出した。
ヒカリはカイリの振り上げたその手に手を伸ばす。
「がんばってねヒカリ姉っ!」
カイリの応援と共に手と手が交差してパチンッ!と音がした。
始めは壊れかけの桟橋。ソラが柱から無くなっているその穴を跳び越えようとしたときリクがその後ろにいた。
トン。
リクが体重を端の板にかけると。
バタンッ!
「うぉわあっ!」
ソラが落下。
リクは床板がソラもろとも落下する反動を使い跳び越えた。もちろんヒカリも後ろにいたため無事。
「やったなリク!」
ソラはザバザバと海水をかき分け陸へ上がった。かなりのロスタイム。
カイリが大笑いしながらソラを応援しているのが後ろで聞こえている。
(ソラが遅れた、ぜーったいにリクを止める!)
リクは移動用滑車のワイヤーが張っているやぐらを登っている。ヒカリはその後ろからリクに続いた。
(絶対にカレイドスターにするんだから! そしてカイリとのぬけがけも消す!)
なんだか初めと優先順位がひっくり返っていた。
ヒカリがやぐらの頂上に行くとリクが不敵にヒカリに微笑んだ。
「この後どうするんだ?ヒカリ」
「それはトーゼン! 上まで登ったら下に……?」
リクはスルスルとワイヤーの吊り革で下まで降りた。
その後吊り革は下にいったまま揺れている。
ヒカリはハッと思いだした。
「しまった~一人しか移動できないんだっけ~!」
ヒカリが青くなって叫んだ。スタート地点ではカイリがまたもや大笑いしている。
やぐらの叫びを無視してリクは木から木へと跳び移り折り返し地点を目指している。その下では地味にソラが正ルートを走っていた。
この時点ではヒカリが最後になってしまう!
そもそも、この競争はちゃんとしたルートを探せば二通りしかないんだ。ソラの今走っている陸の正ルート、そして今リクの通っている上の裏ルート。これはやぐらを使うので一人しか使えない。
しかもやぐらまで登る前にふつうは気づくのに!
「こうなったら……行く!」
ヒカリはそう言って上着をバサリと脱ぎ捨て、やぐらのロープワイヤーに巻きつけた。
リクとソラはびっくりして足を止めた。
「ヒカリ、危ないって、やめろ!」
今まさに実行しようとしていたヒカリは見上げるリクをキッとにらみつける。
「いやだ! リクのせいだよ落っこちたら」
「お、俺のせいにするのかよ!」
「トーゼンッ!」
「おまえ、今どんな格好なのか分かっているのかよ!」
「落ちたらその前に助けてよね!」
「だから、やめろって言ってるんだって……」
かみ合わない口論が続く。
「姉ちゃん! オレ姉ちゃんが下りるまで待ってるから、ちゃんと吊り革で下りてきてくれ!」
口論をしている二人よりもソラが始めに折れた。
ランニングシャツで強気なヒカリは遠くで見るとリクと自分と同じ性別に見えなくもないが、近くで見るとわかってしまう胸のふくらみがとても気が気でなかった。暑いとはいえ、下着姿の姉は友達の前にあまり晒してほしくない。
「ヒカリ姉~! そんなに言うんだったらやり直そうよ、ね?」
カイリが遠くでなだめる。さっきからの二人の発言は、まるでヒカリが今から高層ビルから自殺するかのようだ(汗)
「やってらんない、俺はさっさと勝負をつける」
リクがくるりと後ろを振り返ると同時にヒカリはやぐらをけった!
「姉ちゃん!」
「ヒカリ姉!」
ソラとカイリが叫んだ。
リクは二人の声にびっくりして木から足を踏み外した。
ヒカリはというと、難なくスルスルとロープの下まで下りられた。
ソラとカイリはふぅと安堵した。
一方、リクは――。
ドン!
地上にいるソラの頭上からリクが降ってきた。
「ぐはッ!」
二人は変な声を上げて、しばらく動かなくなった。
「これって……。よっしゃ逆転っ!」
ヒカリは慎重に木の上を渡った。これに少しばかり時間がかかったが、折り返し地点を通過した所で下の二人が競うようにしてそこを目指して来ている。
木の上のルートはヒカリにとって時間がかかりすぎたので下のルートを走ることに。ソラ、リクはヒカリとの遅れから木の上のルートを選んだようだ。
下の帰りルートは二つ、一つは陸ルート、もう一つは海ルート。もちろんヒカリは陸ルートを選ぶ。
理由はもちろん――。泳げないからだ。
砂浜に足をとられながらも腰ほどの段差を一気に飛跳した。陸ならばヒカリにかなう者はいない。たとえ結果的に負けたとしてもゴールまでは必ず気を抜かない。この努力と根性はソラも同様であるが彼女はそれ以上だ。
やぐら付近で三人は並んだ。さっきの飛跳で加速に乗ったヒカリが先頭に出た。しかし、この場所こそ彼女の最大の問題だった。
はじめソラがここで落ちたことがよぎる。
―怖い――
でも、今一番怖いことって?
落ちること?
ううん、ちがう。
リクが、いちばん――。
『ガタン』
「えっ……!」
嫌な音がした。そしてすぐさま床板が外れた。
「……っ!」
「ヒカリ姉、跳んで!」
カイリが叫んだ。しかし、手遅れだった。
思考が停止している。
目の前が真っ白で何も思い浮かばない。
髪が目の前で慌しくはためく。
すぐさま体が鈍く打ち付けられ目の前に白い泡が見えた。
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